様式史的研究

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ようしきしてきけんきゅう

Formgeschichte; form-criticism

聖書の内容をその文学的様式に注目して分類して,口伝承あるいは文書成立以前の最古の状態を探究し,それらが生み出されてきた原始教団の生活を明らかにする聖書の文学的研究の一方法。

歴史的批評的方法に続き 20世紀初頭に起り,旧約聖書の『創世記』と『詩篇』をH.グンケル (1862~1932) がこの研究方法で成功させた。

次いで M.ディベリウスが『福音書の様式史』 (1919) ,R.ブルトマンが『共観福音書伝承史』 (21) を著わし,また,K.L.シュミットもこの方法を福音書研究に取入れた。そこでは原始教団の「生活の座」が問題とされ,福音書が原始教団の礼拝と宣教から生み出されたものであることが明らかになってきた。福音書が単なる伝記ではなくて,神学的な文書であることを示すことにより,各伝承の歴史的価値に対して懐疑的傾向が必然的に生じてくるが,今日,様式史的方法を用いつつイエスの歴史を再建しようとする学者は,特にイギリスの学界に多い。また最近では,ブルトマン学派といわれる人々が影響力のある研究を展開している。この様式史的研究は編集史的研究の基礎となっている。