Dolls (映画)

提供: miniwiki
移動先:案内検索
Dolls
監督 北野武
脚本 北野武
出演者 菅野美穂
西島秀俊
松原智恵子
三橋達也
音楽 久石譲
撮影 柳島克己
編集 北野武
太田義則
製作会社 バンダイビジュアル
エフエム東京
テレビ東京
オフィス北野
配給 オフィス北野/松竹
公開 イタリアの旗 2002年9月5日VIFF
日本の旗 2002年10月12日
上映時間 113分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
興行収入 6億3000万円[1]
テンプレートを表示

Dolls』(ドールズ)は、北野武監督作品、2002年10月12日公開の日本映画。配給は松竹、製作はオフィス北野他。第59回ヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門正式出品作。

キャッチコピーは「あなたに、ここに、いてほしい。


あらすじ

松本は、結婚を約束していた恋人・佐和子を裏切り、ある社長令嬢との結婚を決めた。結婚式当日、友人から佐和子が松本と別れてから精神を病み、ついに自殺を図り、それが原因で記憶喪失になり松本の事すらも全くわからなくなり、子供のようになってしまったことを知らされる。佐和子は松本が買い与えたおもちゃが壊れるまで遊び、デコトラの光に喜び、トラックの前に満面の笑みで立ち尽くすなど、松本の手を焼かせる。松本は勝手に出歩こうとする佐和子を自らの体に赤い縄で結び付け、あてどない放浪の旅に出る……。

人気絶頂のトップアイドル・春奈。そんな春奈に心酔している温井は、彼女のことばかりを思い続ける毎日を過ごしていた。だがある日、春奈は交通事故に遭い片目を失う。商売道具とも言える顔に致命的な傷を負った春奈はとても人前に出られる状態ではなく、塞ぎこみ、トップアイドルの座からも転落し、ファンの前から姿を消した。それでもなお春奈に会いたいと強く願う温井が取った行動とは……。

毎週土曜日になると、公園のベンチで昔の恋人を待ち続ける良子。老いを理由に、闘争の世界から身を引くことを決めたヤクザの親分。一見何の接点もない二人が、まるで引かれ合うように出会い、ベンチに並んで座るとき……。

出演

作品解説

北野武が「あの夏、いちばん静かな海。」以来11年ぶりのラブストーリーに挑戦した作品。これは3組の全く別々の男女たちが物語で交錯し、それぞれの人生に希望を持とうとした刹那に死へ直面するという無情さを描いた作品であり、武は「これまで一番、最も暴力的な映画である」と発言している。

インタビューで北野は「これはすごく個人的な映画だから。当たるとかいう問題じゃなかったね。喜んで絵描いてるみたいなもんだよ。そういうときべつに評価とか一切関係ないから、下手すりゃ人が見なくたっていいわけで。自分で撮って、しまっちゃうような映画でもあんのよ、ほんとは」「引っかかってたから、こういう映画ね。一回はやりたいって」。と当作品について語っている。

パンフレットによれば、劇中の「繋がり乞食」は、北野が幼い頃実際に何度も目撃した夫婦が元となっているという。

音楽

この作品を最後に、『あの夏、いちばん静かな海。』以降長年音楽を担当してきた久石譲が北野映画に参加しなくなっている。この理由について、北野の弟子の浅草キッドは「(中略)久石さんの音楽がすごく評価されて、そしたら次回から久石さん切ったんですよ。音楽がいいんじゃないって」と説明している[2]

作中で、深田恭子がアイドル「春奈」役として出演したが、劇中に歌っている曲は深田本人が実際にリリースしている楽曲「キミノヒトミニコイシテル」である。「キミノヒトミニコイシテル」は歌詞中に「深田も最近綺麗になったと…」というフレーズがあるが、劇中ではその部分は除かれている。

反響

ロシアでは大ヒットし、およそ2年に及ぶロングランとなった[3]。この作品でロシアにおけるステータスを確かなものとし、後のロシア向けCM出演につながった。

受賞歴

佐和子役の菅野美穂は、この作品で第40回ゴールデン・アロー賞映画賞を受賞。2002年度は山田洋次監督、真田広之宮沢りえ主演の「たそがれ清兵衛」が映画賞を総ナメにしていたが、同賞の常連である北野作品から菅野が選出された。なお武が審査委員長を務める東京スポーツ映画大賞では、主演女優賞に菅野ではなく宮沢りえを選出している(菅野は助演女優賞受賞)。

  • ダマスカス国際映画祭・最優秀作品賞
  • 第4回文化庁優秀映画賞・長編映画部門優秀映画賞
  • 第12回東京スポーツ映画大賞・作品賞・助演女優賞(菅野美穂)

エピソード

  • 松本が「おかしくなった」佐和子を式場から迎えに行くシーンで、車中松本の携帯電話が鳴るが、その着メロは「キミノヒトミニコイシテル」であった。
  • 浜崎あゆみの曲「Dolls」(2002年12月18日発売のアルバム「RAINBOW」収録)は主題歌ではないが、この映画をイメージして作られた。浜崎が司会を務めた番組『ayu ready?』第1回に武がゲスト出演した際に「Dollsという曲を作りたい」と申し出て許可を取っている。

脚注

  1. 「2002年度 日本映画・外国映画 業界総決算 経営/製作/配給/興行のすべて」、『キネマ旬報2003年平成15年)2月下旬号、キネマ旬報社2003年、 140頁。
  2. 浅草キッド、ビートたけしに言いたい放題MOVIE ENTER 週刊シネママガジン(2009年10月4日)2016年11月24日閲覧。
  3. 北野武がモスクワ映画祭で特別功労賞「ロシアの受け止め方が楽しみ」オリコン(2008年6月)

外部リンク