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(ページの作成:「大麦、学名 Hordeum vulgare イネ科の越年草。原産地は中国大陸南西部といわれ,中国では数千年の栽培の歴史がある。大きな株…」)
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{{生物分類表
+
大麦、学名 Hordeum vulgare
| 色 = lightgreen
 
| 名称 = オオムギ
 
| 画像 = [[File:Korea-Barley-01.jpg|250px|オオムギ]]
 
| 界 = [[植物界]] {{sname||Plantae}}
 
|門階級なし = [[被子植物]] {{Sname||Angiosperms}}
 
|綱階級なし = [[単子葉類]] {{Sname||Monocots}}
 
|亜綱階級なし = [[ツユクサ類]] {{Sname||Commelinids}}
 
| 目 = [[イネ目]] {{sname||Poales}}
 
| 科 = [[イネ科]] {{sname||Poaceae}}
 
| 属 = [[オオムギ属]] {{snamei||Hordeum}}
 
| 種 = '''オオムギ''' {{snamei|H. vulgare}}
 
| 学名 = ''Hordeum vulgare'' {{AU|L.}}
 
| 和名 = オオムギ(大麦)
 
| 英名 = {{interlang|en|Barley}}<br/>[[w:Pearl barley|Pearl barley]]
 
}}
 
{{栄養価 | name=おおむぎ 押麦<ref name=mext7>[[文部科学省]] 「[http://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/1365297.htm 日本食品標準成分表2015年版(七訂)]」</ref>| kJ =1423| water=14.0 g| protein=6.2 g| fat=1.3 g| carbs=77.8 g| starch=71.2 g| opt1n=[[食物繊維|水溶性食物繊維]]| opt1v=6.0 g| opt2n=[[食物繊維|不溶性食物繊維]]| opt2v=3.6 g| fiber=9.6 g| sodium_mg=2| potassium_mg=170| calcium_mg=17| magnesium_mg=25| phosphorus_mg=110| iron_mg=1.0| zinc_mg=1.2| copper_mg=0.40| selenium_ug =1| vitE_mg =0.1| thiamin_mg=0.06| riboflavin_mg=0.04| niacin_mg=1.6| vitB6_mg=0.14| folate_ug=9| pantothenic_mg=0.46| opt3n=[[ビオチン|ビオチン(B<sub>7</sub>)]] | opt3v=2.6 µg| note =ビタミンEはα─トコフェロールのみを示した<ref>[[厚生労働省]] 「[http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000114399.pdf 日本人の食事摂取基準(2015年版)]」</ref>。歩留り: 玄皮麦45 - 55 %、玄裸麦55 - 65 %| right=1 }}
 
[[File:Barley-AAS.JPG|330px|thumb|'''オオムギ'''の[[アミノ酸スコア]]<ref>http://www.nal.usda.gov/fnic/foodcomp/search/</ref><ref>[『タンパク質・アミノ酸の必要量 WHO/FAO/UNU合同専門協議会報告』日本アミノ酸学会監訳、医歯薬出版、2009年05月。ISBN 978-4263705681 邦訳元 ''[http://whqlibdoc.who.int/trs/WHO_TRS_935_eng.pdf Protein and amino acid requirements in human nutrition]'', Report of a Joint WHO/FAO/UNU Expert Consultation, 2007]</ref>]]
 
  
'''オオムギ'''(大麦、学名 {{snamei|Hordeum vulgare}})は[[イネ科]]の[[穀物]]。[[中央アジア]]原産で、世界でもっとも古くから栽培されていた作物の一つである。[[コムギ|小麦]]よりも低温や乾燥に強いため、[[ライムギ|ライ麦]]と共に小麦の生産が困難な地方において多く栽培される。
+
イネ科の越年草。原産地は中国大陸南西部といわれ,中国では数千年の栽培の歴史がある。大きな株になり,茎はよく分蘗 (ぶんけつ) して叢生する。高さ 1mぐらい。葉はコムギより幅が広く,緑白色でコムギのように先が垂れない。4~5月に穂を出し,小穂は長さ5~10cmの花穂の軸上に3個ずつ並んで密につき,上から見ると6列または4列になる。前者を六条オオムギ
 +
<i>H. vulgare </i>var. <i>hexastichon</i>,後者を四条オオムギ <i>H. vulgare </i>var. <i>vulgare</i>という。日本でも栽培の歴史は古く品種が多いが,関西以西では六条オオムギ系が多い。四条オオムギ系は外国でおもに栽培され,日本では東北や北陸に限られる。穎果が成熟すると内穎から容易に分離するものがあり,ハダカムギと呼ばれる。押麦として米飯に混ぜるほか,発芽させた麦芽 (モルト) をビール,飴類の糖化剤,味噌などに用いる。茎は麦わらでストローや帽子などに使う。
  
{{栄養価
 
| name=オオムギ(pearled, cooked)
 
| kJ =532
 
| protein = 2.70 g
 
| carbs = 27.33 g
 
| sugars = trace g
 
| fat = 0.6 g
 
| Saturates = 0.11 g
 
| fiber = 1.98 g
 
| Sodium = trace g
 
| right=1
 
| source_usda=1
 
}}
 
 
[[File:BarleyEars.JPG|thumb|250px|二条オオムギと六条オオムギ]]
 
[[File:Various grains.jpg|thumb|240px|オオムギとカラスムギ、およびそれらを原材料とする食品]]
 
== 名称 ==
 
「オオムギ」は[[漢名]]の「大麦(だいばく)」を[[訓読み]]したものである。「大」は、[[コムギ|小麦]](コムギ)に対する穀粒や草姿の大小ではなく、大=本物・品質の良いもの・用途の範囲の広いもの、小=代用品・品格の劣るものという意味の[[接辞]]によるものである。[[ダイズ|大豆]](ダイズ)、[[アズキ|小豆]](アズキ、ショウズ)、[[アサ|大麻]](タイマ)の大・小も同様である。伝来当時の漢字圏では、比較的容易に殻・[[フスマ]]層([[種皮]]、[[胚芽]]など)を除去し粒のまま[[飯]]・[[粥]]として食べることができたオオムギを上質と考えたことを反映している。
 
 
また、オオムギをはじめ、[[コムギ]]、[[エンバク]]、[[ライムギ]]、[[ハトムギ]]など、姿の類似した一連の穀物を、[[東アジア]]では総称して[[ムギ]]と呼ぶ。こうした総称は[[ヨーロッパ]]には存在せず、barley(大麦)、wheat(小麦)のようにそれぞれの固有名で呼ぶのみである。
 
 
== 品種 ==
 
穂の形状の違いから、主に二条オオムギ(二条大麦、''H. vulgare'' [[品種|f.]] ''distichon''、{{lang-en-short|[[:en:Barley#Two-row and six-row barley|two-rowed barley]]}}))、四条オオムギ(四条大麦、''H. vulgare'' [[亜種|subsp.]] ''vulgare''、{{lang-en-short|barley}})、六条オオムギ(六条大麦、''H. vulgare'' f. ''hexastichon''、{{lang-en-short|[[:en:Barley#Two-row and six-row barley|six-rowed barley]]}})、[[ハダカムギ]](裸オオムギ、裸麦、''Hordeum vulgare'' [[変種|var.]] ''nudum'' [[ジョセフ・ダルトン・フッカー|Hook. f.]]、{{lang-en-short|[[:en:Barley#Hulless barley|Hulless barley]], naked barley}})、野生オオムギ(''H. vulgare'' subsp. ''spontaneum''、{{lang-en-short|wild barley}}) に分かれる(但し、四条オオムギ、野生オオムギについては品種ではなく亜種)。この「条」というのは穂が何列(条)あるかということではない。オオムギの穂は基本的にすべて6列である。二条と六条の差は、実る穂が何列あるかの違いであり、読んで字のごとく2列実るのが二条オオムギ、6列すべてが実るのが六条オオムギである<ref>http://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1003/spe1_01.html 農林水産省 特集 麦(1) 2015年1月10日閲覧</ref>。実るのが2列だけであるぶん、二条オオムギの種子は大きく、大粒オオムギとも呼ばれる。これに対し六条オオムギはすべての列に種子が実るため種子が小さく、小粒オオムギとも呼ばれる。ただしすべての列に種子が実るため、全体の収量としては六条オオムギのほうが多い。
 
 
二条オオムギは主にビール生産用に栽培され、ヨーロッパで栽培されるオオムギの多くは二条種である。これは、二条種は種子の一粒一粒が大きく、しかも大きさがよくそろっているので、醸造の管理がしやすいからである。それに対し六条オオムギは収量が多く、オオムギを穀物として食べる地域においては六条種を主に栽培する。二条種と六条種の進化については、長い議論の歴史がある。かつては六条種は二条種から分化してできたと考えられてきたが、チベット高原において野生の六条種が発見されたため、一時は二条種と六条種は別々に栽培化されたとの説が有力となった。その後、遺伝子情報の解析によって、現在では二条栽培種の変異によって六条種が成立したと考えられている<ref>森川利信 「第8章 オオムギの進化と多様性」『麦の自然史 : 人と自然が育んだムギ農耕』 佐藤洋一郎、加藤鎌司編著、北海道大学出版会、2010年、p161 ISBN 978-4-8329-8190-4</ref>。二条種はチベットより東には到達せず、このため中国や日本など東アジアの在来のオオムギはすべて六条種である。これら諸国における二条種のオオムギは、近代になってヨーロッパなどから導入されたものである。
 
 
二条種と六条種は皮が実と糊状のもので固着しており、はがすのが難しい。この固着はオオムギだけの特質であり、コムギなどのほかのムギでも、コメなどほかの穀物においてもこういったことはない。皮をはがすのが難しいため、これらは皮麦(カワムギ)とも呼ばれる。それに対し、六条種の突然変異で糊状のものが存在しないものが生まれ、揉むだけで皮が簡単にはがれる品種が生まれた。これがハダカムギである。ハダカムギは食用にするのがより簡単であるため、チベットや日本といったオオムギを重要視する国々において多く栽培されるようになった。その後、六条ハダカムギと二条種の交雑により二条ハダカムギも生まれたが、二条ハダカムギは品種が非常に少なく、一般的にハダカムギといえば生産のほとんどを占める六条ハダカムギを指す。
 
 
また、上記の品種はすべてうるち性であるが、日本を含む東アジアにはもち性のオオムギも存在する<ref>森川利信 「第8章 オオムギの進化と多様性」『麦の自然史 : 人と自然が育んだムギ農耕』 佐藤洋一郎、加藤鎌司編著、北海道大学出版会、2010年、p166-167 ISBN 978-4-8329-8190-4</ref>。もち麦は日本では[[もち米]]の代替として西日本中心には栽培され、団子などがこれで作られた<ref>『FOOD'S FOOD 新版 食材図典 生鮮食材編』p314 2003年3月20日初版第1刷 小学館</ref>。
 
 
特に日本で生産されるのは二条オオムギ、六条オオムギ、ハダカムギが多い。二条オオムギは明治時代以後に[[ヨーロッパ]]より導入され、[[ビール]]などの醸造用の需要が多くビールムギとも呼ばれる。これに対し、六条オオムギとハダカムギは古来より日本で栽培されてきた品種である。六条オオムギは押し麦や引き割り麦などにして米に混ぜるなど雑穀としての使用が多く、また[[麦茶]]の原料ともなる。ハダカムギも同様に使用することはできるが、[[味噌]]の製造に使用されることが多い。栽培は、寒さに強い六条オオムギが東日本で主に栽培され、寒さに弱い二条オオムギやハダカムギは西日本で主に栽培される。日本の農産物分類においては、麦類に[[ハトムギ]]や[[エンバク]]、ライムギといったものは含まず、日本での生産量の多いコムギ、二条オオムギ、六条オオムギ、ハダカムギをあわせて4麦という<ref>「新訂 食用作物」p192 国分牧衛 養賢堂 2010年8月10日第1版</ref>。
 
 
== 栽培 ==
 
大麦は、本来は、後述のように[[冬]]季に比較的降水量が多い地域を原産とする作物であり、[[秋]]に発芽して冬を越し、[[春]]に大きく生長し、[[初夏]]に結実して枯れる、いわゆる冬草の一種にあたる。そのため、種を秋に蒔き、苗の状態で冬越しさせ、春に出穂(開花)・結実させて初夏に収穫する(秋蒔き)。しかし、春に[[積算温度]]の足りない寒冷地向けの品種として、発芽に低温を必要とせず、種を春にまいて、盛夏に収穫可能な春蒔き品種が開発され、日本では、[[北海道]]で主に栽培されている<ref>「新訂 食用作物」p201 国分牧衛 養賢堂 2010年8月10日第1版</ref>。世界的には、ロシアやカナダといった北方の寒冷な地域では春蒔きが中心となっている。この2国はオオムギの大生産国であるため、世界的なオオムギ生産量としては春蒔き品種のほうが多くなっている<ref>「新訂 食用作物」p200 国分牧衛 養賢堂 2010年8月10日第1版</ref>。これに対して、[[本州]]以南の、特に[[関東]]から[[九州]]にかけての地方では、この性質を利用して、夏草の性質を持つ[[稲]]の[[裏作]]として栽培が拡大した。この場合、稲の収穫が終わった秋に播種し、[[田植え]]前の初夏に収穫することになる。麦の穂が実る初夏の麦畑は、淡い茶色に染まって秋の稲田に似た光景となるため、麦の結実期のことを、[[麦秋]]と呼ぶ。[[東日本]]・[[西日本]]では、[[梅雨]]入り直前の、5月下旬から6月上旬([[グレゴリオ暦]])にあたる。なお、収穫後に乾燥状態を維持していないと、梅雨時などは土壌になくても穂先から簡単に芽吹き出すので注意が必要である。また初夏に芽吹いたとしても日本の夏の気候下ではうまく育たない。秋蒔きは、世界的にはドイツやアメリカなどを中心に行われる。
 
 
== 歴史 ==
 
=== 世界 ===
 
現在栽培されている品種は、現在[[イラク]]周辺に生えている二条オオムギに似た野生種[[ホルデウム・スポンタネウム]]({{snamei||Hordeum spontaneum}}) が改良されたものともいわれる<ref>『ケンブリッジ世界の食物史大百科事典2 主要食物:栽培作物と飼養動物』 三輪睿太郎監訳 朝倉書店  2004年9月10日 第2版第1刷 p.17</ref>。[[新石器時代]]である1万年前にはすでに、[[シリア]]から[[ユーフラテス川]]にかけての[[肥沃な三日月地帯]]で栽培が開始されていた。当初の調理法は、炒って麦粉にしたものを水に溶かしたり、または粗挽きにした[[粥]]だったと考えられており、やがてそこからオオムギパンの製法が開発された。
 
 
[[古代エジプト]]でも主食の[[パン]]を焼くのに使われており、[[ヒエログリフ]]にも描かれている。このころにはすでにビールの製造も開始されており、パンとビールはエジプトの食生活の中心であった。このビール製造はオオムギパン製造の過程で、オオムギを粉にしやすくするため発芽させたときに偶然製法が発見され製造され始めたと考えられており、実際にこのころのビールは現在よりもかなりどろっとしたものだった。オオムギの粥もそのまま残っており、古代ギリシアでも重要な食料だった。古代ローマの時代には市民の主食はコムギとなっており、オオムギは主に家畜の飼料用だった。なおオオムギを食べると脂肪を増やして出血を防ぐと考えられていたため、[[剣闘士]]の主食となっていた。このため剣闘士は侮蔑的に「大麦食い」(ホルデアリウス)と呼ばれていた。[[ワイン]]が主流であったローマではビールは飲まれておらず、北方にいた[[ゲルマン人]]たちが盛んに醸造して飲んでいた。その後も長くヨーロッパでは重要な穀物であったが、グルテンがないためにコムギに比べて使用法が限定されるため、次第に主食の座から転落し、醸造や飼料用が中心となっていった<ref>「コムギの食文化を知る事典」p25 岡田哲 東京堂出版 平成13年7月15日初版発行</ref>。ヨーロッパにおいては、コムギの普及とともに二義的な地位へと落ち、中世末期にはよりパンに適したライムギよりも重要性が低くなった<ref>「中世ヨーロッパ 食の生活史」p58 ブリュノ・ロリウー著 吉田春美訳 原書房 2003年10月4日第1刷</ref>。一方で、[[ゲルマン民族の大移動]]によってヨーロッパ北部を押さえたゲルマン人たちは引き続きビールを愛飲しており、ゲルマン系のフランク王国がヨーロッパのかなりの部分を押さえたことでビール製造はヨーロッパ各地に根を下ろした。このビール醸造用が次第にヨーロッパのオオムギ栽培で大きな部分を占めるようになった。
 
 
ヨーロッパ以外でも、オオムギは各地に広く伝わり、伝来初期は主食としていた地域も多かったが、ヨーロッパと同様の理由で徐々に主食の座から転落していった。中国でもオオムギは「牟」と呼ばれ、広く栽培されたがコムギやコメを越えるものではなかった。例外は[[チベット高原]]であり、ここではほかの穀物が気候的に栽培不可能であるためにオオムギは主穀となった。また、[[エチオピア高原]]においてもオオムギは重要食料となったが、こちらでは[[テフ (穀物)|テフ]]の普及とともにやはり地位が下がっていった。この2地域はオオムギの品種が非常に多く、またここで生まれた品種が周辺に拡散していったものも多く、オオムギ栽培化の二次中心とされる。しかし、オオムギはすべての主要穀物の中で最も成長が早く、収穫までにかかる日数も短いうえ、乾燥や寒冷に強く、また湿潤にもある程度適応できるなど適応性が高い。このため、温帯中心にユーラシア大陸のかなり広い地域で二義的に栽培された。
 
 
19世紀に入ると、在来品種の選抜を手始めとしてヨーロッパ各地で品種改良がおこなわれ、収量や質のいい新品種が続々と開発されるようになった。20世紀に入るとさらに品種改良は加速し、病害に強いエチオピア高原の在来種や、湿害に強い日本在来種、同じく茎の長さが短く、倒伏の危険性を抑えることのできる日本在来種など世界中の在来種が掛け合わされるようになり、オオムギの反収は大幅に向上した。
 
 
=== 日本 ===
 
[[日本]]には[[弥生時代]]の[[3世紀]]ごろ[[中国大陸]]を経て伝来し、[[奈良時代]]にはすでに広く栽培されていた。『[[類聚三代格]]』には、[[弘仁]]11年([[820年]])の[[太政官符]]として「麦は(米の)絶えたるを継ぎ、乏しきを救うこと穀の尤も良きものなり」との記述がある<ref> 「飲食事典」本山荻舟 平凡社 p78 昭和33年12月25日発行</ref>。
 
 
[[鎌倉時代]]以降[[二毛作]]が普及すると、寒冷と乾燥を好むオオムギは米の裏作として適していたため、栽培はさらに拡大した。[[製粉]]する必要のあるコムギに比べ、オオムギは粒のままで食べるために手間がかからず、コムギよりも熟すのが早いため米の裏作として適していたうえ、不足しがちな米の増量用としても適していたため、このころはコムギより重視され、栽培面積も広かった。明治時代には、コムギの45 - 47万[[町歩]]に対し、オオムギの作付面積は130万町歩と、3倍近くにまで達していた。このころまでの日本でのオオムギの主要な用途は主食用であり、[[麦飯]]として米と混炊して特に農村部では重要な主食とされた。しかし農村部では白米の飯が祭礼に際しての特別なご馳走であったこと、農民にとって米は重要な[[換金作物]]で自家消費が抑えられ転売先の都市部で白米の飯が普及したことなどから、麦飯は白米の飯に対して農村的な格の低い洗練されない食品とされた。そのため臭くてまずいと考え、蔑んで貧民や囚人の食事とみなす者も少なくなかった(俗に言う「刑務所の臭い飯」のいわれである)。その一方で、白米の飯への憧れによって[[脚気]]は近代の日本で国民病と呼ばれるまでに蔓延した。海軍ではこれへの対策としていち早く麦飯を導入し脚気患者を激減させたが、「死地に赴く兵士に白米を食べさせてやりたい」という情から白米にこだわった陸軍では日露戦争で著しい戦病死者を出した。(当時はまだビタミンが発見される前であり、麦飯の根拠は薄く伝染病説が主流だった)また、麦が配給されていた海軍でも一部の兵士がこっそり麦を捨てていたために完全な克服には至らず、脚気禍が何度も再燃している。また、こうしたことからオオムギの価格や社会的評価は低く、[[1950年]]の国会答弁において大蔵大臣の[[池田勇人]]が「私は所得に応じて、所得の少い人は麦を多く食う、所得の多い人は米を食うというような、経済の原則に副つたほうへ持つて行きたいというのが、私の念願であります」と発言し、これが「貧乏人は麦を食え」と報道されて世論の強力な反発を受けた<ref>http://showa.mainichi.jp/news/1950/12/post-e58e.html 「昭和毎日:池田蔵相「貧乏人は麦を食え」と発言 1950年12月07日」 毎日新聞社 2015年1月12日閲覧</ref>ことなどは、この状況をよくあらわしたエピソードである。
 
 
その後、米の収量が増えるに連れてより用途の広いコムギ栽培に取って代わられ、オオムギの作付けは減っていき、[[1940年]]には作付面積はコムギが84万町歩、オオムギが74万町歩と逆転していた<ref> 「飲食事典」本山荻舟 平凡社 p78 昭和33年12月25日発行</ref>。また、オオムギのなかでも明治初期には六条オオムギの作付面積が広かったものが、大正時代に入るとハダカムギの栽培面積のほうが広くなった<ref>「新訂 食用作物」p192 国分牧衛 養賢堂 2010年8月10日第1版</ref>。[[高度経済成長]]期になると二毛作が経済的に引き合わなくなったためにほとんど行われなくなり、裏作作物の中心的存在であったオオムギ、とくに食用を主とする六条オオムギおよびハダカムギの栽培は激減した。それに対し、明治以降にビール生産用として導入された二条オオムギの生産は大口の需要があったため、六条オオムギやハダカムギの生産が激減した後もしばらくは盛んに生産されていたが、[[1970年代]]以降ビール原料のムギも輸入が増え、それにつれて二条オオムギの生産も減少した<ref>「新訂 食用作物」p194 国分牧衛 養賢堂 2010年8月10日第1版</ref>。
 
 
オオムギは日本の主食用主要穀物の一つであったため、政府による統制のもとにおかれてきた。[[1942年]]の[[食糧管理法]]に端を発する[[食糧管理制度]]のもとで、ハダカムギ・オオムギ(主食用の六条オオムギを指す)はコムギやコメと同じく政府の管理下に置かれ、生産者は自家保有量以外を公定価格で供出し、政府は[[米穀配給通帳]]に基づき消費者へと配給することとなった。[[第二次世界大戦]]後、食糧難が緩和されてくるとともに配給制は廃止されるとともに麦の統制も緩和され、[[1952年]]には最低価格・最高価格の範囲内に価格を安定させる形の間接統制となった。[[1994年]]、[[主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律]](食糧法)が公布されたが、ハダカムギ・オオムギは引き続き[[価格統制]]のもとにおかれた<ref>http://www.maff.go.jp/j/kokuji_tuti/kokuji/k0000059.html 「主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律の施行に関する件 平成七年三月二十七日 (農林水産省告示第四百五十七号 )」 農林水産省 2015年1月10日閲覧</ref>。すべて国内生産のみで賄われる主食用オオムギだけではなく、全量が輸入である飼料用のオオムギについても政府がアメリカやカナダといった大生産国から輸入し、業者へと売り渡す、いわゆる「政府操作飼料」という形をとっている<ref>http://www.zenbakuren.or.jp/fodder/index.html 「飼料としての大麦」全麦連 2015年1月12日閲覧</ref>。
 
 
== 用途 ==
 
=== 食品 ===
 
[[File:Mugitoro gohan 2.jpg|thumb|right|200px|麦とろご飯]]
 
;[[主食]]として
 
: [[メソポタミア]]では小麦より塩害に強いため、南部の[[バビロニア]]で多く栽培された。[[ヨーロッパ]]では粗く挽いた大麦を煮た粥状のものが食べられていた。[[古代ローマ]]では粗挽きの大麦の粥は[[プルス]]と呼ばれ、主食として重要なものであった。その後パンが普及し、15〜16世紀にかけて寒冷な地でも生産性が高く、茹でただけでも比較的美味な[[ジャガイモ]]が[[アメリカ大陸]]からもたらされたため、現在では主として飼料用および醸造用の穀物とされるようになった。
 
: [[チベット]]で主食の中心となっている[[ツァンパ]]は、ハダカオオムギを[[乾煎り]]して粉砕した粉で、[[バター茶]]で練るなどして食べられている。
 
: 日本は[[チベット文化圏]]と並んで大麦を主食穀物として多く利用する地域であった。しかし[[明治|明治時代]]までは今日のように、炊飯しやすい[[押麦]] (rolled barley)にして[[白米]]と混炊することは行われていなかった。<ref> 「飲食事典」本山荻舟 平凡社 p78 昭和33年12月25日発行</ref>。[[米]]や[[雑穀]]と比べて煮えにくいため、挽き割り粥にするか、炊飯に先立ち、あらかじめ煮て冷まして一晩置く[[えまし麦]]としてから、単独、あるいは米や雑穀と混炊して調理した。明治時代までは、えまし麦の茹で汁は、[[砂糖]]を混ぜて[[母乳]]の代用品として使われることもあった。しかし上記のとおり、コメの社会的な地位の高さも相まって、[[麦飯]]の評価は低いものであった。現在では精白技術の向上による食味の向上や、押し麦の普及による炊飯の容易化により、健康食として再び人気を博している。
 
: 現代における日本の主食用オオムギとしては、上記の精白した麦をローラーで押しつぶす押し麦のほか、麦の中心線に沿って二つに切断しただけの米粒麦や、二つに割った後押しつぶす白麦がある。また、そもそも押しつぶさず、精白しただけの丸麦もスープに入れるなどして食べられる。
 
: また、[[とろろ]]には麦飯を使うものとされており、[[麦とろご飯]]は[[東海道]]の[[鞠子宿]]などで古くから名物となっていた。
 
;飲み物
 
:[[カクテル]]の[[マイタイ]]に用いられる[[オルジェーシロップ]]や[[スペイン語]]圏で人気のある飲料[[オルチャータ]]は、どちらも[[ラテン語]]で「ホルデアタ」(hordeata、「オオムギから作られた」)と呼ばれるオオムギを原料とした飲料を祖先としている。オオムギを[[エスプレッソ]]風にしたイタリアの[[カッフェ・ドルゾ]]もまたよく飲まれる。また、麦芽に甘味料などをくわえて飲みやすくした麦芽飲料は世界各国でよく飲まれ、大企業も[[ネスレ・ミロ]]、[[ホーリック]]、[[オバルチン]]などといった麦芽飲料を製造し販売している。
 
:日本や朝鮮半島では種子を煎ったものを煎じて、[[麦茶]]として飲まれる。日本では冷やして主に夏に飲まれるが、朝鮮半島では温かくして年中飲まれる。日本でも[[江戸時代]]には麦湯と呼ばれ、温かくして飲むものであったが、新麦を使うものが美味であるため、季節はやはりオオムギの収穫期である夏のものであった。
 
;加工食品の材料
 
:日本では[[麹]]を生やして[[醤油]]・[[味噌]]などの[[発酵]]食品の原料として使われる。ハダカムギから作られる[[麦味噌]]が、[[九州]]を中心に作られている。[[焼酎]]のような酒類の原料としても用いる。また、炒った大麦を挽いた粉を[[はったい粉]]、または[[はったい粉|麦焦がし]]と呼び、[[砂糖]]や湯などと合わせて練り、菓子の一種として食べていた。[[麦粉 (菓子)|麦粉]]は現在においても菓子の原料として広く使われている。また、はったい粉を型に入れて固めた麦[[落雁]]も、[[和菓子]]として各地の[[銘菓]]となっている。[[沖縄県]]においては、[[緑豆]]とオオムギを使って[[あまがし]]という[[ぜんざい]]の一種が作られ、夏の風物詩となっている<ref>「保存版 沖縄ぬちぐすい事典」監修 尚弘子 pp20-21 2002年11月24日初版第1刷 プロジェクト・シュリ</ref>。オオムギを[[ポン菓子]]にして[[チョコレート]]をコーティングした[[麦チョコ]]も、[[駄菓子屋]]などで売られている。
 
:麺やパンの材料としても用いることができるが、[[コムギ]]と違い、[[グルテン]]をほとんど含まないので弾力性が必要な[[麺]]の原料とするには、小麦などと混合するかグルテンの添加が必要である。製粉して[[パン]]にした場合もグルテンに乏しいためあまり膨らまず、小麦のパンとは食感が異なるどっしりとした重い感じのパンができる。また大麦は小麦より粉に挽きにくいという問題があるが、発芽させることによって挽きやすくなる。下述の麦芽としての利用は、そこから偶然生み出されたものである。
 
;麦芽
 
:大麦の主な用途として[[麦芽]]の製造があげられる。麦芽は文字通りムギ類を発芽させたものであり、本来はオオムギだけを指すものではないが、一般的に、麦芽といえばオオムギからのものをさす。これはオオムギから作る麦芽が最も酵素が多く含まれるため、麦芽の質がよく、結果として麦芽を利用する場合はほとんどがオオムギ麦芽を使用することになるからである。麦芽には[[アミラーゼ]]酵素が含まれ、[[デンプン]]を[[糖]]に分解する作用があるため、[[麦芽糖]]が大量に生成される。麦芽糖はその名の通り糖であり、甘味料として[[水飴]]や[[シロップ]]の原料ともなるが、麦芽のもっとも重要な利用法は糖からアルコールを作ることである。
 
;酒
 
[[File:Masskruege.jpg|thumb|right|200px|ビール製造はオオムギの最も重要な用途である]]
 
:なかでもオオムギ麦芽のもっとも重要かつ一般的な使用法は、[[ビール]]の醸造である。ビールはコムギやほかの穀物、[[バナナ]]などから作られることもあるが、通常ビールとはオオムギ麦芽から製造されたものを指す。[[1516年]]に[[バイエルン大公|バイエルン公]][[ヴィルヘルム4世 (バイエルン公)|ヴィルヘルム4世]]によって制定された[[ビール純粋令]]は、「ビールは、麦芽・[[ホップ]]・水・[[酵母]]のみを原料とする」ことを定めている。この法律はバイエルン史を通じて存続し、[[1870年]]に[[バイエルン]]が[[ドイツ帝国]]に吸収されたのちも帝国によって引き継がれ、ドイツでは改正をくわえられつつも現役の法律となっている。この麦芽はオオムギを指すものではなく、コムギ麦芽を使用する[[白ビール]]なども製造されているが、白ビールでも原料の一部にはオオムギを使うことが多く、またドイツでの生産の多数を占めるピルスナータイプのビールはすべてオオムギ麦芽のみを使用する。
 
:ビールなどの[[醸造酒]]のほか、[[蒸留酒]]もオオムギから作られる。その中でも最も生産額が多く重要なものは、[[ウィスキー]]の生産である。ウィスキーにはオオムギ麦芽(モルト)のみを原料とするモルト・ウイスキーと、トウモロコシやライムギなどほかの穀物から作られるグレーン・ウイスキーがあるが、グレーン・ウイスキーの多くはモルト・ウイスキーと混合するブレンデッド・ウイスキーとなるため、いずれにせよオオムギが大きな役割を持つ。また、ウイスキーのほか、[[ウォッカ]]や[[ジン (蒸留酒)|ジン]]はオオムギを原料としたものも多数存在する。また、麦[[焼酎]]もオオムギを原料としている。麦焼酎は六条オオムギを原料にしたものと二条オオムギを原料としたものの両方があるが、麦芽ではなく[[麹]]を使うのが大きな特徴である。このように、オオムギを原料とした蒸留酒は数多い。
 
;その他
 
:若葉を粉砕して粉末にしたものは[[青汁]]の一種として、[[健康食品]]として売られている。
 
:オオムギ穀皮抽出物は[[乳化剤]]などの用途で、かつて日本の[[既存食品添加物]]名簿に掲載されていたが、販売実績がないため、[[2005年]]に削除された。
 
{| class="wikitable" style="float:right"
 
|+ 100g中の食物繊維<ref name=mext>[http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu3/toushin/05031802/002.htm 五訂増補日本食品標準成分表]</ref>
 
|-
 
! 項目 !! 分量
 
|-
 
|[[炭水化物]]|| 77.8  g
 
|-
 
|[[食物繊維]]総量|| 9.6  g
 
|-
 
|水溶性食物繊維|| 6.0  g
 
|-
 
|不溶性食物繊維|| 3.6  g
 
|}
 
;豊富な水溶性食物繊維と効果
 
:大麦には豊富な水溶性食物繊維が含まれており、その大部分は[[βグルカン]]である。大麦の摂取による血中[[コレステロール]]値上昇抑制作用、[[血糖値]]上昇抑制作用、[[BMI]]値低減効果が報告されている<ref>[http://dx.doi.org/10.5264/eiyogakuzashi.67.235 大麦の生理作用と健康強調表示の現況]、荒木茂樹ほか、栄養学雑誌Vol.67 (2009) No.5</ref>。{{main|麦飯}}
 
;抗癌作用を主張する研究について
 
:*かつて、[[デザイナーフーズ計画]]のピラミッドで3群に属しており、3群の中でも、ローズマリー、セージ、ベリー、ジャガイモと共に3群の最下位に属するが、癌予防効果のある食材であると位置づけられていた<ref>[http://dx.doi.org/10.2740/jisdh.20.11 がん予防と食品]、大澤 俊彦、日本食生活学会誌、Vol.20 (2009) No.1 </ref>。
 
 
=== その他 ===
 
その他の用途としては、[[家畜]]の[[飼料]]、[[漢方薬]]などがある。オオムギの利用史において、飼料用は世界のほとんどの地域において常に大きな部分を占めている。[[ウシ]]や[[ヒツジ]]などの[[反芻]]する家畜はオオムギを好み、特に皮の部分を好むからである<ref>「品種改良の世界史 作物編」p77 鵜飼保雄、大澤良編著 悠書館 2010年12月28日第1刷</ref>。特に大生産国であるヨーロッパやアメリカにおいては、飼料用とビール・ウィスキー醸造用がオオムギの用途のほとんどを占め、そのまま食用とすることは少ない。日本においても飼料用オオムギは重要であり、オオムギ消費の大きな部分を占める。飼料としては、ウシの肥育に使用される場合が多い。オオムギを飼料として販売する場合、日本においては変形加工することが義務付けられている<ref>http://www.zenbakuren.or.jp/fodder/index.html 「飼料としての大麦」全麦連 2015年1月12日閲覧</ref>。
 
 
また、オオムギ発酵エキスに白髪を黒くさせる作用のある成分が含まれ、[[脱毛症#育毛剤|育毛剤]]、[[シャンプー]]などに応用が考えられている。
 
 
== 生産量 ==
 
オオムギは[[イネ]]、[[コムギ]]、[[トウモロコシ]]に次いで世界で4番目に多く栽培されている穀物である。生産量はかつて増加傾向にあり、[[1961年]]には7200万トンだった生産量は[[2008年]]には1億5500万トン<ref name="prodstat">{{cite web | url=http://faostat.fao.org/site/567/DesktopDefault.aspx | title=ProdSTAT | work=FAOSTAT | accessdate=2006-12-26}}</ref>と、倍以上に増加している。しかし[[1970年代]]からは増加は停滞傾向にある<ref>「新訂 食用作物」p193 国分牧衛 養賢堂 2010年8月10日第1版</ref>。[[2004年]]の世界の総生産量は1億5362万4393[[トン]]であった。世界で最もオオムギの生産量が多い国は[[ロシア]]であり、以下[[カナダ]]、[[ドイツ]]、[[ウクライナ]]、[[フランス]]と続く。[[FAO]]の [http://faostat.fao.org/faostat/servlet/XteServlet3?Areas=%3E862&Items=44&Elements=51&Years=2004&Format=Table&Xaxis=Years&Yaxis=Countries&Aggregate=&Calculate=&Domain=SUA&ItemTypes=Production.Crops.Primary&language=EN 統計]によれば、主要生産国の国別生産量は以下の通りであった。
 
 
2004年度
 
{|class="wikitable"
 
! !! 国 !! トン
 
|-
 
| {{0}}1 || {{RUS}} || -align="right" | 1717万9740
 
|-
 
| {{0}}2 || {{CAN}} || -align="right" | 1318万6400
 
|-
 
| {{0}}3 || {{DEU}} || -align="right" | 1299万3000
 
|-
 
| {{0}}4 || {{UKR}} || -align="right" | 1106万8800
 
|-
 
| {{0}}5 || {{FRA}} || -align="right" | 1104万0214
 
|-
 
| {{0}}6 || {{ESP}} || -align="right" | 1060万8700
 
|-
 
| {{0}}7 || {{TUR}} || -align="right" | {{0}}900万0000
 
|-
 
| {{0}}8 || {{AUS}} || -align="right" | {{0}}645万4000
 
|-
 
| {{0}}9 || {{USA}} || -align="right" | {{0}}608万0020
 
|-
 
| 10 || {{GBR}} || -align="right" | {{0}}586万0000
 
|}
 
参考:{{JPN}} 19万5400トン(2007年度)
 
 
2009年〜2011年
 
{| class="sortable wikitable"
 
|+ オオムギ生産上位10か国(単位・100万トン)<ref>[http://faostat.fao.org/site/567/DesktopDefault.aspx?PageID=567#ancor FAOSTAT]</ref>
 
! 順位
 
! 国
 
! 2009
 
! 2010
 
! 2011
 
|-
 
| 01 || {{RUS}} ||  17.8 ||  8.3 || 16.9
 
|-class="sortbottom"
 
| 02 || {{UKR}} || 11.8 || 8.4 || 9.1
 
|-class="sortbottom"
 
| 03 || {{FRA}} || 12.8 || 10.1 || 8.8
 
|-class="sortbottom"
 
| 04 || {{DEU}} ||  12.2 ||  10.4 || 8.7
 
|-class="sortbottom"
 
| 05 || {{AUS}} || 7.9 || 7.2 || 7.9
 
|-class="sortbottom"
 
| 06 || {{CAN}} ||  9.5 ||  7.6 || 7.7
 
|-class="sortbottom"
 
| 07 || {{TUR}} ||  7.3 ||  7.2 || 7.6
 
|-class="sortbottom"
 
| 08 || {{GBR}} ||  6.6 || 5.2 || 5.4
 
|-class="sortbottom"
 
| 09 || {{ARG}} || 1.3 || 2.9 || 4.0
 
|-class="sortbottom"
 
| 10 || {{USA}}||  4.9 || 3.9 || 3.3
 
|-class="sortbottom"
 
| — || '''世界総計''' || '''151.8''' || '''123.7''' || '''134.3'''
 
|-class="sortbottom"
 
|}
 
 
また、日本国内においては、平成19年度で二条大麦が12万8,200トン、六条大麦が5万2,100トン、裸麦が1万4,300トンとなっている。二条大麦の生産量が最も多いのは[[佐賀県]]で、4万1,600トン、全国生産量の32.4%にのぼる。六条大麦の生産量が最も多いのは[[福井県]]で、1万7,100トン、全国生産量の32.8%にのぼる。裸麦の生産量が最も多いのは[[愛媛県]]で5,880トン、全国生産量の41.1%を占める。<ref>[http://www.toukei.maff.go.jp/dijest/mugisoba/mugisoba03-04/mugisoba03-04.html グラフと絵で見る食料・農業 統計ダイジェスト 3 麦 農林水産省]</ref>自給率は8%前後である<ref>「地域食材大百科第1巻 穀類・いも・豆類・種実」p127 社団法人 農山漁村文化協会 2010年3月10日第1刷</ref>。
 
 
日本はオオムギの大輸入国ではあるが、主食用のオオムギに関しては100%自給を達成している<ref>http://www.zenbakuren.or.jp/trivia/production.html 「大麦の生産量と輸入量:大麦豆知識」 全麦連 2015年1月12日閲覧</ref>。一方、飼料用のオオムギに関してはほぼ100%を輸入に頼っている<ref>http://www.zenbakuren.or.jp/fodder/index.html 「飼料としての大麦」全麦連 2015年1月12日閲覧</ref>。
 
 
== 脚注 ==
 
{{脚注ヘルプ}}
 
{{Reflist|2}}
 
 
== 関連項目 ==
 
{{Commonscat|Hordeum vulgare}}
 
{{wikispecies|Hordeum vulgare}}
 
* [[麦芽]]
 
* [[麦茶]]
 
* [[麦角菌]]
 
{{-}}
 
 
== 外部リンク ==
 
* [http://hfnet.nih.go.jp/contents/indiv_agreement.html?111 オオムギ - 「健康食品」の安全性・有効性情報] ([[国立健康・栄養研究所]])
 
 
 
{{穀物}}
 
 
{{DEFAULTSORT:おおむき}}
 
{{DEFAULTSORT:おおむき}}
 
[[Category:オオムギ|*]]
 
[[Category:オオムギ|*]]

2018/7/30/ (月) 10:45時点における版

大麦、学名 Hordeum vulgare

イネ科の越年草。原産地は中国大陸南西部といわれ,中国では数千年の栽培の歴史がある。大きな株になり,茎はよく分蘗 (ぶんけつ) して叢生する。高さ 1mぐらい。葉はコムギより幅が広く,緑白色でコムギのように先が垂れない。4~5月に穂を出し,小穂は長さ5~10cmの花穂の軸上に3個ずつ並んで密につき,上から見ると6列または4列になる。前者を六条オオムギ

H. vulgare var. hexastichon,後者を四条オオムギ H. vulgare var. vulgareという。日本でも栽培の歴史は古く品種が多いが,関西以西では六条オオムギ系が多い。四条オオムギ系は外国でおもに栽培され,日本では東北や北陸に限られる。穎果が成熟すると内穎から容易に分離するものがあり,ハダカムギと呼ばれる。押麦として米飯に混ぜるほか,発芽させた麦芽 (モルト) をビール,飴類の糖化剤,味噌などに用いる。茎は麦わらでストローや帽子などに使う。