Google Summer of Code

提供: miniwiki
移動先:案内検索

Google Summer of Code (GSoC) は2005年の5月から8月に初めて開催され、その後毎年行われているイベントで[1]Googleが指定したフリーソフトウェアオープンソースのプロジェクトでその夏の間に課題をクリアした数百人の学生に賞金を支払う制度である。参加資格は18歳以上の学生で、これを補完する Google Highly Open Participation Contest は18歳未満を対象としている。

イベントの名称は1967年の Summer of Love1960年代カウンターカルチャー)に由来し[1]、アイデア自体はGoogle創業者のセルゲイ・ブリンラリー・ペイジから発している[1]。プログラムマネージャ Leslie Hawthorn[2] は2006年からプロジェクトに関わり、2007年に管理者となった。

概要

このプログラムはまず、参加資格のある学生が実施したいソフトウェアプロジェクトを詳述した申込書を提出する。申込書は対応する組織が評価する。参加組織はそれぞれのプロジェクトに貢献できると判断した場合、プロジェクト毎に指導者を配置しなければならない。指導者は申込書をランク付けし、ランク付けした一覧をGoogleに送る。Googleは各組織にいくつのプロジェクト(学生)を割り当てるかを決め、一覧から上位N個のプロジェクトを選択する。

1人の学生が複数の組織に選ばれた場合、Googleは参加組織間の調停を行い、どの組織がその学生を受け持つかを決める。その学生を獲得できなかった組織では、次点となっていた申込書が自動的に繰り上がって採用される。

コミュニティに慣れるための期間

学生には、プログラムが採用されてから実際にプロジェクトを開始するまで1カ月以上が与えられ、その間にその組織のやり方を学ぶ。Googleの Leslie Hawthorn は2007年4月、「完成期日が迫っていない状況の方が、仲間となる開発者と社会的関係を築きやすいと考えている。経験上、最初のパッチを送るまでの数週間や数ヶ月間、プロジェクトのIRCチャネルをのぞき、挨拶して誰かと知り合おうとする人がほとんどだ」と述べている[3]

歴史

2005年

2005年、200人の募集に対して8,740以上の申し込みがあった[1]。あまりにも応募が多かったため、Googleは募集人員を419に増やして対応した。

指導にあたる組織は申込書のレビューと選択を行い、学生が提案したプロジェクトを完遂できるようガイダンスなどの指導を提供した。その組織が満足するレベルでプロジェクトを完了させた学生には4500ドルとSoC特製Tシャツが贈られ、指導にあたった組織には学生1人あたり500ドルが贈られた[1]。2005年は約80%のプロジェクトが成功裡に完了したが、成功率は組織によって様々である。例えば、Ubuntuでの成功率は64%、KDEでの成功率は67%だった[1]。一部のプロジェクトは夏が過ぎても継続されていった[1]

第1回の Summer of Code についてはオープンソース組織側から準備期間が短いという批判があった。それにも関わらず41の組織が参加しており[1]FreeBSDApacheKDEUbuntuBlenderen:mozdev.org、そしてもちろんGoogle自身などが参加した。

多くのプロジェクトは Summer of Code の期間が過ぎると停止した。当時のGoogleの担当マネージャ Chris DiBona のブログによると、「約30%の学生が SoC の期間を過ぎると活動を停止した」という。Mozillaの開発者 Gervase Markham は、SoC で行われたMozillaプロジェクトは10あったが、イベント終了後まで生き延びたものはないとコメントしている[4]。しかし、Gaimのプロジェクトのように、そのコード修正が Gaim 2.0 に取り込まれた例もある。XMPPKDEでも一部のプロジェクトが生き延びている(KDEでは24のうち1つだけ継続している[1])。

2006年

2006年には約6000の申し込みがあった。前年より少ないのは、Googleアカウントの取得が義務付けられたためで、それによってスパムを排除した。Googleや参加組織は申込書のレベルが高くなったとしている。参加組織数も約3倍の102になった。新たに参加した組織としては、DebianGNUプロジェクトGentoo LinuxAdiumPHPなどがある。Googleは約600のプロジェクトを後援することを決定した。

申込み期限は2006年5月9日11:00 PDT まで延長された。結果は午後 5:00 PDT までに発表される予定だったが、Googleは学生が複数の組織に選ばれることを予想していなかったため、かなり発表が延びた。Googleは1人の学生について1つのプロジェクトのみを後援する。重複の調停にGoogleは数時間かかった。採用通知は5月24日の午前 3:13 PDT に発送されたが、その際にGoogleが採用しなかった1600の申込者にも採用通知が送られてしまった。午前 3:38 PDT には Chris DiBona が公式メーリングリストに謝罪の投稿をし、「大変申し訳ない。メールを2通受け取って、1通が採用、もう1通が不採用となっている場合、不採用を意味している」とした。

Googleは公式サイトに最終的な採用プロジェクトの一覧を掲載した。それには個々のプロジェクトの提案書(申込書)も公開されていたが、参加者からプライバシーの侵害だという訴えがあり、数時間後には閲覧できなくなった。その後Googleは参加者に個人情報を含む申込書とは別に、公開できる概要的なメッセージを提供してもらい、問題を解決した。

Summer of Code 2006 は同年9月8日に終わった。Googleによると、82%の学生が肯定的評価を受けたという。

2007年

2007年、131の組織が参加し[5]、900以上の学生が参加した。これら131の組織で合計1500人近くの指導者が活動した[6]

学生は最大20までのプロジェクトを申し込むことができるが[7]、採用されるのは1つである。Googleは6,200弱の申込書を受け付けた。

より多くの学生を受け入れるため、Googleは申込み期限を3月24日から3月26日まで延長し[8]、さらに3月27日まで延長した[9]

2008年

2008年、参加するオープンソース組織は174と大幅に増えた。Googleは組織選択の基準として、プロジェクトの目的、学生に与えられるアイデア、指導者が学生をうまく導けるか、を挙げている。7100弱の申込みがあり、1125が採用された。

2009年

2009年のスケジュールについては Google Summer of Code 2009 FAQ を参照。

脚注・出典

外部リンク