Alphabet (企業)

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Alphabet Inc.(アルファベット)は、2015年にGoogle Inc.及びグループ企業の持株会社として設立された、アメリカの多国籍コングロマリットである[1][2]

本拠地はカリフォルニアに置かれ、Google Inc.の共同設立者であるラリー・ペイジおよびセルゲイ・ブリンが、それぞれCEOおよび社長である[3]。GoogleからAlphabetへの再編は、2015年10月2日に完了した[4]

概要

Alphabetが保有する事業には、テクノロジー、生命科学、投資キャピタル、研究といった複数の産業が含まれている。また、子会社には、Google、Calico、GV、Google Capital、XGoogle Fiber、Nest Labsがある。尚、一部の子会社は商号からGoogleという名称を廃した。例えば、Google VenturesはGVへ、Google Life SciencesはVerilyへ、Google Xは単にXへ改称した。

この再編の過程で、Google創業者のラリー・ペイジはAlphabetのCEOに就任し、代わりにサンダー・ピチャイがGoogleのCEOに着任した[1][2]Googleの株式はAlphabetの株式に変換され、以前のGoogleの株式のティッカーシンボルである、"GOOG"および"GOOGL"がそのまま使用されている。

Alphabetの設立は、事業の核となるGoogleのインターネットサービスを「より明確で責任を持ったもの (cleaner and more accountable)」にするとともに、インターネットサービス以外の事業を行うグループの子会社に、より大きな自立性を与えるという目的で行われた[2][5]

歴史

2015年8月10日、Google Inc.は新しい公開持ち会社であるAlphabet Inc.の設立を告知した。Google CEOラリー・ペイジはこの告知をGoogleの公式ブログ内の記事として投稿した[2]。Alphabet は、子会社を Google から Alphabet へと移動し、Googleが対象とする事業を限定して再編を行うために設立されるとされた。Alphabetには、Google、Nest Labs、Calicoとともに、他の事業であるX、Google Capital、GVが含まれるとされた[3][6][7]。当時、Googleの製品チーフであったサンダー・ピチャイが、ラリー・ペイジの代わりにGoogleの新CEOに着任した[8][9]

この告知の中で、ペイジはそれまで持っていた企業は保有しつづける予定であると書いている[2][10]

同時に、会社名の由来についても説明している。

ペイジは、この再編の動機を、Googleを「より明確で責任を持ったもの (cleaner and more accountable)」にするためであると言っている。また、「われわれが行っていることを透明にし、しっかりと見えるようにする ("the transparency and oversight of what we’re doing")」 ことで、Googleのメインの事業には直接の関係がない会社をコントロールしやすくしたいからであるとも言っている[2][5]

2016年2月1日、Alphabet Inc.はアップルを抑えて、世界で最も価値の高い公開株式会社になった。ただし、2月3日には、アップルがその地位を再び取り返している[11][12]

ウェブサイトとドメイン

Alphabetはabc.xyzという、2014年に有効になった.xyz トップレベルドメイン (TLD) を選択した。alphabet.comというドメインは、BMWfleet management部門のものであるため、Alphabetは所有していない。BMWは "necessary to examine the legal trademark implications" of the proposalsと述べている。また、abc.comも、Disneyが保有しているAmerican Broadcasting Companyのプロモーション用のドメインであるため、所有していない。ただし、abc.com は、Disney のサイトがホストしているgo.comのサブドメインへのリダイレクトになっている[13][14]

ウェブサイトでは、ラリー・ペイジが書いた次のパラグラフの中にイースターエッグが隠されている。「セルゲイと私は、新しいことを始めるという仕事に真剣に取り組んできた。Alphabetには、X labも含まれており、ドローンによる配達を研究するWingのような、新しい取り組みをインキュベートしてきた。また、われわれの片腕として成長してきているベンチャーとキャピタルを、この新しい構造の一部にすることを考えるとわくわくする。("Sergey and I are seriously in the business of starting new things. Alphabet will also include our X lab, which incubates new efforts like Wing, our drone delivery effort. We are also stoked about growing our investment arms, Ventures and Capital, as part of this new structure.")」このパラグラフの中の"drone delivery effort"直後のピリオドが、テレビドラマのSilicon Valleyのリファレンスである、"hooli.xyz"へのハイパーリンクになっている[15]

取締役会

構造

ファイル:Alphabet Chart-vector.svg
Alphabet Inc. 企業構造

Alphabetにおける最大の子会社はGoogle Inc.であるが、AlphabetはCalicoGVGoogle CapitalXGoogle FiberJigsawNest LabsSidewalk LabsVerilyの親会社でもある。以前Googleの一部であった会社や部門の多くはAlphabetの子会社になったが、Googleは依然として、Alphabetのインターネット関係の事業を抱えている。これには、モバイル用オペレーティングシステム AndroidYouTubeGoogle 検索といった、長い間Googleに関連付けられてきた最も象徴的な製品やサービスの多くが含まれており、これらはGoogle Inc.の直接の構成要素のままとされ、Alphabetの子会社にはならなかった[3][16]

成長の予定

エリック・シュミットは、Internet Associationのイベントで、最終的にAlphabetの子会社は26以上になるかもしれない、と述べている。また、現在および提案されているAlphabet子会社のCEOと会っているとも述べて、「より多くのものを見ることになるだろう ("You'll see a lot coming.")」とも話している[17]

再編のプロセス

初めに、AlphabetはGoogle Inc.が直接保有する子会社として設立された。そして、一方が子会社で他方がその持ち主であるというこれら2つの会社の役割を、次のような2つの段階を経て交換した。まず第1に、Alphabetのダミーの子会社を作った。そして第2に、Googleはそのダミー子会社を併合しつつ、Googleの株式をAlphabetの株式に変換した。併合後の子会社は、もはやダミーではなくなったので、その名前を"Alphabet Inc."に変更した。デラウェア州法の下では、このような方法で行われる持ち会社の再編は、株主の投票を経ずに行うことができるため、この再編方法が採用された[18]

再編のプロセスは、2015年10月2日に完了した[4]。その後も、AlphabetはGoogle Inc.の株式価格の履歴を保持したまま、Google Inc.の以前のティッカーシンボルである"GOOG"および"GOOGL"を使用して取引を続けている。これらのティッカーシンボルは、ともに、主要な株価指数であるS&P 500およびNASDAQ-100のコンポーネントである。

脚注

  1. 1.0 1.1 Google to be part of new holding company, 'Alphabet'”. . August 11, 2015閲覧.
  2. 2.0 2.1 2.2 2.3 2.4 2.5 G is for Google”. Google Official Blog. . August 11, 2015閲覧.
  3. 3.0 3.1 3.2 Womack, Brian (2015年8月10日). “Google Creates New Company Called Alphabet, Restructures Stock”. Bloomberg. http://www.bloomberg.com/news/articles/2015-08-10/google-to-adopt-new-holding-structure-under-name-alphabet- . August 10, 2015閲覧. 
  4. 4.0 4.1 SEC Filing (Form 8-K) by Alphabet Inc.” (2015年10月2日). . 2016閲覧.
  5. 5.0 5.1 A New Company Called Alphabet Now Owns Google”. Wired. Condé Nast. . August 13, 2015閲覧.
  6. Greenberg, Julia (2015年8月10日). “What Google, I Mean Alphabet, Looks Like Now”. Wired. Condé Nast. . August 10, 2015閲覧.
  7. What is Alphabet, Google's new company?”. Business Insider. . August 10, 2015閲覧.
  8. Chen, Angela (2015年8月10日). “Google Creates Parent Company Called Alphabet in Restructuring”. Wall Street Journal. . August 10, 2015閲覧.
  9. Conor Dougherty (August 10, 2015), Google to Reorganize in Move to Keep Its Lead as an Innovator, New York Times, http://nyti.ms/1P22yFr . August 10, 2015閲覧. 
  10. Google's Larry Page explains the new Alphabet – CNET”. CNET. . September 19, 2015閲覧.
  11. Google passes Apple as most valuable company”. CNBC. NBCUniversal. . February 1, 2016閲覧.
  12. Apple not going down easy as it overtakes Google parent Alphabet”. USA Today. USA Today. . February 3, 2016閲覧.
  13. Google unveils Alphabet... but that's already trademarked by BMW”. 'Daily Telegraph'. . August 12, 2015閲覧.
  14. Lardinois, Frederic (2015年8月10日). “Google Is Now Alphabet, But It Doesn’t Own Alphabet.com”. TechCrunch (AOL Inc.). http://techcrunch.com/2015/08/10/google-is-now-alphabet-but-it-doesnt-own-alphabet-com/ . August 11, 2015閲覧. 
  15. David Stubbs (2015年8月12日). “Google's hooli.xyz Easter egg proves Silicon Valley is tech's own Spinal Tap”. The Guardian. . February 28, 2016閲覧.
  16. Google's new Alphabet, from A to Z (pictures) – CNET”. CNET. . August 12, 2015閲覧.
  17. Eric Schmidt: Get Ready for ‘a Lot’ More Alphabet Companies”. Re/code. Re/code. . October 19, 2015閲覧.
  18. Google Inc. filing with the SEC, Form 8-K”. United States Securities and Exchange Commission (2015年8月10日). . August 11, 2015閲覧.

外部リンク