橋本市
橋本市(はしもとし)は、和歌山県の北東端に位置する市である。
概要
和歌山県で唯一大阪都市圏(都市雇用圏)に含まれる市で、いわゆる和歌山府民が多い。 紀の川中流に位置し、かつては材木運搬、高野山宿場町として栄えた。 東西軸の京奈和自動車道・橋本道路及び、国道24号と南北軸の国道371号橋本バイパス(大阪府境以北は地域高規格道路「大阪橋本道路」)が市内中心部で交差する交通の要衝としての発展が期待されている。
毎年8月15日に開かれていた「紀の川祭」では花火が夜空を焦がし大勢の人でにぎわったが、2012年を最後に無くなってしまった。2013年からは旧高野口町の「かっぱ祭り」と統合され、「紀の川橋本 SUMMER BALL」となった。 また、10月中旬に行われる市内三社(隅田八幡神社・相賀大神社・相賀八幡神社)での秋祭りでは市内を山車が練り歩く。 大阪府岸和田市の勇壮なだんじり祭ほどの迫力はないが、それでも迫力は十分ある。
橋本市が誕生した1955年以来51年ぶりの2006年3月1日に、橋本市と高野口町と合併し、新市名称も橋本市となった。
「橋本」の名称の由来は、1588年、高野山の木食応其が紀の川に橋を架けたことによる。[1]
地理
和歌山県の北東県境に位置し、北に大阪府河内長野市、東に奈良県五條市と境界を接する。旧高野口町にあった2つの飛地が解消されないまま合併したため、現在もかつらぎ町内と九度山町内に飛地がある。
北に金剛山地・紀泉山地(ダイヤモンドトレール)、南に紀伊山地に挟まれた山間部で東西に市の中心部を紀の川が流れる。
市の南北には国道371号が貫いているが、南海高野線は北部より中心部を経て国道370号と共に紀の川南側を通っている。
周辺を山に囲まれた自然豊かな市である一方、北部には大規模なニュータウン南海橋本林間田園都市や企業誘致用地などで里山や丘陵地が削られる等、年々開発が進んでいる。
人口
平成22年国勢調査(速報値)より前回調査からの人口増減をみると、3.16%減の66,362人であり、増減率は県内30市町村中6位。
橋本市(に相当する地域)の人口の推移 | |
総務省統計局 国勢調査より |
歴史
高野街道と伊勢街道(大和街道)の交わるところに位置し、京都や奈良の都の文化と、高野や伊勢の宗教文化が溶け合い、独自の歴史と文化を育みながら発展。丘陵地から出土する遺構や遺物から、縄文時代にすでに人が住んでいたことが確認されている。また伊勢街道と高野街道とが交差する交通の要衝で、霊峰高野山への参詣口の一つとして発展してきた。近世では徳川氏の力を得て街が拡張され、地方物産の集散地として商業中心地が形成された。これらの交通の要衝と紀の川の陸揚げ場として地方物産の集散地となり、また、農業の副業としての養蚕や機織りが盛んとなり、後の繊維業の基盤となった。
明治27年(1894年)に町制を施行し、名実ともに伊都郡の中心都市となった。明治33年(1900年)に現在の和歌山線が開通、大正4年(1915年)に現在の南海高野線が橋本駅まで開通するなど交通網の整備により、和歌山方面・奈良方面や大阪方面と結ばれたことで産業もめざましい発展を遂げ、農業においては柿と鶏卵の生産が盛んで、工業においては高い技術力を誇る竹製へら竿とパイル織物の生産量が日本一となっている。
昭和40年代には高度経済成長の波に乗って公共公益施設、道路等が順次整備され、さらに昭和50年代に入ると大規模住宅開発が本格化し、全国でも有数の人口急増都市として発展してきた。ただし都心回帰の影響を受け、人口は2000年をピークに減少傾向にある。
沿革
- 1955年(昭和30年)1月1日 - 橋本町・岸上村・山田村・紀見村・隅田町(昭和29年に隅田村と恋野村が合併)・学文路村が合併して橋本市が発足。
- 2006年(平成18年)3月1日 - 高野口町と合併し、改めて橋本市が発足。
交通
鉄道
- 中心となる駅:橋本駅
※南海単独の駅としては林間田園都市駅の方が列車本数が多い。 橋本駅はJRと南海の乗換駅としての機能が強い。
路線バス
現行路線
- 南海りんかんバス
- 林間田園都市線 : 林間田園都市駅前 - 城山台北、初芝橋本高校前、橋本市民病院前、アルバック前、あやの台
- 山内線 : 橋本駅前 - 平野、上山内
- 真土線 : 橋本駅前 - 真土
- 橋本市内線 : 橋本駅前 - 車庫前
- 紀見線 : 林間田園都市駅前 - 紀見ヶ丘、林間田園都市駅前 - 車庫前
廃止路線
- 南海りんかんバス
- 高野有料道路線 : 橋本駅前 - 矢立、中古沢
- 吉原線 : 橋本駅前 - 出塔 - 下吉原
- 菖蒲谷線 : 橋本駅前 - 御幸辻駅筋 - 上吉原
- 恋野線 : 橋本駅前 - 恋野
- 平野線 : 橋本駅前 - 御幸辻駅筋 - 平野
- 玉川線 : 橋本駅前 - 河合橋 - 高野山
- 紀見線 : 橋本駅前 - 御幸辻駅筋 - 林間田園都市駅前、紀見ヶ丘 - 紀見峠
コミュニティバス
- 橋本市コミュニティバス[1]
- 西ルート : 保健福祉センター前 - 車庫前 - 高野口地区公民館前 - 車庫前 - 保健福祉センター前
- 中ルート : 車庫前 - 保健福祉センター前 - 橋本市民病院前 - 保健福祉センター前 - 車庫前 (学文路・山田地区経由)
- 東ルート : 車庫前 - 保健福祉センター前 - 橋本市民病院前 - 保健福祉センター前 - 車庫前 (恋野・隅田地区経由)
深夜急行バス
※2009年12月1日より運行を開始したことにより、和歌山県内に南海バスの路線が復活し、更には同県に深夜急行バスが初めて乗り入れすることとなった。
道路
宅地化
南海電鉄、南海不動産による南海橋本林間田園都市の開発が進行中。
民間企業が開発するものの中では最大規模のニュータウンである。
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経済
産業・特産物
- へら竿
- 旧橋本市の基幹産業。ヘラブナ釣り専用の竿。全国シェアの90%を誇り、和歌山県の伝統工芸品第一号にも指定されている。
- パイル織物
- 旧高野口町の基幹産業。タオルや絨毯の生地として使用される。
和歌山県と橋本市は雇用の創出と県経済の発展のため、 「紀北橋本エコヒルズ」などへ企業誘致を重要施策と掲げて積極的に取り組んでいる。
- 串柿
- はたごんぼ
金融機関
- 紀陽銀行 橋本支店(橋本)、橋本林間支店(三石台=みついしだい)、高野口支店(高野口町名倉(なぐら))、橋本彩の台支店(垂井=たるい))
- 南都銀行 橋本支店(東家=とうげ)、林間駅前支店(三石台)、高野口支店(高野口町名倉)
- 関西アーバン銀行 橋本支店(古佐田=こさだ)
- 近畿労働金庫 橋本支店(市脇)
日本郵政グループ
- 橋本郵便局(集配局)(市脇)
- 橋本古佐田郵便局(橋本)
- 橋本東家郵便局(東家)
- 橋本三石台郵便局(三石台)
- 橋本紀見郵便局(橋谷)
- 橋本城山台郵便局(城山台)
- 隅田(すだ)郵便局(隅田町中島)
- 橋本山田郵便局(神野々=このの)
- 学文路(かむろ)郵便局(学文路)
- 高野口郵便局(高野口町名倉)
- 高野口伏原(ふしはら)郵便局(高野口町伏原)
各郵便局にはゆうちょ銀行のATMが設置され、橋本・高野口の各郵便局ではホリデーサービスを実施(2011年6月現在)。
※橋本市内の郵便番号は「648-00xx」(合併以前からの橋本市域)と「649-72xx」(旧高野口町域)がある。
民営化以前は「649-72xx」区域の集配業務は高野口郵便局が担当していた。(現在はいずれも橋本郵便局の管轄)
同局は2007年(平成19年)3月5日付で集配業務を橋本郵便局に移管し、現在は窓口業務のみとなっている[2]。
行政
歴代市長
代 | 氏名 | 就任年月日 | 退任年月日 |
---|---|---|---|
初-2代 | 木下善之 | 2006年4月2日 | 2014年4月1日 |
3-4代 | 平木哲朗 | 2014年4月2日 | 現職 |
市議会
- 議員定数:22
(現在の議員の任期は、平成23年5月1日から平成27年4月30日)
- 議長: 石橋 英和
- 副議長: 上田 良治
- 会派構成(平成25年10月1日構成)
会派名 | 人数 | 議員名(◎は会派代表者) |
---|---|---|
政友会 | 3 | ◎山田 哲弥 上田 良治 |
日本共産党 | 2 | ◎富岡 清彦 阪本 久代 |
公明党 | 2 | ◎楠本 知子 森下 伸吾 |
刷新クラブ | 4 | ◎中本 正人 岡 弘悟 樽井 豪男 小林 弘 |
はしもと未来 | 2 | ◎井上 勝彦 松本 健一 |
新風クラブ | 5 | ◎石橋 英和 中本 浩精 田中 博晃 堀内 和久 辻本 勉 |
ニューリベラルズ | 4 | ◎妙中 嘉三 清水 信弘 土井裕美子 松浦 健次 |
会派に所属しない議員 | 1 | 中西 峰雄 |
市役所組織
- 市長部局 企画部、総務部、市民生活部、健康福祉部、経済部、建設部、上下水道部、出納
- 教育委員会
- 市民病院
- 消防本部
学校
高等学校
- 和歌山県立橋本高等学校※中高併設
- 和歌山県立紀北工業高等学校
- 私立初芝橋本高等学校※中高併設
- 和歌山県立伊都中央高等学校
中学校
- 橋本市立学文路中学校※統合により閉校
- 橋本市立紀見北中学校
- 橋本市立紀見東中学校
- 橋本市立高野口中学校
- 橋本市立隅田中学校
- 橋本市立西部中学校※統合により閉校
- 橋本市立橋本中央中学校※統合により新設
- 和歌山県立古佐田丘中学校※中高併設
- 私立初芝橋本中学校※中高併設
- きのくに子どもの村中学校※小中併設
小学校
- 橋本市立紀見小学校
- 橋本市立柱本小学校
- 橋本市立境原小学校
- 橋本市立橋本小学校
- 橋本市立学文路小学校
- 橋本市立清水小学校
- 橋本市立隅田小学校
- 橋本市立恋野小学校
- 橋本市立西部小学校
- 橋本市立城山小学校
- 橋本市立三石小学校
- 橋本市立高野口小学校
- 橋本市立信太小学校
- 橋本市立応其小学校
- 橋本市立あやの台小学校
- きのくに子どもの村小学校※小中併設
観光・祭事
名所・旧跡
- 陵山古墳
- 霜山城跡 – 隅田氏や畠山氏の支城。隅田八幡神社の西側にあった。
- 長藪城跡 – 文明年間に贄川氏(贄川義春)が築城。後に畠山氏の拠点の一つとして東西に曲輪を持つ大規模な山城となった。
- 銭坂城跡 – 生地氏の居城として旧大和街道にあった要衝で、土塁や空堀が現存し、櫓跡には石碑が建てられている。
- 名倉城跡 – 亀岡氏の居城だったが、後に畠山氏の支城となり、高野口駅周辺にあったとされるが現存しない。
- 葛城館 – 明治後期の建造物。現在は営業していないが高野参詣の旅館として栄えた。
- 前田邸 – 江戸時代に立てられた高野口を代表する商家の邸宅。
- 旧高野口尋常高等小学校校舎 – 昭和12年築で日本最大級の現役木造校舎で現在も学校として使用されているため平常時内部見学はできない。
- 清水の街並み
- 旧橋本本陣池永家住宅
- 黒河道 - 世界文化遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部
自然景勝地
寺院
神社
- 隅田八幡神社(隅田八幡神社人物画像鏡:国宝)
- 相賀八幡神社
- 相賀大神社
- 国城神社(橋本市が一望できる絶景スポット)
- 一言主神社 (橋本市)
資料館
- 郷土資料館(杉村公園内)
- あさもよし歴史館
- まちかど博物館
- パイル織物資料館
- 国城原農具民俗資料館
祭事
- 橋本市高野口公園桜まつり(4月) - 庚申山
- 嵯峨谷の神踊り(8月15日) - 嵯峨谷・若宮八幡宮(和歌山県無形民俗文化財)
- サマーボール橋本(8月)橋本橋南側(向副緑地)※かっぱ祭りと紀の川納涼祭の併合
- まっせはしもと(11月) - 橋本橋南側(向副緑地)
その他
- やどり温泉いやしの湯
- 紀伊見荘(H24年4月 リニューアルオープン)
- 橋本市運動公園・県立橋本体育館
- JA紀北かわかみ やっちょん広場(ファーマーズマーケット)
- はしもとオムレツ 橋本市が取り組む「ご当地グルメ」。当市の鶏卵シェアが和歌山県内シェア1位(出荷量ベース)を占めることを端緒とする。
出身著名人
芸能・マスコミ
スポーツ
- 前畑秀子(ロサンゼルスオリンピック水泳200m平泳ぎ銀メダリスト。ベルリンオリンピック水泳200m平泳ぎ金メダリスト。日本人女性初の金メダリスト。)
- 古川勝(メルボルンオリンピック水泳平泳ぎ金メダリスト)
- 筒香嘉智(プロ野球選手・横浜DeNAベイスターズ 2016年のセ・リーグ本塁打王)
- 中村智太郎(アテネパラリンピック水泳平泳ぎ100m銅メダリスト、ロンドンパラリンピック水泳平泳ぎ100m銀メダリスト)
学術・文化
建築・建造物
- 大畑才蔵(紀の川の井堰、小田井と藤崎井を建造した人物。この内、前者が橋本市(旧高野口町)に位置する)
その他
大手放送局
奈良県を放送対象地域とする独立UHF局の奈良テレビのサービスエリアに含まれ、ほとんどの地域で受信可能である。TXN系列のテレビ大阪の受信困難地域であり、テレビ和歌山を含めて2局が、テレビ大阪の代わりとして視聴されている。ちなみに、テレビ和歌山の橋本東中継局は、奈良県下市町に所在する「区域外送信所(域外中継局)」である。
地元放送局
2013年4月1日にFMはしもとが開局した。
脚注
外部リンク
- [{{#property:P856}} 公式ウェブサイト]
- 橋本市情報サイト(個人で集めた情報サイト)
- オープンストリートマップには、橋本市に関連する地理データがあります。