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| | {{Infobox 島 | | {{Infobox 島 |
| | | 島名= 小呂島 | | | 島名= 小呂島 |
| − | | 画像= [[File:Orono Island, Fukuoka.jpg|300px]]<br/>1981年撮影。{{国土航空写真}} | + | | 画像= |
| | | 座標= {{ウィキ座標2段度分秒|33|52|01|N|130|02|09|E|region:JP-40}} | | | 座標= {{ウィキ座標2段度分秒|33|52|01|N|130|02|09|E|region:JP-40}} |
| | | 面積= 0.43 | | | 面積= 0.43 |
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| | | 標高= 109.3 | | | 標高= 109.3 |
| | | 海域= [[日本海]]（[[玄界灘]]） | | | 海域= [[日本海]]（[[玄界灘]]） |
| − | | 国= {{JPN}}（[[福岡県]][[福岡市]]） | + | | 国= （[[福岡県]][[福岡市]]） |
| | |地図2 = Japan Fukuoka | | |地図2 = Japan Fukuoka |
| | }} | | }} |
| − | '''小呂島'''（おろのしま）は、[[玄界灘]]上にある[[福岡県]][[福岡市]][[西区 (福岡市)|西区]]の[[島]]（[[離島]]）である。 | + | '''小呂島'''（おろのしま） |
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| − | == 地理 ==
| + | [[福岡県]]北西部，[[糸島半島]]北西方約 27kmの[[玄界灘]]にある玄武岩の小島。福岡市[[西区]]に属する。 |
| − | 周囲3.3kmの[[玄武岩]]を基盤とした孤島である<ref name="chimei">「角川日本地名大辞典」編纂委員会 編『角川日本地名大辞典40 福岡県』 [[角川書店]] ISBN 4-04-001400-6 [[1988年]]</ref>。南北に2つの峰があり、南の標高109.3 mの峰が島の最高峰で、嶽の宮神社が位置する。島の周囲は玄武岩の断崖絶壁で、一部に海蝕洞がみられる。南端に岩礫堆積平地があり、ここに集落が営まれる<ref name="kuchiki">朽木昇一「小呂の島の自然と社會」『糸校文林』第3号 [[福岡県立糸島高等学校]]校友会文化部 [[1955年]]</ref>。島周辺には[[対馬暖流]]が流れており、比較的気候は温暖で、嶽の宮神社の境内には、[[ソテツ]]、[[ビロウ]]、[[カナリーヤシ|フェニックス]]などの熱帯性植物が繁茂している。このほか、島の大半を松林が占め、それを開拓した畑地や広葉樹林が島の中央から南部の斜面に見られる<ref name="kuchiki"></ref>。
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| − | 人口は189人（2010年国勢調査）<ref name="mlit001015648">{{PDFlink|[http://www.mlit.go.jp/common/001015648.pdf 離島振興対策実施地域一覧]}} - 国土交通省国土政策局離島振興課</ref>。
| + | 周辺海域は好漁場に恵まれ，[[アジ]]，[[サバ]]，[[ブリ]]，沿岸で[[アワビ]]，[[ウニ]]などの漁業が行われる。 |
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| − | == 歴史 ==
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| − | === 中世 ===
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| − | 小呂島の名が文献上に登場するのは[[鎌倉時代]]のことである。島の[[氏神]]である[[七社神社]]の棟札には、[[宗像郡]][[東郷町 (福岡県)|東郷村]]の住人の名がある<ref name="noma">野間吉夫『玄海の島々』慶友社 [[1973年]]</ref>。建長4年7月12日の『[[関東御教書]]』には[[筑前国]][[志摩郡 (福岡県)|志摩郡]]となっており、[[宗像大社]]の[[社領]]であった島に関して、中国系博多商人であった[[謝国明]]が妻の地頭を名乗って領有権を主張した<ref>『日本海事研究』</ref>ことで領地争いになり<ref name="takada">高田茂廣 「島の史跡めぐり」 西区地域振興事業推進委員会 編・福岡市西区役所 監修『福岡史跡ガイド 西区は歴史の博物館』 [[海鳥社]] [[1995年]] ISBN 4-87415-139-6</ref>、宗像社雑掌が[[鎌倉幕府]]に社役対捍を訴え、幕府が謝国明に戒告したことを記録している<ref name="chimei"></ref>。翌建長5年5月3日の『[[北条長時]]書下』には、宗像大社を含めた3者による訴訟の記録があり、建武元年3月20日の[[雑訴決断所]]牒には、建武政権が宗像大社の小呂島所有を保障したことが記録されている<ref name="chimei"></ref>。また、[[李氏朝鮮]]の『[[海東諸国紀]]』にも'''於露島'''の名で登場する。このように、中世の小呂島は海上交通の要所であり、宗像大社が領有権を巡って熾烈な訴訟を繰り広げたことが分かる。
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| − | === 近世 ===
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| − | 近世には落人が流れ着いた伝承があるが<ref name="ryu">竜政雄「小呂の島の民俗採集」『糸校文林』第3号 福岡県立糸島高等学校校友会文化部 1955年</ref>、ほぼ[[無人島]]であった。[[1645年]]（正保2年）に[[福岡藩]]の漁業権獲得政策により遠見番所が置かれ、[[北崎村]]（現在の福岡市西区大字宮浦付近）から「五軒家」と呼ばれた5世帯の漁民を移住させた。後に2世帯が移住したため、近代に入るまではこの島の住民は皆この7種類の[[名字]]のいずれかであったという<ref name="noma"></ref>。藩政時代は[[捕鯨]]が[[1679年]]（延宝7年）から6年間と[[1725年]]（享保10年）・[[1772年]]（安永元年）の3度試みられたが、[[台風]]による波止場の崩壊などでいずれも不調になったとされている<ref>高田茂廣「西海捕鯨遺文」 『福岡市立歴史資料館研究報告』第8集 福岡市立歴史資料館 [[1988年]]</ref>。福岡藩の[[流刑地]]でもあり、重罪者の流刑地として選ばれた。流人の監視として御常番の名で[[足軽]]が配置され、彼らもまた、近代までの小呂島の集落を構成する一部であった。福岡藩の学者であった[[貝原益軒]]も3年間この島に追放されている<ref name="ryu"></ref>。
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| − | === 近現代 ===
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| − | [[1931年]]（昭和6年）から[[1940年]]（昭和15年）にかけて、島の北端に陸海軍共用の[[要塞]]（[[壱岐要塞]]小呂島砲台）が築かれ、[[大日本帝国陸軍|陸軍]]300人、[[大日本帝国海軍|海軍]]30人の兵士が駐留した。これが原因となり、[[1945年]]（昭和20年）[[8月6日]]昼に[[アメリカ軍|米軍]]による空襲に見舞われ、本家の1軒を除く全ての家屋が焼け出されている<ref name="noma"></ref>。
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| − | [[1889年]]（明治22年）の[[町村制]]施行時には[[志摩郡 (福岡県)|志摩郡]]小田村に属した。その後、[[郡制]]や改称、編入により[[糸島郡]]小田村→糸島郡[[北崎村]]→福岡市→と変遷している。[[1961年]]（昭和36年）に福岡市に編入されて以後は福岡市の最北端となっている。 | |
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| − | == 産業 ==
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| − | ほとんどの島民が漁業で生計を立てている。
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| − | 5月～12月までは旋網漁(まきあみりょう)、1月～4月までは個人漁を行う。
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| − | 主に獲れる魚は、ブリ・アジ・サバ・ヒラメ・カレイなどで、季節や業種によって変わってくる。
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| − | これに加えて最近では新しい取り組みとして(6次産業化)、旋網漁で獲れたヤズ(ブリの若魚)をフレーク状に加工したものを販売している(ネット販売も有)。
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| − | これは"こねくり"と呼ばれる島の漁師飯を元にして作られたものである。
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| − | == 各種施設・学校 ==
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| − | * 名所旧跡としては[[嶽の宮神社]]・七社神社・旧海軍望楼跡がある。ただし、これら目当ての観光客はほとんどおらず、訪問者の大半は釣り客である。
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| − | * 祭礼として、毎年[[7月15日]]に[[山笠]]が行なわれる。福岡本土の[[博多祇園山笠]]とは違い、朝夕の2回練り歩くのが特徴である。また、[[8月18日]]には「ゴホーラク」という[[神楽]]が奉納されるが、かつては「万年願（マンネンガン）」という名で歌舞伎役者を招いての指導による[[歌舞伎]]を奉納するものであったという<ref name="takada"></ref>。
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| − | * 民宿等も含め宿泊施設がない（厳密には存在しないわけではないが工事等の業務目的での来島者のみ受け入れている）。宿泊する場合は野宿となるので[[テント]]や[[寝袋]]等の持参が必要である。渡船場の待合室は船が欠航した場合のみ終日開放される。
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| − | * 商店は港近くの漁協にあるのみ。営業時間が短いので注意が必要である。食堂はない。
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| − | * 電力は島内にある[[内燃力発電|内燃力発電所]]（[[九州電力]]小呂島発電所）による。[[水道水]]は[[海水淡水化]]施設による水が供給されている<ref>[http://www.city.fukuoka.lg.jp/mizu/meotoishi/0061.html 福岡市 小呂島地区簡易水道事業（海水淡水化施設）]</ref>。
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| − | * 島内に小中併設校（[[福岡市立小呂小中学校]]）がある。
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| − | == 交通 ==
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| − | 島の南側にある集落内の道と集落と島の中央部にある小中学校を結ぶ道路以外に主な道路は無く、周回道路は無い。
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| − | 九州本土の[[姪浜]]渡船場との間で1日1～2便、[[福岡市営渡船]]の高速船「ニューおろしま」が運航されている。所要時間は65分、運賃は大人片道1,760円で、福岡市営渡船で最も長い航路である。火・木・土・日曜日の2便運航時に限り九州本土側から日帰りで島を訪れることが可能である。日帰りで訪問する場合、滞在可能時間は約3時間である。航路の特殊性から島民等の利用が優先される旨渡船場に注意書きがある。[[2000年]]の「ニューおろしま」就航により定員が60名に増加した。
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| − | 小呂島では生活物資の運搬が市営渡船に強く依存しているという状況に鑑み、「ニューおろしま」には後部甲板に多目的貨物室およびプロパンガス専用エリアが設置されているほか、荷役の利便性確保のためにベルトコンベアが搭載されている<ref>[http://ci.nii.ac.jp/naid/110007329574 福岡市小呂島航路旅客船「ニューおろしま」について - SRC news (49), 8-9, 2001-01 財団法人日本造船技術センター] - CiNii</ref>。
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| | == 参考文献 == | | == 参考文献 == |
| | <references/> | | <references/> |
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| − | == 関連項目 ==
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| − | * [[日本の地理]]
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| − | * [[日本の島の一覧]]
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| | == 外部リンク == | | == 外部リンク == |
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| | * [http://www.oronoshima.jp/ 小呂島] | | * [http://www.oronoshima.jp/ 小呂島] |
| | * [http://www.port-of-hakata.or.jp/guide/ferry_city/kohro_top.html 福岡市営渡船] | | * [http://www.port-of-hakata.or.jp/guide/ferry_city/kohro_top.html 福岡市営渡船] |
