ままこ立て

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ままこ立てとは、室町時代に起こった数学遊戯の1つである。 人を環状に並べ、いくつか決まった数(番目)にいる者を順に抜き出して、残った者を決める遊び。ただし枕草子に「継子立」に関する記述があり10世紀頃にはあったと思われる。

歴史

吉田兼好の『徒然草』の「花は盛りに」の段に見える。

継子立といふものを双六の石にて作りて、立て並べたるほどは、取られん事いづれの石とも知らねども、数へ当てて一つを取りぬれば、その外は遁れぬと見れど、またまた数ふれば、彼是間抜き行くほどに、いづれも遁れざるに似たり。兵の、軍に出づるは、死に近きことを知りて、家をも忘れ、身をも忘る。世を背ける草の庵には、閑かに水石を翫びて、これを余所に聞くと思へるは、いとはかなし。閑かなる山の奥、無常の敵競ひ来らざらんや。その、死に臨める事、軍の陣に進めるに同じ。

— 吉田兼好『徒然草』花は盛りに

また、江戸時代の吉田光由の『塵劫記(じんこうき)』にも見える。また、関孝和も深く研究している。

新撰訂正算法稽古図会(さんほうけいこずえ) (暁鐘成著 天保2(1831)年出版、 大坂河内屋喜兵衛が出版) によると、文治2年(1186年)、西行鎌倉源頼朝と会い、銀で作ったネコの置物をもらったが、門を出ると、そこで遊んでいた子どもたち三十人を円形に並べて、二十番目、二十番目に当たる者を順に除いていって、残った者に与えたという。この話で、まま子立てを利用したという以外は、史書『吾妻鏡(あずまかがみ)』にも載っている。

西洋にも似たようなものがあり、「ヨセフスの問題」と呼ばれている。 日本での考案者は不明。真藤啓によれば、複数の人が考えたという。無名の人が考えたものが広がったとも考えられよう。なお、真藤は、「ままこ立て」を「とびとび花占い」と称している、「ままこ」を禁句として言い換えたものと思われるが、この名称は、いまのところ定着してはいない。

転用

転じて、算数の文章題に使われる。「環状に並べた碁石」、あるいは「積み上げられたカード」などを一定の規則にしたがって取り除いた()ときに最後に残るものを求める問題。

1から順に番号の書かれているカードが1枚ずつあり、このカードを1から番号順に時計回りに並べる。そして、1の番号がついているカードから1枚おきに時計回りに取り除き、最後に残る番号について考える。例えば、カードが10枚のとき、1→3→5→7→9→2→6→10→8→4の順に取り除き、最後に残るカードは4となる。カードの枚数を変えて、同じ規則でカードを取り除くとき、次の問いに答えよ。

  • 12枚のカードを並べるとき、最後に残るカードの番号を答えなさい。
    • 1→3 というように、1のカードと3のカードの2枚を取ったときに10枚残る。ここで改めて番号を振りなおすと、もともと5,6,7,8…であったものが1, 2, 3, 4,…となり、問題の例から4が残ることが分かる。4の元の番号は8であるから、答えは8である。
  • 並べるカードの枚数が20枚以上100枚以下のとき、最後に残るカードの番号が2になるような場合をすべて答えなさい。
    • 一般にカードが2の累乗枚あるとき、その最後の「2の累乗」番目自身が最後に残る。
    • つまり、取り始めの次に位置するカードが残る。
    • したがって、1を除いたときの残りの枚数が2の累乗枚になったならば、次に取り始める3の隣の2が最後に残る。
    • 2の累乗+1で、20以上100以下のものは33と65の二つ。
  • 2007枚のカードを並べるとき、最後に残るカードの番号を答えなさい。
    • 2を10個かけると1024であるから、2007-1024=983(枚)取り除いたときに、その前隣は、新しい1番の後隣になって最後に残る。
    • 983番目の正の奇数+1=983番目の正の偶数=1966番。