JR九州817系電車
817系電車(817けいでんしゃ)は、九州旅客鉄道(JR九州)の交流近郊形電車。
Contents
概要
筑豊本線(折尾駅 - 桂川駅間)および篠栗線の電化を前に製造された車両[1]。1999年(平成11年)に製造された815系を基本に、前面デザインや車内接客設備などの設計変更を行っている。2001年(平成13年)10月6日から同線のほか、長崎本線・佐世保線で営業運転を開始した。その後、増備が進み、南九州各地の電化区間でも使用されるようになったほか、813系とともに鹿児島本線福岡地区の主力車両としての運用も行われている。
815系同様、ワンマン運転に対応する。JR九州によると、817系は走行する際の1両あたりの消費電力が415系の半分程度(53%)としている[2]。
構造
車体
摩擦撹拌方式 (FSW) により製造されたダブルスキン構造のアルミ合金車体で、片側3箇所に両開き扉が設置されている。客室側窓は、扉間に1枚の固定式大窓を設けている[4]。車端部の窓も固定式で、開閉可能な客用窓はない。窓ガラスはUVカットガラスを使用し、カーテンを省略している[4]など、日立製作所のA-trainシステムを採用した815系の基本設計を踏襲している。
前面は貫通形であり、全面ガラス張りである[1]。基本形状は815系に類似しているが、前照灯・尾灯のデザインと取付位置が変更されているほか、左側前面窓の上に列車種別表示器を、右側前面窓の上に路線名表示器を設置している。
815系では行先表示器が字幕式となっていたが、817系ではLED式となっている[1]。
車体塗装は0番台・1000番台・1100番台では無塗装ヘアライン仕上げで、2000番台・3000番台では白色を基調としたアルミ塗装となっている[5]。なお、無塗装車については近年汚れが目立ってきたことから815系と共に順次銀色の塗装が施工されている。貫通扉を含む前面部と前面下部のスカートは黒色に塗装されている。客用扉の脇にはシンボルマークが付く。このシンボルマークは配置される車両基地によって色が異なる。
台車・機器
主回路制御方式も815系と同一のPWMコンバータ+VVVFインバータ制御であり[1]、IGBT素子を用いた交流回生ブレーキと全電気ブレーキが使用可能な主変換装置が採用されている。主電動機、主変圧器ともに815系と同等の装置を搭載している[1]。これにより、車両の消費電力は国鉄時代の415系のおよそ53%程度まで削減されている[2]。
運転台の主幹制御器はワンハンドル式で、運転席側より力行5段、中立、抑速ブレーキ、常用ブレーキ7段および非常ブレーキとなっている。また、815系と同様に定速制御機能や乗務員支援モニタを装備するが、ワンマン機器類の配置は見直されている[1]。後日装備であるが、ATS-DK表示コンソールが運転台に乗せる形で設置された。
台車は815系と同じく軽量ボルスタレス台車のDT404K(電動車)、TR404K(制御車)である[1]。高速運転をあまり行わないため、ヨーダンパは3000番台を除いて装備されていない。
車内
815系は座席がロングシートであったが、817系0番台・1000番台・1100番台では座席は車端部も含め全席転換クロスシートである[1]。シートピッチは900mm、車端部連結面4席は860mmである[6]。転換クロスシートは座面と背もたれに難燃性の白木を使用しており[1]、座面と腰当部と枕部分には黒色の本革を張っている[4]。窓側の肘掛けは廃止して壁にくぼみをつけ、通路側の肘掛けも813系に比べ薄くし、通路幅を813系の654mmから820mmに拡大している[4]。壁・天井の化粧板はパールアルミ色[4]である。乗客への被視認性を高めるため、2007年10月より「優先席」表示がされたシート枕カバー(白色)が装着されている。特徴的な荷物棚はアルミの押出し材で端部はそのままカットされている。
817系0番台・1000番台・1100番台の出入口脇には折りたたみ式の補助席を設けている[1]。これは乗務員側でロックがかけられるようになっており、朝のラッシュ時等では立席スペース確保のため収納状態でロックされる。座席のそばにある緑色LEDが点灯している時は補助席が使用可能となる[4]。
2000番台・3000番台は混雑対策のため、オールロングシートとなっている[7][7]。合板(プライウッド)のシートにモケットを貼り付けたものとなっており[7]、端部は4人掛け、扉間部は5人掛けのシートを2組並べて配置している[5]。どちらも2名分の背もたれがヘッドレスト付きとなっている。モケットの柄は9種類用意されている[5]。やや固く、座り心地は決して良くはない。
出入口付近ではつり革を円形に配置し、乗降時の扉付近の混雑の緩和とデザイン性の両立を図っている[4]。この配置は817系の後に製造された813系300番台以降の車両にも採用されている[7][8]。
LED式車内案内表示器は、一行表示で、下り列車進行方向に向かって右側(鹿児島本線川内駅 - 鹿児島駅間では左側)となる客用扉の上部に設置されている。日本語と英語の表記が交互に表示される。これも815系と共通である。
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座席は本革が張られている
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運転台
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817系0番台運転台
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817系2000番台運転台
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817系3000番台運転台
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817系3000番台車内
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817系2000番台VG2006編成車内
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817系3000番台トイレ
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円形に配置されたドア付近の吊り革
編成・形式
3000番台は3両固定編成、その他は2両編成[1]。2両編成は「クモハ817形+クハ816形」[1]、3両編成は「クハ817形+モハ817形+クハ816形」で組成される[5]。編成定員は、0番台・1000番台・1100番台が168人(立席)+90人(座席)=258人(折り畳み腰掛使用時)、2000番台が178人(立席)+88人(座席)=266人、3000番台が275人(立席)+144人(座席)=419人となっている。
いずれも811系・813系・815系・BEC819系との相互連結運転が可能であり、うち813系および815系、BEC819系とは、貫通扉を介して編成間貫通とすることが可能であり、併結の定期運用も存在する。(BEC819系との連結は2017年から。)
車両番号は1000番台以外は編成ごとに同じ番号で揃えられている。また編成自体にも「Vxxx」の編成番号が付与されている。「V」は817系であることを示し、「xxx」は1000番台以外は車両番号に対応している。1000番台のみは「10xx」ではなく「1xx」となる[9]。車両前面に表記される編成番号は「Vxxx」だが、正式な編成番号は筑豊配置車が「VGxxx」、南福岡配置車が「VMxxxx」、長崎配置車が「VNxxx」、熊本配置車が「VTxxx」、鹿児島配置車が「VKxxx」である。以前は大分配置車「VOxxx」も存在した。
- クモハ817形(0番台・1000番台・1100番台・2000番台)
- 2両編成の小倉方に連結される制御電動車[1]。主電動機、シングルアーム式パンタグラフ、主変圧器および主変換装置などの電装部品を備えている[1]。定員は、クロスシート車が131人(座席定員50名〈40+10〉:折りたたみ座席使用時)、ロングシート車が137人(座席定員48名)である。
- クハ816形
- 博多方に連結される制御車[1]。
- 3000番台以外は空気圧縮機および補助電源装置を備え、車内の後位側に車椅子対応の洋式便所および車椅子スペースを設けている[1]。一方、3000番台は空気圧縮機・便所・車椅子スペースがなく、補助電源装置を備える[5]。定員はクロスシート車が127人(座席定員40名〈32+8〉:折りたたみ座席使用時)[1]、2000番台が130人(座席定員40名)、3000番台が137人(座席定員48名)である。
- クハ817形(3000番台)
- 3両編成の門司港方に連結される制御車[5]。空気圧縮機を備え、車内の後位側(連結面側)に車椅子対応の洋式便所および車椅子スペースを設けている[5]。定員は130人(座席定員40名[5])である[5]。
- モハ817形(3000番台)
- 3両編成の中間に連結される中間電動車[5]。屋上にシングルアーム式パンタグラフや非常換気装置を、床下に主電動機・主変圧器・主変換装置などの機器を搭載している[5]。定員は152人(座席定員56名、立席定員96名[5])である。
番台区分
- 2003年(平成15年)8月から2005年(平成17年)2月にかけて製造されたグループ[9]。車両番号は1001 - 1014。0番台からの変更点は、以下のとおりである。
- 主変換装置は、V108 - 112編成が東芝製、その他は日立製である。
- V114編成は蓄電池搭載。
- 1100番台 (V1101 - 1104)
- 2007年(平成19年)に登場したグループ[9]。1000番台からの変更点は、以下のとおりである。
- 行先表示器を大型化した[9]。これは同時期に増備されたキハ220形200番台や813系1100番台と同様である[11]。本系列の前面上部には左から種別表示器と行先表示器と路線名表示器が独立して設置されていたが、本区分番台ではそれらの表示器が一つにまとめられ大型化された。また、同様に側面の表示器も大型化され、その下の客室窓(第4エンド端)のタテ寸法がその分縮小された[11]。ただし、車体正面の断面形状は従来車と同一であるほか、表示もこれまでの3色表示から橙色1色表示となった。
- 1100番台の運用区間ではワンマン運転方式が車内収受式から駅収受式に改められていたことから、駅収受式ワンマン運転には不要な運賃表示器、整理券発行機、運賃箱などは省略され[7]、準備工事に留まっている[9]。
- 火災対策として[5]、車両間に仕切り扉を設置した[11]。
- 全編成とも、主変換装置は日立製である。
- 2000番台 (V2001 - 2007)
- 鹿児島地区の717系を置き換えるために福北ゆたか線向けに登場したグループ。2012年(平成24年)春のダイヤ改正でV2001-V2006が登場した。鹿児島地区へは直方の1000番台が転属している[9]。輸送力増強のために座席がロングシート化された[5]ほか、以下の変更点がある。
- 外観では、従来無塗装・ヘアライン加工であった車体が白色に塗装され、踏切事故や飛来物によるガラスの破損対策として前面の運転席下部はガラスからコルゲート状のアルミに変更されている[5]。各ドア上に雨樋を設置している[9]。側面の行先表示は1100番台と同じ大型LEDを採用しており、表示器が取り付けられている箇所の窓の寸法は小さくなっている[5]。
- 機器面においては、故障しても自走できるシステムを搭載しており[5]、主変換装置は構成が2群化された[5]。路線の大半が単線である福北ゆたか線内で空気圧縮機が故障して走行不能となった場合に生じる輸送への影響の大きさを懸念し、新たに非常用の空気コックと空気タンクを装備している[5]。また、2011年から採用しているATS-DK装置を標準搭載している[5]。
- 運転室がそれまでの半室構造から全室構造へ変更され、運転室と客室が完全に分離された[5]。
- JR九州の車両としては初めてLED照明が本格採用された[5]。車内の床は既存の編成と同様の素材を採用しているが、若干色目が見直されている[5]。出入口付近に半円状の滑り止めを、車椅子スペースに雲形の滑り止めを配置している[5]。なお、VG2006編成は、運転室とトイレ部分を除いて難燃性の木材によるフローリング仕様となっている[5]。
- 車内の貫通扉は各車両に設置している[5]。LED式車内案内表示器は千鳥配置に変更[5]、スタンションポールには黄色の滑り止めを追加している。トイレはバリアフリー対応の循環式・洋式トイレを採用。天上のスリットを拡大し、ダウンライトもLED化のうえ2基に増やされた[5]。トイレ横には車椅子スペースと介助者用の補助椅子、窓下にはミニテーブルが配置されている[5]。
- 3000番台 (V3001 - 3011)
- 鹿児島本線のラッシュ対策および415系を置き換えるために登場したグループ[7]。817系初の中間車が組み込まれた[9]。V3001-V3005は2012年春のダイヤ改正[12]、V3006-V3009は2013年(平成25年)春のダイヤ改正、V3010-V3011は2015年(平成27年)春のダイヤ改正で登場した。V3010-V3011の登場で813系1000番台R1002編成とR1003編成が福北ゆたか線用に転用されている[7]。おおむね2000番台と同様の仕様変更が行われているが、3両編成となったことで以下の追加変更点がある。
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鹿児島本線で813系と併結運用中の3000番台(手前)
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プライウッド製の片持ち式ロングシート
- JRK817DT404K.JPG
ヨーダンパ付きのDT404K台車
- VM3002LED.JPG
車両中央に設置されたLED式行先表示器
沿革
- 2001年(平成13年)
- 2002年(平成14年)
- 2003年(平成15年)
- 2005年(平成17年)
- 2月17日 1000番台2両編成2本4両(V113・V114)が直方運輸センターに配属[11]。
- 3月1日 0番台が2本ずつ、直方運輸センター(V016・V017)および大分運輸センター(V012・V013編成と815系N016・N017編成の交換)から熊本鉄道事業部熊本運輸センター(現・熊本車両センター)に転属し、4本が同センターに配属。鹿児島本線鳥栖駅 - 銀水駅間ワンマン運転開始に伴い、同線鳥栖駅 - 八代駅間および豊肥本線熊本駅 - 肥後大津駅間での運用開始。同時に日豊本線大分地区からは撤退。
- 南福岡電車区所属車は、すべて長崎鉄道事業部長崎運輸センターに転属[9]。運用面での大きな変化はない。
- 2006年(平成18年)
- 2007年(平成19年)
- 2012年(平成24年)
- 2013年(平成25年)
- 2月 日立から817系14両(2000番台1本〈V2007〉、3000番台4本〈V3006 - V3009〉)が甲種輸送された[14]。前年導入車と同じ基地に配属。
- 2014年(平成26年)
- 長崎車両センターの車両部門移管に伴い、同所所属の全車両が佐世保車両センターへ移管。
- 鹿児島車両センター・佐世保車両センターに所属する0番台・1000番台が、従来のLED式運賃表示板から、レシップ社のOBCビジョンに逐一交換される。
- 2015年(平成27年)
- 3月 日立から817系6両(3000番台2本〈V3010、V3011〉)が甲種輸送された。これをもって817系の増備は終了し、以降の増備は821系へ移行した。
- 4月 1100番台の〈V1102〉編成クハ816-1102の台車を川崎重工業製のサスペンション機能付き炭素繊維強化プラスチック (CFRP) フレームを使用した新型台車「efWING」に交換したものが小倉総合車両センターから出場した。
- 4月 - 5月 JRおおいたシティ開業にともなう日豊本線列車の増発・増結に際し、佐世保車両センターから0番台1本 〈V026〉 が1か月間、大分車両センターに貸し出された。大分地区での817系の営業運転は10年ぶり。期間中は中津駅 - 佐伯駅間で通常運用される815系に増結する形で使用された。
- 2016年(平成28年)
- 2017年(平成29年)
所属および運用
所属については2018年4月1日現在のデータ[15]。
直方車両センター所属車
- 配置
-
- VG108 - 111・113-114・1101 - 1104・2001 - 2007(17編成34両)
2・4両編成ではワンマン運転を実施している。ただし、4両編成ワンマン列車は直方 - 博多間である。2両編成ワンマン列車は全線であるが、小倉 - 門司港間は車掌が乗務する。運行開始当初から2006年3月17日までは、無人駅では車内で整理券発行と運賃収受を行う車内収受式であった。2006年3月18日のダイヤ改正で駅収受式となって以降は整理券発行機は使用されておらず、運賃表示機は次駅のみを表示するようになった。
2007年3月より、運転席に設置されたホーム確認用液晶モニターの運用を開始した。これは、以前プラットホームに設置されていたホーム確認用バックミラーの機能を有するものである。駅に近づくと点灯し、駅からある程度離れると自動的に消灯する。
2009年4月より、ホーム検知装置の運用を開始した(ワンマン運転時のみ)。これは、車両側に設置された装置と各駅のホームの線路内に設置された地上子により、ホームの有無・左右方向を判定し、ドアがホームにかかっていない場合もしくはホームと反対側のドアを開扉操作した場合には、開扉できないようにする装置である。取付は直方所属の817系・813系電車に順次行われ、取付済み車両には「ホーム検知搭載車両」のステッカーが運転台モニタ上に貼り付けられている。
2012年3月には、2000番台7編成が直方車両センターに配属され、代わりに同所所属の1000番台5編成が鹿児島車両センターに転属した[17][7]。
また、2017年3月にはBEC819系の配属に伴い、1000番台1編成が熊本車両センターに転属した。
南福岡車両区所属車
- 配置
-
- VM3001 - 3011(11編成33両)
2001年にV020 - 031が新製配置後、2005年2月に全車が長崎に転属となっていったん配置がなくなったが、2012年3月17日に3000番台5本が新製配置され[13]、2013年3月に4本、2015年3月に2本が増備されている[7]。ラッシュ時には鹿児島本線で813系との併結運用もあるほか[7]、福北ゆたか線内でも運用される[7]。とくに朝ラッシュ時の博多に向かう列車に集中運用されている[7]。
前述の通りラッシュ時の鹿児島本線と福北ゆたか線を中心に使用されるが、ごくまれに日豊本線や長崎本線・佐世保線等にも入線することがある。また走行距離調整のためか、813系の代走として昼間にも運用されることがある。増備後は朝夕ラッシュ時以外の運用も増加している。
佐世保車両センター所属車
- 配置
-
- VN020 - 031(12編成24両)
全編成とも2005年2月に南福岡電車区から長崎車両センターに転属し、2014年3月15日に佐世保に再転属している。
運用線区全区間で、2両編成時はワンマン運転を実施している。当初は全区間車内収受式であったが、2006年3月18日ダイヤ改正より鹿児島本線と長崎本線鳥栖 - 肥前山口間、長崎本線諫早 - 長崎駅間は駅収受式に変更された。それ以外の区間は車内収受式である。
鹿児島本線荒木 - 鳥栖間の運用は、715系が使用されていた頃から継続されている。この他、鳥栖 - 南福岡駅間の回送運用があったが、夜間に両電車を鳥栖で併結し、2018年3月ダイヤ改正から、博多行き普通列車として運転し南福岡運転区で滞泊。その翌朝に2012年度のダイヤ改正より新設された、博多 - 大牟田(途中鳥栖まで快速)と、その折り返しの大牟田発鳥栖行き普通列車での運用がある。これは、熊本車両センターの車両と併結し4両編成で運転されている[9]。
大村線での定期運用は存在しないが、「ハウステンボスリレー号」などの臨時列車として早岐駅 - ハウステンボス駅で運用されることがある。
熊本車両センター所属車
- 配置
-
- VT001・012・013・015 - 017・105 - 107・112(10編成20両)
全車とも直方からの転入。VT106編成は2012年に、VT107編成は2013年に、VT112編成は2017年に追加配備された車両[13]。 ただし、VT105編成は2016年に鹿児島から転入。VT105編成は転入に伴い、運賃表示機が鹿児島支社で使用されているOBCビジョンからLEDに戻されている。
2012年度のダイヤ改正より、博多駅 - 大牟田駅の区間で同センターと長崎車両センターの817系を併結した運用が新設された。
当センター所属の815系とは運用が分離されている。ただし、双方とも代走することがあるほか、815系と817系の併結運用もある。
博多駅 - 鳥栖駅以外の全運用区間で、2両編成時は駅収受式ワンマン運転を実施しているため運賃箱と整理券発行機は使用されていない。2006年3月までは全区間車内収受式だった。
鹿児島車両センター所属車
- 配置
-
- VK002 - 011・014・018・019・101 - 104(17編成34両)
いずれも新製時は直方運輸センター所属であったが、1000番台・1100番台・2000番台配置に伴い転入した[9]。VK101 - 105編成の5編成10両は2012年3月に追加配置された[13]。
転属当初は日豊本線での運用が主体だったが、2004年3月13日以降は在来線特急「つばめ」が廃止された鹿児島本線での運用が主体となり、同線内普通列車のスピードアップや老朽車両の置き換えが図られている。また編成の向きは、転入当初では本センター所属の475・457系などと同様に鹿児島本線上での向きを基準としていたため、日豊本線などその他の線区では上下の向きが逆転していたが、2007年3月現在では方向転換が行われ日豊本線を基準とする向き(クモハ817形が713系のクモハ713形と同一方向を向く)となった。
2013年3月より、ホーム検知装置の運用を開始した(ワンマン運転時のみ)。これは、車両側に設置された装置と各駅のホームの線路内に設置された地上子により、ホームの有無・左右方向を判定し、ドアがホームにかかっていない場合もしくはホームと反対側のドアを開扉操作した場合には、開扉できないようにする装置である。取付は817系電車に順次行われ、取付済み車両には直方所属の車両同様「ホーム検知搭載車両」のステッカーが運転台モニタ上に貼り付けられている。
運用線区全区間で、2両編成時はワンマン運転を実施している。鹿児島本線と日豊本線国分駅 - 鹿児島駅間のみ2006年3月に車内収受式から駅収受式に変更された。
2016年3月に、VK105編成が熊本車両センターへ転出した。
車体のロゴ
本系列も他のJR九州の車両と同様に、多数のロゴ類が車体に貼付されている。
直方車両センター所属車両のみ「福北ゆたか線 817」表記で、それ以外の車体側面の「CT」(Commuter Train)ロゴを記したシンボルマークは、配置される車両基地によって色が異なる[9]。この「CT」マークは後に登場した305系やBEC819系、811系(リニューアル車)などにも描かれている。
色 | 管轄 |
---|---|
■ 黄 | 筑豊篠栗鉄道事業部直方車両センター |
■ 赤 | 長崎鉄道事業部佐世保車両センター |
■ 緑 | 熊本鉄道事業部熊本車両センター |
■ 青 | 鹿児島車両センター |
■ 橙 | 南福岡車両区 |
蓄電池電車(試作車)
2012年3月21日、JR九州が鉄道総合技術研究所との共同開発による交流蓄電池駆動電車(架線バッテリーハイブリッド方式)の試作を発表した[18]。電化区間では通常の交流電車として走行し、駅などでの停車中に架線からの交流を直流に変換後、床下に搭載された蓄電池に充電し、非電化区間では蓄電池により走行するものである。直流方式の同種の試作車としては東日本旅客鉄道(JR東日本)E995系(2014年3月に量産化したEV-E301系を運行開始)、鉄道総合技術研究所(鉄道総研)R291形、および西日本旅客鉄道(JR西日本)JR西日本223系2000番台の一部編成を試験的に改造した例[19][20]があるが、交流方式による蓄電池電車は世界でも初の事例であった[21]。
改造対象となったのは直方車両センター所属のV114編成(クモハ817-1014+クハ816-1014)で、公称値1382V-83kWhのリチウムイオン電池を床下に設置した。改造費用は2両でおよそ1億4千万円[21]。車両には、DualEnergyChargeTrain"DENCHA"のロゴマークが設けられた。2013年3月29日に小倉総合車両センターで報道陣に公開された[21]のち、2013年度に筑豊本線中間駅 - 桂川駅間と、非電化区間の日田彦山線城野駅 - 石原町駅間で走行試験を実施した[22]。
その後、実用化車両として、2016年10月に新形式のBEC819系が登場し[23]、"DENCHA"の愛称も同車に引き継がれている[24]。なお、蓄電池電車(試作車)で得られた技術的問題とフィードバックに関しては、BEC819系の当該の項を参照されたい。
出典
- ↑ 1.00 1.01 1.02 1.03 1.04 1.05 1.06 1.07 1.08 1.09 1.10 1.11 1.12 1.13 1.14 1.15 1.16 1.17 鉄道ファン 2000.
- ↑ 2.0 2.1 九州を走るエコ車両(JR九州 環境報告書2017)-九州旅客鉄道(2017年10月1日、10月2日にオリジナルをアーカイブ化。)
- ↑ “電車[817系]”. GOOD DESIGN AWARD. . 2015閲覧.
- ↑ 4.0 4.1 4.2 4.3 4.4 4.5 4.6 小林宰(九州旅客鉄道 運輸部車両課担当課長)「新車訪問【66】九州旅客鉄道 817系電車」、『RAIL FAN』第49巻第2号、鉄道友の会、2002年2月1日、 6-9頁。
- ↑ 5.00 5.01 5.02 5.03 5.04 5.05 5.06 5.07 5.08 5.09 5.10 5.11 5.12 5.13 5.14 5.15 5.16 5.17 5.18 5.19 5.20 5.21 5.22 5.23 5.24 5.25 5.26 5.27 5.28 5.29 鉄道ファン 2012.
- ↑ 鉄道ファン 2000, 2001/11鉄道ファンVol.41NO.487付図.
- ↑ 7.00 7.01 7.02 7.03 7.04 7.05 7.06 7.07 7.08 7.09 7.10 7.11 鶴 2015.
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- ↑ 9.00 9.01 9.02 9.03 9.04 9.05 9.06 9.07 9.08 9.09 9.10 9.11 9.12 9.13 9.14 鉄道ダイヤ情報.
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参考文献
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- 2012年7月号 新車ガイド「817系2000・3000番台」。
- 鶴 通孝「博多シティをかなめに色彩の電車群が行き交う 福岡都市圏のJR」、『鉄道ジャーナル』第588巻、鉄道ジャーナル社、2015年10月、 60 - 69頁、 ISBN 4910164991051。
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- 『普通列車年鑑 2015-2016』、イカロス出版、2015年8月、 ISBN 978-4-8022-0030-1。
- 田口義晃、門脇悟志、仲村孝行、三木真幸、畠田憲司、有田義正「交流電化区間に対応した蓄電池電車主回路の開発と走行試験による蓄電池性能評価 (PDF) 」 、『鉄道総研報告』第28巻第7号、鉄道総合技術研究所、2014年7月、 17-22頁。