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ローマ神話

Roman mythology

古代ローマ人がもっていた神話。ローマには当然固有の神話があったが,ギリシア文化の影響を強く受けた歴史時代のローマ人たちは,ローマの神々の大部分に「ギリシア的解釈」を施し,ギリシア神と完全に同一視するようになっていたため,現存するラテン文学中に見出される神話は,ほとんどすべてがギリシア神話を神名までラテン語名に変えて再説したものであり,ローマに固有の神話は,ほんのわずかの例外を除き,ほぼ完全に失われてしまった。

しかしロムルスやヌマ・ポンピリウスなどの最初の王たちや,ホラチウス・コクレスとムキウス・スカエウォラなど,王制から共和制への過渡期に活躍したとされる英雄たちを主人公とする歴史伝説には,神話的色彩がきわめて強い。

フランスの比較神話学者デュメジルは,これらをインドやゲルマン,ケルトなど,他のインド=ヨーロッパ語族の神話と比較することにより,失われたローマ神話の遺構がそれら歴史伝説中に多く保存されていることを明らかにした。