全日空ホテルズ

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全日空ホテルズ(ぜんにっくうホテルズ)は、日本航空会社全日本空輸(以下全日空)とイギリスインターコンチネンタルホテルズグループ (IHG)との提携のもとで展開するホテルブランドの総称。運営会社はIHG・ANA・ホテルズグループジャパン(ANAはすべてエーエヌエーと読む)。

インターコンチネンタル」、「ANAクラウンプラザホテル」、「ホリデイ・イン」、「ANAホテル」の4つのホテルブランドをチェーン展開し、27ホテルを運営受託(マネジメント)またはフランチャイズ契約する。2007年4月1日に旧東京全日空ホテルのANAインターコンチネンタルホテル東京への共同ブランド化を皮切りに、2017年平成29年)12月までに29のホテルが全日空ホテルとIHGの「インターコンチネンタル」、「クラウンプラザ」あるいは「ホリデイ・イン」と共同ブランド化され、最後まで残った松山全日空ホテルも2018年(平成30年)11月にリブランドされ、「ANAホテル(全日空ホテル)」ブランドは消滅した。

日本国外では、以前韓国でのみ9軒運営受託していたが、現在は管轄地域の変更に伴い、日本のみの運営となっている。

概歴

全日空は自社航空旅客路線の就航地に全日空ホテルズとして、ホテル事業を1973年(昭和48年)に設立した子会社「全日空エンタプライズ株式会社」を通じて展開した。かつては日本国内のみならず、就航地とそれ以外の欧米東南アジアオーストラリアの複数の都市でも現地ホテル企業とマネジメント契約を締結してチェーン展開していたが、この海外部門が利用客の伸び悩みとコスト高から多くの不採算を抱えたため、1999年(平成11年)より全日空の中期経営計画で海外ホテルズの縮小(マネジメント契約撤退・売却)と、エンタプライズ社に残された各ホテルのオペレーション機能(経営・建物所有・マネジメント)を以下の通りそれぞれ分割し別会社に移管させ、同社は2003年(平成15年)9月に解散した。

株式会社ANAホテルズ&リゾーツ 
1989年(平成元年)設立。全日空ホテルズの運営統括、および各ホテルのマネジメントを手がける。2006年11月より「IHG-ANA合同会社」へ組織変更。
IHG-ANA発足までの札幌・東京・沖縄など全日空直系のホテル運営企業は全日空の子会社であった。
ANAホテルズマネジメント株式会社 
チェーンホテル経営企業への出資企業として2001年(平成13年)設立。IHG-ANA発足後はIHG-ANA合同会社へ継承した。
エー・エヌ・エー・プロパティマネジメント株式会社 
全日空ホテル(一部)の不動産所有企業。1999年設立。後述の城山プロパティーズに売却されたか等は不明。

インターコンチネンタルグループとの合弁化

2005年(平成17年)ごろより全日空は、本業である航空運送業へ経営資源を集中させる狙いから、有益な物件を抱えたホテル事業を同業者へ売却することの検討に入り、2006年(平成18年)10月23日にインターコンチネンタルホテルズグループとの提携に至ったことを発表した。合弁のスキームは、

  • 「ANAホテルズ&リゾーツ」を、2006年(平成18年)11月30日に「IHG・ANAホテルズグループジャパン合同会社」 (LLC) に組織変更し、旧 株式会社全日空ホテルズ&リゾーツの組織は新会社に吸収された。2006年(平成18年)12月1日付で増資を行い、全日空25%・IHG74%・ホールディングス1%の出資持分とする。
これによって全日空との関係を維持しつつ、IHGがホテルズ運営の実権を握る形となった。

外資系投資銀行への自社系ホテル売却

IHG-ANA体制となった翌年の2007年(平成19年)4月に、全日空が直系(ANAグループ)として経営にあたった13ホテルの不動産物件と運営企業をモルガン・スタンレーへ売却し、B787を中心とした新機材投入などの設備投資資金に充当することを発表し、同年6月までにモルガン・スタンレーの特定目的会社である有限会社城山プロパティーズへ2813億円で売却が完了した。日本国内の不動産売買金額としては過去最大規模で、1500億円程度の簿価を差し引いた売却益は約1300億円に上り、実体経済不動産証券化ビジネスが好景気であったことが反映されている。

買収に伴い、モルガン・スタンレーが買収した各ホテルの運営企業はモルガン・スタンレー系のパノラマ・ホスピタリティが新規に設立した「株式会社パノラマ・ホテルズ・ワン」へ一旦は一本化されることになったが、その後は株式会社パノラマ・ホテルズ・ワン、株式会社ホライズン・ホテルズ、株式会社セントラル・ホテルズの3社に分社化された。モルガン・スタンレー系の施設は順次売却による資本撤退が進められ、2015年7月に株式会社ホライズン・ホテルズを星野リゾートへ売却した[1]のをもって、他の運営企業への譲渡が完了した。

会社概要

IHG・ANA・ホテルズグループジャパン合同会社 (IHG ANA Hotels Group Japan LLC / IHG-ANA LLC)

  • 本社:東京都
  • ワールドワイド予約センター:マカティ市(フィリピン)[2]
  • 日本語カスタマーセンター:マカティ市(フィリピン)[3]

ホテル会員・ポイントサービス制度

会員制度 : IHG Rewards Club ※IHGのホテルロイヤリティープログラム[4]

グループホテル

ブランド

IHG・ANA・ホテルズグループのホテルカテゴリーは以下の6つ。

日本国内の旧:全日空ホテルズおよび、統合前の英国IHGがチェーン展開していた日本国内・韓国のIHGホテル
  • InterContinental(インターコンチネンタル)
  • ANA InterContinental(ANAインターコンチネンタル)
  • ANA Crowne Plaza(ANAクラウンプラザホテル)
  • ANA Hotel(全日空ホテル)
  • ANA Holiday Inn(ANAホリデイ・イン)
  • ANA Holiday Inn Resort(ANA ホリデイ・イン リゾート)
  • Holiday Inn(ホリデイ・イン) - 韓国で展開、日本では一時撤退していたが2016年11月に「ホリデイ・イン大阪難波」がオープン。
  • Holiday Inn Express(ホリデイ・イン エクスプレス) - 日本では撤退、韓国のみ。

IHG・ANA・ホテルズグループジャパン合同会社はIHG・ANAと以下略記する。

日本国内

北海道

東北

  • ANAホリデイ・イン仙台
    【経営】株式会社福田商会 ホテル事業部 【運営】IHG・ANA 【契約】マネジメント
    2001年(平成13年)7月20日に「ホリデイ・イン仙台」として開業。2010年(平成22年)7月に運営委託をIHG・ANAに切り替え、「ANA ホリディ・イン」の一号店としてリブランドが行れた。

関東

ファイル:AnaCrownePlaza201801.jpg
ANAクラウンプラザホテル成田
ファイル:Ark hills.jpg
ANAインターコンチネンタルホテル東京(アークヒルズ内)
  • ANAクラウンプラザホテル成田
    【経営】CP成田株式会社 【運営】IHG・ANA 【契約】マネジメント
    1989年(平成元年)6月16日に成田全日空ホテルとして開業[6]。2007年(平成19年)12月17日にリブランド[7]
    開業からモルガンへの売却前までは成田地区機内食製造子会社である(株)成田全日空エンタプライズ(後にエーエヌエーホテル成田へ改称、2005年に機内食事業をANACへ事業分割)のホテル部門として経営されており、同社の機内食工場に隣接した場所に立地する。同様のケースに成田エアポートレストハウスがある。2013年(平成25年)末にモルガンよりGHS株式会社に再度売却の後、2016年(平成28年)に三たびオーナーシップの変更があり、現在に至る。
  • ANAインターコンチネンタルホテル東京
    【経営】ザ・ホテリエ・グループ赤坂株式会社 【運営】IHG・ANA 【契約】マネジメント

中部

  • ANAクラウンプラザホテル新潟
    【経営】ホテル新潟(リンコーコーポレーション傘下)【運営】IHG・ANA 【契約】マネジメント
    2008年(平成20年)12月1日に「ホテル新潟」よりリブランド。以前は同ホテルの近隣に所在する「万代シルバーホテル」もIHG・ANAグループに加盟していた(詳細は後述)。
  • ANAクラウンプラザホテル富山
    【経営】ホライズン・ホテルズ 【運営】IHG・ANA 【契約】マネジメント
    1999年(平成11年)8月開業。2007年(平成19年)に「富山全日空ホテル」よりリブランド。
  • ANAクラウンプラザホテル金沢
    【経営】ホライズン・ホテルズ 【運営】IHG・ANA 【契約】マネジメント
    1990年(平成2年)5月開業。2007年(平成19年)に「金沢全日空ホテル」よりリブランド。
  • ANAホリデイ・イン金沢スカイ
    【経営】株式会社金沢スカイホテル名鉄グループ傘下) 【運営】IHG・ANA 【契約】マネジメント
    2014年(平成26年)3月1日に「金沢スカイホテル」より名称を変更しリブランド。名鉄グループのホテルでは初めてとなるホリデイ・インブランド。
  • ANAクラウンプラザホテルグランコート名古屋
    【経営/運営】ホテルグランコート名古屋 【契約】フランチャイズ
    2010年(平成22年)10月1日に「全日空ホテルズ ホテルグランコート名古屋」より名称を変更。

近畿

  • ANAクラウンプラザホテル京都
    【経営/運営】裕進観光 【契約】フランチャイズ
    1986年(昭和61年)6月開業。2013年(平成25年)2月1日に「京都全日空ホテル」よりリブランド。
  • ANAクラウンプラザホテル大阪
    【経営】GHS株式会社 【運営】IHG・ANA 【契約】マネジメント
    2008年(平成20年)10月1日に大阪全日空ホテルよりリブランド。開業時から1995年(平成7年)3月までは「大阪全日空ホテル シェラトン」と称していた。
    かつてホテルの敷地には大阪テレビ放送の社屋・スタジオがあり、朝日放送に合併後も1966年(昭和41年)まで使われていた。
  • ANAクラウンプラザホテル神戸
    【経営】株式会社新神戸ホールディング 【運営】IHG・ANA 【契約】マネジメント
    2010年(平成22年)1月20日に「クラウンプラザ神戸」(旧:新神戸オリエンタルホテル)よりリブランド。
  • ホリデイ・イン大阪難波
    【経営/運営】オーダブリュー・ホテル・オペレーションズ(ホテルマネージメントジャパン傘下)【契約】フランチャイズ
    2008年(平成20年)4月開業。2016年(平成28年)11月1日に「ホテルビスタグランデ大阪」よりリブランド[PR 3]

中国

ファイル:ANAクラウンプラザホテル広島01.JPG
ANAクラウンプラザホテル広島
  • ANAクラウンプラザホテル米子
    【経営/運営】ホテルマネージメント米子【契約】フランチャイズ
    2003年(平成15年)6月開業。2017年(平成29年)10月1日に「米子全日空ホテル」からリブランド。
  • ANAクラウンプラザホテル岡山
    【経営】株式会社レイ 【運営】IHG・ANA 【契約】マネジメント
    2005年(平成17年)8月27日開業。2015年(平成27年)9月1日に「岡山全日空ホテル」からリブランド。
  • ANAクラウンプラザホテル広島
    【経営】株式会社ホライズン・ホテルズ 【運営】IHG・ANA 【契約】マネジメント
    1983年(昭和58年)9月に開業。2007年(平成19年)12月3日に「広島全日空ホテル」からリブランド。
  • ANAクラウンプラザホテル宇部
    【経営/運営】ユービーイーホテルズ 【契約】フランチャイズ
    1983年(昭和58年)開業。2011年(平成23年)12月1日に「宇部全日空ホテル」からリブランド[PR 4]

四国

九州

  • ANAクラウンプラザホテル福岡
    【経営】株式会社ホライズン・ホテルズ 【運営】IHG・ANA 【契約】マネジメント
    2008年(平成20年)12月4日に「博多全日空ホテル」よりリブランド。
  • ANAクラウンプラザホテル長崎グラバーヒル
    【経営/運営】サボイシステム 【契約】フランチャイズ
    ※旧長崎東急ホテル
    2012年(平成24年)1月23日に「長崎全日空ホテルグラバーヒル」よりリブランド[PR 5]
  • ANAクラウンプラザホテル熊本ニュースカイ
    【経営/運営】株式会社ニュースカイホテル 【契約】フランチャイズ
    2014年(平成26年)4月16日に「熊本全日空ホテルニュースカイ」よりリブランド。
  • ANAホリデイ・イン リゾート宮崎
    【経営】青島リゾート株式会社 【運営】IHG・ANA【契約】マネジメント
    1996年(平成8年)7月開業。2013年(平成25年)7月16日に、IHG・ANA・ホテルズグループジャパン合同会社とのフランチャイズ契約を締結し、「青島パームビーチホテル」よりリブランド[PR 6]

沖縄

ファイル:Manza beach hotel and resort.jpg
万座ビーチホテル&リゾート
ファイル:Ishigaki InterContinental-ANA Ishigaki Resort.jpg
ANAインターコンチネンタル石垣リゾート

韓国

新規オープン予定

  • ANAインターコンチネンタル別府リゾート&スパ
    【経営】GHS株式会社【運営】IHG・ANA【契約】マネジメント
    2019年8-9月開業予定[8][9]
  • ホテルインディゴ箱根強羅(神奈川県箱根町)
    【経営】GHS株式会社【運営】IHG・ANA 【契約】マネジメント
    2019年開業予定。ライフスタイル型のブランドと位置づけられる「ホテルインディゴ」の日本初進出となる[10]
  • ホテルインディゴ犬山有楽苑(愛知県犬山市)
    【運営】IHG・ANA 【契約】マネジメント
    2021年度後半開業予定[11]。中部圏では初の「ホテルインディゴ」ブランドとなる。
  • キンプトン東京・新宿 - 2020年開業予定。キンプトンホテルズ&レストランツとしては、日本初進出となる。IHGは今後、キンプトンのさらなる国内展開も検討していく、としている。[12][13]

過去に営業・提携していたホテル

全日空ホテルズではないインターコンチネンタルホテルズグループ傘下のホテル(ホリディ・イン等)については

参照: インターコンチネンタルホテルズグループ

脚注

出典

  1. “星野リゾート、4つのANAクラウンプラザホテルを買収”. 日本経済新聞. (2015年7月27日). http://www.nikkei.com/markets/kigyo/ma.aspx?g=DGXLASDZ27H4H_27072015EAF000 . 2015閲覧. 
  2. 国内公式サイト[1]
  3. カスタマーセンター Facebook Page
  4. [2]
  5. ANAクラウンプラザホテル千歳、新館を4月28日にオープン 新設レストランもTraicy(2017年1月26日)2017年1月29日閲覧
  6. “成田に10番目の大型ホテル完成”. 千葉日報 (千葉日報社). (1989年6月20日) 
  7. “「ANAクラウンプラザ」に名称変更 成田全日空ホテル”. 千葉日報 (千葉日報社). (2007年12月18日) 
  8. 英国系高級ホテル「インターコンチネンタル」、別府市で起工式 読売新聞、2018年1月12日
  9. 「ANAインターコンチネンタル別府リゾート&スパ」起工式 大分合同新聞、2018年1月12日
  10. 箱根に日本初進出ブランド、「ホテルインディゴ」  英インターコンチ 交流型に 日本経済新聞 2017年11月22日
  11. “名鉄犬山ホテルを再開発、中部圏初「ホテルインディゴ」開業 ~インターコンチネンタルホテルズグループと提携~” (日本語) (PDF) (プレスリリース), 名古屋鉄道, (2018年6月4日), http://www.meitetsu.co.jp/profile/news/2018/__icsFiles/afieldfile/2018/06/04/release180604_hotel.pdf . 2018年6月25日閲覧. 
  12. インターコンチネンタルホテルズグループ(IHG) 日本初上陸のラグジュアリー・ブティックホテル・ブランドとなる「キンプトン東京・新宿」を2020年開業 IHG 2018年7月19日
  13. 英インターコンチ、新宿に新ブランドホテル 日本経済新聞 2018年7月19日
  14. 朝日新聞 2001年10月23日付記事

広報資料・プレスリリースなど一次資料

  1. ANAホリデイ・イン札幌すすきの、2014年4月21日(月)にリブランドオープン IHG・ANA・ホテルズグループジャパン 2014年4月21日
  2. “ANA クラウンプラザホテル稚内、4 月 23 日(水)より営業開始” (PDF) (プレスリリース), ANAクラウンプラザホテル稚内, (2014年4月23日), http://www.anacpwakkanai.com/information/pressrelease0423.pdf . 2014年4月24日閲覧. 
  3. 【ホリデイ・イン大阪難波】2016年11月1日(火)にリブランドオープン(dot. 2016年11月1日)
  4. ANAクラウンプラザホテル宇部、12月1日より営業開始 国内で12軒目のANAクラウンプラザホテルとして、国内ネットワーク拡大へ IHG・ANA・ホテルズグループジャパン 2011年12月1日
  5. ANAクラウンプラザホテル長崎グラバーヒル、1月23日より営業開始 国内で13軒目のANAクラウンプラザホテルとして、国内ネットワーク拡大へ IHG・ANA・ホテルズグループジャパン 2012年1月23日
  6. リブランドについてのご案内 青島リゾート
  7. 全日空ゲートタワーホテル大阪の送客業務提携契約終了のお知らせ IHG・ANA・ホテルズグループジャパン 2011年7月1日
  8. 全日空ゲートタワーホテル大阪の運営受託契約終了のお知らせ IHG・ANA・ホテルズグループジャパン 2011年(平成23年)6月30日
  9. 9.0 9.1 9.2 フランチャイズ契約終了のお知らせ IHG・ANA・ホテルズグループジャパン 2011年10月31日
  10. フランチャイズ契約終了のお知らせ IHG・ANA・ホテルズグループジャパン 2012年12月25日
  11. ANAハーバーグランドホテルシドニー 売却に向け契約締結 ANA NEWS 2002年8月8日付

外部リンク