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{{出典の明記|date=2016年4月}}
 
{{確率分布
 
| 名前  =正規分布
 
| 型    =密度
 
| 画像/確率関数 =[[File:Normal Distribution PDF.svg|thumb|325px|正規分布の確率密度関数:赤は標準正規分布]]
 
| 画像/分布関数 =[[File:Normal Distribution CDF.svg|thumb|325px|正規分布の分布関数:色は確率密度関数と同じ]]
 
| 母数  ={{mvar|μ}} 位置([[実数]])<br/>{{math|''σ''<sup>2</sup> > 0}} スケールの2乗(実数)
 
| 台    ={{math|'''R''' {{=}} (−∞, ∞)}}
 
| 確率関数 =<math>\frac1{\sqrt{2\pi\sigma^{2} } }\; \exp\left(-\frac{\left(x-\mu\right)^2}{2\sigma^2} \right)</math>
 
| 分布関数 =<math>\frac12 \left(1 + \mathrm{erf}\,\frac{x-\mu}{\sqrt{2\sigma^{2} } }\right)</math>
 
| 期待値  ={{mvar|μ}}
 
| 中央値  ={{mvar|μ}}
 
| 最頻値  ={{mvar|μ}}
 
| 分散    ={{math|''σ''<sup>2</sup>}}
 
| 歪度    =0
 
| 尖度    =0(定義によっては3)
 
| エントロピー =<math>\ln\left(\sigma\sqrt{2\,\pi\,e}\right)</math>
 
| モーメント母関数 =<math>M_X(t)= \exp\left(\mu\,t+\frac{\sigma^2 t^2}{2}\right)</math>
 
| 特性関数 =<math>\phi_X(t)=\exp\left(\mu\,i\,t-\frac{\sigma^2 t^2}{2}\right)</math>
 
}}
 
[[確率論]]や[[統計学]]で用いられる'''正規分布'''(せいきぶんぷ、{{lang-en-short|normal distribution}})または'''ガウス分布'''({{lang-en-short|Gaussian distribution}})は、[[平均値]]の付近に集積するようなデータの分布を表した連続的な変数に関する[[確率分布]]である。[[中心極限定理]]により、[[独立 (確率論)|独立]]な多数の因子の和として表される[[確率変数]]は正規分布に従う。このことにより正規分布は統計学や自然科学、社会科学の様々な場面で複雑な現象を簡単に表すモデルとして用いられている。たとえば実験における測定の誤差は正規分布に従って分布すると仮定され、不確かさの評価が計算されている。
 
  
また、正規分布の[[確率密度関数]]の[[フーリエ変換]]は再び正規分布の密度関数になることから、[[フーリエ解析]]および派生した様々な[[数学]]・[[物理]]の理論の体系において、正規分布は基本的な役割を果たしている。
+
'''正規分布'''(せいきぶんぷ、{{lang-en-short|normal distribution}})または'''ガウス分布'''({{lang-en-short|Gaussian distribution}})
  
確率変数 {{mvar|X}} が1次元正規分布に従う場合、<math>X \sim N(\mu, \sigma^{2}) </math>、確率変数 {{mvar|X}} が {{mvar|n}} 次元正規分布に従う場合、<math>X \sim N_n(\mu, \mathit{\Sigma}) </math> などと表記される。
+
連続確率分布の典型的な一例。ガウス分布ともいう。たとえば,ある期間中に生れた子供の知能指数の分布や成年男子の身長の分布などのように,グラフに描くと平均のところが最も高い左右相称の釣鐘型を呈する分布をいう。1次元の場合,分布を <i>N</i>(μ,σ<sup>2</sup>) で表わし,確率密度 <i>f</i>(<i>x</i>) は <i>f</i>(<i>x</i>)(2πσ<sup>2</sup>)<sup>-1/2</sup> exp {(<i>x</i>-μ)<sup>2</sup>/<sup>2</sup>} で与えられる。μは平均値,σ<sup>2</sup> は分散を表わし,これが小さいほど確率密度は平均値の付近に集中する。正規分布では,確率変数 <i>z</i> が μ±<i>k</i>σ の間に含まれる確率は,μ±σ が 0.682,μ±2σ が 0.954,μ±3σ が 0.997である。一般に <i>n</i> 個の確率変数の組に対して拡張でき,平均値は確率空間の平均値ベクトル,分散は <i>n</i> 次元正方行列となる。正規分布に従う独立な確率変数の和はやはり正規分布に従い,平均値ベクトルおよび分散行列は各変数のそれの和となる。数学上基本的な分布であると同時に,物理学や工学における統計的現象の多くは正規分布に従い,誤差論もこれを基礎としている。
 
+
   
== 概要 ==
+
{{テンプレート:20180815sk}}
[[平均]]を {{mvar|μ}}, [[分散 (確率論)|分散]]を {{math|''σ''<sup>2</sup> &gt; 0}} とする(1次元)正規分布とは、次の形の[[確率密度関数]]([[ガウス関数]]と呼ばれる)
 
:<math>f(x)=\frac{1}{\sqrt{2\pi\sigma^{2}}} \exp\!\left(-\frac{(x-\mu)^2}{2\sigma^2} \right)\quad(x\in\mathbb{R})</math>
 
を持つ[[確率分布]]のことである{{sfn|稲垣|1990|pp=44–45}}{{sfn|JIS Z 8101-1 : 1999|loc=1.25 正規分布}}。この分布を {{math|''N''(''&mu;'', ''&sigma;''<sup>2</sup>)}} と表す{{sfn|稲垣|1990|pp=44–45}}。({{math|''N''}} は「正規分布」を表す英語 "normal distribution" の頭文字から取られている)。
 
 
 
===標準正規分布 ===
 
特に {{math|''μ'' {{=}} 0}}, {{math|''σ''<sup>2</sup> {{=}} 1}} のとき、この分布は(1次元)'''標準正規分布'''(または基準正規分布)と呼ばれる{{sfn|JIS Z 8101-1 : 1999|loc=1.26 標準正規分布 (standardized normal distribution, standardized Laplace–Gauss distribution)}}。つまり標準正規分布 {{math|''N''(0, 1)}}
 
:<math>f(x)=\frac{1}{\sqrt{2\pi}} \exp\!\left(-\frac{x^2}{2} \right)</math>
 
なる確率密度関数を持つ確率分布として与えられる。
 
 
 
===再生性===
 
正規分布は[[再生性]]を持つ{{sfn|Cramér|1946|loc=&sect; 17.3}} —— つまり確率変数 {{math|''X''<sub>1</sub>, ..., ''X''<sub>''n''</sub>}} が独立にそれぞれ正規分布 {{math|''N''(''&mu;''<sub>1</sub>, ''&sigma;''<sub>1</sub><sup>2</sup>), ..., ''N''(''&mu;<sub>n</sub>'', ''&sigma;<sub>n</sub>''<sup>2</sup>)}} に従うとき、線型結合 {{math|&Sigma;''a''<sub>''i''</sub>''X''<sub>''i''</sub>}} は正規分布 {{math|''N''(&Sigma;''a''<sub>''i''</sub>''&mu;<sub>i</sub>'', &Sigma;''a''<sub>''i''</sub><sup>2</sup>''&sigma;<sub>i</sub>''<sup>2</sup>)}} に従う。
 
 
 
=== 確率密度関数===
 
正規分布の確率密度関数をグラフ化した'''正規分布曲線'''は左右対称な[[つりがね]]状の[[曲線]]であり、[[鐘]]の形に似ている事から'''ベル・カーブ'''(鐘形曲線)とも呼ばれる。直線 {{math|''x'' {{=}} ''μ''}} を軸に左右対称であり、{{mvar|x}} 軸が[[漸近線]]である。なお、曲線は {{mvar|σ}} の値が大きいほど扁平になる。
 
 
 
なお、[[中心極限定理]]により、巨大な {{mvar|n}} に対する[[二項分布]]とも考えることができる。
 
 
 
平均値の周辺の {{mvar|n}} 次[[モーメント (確率論)|中心化モーメント]]は、各次数 {{mvar|n}} に対して
 
 
 
:<math>E[(X-\mu)^n] =
 
\begin{cases}
 
0, & \text{if } n \text{ is odd} \\[1ex]
 
(n - 1)!!\, \sigma^n, & \text{if } n \text{ is even}
 
\end{cases}
 
</math>
 
 
 
となることが知られている{{sfn|Cramér|1946|loc=(17.2.3)}}。ただし {{math|(2''n'' &minus; 1)!! {{coloneqq}} (2''n'' &minus; 1) &sdot; (2''n'' &minus; 3) &sdot; ... &sdot; 3 &sdot; 1}}。
 
 
 
=== 多変量正規分布 ===
 
[[File:Multivariate normal sample.svg|right|300px]]
 
また、多変量の[[統計]]として[[共分散]]まで込めた[[多次元]]の正規分布も定義され、平均 {{math|''μ'' {{=}} (''μ''<sub>1</sub>, ''μ''<sub>2</sub>, ..., ''μ<sub>n</sub>'')}} の {{mvar|n}} 次元正規分布の[[同時密度関数]]は次の式で与えられる。
 
:<math>f(x) = \frac{1}{(\sqrt{2\pi})^n \sqrt{\vert\mathit{\Sigma}\vert}}\exp\!\left(-\frac{1}{2}(x-\mu)^{\mathrm{T}}\, \mathit{\Sigma}^{-1}(x-\mu)\right)</math>
 
ここで、{{math|''&Sigma;'' {{=}} (''σ<sub>ij</sub>'')}} は[[分散共分散行列]]と呼ばれる[[行列の定値性|正定値]][[対称行列]]である。|Σ| は Σ の[[行列式]]。なお、{{math|''A''[''x'']}} は(対称)行列 {{mvar|A}} とベクトル {{mvar|x}} に対して[[二次形式]] {{math|''x''<sup>T</sup>''Ax''}} を意味するもの(ジーゲルの記号)とすると {{math|(''x'' &minus; ''μ'')<sup>T</sup>''&Sigma;''<sup>&minus;1</sup>(''x'' &minus; ''μ'') {{=}} ''&Sigma;''<sup>&minus;1</sup>[''x'' &minus; ''μ'']}} と書くことも出来る。
 
 
 
この {{mvar|n}} 次元正規分布を {{math|''N''<sub>''n''</sub>(''μ'', ''&Sigma;'')}} と表す{{sfn|稲垣|1990|p=86}}。特に1次元の場合、平均 {{math|(''μ'')}} と分散共分散行列 {{math|''&Sigma;'' {{=}} (''σ''<sup>2</sup>)}} は共に1次元の平均と分散を意味する1つの実数値であり、記号 {{math|''N''<sub>1</sub>((''μ''), ''&Sigma;'') {{=}} ''N''<sub>1</sub>((''μ''), (''σ''<sup>2</sup>))}} は単に {{math|''N''(''μ'', ''σ''<sup>2</sup>)}} と書かれる(先に述べた1次元の場合の記号と同じものと理解してよい)。
 
 
 
=== 歪正規分布 ===
 
[[ファイル:Skew normal densities.svg.png|サムネイル|歪正規分布の確率密度関数]]
 
正規分布の拡張としては、上で示した多次元化を施した多変量正規分布の他に、歪正規分布 (Skew-Normal (SN) distribution) がある。これは三変数で表現され、そのうち1つの変数について<math>\alpha=0</math>のときに正規分布となることから、分布を平均と分散の二変数で表現する正規分布の拡張であるといえる。
 
<math>\phi(x)</math> を標準正規分布の確率密度関数とする。
 
:<math>\phi(x)=\frac{1}{\sqrt{2\pi}}e^{-\frac{x^2}{2}}</math>
 
その確率密度関数は次で与えられる。
 
:<math>\Phi(x) = \int_{-\infty}^{x} \phi(t)\ dt = \frac{1}{2} \left[ 1 + \operatorname{erf} \left(\frac{x}{\sqrt{2}}\right)\right]</math>
 
 
 
ここに "erf" は[[誤差関数]](シグモイド関数)である。このとき、標準正規分布に対応する歪正規分布SN(0,1,α)の[[確率密度関数]]は次で与えられる。
 
:<math>f(x) = 2\phi(x)\Phi(\alpha x) \,</math>
 
これに平均のようなもの相当する変数と分散のようなものに相当する変数を加えるためにZ変換(標準化)の逆 <math>y=\xi+\omega x</math>を施す。すると歪正規分布は一般の形になり、以下の関係が成り立つ。
 
:<math>Y\sim SN(\xi, \omega^2, \alpha) \,</math>
 
 
 
== 歴史 ==
 
正規分布は[[アブラーム・ド・モアブル]]によって[[1733年]]に導入された<ref>Abraham de Moivre, "Approximatio ad Summam Terminorum Binomii (''a''&nbsp;+&nbsp;''b'')<sup>''n''</sup> in Seriem expansi" (1733年11月12日に私的な回覧用にロンドンで印刷された。)このパンフレットは以下に挙げる各書物に再掲されている: '''(1)''' Richard C. Archibald (1926) “A rare pamphlet of Moivre and some of his discoveries,” ''Isis'', vol. 8, pages 671–683; '''(2)''' Helen M. Walker, “De Moivre on the law of normal probability” in David Eugene Smith, ''A Source Book in Mathematics'' [New York, New York: McGraw-Hill, 1929; reprinted: New York, New York: Dover, 1959], vol. 2, pages 566–575.; '''(3)''' Abraham De Moivre, ''The Doctrine of Chances'' (2nd ed.) [London: H. Woodfall, 1738; reprinted: London: Cass, 1967], pages 235-243; (3rd ed.) [London: A Millar, 1756; reprinted: New York, New York: Chelsea, 1967], pages 243–254; '''(4)''' Florence N. David, ''Games, Gods and Gambling: A History of Probability and Statistical Ideas'' [London: Griffin, 1962], Appendix 5, pages 254–267.</ref>。この論文はド・モアブル自身による[[1738年]]出版の ''The Doctrine of Chances'' 第二版のなかで、高い次数に関する[[二項分布]]の近似の文脈において再掲されている。ド・モアブルの結果は[[ピエール=シモン・ラプラス]]による『確率論の解析理論』([[1812年]])において拡張され、いまでは[[二項分布#正規分布|ド・モアブル–ラプラスの定理]]と呼ばれている。
 
 
 
ラプラスは正規分布を実験の[[誤差]]の解析に用いた。その後[[アドリアン=マリ・ルジャンドル]]によって[[1805年]]に[[最小二乗法]]が導入され{{sfn|Stigler|1986|loc=Figure 1.5}}、[[1809年]]の[[カール・フリードリヒ・ガウス]]による誤差論で詳細に論じられた(ガウスは1794年から最小二乗法を知っていたと主張していた)。
 
 
 
「ベル・カーブ」という名前は、[[1872年]]に2変数正規分布に対して「鐘形曲面」という言葉を用いた {{仮リンク|Esprit Jouffret|en|Esprit Jouffret}} にさかのぼる。「正規分布」という言葉は[[チャールズ・サンダース・パース]]、[[フランシス・ゴルトン]]、[[ヴィルヘルム・レキシス]]の3人によって[[1875年]]頃に独立に導入された。
 
 
 
== 統計的な意味 ==
 
[[画像:Standard deviation diagram.svg|thumb|300px|標準正規分布がもつ確率密度関数のグラフ]]
 
正規分布 {{math|''N''(''μ'', ''σ''<sup>2</sup>)}} からの無作為標本 {{mvar|x}} を取ると、平均 {{mvar|μ}} からのずれが {{math|±1''σ''}} 以下の範囲に {{mvar|x}} が含まれる確率は 68.27%、{{math|±2''σ''}} 以下だと 95.45%、更に {{math|±3''σ''}} だと 99.73% となる。
 
 
 
正規分布は、[[t分布]]や[[F分布]]といった種々の分布の考え方の基礎になっているだけでなく、実際の[[推計統計学|統計的推測]]においても、[[推計統計学#仮説検定|仮説検定]]、[[推計統計学#区間推定|区間推定]]など、様々な場面で利用される。
 
 
 
正規分布 {{math|''N''(''μ'', ''σ'')}} に従う確率変数 {{mvar|X}} が与えられたとき {{math|''Z'' {{=}} (''X'' &minus; ''μ'')/''σ''}} と[[標準化]]すれば確率変数 {{mvar|Z}} は標準正規分布に従う。大学レベルの統計入門のクラスでは必ず行われているが、 {{mvar|Z}} 値を求めることで'''[[#外部リンク|標準正規分布表]]'''とよばれる変量に対応した確率をあらわす一覧表を用いて、コンピュータを使うことなく正規分布に従った事象の確率を求める事ができる。
 
 
 
不連続値をとる確率変数についての検定の場合でも、連続変数と同様の考え方で正規分布を近似的に用いることがある。これは標本の大きさ {{mvar|n}} が大きく、かつデータの階級幅が狭いほど、近似の精度が高い。
 
 
 
== 正規分布の適用 ==
 
[[File:Tabuleiros de Galton (antes e depois).jpg|right|300px]]
 
自然界の事象のなかには正規分布に従う数量の分布をとるものがあることが知られている<ref name="nyumon">{{Cite book|和書
 
|author=遠山啓
 
|authorlink=遠山啓
 
|title=数学入門(下)
 
|origdate=1960-10-20
 
|accessdate=2009-03-05
 
|edition=初版
 
|publisher=[[岩波書店]]
 
|series=[[岩波新書]]
 
|pages=p. 87
 
}}</ref>。また、そのままでは変数が正規分布に従わない場合もその対数をとると正規分布に従う場合がある。
 
 
 
正規分布が統計学上特別な地位を持つのは[[中心極限定理]]が存在するためである。中心極限定理は、「独立な同一の分布に従う確率変数の算術平均(確率変数の合計を変数の数で割ったもの)の分布は、もとの確率変数に標準偏差が存在するならば、もとの分布の形状に関係なく、変数の数が多数になったとき、正規分布に収束する」というものである。このため大標本の平均値の統計には、正規分布が仮定されることが非常に多い。
 
 
 
前述のごとく自然界の事象の中には、正規分布に従う数量の分布をとるものがあることが知られている。しかしそれは必ずしも多数派というわけではない。[[19世紀]]ではさながら「正規分布万能主義」といったものがまかり通っていたが、[[20世紀]]以降そういった考え方に修正が見られた。今日においては社会現象、生物集団の現象等々、種別から言えば、正規分布に従うものはむしろ少数派であることが確認されている。例えば、[[フラクタル]]な性質を持つ物は正規分布よりも、[[パレート分布]]になることが多い。人間は自然界の事象とはちがって自分の意思をもっているため、たとえば、子供の[[成績]]などは決して正規分布にはならない<ref name="nyumon"/>。しかし、そもそも理論上、正規分布の ''x'' の値は負の[[無限大]]から正の無限大まで取れるのに対して、多くの事象は最小値(例えば比例尺度におけるゼロ)と最大値(例えばテストにおける100点満点)が予め定まっている場合があり、そのような事象が完全な正規分布に従うとするには無理がある(その際は[[censoring]]つまり打ち切りを考慮したり、[[対数正規分布]]を用いたりするとより正確な確率を求めることが出来る場合がある)。また、[[ゼロ]]及び[[自然数]]しかとらない[[離散確率分布]]、例えば[[ポアソン分布]]や[[二項分布]]を[[連続確率分布]]である正規分布で近似することも一般的に行われている。
 
 
 
=== 検定 ===
 
[[File:Normal normal qq.svg|thumb|300px|正規QQプロット]]
 
何らかの事象について法則性を捜したり理論を構築しようとしたりする際、その確率分布がまだ分かっていない場合にはそれが正規分布であると仮定して推論することは珍しくないが、誤った結論にたどりついてしまう可能性がある。標本データが正規分布に近似しているかどうを判断するためには、[[尖度]]と[[歪度]]を調べる、[[ヒストグラム]]を見る、正規[[QQプロット]]をチェックする、或いは[[シャピロ–ウィルク検定]]や[[コルモゴロフ–スミルノフ検定]](正規分布)を利用する方法などが一般的に行われている。
 
 
 
=== 点推定 ===
 
平均や分散が未知の正規分布に従うデータから、[[母数]] {{math| ''&theta;'' {{=}} (''&mu;'', ''&sigma;''<sup>2</sup>)}} を推定したいことがある。これには次の推定量 <math>\hat\theta = (\hat\mu, \hat\sigma^2)</math> がよく用いられる。正規分布 {{math|''N''(''&mu;'', ''&sigma;''<sup>2</sup>)}} からの無作為標本 {{math|''x''<sub>1</sub>, ..., ''x''<sub>''n''</sub>}} が与えられたとき、
 
:<math> \begin{align}
 
\hat\mu        &= \frac{1}{n}\sum_{i=1}^n x_i \\
 
\hat\sigma^2 &=  \frac{1}{n - 1} \sum_{i=1}^n (x_i - \hat\mu)^2
 
\end{align}</math>
 
は{{仮リンク|最小分散不偏推定量|en|Minimum-variance unbiased estimator}}である{{sfn|岩波数学辞典|2007|loc=付録 公式 23}}。
 
 
 
=== 区間推定 ===
 
{{節スタブ}}
 
 
 
== 脚注 ==
 
{{reflist}}
 
 
 
== 参考文献 ==
 
{{参照方法|date=2016年4月}}
 
* {{cite book
 
|last1      = Cramér
 
|first1    = H.
 
|authorlink1 = ハラルド・クラメール
 
|year      = 1946
 
|title      = Mathematical Methods of Statistics
 
|series    = Princeton Mathematical Series
 
|volume    = 9
 
|url        = {{google books|CRTKKaJO0DYC|plainurl=yes}}
 
|publisher  = Princeton University Press
 
|mr        = 0016588
 
|zbl        = 0063.01014
 
|ref        = harv
 
}} ([https://doi.org/10.1214/aoms/1177730503 Review] by W. Feller)
 
* {{cite book
 
|和書
 
|last1      = 稲垣
 
|first1    = 宣生
 
|year      = 1990
 
|title      = 数理統計学
 
|publisher  = [[裳華房]]
 
|isbn      = 4-7853-1406-0
 
|ref        = harv
 
}}
 
* {{citation | title=''JIS Z 8101-1:1999 統計 − 用語と記号 − 第1部:確率及び一般統計用語''<!--こうすると斜体がキャンセルされるらしい--> | publisher=日本規格協会 | publisherlink=kikakurui.com | url=http://kikakurui.com/z8/Z8101-1-1999-01.html | ref={{sfnref|JIS Z 8101-1 : 1999}}}}
 
* {{cite book
 
|last1      = Stigler
 
|first1    = Stephen M.
 
|year      = 1986
 
|title      = The History of Statistics: The Measurement of Uncertainty before 1900
 
|url        = {{google books|M7yvkERHIIMC|plainurl=yes}}
 
|publisher = The Belknap Press of Harvard University Press
 
|isbn      = 0-674-40340-1
 
|mr        = 0852410
 
|zbl        = 0656.62005
 
|ref        = harv
 
}}
 
* {{cite book
 
|和書
 
|year      = 2007
 
|title    = 岩波 数学辞典
 
|edition  = 第4版
 
|editor    = [[日本数学会]]
 
|publisher = [[岩波書店]]
 
|isbn      = 978-4-00-080309-0
 
|ref        = {{sfnref|岩波数学辞典|2007}}
 
}}
 
 
 
== 関連項目 ==
 
* [[確率]]
 
* [[確率分布]]
 
* [[乱数列#正規乱数|正規乱数]]
 
* [[シックス・シグマ]]
 
* [[正規標本論]]
 
* [[標準得点]]
 
* [[安定分布]]
 
 
 
== 外部リンク ==
 
* [http://ebsa.ism.ac.jp/ebooks/sites/default/files/ebook/1321/pdf/table3.pdf 正規分布表] —— {{cite book | 和書 | author=脇本和昌 | title=身近なデータによる統計解析入門 | year=1973 | publisher=森北出版 | isbn=4627090307 | url=http://ebsa.ism.ac.jp/ebooks/ebook/1321}} 付表
 
 
 
{{確率分布一覧|連続確率分布}}
 
{{統計学}}
 
  
 
{{DEFAULTSORT:せいきふんふ}}
 
{{DEFAULTSORT:せいきふんふ}}
 
[[Category:確率分布]]
 
[[Category:確率分布]]
 
[[Category:数学に関する記事]]
 
[[Category:数学に関する記事]]

2018/10/5/ (金) 22:16時点における最新版

正規分布(せいきぶんぷ、: normal distribution)またはガウス分布: Gaussian distribution

連続確率分布の典型的な一例。ガウス分布ともいう。たとえば,ある期間中に生れた子供の知能指数の分布や成年男子の身長の分布などのように,グラフに描くと平均のところが最も高い左右相称の釣鐘型を呈する分布をいう。1次元の場合,分布を N(μ,σ2) で表わし,確率密度 f(x) は f(x)=(2πσ2)-1/2 exp {-(x-μ)2/2σ2} で与えられる。μは平均値,σ2 は分散を表わし,これが小さいほど確率密度は平均値の付近に集中する。正規分布では,確率変数 z が μ±kσ の間に含まれる確率は,μ±σ が 0.682,μ±2σ が 0.954,μ±3σ が 0.997である。一般に n 個の確率変数の組に対して拡張でき,平均値は確率空間の平均値ベクトル,分散は n 次元正方行列となる。正規分布に従う独立な確率変数の和はやはり正規分布に従い,平均値ベクトルおよび分散行列は各変数のそれの和となる。数学上基本的な分布であると同時に,物理学や工学における統計的現象の多くは正規分布に従い,誤差論もこれを基礎としている。



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