インベストール
インベストール[1](スウェーデン語: Investor AB)は、スウェーデン・ストックホルムに本社を置く投資会社。スウェーデンの財閥一族であるヴァレンベリ家により設立され、現在もFoundation Asset Management ABを通じ、ヴァレンベリ家のコントロールを受けている。ストックホルム証券取引所上場企業(テンプレート:OMX)。
沿革
1916年10月、スウェーデンでの法律改正により、銀行が企業の株式を長期間保有し続けることが困難となったため、ヴァレンベリ家のコントロールするStockholm Enskilda Banken(SEB、現在のスカンジナビスカ・エンスキルダ・バンケン)から、投資企業としてスピンオフさせる形で設立された[2]。当初からAtlas Diesel(現在のアトラスコプコ)やスカニアに投資を行い、1924年にAstra(現在のアストラゼネカ)への投資を開始した。1932年に世界のマッチ王と称されたイーヴァル・クルーガーの影響力が消滅すると、その中心企業であったスウェーデン・マッチ(Swedish Match)、エリクソン、SKFに次々に投資、主要株主となった[3]。インベストールのCEOはSEBの出身者が占め続ける中、1956年にエレクトロラックスへの投資を開始、1970年代にはスウェーデンの製紙大手4社を投資対象に加えた[4]。1980年代に入り、ストックホルム証券取引所の運営企業であるOM(後のOMX)が設立されるとその主要株主となった[5]。1990年代にストラ・エンソが設立されると投資対象とし[6]、2010年代に入り、ABBグループ、ハスクバーナ、SAABやアメリカ合衆国のNASDAQへの投資を強化、メンリッケヘルスケア(Mölnlycke Health Care)の9割以上の株を保有し、2012年にフィンランドのバルチラに投資を開始した[7]。現在の投資対象の中核は、ABBグループ、アストラゼネカ、アトラスコプコ、エレクトロラックス、エリクソン、ハスクバーナ、NASDAQ、SAAB、スカンジナビスカ・エンスキルダ・バンケンとなっている[8]。
1994年に、未公開株を対象とする部門の「EQT」が立ち上げられ、欧州諸国に加えてアメリカやアジア諸国の非上場株式を保有[9]、EQTは世界14万人の関係者を抱える北欧最大の投資ファンドとなり[10]、各国の拠点となる「EQTパートナーズ」を通じ、影響下とした企業の経営に関与している[11][12]。
脚注
- ↑ 英語読みで、インベスターやインベスターABと呼ばれることもある。例えば、ウォール・ストリート・ジャーナルの記事やロイター通信の記事など。
- ↑ “The early years” (英語). インベストール. . 2016閲覧.
- ↑ “SKF, Ericsson and Swedish Match: ball bearings, telecom and matches” (英語). インベストール. . 2016閲覧.
- ↑ “Saab-Scania and SEB mergers” (英語). インベストール. . 2016閲覧.
- ↑ “Mergers and Acquisitions” (英語). インベストール. . 2016閲覧.
- ↑ “Building the private equity operations and listing Scania” (英語). インベストール. . 2016閲覧.
- ↑ “Enter our current chairman and new CEO” (英語). インベストール. . 2016閲覧.
- ↑ “Listed Core Investments” (英語). インベストール. . 2016閲覧.
- ↑ “History - EQT” (英語). EQT. . 2016閲覧.
- ↑ “「どこを見ても」資産バブル、北欧最大の買収ファンドが懸念”. ブルームバーグ (2015年2月19日). . 2016閲覧.
- ↑ “リマ・コーポレートは新オーナーとともに成功の道を歩み続ける”. 共同通信PRワイヤー (2015年12月24日). . 2016閲覧.
- ↑ “クオニイ、スウェーデンの投資会社が買収へ、約1630億円提示”. トラベルビジョン (2016年2月8日). . 2016閲覧.
外部リンク
- Official Website(英語)(スウェーデン語)
- EQT(英語)(ドイツ語)(中国語) - 未公開株投資部門。