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{{出典の明記|date=2010年3月}}
 
[[ファイル:US Navy 101206-N-5538K-395 The aircraft carrier USS George Washington (CVN 76) transits the East China Sea.jpg|thumb|[[アメリカ海軍]]の[[空母]][[ジョージ・ワシントン (空母)|ジョージ・ワシントン]]]]
 
[[ファイル:US Navy 091117-N-1644H-511 The guided-missile destroyers USS Lassen (DDG 82) and USS Curtis Wilbur (DDG 54) are underway in the Pacific Ocean.jpg|thumb|アメリカ海軍の[[アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦]]]]
 
[[File:Orion.usnavy.750pix.jpg|thumb|アメリカ海軍の[[P-3 (航空機)|P-3]][[対潜哨戒機|哨戒機]]]]
 
'''海軍'''(かいぐん、{{lang-en-short|navy}})は[[軍事作戦]]のために主に[[艦艇]]を使用する[[軍隊|軍事組織]]を言う。
 
  
==概説==
 
海軍は本質的に[[海洋]]を活動領域とする軍隊の一種であり、その意義は海洋がどのように社会と関係しているかに影響している。[[地球]]の表面はその約70%が海洋であり、沿岸地域の集落は古来より[[船舶]]を活用しながら生活を営んでいた。古代ギリシアの哲学者[[アリストテレス]]は海洋が国家にもたらす影響に言及している。彼は[[安全保障]]と[[貿易]]の面で海洋は国家に重要な便益をもたらすと述べており、例えば[[戦争]]において海外から派遣された援軍を収容するためにも、また国内の余剰生産物を輸出するためにも海洋という地理的環境は有用であると考えていた<ref>田中美知太郎訳『世界の名著8 アリストテレス』(中央公論社、昭和47年)</ref>。さらにイギリスの哲学者であり、政治家でもあった[[フランシス・ベーコン (哲学者)|フランシス・ベーコン]]も[[政治]]的な見地から海洋の重要性を論じており、海を支配することができれば、大陸を領有する国家と比べてより自由になり、戦争の規模や範囲を制御することができることを主張した<ref>渡辺義雄訳『ベーコン随想録』(岩波書店)</ref>。したがって、海洋とは国家や人間の生活にとって有益であり、しかも陸地とは全く異なる環境であると考えることができる。陸軍や空軍と異なる海軍に固有の性格とは、このような海洋の重要性や特殊性を踏まえて軍事作戦を遂行する能力を持つことであると特徴付けられる。
 
  
海洋において海軍が担う具体的な戦略的役割は[[海軍戦略]]の理論によって規定されている。アメリカの軍人[[アルフレッド・セイヤー・マハン]]は『[[海上権力史論]]』や『[[海軍戦略 (マハン)|海軍戦略]]』において海洋戦略を理論化し、海軍の使命は[[制海権]](海上優勢)の獲得にあると論じた<ref>北村謙一訳『マハン海上権力史論』(原書房)と井伊順彦訳『マハン海軍戦略』(中央公論新社)</ref>。マハンの格言に『海を制する者が、世界を制する。』がある。これは、現代に至っても、各国海軍の存在意義を証明する骨幹となっているとはイギリスの軍人[[フィリップ・ハワード・コロム]]の『[[海戦論]]』によって初めて提唱されえた概念であり、海洋において航海を管制する権力である。これを保持することは味方の船舶の航行を保全し、同時に敵の航行する船舶を阻止もしくは破壊することとなる。軍事作戦の用語法では前者を[[護衛船団|海上護衛]]、後者を[[通商破壊]]と呼び、海軍の任務の一部としている。しかしマハンは海軍が制海権を確立するための方法として通商破壊だけでは不十分であると考えていたために敵の艦隊を撃滅する艦隊決戦が必要であると強調している。敵の艦隊を破壊することによって、敵の商船隊をも完全に撃滅することが可能となり、したがって敵に対する[[海上封鎖]]が実現できることとなる。一方でマハンとは異なる見地から『[[海洋戦略の諸原則]]』を著したイギリスの戦略研究者ジュリアン・コーベットは陸軍と海軍の相補的な関係を踏まえて艦隊決戦による制海権の確立を絶対視していない<ref>高橋弘道編著『戦略論大系8 コーベット』(芙蓉書房出版)にて和訳がある。</ref>。海洋という地理的特性を考えれば制海権を完全に確立することは現実的に不可能であり、むしろ海上護衛と通商破壊こそが海軍の本質的な任務であると捉えていた。そして戦争全体における海軍の戦略的任務として海洋から大陸に対して適時適所に[[戦力投射]]能力を発揮することを主張した。これまでの議論から海軍とは海上交通路を排他的に確保するために制海権を掌握することが重要であることはわかるが、そのために海軍がどのようにあるべきかは議論が分かれる問題である。
+
'''海軍'''(かいぐん、{{lang-en-short|navy}})
  
海軍という軍事組織の具体的な構成要素とは船舶である。[[英語]]で海軍を表すnavyの語源は[[ラテン語]]の"navis"であり、これは[[軍艦]]、[[貨物船]]、[[漁船]]などあらゆる船舶の集合体を意味していた。工学的には船舶は液体から浮力と復元性を得ながら機関の推進力で航行する構造物であり、その内実は[[船舶工学]]の[[技術革新]]や使用目的の複雑化に伴って歴史的に変化してきた。そのため現代の海軍では航空打撃力を持つ[[航空母艦]]、潜水作戦能力を持つ[[潜水艦]]、水上艦艇である[[戦艦]]や[[巡洋艦]]、[[駆逐艦]]などの艦艇を擁しており、地域や時代によっては[[海兵隊]]などの陸上戦力、対潜戦闘能力を持つ航空戦力、[[核兵器]]などを運用する場合もある。海軍は航空打撃戦、対水上戦闘、対潜戦闘、機雷戦、電子戦、水陸両用作戦、海上護衛戦、通商破壊、洋上補給などさまざまな海上作戦を遂行するために、諸々の作戦能力の均整がとれた艦隊を編制することが求められる。しかしながら、このような一般原則に反して海軍は地域や時代に応じてさまざまな形態に変容してきた。マハンは艦隊決戦の重要性を認識していたために大型艦を中心とする艦隊を主張し、[[アメリカ海軍]]の艦隊は積極的に海外に派遣する外洋海軍としての能力が期待された。しかし[[水雷艇]]や潜水艦が登場した頃、[[フランス海軍]]では青年学派によって当時優勢な[[海軍力]]を誇っていた[[イギリス海軍]]に対抗するために外洋に[[機動]]力がある巡洋艦を、沿岸には潜水艇や水雷艇を導入する守勢的な海軍の構想が提唱され、ドイツの軍人ティルピッツもイギリス海軍と直接対決しない抑止力としての危険艦隊の構想を主張した。このような沿岸海軍の構想は[[ロシア海軍]]でも青年学派の影響で受け入れていたが、ロシア革命後には陸主海従の方針を採り、[[キューバ危機]]が起こるまでは外洋に展開する能力を期待されなかった<ref>各国の海軍政策の歴史的経緯を概観したものに防衛大学校・防衛学研究会編『軍事学入門』(かや書房)がある。</ref>。このように海軍の在り方はその海軍を取り巻く戦略環境によって可変的なものであり、また軍事技術や戦略思想の変化にも影響を受けるものだと考えられる。
+
主として海洋,湖水,河川などの水上,水中およびその上空において国の防衛を任務とする武装兵力,およびこれを建設し,支持し運用する国家の機関。平時には,航海,貿易,漁業,在外居留民,権益などの保護にあたる。
  
==海軍史==
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戦時には敵の海軍力を撃滅して制海権を獲得し,これを戦争目的達成のために行使する。敵の海上交通の破壊によって,敵の国力に打撃を与え,あるいは戦略ミサイル搭載の潜水艦によって戦略攻撃を行い,その潜在力によって戦争の抑止を任務とするものもある。フェニキア,ギリシア,ローマなど古代から海軍は創設されており,前5世紀頃のアテネ海軍は300隻の軍艦を保有していた。[[ポエニ戦争]]当時のローマ,カルタゴ海軍は[[ガレー船]]から成り,平常は帆走し,戦闘に際しては櫂 (オール) によって推進し,接舷移乗して白兵戦を演じていた。
{{出典の明記|section=1|date=2010年3月}}
 
大量の物資を輸送するには、海上や河川を船舶で航行するのが効率が良い。人類が大きな国家を作るようになると船舶による輸送が不可欠となった。この航行の安全を守るために海軍が創設された。海軍力とは自国の海上通商路の維持能力にほぼ等しい。歴史上では海軍力の盛衰が国家の盛衰と一致している事が多い。(日本の海軍史については[[日本の海軍史]]参照)
 
  
海軍の役割は海軍を取り巻く政治情勢や技術躍進などによって大きく変化してきた。初期の海軍は陸軍部隊の輸送や沿岸警備という補助的な役割であり、常に編制されていたわけではなかった。しかし16世紀に初めて戦闘を目的とした船舶が設計されるようになり、次いで[[蒸気機関]]を用いた船舶技術の発達が進むと、独自的な役割を担う戦力として海軍が常備化されるようになる。航空機が発明される以前のものであったが、現代においてもその基本思想は現代海軍に残っている。第一次世界大戦では潜水艦の通商破壊や海上封鎖の効果が高く評価され、また第二次世界大戦でも大西洋と太平洋の海上交通を巡って従来の軍艦と併せて航空母艦の航空打撃戦が行われた。冷戦期には[[核弾頭]]を搭載した[[核ミサイル]]と原子力潜水艦という新しい海上戦力が[[核抑止]]の役割を担っていた。
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15~16世紀には,航海術,造船術の発達と東洋への航路開拓の欲求から大航海時代が始り,外洋海軍時代となって,[[ポルトガル]][[スペイン]][[オランダ]][[フランス]],[[イギリス]]などは海外植民地の獲得とその航路の安全維持のため,競って大海軍を建設した。
  
=== 古代 ===
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19世紀初め頃[[ナポレオン1世]]の敗退によって,世界の制海権はイギリスの手に帰し,イギリスは海洋帝国を建設した。第1,2次世界大戦を経て,世界の海洋支配力はアメリカの手に帰したが,1960年代以後ソ連海軍力の増強によって一時,米ソ二大海軍力の対決時代となった。
[[File:Greek Galleys.jpg|thumb|[[古代ギリシア]]の[[ガレー船]]]]
 
[[紀元前21世紀]]頃に[[古代エジプト]]が[[ナイル川]]に浮かべた軍船が、海軍のもっとも古い例のひとつと考えられている。
 
 
 
地中海世界では、[[紀元前15世紀]]頃から[[メソポタミア]]とエジプトで生まれた[[文明]]が東[[地中海]]地域に波及し、地中海沿岸の各地に生まれた諸都市・諸国家は海軍を編成して海上交通の覇を競い合った。海の覇権争いで最初に有力となったのは[[フェニキア]]の諸都市で、次いで[[紀元前4世紀|紀元前300年]]頃まで[[古代ギリシア]]が有力となった。[[ヘレニズム]]期以降、約100年間、[[北アフリカ]]の[[カルタゴ]]が優位に立ち、[[紀元前2世紀]]にカルタゴを滅ぼした[[ローマ|古代ローマ]]の覇権は[[4世紀|紀元300年]]頃まで続いた。ローマの覇権による地中海世界の平和は[[パクス・ロマーナ|パックス・ロマーナ]]と呼ばれる。帝国の行政上の中心である属州首都は多く海港ないしその付近に置かれた。
 
 
 
古代地中海世界の海戦では、艦首の[[衝角]]を敵艦に当てて破壊する戦法や、船を敵に寄せてはしごを使って戦士を敵艦に乗り込ませる戦法などが取られた。艦船も人力で漕ぐトリエーレ(90t、120人乗り)から、やはり人力ではあるが更に大きい[[ガレー船]](300t、200人乗り)へと大型化していった。[[アテナイ]]などの都市国家では、海軍が運用する[[三段櫂船]]の提供は富裕な市民の負担とされ、自力で歩兵の兵装を揃えることができない貧困層が船の漕ぎ手となった。海軍力による[[ペルシア戦争]]の勝利は、これら貧困層の政治的発言力を増すことにつながった。
 
 
 
=== 中近世 ===
 
[[File:Oseberg ship - IMG 9129.jpg|thumb|[[ヴァイキング]]が用いた[[ロングシップ]]]]
 
[[6世紀]]頃から東地中海では、古代ギリシャ・ローマ以来の造船技術を受け継いだ[[東ローマ帝国]](ビザンティン帝国)が、火炎放射器[[ギリシア火薬|ギリシャの火]]を持つ[[戦艦]][[デュロモイ]]を擁して海上の覇権を握った。しかし、やがて[[7世紀]]に[[エジプト]]・[[シリア]]を征服して東地中海世界に参入した[[ムスリム]](イスラム教徒)の力が増し、[[シチリア島]]や[[マルタ島]]、[[イベリア半島]]にまでムスリムの支配が及ぶようになる。この[[イスラーム]]による覇権は、'''パクス・イスラミカ'''と呼ぶ。[[キリスト教]]化された西ヨーロッパは[[ムスリム]]との通商を行わなかったため、古代以来の地中海全体を覆う海上通商路は分断された。
 
 
 
一方[[ヨーロッパ]]の[[大西洋]]側では、北から[[ヴァイキング]]と呼ばれる[[ノルマン人]]たちの襲撃が及ぶようになっていたが、西ヨーロッパ各国はこれに対抗する海軍を発達させず、ほとんど押さえ込まれたままであった。ノルマン人の勢力は、大西洋のみならず、地中海の[[シチリア島]]にも及んだ。
 
 
 
ヨーロッパの地中海側では[[11世紀]]頃から[[イタリア半島]]の諸都市が力をつけ、[[ジェノヴァ共和国|ジェノヴァ]]や[[ヴェネツィア共和国|ヴェネツィア]]の海軍が活躍した。東地中海の覇権は東ローマ帝国からジェノヴァ・ヴェネツィアに移り、各国はその力を無視できなくなる。
 
 
 
この頃の軍船は[[ガレー船]]のほかに[[帆船]]も使われるようになり、[[火薬]]を使った[[鉄砲]]や[[大砲]]が装備されるようになった。しかし遠距離攻撃を行う武器が出現しても、接舷して相手の船に乗り移っての[[白兵戦]]は、依然として重要な攻撃手段であり続けた。
 
 
 
[[15世紀]]頃からビザンティン帝国を滅ぼして[[エーゲ海]]・[[マルマラ海]]沿岸の[[ギリシャ人]]・[[トルコ人]]海上勢力を支配下に入れた[[オスマン帝国]]が海軍力で優位に立ち、[[16世紀]]には[[北アフリカ]]の[[バーバリ海賊]]もこれに加わって西地中海まで制した。16世紀後半までは、実質的にオスマンの世紀だったと言える。
 
 
 
一方、[[大西洋]]側では16世紀に[[スペイン]]や[[ポルトガル王国|ポルトガル]]の海軍が優位に立ち、地中海の覇権を巡ってオスマン帝国と争う一方、大西洋や[[インド洋]]まで展開するようになった。しかし同世紀の末にはスペインの[[アルマダの海戦|無敵艦隊]](アルマダ)がイギリスに敗れ、スペインの国力も急速に低下していった。[[17世紀]]には、[[イベリア半島|イベリア]]の両国にかわって新興の[[オランダ]]、[[イングランド]]の海軍が有力となっていく。
 
 
 
[[バルト海]]においては、中世以来、[[都市同盟]]の[[ハンザ同盟]]が優位に立っていた。これに対して、[[北ヨーロッパ|北欧]]では、ヴァイキングを継承する[[デンマーク]]が[[国家]]として海軍を形成し、[[大航海時代]]に参画し、[[インド]]にまで達している。ハンザ同盟とデンマークは16世紀まで対立し、ハンザ同盟が弱体化した後は、[[スウェーデン]]がデンマークとバルト海の制海権を争った。これに対して、この当時[[大国]]だった[[ロシア・ツァーリ国|ロシア]]([[モスクワ大公国]])は海軍が存在しなかった。17世紀に入るとスウェーデンが海軍を強化し、デンマークを撃破して[[バルト帝国]]を建国する。一方17世紀後半には、バルト海の[[制海権]]に再び動揺が見られた。デンマークは依然海軍力を擁し、また新興の[[プロイセン]]もバルト海の覇権争いに参戦する。そして、海軍後進国だったロシアが1696年に海軍を創設。18世紀初頭の[[大北方戦争]]において、バルト海の制海権を奪い、北欧の両国に代わって北方の覇権を確立した([[ロシア帝国]])。
 
 
 
[[ファイル:The arrival of King Charles II of England in Rotterdam, may 24 1660 (Lieve Pietersz. Verschuier, 1665).jpg|thumb|250px|[[17世紀]]の[[イギリス海軍]]]]
 
西洋各国は、国による海軍のほかに、[[私掠免許]]状を出して、敵国船の攻撃ならびに[[拿捕]]を許し、海軍力の不足を補った。これがとくに効果的に行われたのはイングランドで、[[フランシス・ドレーク]]など多数の有名な[[私掠船]]船長を出した。またイングランドは操船規則などを充実し、それまでばらばらに行動しがちだった艦船が、隊列を組み信号旗の合図によって組織的に[[機動]]する近代海軍の整備で他国に先んじた。
 
 
 
[[18世紀]]に入ると[[フランス王国|フランス]]が海軍を増強し[[イギリス]]に挑戦したが、[[トラファルガーの海戦]]でイギリスが大勝し、[[イギリス海軍]]の覇権が確立した([[イギリス帝国]])。この頃の主力艦は戦列艦と呼ばれ木造3本マスト約2000tで約100門の大砲を有していた。しかしこのような大型艦の建造は、国家財政の負担となった。イギリスにおける[[清教徒革命]]は、大きな反対があった建艦税の導入を求めた国王が、イングランド議会を召集したことに端をなした。
 
 
 
日本では七世紀の大和朝廷と新羅・唐連合軍との[[白村江の戦い]]があり海軍の歴史は長いが組織的な海軍(海賊衆:水軍)の活躍が見られるのは平安時代からであり、古代海賊衆の代表として、伊予国、日振島の[[藤原純友]]があげられる。[[平安時代]]の後期からこのような沿海の[[武士]]が武装化・集団化して縄張りの海域を通航する船に対して有償の海上警備や略奪を働くようになり、[[海賊衆]]と呼ばれる集団に発展した。海賊衆は[[室町時代]]から[[戦国時代 (日本)|戦国時代]]には[[大名]]の[[水軍]]に編成され、海上の覇権を競った。比較的大規模な海賊衆に伊予の[[村上氏]]と[[河野氏]]があり、一時的に日本最大規模の水軍でもあった。[[織田信長]]に仕えた[[九鬼嘉隆]]は[[志摩国]]一国を与えられて織田氏の熊野水軍を編成し、「[[日本丸#文禄の役の日本丸|日本丸]]」を始めとする鉄張りの軍船によって[[紀伊国|紀州]]の[[一向一揆]]や[[石山本願寺]]などの攻略に貢献した。しかし、これらは[[文禄・慶長の役|朝鮮出兵]]において莫大な人的損耗をきたし、江戸時代には幕府の1635年の[[武家諸法度]]で法文化された[[大船建造の禁]]と[[鎖国]]政策により衰えた。
 
 
 
=== 近代 ===
 
[[File:Tokubetu-Kankanshiki.jpg|thumb|300px|[[大日本帝国海軍]]の艦隊]]
 
19世紀にはそれまで木造のみであった艦船の材質に[[鉄]]や[[鋼]]が使用されるようになった。主な兵装は大砲の他に、艦首水面下に大きな衝角を装備した船が作られた。この衝角は、[[オーストリア]]と[[イタリア]]が戦った[[リッサ海戦]]を最後に使われなくなり、20世紀に入ると廃止された。また鋼で装甲された艦が作られるようになり、[[南北戦争]]では[[装甲艦]]同士の砲撃戦も生起した。19世紀の終わりに[[魚雷]]が実用化され、[[日清戦争]]でその威力が確かめられた。
 
 
 
19世紀末から20世紀にかけて、[[戦艦]]・[[巡洋艦]]・[[駆逐艦]]・魚雷艇・[[潜水艦]]等の艦種が確立した。イギリス・フランス・ロシア・ドイツ・アメリカは戦艦多数を持つ大艦隊を装備したが、その他の国もその国力と地理条件に見合った艦隊を整備した。
 
 
 
[[日露戦争]]では戦艦同士の大規模な[[戦闘]]が行われ、その戦訓を元に[[弩級戦艦]]が作られた。またロシア海軍はこの戦争で大敗し、海軍拡張競争から脱落してゆく。
 
 
 
[[第一次世界大戦]]では、大艦隊を有するイギリス・フランス・アメリカとドイツが戦った。[[第一次世界大戦]]における海軍の主な戦いは、ドイツの潜水艦による[[通商破壊]]とそれに対する対潜作戦であった。水上艦艇による大規模な艦隊決戦は回数は少ないが、[[南アメリカ|南米]]と[[北海]]で何度か行われた。また[[航空機]]が戦闘に使用され、[[航空母艦]]が整備されるようになった。
 
 
 
第一次世界大戦中もイギリスは大規模な建艦を続け、大戦終了時には他の国とは比較にならない大規模な艦隊を有していた。大戦で敗れたドイツは海軍を大幅に縮小され、フランスも国力が疲弊し新規建造は減少した。第一次世界大戦後はイギリスが艦隊を縮小し、大戦の影響の少なかったアメリカと日本が大建艦計画を始めたため、この3カ国が大海軍国となった。日米の大建艦計画は経済的負担が大き過ぎ、1920年代に建艦競争を一旦中止する[[ワシントン会議 (1922年)|ワシントン軍縮会議]]と[[ロンドン軍縮会議]]が行われ、1930年代末まで主力艦の建造は中止された。この期間をネイバル・ホリデー(海軍休日)と呼ぶ。
 
 
 
ネイバル・ホリデー後、各国は主力艦の建造を再開し、すぐに[[第二次世界大戦]]が始まった。この[[戦争]]で戦艦は主力艦の座を航空母艦に譲った。また[[大西洋の戦い (第二次世界大戦)|大西洋]]では再度潜水艦と対潜部隊の大規模な[[戦闘]]が行われた。[[太平洋戦争|太平洋]]では、空母[[機動部隊]]同士の戦闘が行われた。
 
 
 
=== 現代 ===
 
[[ファイル:USS Maine (SSBN-741).jpg|thumb|[[アメリカ海軍]]の[[オハイオ級原子力潜水艦]]]]
 
第二次世界大戦終了時、アメリカが多数の大型航空母艦を基幹とする圧倒的な海軍力を有し、それが現在まで継続している。現在は慣例に従えば'''[[パクス・アメリカーナ]]'''となる。[[ソビエト連邦]]は一時期アメリカの海軍力に挑戦したが、[[ソ連崩壊]]とともに海軍力も低下した。また、イギリス海軍も戦後の有力な海軍として残った他、海軍に準じる戦力として日本の[[海上自衛隊]]も世界で有数の実力を持つとされている。
 
第二次世界大戦後に、[[原子爆弾]]と長距離[[ミサイル]]が実用化され、これを一つにまとめた[[潜水艦発射弾道ミサイル|弾道核ミサイル]]を多数搭載した[[原子力潜水艦]]が登場した。またこの[[潜水艦]]を破壊する目的の攻撃型潜水艦も多数建造されている。しかし現在の世界状況では[[核兵器]]は実際には使えない[[兵器]]であり、1990年代にアメリカの航空母艦から撤去されている。
 
 
 
21世紀初頭において、各国海軍の主力兵器は[[潜水艦]]である。比較的大規模な外洋型海軍を有する国は、敵潜水艦からの[[通商破壊]]に対する海上護衛の必要を訴え続けることで艦艇部隊、航空部隊の存在を維持している。こういった組織形態の海軍は'''対潜海軍'''とも呼ばれ、[[海上自衛隊]]は対潜海軍の典型といえる。
 
 
 
== 機能 ==
 
海軍の基本的な機能は大きく外交機能、軍事機能、警備機能の3つに分類されると考えられている。
 
 
 
=== 外交・広報機能 ===
 
平時の海軍にとって第一義の任務は、外交、広報活動である。海軍の行なう外交、広報は共に[[情報戦]]、[[心理戦]]の一角を成すものである。
 
海軍の外交的な機能に[[強制外交]]([[砲艦外交]])の支援がある。外国との交渉において、強力な軍艦を派遣しその武力を後ろ楯として交渉を有利に進めることは砲艦外交と呼ばれ、幕末アメリカの[[マシュー・ペリー|ペリー]]提督が軍艦を江戸湾に進入させて日本を開国させ外交関係を結んだ事件は、砲艦外交の成功例として有名である。また砲艦外交のような強制力を活用したものばかりではなく、「Show the Flag」など外交政策の実行にも運用することができる。
 
 
 
また外国に対する政治的な親善活動という機能もある。同盟国や友好国を訪問し、現地での親睦交流を行うことも海軍の重要な任務の一つである。また海軍軍人も一種の外交官として行動に配慮を要求され、その伝統を誇りにしている。また外国のみならず自国民に対しても、[[観艦式]]・体験航海の実施や[[博物館]]・[[資料館]]の運営などで、海軍への親近感と国防意識の涵養に努めている<ref group="注">砲艦外交、親善航海などでは、これら外交目的を満たすためかつてのようなそびえ立つ[[艦橋]]と天を衝く巨砲が造り出す軍艦の威容は、観る者に強い印象を与えた。しかし現代では、武装の[[ミサイル]]化や[[ステルス性]]の重視、[[軍事技術|電子兵器]]の発展で「[[軍艦行進曲|浮かべる城]]」とも例えられた威容は失われている。</ref>。
 
 
 
=== 軍事機能 ===
 
海軍に限らず、軍の機能の根幹は、戦争抑止力にあるといえる。海軍力が持つ抑止力には核戦力による核抑止、在来戦力による抑止がある。またこの他にも[[公海]]上での自国および同盟国・友好国の船舶の保護、通商路の安全確保という機能を持つ。
 
 
 
海軍力の使用手段として全面[[戦争]]における通商破壊作戦、[[上陸作戦]]、艦隊決戦、攻勢的機雷戦などがある。
 
 
 
局地[[戦闘]]においては海上護衛作戦、[[海上封鎖]]、個艦戦闘、守勢的機雷戦、[[特殊部隊]]の[[浸透戦術]]などがなどがある。
 
 
 
戦時下では海上での軍事活動のみならず、海上・海中から届く範囲の陸上の目標物を破壊する。過去一般的であった「領海3海里」は18世紀頃の艦載砲の弾が届く距離として採用されたと言われている。(現在は大半の国が12海里を採用している。)第二次世界大戦では航空母艦を発進した航空機が敵の本土を空襲した。第二次世界大戦後には戦略核ミサイルを搭載した原子力潜水艦が実用化し、巡航ミサイルにいたっては潜水艦だけではなく巡洋艦や駆逐艦にも搭載され、海軍の攻撃力範囲は大陸の奥を含む全世界に広がった。
 
<!--20世紀末までは、領海を「3海里」とする国が大多数でした。-->
 
 
 
例えば現代のアメリカ合衆国は世界の多くの国と同盟関係にあり、ほとんどの国と友好関係を結んでいる。また米国人と米国企業は世界のあらゆるところに進出して活動している。そこで米海軍は全世界を活動領域とし、本国以外にも[[横須賀海軍施設|横須賀]]等に多くの基地を設置し、その艦船を全世界的に運用している。また紛争が予想される地域に空母や艦船を進出させ紛争抑止力とするとともに、万が一の際には敵に有効な打撃を与えると同時にその地域の自国民の保護を行う。
 
 
 
=== 警備救難機能 ===
 
海軍の警備の機能は[[国家主権]]の行使として、自国の[[領海]]などの警備に表される海上の治安維持である。具体的な活動としては[[密輸]]の防止や海洋法規の施行、沿岸における[[海難事故]]などの救難活動などを行う。このような機能に特化した海上戦力は海軍とは異なる[[準軍事組織]]として[[沿岸警備隊]]とされる場合もあるが、アメリカの沿岸警備隊が海事法規の執行を重視し、イギリスの[[イギリス沿岸警備隊|HM沿岸警備隊]]が海上救難を重視しているように沿岸警備の任務も多様である。また[[税関]]への協力関係として、[[脱税]]の強行摘発に参加する場合もある。
 
 
 
==組織構造==
 
海軍の組織は時代や国、[[戦略]]によって千差万別であるが、現代の西欧諸国の海軍を例に説明する。
 
 
 
=== 軍令・軍政 ===
 
海軍は国防組織の一部局であり、この組織の最高指揮権は国権と同様に大統領や首相、また一部では国防相などが保有している。この部隊の軍事作戦を指揮統制する命令は軍令であり、最高指揮官の軍令が通達されることによって作戦部隊が行動することとなる。軍令の対照として軍事についての行政的分野を[[軍政 (行政)|軍政]]というが、軍政部門としては海軍部隊には[[国防省]]や海軍省が設置されている。このような軍政機関が予算編成や基地管理などの行政的な業務を行っている。
 
 
 
=== 艦隊編制 ===
 
海軍の編制は国によって大きく異なるが、基本的には軍政上の単位と戦術上の単位として[[艦隊]]がある。艦隊とは単独の指揮官の下で特定の海域を航行する海軍部隊であるとされている。例えば[[アメリカ海軍]]の艦隊は軍政上では大西洋と太平洋に配備された二大艦隊から成り、その両方には航空母艦部隊、巡洋艦部隊、駆逐艦部隊、潜水艦部隊、水陸両用部隊、補給部隊などの部隊があり、これらは種類に応じてそれぞれに指揮官が存在している。
 
 
 
また地域間の柔軟な運用が出来るように工夫されており、現在は[[第2艦隊 (アメリカ軍)|第2艦隊]](大西洋)、[[第3艦隊 (アメリカ軍)|第3艦隊]](東太平洋)、[[第5艦隊 (アメリカ軍)|第5艦隊]](中東)、[[第6艦隊 (アメリカ軍)|第6艦隊]](地中海)、[[第7艦隊 (アメリカ軍)|第7艦隊]](西太平洋とインド洋)の5つの艦隊が存在しているが、艦艇は担当海域を移動する事によって所属する艦隊が変更になる仕組みを取っている。例えば中東で有事があった場合に第5艦隊が第6艦隊や第7艦隊から増援を受けた場合には、これらの艦艇は第5艦隊所属に切り替わり、指揮系統が一本化される。5つの艦隊司令部は固定されているが、実働部隊は常に流動的であり、必要なところへ必要な兵力が配置できるように合理化されている。
 
 
 
艦隊は戦術的には軍政上の指揮官とも少なからず合致しているが、これは艦艇を艦隊全体としての運用上の基準に適応させるためである。まず3隻から6隻程度の艦艇で一個の小隊を編成し、さらに駆逐艦や潜水艦の二個小隊によって1個駆逐隊や潜水隊、そして3個駆逐隊や潜水隊で水雷戦隊を編成する。そして指揮官は階級によって職責が異なり、例えば少将は航空母艦や巡洋艦の戦隊などを指揮する立場である。
 
 
 
=== 空母打撃部隊 ===
 
空母打撃部隊とは航空母艦の持つ航空打撃力に主眼を置いた部隊であり、艦隊を構成する。
 
 
 
=== 護衛部隊 ===
 
また艦隊の構成部隊として[[巡洋艦]]、[[駆逐艦]]、[[フリゲート]]などから成る護衛部隊があり、哨戒の任務をも担う。
 
 
 
=== 航空部隊 ===
 
{{main|海軍航空隊}}
 
 
 
=== 掃海部隊 ===
 
機雷を排除する任務を担う。
 
 
 
=== 潜水部隊 ===
 
水中を行動する事で、探知機器の発達した現在においても存在自体の秘匿性が高い。
 
第二次世界大戦あたりまでは、哨戒・通商路の破壊または妨害を主任務にする事が多かった。第二次世界大戦後には弾道ミサイルや巡航ミサイルの発射母機としても使用され、陸上への攻撃能力が加わった。一部の潜水艦には特殊部隊の搭載スペースがもうけられ、隠密裏に陸上戦力の投射と回収をする事が可能となっている。
 
 
 
=== 輸送部隊 ===
 
海上輸送を担う。
 
 
 
=== 水陸両用部隊 ===
 
水陸両用部隊は海軍に付随して海上要務と着上陸作戦を任務とした部隊である。水陸両用部隊については、古代ギリシアの歴史学者ヘロドトスとツキジデスはギリシア艦隊の「重装備の兵士たち」に言及しており、また[[ローマ海軍]]でも艦隊兵団についての記述が見られるように、古来より存在している。
 
 
 
中世までのヨーロッパの海軍は、海上を移動して敵地に上陸する将兵を運ぶための海上輸送船団であり、この時代の海戦とは兵士を乗せた船同士が遭遇した際に、兵士が敵艦に乗り込んで白兵戦を行なう接舷戦闘であった。やがて艦船同士が搭載した火砲による砲撃戦を行なうようになると、接舷戦闘や上陸戦闘を専門に行なうための歩兵部隊、或は陸軍部隊を海軍が組織し、艦船に乗り込ませるようになった。イギリスでは1664年、オランダはその翌年にその専門部隊を設立している。現代では[[海兵隊]]が水陸両用戦を専門に行う部隊として存在し、その代表に[[アメリカ海兵隊]]がある。
 
 
 
近代的な[[水陸両用作戦]]の祖は[[日本軍]]とされ、[[太平洋戦争]]において、[[真珠湾攻撃]]に続いて[[太平洋]]の島々を攻略した時に編み出した戦法とされる<ref>{{cite news |title=日本の自衛隊、その実力は<2> 水陸機動団の編成進む |newspaper=[[CNN]] |date=2016-12-11 |url=http://www.cnn.co.jp/world/35093435.html|accessdate=2017-4-29 }}</ref>。
 
 
 
=== 沿岸警備隊 ===
 
{{main|沿岸警備隊}}
 
<!---ここでは海上自衛隊を見本として説明する。自衛隊の組織は文民統制が基本となっている。
 
 
 
* 最高組織は[[内閣]]であり、[[内閣総理大臣]]が最高責任者である。
 
* [[自衛隊]]は[[防衛庁]]長官の指揮下にある。
 
* 制服組の最高組織は[[海上幕僚監部]]であり、そのトップは[[海上幕僚長]]である。幕僚は部隊に対して直接の指揮権を有しない。
 
* 防衛庁長官の指揮下に直接部隊の自衛艦隊や地方隊、[[防衛研究所]]・[[技術研究本部]]や各種の学校がある。
 
* 自衛艦隊は主戦部隊であり、自衛艦隊の下に[[護衛艦]]隊・[[潜水艦]]隊・[[掃海隊]]群・開発部隊群・輸送隊・航空集団を置く。護衛艦隊の指揮下には大型の護衛艦8隻を持つ護衛隊群が4セットある。潜水艦隊の指揮下には潜水隊群が2セットあり、あわせて16隻の潜水艦を有する。海外へ派遣される部隊は自衛艦隊から選ばれる。航空集団は対潜哨戒や輸送に当たる[[航空機]]や[[ヘリコプター]]を保有している。
 
* 自衛艦隊とは別の組織として、地方警備を担当する地方隊が横須賀・呉・佐世保・舞鶴・大湊の5ヶ所にある。各々やや小型の護衛艦または自衛艦隊で使われなくなった護衛艦を主力とし基地名の警備区を管轄している。また練習艦隊も自衛艦隊とは別の組織である。
 
 
 
現在の[[海上自衛隊]]には存在しないが、旧海軍や世界の一般としての組織には海軍工廠(海軍専用の造船・造機・修理工場)がある。護衛艦隊の母港は旧海軍の軍港である横須賀・呉・佐世保・舞鶴に置かれている。--->
 
 
 
=== 海軍基地 ===
 
海軍基地とは軍艦を建造・整備し、弾薬燃料などの[[補給]]、兵員の休養を行うために陸上に設置される軍事施設である。[[軍港]]とも言う。さらに海軍基地には艦隊の泊地でもあり、海軍基地は停泊する艦隊を保全し、敵による攻撃に対する十分な防備が必要である。ただしこれらの施設は大規模にならざるをえないために、隠蔽は極めて困難であり、[[戦略爆撃]]や核攻撃などには脆弱である。しかし海軍力及び海軍航空戦力の有効な運用のためにも前進基地ともなる海軍基地は重要である。
 
 
 
=== 補助機関 ===
 
技術研究所や[[海軍兵学校]]などの研究開発および教育機関も含まれる。
 
 
 
== 兵器 ==
 
=== 艦艇 ===
 
海軍の主な装備は
 
* [[ガレー船]]
 
* [[フリゲート]]
 
* [[コルベット]]
 
* [[ケッチ]]
 
* [[戦列艦]]
 
* [[航空母艦]](空母)
 
* [[戦艦]]
 
* [[巡洋艦]]
 
* [[駆逐艦]]
 
* [[輸送艦]]
 
* [[揚陸艦]]
 
* [[潜水艦]]
 
* [[掃海艇]]
 
 
 
=== 航空機 ===
 
* [[艦載機]]
 
* [[艦上機]]
 
* [[対潜哨戒機]]
 
 
 
== 戦略・戦術 ==
 
=== 海軍戦略 ===
 
{{main|海軍戦略}}
 
海軍戦略とは海軍力の運用に関する戦略である。
 
 
 
=== 海戦術 ===
 
{{main|海戦術}}
 
海戦術とは海軍の戦術である。
 
 
 
== 内陸国における海軍 ==
 
{{See also|[[:en:Navies of landlocked countries|内陸国の水上部隊]]}}
 
 
 
[[ブータン王国]]や[[ボツワナ防衛軍|ボツワナ]]のように、[[河川]]・[[湖沼]]・[[運河]]などが存在しない[[内陸国]]では当然海軍も存在しないが、領土内を[[運河]]や[[国際河川]]が通っていたり、複数カ国が隣接する[[湖沼]]が存在する場合には、沿岸国は警備や救難などの義務が存在する。このため領海が存在しなくても海軍、もしくは「河川海軍」と称される海軍に準じた部隊を組織していることがある。こうした組織では、[[砲艦]]など大型の艦艇を装備するケースもあるが、中型〜小型の[[哨戒艦艇]]が普通である。
 
 
 
河川海軍は組織として独立せず、海軍([[ロシア]]の[[カスピ海小艦隊]])や[[陸軍]]([[オーストリア]]、[[スイス]]、[[中央アフリカ]]など)の管轄下や、軍ではなく[[国家憲兵隊]]([[ブルンジ]])や[[国境警備隊]]([[ウズベキスタン]])に組み込まれている場合もある。
 
 
 
珍しい存在として[[ハンガリー]]の[[ハンガリー陸軍|陸軍]]河川部隊は、[[ドナウ川]]とその周辺河川・湖水において[[第二次世界大戦]]期に敷設された[[機雷]]の掃討を目的としている。また河川[[掃海艇]]を配備しており、河川哨戒も可能である。また[[ボリビア海軍]]は[[ボリビア]]が海岸部の領土を失ってからも、河川哨戒を担当する組織として存続(陸軍の管轄下)している<ref group="注">現在でも[[チチカカ湖]]上にペルーとの国境を有する。</ref>。
 
 
 
== 各国の海軍 ==
 
{{main|海軍の一覧}}
 
=== 北米 ===
 
* [[アメリカ海軍|アメリカ合衆国海軍]]
 
* [[アメリカ連合国海軍]](解隊)
 
* [[カナダ海軍]]
 
 
 
=== 南米 ===
 
* [[ブラジル海軍]]
 
* [[アルゼンチン海軍]]
 
* [[チリ海軍]]
 
* [[ペルー海軍]]
 
* [[ベネズエラ海軍]]
 
* [[ボリビア海軍]](1993年陸軍に併合)
 
* [[パラグアイ海軍]]
 
 
 
=== ヨーロッパ ===
 
* [[イギリス海軍]] (Royal Navy)
 
* [[フランス海軍]]
 
* [[イタリア海軍]]
 
* [[ドイツ海軍]]
 
* [[スペイン海軍]]
 
* [[ポルトガル海軍]]
 
* [[オランダ海軍]]
 
* [[ギリシャ海軍]]
 
* [[デンマーク海軍]]
 
* [[ノルウェー海軍]]
 
* [[スウェーデン海軍]]
 
* [[ポーランド海軍]]
 
* [[ウクライナ海軍]]
 
* [[ロシア海軍]]
 
* [[クロアチア海軍]]
 
 
 
=== アジア ===
 
* [[モンゴル国の軍事#モンゴル海軍|モンゴル海軍]] (現在は存在しない)
 
* [[大日本帝国海軍]](Imperial Japanese Navy)(廃止)
 
* [[海上自衛隊]](Japan Maritime Self-Defense Force)
 
* [[韓国軍#海軍|韓国海軍]](Republic of Korea Navy)
 
* [[中国人民解放軍海軍]](People's Liberation Army Navy)
 
* [[中華民国軍#海軍|中華民国海軍]]
 
* [[タイ王国海軍]]
 
* [[シンガポール海軍]]
 
* [[インドネシア海軍]]
 
* [[インド海軍]]
 
* [[パキスタン海軍]]
 
* [[イラン海軍]]
 
* [[イスラエル海軍]]
 
* [[サウジアラビア海軍]]
 
* [[トルコ海軍]]
 
 
 
=== オセアニア ===
 
* [[オーストラリア海軍]]
 
* [[ニュージーランド海軍]]
 
 
 
=== アフリカ ===
 
* [[アルジェリア国民海軍]]
 
* [[エジプト海軍]]
 
* [[ガーナ海軍]]
 
* [[ナイジェリア海軍]]
 
* [[南アフリカ海軍]]
 
* [[モロッコ王国海軍]]
 
 
 
== 脚注 ==
 
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=== 注釈 ===
 
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=== 出典 ===
 
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現代の海軍は,弾道ミサイル原子力潜水艦が戦略兵力の中核的存在となっており,航空母艦は依然外洋における制海兵力の主力的存在である。その他潜水艦を主とする海上交通破壊兵力,艦艇,航空機,固定施設,潜水艦より成る対潜兵力,上陸作戦を任務とする水陸両用作戦兵力,機雷敷設,機雷掃海を任務とする航空機を含む機雷戦,対機雷戦兵力などより成っている。多くの国では陸戦を主任務とする[[海兵隊]]も海軍の一部である。
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2018/8/16/ (木) 09:42時点における最新版


海軍(かいぐん、: navy

主として海洋,湖水,河川などの水上,水中およびその上空において国の防衛を任務とする武装兵力,およびこれを建設し,支持し運用する国家の機関。平時には,航海,貿易,漁業,在外居留民,権益などの保護にあたる。

戦時には敵の海軍力を撃滅して制海権を獲得し,これを戦争目的達成のために行使する。敵の海上交通の破壊によって,敵の国力に打撃を与え,あるいは戦略ミサイル搭載の潜水艦によって戦略攻撃を行い,その潜在力によって戦争の抑止を任務とするものもある。フェニキア,ギリシア,ローマなど古代から海軍は創設されており,前5世紀頃のアテネ海軍は300隻の軍艦を保有していた。ポエニ戦争当時のローマ,カルタゴ海軍はガレー船から成り,平常は帆走し,戦闘に際しては櫂 (オール) によって推進し,接舷移乗して白兵戦を演じていた。

15~16世紀には,航海術,造船術の発達と東洋への航路開拓の欲求から大航海時代が始り,外洋海軍時代となって,ポルトガルスペインオランダフランスイギリスなどは海外植民地の獲得とその航路の安全維持のため,競って大海軍を建設した。

19世紀初め頃ナポレオン1世の敗退によって,世界の制海権はイギリスの手に帰し,イギリスは海洋帝国を建設した。第1,2次世界大戦を経て,世界の海洋支配力はアメリカの手に帰したが,1960年代以後ソ連海軍力の増強によって一時,米ソ二大海軍力の対決時代となった。

現代の海軍は,弾道ミサイル原子力潜水艦が戦略兵力の中核的存在となっており,航空母艦は依然外洋における制海兵力の主力的存在である。その他潜水艦を主とする海上交通破壊兵力,艦艇,航空機,固定施設,潜水艦より成る対潜兵力,上陸作戦を任務とする水陸両用作戦兵力,機雷敷設,機雷掃海を任務とする航空機を含む機雷戦,対機雷戦兵力などより成っている。多くの国では陸戦を主任務とする海兵隊も海軍の一部である。