損益算

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損益算(そんえきざん)とは、売買による損益に関する計算のことである。一般には算数文章題を指し、売買算とも呼ばれる。問題を解くには、原価(仕入れ値)・定価・売価(売り値)・利益の間の関係、特に利益率・値引率の割合の意味を理解することが重要である。

例題

問題

ダチョウの卵をある個数仕入れました。原価の80%の利益を見込んで定価をつけましたが2割しか売れず、定価の3割引で売ることにすると、残りの7割が売れ、102個の卵が残りました。利益は160310円でした。ダチョウの卵1個の原価はいくらでしたか。

解答例

まず仕入れたダチョウの卵の個数を求める。

  • 仕入れた卵の総数を 100 と置く。定価の時点で売れた卵の数は総数の2割であるから、100 × 0.2、つまり20個である。よって残っているのは 100 - 20、つまり 80 である。
  • 定価の3割引で売れた卵の総数は上の 80 のうちの7割。80 × 0.7、つまり 56 である。よって売れ残っているのは 80 - 56、つまり 24 である。これが卵102個分にあたるのだから、仕入れた卵の総数は、102 ÷ (24/100) 個、つまり425個である。

ダチョウの卵425個の仕入れ値を求める。

  • ダチョウの卵1個あたりの値段を 1 とおく。よって卵425個の総仕入れ値は 425 である。
  • 原価の8割高、つまりダチョウの卵1個あたり 1.8 の値段で売った個数は、425 × 0.2個(= 85個)あるので、ここでの売上高は 1.8 × 85 (= 153) である。
  • 定価の3割引、つまりダチョウの卵1個あたり 1.8 × 0.7 (= 1.26) で売った個数は、(425 - 85)× 0.7 個(= 238個)であるから、ここでの売上げ高は 238 × 1.26 (= 299.88) である。
  • 売上はこれのみ。よって総売上げ高は 153 + 299.88 (= 452.88) である。利益は 452.88 - 425 (= 27.88) である。これが160310円にあたるので、卵一個の原価は、160310 ÷ 27.88 円。よって、5750円である。

なお、原価は5750円、定価は10350円、定価3割引は7245円である。

解法を理解するポイント

この種の問題を解くには、原価・定価・売価の間の関係を結びつける利益率、値引率の割合の意味を理解することがポイントの一つである。その関係は

定価 = 原価 ×(1 + 利益率)
売価 = 定価 ×(1 - 割引率)

である。これより、売価と原価の直接の関係は

売価 = 原価 ×(1 + 利益率)×(1 - 割引率)

と表せる。また、利益との関係は

利益 = 売価 - 原価

である。

初学者がつまづきやすい部分として、利益率、割引率の2種の割合が登場し、それが原価、定価に対する割合であることを理解する部分が挙げられる。また、売価と原価の直接の関係を表す式において、2種の割合の積がまた割合を表す、という点も初学者には理解しにくいとされる。