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'''クエン酸'''(クエンさん、{{en|citric acid}})は、示性式 C(OH)(CH<sub>2</sub>COOH)<sub>2</sub>COOH で、[[柑橘類]]などに含まれる[[有機化合物]]で、[[ヒドロキシ酸]]のひとつである。
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'''クエン酸'''(クエンさん、{{en|citric acid}}
  
漢字では「'''枸櫞酸'''」と記される。枸櫞とは[[漢名]]で[[マルブシュカン]]([[シトロン]])を指す。レモンをはじめ[[柑橘類]]に多く含まれていることからこの名がついた。柑橘類の酸味の原因はクエン酸の味に因るものが多い。また、[[梅干し]]にも多量に含まれている。
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示性式 C(OH)(CH<sub>2</sub>COOH)<sub>2</sub>COOH で、[[柑橘類]]などに含まれる[[有機化合物]]で、[[ヒドロキシ酸]]のひとつである。
 
 
== 性質 ==
 
化学式 {{chem|C|6|H|8|O|7}}、分子量は192.125。[[CAS登録番号]]は[77-92-9](無水物)、[5949-29-1](一水和物)。[[カルボキシル基]]を3個有する弱酸で、爽やかな酸味を持つことから[[食品添加物]]として多用される。IUPAC名は2-hydroxypropane-1,2,3-tricarboxylic acid
 
 
 
水溶液は弱[[酸性]]([[酸解離定数|p''K''<sub>a</sub>]] = 2.87)を呈する。常温で無色あるいは白色の固体であり、無水物と一水和物の結晶がある。両者とも[[揮発性]]は無く無臭である。一水和物は加熱すると100 ℃で[[融解]]し、130 ℃に保つと[[融点]]153 ℃の無水物となる。175 ℃以上では分子内脱水により[[アコニット酸]]となる。金属イオンと[[キレート]]錯体を作ることが知られている。
 
 
 
== 生体内物質 ==
 
クエン酸は、生体内では[[クエン酸回路]]の構成成分であり、[[オキサロ酢酸]]と[[アセチルCoA]]との反応によって生成する。また、クエン酸は、クエン酸回路で[[アコニット酸ヒドラターゼ]](EC 4.2.1.3)によってcis-アコニット酸を経て[[異性化]]され[[イソクエン酸]]となる。またクエン酸は[[解糖系]]の[[ホスホフルクトキナーゼ]]活性を阻害し、解糖系からクエン酸回路への流入を調節する因子の1つでもある<ref name="Tightly Controlled">{{cite book|last1=Stryer|first1=Lubert|last2=Berg|first2=Jeremy|last3=Tymoczko|first3=John|title=Biochemistry|date=2003|publisher=Freeman|location=New York|isbn=978-0716746843|edition=5. ed., international ed., 3. printing|url=http://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK22395/|chapter=Section 16.2: The Glycolytic Pathway Is Tightly Controlled}}</ref>
 
 
 
== 製法 ==
 
[[潮解]]性があるので保存には注意が必要。工業的には[[デンプン]]あるいは[[糖]]を[[コウジカビ]]の一種 ''Aspergillus niger'' で[[発酵]]させて作られている。
 
 
 
== 存在 ==
 
レモンジュース、トマトピューレ、ルビー種のグレープフルーツジュースやオレンジジュースなどに多い。
 
 
 
== 利用 ==
 
=== 摂取 ===
 
[[Image:Lemon-edit1.jpg|thumb|left|200px|[[レモン]]や[[グレープフルーツ]]といった[[柑橘類]]はクエン酸を含む。]]
 
主にクエン酸回路によるエネルギー生産を謳い、各種[[サプリメント]]の成分として多用されている。しかし、5km走での実験から、運動成績を有意に向上させることが報告されたが、その後否定されている<ref>Oöpik, V.; Saaremets, I.; Medijainen, L.; Karelson, K.; Janson, T.; Timpmann, S. (2003). "Effects of sodium citrate ingestion before exercise on endurance performance in well trained college runners." ''Br. J. Sports Med.'' '''37''': 485–489. PMID 14665584.</ref><ref>Oopik, V.; Saaremets, I.; Timpmann, S.; Medijainen, L.; Karelson, K. (2004). "Effects of acute ingestion of sodium citrate on metabolism and 5-km running performance: a field study." ''Can. J. Appl. Physiol.'' '''29''': 691–703. PMID 15630143.</ref>。このほか、高強度運動や600m走でも運動成績には影響がないことが示されている<ref>Hausswirth, C.; Bigard, A. X.; Lepers, R.; Berthelot, M.; Guezennec, C. Y. (1995). "Sodium citrate ingestion and muscle performance in acute hypobaric hypoxia." ''Eur. J. Appl. Physiol. Occup. Physiol.'' '''71'''(4): 362–368. PMID 8549581.</ref><ref>van Someren, K.; Fulcher, K.; McCarthy, J.; Moore, J.; Horgan, G.; Langford, R. (1998). "An investigation into the effects of sodium citrate ingestion on high-intensity exercise performance." ''Int. J. Sport Nutr.'' '''8'''(4): 356–363. PMID 9841956.</ref>。他にもクエン酸回路において間接的に筋肉内の乳酸を分解する点からかつては運動後の疲労軽減効果作用も言及されていたものの、乳酸疲労物質説は今日では否定されており<ref>Nielsen, O. B.; de Paoli, F.; Overgaard, K. ''J. Physiol.'' '''2001''', ''536'', 161-166., {{DOI|10.1111/j.1469-7793.2001.t01-1-00161.x}}</ref>、売り文句としてはあまり有為ではない。ただしクエン酸自体は疲労物質の一つとされるカルシウム<ref>八田秀雄、「[https://doi.org/10.5363/tits.11.10_47 新たな乳酸の見方]」『学術の動向』、Vol.11 (2006) No.10 p.47-50, {{doi|10.5363/tits.11.10_47}}</ref>ともキレート錯体を構成するため、このカルシウムとの結合が乳酸分解におけるアシドーシス低下とのトレードオフにおいて汎的に有位であるならば、疲労軽減に若干は効果が認められる事となる。同様に、鉄を中心としたミネラルイオンともキレート錯体を構成して吸収性を高めることから、運動成績向上機能ではなく栄養機能的側面から見れば運動後におけるクエン酸の摂取は決して無駄とは言い難い。また、運動後はブドウ糖を単体でとるよりもそこにクエン酸を加えた方がグリコーゲンを多く貯蔵できるとの説も存在する<ref>『競技力向上のスポーツ栄養学』 トレーニング科学研究会/編 朝倉書店 2001年 ISBN 978-4254690194</ref>。
 
 
 
[[日本薬局方]]収載品であり、薬局などでも市販されている。クエン酸の[[酸と塩基|塩]]は[[カルシウム]]イオンと[[キレート]]結合するので、かつては検査用血液サンプルの[[抗凝固薬]]などとしても利用された。現在でも成分[[献血]]時にクエン酸ナトリウムとともに抗凝固薬として使用される。[[クエン酸ナトリウム]]・[[クエン酸カリウム]]合剤(商品名ウラリット&reg;配合錠)は尿をアルカリ化させ[[尿酸]]の[[排泄]]を促進することから[[痛風]]に代表される[[高尿酸血症]]の[[治療薬一覧#代謝性疾患に用いられる薬物|治療薬]]として処方され、[[尿路結石]]や[[代謝性アシドーシス]]の治療にも使用される。オルニチン同様、肝機能低下による疲労臭に対する低減効果も流布されているが、真偽を別とし、この場合はまず肝機能低下の原因を専門医の診断のもと特定した上で適切に摂取すべきである。
 
 
 
[[食品添加物]]でもあり、[[清涼飲料水]]を始め各種の[[加工食品]]に添加される。
 
 
 
=== 洗浄 ===
 
[[炭酸カルシウム]]を容易に溶かすことから[[便器]]の[[尿石]]、浴室、[[電気ポット]]、[[加湿器]]内部に溜まった[[水垢]]の洗浄に用いられる。
 
 
 
=== 肥料 ===
 
[[肥料]]の成分がクエン酸の2%水溶液に溶解する性質を「く溶性」という言葉で表すが、これは植物の根が分泌する根酸には溶けにくいがもう少し強い酸には溶けることを意味し、徐々に溶け出してゆっくり吸収されることを示す。<!--クエン酸には、歯を溶かす作用があるため、{{要出典範囲|サプリメントとして摂取する際にはなるべく歯につかないようにすばやく飲み込むのがよいとされる。}}--><!--コメントアウト。ノート参照-->
 
 
 
== クエン酸塩 ==
 
[[アルカリ金属]]塩の正塩はいずれも水に可溶、アルコールに難溶で水溶液は弱[[アルカリ性]]を示す。[[重金属]]塩は水に不溶なものが多いが、クエン酸イオンが過剰にあると複数配位することで水溶性となるものもある。
 
 
 
;[[クエン酸ナトリウム]]
 
:二水和物が安定で、化学式 <chem>Na3(C6H5O7)</chem>·<chem>2H2O</chem> の塩。水溶液は弱アルカリ性を示す。抗血液凝固剤や写真材料として利用される。
 
;クエン酸カリウム
 
:一水和物が安定で、化学式 <chem>K3(C6H5O7)</chem>·<chem>H2O</chem> の塩。水溶液は弱アルカリ性を示す。[[利尿剤]]として利用された。
 
;クエン酸銅(II)
 
:化学式 <chem>Cu2(C6H4O7)</chem> の塩。[[トラコーマ]]または[[濾胞性結膜炎]]の[[軟膏]]に使用されたことがある。
 
;[[クエン酸鉄アンモニウム|クエン酸鉄(III)アンモニウム]]
 
:[[水酸化鉄]](III) をクエン酸に溶かしアンモニアを加えて調製する。調製法により錯塩の構成が異なり、赤褐色の塩と緑色の塩が得られる。鉄欠乏性貧血の鉄剤として利用されたり、[[青写真]]や写真材料として利用されている。
 
  
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有機酸の一つ。無色透明の結晶または粒状あるいは白色の結晶性の粉末で,臭いはなく,酸味があり,1gは水 0.5ml,エタノール 2ml,エーテル 30mlに溶ける。 1784年 K.W.シェーレがレモン汁中から結晶として単離した。動植物の組織中に広く含まれている。生体内では[[TCA回路]]の途中に現れ,重要な役割をもつ。食用には粉末あるいは水溶液の形で,清涼感を得たり味をよくする目的で使うことが多い。 4gは大きいレモン1個の酸味に対応する。臨床的には消化不良,止渇,食欲増進,胃酸欠乏症にクエン酸リモナーデを内用し,外用には足汗の洗浄 (1~5%) ,舌癌の洗浄 (0.8%) がある。工業的にはクエン酸ナトリウム,クエン酸銅などの原料や諸種医薬品,可塑剤,防錆剤など多方面に利用されている。
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== 出典 ==
 
== 出典 ==
 
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== 関連項目 ==
 
* [[ヒドロキシ酸]]
 
* [[TCA回路]]
 
 
== 外部リンク ==
 
* [http://hfnet.nih.go.jp/contents/indiv_agreement.html?25 クエン酸 - 「健康食品」の安全性・有効性情報]([[国立健康・栄養研究所]])
 
  
 
{{クエン酸回路}}
 
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[[Category:生体物質]]
 
[[Category:生体物質]]

2018/9/26/ (水) 01:59時点における最新版


クエン酸(クエンさん、citric acid

示性式 C(OH)(CH2COOH)2COOH で、柑橘類などに含まれる有機化合物で、ヒドロキシ酸のひとつである。

有機酸の一つ。無色透明の結晶または粒状あるいは白色の結晶性の粉末で,臭いはなく,酸味があり,1gは水 0.5ml,エタノール 2ml,エーテル 30mlに溶ける。 1784年 K.W.シェーレがレモン汁中から結晶として単離した。動植物の組織中に広く含まれている。生体内ではTCA回路の途中に現れ,重要な役割をもつ。食用には粉末あるいは水溶液の形で,清涼感を得たり味をよくする目的で使うことが多い。 4gは大きいレモン1個の酸味に対応する。臨床的には消化不良,止渇,食欲増進,胃酸欠乏症にクエン酸リモナーデを内用し,外用には足汗の洗浄 (1~5%) ,舌癌の洗浄 (0.8%) がある。工業的にはクエン酸ナトリウム,クエン酸銅などの原料や諸種医薬品,可塑剤,防錆剤など多方面に利用されている。

出典




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