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| Formula=NaHCO<sub>3</sub>
 
| ExactMass = 83.982338573 g mol<sup>−1</sup>
 
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| Density = 2.20 g cm<sup>−3</sup><ref name="crc84.4-85">"Physical Constants of Inorganic Compounds". ''CRC Handbook'', p. 4-85.</ref>
 
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| ExternalMSDS = [http://www.agc.com/chem-msds/pdf/S-0050_2.pdf SDS] [[旭硝子]]<br />[http://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/144-55-8.html SDS例] [[厚生労働省]]<br />{{ICSC-small|1044}}
 
| MainHazards = 激しい目のかゆみ
 
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| LD50 = ラット、経口<br />4,220 mg/kg<ref>{{cite web
 
|title=ChemIDplus - 144-55-8 - Sodium bicarbonate
 
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|title= SODIUM BICARBONATE - CASRN: 144-55-8
 
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| Section8 = {{Chembox Related
 
| OtherAnions = [[炭酸ナトリウム]]
 
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| OtherCpds = [[硫酸水素ナトリウム]]<br />[[リン酸水素ナトリウム]]}}
 
}}
 
'''炭酸水素ナトリウム'''(たんさんすいそナトリウム、sodium hydrogen carbonate)、別名'''重炭酸ナトリウム'''(じゅうたんさんナトリウム、sodium bicarbonate、重炭酸ソーダ、略して'''重曹'''とも)は、[[化学式]] '''NaHCO<sub>3</sub>'''で表わされる、[[ナトリウム]]の[[炭酸水素塩]]である。[[常温]]で白色の[[粉粒体|粉末]]状である。水溶液の[[水素イオン指数|pH]]は[[塩基|アルカリ性]]を示すものの、[[フェノールフタレイン]]を加えても変色しない程度の弱い塩基性である。水には少し溶解し、[[メタノール]]にも僅かに溶解するものの、[[エタノール]]には不溶。具体的には、水 (0 ℃) 100 g につき 6.9 g、水 (20 ℃) 100 g につき 9.6 g、メタノール (25 ℃) 100 g につき 0.8 g 溶解する。
 
  
== 合成 ==
+
'''炭酸水素ナトリウム'''(たんさんすいそナトリウム、sodium hydrogen carbonate)、別名'''重炭酸ナトリウム'''(じゅうたんさんナトリウム、sodium bicarbonate、重炭酸ソーダ、略して'''重曹'''とも)
[[塩化ナトリウム]]溶液の[[電気分解]]で得られた[[水酸化ナトリウム]]溶液に[[二酸化炭素]]を反応させて製造する。
 
: <ce>NaOH + CO2 -> NaHCO3</ce>
 
工業的には[[ソルベー法]]により多量に製造される。これは炭酸水素ナトリウムの水への[[溶解度]]が比較的低いため[[沈殿]]することによる[[複分解]]反応である。
 
: <ce>{NaCl} + {H2O} + {NH3} + CO2 -> {NH4Cl} + NaHCO3 \downarrow</ce>
 
(矢印[[↓]]は沈殿を意味する)
 
また、天然の鉱物を精製しても得られる。日本では[[旭硝子]]や[[東ソー]]・[[トクヤマ]]などが生産している。
 
 
 
== 反応 ==
 
ソルベー法の過程で得られた炭酸水素ナトリウムは、焼成することにより[[炭酸ナトリウム]]の原料となる。
 
: <ce>2NaHCO3 -> [\Delta] {Na2CO3} + {CO2} + H2O</ce>
 
 
 
炭酸水素ナトリウムは[[両性 (化学)|両性]]の化合物で、炭酸の[[酸解離定数]]が{{pKa}}<sub>1</sub> = 6.3、{{pKa}}<sub>2</sub> = 10.3 であるため水溶液は pH = 8.3 程度の弱い塩基性を示す。
 
: <ce>{HCO3^-} + H2O\ <=> {H2CO3} + OH^-\ ,</ce> {{pKa}} <math>= 6.3</math>
 
: <ce>{HCO3^-} + H2O\ <=> CO3^{2-}H3O^+\ ,</ce> {{pKa}} <math>= 10.3</math>
 
 
 
酸と反応して炭酸と塩を与え、炭酸は二酸化炭素と水に分解する。
 
: <ce>NaHCO3 + HCl -> NaCl + H2CO3</ce>
 
: <ce>H2CO3 -> {H2O} + CO2 \uparrow</ce>
 
 
 
[[酢酸]]と反応すると[[酢酸ナトリウム]]を与える。
 
: <ce>{NaHCO3} + CH3COOH -> {CH3COONa} + {H2O} + CO2 \uparrow</ce>
 
 
 
[[水酸化ナトリウム]]と反応して[[炭酸ナトリウム]]を与える。
 
: <ce>NaHCO3 + NaOH -> Na2CO3 + H2O</ce>
 
 
 
=== 熱分解 ===
 
[[熱|加熱]]によって炭酸ナトリウム、二酸化炭素、水の三つの物質に分解する。粉末は270 {{℃}} で分解。水溶液は放置しておいても徐々に分解してゆくが65 ℃以上で急速に分解する。なお常温・[[常圧]]であっても空気中には水分が含まれるため、放置しておくと少しずつ分解していく。
 
: <ce>2NaHCO3 -> Na2CO3 + H2O + CO2</ce>
 
 
 
== 用途例 ==
 
=== 消火剤 ===
 
粉末化し、流動性付与剤として[[二酸化ケイ素|無水ケイ酸]]や[[沈降シリカ|ホワイトカーボン]]を加え、防湿剤として[[金属石鹸]]や[[シリコーン|シリコーンオイル]]をコーティングしたものが消火剤として用いられる。消防法施行規則第21条の規定による第一種粉末消火薬剤であり、B火災(油火災)とC火災(電気火災)に適応していることから「BC粉末消火剤」とも呼ばれる。
 
 
 
[[熱分解]]によって生成されたナトリウムイオンと燃焼反応で生じる[[ラジカル (化学)|遊離基]](OH•、H•)が結合することで燃焼の継続を抑制するのが粉末消火薬剤の消火原理である。安価なことから、[[化学消防車]]や[[消防艇]]の粉末消火装置に用いられる。
 
: <ce>2NaHCO3 -> {Na2CO3} + {CO2} + H2O</ce>
 
: <ce>Na2CO3 -> {Na2O} + CO2</ce>
 
: <ce>{Na2O} + {OH} \cdot + {H} \cdot -> 2NaOH</ce>
 
また、酸と反応し二酸化炭素を発生するので、泡消火器、酸アルカリ消火器にも用いられる。
 
 
 
=== 中和剤 ===
 
[[鉛蓄電池]]の電解液(希[[硫酸]])の中和剤としても用いられる。
 
 
 
=== 調理 ===
 
[[画像:Household Soda 0456.jpg|thumb|調理用の重曹]]
 
[[食品添加物]]として[[調理]]などに使われる。
 
 
 
加熱によって二酸化炭素を発生する性質から、食材に練りこんで加熱すると、多孔質のふわふわ、サクサクした生地ができる。[[ベーキングパウダー]]などとして[[クッキー]]、[[パンケーキ]]、[[どらやき]] 等々を膨らませるのに用いられ、また[[カルメ焼き]]の欠かせない材料である。<ref>なお、[[ビスケット|ダイジェスティブビスケット類]](例えば[[マクビティ]]など)には、<!--消化能力を高める働きを持つ/焼成した時に分解されてしまっているため、胃を刺激する効果などは望めないはずです。この部分の説明に消化能力を高めると書くのは問題ではないでしょうか?-->重曹が多く使われている。</ref> 口中で炭酸ガスを発生させる[[炭酸水|ソーダ]][[飴]]などには粉末で封入される。[[ワラビ]]などの山菜の[[灰汁|アク]]抜き、[[松の実]]などの臭み取り、豆を早く煮るため、肉を柔らかくする下ごしらえ、[[グレープフルーツ]]や[[夏みかん]]の強烈な[[酸味]]を中和させるために直接かけたり、冷凍[[エビ]]の食感改善などにも使うことができる。また、[[中華麺]]を打つときに入れる[[かん水]]とは本質的に同じものであり、麺打ちにも使われる。
 
 
 
このように食用ともされることから安全性が高いと見られている。ただし大量に摂取すると[[アルカローシス]]などの問題を引き起こす恐れがあるとされているので、特に幼児が誤食しないように注意する必要はある。合わせて、体重 1 kg 当り約 1.26 g で呼吸器に異常をきたすとのデータもある<ref name="MSDS">[http://www.takasugi-seiyaku.co.jp/prdt/img/pdf/MSDS_048.pdf 『高杉製薬製品安全データシート(炭酸水素ナトリウム,重炭酸ソーダ)』 2006年4月1日 p.3]{{リンク切れ|date=2017年9月}}</ref>(ただし、通常の場合これほどの量を摂取することは考え難い)。
 
 
 
=== pH調整剤 ===
 
pH調整剤として炭酸水素ナトリウム(重曹)添加の効果が認められている<ref>[http://doi.org/10.5979/cha.1990.72_1 玉露缶ドリンクの品質に及ぼす酸化防止剤並びにpH調整剤の影響]、大森 薫, 久保田 朗, 大森 宏志、茶業研究報告、Vol.1990 (1990) No.72</ref>。[[代謝性アルカローシス]]は、明らかな[[血圧]]降下作用を惹起すると指摘されている。この作用がチアジド系[[降圧剤]]の降圧機序の一因子であることが指摘されている<ref>[http://doi.org/10.1253/jcj.32.1331 高血圧症に関する研究(第I報) : 酸塩基平衡の循環動態因子におよぼす影響について]、竹越 襄、Japanese Circulation Journal、Vol.32 (1968) No.9</ref>。
 
 
 
=== 「炭酸水の素」 ===
 
水に炭酸水素ナトリウムと[[クエン酸]]を混ぜるだけで炭酸ガスが発生し[[炭酸水]]となるので、飲料の材料としても用いられる。砂糖を加え「[[サイダー]]」にしたり、[[レモン]]を加え「レモンソーダ」にするということも可能である。余計なクエン酸ナトリウムが発生するため、市販の炭酸水とは味が異なる。
 
 
 
=== 洗浄・脱臭 ===
 
研磨効果、鹸化([[エマルション|乳化]])効果から、[[洗剤]]や洗剤の補助としてティーカップなどの[[茶渋]]落とし、換気扇などの固着した油汚れ・焦げ落とし、[[歯磨剤|練り歯磨き]]や[[うがい]]等に使用される。{{Refnest|[[洗濯機]]での使用を禁止しているメーカーもある(重曹が洗濯機内部で詰まり、水漏れや故障の恐れがあるため)<ref>パナソニック「洗濯機総合カタログ 2011/夏」内「洗濯乾燥機の賢い選び方」P5</ref>。}}
 
 
 
高温のスチームと重曹を高圧洗浄器で噴射することにより、重曹のつぶによるブラスト効果でコンクリート表面の汚れや落書きを効率的に除去する工法が開発されている。
 
 
 
重曹は、[[水質汚染]]で問題とされる[[生物化学的酸素要求量|BOD]]・[[化学的酸素要求量|COD]]値がなく、[[内分泌攪乱物質|環境ホルモン]]も含まれていないため環境にやさしいとされる。また食品添加物としても使用できるくらい人体に対して安全であることも売りとなっている。
 
 
 
重曹と油脂が混じると脂肪酸ナトリウム(石鹸)が生成される。重曹水は石鹸水より弱いアルカリ性であり、油脂に対する洗浄効果は弱い。重曹は水に溶けにくく、十分に撹拌しなければ洗浄効果が低下する。携帯ポットなどは洗いにくい上、洗剤が落ちにくいが、重曹はその点洗い残しがあっても安全である。
 
 
 
[[酸|酸性]]の[[臭い]]に対する[[脱臭]]効果があり、肉・魚臭さを消したり、靴箱の脱臭剤などにも使用できる。
 
 
 
=== 入浴 ===
 
天然の[[温泉]]に含まれる場合は[[炭酸水素塩泉|重曹泉]]となり、これを模した[[入浴剤]]もある。炭酸水素ナトリウムは多くの入浴剤に配合されている。
 
 
 
=== 医薬品 ===
 
[[医薬品]]としては、[[胃酸]]過多に対して[[制酸剤]]として使われる。あくまでその場限りの対症療法であり、根治とはならない。また、[[胃液]]には[[塩酸]]が含まれているために、炭酸水素ナトリウムは急速に分解し[[二酸化炭素]]の気泡が発生する。この気泡が[[胃]]を刺激し、さらなる胃液の分泌を促進することが知られている。
 
 
 
また点滴剤は[[アシドーシス]]の[[対症療法]]に用いられる。ただし近位[[尿細管性アシドーシス]]に対しては、点滴ではなく経口的に投与し続けることでアシドーシスの補正を行う。なお投与が[[ナトリウム]]の過剰摂取につながり[[高ナトリウム血症]]になることが稀にある。また、炭酸水素ナトリウムを服用、または、静脈内への水溶液の注射などをすると、[[尿]]の[[水素イオン指数|pH]]をアルカリ側に傾けること(=pHを上げること)ができる。このため、尿のpHが上がると排泄が速くなるような薬物(例えば[[フェノバルビタール]])を、腎臓から尿中へとより速く排泄させるために炭酸水素ナトリウムを投与する場合がある<ref>[http://jsct.umin.jp/page048.html その9 バルビタール系薬物]{{リンク切れ|date=2017年10月}}</ref>。
 
 
 
加えて、めまいを抑制することが経験則として判明している(内耳血流を増加させ、内耳虚血時の酸素分圧の低下を抑制していると考えられるが、発作時における三半規管の状態が観測困難なためいまだ確定はしていない)ことから、[[メニエール症候群]]を代表とする内耳障害による悪心・嘔吐を伴う発作に際しては、点滴剤に制吐剤を加えた上で投与される。これは前述の通り虚血部位である内耳のアシドーシスの補正・排泄サイクルの鋭化に基づく耳石の排出力の上昇等、炭酸水素ナトリウムの薬効性が複合的に機能することもあり、特に経口摂取が不可能なほどの重篤な発作においては有用となる。
 
 
 
この他、炭酸水素ナトリウムと[[無水リン酸二水素ナトリウム]]を混合した物を、[[坐剤]]として直腸内へ挿入することがある。この2つの物質が反応することによって、直腸内で二酸化炭素が発生することを利用して、直腸性便秘(腫瘍などの便の通過障害となる器質的な原因が無く、かつ、大腸の動きが鈍いことも原因ではないタイプの便秘。直腸に便が溜まるタイプの便秘。)の治療に用いられることがある。直腸内で二酸化炭素が発生すると、直腸の粘膜を刺激して、結果として排便を促す効果があるとされている<ref>[http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/2359800J1035_1_09/ 新レシカルボン坐剤の添付文書]</ref>。
 
なお、大腸内に二酸化炭素が入り込んでも、いずれ粘膜を通して生体内に吸収されてしまうことが知られている。
 
 
 
==== 臨床応用 ====
 
* [[消化性潰瘍]](胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍)
 
* [[逆流性食道炎]](胃食道逆流症)
 
* {{仮リンク|ゾリンジャー・エリスン症候群|en|Zollinger–Ellison_syndrome}}
 
* [[胸焼け]]({{Lang-en-short|[[:en:heartburn|heartburn]] & [[:en:acid indigestion|acid indigestion]]}})
 
 
 
=== 農業・園芸 ===
 
酸性の[[土壌]]の[[中和]]に用いれば、アルカリ性の土壌を好む植物の生育がよくなる。一般的に土壌の中和は重曹ではなく、消石灰(水酸化カルシウム)が用いられる。農作物や人畜及び水産動植物に害を及ぼす恐れがないことが明らかなものとして、安全性の認められた[[特定農薬]](特定防除資材)の1つであり、[[有機栽培]]でも[[ウドンコ病]]等を防除するために使用される。農薬として[[ハーモメイト]]が登録され、一般に販売されている。ただし、炭酸水素ナトリウムは葉を褐変させる薬害が起こりやすいため、より薄い濃度で高い殺菌効果を持つ[[炭酸水素カリウム]]の方が多く用いられる<ref>[http://www7.plala.or.jp/organicrose/lowtoxic.htm 低毒性化学農薬]</ref>。
 
 
 
=== 学習目的の実験 ===
 
[[File:Pyrolysis of Sodium hydrogen carbonate.svg|thumb|250px|炭酸水素ナトリウムの熱分解]]
 
中学理科の「[[化合物]]の[[化学分解|分解]]」でよく用いられ、生成する二酸化炭素を[[水酸化カルシウム|石灰水]]の白濁から、水を[[塩化コバルト]]紙の赤変から確認する。この実験を行う際、発生した水が加熱部に流れて[[試験管]]が割れるのを防ぐために、加熱する試験管の口を加熱部よりやや下向きにしておく必要がある。また、加熱している試験管から気体採取用に[[ガラス管]]をつないであり、その先端が水中にある場合は、実験終了の際、加熱をやめる前にガラス管を水中から出しておく必要がある。これは、加熱をやめ、試験管内部の空気が冷え、気圧が下がった際、ガラス管を通じて水が逆流し、試験管が破損することを防ぐためである。
 
 
 
== 脚注 ==
 
{{脚注ヘルプ}}
 
{{reflist}}
 
  
 +
化学式 NaHCO<sub>3</sub> 。重曹,重炭酸ソーダ,重炭酸ナトリウムとも俗称される。無色透明の結晶あるいは白色塊状または粉末状物質。熱すると約 300℃以上で分解し,炭酸ナトリウムに変る。水に可溶,アルコールに難溶。水溶液は微アルカリ性を呈する。アンモニアソーダ法で炭酸ナトリウムを製造するときの中間体として重要である。
 +
 
== 関連項目 ==
 
== 関連項目 ==
 
{{commons|Category:Sodium bicarbonate}}
 
{{commons|Category:Sodium bicarbonate}}
195行目: 12行目:
 
* [[トロナ]]
 
* [[トロナ]]
 
* [[ベーキングパウダー]]
 
* [[ベーキングパウダー]]
 
== 外部リンク ==
 
* [http://sitem.herts.ac.uk/aeru/iupac/Reports/1624.htm sodium hydrogen carbonate], Pesticide Properties Database (PPDB)
 
* [http://rika-net.com/contents/cp0100a/contents/4630/4630.html 炭酸水素ナトリウム 理科ねっとわーく(一般公開版)] - 文部科学省 国立教育政策研究所
 
 
  
 
{{ナトリウムのオキソ酸塩}}
 
{{ナトリウムのオキソ酸塩}}
 +
{{テンプレート:20180815sk}}
 
{{デフォルトソート:たんさんすいそなとりうむ}}
 
{{デフォルトソート:たんさんすいそなとりうむ}}
 
[[Category:炭酸塩]]
 
[[Category:炭酸塩]]

2018/10/17/ (水) 00:22時点における最新版

炭酸水素ナトリウム(たんさんすいそナトリウム、sodium hydrogen carbonate)、別名重炭酸ナトリウム(じゅうたんさんナトリウム、sodium bicarbonate、重炭酸ソーダ、略して重曹とも)

化学式 NaHCO3 。重曹,重炭酸ソーダ,重炭酸ナトリウムとも俗称される。無色透明の結晶あるいは白色塊状または粉末状物質。熱すると約 300℃以上で分解し,炭酸ナトリウムに変る。水に可溶,アルコールに難溶。水溶液は微アルカリ性を呈する。アンモニアソーダ法で炭酸ナトリウムを製造するときの中間体として重要である。

関連項目




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