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{{Otheruses||その他の「宇宙」と呼ばれる事項|宇宙 (曖昧さ回避)}}{{redirect|ユニバース}}
 
'''宇宙'''(うちゅう)とは、以下のように定義される。
 
# [[コスモス (宇宙観)|コスモス]]。[[時間]]・[[空間]]内に秩序をもって存在する「こと」や「もの」の総体<ref name="koujien">広辞苑【宇宙】</ref>。何らかの観点から見て、[[秩序]]をもつ完結した世界体系。
 
# 全ての時間と空間、およびそこに含まれるエネルギーと物質<ref name="koujien" />。あらゆる[[物質]]や[[放射]]を包容する[[空間]]<ref>[http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/jn2/19586/m0u/%E5%AE%87%E5%AE%99/ 『大辞泉』う‐ちゅう〔‐チウ〕【宇宙】]。</ref>。あらゆる物事([[森羅万象]])を含む全ての存在。
 
#[[ビッグバン]]理論等で統一的に説明されうる、現実的、現在的に我々が暮らすひとつの広大な世界。ユニバース。もしくはその外側に仮想されるユニバースの複合体全体。(「ユニバース」という語には「ひとつ」という意味が込められているが、最近では、宇宙について論じる時、3次元的につながった空間だけではなく、[[平行宇宙]]も含めて論じられることがある。複合的宇宙もしくは[[多元宇宙|多元的宇宙]]という意味で「マルチバース」と呼ばれる。単一宇宙と区別して複合宇宙全体を指す場合には特に「[[オムニバース]]」ともいう。)
 
# 3次元空間的に繋がった広大な宇宙全体を指すこともある。{{要検証|date=2015年4月}}{{要出典範囲|「宇宙」で観測不可能な領域を除いた「[[観測可能な宇宙]]」を指すこともある|date=2015年4月}}。
 
# [[宇宙空間]]。地球の地上約100km以上、上空の空間を指す便宜的な定義<ref group="注釈">国際航空連盟、NASA等の諸活動を考慮した便宜的な定義</ref>。
 
本項では主に、1~4の意味での宇宙について解説する。
 
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[[ファイル:Hubble ultra deep field.jpg|thumb|350px|[[ハッブル・ウルトラ・ディープ・フィールド]]。130億年前([[ビッグバン]]から4億–8億年後)と推定されている宇宙の画像。現在までに撮影された中で最も深い宇宙の画像である<ref name="press_release">{{cite press|publisher = [[アメリカ航空宇宙局|NASA]]|date = March 9, 2004|title = Hubble's Deepest View Ever of the Universe Unveils Earliest Galaxies|url = http://hubblesite.org/newscenter/archive/releases/2004/07/|accessdate = 2008-12-27}}</ref>。誕生後4–5億年の[[銀河]]が、1万個以上も映し出されており、通常の渦巻銀河や楕円銀河に混じるようにして奇妙な形の銀河も多数映し出されており、宇宙初期の混沌の中で銀河同士が影響しあっていた状態が映っている、と考えられている。(2003年9月24日–2004年1月に[[ハッブル宇宙望遠鏡]]のデータを集めるかたちで撮影)。高解像度画像を選択し[http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/2/2f/Hubble_ultra_deep_field.jpg]、(PCのブラウザで閲覧なら)最後に + 印の虫眼鏡ポインタで画像を押せば特大写真になり、ひとつひとつの銀河をはっきりと見ることができる。 ]]
 
  
== 意味 ==
+
'''宇宙'''(うちゅう)
「宇宙」という[[言葉]]の[[確定]]した[[起源]]や[[意味]]は不明だが、次のような説がある。
 
 
 
* 「宇」は「天地四方上下」(つまり上下前後左右、三次元[[空間]]全体)「宙」は「往古来今」(つまり[[過去]]・[[現在]]・[[未来]]、[[時間]]全体)を意味し([[戦国時代 (中国)|中国の戦国時代]]の書物・「[[尸子]]巻下」)、「宇宙」で[[時空]](時間と空間)の全体を意味する([[漢]]代の書物・「[[淮南子]]斉俗訓」)<ref>{{Cite web |date=2014-09-24 |url=http://www.nhk.or.jp/kininaru-blog/198022.html |title=宇宙 |work=トクする日本語 |publisher=日本放送協会 |accessdate=2014-09-25}}</ref>。
 
* 「宇」は「天」、「宙」は「地」を意味し、「宇宙」で「[[天地]]」のことを表す。
 
 
 
それぞれの観点から見た場合の「宇宙」の定義には、以下のようなものがある。
 
 
 
[[哲学]]的・[[宗教]]的観点から見た場合、宇宙全体の一部でありながら全体と類似したものを「小宇宙」と呼ぶのに対して、宇宙全体のことを「大宇宙」と呼ぶ。
 
 
 
[[天文学]]的観点から見た場合、「宇宙」はすべての[[天体]]・空間を含む領域をいう。[[銀河]]のことを「小宇宙」と呼ぶのに対して「大宇宙」ともいう。
 
 
 
一説には観測できる領域は[[宇宙の地平線]]の内側に限定されるが、大宇宙はそれよりはるかに大きいと考えられている。
 
 
 
最近の[[物理学]]的観点から見た場合、「宇宙」は物質・エネルギーを含む[[時空連続体]]のまとまりである。
 
 
 
現代物理学における「宇宙」は、「物理学的な世界全体」ではなく、生成・膨張・収縮・消滅する物理系の一つである。理論的には無数の宇宙が生成・消滅を繰り返しているとも考えられている。
 
 
 
「地球の[[大気圏]]外の空間」という意味では、[[国際航空連盟]] (FAI) の規定によると高度 100 km 以上のことを指す。[[アメリカ軍]]では高度50ノーチカルマイル (92.6 km) 以上の高空を「宇宙」と定めている。
 
 
 
== 宇宙論 ==
 
[[Image:Ptolemaicsystem-small.png|thumb|right|160px|[[ペトルス・アピアヌス]] ([[:en:Petrus Apianus]]) による ''Cosmographia ''。アリストテレスの説に沿ったコスモス像。[[天球]]の多層構造([[アントワープ]]、1539年)]]
 
[[Image:Almagest 1.jpeg|right|thumb|160px|『[[アルマゲスト]]』(George of Trebizond による[[ラテン語]]版、1451年頃)]]
 
{{main|宇宙論}}
 
宇宙について説明するにあたり、まず人類がどのように宇宙の理解を深めてきたか、おおまかな流れを解説する。
 
 
 
宇宙がいかに始まったかについての議論は[[宗教]]や[[哲学]]上の問題として語られて続けている<ref name=Ara8>[[#荒舩|荒舩、pp. 8-13、ビッグバンからはじまった宇宙]]</ref>。宇宙に関する説・研究などは[[宇宙論]]と呼ばれている。
 
古代インドの[[ヴェーダ]]では無からの発生、原初の[[原人]]の犠牲による創造、苦行の熱からの創造、といった宇宙生成論があった。[[古代ギリシャ]]では[[ヘシオドス]]の『神統記』に宇宙の根源の[[カオス]]があったとする記述があったが、[[ピタゴラス学派]]は宇宙を[[コスモス (宇宙観)|コスモス]]と見なし、[[天文現象]]の背後にひそむ[[数]]的な秩序を説明することを追究した。秩序の説明の追究は、やがて[[エウドクソス]]による、地球を27の層からなる天球が囲んでいる、とする説へとつながり、それはまた[[アリストテレス]]への説へと継承された。2世紀ころの[[クラウディオス・プトレマイオス]]は『[[アルマゲスト]]』において、天球上における天体の動き([[軌道 (力学)|軌道]])の数学的な分析を解説した。これによって天動説は大成され、ヨーロッパ[[中世]]においてもアリストテレスの説に基づいて宇宙は説明された。しかし天球を用いた天体の説明は、その精緻化とともに、そこにおける[[天球]]の数が増えていき、非常に複雑なものとなっていった。こうした状況に対し、[[ニコラウス・コペルニクス]]は従来の地球を中心とする説([[地球中心説]])に対して、[[太陽中心説]]を唱えた。この太陽中心説([[地動説]])は、当初は惑星軌道が楕円を描いていることが知られていなかったために[[周転円]]を用いた天動説よりも精度が低いものであったが、やがて[[ヨハネス・ケプラー]]による楕円軌道の発見などにより地動説の精度が増していき、天動説に代わって中心的な学説となった。宇宙は始まりも終わりも無い同じ状態であるものと[[アイザック・ニュートン]]は考え<ref name=Ara8 />、『[[自然哲学の数学的諸原理]]』の第3巻「世界の体系について」において、宇宙の[[数学]]的なしくみを説明し、地球上の物体も太陽のまわりをまわる惑星も、それまで知られなかった[[万有引力]]というものを導入すれば数学的原理を用いて統一的に説明できる、ということを示してみせた。こうした理論体系を構築した背景には[[神学]]的な意図があったとも指摘されている。ニュートンが同著で[[ユークリッド幾何学]]を用いつつ[[絶対時間と絶対空間|絶対空間・絶対時間]]という概念を導入したため、その後の西欧では多くの人々が宇宙を無限に均一に広がる空間だと見なし、静的で安定的なものだと考えていた。
 
 
 
科学的な分析が始まった<ref name=Ara8 />20世紀初頭でも科学者も含めてほとんどの人は宇宙は静的だと見なしていた。20世紀になり[[アルベルト・アインシュタイン]]により絶対時間・絶対空間を否定し、宇宙の不安定なモデル(宇宙方程式)が提示され<ref name=Ara8 />、1927年ベルギーの[[司祭]][[ジョルジュ・ルメートル]]が「宇宙は“原始的原子”の“爆発”から始まった」とする説を提唱し、この説が後に「[[ビッグバン]]」と呼ばれるようになった。その説は最初は科学者などからも反発されたものの、やがて徐々に受け入れられるようになり、今日では多くの科学者が支持する「標準的宇宙論モデル」を構成する要素になっている。
 
 
 
== 現代宇宙論 ==
 
{{Physical cosmology}}
 
=== 宇宙の大きさ ===
 
{{ external media
 
| width  = 300px
 
| align  = right
 
| video1 = [http://www.youtube.com/watch?v=17jymDn0W6U 宇宙の大きさ] - 2009年時点の科学的知識に基づき、宇宙背景放射が放射された面までの宇宙全体を光行距離で描いた動画 (2009年12月、[[アメリカ自然史博物館]])
 
}}
 
宇宙の大きさについてはまだ分かっていないことが多いが、「宇宙の果て」と言えば2種類の意味がある。ひとつは、数百年前でも議論されていたことで、物理的な空間に端があるのか、相対性理論が提唱されて以降は空間は曲がってつながっていて端は無いのか、という問題として扱う場合。「宇宙の果て」は、もうひとつの意味としては、観測可能な限界ライン([[事象の地平面|宇宙の地平線]])を指す。
 
 
 
[[地球]]から理論上観測可能な領域([[観測可能な宇宙]])に限って問題にすれば、半径約450億[[光年]]の球状の範囲である。ただしこの大きさは[[赤方偏移]]から計算された理論上の値であり、直接の観測によって正確に分かっているわけではない。
 
 
 
典型的な[[銀河]]の直径でも3万光年であり、隣どうしの銀河の間の典型的な距離は300万光年にすぎない<ref>Rindler (1977), p.196.</ref>。例えば、我々人類が属している[[銀河系|天の川銀河]]はざっと10万光年の直径であり<ref>{{cite web
 
| last = Christian
 
| first = Eric
 
| last2 = Samar
 
| first2 = Safi-Harb
 
| title = How large is the Milky Way?
 
| url=http://imagine.gsfc.nasa.gov/docs/ask_astro/answers/980317b.html
 
| accessdate = 2007-11-28 }}</ref>、我々の銀河に最も近い銀河の[[アンドロメダ銀河]]はおよそ250万光年離れている<ref>{{cite journal
 
| author=I. Ribas, C. Jordi, F. Vilardell, E.L. Fitzpatrick, R.W. Hilditch, F. Edward
 
| title=First Determination of the Distance and Fundamental Properties of an Eclipsing Binary in the Andromeda Galaxy
 
| journal=Astrophysical Journal
 
| year=2005
 
|volume=635
 
| pages=L37–L40
 
| url=http://adsabs.harvard.edu/abs/2005ApJ...635L..37R
 
| doi = 10.1086/499161
 
}}<br />{{cite journal
 
| author=McConnachie, A. W.; Irwin, M. J.; Ferguson, A. M. N.; Ibata, R. A.; Lewis, G. F.; Tanvir, N.
 
| title=Distances and metallicities for 17 Local Group galaxies
 
| journal=Monthly Notices of the Royal Astronomical Society
 
| year=2005
 
|volume=356
 
|issue=4
 
| pages=979–997
 
| url=http://adsabs.harvard.edu/cgi-bin/nph-bib_query?bibcode=2005MNRAS.356..979M
 
| doi = 10.1111/j.1365-2966.2004.08514.x
 
}}</ref>。観測可能な宇宙の範囲内だけでもおそらく1000億個(10<sup>11</sup>個)の銀河が存在している<ref>{{cite web | last = Mackie | first = Glen |date= February 1, 2002 | url = http://astronomy.swin.edu.au/~gmackie/billions.html | title = To see the Universe in a Grain of Taranaki Sand | publisher = Swinburne University | accessdate = 2006-12-20 }}</ref> 。
 
 
 
《地球上から見ることができる宇宙の大きさ》とは、[[人間]]が物理的に観測可能な宇宙の時空の最大範囲を指す表現である。宇宙は膨張し続けているため、宇宙の大きさを表現するにはいくつかの単位がある。({{仮リンク|距離測度|en|distance measures (cosmology)}}も参照のこと)
 
「光を含む電磁波により人類が地球から[[観測可能な宇宙]]の果て」と言うと、観測できる光のなかでも、最も古い時代に光が放たれた空間のことを指している。この空間から光が放たれたとき、つまり約138億年前([[宇宙の晴れ上がり]]直後)、この空間(観測可能な宇宙の果て)は地球がある位置から(地球を中心とする全方向に宇宙論的固有距離において)約4100万[[光年]]離れたところにあった。そしてこの空間は、地球の位置から、光の約60倍の速度<ref group="注釈">ここでいう「速度」の大きさとは地球のある位置から対象までの宇宙論的固有距離を宇宙時間で微分したものである。以下、「宇宙の大きさ」の項目における「速度」および「速さ」はこの定義に準ずる。</ref>で遠ざかっていた、とされる。この空間までの現在の距離である{{仮リンク|共動距離|en|Comoving_distance}}は、約450億光年<ref group="注釈">450億光年先の空間は現在における光子の[[事象の地平面#宇宙の地平面|粒子的地平面]]である。
 
</ref>と推定されている。<ref>[http://www.nao.ac.jp/study/uchuzu/rule.html 「宇宙図の見方」](国立天文台)</ref>{{要出典範囲|宇宙の晴れ上がりの直後から約138億年の間に、宇宙は約1090倍程度に膨張したと考えられている。この空間は現在、光速の約3.5倍の速度で地球から遠ざかっている(宇宙の膨張は空間自体の膨張であるため、光速を超えることも可能である)。|date=2014年11月}}
 
 
 
「天体から放たれた[[光]]が地球にたどり着くまでの時間に光速をかけたもの」は{{仮リンク|光行距離|en|Distance measures (cosmology)}}と呼ばれている<ref group="注釈">「光行距離」は現代[[中国語]]での表現。日本語ではまだ Light travel distance の定訳はない。中国語でも Comoving distance の訳語は「共動距離」である。</ref>。これは光が地球に届くまでの間に、光の旅した道のりを表す。光行距離では、[[電磁波]]により観測される宇宙<ref group="注釈">電磁波による観測に制限されない、観測可能な宇宙との違いに注意。</ref>の果てから地球までの光の旅した道のりは約138億光年と推定されている。これは光速に宇宙の年齢をかけたものだが、この値は先に述べた2つの距離(450億光年、4100万光年)と値が異なっている。光が地球に届く間に宇宙が膨張し、そのため光の道のりが延び、また光を放った空間が遠ざかるからである。つまり、光行距離はある時刻における空間上の2点間の距離を指し示すものではない。天文学では光行距離を天体までの距離とみなすことが多いが、それは我々に届く光が旅した道のりであり、現在の天体までの距離や、天体が光を放ったときの天体までの距離を示すものではない。
 
 
 
現在の我々が観測することができる最も古い時代に放たれた光は、約138億年前に約4100万光年離れた空間から放たれた光である。そしてその光源がある空間は、現在450億光年の彼方にあり、光は138億年かけて138億光年の道のりを旅してきた。わずか4100万光年の距離を光が進むのに138億年もの時間を費やしたのは宇宙の膨張が地球への接近を阻んだためである(これは、流れの速い川を上流へ向かう船がなかなか前に進めないことと似ている。宇宙空間の膨張は一般相対性理論より導かれる。よって電磁波の媒質である空間の膨張により地球を基点としたときの、地球から離れた場所にある光の速度が変化しても特殊相対性理論における「光速度不変の法則」とは矛盾しない)。
 
 
 
我々の観測可能な領域を超える宇宙は、共動距離的な意味の場合、[[インフレーション理論]]に基づき、より広大であろうと予想されている。宇宙の大きさは、誕生から現在までの膨張速度にもよるが、[[レオナルド・サスキンド]]はインフレーション直後の宇宙の大きさは有限ながらも、<math>10^{10^{10^{122}}}</math>メガパーセクという非常に大きな値を解の1つに得ている。宇宙の大きさが有限の場合、空間は閉じており、直進すれば宇宙を1周することになる。無限であるとすれば永久に元の場所に戻ることはないが、確率的には十分遠方に至れば地球周辺と原子配置が同一の領域が存在すると言える。この領域に到達した時点で実質的に宇宙を周回したことと同じ効果があり、無限宇宙は矛盾する。
 
 
 
=== 宇宙の年齢 ===
 
宇宙の誕生からどれだけの時間が経っているのかという疑問については古くから様々な考えが提言され、始まりも終わりも無い不変なものと考えられた時もあった<ref name=Ara20>[[#荒舩|荒舩、p. 20、宇宙は今、何歳なのか]]</ref>。しかしハッブルが宇宙の膨張を発見すると、その始まりの時期について科学的な議論が行われるようになった。ハッブルが[[膨張]]を逆算して導いた最初の計算結果による年齢は約20億年であり、地球の年齢より若くなったが、後に多くの間違いが見つかった<ref name=Ara20 />。その後の観測などで100億年以上という帰結には至っていた<ref name=Ara20 />。
 
 
 
2003年<ref name=Ara20 />、[[アメリカ航空宇宙局|NASA]]の宇宙探査機[[WMAP]]による[[宇宙マイクロ波背景放射]]の観測値を根拠に計算したものによると、約137億歳(正確には、13.772 ± 0.059 Gyr)と、正確な推定が行われた<ref>{{cite web | title = Nine-Year Wilkinson Microwave Anisotropy Probe (WMAP) Observations: Final Maps and Results | url=http://arxiv.org/pdf/1212.5225v1.pdf|format=PDF|accessdate=2013-01-29}}</ref> 。この値は、他の[[放射年代測定]]を根拠に計算された110–200億歳<ref>{{cite web | author =Britt RR | title =Age of Universe Revised, Again | publisher =[[space.com]] | date = 2003-01-03
 
| url = http://www.space.com/scienceastronomy/age_universe_030103.html | accessdate = 2007-01-08}}</ref>や130–150億歳<ref>{{cite web
 
| author = Wright EL | title =Age of the Universe | publisher =[[UCLA]] | year = 2005 | url = http://www.astro.ucla.edu/~wright/age.html | accessdate = 2007-01-08}}<br />{{cite journal | author = Krauss LM, Chaboyer B | title =Age Estimates of Globular Clusters in the Milky Way: Constraints on Cosmology | journal =[[Science (journal)|Science]] | volume = 299 | issue = 5603 | pages = 65–69 | publisher =American Association for the Advancement of Science | date = 3 January 2003 | url = http://www.sciencemag.org/cgi/content/abstract/299/5603/65?ijkey=3D7y0Qonz=GO7ig.&keytype=3Dref&siteid=3Dsci | accessdate = 2007-01-08 | doi =10.1126/science.1075631 | pmid =12511641}}</ref>とする大雑把な推定値とも矛盾していない。2013年3月21日、[[欧州宇宙機関]](ESA)は「宇宙の誕生時期がこれまでの通説より1億年古い、約138億年前(正確には、13.798 ± 0.037 Gyr)である<ref>{{cite web | title = Planck 2013 results. XVI. Cosmological parameters | url=http://arxiv.org/pdf/1303.5076v1.pdf|format=PDF|accessdate=2013-06-08}}</ref>」と発表した。これはESAの人工衛星[[プランク_(人工衛星)|プランク]]により、これまでで最高の精度で<ref name=Ara20 />宇宙マイクロ波背景放射を観測し、そのデータから作成した初期の宇宙の温度分布をもとに結果を算出した結果である。今後も観測精度の向上による年齢の詳細判明が期待される<ref name=Ara20 />。
 
 
 
=== 宇宙の成分 ===
 
[[File:DMPie 2013.svg|thumb|right|250px|原子でできている通常の物質は宇宙全体の5%にも満たない。]]
 
宇宙は何でできているか、またその占める割合については、かつては光を含む電磁波による観測から求められていた。ところが、様々な研究を通じて必ずしも観測できるものだけが宇宙を構成しているとは考えられなくなった。やがて宇宙の成分は原子である物質ではなく、エネルギーの比で表されるようになり、むしろ未だ正体が判明しないダークマターとダークエネルギーとの割合が多数を占めるようになった<ref name=Ara22>[[#荒舩|荒舩、pp. 22-23、星や銀河は宇宙のわずか5%にすぎない]]</ref>。[[宇宙マイクロ波背景放射]]の観測で得た宇宙初期のむらから当初試算されたエネルギー比は、ダークエネルギー72.8%・ダークマター22.7%・物質(原子)4.5%だったが<ref name=Ara22 />、[[宇宙探査機]][[WMAP]]や[[人工衛星]][[プランク (人工衛星)|プランク]]の観測によって、2003年以降、精度が高められ、以下の数値になった。<ref>{{cite web
 
| publisher = [[欧州宇宙機関|ESA]]
 
| title = Planck reveals an almost perfect Universe
 
| date = 2013-03-21
 
| url = http://www.esa.int/Our_Activities/Space_Science/Planck/Planck_reveals_an_almost_perfect_Universe
 
| accessdate = 2013-07-07
 
}}</ref><ref name=Ara22 />。
 
 
 
* [[ダークエネルギー]]: 68.3%
 
* [[暗黒物質]](ダークマター): 26.8%
 
* [[原子]]: 4.9%
 
 
 
人類はその目に映る物質の根源や力の法則を明らかにする研究を続け[[素粒子物理学]]を構築している。それは宇宙開闢の様子さえ理論化に成功した。ところが、宇宙の研究においてこれらの考察が宇宙全エネルギーの4.9%程度にしかならず、残りの95%は、そのようなものがあるという程度しか理解が及んでいない。この分野への科学的探究が求められている<ref name=Ara22 />。
 
 
 
宇宙にある元素は、[[水素原子]]が93.3%を、[[ヘリウム原子]]が6.49%を占める。<ref>「徹底図解 宇宙のしくみ」、[[新星出版社]]、2006年、p39</ref>また、観測可能宇宙内の原子の総数は、足し合わせると10の80乗個程度となる。
 
 
 
=== 宇宙の膨張 ===
 
20世紀に入り行われた[[観測]]から、宇宙は[[膨張]]をしていると見なされている。だが過去には様々な考えがあった。[[アイザック・ニュートン]]は[[絶対時間]]・[[絶対空間]]の前提から導かれた[[ニュートン力学]]が支持され、人々は宇宙は[[静的]]で[[定常]]であると見なしていた<ref name=Ara8 />。
 
 
 
[[1915年]]に[[アルベルト・アインシュタイン]]が発表した[[一般相対性理論]]では、[[エネルギー]]と[[時空]]の[[曲率]]の間の関係を記述する[[重力場方程式]]([[アインシュタイン方程式]])があった。この方程式が導き出す宇宙の未来は、星々の[[重力]]によって宇宙は[[収縮]]に転じ、やがて一点に潰れるというものだった<ref name=Ara8 />。この解は、アインシュタイン自身や[[ウィレム・ド・ジッター]]、[[アレクサンドル・フリードマン]]、[[ジョルジュ・ルメートル]]らによって導かれた。当初アインシュタインは、宇宙は定常であると考えていたため自分が見つけた解に[[定数]]([[宇宙定数]])を加えることで宇宙が定常になるように式に手直しを加えた<ref name=Ara8 />。
 
 
 
[[1929年]]に[[エドウィン・ハッブル]]が、すべての銀河が遠ざかっている事を発見し、さらに[[距離]]が遠い銀河ほど遠ざかる速度が早いことを見出した([[ハッブルの法則]])。この[[観測]]結果から「膨張する宇宙」という概念が生じ、アインシュタインも「人生最大の誤り」と述べ重力場方程式から宇宙定数を外した<ref name=Ara8 />。
 
 
 
==== 膨張の中心 ====
 
すべての天体を含む宇宙全体が膨張しているため、無数の銀河がほぼ一様に分布していて、その距離に[[比例]]した[[速度]]で遠ざかっている。そのため、いずれかの銀河から見たとしても、同じ速度に見える(膨張宇宙論)。「[[宇宙原理]]を採用すれば、宇宙には果てがない」と言うため、これを信じれば宇宙膨張の中心は存在しない。銀河の後退速度が[[光速]]に等しくなる距離は、宇宙論的固有距離において地球から約150億光年のところとなる。宇宙年齢に光速をかけた距離とこの距離が近似するのは偶然である。ここまでの距離は[[ハッブル距離]]、あるいは[[ハッブル半径]]と呼ばれるが、これは宇宙の[[地平面]](宇宙の事象の地平面、あるいは粒子的地平面)ではない。[[光速]]を超えて遠ざかる天体は赤方偏移Z=1.6程度の天体と考えられるが、この値を超える天体はすでに1000個程度観測されている。
 
 
 
=== 宇宙の誕生 ===
 
[[ファイル:Universe expansion-en.svg|thumb|220px|[[ビッグバン]]理論では、宇宙は極端な高温高密度の状態で生まれたとされる(下)。その後、[[空間]]自体が時間の経過とともに膨張し、[[銀河]]はそれに乗って互いに離れていく(中、上)]]
 
[[ビッグバン理論]](ビッグバン仮説)では、宇宙の始まりは[[ビッグバン]]と呼ばれる大爆発であったとされている。[[ハッブルの法則]]によると、地球から遠ざかる天体の速さは地球からの距離に比例している。そのため、逆に時間を遡れば、過去のある時点ではすべての天体は1点に集まっていた、つまり宇宙全体が非常に小さく高温・高密度の状態にあった、と推定される。このような初期宇宙のモデルは「ビッグバン・モデル」と呼ばれ、1940年代に[[ジョージ・ガモフ]]が物理学の理論へ纏め上げた<ref name=Ara8 />。
 
 
 
ガモフはビッグバンの時に発せられた光がマイクロ波として観測されるはずと予言した<ref name=Ara8 />。その後、[[1965年]]に[[アーノ・ペンジアス]]と[[ロバート・ウッドロウ・ウィルソン|ロバート・W・ウィルソン]]によって、宇宙のあらゆる方角から放射される絶対温度3度の黒体放射に相当するマイクロ波([[宇宙背景放射]])が発見された。これは宇宙初期の高温な時代に放たれた[[熱放射]]の名残とみなされ、予言の正しさを裏付ける証拠とされた<ref name=Ara8 />。
 
 
 
ビッグバン・モデルの研究は進み、例えばその温度についてガモフは100億度程度と考えたが、後に10<sup>31</sup>度と試算されている。ビッグバン直後の宇宙には物資は存在せず、エネルギーのみが満ちた世界だったと考えられている。理論によると、物質の基礎になる[[素粒子]]は100万分の1秒が経過した頃に生じ、その時には温度が10兆度程度まで下がった。1万分の1秒後に温度は1兆度になり、[[陽子]]や[[中性子]]が出来上がった。宇宙は膨張しながらさらに冷え、3分後には水素・ヘリウム・リチウムなどの原子核や電子が生じ、温度は10億度になった。38万年が経過すると温度3800度程度になり、電子が[[原子核]]に囚われて[[原子]]となって、ビッグバンが起こった時に生じた[[光子]]が素粒子に邪魔されずに真っ直ぐ進めるようになった。これは「宇宙の晴れ上がり」と呼ばれ、この光が宇宙背景放射である<ref name=Ara8 />。原子は電気的に中性で反発しないため、やがて重力で纏まり始めて、約1~1.5億年後には[[ファーストスター]]が<ref name=Ara16-17>[[#荒舩|荒舩、pp. 16-17、ビッグバンで膨張した宇宙の成長]]</ref>、約9億年後には<ref name=Ara14>[[#荒舩|荒舩、pp. 14-15、ビッグバンの前にも宇宙はあった]]</ref>星や銀河を形成するようになった<ref name=Ara8 />。
 
 
 
しかしその後、宇宙の[[地平線問題]]や[[平坦性問題]]といった、初期の単純なビッグバン理論では説明できない問題が出てきた。これらを解決する理論として1980年代に[[インフレーション理論]]が提唱され、ビッグバン以前に急激な膨張(インフレーション)が起こった、とされるようになった<ref>[http://www.nao.ac.jp/study/uchuzu/univ01.html 「宇宙はどのように生まれたのか?」](国立天文台)</ref>。この理論では宇宙の真の誕生はビッグバンの前に無から生じ、急激な膨張(インフレーション)を経てからビッグバンが起こったという。インフレーション時に内包するエネルギーにはわずかなムラがあり、このムラが原子の集積を呼び込んだ事、またムラが一様だったため宇宙が平坦になったとしている<ref name=Ara14 />。提唱当時のインフレーション理論には観測結果が伴っていなかったが、後に精密な宇宙背景放射の測定が理論と一致する事が判明し、信頼性が高まった<ref name=Ara14 />。
 
 
 
=== 宇宙の未来 ===
 
{{main|宇宙の終焉}}
 
宇宙定数を取り除いた[[アインシュタイン方程式]]の解が示す宇宙の未来は、膨張がやがて収縮し、最終的に一点につぶれる[[ビッグクランチ]]と呼ばれるモデルであった。地球表面でボールを空に投げると高く上がるが、やがて勢いが無くなり落ちて来る。同様に、膨張の原動力である熱や光の放出の力が低下し、重力が優勢になると宇宙は膨張速度を落とし、収縮に転じる。ほとんどの科学者はこのモデルを支持していた<ref name=Ara18>[[#荒舩|荒舩、pp. 18-19、宇宙が辿る運命は3つの可能性]]</ref>。
 
 
 
ところが1998年に膨張速度を観測した2つのグループ<ref group="注釈">この2つのグループはライバル関係にあり、それらが同じ結論に至った事が観測の信ぴょう性を高めた。[[#荒舩|荒舩、p. 19]]</ref>が、宇宙誕生後70億年頃から加速膨張が始まったと発表し、未来モデルは書き換えられた。宇宙を加速膨張させる原動力は謎のままダークエネルギーと名付けられ、将来的にこの量がどのように推移するかによって2つのモデルが作られた。ダークエネルギーの増加が続き膨張が加速され続けてやがて無限大になると、宇宙は素粒子レベルまでばらばらに引き裂かれて終焉を迎える。これは[[ビッグリップ]]と呼ばれる。ダークエネルギーによる膨張が無限大に達しなければ、宇宙は緩やかに膨張を続けながらも破綻しない可能性もある<ref name=Ara18 />。
 
 
 
=== 宇宙の歴史 ===
 
{{main|宇宙の年表}}
 
 
 
=== 宇宙の階層構造 ===
 
[[ファイル:Andromeda galaxy.jpg|thumb|局部銀河群最大の[[アンドロメダ銀河]]<br/>250万光年の距離]]
 
[[地球]]は[[惑星]]のひとつであり、いくつかの惑星が[[太陽]]の周りを回っている。太陽とその周りを回る惑星、その周りを回る[[衛星]]、そして[[準惑星]]、[[小惑星]]や[[彗星]]が[[太陽系]]を構成している。
 
 
 
太陽のように自ら光っている星を[[恒星]]という。恒星が集まって[[星団]]を形成し、恒星や星団が集まって[[銀河]]を形成している。銀河に含まれる恒星の数は、小さい銀河で1000万程度、巨大な銀河では100兆個に達するものもあると見られている。
 
 
 
銀河は単独で存在することもあるし、集団で存在することもある。銀河の集団は、[[銀河群]]、[[銀河団]]と呼ばれる。それらがさらに集まったものは[[超銀河団]]と呼ばれる。さらに巨視的には、いくつもの超銀河団が壁状あるいは柱状に連なったようになっていて、これを[[銀河フィラメント]]と呼ぶ。壁状のものは特に銀河ウォールもしくは[[グレートウォール]]等とも呼ぶ。銀河ウォールや銀河フィラメントの周囲には銀河がほとんど存在しないような空虚な大空間が広がっていて、この空間を[[超空洞]](ボイド)と呼ぶ。現在の科学で観測されうる最大の宇宙の構造がこの超空洞と銀河フィラメントの重層構造であり、これを[[宇宙の大規模構造]]と呼ぶ。この構造は面と空洞から成ることから「宇宙の泡構造」としてよく表現される。
 
 
 
我々の住む銀河は、[[銀河系]]あるいは天の川銀河と呼ばれ、2000億~4000億個の恒星が存在している。天の川銀河は直径10万光年ほどの大きさで、地球から見ると文字通り[[天の川]]となって見える。[[星座]]を形づくるような明るい星は地球の近傍にある星であり、ほとんどは数光年から千数百光年ほどの距離にある。
 
 
 
天の川銀河の所属する銀河群は[[局部銀河群]]と呼ばれ、局部銀河群は[[おとめ座超銀河団]]の一員である。また、おとめ座超銀河団は、「[[うお座・くじら座超銀河団Complex]]」という名の長さ10億光年の銀河フィラメントの一部である。
 
なお、超銀河団の枠組みとしては、おとめ座超銀河団より大きな範囲となる[[ラニアケア超銀河団]]を設定すべきとの考えもある。ラニアケア超銀河団の中心には、[[グレートアトラクター]]と呼ばれる巨大な重力源が存在し、おとめ座超銀河団も、それにより引きつけられている。ただし、宇宙膨張によって引き離される話のほうが大きいので近づいているわけではない。
 
 
 
地球から観測可能な範囲(光が届く範囲)には、少なくとも1700億個の銀河が存在すると考えられている。
 
 
 
=== メガパーセク ===
 
天文的な距離を表すのには[[光年]]がよく用いられるが、銀河団間の距離や宇宙の構造を取り扱う場合には[[メガパーセク]] (Mpc) が使われることがある。1メガパーセクは326万光年。
 
 
 
* 宇宙膨張を考慮した最大観測可能距離([[共動距離]]):14000 Mpc
 
* 見かけ上の最大観測可能距離:4200 Mpc
 
* 各[[クエーサー]]までの距離:600〜4000 Mpc
 
* [[ヘルクレス座・かんむり座グレートウォール]]の大きさ:3000 Mpc
 
* [[うお座・くじら座超銀河団Complex]]の全長:300 Mpc
 
* [[シャプレー超銀河団]]までの距離:200 Mpc
 
* [[かみのけ座銀河団]]までの距離:90 Mpc
 
* [[グレートアトラクター]]までの距離:68 Mpc
 
* [[ケンタウルス座銀河団]]までの距離:48 Mpc
 
* [[宇宙の晴れ上がり|晴れ上がり]]時の宇宙の大きさ(観測可能宇宙の直径):25Mpc
 
* [[おとめ座銀河団]]までの平均距離:20 Mpc
 
* [[アンドロメダ銀河]]までの距離:0.7 Mpc
 
* [[銀河系]]の直径:0.03 Mpc
 
* [[ハッブル定数]]:67 km/s/Mpc
 
 
 
==== 解説 ====
 
* おとめ座超銀河団の隣の超銀河団は、うみへび座ケンタウルス座超銀河団であるが、両者は非常に近い関係にある。
 
* クエーサーは、天体の中でも最も明るいものであるが、宇宙が若い頃(20億〜30億歳の頃)に多く形成された天体であるため、遠くに見えている。(遠くの天体は過去の事象が見えている)
 
* ヘルクレス座かんむり座グレートウォールは、今までに観測された中で最も大きな宇宙の大規模構造
 
* かみのけ座銀河団を核とする[[かみのけ座超銀河団]]も、おとめ座超銀河団の隣の超銀河団であるが、所属するフィラメントは異なる。かみのけ座超銀河団はかみのけ座ウォールの中心部である。
 
* [[ハッブルの法則]]をおとめ座銀河団に当てはめてみると、20Mpc x 67km/s/Mpc = 1340km/s となり、おとめ座銀河団は、1340km/sという速度で、我々から遠ざかっている。ここから、おとめ座銀河団の重力による銀河系がおとめ座方向へ近づく速度 185km/sを引くことにより、実際の相対速度1155km/sが導かれる。
 
* シャプレー超銀河団は、ラニアケア超銀河団の隣の超銀河団
 
 
 
== 人類の宇宙観 ==
 
人類の宇宙観は、ここ百年ほどの間で大きく進展してきた。学問的には、静的な宇宙観から動的な宇宙観へと移行し、科学技術的には、人類は有人宇宙飛行を実現し、地球以外の天体である月に降り立ち、国際宇宙ステーションも建造した。宇宙に関するSFや映画などの創作物も啓蒙的な意義を持っていた。
 
 
 
{{右|
 
[[ファイル:Albert_Einstein_Photography.jpg|thumb|150px|相対性理論によって宇宙論の道を示したアインシュタイン]]}}
 
中でも物理学上の時空間に関する観念の変革は、大きな意味を持っている。学問上の大きな起点となったばかりではなく、我々の生活上の常識からの類推が、宇宙の本質を考察するためには全く不適合であることを示した意味合いも持っている。
 
=== 奇蹟的な宇宙 ===
 
そのように、物理学に大改革がもたらされた当初、この宇宙に存在する各物理定数がどうしてそのような値になったのかも次第に解明されていくものと思われていた。しかし、最新の[[超ひも理論]]などによれば、今の宇宙に見られる物理定数は、宇宙創世時にたまたまそうなっただけで、実はどんな値でも採り得たというのである。そのパターンは実に10の500乗通りにも及ぶという。そしてこれらの値は、人間の存在のために都合良く出来過ぎている。つまり、我々の住む宇宙は奇蹟的な宇宙なのである。この宇宙の不思議さに対して、これを紐解こうとする試みもある。'''人間原理'''によれば、生成される宇宙は無数にあるため、その中のひとつがたまたま人間に都合がよくても驚くに当たらない、という。例えば、10の500乗個の宇宙があれば、10の500乗のパターンのうちの特別なひとつが現れたとしても不思議ではなく、我々がたまたまそこに居るだけということになる。(なお、人間原理には、弱い人間原理や強い人間原理など、いくつか種類がある。詳しくは「[[人間原理]]」の項を参照のこと。)
 
=== 歴史上の宇宙観 ===
 
{{右|
 
[[ファイル:Cellarius ptolemaic system.jpg|thumb|150px|[[クラウディオス・プトレマイオス|プトレマイオス]]の説にもとづいて作られた宇宙モデル]]
 
[[ファイル:Astrolabium.jpg|thumb|150px|1208年のアラビアの[[アストロラーベ]] ]]
 
}}
 
以下の各項目を参照。
 
* [[天動説]]
 
* [[地動説]]
 
* [[蓋天説]]
 
* [[渾天説]]
 
* [[宣夜説]]
 
 
 
== 宇宙と哲学 ==
 
「私は何故あるのか」という問いに答えようとすると「宇宙は何故あるのか」という問いにつながってゆく。こういった問いに関する問題は[[存在論]]と呼ばれ、[[認識論]]と並ぶ[[形而上学]]の主要テーマのひとつである。
 
 
 
[[ゴットフリート・ライプニッツ|ライプニッツ]]は、存在論において「[[なぜ何もないのではなく、何かがあるのか]]」という形でこれを定式化し、[[カント]]や[[ショーペンハウアー]]、[[ベルクソン]]らが取り組み、[[ハイデガー]]もまたこの問題の重要性を説いた。
 
 
 
これに対し、[[ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタイン|ウィトゲンシュタイン]]をはじめとする[[不可知論]]の立場からは、「語りえないものについては、沈黙しなければならない」との論がある。
 
 
 
== 宇宙人および地球外生命体 ==
 
星に人が住んでるという着想は古来より見られる。日本最古の物語とされる[[竹取物語]]においても、かぐや姫は月の住人であり、ローマ帝国時代の作家の作品には太陽の住人や金星の住人の話が出てくるという。
 
文化の大衆化が進んだ近現代においては、[[UFO]]の目撃情報等がまことしやかに流れ、宇宙人の存在は観測されていないものの十分に科学的か現実的な考えである。
 
また一方で、宇宙人から地球人へのコンタクトがなされた形跡やその証拠がないものも事実であり、これを論理的矛盾と見ることも出来る。この問題を[[フェルミのパラドックス]]と呼ぶ。
 
 
 
== 宇宙の観測・探査 ==
 
* [[公開天文台一覧]]:日本の公共天文台を主に扱っているページ
 
* [[天文台一覧]]:海外の天文台を主に扱っているページ
 
*[[宇宙望遠鏡の一覧]]
 
* [[望遠鏡]]・[[宇宙望遠鏡]]の項なども参照のこと
 
 
 
== 宇宙開発 ==
 
{{main| 宇宙開発}}
 
* [[人工衛星]]
 
* [[宇宙ステーション]]
 
* [[スペースコロニー]]
 
 
 
* [[宇宙太陽光発電]]:宇宙空間下での太陽光は高エネルギーかつ安定的なので、これを電力化しようという未来の技術
 
* [[軌道エレベータ]]:[[静止衛星]]軌道上の宇宙基地と地上とを結ぶケーブル上を往復する乗り物。実現すれば、飛行機のような手軽さでの宇宙空間への往来が可能となる。
 
* [[宇宙旅行]]
 
* [[テラフォーミング]]:他の惑星を地球化するプロジェクト
 
* [[スペースデブリ]]問題
 
* [[宇宙法]]
 
 
 
== 平行宇宙 ==
 
{{main|多元宇宙論}}
 
我々の住む宇宙となんらかの係わり合いがあるような平行宇宙、もしくはその存在が確かめられそうな平行宇宙は、議論の対象となる。理論物理学の世界では、[[エヴェレットの多世界解釈]]に代表されるような[[多元宇宙論]]が、いくつか知られている。
 
{{節スタブ}}
 
 
 
== 脚注 ==
 
=== 注釈 ===
 
{{脚注ヘルプ}}
 
{{Reflist|group="注釈"|2}}
 
 
 
=== 出典 ===
 
{{脚注ヘルプ}}
 
{{Reflist|3}}
 
 
 
== 参考文献 ==
 
* {{Cite book|和書|title=宇宙がわかる本|author=荒舩良孝|publisher=[[宝島社]]|year=2014|isbn=978-4-8002-2941-0|ref=荒舩}}
 
  
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ギリシア語の kosmosは元来秩序の意味で,混沌 (カオス kaos) に対立する概念。 (1) 哲学においては,世界を法則的統一をもつものと考えて,こう呼ぶことが多い。この意味で kosmosの語を初めて用いたのは,数を宇宙の成立原理と考えたピタゴラスにさかのぼる。西南ドイツ学派のウィンデルバントのように,自然的宇宙に対して歴史的過程の文化の総体を「歴史的宇宙」と呼ぶ場合もある。
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(2) 宇宙空間 outer space 法的概念としては,地球を取巻く一定高度の空域をこえて宇宙に広がる空間をいう。[[宇宙条約]]では宇宙空間には国家の領空権は及ばず,宇宙天体の領有も排除され,宇宙空間における活動は国際法に準拠して規制されることになっている。ただし,領空と宇宙空間の明確な境界線は出されていない。
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== 関連項目 ==
 
== 関連項目 ==
{{Wiktionary|宇宙}}
 
{{Commons&cat|Space|Space}}
 
 
* [[宇宙論]] - [[時空]] - [[相対性理論]] - [[事象の地平面]]
 
* [[宇宙論]] - [[時空]] - [[相対性理論]] - [[事象の地平面]]
 
* [[天文学]] - [[天体]] - [[銀河系]]([[天の川|天の川銀河]]) - [[恒星]] - [[惑星]]
 
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2018/10/27/ (土) 11:57時点における版

宇宙(うちゅう)

ギリシア語の kosmosは元来秩序の意味で,混沌 (カオス kaos) に対立する概念。 (1) 哲学においては,世界を法則的統一をもつものと考えて,こう呼ぶことが多い。この意味で kosmosの語を初めて用いたのは,数を宇宙の成立原理と考えたピタゴラスにさかのぼる。西南ドイツ学派のウィンデルバントのように,自然的宇宙に対して歴史的過程の文化の総体を「歴史的宇宙」と呼ぶ場合もある。

(2) 宇宙空間 outer space 法的概念としては,地球を取巻く一定高度の空域をこえて宇宙に広がる空間をいう。宇宙条約では宇宙空間には国家の領空権は及ばず,宇宙天体の領有も排除され,宇宙空間における活動は国際法に準拠して規制されることになっている。ただし,領空と宇宙空間の明確な境界線は出されていない。

関連項目

外部リンク




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