ラグランジュの定理 (群論)

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群論において、ラグランジュの定理英語:Lagrange's theorem)とは、次のような定理である[1]

G有限群とし、HG部分群とする。このとき部分群 H位数は群 G の位数を割り切る。

実は、任意の群に対し、(選択公理を認めれば)指数を用いて次のような式が成り立つ。

|G| = |G : H| ⋅ |H|

ラグランジュの定理には、次のようながある[2]

有限群 G の任意の元の位数は群 G の位数を割り切る。

証明は、その元で生成される巡回群を考えればよい。

さらに、その特別な場合として素体 Z/pZ単数群 U(Z/pZ) に上述の系を適用すれば、フェルマーの小定理が導ける。より一般に群 U(Z/nZ) を考えれば、オイラーの定理を導くこともできる。

ラグランジュの定理の逆が成立するか問うことができる。つまり、位数 n の有限群 Gn を割り切る自然数 d が与えられたとき「位数が d である G の部分群が存在するか」という問いである。よく知られているように、これは一般には存在しない。位数12である4次の交代群 G = A4 が位数6である部分群をもたないので[3]、(群 G の位数が最小の)反例を与えるからである[4]。 一方、特別な状況では逆が成立することが知られている。その最たる例はシローの定理である[5]。つまり位数 n を割り切る素数 p のべきで最大のもの d = np を考えると、位数 np の部分群(シロー部分群)が存在する。もうすこし一般に dnp を割り切るならば、位数 d の部分群が存在することもわかる[6]。(コーシーの定理も参照のこと。)

歴史

ラグランジュは代数方程式の解法に関連して、多項式上の置換の理論でこの定理を証明しているが、これは現在の言い方でいう対称群の場合にあたる。当時はまだ群の概念が整備されていなかったので、ラグランジュ自身が群一般で考えていたわけではない。ただその性質は容易に抽象群へと拡張されるもので、現在でもそのままラグランジュの定理と呼ばれている。群論の定理としては、歴史上最初に出現したものである。

脚注

  1. Isaacs 2008, Theorem X.8(d).
  2. Isaacs 2008, Corollary X.9.
  3. この事実は1799年にはすでに知られていた {{#invoke:Footnotes | harvard_citation }}。
  4. Isaacs 2008, p. テンプレート:Google books quote.
  5. 可解群に対してはホールの定理も参照のこと。
  6. Isaacs 2008, Corollary 1.25.

参考文献

関連項目

外部リンク