宮崎公立大学
宮崎公立大学 | |
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大学設置/創立 | 1993年 |
学校種別 | 公立 |
設置者 | 公立大学法人宮崎公立大学 |
本部所在地 | 宮崎県宮崎市船塚1丁目1-2 |
学部 | 人文学部 |
研究科 | なし |
ウェブサイト | 宮崎公立大学公式サイト |
宮崎公立大学(みやざきこうりつだいがく、英語: MIYAZAKI Municipal University)
Contents
概要
1993年4月に、宮崎県内7市町(当時)が設立した宮崎公立大学事務組合によって、宮崎大学教育学部(現・教育文化学部)の跡地に開学した。2013年現在では、宮崎市が単独で運営する公立大学法人によって設置されている。日本では数少ないリベラル・アーツ教育を行っている大学のひとつである。
建学の理念・目的
宮崎公立大学は、広く知識を授け、深く専門の学術を教授研究し、高い識見と国際的な視野を持つ人間性豊かな人材を育成するとともに、広く地域に開かれた大学として生涯学習の振興、産業経済の発展及び文化の向上に貢献することを目的とする。(建学の理念・目的/宮崎公立大学学則第1条)
設置学部・学科について
宮崎公立大学は、上記の人材育成目標を達成するために、人文学部国際文化学科を設置し、リベラル・アーツ教育を通じて教養あるグローバル人材を育成。
全学生が、言語・文化、メディア・コミュニケーション、国際政治経済分野を横断的に学修しながら、そのうちの1つの専門性を高めていくと同時に、グローバル化の時代に求められる現代社会の幅広い教養と語学力・異文化対応力・情報処理スキルを獲得していく。
学びの共通基盤を備えた学生が主体的に自身の進路を見据えた学習が行えるよう、入学後に3つの専攻の中から、興味・関心に応じて、自分の関心ある1つの専攻を選択し、専門性を高めることができるのが大きな特徴。
教育に関する3つの方針及び教育目標
人材育成目標
国際的な視野、幅広い知識と確かな専門性、言語によるコミュニケーション能力を備えた上で、人間文化の現代的課題を探究でき、グローバル化する世界で多様な人々とともに主体的に活動できる人材を育成します。
入学者の受入れ方針(アドミッション・ポリシー)
宮崎公立大学は、建学の理念と人材育成目標に基づき、次のような人の入学を求めています。
1.英語のコミュニケーション能力のさらなる向上とともに、東アジア言語(中国語、韓国語)の習得にも意欲を持つ人。
2.地域社会のみならず広く国際社会の課題の探究と解決に、主体的に取り組む姿勢を持つ人。
3.幅広い教養を積極的に吸収するとともに、言語・文化、メディア・コミュニケーションや国際政治経済に関する分野を極めたい人。
教育課程の編成・実施方針(カリキュラム・ポリシー)
1.国際文化学科の教育課程に専門課程と教養課程を設置し、専門課程に言語・文化専攻、メディア・コミュニケーション専攻、国際政治経済専攻の3専攻を置く。また、教養課程にグルーバル人材養成プログラムと現代教養科目群を置く。
2.専門課程の科目を専門基礎、基幹、展開で構成するとともに、各科目に番号を付して段階的な履修を促すことにより、学生の専門知識を確かなものにする。
3.専門課程においては学生が幅広い専門知識を身につけられるよう専攻横断的な履修を促す仕組み(履修条件)を作る。
4.専門課程における基礎演習、基幹演習、卒業研究を含む専門演習を必修とする。
5.アカデミック・スキルの修得とともに、論理的思考力、コミュニケーション能力、問題解決能力、さらに社会人としての基礎力を養成するため、専門課程において、演習と少人数からなる授業を実施する。
6.教養課程におけるグローバル人材養成プログラムは、英語教育プログラム、東アジア言語教育プログラム、異文化実習プログラム、情報教育プログラムによって構成する。
7.教養課程に現代教養科目群を置き、人文学、社会科学、自然科学、スポーツ健康、キャリア教育の5分野にわたる幅広い教養科目を開講する。
学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)
1.3専攻の1つを体系的に学修するとともに、専攻を横断する学修を通じて、国際的視野を広げ、人間文化の現代的課題を探究する能力を身につけている。
2.講義と演習を通じて、専門知識とアカデミックスキルを修得するとともに、論理的思考力、コミュニケーション能力、問題解決能力、異文化対応力、および社会人としての基礎力を身につけている。
3.グローバル人材養成プログラムへの主体的な取り組みによって、高度な英語コミュニケーション能力、中国語と韓国語のコミュニケーション能力、実社会で必要とされる情報処理能力を身につけている。
4.人文学、社会科学、自然科学、スポーツ健康、キャリア教育の各分野の学修を通じて現代的教養を身につけている。
教育目標
「教養あるグローバル人材」の養成に必要な能力を下記の8つの能力として具体化し、それを教育目標としてまとめています。
1.論理的思考能力
2.問題解決能力
3.コミュニケーション能力
4.語学力
5.情報処理能力
6.異文化対応能力
7.積極的行動力
8.他者と協力する力(チームワーク)
宮崎公立大学のリベラル・アーツ教育とは
宮崎公立大学は、リベラル・アーツを理念に教育している。
リベラル・アーツとは、古代ギリシャに起源をもつ言葉であり、「人間を自由にする技術」や「自由人が学ぶにふさわしい学芸」を意味する。リベラル・アーツは、変遷をたどりながらも今日にまで引き継がれ、アメリカには小規模で質の高い教育を提供する多くのリベラルアーツ・カレッジがある。リベラル・アーツ教育とは、「受け身の学びから主体的学び」(From Teaching to Learning)をモットーに「自律的な思考と判断ができる自由な人間の育成」を目指す教育のことである。
特に、知識が最も重要な価値ある資源となる現代社会において、創造的な知識に価値があるのは当然だが、誰でもが手に入れることができる知識でも、それをうまく活用すれば新たな価値を生み出すことができる。そのためには、一つの専門性を極める「課題探求能力」だけではなく、多様な専門知識を主体的に吸収する「やわらかな知性」も必要であり、リベラル・アーツ教育は、最も時代にフィットしているといえる。
また、国境を越えて世界が急速に一体化していく現代のグローバル化の中では、何事も一国では完結することはできない。それゆえ、外国そして自国の文化やメディアそして政治経済の理解、そしてコミュニケーション能力が必要になる。従って、英語や情報等のスキルの修得とともに、国際文化を専門分野として学修することは、グローバル化する世界で活躍するためのパスポートとなるのである。
教育の特色
特色1 専門分野のバランスの良い学修
国際文化学科の専門分野は、「言語・文化」、「メディア・コミュニケーション」、「国際政治経済」の3専攻から構成されており、3専攻のうち1専攻を体系的に学ぶことで専門性を高めると同時に、他の2専攻も横断的に学修することで、国際的視野を広げ、幅広い知識を修得することができる。
「主体的学び」を実践し、学生間、学生教員間の創造的な共同空間が演習(ゼミ)である。特に専門演習では、学生一人ひとりが自分で設定した専門分野の1テーマを主体的に研究し、集大成としての卒業論文を作成し発表する。確かな専門性の修得に向け、少人数ゼミの中で教員が懇切丁寧に指導している。
演習の中で、人間文化の現代的課題を探求する能力とともに、問題解決能力や論理的思考力、コミュニケーション能力やプレゼンテーション能力が磨かれ、「幅広い知識と確かな専門性」を修得することができる。
特色2 専門知識と実践的スキルのバランス
「教養あるグローバル人材」となるために、多様な専門知識と高い専門性の修得を目指すだけではなく、語学力やICT(情報通信技術)等の実践的なスキルもバランスよく身につけられるよう、「グローバル人材養成プログラム」がある。
語学のコミュニケーション・スキルの修得に向けては、高い英語運用能力を習得する充実したプログラム、そして中国語と韓国語の運用能力を獲得するためのプログラムがある。また、「異文化実習プログラム」によって海外での生活を体験しながら語学を学ぶと共に、異文化対応力を磨くことができる。
また、コンピュータの操作スキルにとどまらない情報収集スキルやプレゼンテーションスキル等、実社会で求められる実践的なスキルを獲得するためのプログラムがある。
特色3 専門的教育と教養教育のバランス
専門にとらわれずに、現代の社会生活を実り豊かに過ごすための教養教育が不可欠である。人文、社会、自然、そしてスポーツ健康といった各分野の幅広い教養を身につけ、さらに主体的な進路選択を考えるための充実したキャリア教育がある。
沿革
- 1991年7月 宮崎市、宮崎郡清武町[1]・佐土原町[1]・田野町[1]、東諸県郡綾町・国富町・高岡町[1]が一部事務組合として宮崎公立大学事務組合を設立。
- 1993年4月 - 宮崎公立大学が開学。
- 1997年3月 - 同窓会「なな会」が発足。
- 2005年11月 - 凌雲会館完成。
- 2007年4月 - 公立大学法人宮崎公立大学を設立。
- 2007年10月 - 同窓会が「なな会」から「凌雲なな会」へと改称。
- 2011年4月 - 宮崎公立大学事務組合を解散、宮崎市による単独運営となる。事務組合を構成していた宮崎市と周辺市町のうち、後者の多くが宮崎市に編入されたこともあり、2010年度には運営費のほぼ全額(99.95%)を宮崎市が負担していた[2]。
- 2011年10月 - 就職支援室・教職支援室を設置
- 2012年3月 - 学生と職員の共同制作による新広報誌『MMU SHiP』創刊
- 2013年6月 - 開学20周年記念式典
- 2013年6月 - スターリング大学(英国)と学術交流協定を締結
- 2013年6月 - コミュニケーションマーク・スクールカラーを制定
- 2013年11月 - 私費外国人留学生推薦編入学試験実施(初年度)
- 2014年4月 - 3専攻制による新教育課程への移行開始
- 2014年11月 - 一般編入学試験(2年次)実施(初年度)
- 2015年6月 - ハワイ大学マノア校IRCおよびハワイ大学カピオラニ・コミュニティカレッジ(米国)と学術交流協定を締結、日米国際シンポジウム実施
- 2015年11月 - 一般選抜編入学(3年次)実施(初年度)
- 2016年4月 - 就職支援室に学生支援関連業務を移管し「学生・就職支援室」に改称。学務課に「入試広報係」を新設。小学校教員免許状取得推進事業の開始とともに、教職支援室を教務係に所管変更
- 2017年1月 - 推薦入試Ⅱ(センター試験を課す推薦入試)を実施(初年度)
- 2017年3月 - 公益財団法人大学基準協会による認証評価を受審し、「適合」判定を受ける
学部・大学院等
- 人文学部
- 国際文化学科
大学関係者
教員
対外関係
他大学との協定
国内大学
海外の大学
海外協定校[4]
- ハワイ大学マノア校(ハワイ州)
- ハワイ大学 カピオラニ・コミュニティカレッジ(ハワイ州)
不祥事
教授によるセクハラ問題
2004年、2008年に教授によるセクハラ裁判が発生し宮崎地裁がセクハラを認めている、と報道された。2012年には4件目の事例が発覚し、中別府学長が引責辞任に追い込まれた[5]。しかし、2008年の事件に関しては、その後、男性教授が「セクハラ虚偽公表で苦痛」訴訟を起こし、2012年11月2日に和解している。内容は、「裁判所から(男性教授への)処分は正当と認められ、セクハラも認定された」と公表したことについて、裁判所がセクハラと認定した事実はなく、公表内容は同大学の論評であったということを双方が確認。また、来年度から男性教授が7講義を開講し、同大学が受講生を募集することなども決めた、というもの(『宮崎日日新聞』2012年11月17日)。『朝日新聞』宮崎版(2012年11月20日)では、「セクハラ認定ない 教授と公立大が和解 損害賠償訴訟」の見出しで掲載されている。 2009年7月、50代後半の教授が1年生の女子学生にメールアドレスを教え「毎日顔を見せてほしい」とメールを送りつけたり、「弁当を作ってほしい」と話しかけられたりし、研究室で2人きりになると教授が手や太ももを触るといったセクハラが発生し同年10月に女子学生が学校側に通報。この学生以外にもセクハラによる被害者が1人いたが、学校側は同年12月に対策として男性教授に口頭で厳重注意したのみだった。ただし、学生は「処分は望まない」としている[6]。
学生は防止対策が不十分だとして調査会設置を求めたが、「学生は当初、行為の停止を求め、外部に公表しないでほしいと言っていた」と大学側が述べ、理事長の判断で調査会を開かなかった[7][8]が、報道後の2010年3月15日に調査委員会の設置、へと方針転換[9]、同年8月に調査が終了し、12月に教授から准教授への降格処分がなされた[10][11]。2009年7月のセクハラ事件は、2015年12月15日付で、最高裁がセクハラを不認定。教員処分無効の判決を下した。「宮崎公立大(宮崎市)の准教授の男性が、女子学生へのセクハラを理由に受けた停職と降格処分の無効と損害賠償を求めた訴訟は、いずれの処分も無効とし、減給分の給与などの支払いを大学に命じた二審福岡高裁宮崎支部判決が17日までに確定した。最高裁第3小法廷(山崎敏充裁判長)が15日付で大学の上告を退ける決定をした[12]。
脚注
- ↑ 1.0 1.1 1.2 1.3 現在は宮崎市に編入。
- ↑ 「宮崎市が宮崎公立大単独運営へ 事務組合来春に解散」『宮崎日日新聞』2010年8月24日。
- ↑ 放送大学 平成28年度 単位互換案内
- ↑ “国際交流の概要”. . 2016閲覧.
- ↑ 「セクハラ相次ぎ引責辞任 公立大・中別府学長」 「「当然」「改革が必要」 公立大学長辞任」 『宮崎日日新聞』2012年1月11日。
- ↑ 宮崎公立大でセクハラ 教授に口頭注意 宮崎日日新聞、2010年3月8日配信。
- ↑ 再発防止策怠る 宮崎公立大セクハラ 宮崎日日新聞、2010年3月9日。
- ↑ セクハラ教授に口頭厳重注意のみ…宮崎公立大 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)(2010年3月11日時点のアーカイブ)
- ↑ 内部調査会設置へ 宮崎公立大セクハラ 宮崎日日新聞、2010年3月16日社会面。
- ↑ 50代教授、准教授降任 宮崎公立大セクハラ 『宮崎日日新聞』2010年12月23日。
- ↑ 「相談から処分に14カ月 宮崎公立大セクハラ問題」 『宮崎日日新聞』2010年12月24日。
- ↑ “宮崎公立大セクハラ訴訟(産経west 2015年12月17日)”. . 2016閲覧.
外部リンク
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