水素燃料

提供: miniwiki
移動先:案内検索

水素燃料(すいそねんりょう)とは、燃料として用いる場合の水素のこと。新エネルギーのひとつで水素エネルギーとも呼ばれている。

概要

水素は、石油、天然ガスから安価に大量生産されている。

安価で大量の電力が得られれば水からの電気分解もでき、炭化水素から取り出せるためバイオエタノールなど多彩な燃料からも生産可能である。

新エネルギー・産業技術総合開発機構は、2014年7月30日に「水素エネルギー白書」を発表。2030年までに日本国内で1兆円規模、2050年には8兆円規模の市場展開を予測している[1]

問題点

天然には産出しないので化石燃料から改質するか電力で水を電気分解するかあるいは光触媒や高温ガス炉で水を分解して作られる。そのため、他の資源の価格が上昇すると必然的に水素の値段も上がる。また、水素の貯蔵、取り扱いには従来の化石燃料よりもインフラの整備などに費用がかかり、注意を要する。一例として水素が金属の内部に浸透することにより脆くなる水素脆化の問題がある。また沸点が低く、低温で貯蔵する場合断熱された容器が必要で気体の状態で保存する場合は高圧タンクが必要である。

化石燃料を利用する場合には製造工程において二酸化炭素が発生する。

燃料として使用する場合、内燃機関で使用する場合の熱量あたりの費用は、従来の化石燃料の方が安い。これは、水素の製造に化石燃料が原料やエネルギー源として使われるので、元の化石燃料よりも必然的に高くなるからである。また、燃料電池から電気を使用する場合でも、発電費用は化石燃料からの発電費用の方が安い。現状では水素燃料の使用はかえってエネルギーの浪費につながるという意見もある[2]。逆に言えば、風力や太陽光等で発生した余剰エネルギーから水素を製造すればエネルギーの効率化へとつながる。

反応

化学反応

液体水素を酸素と化学反応させて得られるエネルギーを用いる場合の液体水素のこと。

反応させる酸素は、液体燃料式ロケットエンジンの場合は液体であるが、燃料電池の場合は普通は空気中の酸素を使う。

詳しくは液体水素を参照のこと。

核融合反応

核融合反応のための燃料として水素同位体である重水素三重水素(トリチウム)を用いるもの。核燃料の一種である。トカマク型核融合炉では三重水素を内部で作り出すため、外部から供給が必要なのは重水素とリチウムである。慣性閉じ込め型融合炉では今のところ重水素と三重水素を使う予定であるが、リチウムの可能性もある。いずれも開発段階の技術であるので、実際の燃料としての使用はごく微量である。

詳しい説明は核融合反応核融合炉核融合エネルギーを参照のこと。

水素エネルギーに関する見解

エネルギーとして質量あたりの密度は、ガソリンの3倍、石油液化天然ガス (LNG) と比べても非常に大きい
質量あたりのエネルギー密度は確かに大きいが、その状態で保管する事は困難で極低温に保つか高圧タンクに貯蔵する必要がありそれらの体積、重量、低温化、高圧化に要するエネルギーを考慮すると経済的とはいえないという意見がある。

しかし、燃料電池はエネルギー効率がガソリン車に比べて高く、エネルギー密度が高いため、ガソリン車よりも経済的とする意見もある。

水素は燃焼しても地球温暖化の原因となる二酸化炭素をまったく排出しない、究極のクリーンエネルギーである
水素単体を燃焼させた場合には二酸化炭素を排出しないが、風力発電や水力発電等で水を電気分解したり、超高温原子炉のような二酸化炭素を排出しない高温熱源による熱化学水素製造を行わない限りは、製造工程で化石燃料を消費するので二酸化炭素が発生する。また、水素の運搬、保存には低温化、高圧化等に他のにエネルギーを消費するという意見がある。酸化剤として純酸素を用いるロケットエンジン以外は窒素酸素の混合物である空気を用いている以上窒素酸化物の排出は避けられない。

しかし、この意見への反対意見として、排気ガスに含まれる硫黄酸化物等の環境負荷物質(上記窒素酸化物を除く)を一切出さないこと。特に、火力発電以外、特に原子力発電、風力発電、水力発電などで補った分のエネルギーだけ、二酸化炭素や環境負荷物質が少なくなることがあげられる。また送電や変電時のロスを考えると、電気自動車などとコストは変わらないという意見も存在する。

脚注

外部リンク