最小公倍数
最小公倍数(さいしょうこうばいすう、英: least common multiple)とは、[math]0[/math]ではない複数の整数の公倍数のうち最小の自然数をさす。たびたび、L.C.M.やlcm等の省略形で記述される。
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定義
2つ以上の整数[math]a_1,\ldots, a_n[/math]の最小公倍数とは、[math]a_1,\ldots, a_n[/math]の公倍数のうち最小の正整数である。
つまり、[math]a_1,\ldots, a_n[/math]を
[math] a_j = \varepsilon_j\prod_{p;\mathrm{prime}}p^{e_p(j)}\ \ \ (e_p(j)\ge 0,\ \ \varepsilon_j=\pm 1) [/math]
と素因数分解したとき、[math]a_1,\ldots, a_n[/math]の最小公倍数は
[math] \prod_{p;\mathrm{prime}}p^{\max\{e_p(1),\ldots,e_p(n)\}} [/math]
で与えられる。
例えば、[math]30[/math]と[math]42[/math]の最小公倍数は[math]210[/math]である。
諸概念
正整数[math]a,\ b[/math]に対して、[math]a[/math]と[math]b[/math]の最大公約数[math]\mathrm{gcd}(a,\ b)[/math]と最小公倍数[math]\mathrm{lcm}(a,\ b)[/math]との間には
[math] \mathrm{gcd}(a,\ b)\cdot\mathrm{lcm}(a,\ b) = ab [/math]
という関係がある。
しかし、この関係式は3つ以上の正整数に対しては一般には成立しない。例えば、[math]a = 2,\ b = 6,\ c = 15[/math]とすると、[math]\mathrm{gcd}(a,\ b,\ c) = 1,\ \mathrm{lcm}(a,\ b,\ c) = 30[/math]であるが、[math]abc = 180[/math]である。
多項式の最小公倍数
多項式の[math]0[/math]でない公倍数のうち、最も次数の低いものを最小公倍数という。例えば、[math]x^3-x[/math]と[math]x^3+x^2-x-1[/math]の最小公倍数は[math]x(x+1)^2(x-1)[/math]である。
多項式の最小公倍数は定数倍を除いて1つしか存在しない。
参考文献
- 高木貞治 『初等整数論講義第2版』 共立出版、東京、1971年。