テザリング

提供: miniwiki
移動先:案内検索


テザリング[1]: tethering[2])とは、通信端末を内蔵したモバイルコンピュータ(携帯電話回線に接続されたスマートフォンなど)を外付けモデムのように用いて、他のコンピューター等をインターネットに接続することである。

概要

典型的な例としては、スマートフォンなどの単体で通信可能なコンピューター端末を、パソコンなどの他の機器と接続して外付けのモデム(正確にはネットワークアダプタ/ブリッジとして振る舞う)のように扱い、それを経由してWWANへ接続する。パソコンとスマートフォンの間の接続は、USBによる有線接続のほか、Bluetooth無線LANなどを使って物理的なケーブル接続なしに行うこともできる。こうしたテザリングを行うために、専用のソフトウェアが開発されており、電話機によっては公式にテザリング対応を表明している場合もある。

ユーザー側としては別途データ通信専用にデータカードを入手、新たに契約を結ぶことなく、電話機による接続のみでパソコンなどでの通信が可能になるメリットがある。しかし携帯電話事業者から見れば、通常の携帯電話やスマートフォンの通信に比べ、パソコンなどで送受信されるデータの量は多いため回線が混雑する大きな要因になる。また、MVNOなどでは、卸となる通信事業者との間の契約で一定の通信データ量と費用に取り決めがあるのに対して、MVNOとそのユーザーなどの間では、見かけ上は定額固定の通信料収入および無制限のデータ通信量を提供しているように見える。そのため利用するデータ量が多ければ多いほど事業者の利用料収入に影響が出る。こうしたことから、以前は公式にテザリングを認める事業者とそうでない事業者とに分かれていた。

スマートフォンの普及とともに、従来に比べ、テザリングを始めとした大容量の通信が行われる事は増えており、携帯電話会社では無線回線やバックボーンなどへの負荷が増大し各種の通信トラブルの遠因ともなっている。

回線などへの負荷軽減や、事業収入の破綻を防止する観点から、多くの通信事業者、MVNOでは帯域制限の導入に踏み切っている。

帯域制限は一部のヘビーユーザーには不評であるが、移動体通信網など無線通信網はごく限られた帯域資源をいかに有効活用するかに技術的、事業的、電波行政的にも心血が注がれており、そもそも有線網並みの広帯域の利用を期待することは過剰要求であり、ユーザーにも自粛が求められるべき、と言う意見もある。一方では、ADSLが登場した初期の頃にも、動画などの利用は過剰要求であるという意見もあったが、バックボーンなどへの負荷の増大に積極的に対応したことにより、YouTubeやUstreamやskypeなど、現在の、大容量のアプリケーションを現実化に繋がったのであり、安直に進展を諦めるのではなく、電波資源全体において利用効率の悪い帯域の整理なども含め無線資源の総合活用を推進すべきという意見もある。

携帯電話会社のテザリング

携帯電話会社では、主に、3つのテザリングを用意している[3][4][5]

  • Wi-Fiテザリング
auKDDI/沖縄セルラー電話連合)やソフトバンクモバイルでは、「アクセスポイント(Wi-Fiルーター)としてインターネット接続できる」(ソフトバンクモバイル[5])などと、ルーターとしての機能であることを明記している[6]
  • Bluetoothテザリング
  • USBテザリング

Androidにおけるテザリング

第3.5世代携帯電話では、Androidではバージョン2.2より標準でテザリングが利用できるとしているが、日本メーカーが日本国内で販売するスマートフォンではこの機能が通常の機能設定メニューに表示されなかったり、機能があっても使用ができないなどしていた。2010年から、NTTドコモのタブレット端末Optimus Padイー・モバイルのスマートフォンHTC AriaPocket WiFi Sなど、日本においてもテザリングが利用できるようになった。2011年夏のモデルではNTTドコモが一部のスマートフォンでテザリングが提供されているが、料金に関しては、通常のパケット通信上限はパケ・ホーダイ フラットでは5,460円だが、テザリング利用時は上限7,080円であった。

第3.9世代携帯電話では、NTTドコモのXiLTE)やKDDI+WiMAXにはテザリングの規制はない。LTEは携帯電話4事業者とともに定額通信量7GBとこれを超えたときの2GB単位の従量課金の料金体系を採用している。なおKDDIとソフトバンクの4G LTE機種はテザリングオプションがあり、契約することによりテザリングが利用できる上に、定額通信量7GBとは別に500MBの追加がある。ただし従量課金をしない場合は128Kbpsに速度が落とされる。

Wi-Fiは第3.9世代携帯電話のほとんどの機種で出来る(ただしソフトバンクのSoftbankブランド、およびY!mobileブランド向けフィーチャーフォンDIGNOケータイ 501KC、およびDIGNOケータイ 502KCは例外)。一部の機種ではUSBにも接続できるものがあるが、最近ではBluetoothでも接続できる機種もある。Bluetoothで接続する場合はプロファイルがパーソナル・エリア・ネットワークで、ネットワーク・アクセス・ポイント(NAP)に対応していることが必要で、相手機器側はパーソナル・エリア・アクセス・ユーザー(PANU)に対応していることが必要となっている。

外国メーカー製のスマートフォンなどでは、それ以前からテザリング機能に対応しているものがあるが、同機能を有効にすると、スマートフォンの使用料金内でパソコン等でのインターネットが事実上無料で利用できることになる。通信量が多いこれらの機器のトラフィックが通信回線に流れ込むことにより混雑が懸念されることなどから、機能の利用を可能にするか否かは、携帯電話事業者の判断に委ねられている。かつては日本国内で販売されているスマートフォンのほとんどでテザリング機能を利用不可にしていた。

iOSにおけるテザリング

iOSのバージョンが3.0になった際にOSレベルでUSBまたはBluetoothで接続することによるテザリング機能を搭載、4.2.5からはパーソナル・ホットスポットという無線LAN接続でのテザリング機能を搭載した。

ただしこの機能の利用は各通信事業者の判断にゆだねられているため、日本の場合iPhone 4SまではiPhoneの取り扱い事業者であるソフトバンク、KDDI沖縄セルラー電話では使用できなかったが、三社ともiPhone 5から対応した。また、利用ができる事業者でもイギリスのO2のように、専用パッケージを購入した者に対し利用を許可する、アメリカのAT&Tモビリティベライゾン・ワイヤレスのように一定の通信料を超えたら従量制料金となるなどの事例もある。また、テザリングはLTEまたは3Gのように電話回線を利用した電波を共有するサービスであり、Wi-Fi環境で受信した電波をテザリングすることは不可能である。たとえば 0001docomo のようにSIM認証が必要な en docomo wifi(パソコンなどでは利用不可)をテザリングしてパソコンで使うことは不可能である。

日本では日本通信が、SIMフリー版のiPhone 4で利用可能なmicroSIMを、talking b-microSIM Platinum Serviceトーキング・ビーマイクロ・プラチナム・サービスの名称で2010年8月から提供している。iPhone 4単独では操作アプリなどによって最適化された速度で利用可能だが、テザリングは最大300kbps前後のベストエフォート型で提供している。

2012年発表のiPhone 5に伴い、KDDIとソフトバンクはいずれもiPhone 5の発売日である2012年9月21日よりLTEサービスを開始し(前者は「au 4G LTE」、後者は「SoftBank 4G LTE」)、両社とも「テザリングオプション」として月額525円の追加料金を支払うことによってテザリングが利用できることとなった[7][8][9](両社ともオプション料金が2年間無料となるキャンペーンも合わせて行う)。KDDIがiPhone 5の発売日から利用できるのに対し、ソフトバンクは2012年12月15日から利用が可能となった(オプション予約はiPhone 5の発売日から開始)。なお、ソフトバンクでのテザリングサービスはSoftBank 3G等を含めて今回が初である。

料金については、両社ともLTEプランは月間通信量7GB以降は128kbps制限となり、2GBあたり2,625円を支払う事により速度制限が解除される事になっているが、テザリングオプションに加入すると速度制限されるまでの通信量が500MB増え、月間通信量7.5GB以降が128kbps制限となる。なお、ソフトバンクのiPhone 5はテザリングオプションを契約しない限り月間通信量による制限は設けない事となったため、テザリングオプションを契約すると月間の通信量による制限も加わる事に注意が必要である。

KDDIは一部プランの契約者向けに2015年6月1日から通信量が500MB増えない代わりに永年無料になる(ただしオプションの申し込みは必要)[10]

参考文献

関連項目