ライト文芸
ライト文芸(ライトぶんげい)は、日本の小説分類分けの1つ。名称はまだ定着しておらず「キャラクター小説」「キャラクター文芸[注 1]」「キャラ文芸[1]」「キャラノベ[2]」「大人向けライトノベル」などと呼ばれることもある。
本稿では記事タイトルと同じ「ライト文芸」に統一する。
特徴
「ライト文芸」というジャンルには明確な区分けが存在していないが以下のような特徴から「一般文芸とライトノベルの中間に位置する小説」と評されている[2]。
ライトノベルと同じく表紙にイラストを採用している作品が多く[2]、一般文芸と異なり表紙、出版社の公式サイト、店頭POPなどにおいてイラストレータの名前もアピールされていることがある。さらに、作品によってはライトノベルのようにカラーイラストの口絵が付いているものも存在する。ただし、表紙のイラストはアニメ調が主流のライトノベルに対し、ライト文芸ではパステル調が主流[3]となっている。
内容はキャラクターを主体にした小説が多い。ジャンルは「ホラー」「SF」「恋愛」など多様だが、中でも「妖怪」「軽めのミステリー」「女性主人公」が多く、ライトノベルのような萌え要素を抑えている傾向がある[4]。そして、10代の少年が主人公となる作品の多いライトノベルに対し、ライト文芸は主な購買層と同じ20-30代(大学生や社会人)[3]がメインキャラクターとなるものが主流である[3]。
ライト文芸レーベルで執筆している作者はもともと一般文芸で書いていた人からライトノベル作家まで多様である[3]。特殊な例としてメディアワークス文庫の新人賞はライトノベルの新人賞と合同で募集し受賞後に分けられている。また最近ではもともとライトノベルで出版されていた本をライト文芸として再刊行する作品もみられる。さらにE★エブリスタやpixiv、小説家になろうで連載されていた作品の出版も数多く存在し、ケータイ小説サイトからの書籍化も多く実質ケータイ小説として後継となっている面もある(スターツ出版文庫など)。
アニメ化[注 2]やコミカライズ、実写化[注 3]などでメディアミックスされる場合もある。
アニメイト、メロンブックスなどのアニメグッズ、漫画、ライトノベルなどを扱う専門店に置いて、店舗限定特典や特殊POPを用いたフェアなどを行っていることがある。書籍の折り込みチラシでライト文芸とライトノベル両方の宣伝をしていることがある。一方で、一般向けのサブレーベルと位置づけている出版社もある[5]。このライトノベルがすごい!の中でランクインしたり、ボーダーズとして専用の紹介枠が設けられるなど、ライトノベル読者向けの書籍に載ることもあれば、本屋大賞などの一般層向けの賞にノミネートされることもあるので、一般向けとライトノベルどちらの読者に向けても宣伝が行われている。
そのほかの特徴として、ライトノベルのように単行本などや雑誌連載などを介さず、文庫で書き下ろしの作品がほとんどであり[3]、帯で「いきなり文庫化」などとそのことをアピールしているレーベルもある。
2010年代に入り、複数の出版社から急速に専門レーベルが登場している。理由としてメディアワークス文庫の『ビブリア古書堂の事件手帖』シリーズのヒットがあげられる[6]。
レーベル
- 朝日エアロ文庫 - 朝日新聞出版
- MF文庫ダ・ヴィンチMEW - KADOKAWA(メディアファクトリー)
- コスミック文庫α - コスミック出版
- 集英社オレンジ文庫 - 集英社
- 小学館文庫キャラブン! - 小学館
- SKYHIGH文庫 - 三交社
- スターツ出版文庫 - スターツ出版
- 講談社タイガ - 講談社
- 講談社ラノベ文庫 - 講談社[注 4]
- 新潮文庫nex - 新潮社
- すこし不思議文庫 - インターグロー
- ファミ通文庫(ファミ通文庫ネクスト) - KADOKAWA
- ファン文庫 - マイナビ出版
- 富士見L文庫 - KADOKAWA(富士見書房)
- 双葉文庫 - 双葉社[注 5]
- 招き猫文庫 - 白泉社
- メディアワークス文庫 - KADOKAWA(アスキー・メディアワークス)
- 角川文庫 - KADOKAWA[注 6]
- 角川ホラー文庫 - KADOKAWA[注 6]
- ノベルゼロ - KADOKAWA
- 幻冬舎文庫 - 幻冬舎[注 7]
- アルファポリス(単行本)
- アルファポリス文庫 - アルファポリス
- 実業之日本社文庫 - 実業之日本社
- 集英社文庫 - 集英社
- 創元推理文庫 - 東京創元社
- 宝島社文庫 - 宝島社
- 中公文庫 - 中央公論新社
- TO文庫 - ティー・オーエンタテインメント
- 徳間文庫 - 徳間書店
- ハヤカワ文庫JA - 早川書房
- 文芸社文庫 - 文芸社
- ポプラ文庫 - ポプラ社
雑誌
- GEN-SAKU! - BookLive
- 小説屋Sari-Sari - 角川書店
脚注
注釈
- ↑ KADOKAWAの表記(角川キャラクター小説大賞など)
- ↑ 『響け! ユーフォニアム』『Another』『櫻子さんの足下には死体が埋まっている』など。
- ↑ 『ビブリア古書堂の事件手帖』『真夜中のパン屋さん』『戦力外捜査官』など。
- ↑ 従来と装丁が異なっているものがレーベル内でライト文芸として枠組みが分かれている。
- ↑ 「キャラクターノベルシリーズ」として、レーベル内でライト文芸として枠組みが分かれている。
- ↑ 6.0 6.1 公式サイトやTwitterで「キャラクター文芸編集部」として宣伝などにおいて区別されている。
- ↑ 「幻冬舎文庫のキャラクターノベル」として帯などを統一するなど、レーベル内でライト文芸として枠組みが分かれている。
出典
- ↑ 【広角レンズ】大人向け「キャラ文芸」台頭 ライトノベルと一線 文庫品揃え厚く(1/4ページ) - 産経ニュース
- ↑ 2.0 2.1 2.2 土田みき (2012年9月24日). “マンガのような主人公が活躍、「キャラノベ」が人気のワケ”. 日本経済新聞 . 2015閲覧.
- ↑ 3.0 3.1 3.2 3.3 3.4 “イラスト付きでもライトノベルじゃない!ヒット続出の「キャラもの」小説とは?”. dot. (朝日新聞出版). (2014年11月21日) . 2015閲覧.
- ↑ “『ビブリア古書堂の事件手帖』に続く大ヒット作は出るか? いま「キャラクター文芸」がアツい”. ダ・ヴィンチNEWS (KADOKAWA). (2015年3月4日) . 2015閲覧.
- ↑ 【広角レンズ】大人向け「キャラ文芸」台頭 ライトノベルと一線 文庫品揃え厚く(3/4ページ) - 産経ニュース
- ↑ 野波健祐 (2015年4月14日). “「ライト文芸」現代の中間小説 漫画世代に向け創刊ラッシュ”. 朝日新聞デジタル . 2015閲覧.
関連項目
- 純文学
- 大衆小説
- 中間小説 - 純文学と大衆小説の中間的な作品
- 少女小説
- ジュブナイル
- ライトノベル系レーベル一覧
- ライトノベル作家一覧