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『'''007 私を愛したスパイ'''』(ダブルオーセブン わたしをあいしたスパイ、''The Spy Who Loved Me'')は、[[イアン・フレミング]]の長編[[小説]]『007』第9作(後述のように日本語版のタイトルは『'''007 わたしを愛したスパイ'''』)。また[[1977年]]公開の、[[ルイス・ギルバート]]監督による[[ジェームズ・ボンド|『007』シリーズ]]第10作となる[[スパイ]]・[[アクション映画]]。
+
『'''007 私を愛したスパイ'''』(ダブルオーセブン わたしをあいしたスパイ、''The Spy Who Loved Me''
  
== 小説 ==
+
1977年製作のイギリス映画。原題《The Spy Who Loved Me》。イアン・フレミング原案のスパイアクション。ロジャー・ムーア版ジェームズ・ボンドの第3作。監督:ルイス・ギルバート、共演:バーバラ・バック、クルト・ユルゲンス、リチャード・キール、キャロライン・マンロー、デスモンド・リュウェリンほか。主題歌はカーリー・サイモン。
{{Portal 文学}}
 
[[イアン・フレミング]]の小説『007』シリーズ長編第9作(単行本としては10冊め)。[[1962年]]、[[ジョナサン・ケープ]]より出版された。日本では[[1963年]]に後の映画とは若干異なる『007 '''わたし'''を愛したスパイ』のタイトルで[[早川書房]]から[[井上一夫]]訳により[[ハヤカワ・ポケット・ミステリ]]で発売された。
 
  
=== あらすじ ===
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{{テンプレート:20180815sk}}
ヴィヴィエンヌ・ミシェルは男に散々人生を弄ばれて男性不信になり、[[ベスパ|ヴェスパ]]に乗って[[ジョージ湖 (ニューヨーク州)|ジョージ湖]]付近を傷心旅行していた。そんな彼女が泊まった[[モーテル]]に、2名のギャングが侵入して来た。彼女をギャングから救ったのは、[[トロント]]でスペクターと対決してきたばかりのイギリス秘密情報部員ジェームズ・ボンドだった。そしてヴィヴィエンヌは、性懲りもなくボンドに惹かれてしまう。
 
 
 
=== 出版 ===
 
* {{cite book|和書|author=[[イアン・フレミング]]|translator=[[井上一夫]]|title=007 わたしを愛したスパイ|publisher=[[早川書房]]|date=1998-6-30|isbn=9784151713545}}
 
* {{cite book|first=Ian|last=Fleming|title=The Spy Who Loved Me|publisher=[[ペンギン・グループ|Penguin]]|date=1977-7-7|language=英語|isbn=9780142003268}}
 
 
 
== 映画 ==
 
{{Infobox Film
 
| 作品名 = 007 私を愛したスパイ
 
| 原題 =007 The Spy Who Loved Me
 
| 画像 =The spy who loved me game.svg
 
| 画像サイズ =240px
 
| 画像解説 =
 
| 監督 = [[ルイス・ギルバート]]
 
| 脚本 = クリストファー・ウッド<br/>[[リチャード・メイボーム]]
 
| 原作 = [[イアン・フレミング]]
 
| 製作 = [[アルバート・R・ブロッコリ]]
 
| 製作総指揮 =
 
| 出演者 = [[ロジャー・ムーア]]<br/>[[バーバラ・バック]]<br/>[[クルト・ユルゲンス]]<br/>[[リチャード・キール]]
 
| 音楽 = [[マーヴィン・ハムリッシュ]]
 
| 撮影 = クロード・ルノワール
 
| 編集 = [[ジョン・グレン (映画監督)|ジョン・グレン]]
 
| 配給 = [[ユナイテッド・アーティスツ]]
 
| 公開 = {{flagicon|GBR}} 1977年7月7日<br/>{{flagicon|JPN}} 1977年12月24日
 
| 上映時間 = 125分
 
| 製作国 = {{GBR}}<br />{{USA}}
 
| 言語 = [[英語]]
 
| 製作費 = $14,000,000<ref name="numbers">{{cite web|url=http://www.the-numbers.com/movies/1977/0SWLM.php|title=The Spy Who Loved Me|publisher=[[:en:The Numbers (website)|The Numbers]]|accessdate=2009-6-16|language=英語}}</ref>
 
| 興行収入 = {{Flagicon|World}} $185,400,000<ref name="numbers"/>
 
| 配給収入 = {{flagicon|JPN}} 31億5000万円<ref name="kinejun">{{cite book|和書 |title=キネマ旬報ベスト・テン全史: 1946-2002|year=2003|publisher=キネマ旬報社|page=230-231 |isbn=4-87376-595-1}}</ref><br/>(1978年度洋画配給収入3位)
 
| 前作 = [[007 黄金銃を持つ男]]
 
| 次作 = [[007 ムーンレイカー]]
 
}}
 
 
 
=== ストーリー ===
 
核ミサイルを搭載した英潜水艦「レンジャー」とソ連潜水艦「ポチョムキン」が突如消息を絶った。調査を命ぜられたボンドは[[エジプト]]・[[カイロ]]へ飛び、そこで同じ目的で[[ソビエト連邦|ソ連]]が派遣した女スパイ、アニヤ・アマソワ[[ソ連国家保安委員会|KGB]]少佐と出会う。
 
 
 
英ソの利害が一致したことからボンドとアニヤは共同で任務に当たるが、事件の直前、[[アバンタイトル]]でボンドに差し向けられ返り討ちにあったソ連の殺し屋は、彼女の恋人だった。「この任務が終わったら、あなたを殺すわ」そう言われたボンドは彼女と共にアメリカ海軍の潜水艦に乗り込み、怪しいとにらんだストロンバーグ海運のタンカー、リパラス号に接近する。
 
 
 
ストロンバーグは米ソを核攻撃し、世界を壊滅させ、海の世界を作ろうとしていた……。
 
 
 
=== スタッフ ===
 
* 監督 - [[ルイス・ギルバート]]
 
* 製作 - [[アルバート・R・ブロッコリ]]
 
* 脚本 - クリストファー・ウッド、[[リチャード・メイボーム]]
 
* 音楽 - [[マーヴィン・ハムリッシュ]]
 
* 主題歌 - 「007 私を愛したスパイ のテーマ」(Nobody Does It Better)
 
** 作詞 - [[キャロル・ベイヤー・セイガー]]
 
** 作曲 - [[マーヴィン・ハムリッシュ]]
 
** 唄 - [[カーリー・サイモン]]
 
* 撮影 - クロード・ルノワール
 
* 編集 - [[ジョン・グレン (映画監督)|ジョン・グレン]]
 
* プロダクション・デザイン - [[ケン・アダム]]
 
* 美術 - [[ピーター・ラモント]]
 
* 特殊効果 - ジョン・エヴァンス
 
* 視覚効果 - [[デレク・メディングス]]
 
* メインタイトル・デザイン - [[モーリス・ビンダー]]
 
 
 
=== キャスト ===
 
* ジェームズ・ボンド - [[ロジャー・ムーア]]
 
* アニヤ・アマソワ - [[バーバラ・バック]]
 
* カール・ストロンバーグ - [[クルト・ユルゲンス]]
 
* ジョーズ - [[リチャード・キール]]
 
* M - [[バーナード・リー]]
 
* Q - [[デスモンド・リュウェリン]]
 
* マネーペニー - [[ロイス・マクスウェル]]
 
* ナオミ - [[キャロライン・マンロー]]
 
* ゴゴール将軍(ソ連) - [[ウォルター・ゴテル]]
 
* カーター艦長(米海軍) - シェーン・リマー
 
* リパラス号艦長 - {{仮リンク|シドニー・タフラー|en|Sydney Tafler}}
 
* グレイ国防相 - ジョフリー・キーン
 
* ハーグリーブズ海軍中将 - ロバート・ブラウン
 
* セルゲイ・バルソフ - [[マイケル・ビリントン]]
 
 
 
=== 作品解説 ===
 
本作はシリーズ開始15周年と10作目というメモリアルな作品であり、3度目の登板となったロジャー・ムーアの一番のお気に入りでもある。しかし、15周年記念というのはあくまでも結果論で、それまでは毎年、或いは一年おきに制作されたシリーズに初めて3年のブランクが発生した。理由は複数あり、共同プロデューサー、[[ハリー・サルツマン]]の無断離脱(彼のイオン・プロの持ち株はブロッコリに無断で[[ユナイテッド・アーティスツ|UA]]に譲渡された)、[[ショーン・コネリー]]とケヴィン・マクローリーによる『[[007 サンダーボール作戦|サンダーボール作戦]]』のリメイク訴訟、前作『[[007 黄金銃を持つ男|黄金銃を持つ男]]』の興行不振を理由に大株主となったUAからのムーアの降板要求(元々UAはムーア起用に反対だった)、あらゆる意味でシリーズ初の完全オリジナルストーリーの構築。ブロッコリはこれらの障壁を乗り越えて完成にこぎつけた。内容は秘密兵器とアクションを大掛かりにした荒唐無稽なスペクタクル・アドベンチャーとしての魅力を全面に押し出したものとなった。結果は後述の通り、シリーズ最大のヒットを飛ばし、ブロッコリの手腕と本格的なロジャー・ムーア時代の到来を世に知らしめることになった。本作で初期のコネリー時代のシリアスとポップのバランスの取れた作風からムーアの演じるボンドのコミカル路線に移行されたとも言われる。
 
また、本作から完全オリジナル作品となったため、従来の「Ian Fleming's ○○」から「Ian Fleming's James Bond 007 in ○○」とタイトルの出し方が変更され、現在まで続く(『[[007 ムーンレイカー|ムーンレイカー]]』は除く)。
 
 
 
=== 興行成績 ===
 
シリーズ第10作を記念し、前作の2倍の1400万ドルの製作費をかけた超大作となった本作は、世界興行成績も前作の約2倍の1億8540万ドルとなり、インフレ率を勘案しなければ過去最高記録<ref>{{cite web|url=http://www.the-numbers.com/movies/series/JamesBond.php|title=Box Office History for James Bond Movies|publisher=[[:en:The Numbers (website)|The Numbers]]|accessdate=2009-6-16|language=英語}}</ref>。しかし、1977年の映画は強豪がひしめき、『[[スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望|スター・ウォーズ]]』(7億9800万ドル)、『[[未知との遭遇]]』(3億380万ドル)、『[[サタデー・ナイト・フィーバー]]』(2億8540万ドル)に次ぐ第4位にとどまった<ref>{{cite web|url=http://www.worldwideboxoffice.com/index.cgi?order=worldwide&start=1977&finish=1977&keyword=|title=Movie list by worldwide gross|publisher= WorldwideBoxoffice.com|accessdate=2009-6-16|language=英語}}</ref>。日本の1978年度の海外映画配給収入でもこの1位(43億8000万円)・2位(32億9000万円)の順位は変わらなかったが、本作はそれに次ぐ第3位(31億5000万円)となり、同年度の日本映画配給収入の第1位『[[野性の証明]]』(21億5000万円)と第2位『[[さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち]]』(21億円)を凌いだ<ref name="kinejun"/>。
 
 
 
=== 秘密兵器など ===
 
[[ファイル:Lotus Esprit 02.jpg|thumb|right|200px|[[ロータス・エスプリ]]]]
 
[[ファイル:Kawasaki 900.jpg|thumb|right|200px|[[カワサキ・Z1|カワサキ・900]]]]
 
* [[ボンドカー]]として[[ロータス・エスプリ]]が使用され、劇中で潜水艇に変形し、話題になった。特に日本では折からの[[スーパーカー]]ブームに重なったため、一時は「ボンドカー=エスプリ」とも言わんばかりの人気となった。
 
** 装備としては、セメントガン(後部ナンバープレートが開いて出現。ジョーズの車のフロントガラスに噴射して前を見えなくする)、ミサイル(水中から垂直発射してナオミのヘリを撃ち落す)、魚雷、水中煙幕、水雷(投下して海底に触れると爆発)。
 
** このロータス・エスプリは、もちろん実際には潜水は不可能で、そのシーン撮影のために10万ドルもの費用が投じられ、模型も含め7台の「別機能モデル」が用意された。1台目は実車で、通常の陸上走行用でサイドカーやヘリの追跡場面などで使用。2台目は中身が空の実物大模型で、防波堤から海に飛び込む場面で使用。パイプを使用して空中に放った。次の潜水艇チェンジ場面では、タイヤが格納され、その穴に蓋がされ、水平舵が出るのにそれぞれ一台ずつの模型。6台目は実際にクルーが乗り込みスクリューが回転して水中潜行が可能なものだが、乗る時は運転席を満水状態にしてドライバーは潜水具を着用する(これを製作したのは、フロリダのペリー・オーシャノグラフィック社で、同社は『[[007 ユア・アイズ・オンリー|ユア・アイズ・オンリー]]』に登場する潜水艇も製造した)。7台目は、海中からビーチに上がってくるシーンで使われた実車で、自走ではなくワイヤーで引っ張られて撮影された。実車は当初1台しか用意しておらず、2台目は生産が間に合わなかったため、ロータスの[[コーリン・チャップマン|チャップマン]]社長の愛車を急きょ譲ってもらっている。
 
** このとき撮影に使用されたロータス・エスプリの実車の1台は、2008年12月1日、ロンドンのオークションハウス、ボナムズのオークションに出品され、11万1500万ポンドで落札<ref>{{cite news|url=http://www.afpbb.com/article/entertainment/movie/2544561/3574640|title=映画『007/私を愛したスパイ』の車、1600万円で落札|publisher=[[フランス通信社|AFPBB News]]|date=2008-12-2|accessdate=2009-6-24|language=英語}}</ref><ref>{{cite news|url=http://news.bbc.co.uk/2/hi/entertainment/7760208.stm|title=James Bond Lotus sells at auction|publisher=[[BBCニュース]]|date=2008-12-2|accessdate=2009-6-24|language=英語}}</ref>。また、水中潜行が可能なモデルは、2013年9月9日、ロンドンのRMオークションズで競売に掛けられ55万ポンドで落札された<ref>[http://sankei.jp.msn.com/world/news/130910/erp13091013110003-n1.htm 倉庫に眠っていたボンドカーに8千万円超 「水陸両用車」英競売で(産経ニュース2013年9月10日)2014年1月13日閲覧]</ref>。
 
*このロータス・エスプリを実際に運転した主演のロジャー・ムーアによれば、運転するたびに頻繁に故障が発生し、さらに車高が低いこともあってかなり乗り降りに苦労したとのこと。
 
* ロータス・エスプリを追跡し爆薬を搭載した[[サイドカー]]を発射するバイクは、[[カワサキ・Z1|カワサキ・900]]。
 
* その後、ジョーズを乗せエスプリを追跡する車は、[[フォード・モーター|フォード]]・タウナス(特殊装備はない)。
 
* ナオミが操縦しエスプリを攻撃するヘリコプターは、[[ベル・エアクラフト|ベル]]206ジェットレンジャー。マシンガンを装備。
 
* Qの秘密兵器として登場するウエット・バイクは、アメリカの[[ミネソタ州]]のアークティック・エンタープライズ(現アークティック・キャット)社が製造した[[水上オートバイ]]の一種で、当時はまだ珍しかった。
 
* [[セイコーホールディングス|セイコー]]の[[日本]]製の腕時計デジタル・アラーム・クロノグラフを着用。受信機能があり、Mからの指令がテープで打ち出される<ref>[http://www004.upp.so-net.ne.jp/spade/bond/index.html ボンドウォッチプロジェクト]参照。</ref><ref>[http://www.hmss.com/qbranch/0202.htm Q Branch] at [http://www.hmss.com/ Her Majesty's Secret Servant]参照。</ref><ref>[http://watchismo.blogspot.com/2006/11/james-bond-gadget-watch-history-q.html James Bond Gadget Watch History] at [http://watchismo.blogspot.com/index.html the watchismo times]参照。</ref>。この後も[[ロジャー・ムーア]]主演のシリーズ作品で同社製品が用いられている<ref>また[[ロジャー・ムーア]]主演の『[[北海ハイジャック]]』でも[[セイコーホールディングス|セイコー]]の時計が使用されている。</ref>。
 
* スキーストックが銃になる。オーストリアでKGBの暗殺者を射殺。
 
* シガレットケースとライターを組み合わせると、マイクロフィルム・ビューアーになる。
 
* この他、Qの研究室で次のものが実験されていた。
 
** ティートレー。ティーポットとカップを載せ、宙に浮いたまま水平に飛んで人形の首を切断(この撮影には、[[リニアモーター]]が使用されている)。
 
** 丸椅子に巨大スプリングが仕掛けてあり、座っていた人形を飛ばして脳天から落下させる。
 
** 水パイプがマシンガンになる。
 
** ラクダの鞍から剣が真上に向け突き出る。
 
** セメントガン。これがロータス・エスプリに搭載される。
 
* アニヤ(KGB)のタバコは麻酔ガスを噴射し、ボンドを眠らせた。
 
* アトランティス。ストロンバーグの基地。表向きは海洋研究所。海に潜水・浮上が可能。
 
* リパルス。ストロンバーグの巨大タンカー。船首が両側に開いて潜水艦を拿捕し、船体内に収容できる。
 
 
 
=== 主題歌 ===
 
アメリカの女性シンガー、[[カーリー・サイモン]]による『Nobody Does It Better』が、イギリスの『ミュージック・ウィーク』誌では最高位7位、アメリカの『[[ビルボード]]』誌では、最高位2位を獲得する大ヒットとなった。英米共にトップ10入りしたのは、[[ウイングス|ポール・マッカートニー&ウィングス]]の『Live And Let Die』に続いて2曲目である。また、[[マーヴィン・ハムリッシュ]]によるサウンドトラックは、『ビルボード』誌で最高位40位を獲得している。
 
 
 
=== その他 ===
 
[[ファイル:Mount Asgard 3 2001-07-25.jpg|thumb|right|200px|[[バフィン島]]アスガード山]]
 
[[ファイル:Egypt.Giza.Sphinx.01.jpg|thumb|right|200px|[[ギーザ|ギザ]]の[[スフィンクス]]]]
 
[[ファイル:SFEC EGYPT KARNAK 2006-007.JPG|thumb|right|200px|[[カルナック神殿]]]]
 
[[ファイル:Abu Simbel, Ramesses Temple, front, Egypt, Oct 2004.jpg|right|thumb|200px|[[アブ・シンベル神殿]]]]
 
* フレミングの原作はエロティシズムを意識して綴られた小説であり、従来のものと比べて異色で「[[ポルノグラフィ|ポルノ]]だ」などと酷評されたほどである。ジェームズ・ボンドは主人公の女の回想の中で登場するのみであった。そのためか、フレミングは『The Spy Who Loved Me』という原題以外は、一切小説で書かれた内容を使用することを禁じる映画化契約を行っていた。
 
*ボンドと共にストロンバーグの陰謀に挑むソ連のスパイ、トリプルXことアニヤ・アマソワはボンドガール史上、初めてボンドと対等の地位を持つ人物。前半はボンドに引けを取らない活躍を見せているが、後半は敵に拉致され、セクシーな衣装を着せられて拘束される、そのまま敵に弄ばれてボンドの助けを待つだけという従来のボンドガールと同様の扱いになっている。
 
* 音響はシリーズで初めて[[ドルビーノイズリダクションシステム|ドルビーステレオ]]で収録された。
 
* カーリー・サイモンが歌う主題歌『Nobody Does It Better』は、ボンドシリーズの数ある名主題歌の中でも常に上位にランクされるヒット曲で、今日でも『[[ロスト・イン・トランスレーション]]』や『[[ブリジット・ジョーンズの日記|ブリジット・ジョーンズの日記 2]]』の中で使用されるなど、その人気は衰えを見せない。[[2004年]]、[[アメリカ映画協会]]は同曲を「過去100年に書かれたもっとも偉大な映画主題歌100曲」の第67位に選出している。「Nobody Does It Better」はアカデミー賞の主題歌賞にもノミネートされたが、ボンドシリーズの主題歌で同賞にノミネートされたのはこの曲と、『[[007 死ぬのは奴らだ|死ぬのは奴らだ]]』の『[[007 死ぬのは奴らだ (曲)|Live And Let Die]]』([[ウイングス|ポール・マッカートニー&ウィングス]])、『[[007 ユア・アイズ・オンリー|ユア・アイズ・オンリー]]』の『For Your Eyes Only』([[シーナ・イーストン]])の三曲で[[第85回アカデミー賞]]で初めて「[[007 スカイフォール|スカイフォール]]」の「[[スカイフォール|Skyfall]]」([[アデル (歌手)|アデル]])で受賞した。
 
* この『Nobody Does It Better』は主題歌の曲名が映画のタイトル (The Spy Who Loved Me) と異なる初めてのもので<ref>過去にも『[[女王陛下の007]] (On Her Majesty's Secret Service)』の『We Have All the Time in the World』([[ルイ・アームストロング]])があったが、こちらは劇中挿入歌で、オープニングタイトル曲ではなかった。</ref>、同様の主題歌は他に『[[007 オクトパシー|オクトパシー]] (Octopussy)』の『All Time High』と『[[007 カジノ・ロワイヤル|カジノ・ロワイヤル]] (Casino Royale)』の『You Know My Name』と『[[007 慰めの報酬|慰めの報酬]] (Quantum Of Solace)』の『[[アナザー・ウェイ・トゥ・ダイ|Another Way to Die]]』があるのみである。
 
* オープニングのスキーシーンは、オーストリア アルプスという設定になっているが、実際はスイス アルプスで撮影された。ダイビングするシーンは、カナダ・[[バフィン島]]のアスガード山で行われた。
 
* このスタント史上に残るダイビングを行ったのは、リック・シルヴェスター。監督したのは、第2班監督の[[ジョン・グレン (映画監督)|ジョン・グレン]]である。ぶっつけ本番のため数台のカメラで撮影していたが、捉えることができたのは1台のみであり、そのノーカット映像で名シーンが出来上がった。
 
* スキーウェアの提供は、ドイツのボグナー社。その創業者の息子であるウィリー・ボグナー・ジュニアが、スキー アクションシーンの監督と撮影を担当した。彼は『[[女王陛下の007]]』『[[007 ユア・アイズ・オンリー|ユア・アイズ・オンリー]]』『[[007 美しき獲物たち|美しき獲物たち]]』のスキー アクションシーンにも携わっている。
 
* エジプトのシーンは現地ロケが行われ、[[カイロ]]市内や、[[ギーザ|ギザ]]の[[三大ピラミッド]]、[[スフィンクス]]などで撮影が行われた。ジョーズとボンド、アニヤが最初に格闘するシーンは、[[ルクソール]]の[[カルナック神殿]]。エジプトのMの事務所(Qの研究室も併設)があったのは、[[アブ・シンベル神殿]]である。
 
* イタリアの[[サルデーニャ|サルジニア島]]のシーンも現地ロケが行われ、ボンドとアニヤが投宿するホテルは、サルジニア島コスタ・スメラルダのホテル・カラ・ディ・ボルペである。ただし水中のアクションシーンは、[[バハマ]]の[[ナッソー]]で行われている。
 
* ストロンバーグの海中基地アトランティスは、[[沖縄国際海洋博覧会|沖縄海洋博]]に登場した[[アクアポリス]]がヒントになっている。このアイディアを出したのは、日本通のギルバート監督であった。実際に沖縄でロケも行われたが、使用されたのはアトランティス内にある水槽の魚の映像であった。
 
* 本作では、前作に引き続き[[ソニー]]とのタイアップが行われ、アトランティスやリパルス内にあるモニターは、ソニー製である<ref>後に、製作会社の[[メトロ・ゴールドウィン・メイヤー]]がソニーの傘下になると、ソニー製のパソコンや携帯電話が過剰に登場するようになるが、本作ではまだそのようなことはない。</span></ref>。また、フェケッシュの持っていたマイクロフィルムのケースは、[[ミノルタ]]製である。
 
<!--*劇中で使用された毛皮の提供は、カナダのグロブナー社。--><!-- 過剰なトリビア -->
 
* ジェームズ・ボンドの好む酒といえば、シェイクしステアしない[[マティーニ]]が有名であるが、ボンド役がロジャー・ムーアに替わった際、ショーン・コネリーとの違いを出すために、それを飲むシーンがなくなった。しかし、本作ではアニアがボンドに[[バカルディ (カクテル)|バカルディ]]を注文してもらったお返しをするシーンで、これが復活した。また、ボンドは[[ドン・ペリニヨン (ワイン)|ドン・ペリニヨン]]も愛飲しており、本作ではストロンバーグの脱出用カプセルにこれが備えてあって、アニアのボンドに対する感情に決着がつけられる重要なシーンの小道具として使われる。しかし、次回作からボランジェとの正式なタイアップが始まるために、ドン・ペリニヨンがシリーズに登場するのはこれが最後となった。
 
* 当初、ジョーズ役に[[ジャイアント馬場]]が考えられていた。
 
* ロジャー・ムーアはいたずら好きなことで有名で、この作品でもバーバラ・バックと砂漠を歩く場面の撮影中にあらかじめズボンのベルトを緩めておいて、本番中にズボンがズルズルと落ちてくるように仕組んだりするなど、現場は爆笑の連続だったという。<!--その他に、Q役のリュエリンのカンペを勝手に書き換えて、さらに難解で発音しにくくしたという。--><!-- 「カンペ」??? -->
 
* その砂漠を歩くシーンのバックには、映画『[[アラビアのロレンス]]』のテーマが流れる。
 
* ロータス・エスプリがビーチに上陸した際、我が目を疑い思わず手にした酒瓶を見る男は、助監督のビクター・トジャンスキー。彼は、続く『[[007 ムーンレイカー|ムーンレイカー]]』と『[[007 ユア・アイズ・オンリー|ユア・アイズ・オンリー]]』でも同様の趣向で登場する。
 
* 巨大タンカー「リパラス号」のセットがあまりに大規模なものであったため(デザインはケン・アダム)、製作サイドは007ステージと呼ばれる撮影所を建設したうえでセットを組まざるを得なかった。その際に巨大なセットでいかに満遍なく照明をあてるかでスタッフは悩み、カメラマン出身の名監督[[スタンリー・キューブリック]]に相談を持ちかけたという。キューブリックは自分の関わりを極秘にしておくことを約束させたうえで、スタッフにアドバイスを与えたという。
 
* ロジャー・ムーアはストロンバーグとの戦いの場面を撮影中に、椅子が爆発する直前に身をかわすタイミングを間違えお尻に火傷を負った。その後は撮影中に何度も尻の包帯を取り替えることとなった。
 
* [[バーバラ・バック]]と[[リチャード・キール]]は翌年の『[[ナヴァロンの嵐|ナバロンの嵐]]』でも共演している。
 
* 音楽は当初、[[モーリス・ジャール]]が担当することになっていた。
 
* 当初、敵は[[ブロフェルド]]率いるスペクターだった(原作はブロフェルドトリロジー「サンダーボール作戦」、「女王陛下の007」、「007は二度死ぬ」の外伝であるため、当時のイオン・プロが拡大解釈でスペクターを登場させることができる作品ではある)が、これはケヴィン・マクローリーによる「サンダーボール作戦」のリメイク訴訟でストーリー改変が主な争点となっており、ブロフェルドの登場は、マクローリーの主張を暗に認めざるを得なくなるため、やむなくオリジナルキャラクター、ストロンバーグに変更した。
 
* ゴーゴル将軍はMを「マイルズ」<ref>しかし、日本語は字幕、吹替共にこの箇所が翻訳されていない</ref>と呼び、アニヤはQを「ブースロイド少佐」と呼ぶなど、KGBがイギリス情報部の事情に精通していることを表している。初代Mの本名が登場する最初で最後の映画である。また、Qの本名が劇中で呼称された最初の作品でもある。<ref>『ドクター・ノオ』と『ロシアより愛をこめて』ではエンドクレジットでの表記のみ</ref>
 
*ロジャー・ムーアのボンドが初めて制服(海軍士官)姿を披露し、その姿で最終決戦に挑む。
 
*ロータス・エスプリが海中での戦いを終えて海水浴場に上陸する場面で、ボンドがエスプリの窓から魚を放り出すという爆笑カットがあるが、当初この案には製作者ブロッコリは反対だった。しかしボンド役のロジャーとギルバート監督がこのカットを撮影、試写で「魚のカット有りと無し」両方を見せたところ「有り」の方が大好評だったためブロッコリは折れて、このシーンが採用となった。
 
 
 
=== 日本語吹替 ===
 
{| class="wikitable" style="text-align:center"
 
|-
 
! 役名
 
! 俳優
 
! [[TBSテレビ|TBS]]版1
 
! TBS版2
 
! [[DVD]]/[[Blu-ray Disc|BD]]版
 
|-
 
| [[ジェームズ・ボンド|ボンド]] || [[ロジャー・ムーア]] || colspan="3"|[[広川太一郎]]
 
|-
 
| アマソワ || [[バーバラ・バック]] || [[小原乃梨子]] || [[弥永和子]] || [[安藤麻吹]]
 
|-
 
| ストロンバーグ || [[クルト・ユルゲンス]] || [[鈴木瑞穂]] || [[大塚周夫]] || [[麦人]]
 
|-
 
| [[M (架空の人物)|M]] || [[バーナード・リー]] || [[今西正男]] || [[石森達幸]] || [[藤本譲]]
 
|-
 
| [[Q (ジェームズ・ボンド)|Q]] || [[デスモンド・リュウェリン]] || [[田中康郎]] || [[丸山詠二]] || [[白熊寛嗣]]
 
|-
 
| [[ミス・マネーペニー|マニーペニー]] || [[ロイス・マクスウェル]] || [[花形恵子]] || [[竹口安芸子]] || [[泉裕子]]
 
|-
 
| ナオミ || [[キャロライン・マンロー]] || [[高島雅羅]] || [[高橋ひろ子]] || [[松下こみな]]
 
|-
 
| ゴゴール || [[ウォルター・ゴテル]] ||[[大木民夫]] || [[加藤精三 (声優)|加藤精三]] || [[島香裕]]
 
|-
 
| カーター || シェーン・リマー || [[加藤正之]] || [[仁内建之]] ||
 
|-
 
| グレイ || ジェフリー・キーン || colspan="2" | 藤本譲 ||
 
|-
 
| ハーグリーブズ || ロバート・ブラウン ||[[緑川稔]] || [[上田敏也]] ||
 
|-
 
| ベンソン || ジョージ・ベイカー || colspan="2" | [[村松康雄]] ||
 
|-
 
| タルボット || ブライアン・マーシャル || [[嶋俊介]] || [[筈見純]] ||
 
|-
 
| セルゲイ・バルゾフ || [[マイケル・ビリントン]] || [[平林尚三]] || [[有本欽隆]] ||
 
|-
 
| フェリカ || オルガ・ビセラ || 長島亮子 || || [[新田万紀子]]
 
|-
 
| サンドア || ミルトン・リード || [[郷里大輔|長堀芳夫]] || ||
 
|-
 
| 丸太小屋の女性 || スー・ヴァナー || [[榊原良子]] || [[横尾まり]] ||
 
|-
 
| リパラスの船長 || シドニー・タフラー || [[峰恵研]] || 上田敏也 ||
 
|-
 
| ホテルフロント係 || ヴァレリー・レオン || 尾崎桂子 || [[岡のりこ]] ||
 
|-
 
| ウェイン艦船員 || クリストファー・マンク || 島香裕 || [[稲葉実]] ||
 
|-
 
| レンジャー艦船員 || キム・フォーチュン || [[津田英三]] || [[小室正幸]] ||
 
|-
 
| マーコビッツ教授 || マイロ・スパーバー || [[小島敏彦]] || Rowspan=2|[[塚田正昭]] ||
 
|-
 
| ストロンバーグの部下 || レニー・ラビン || 村松康雄 ||
 
|-
 
| ストロンバーグの船員 || ヤーショウ・アデム || colspan=2|島香裕 ||
 
|-
 
| ウェイター || ラフィク・アンウォー || [[伊井篤史]] || [[荒川太朗]] ||
 
|-
 
|}
 
※キングレコードから発売の特別版DVDにはTBS版の2バージョンの吹替を収録。
 
* TBS版1 - 初回放送、1983年5月16日21:02-23:24 『[[月曜ロードショー]]』(正味約120分)
 
: プロデューサー - 熊谷国雄、演出 - [[佐藤敏夫 (音響監督)|佐藤敏夫]]、翻訳 - [[木原たけし]]、製作 - [[東北新社]]/TBS、解説 - [[荻昌弘]]
 
* TBS版2 - 初回放送、1989年2月7日20:00-21:54 『[[月曜ロードショー|火曜ロードショー]]』(正味約96分)
 
: プロデューサー - 上田正人、演出 - 小山悟、翻訳 - 木原たけし、効果 - リレーション、調整 - 小野敦志、製作 - 東北新社/TBS
 
* DVD/BD版 - 初出、2006年11月22日発売 DVD アルティメットコレクション収録
 
: 地上波初回放送2007年1月21日21:00-22:54 [[テレビ朝日]]『[[日曜洋画劇場]]』
 
: 演出 - 福永莞爾、翻訳 - 桜井裕子、調整 - 金谷和美、製作 - 東北新社
 
 
 
=== ノベライズ ===
 
* {{cite book|和書|author=クリストファー・ウッド|translator=[[井上一夫]]|title=新・私を愛したスパイ|publisher=[[早川書房]]|date=1986-6-15|isbn=9784150757526}}
 
* {{cite book|first=Christopher|last=Wood|title=James Bond, The Spy Who Loved Me|publisher=Triad Books|date=2003-9-2|language=英語|isbn=9780586045091}}
 
 
 
== 注・参照 ==
 
{{脚注ヘルプ}}
 
{{Reflist|2}}
 
 
 
== 外部リンク ==
 
* {{Allcinema title|14183|007 私を愛したスパイ}}
 
* {{Kinejun title|11696|007 私を愛したスパイ}}
 
* {{ぴあ映画チラシ|136244}}
 
* {{Amg movie|46311|007 The Spy Who Loved Me}}
 
* {{IMDb title|0076752|007 The Spy Who Loved Me}}
 
 
 
{{ジェームズ・ボンド}}
 
{{ルイス・ギルバート監督作品}}
 
  
 
{{DEFAULTSORT:たふるおおせふんわたしをあいしたすはい}}
 
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2018/10/4/ (木) 14:00時点における最新版

007 私を愛したスパイ』(ダブルオーセブン わたしをあいしたスパイ、The Spy Who Loved Me

1977年製作のイギリス映画。原題《The Spy Who Loved Me》。イアン・フレミング原案のスパイアクション。ロジャー・ムーア版ジェームズ・ボンドの第3作。監督:ルイス・ギルバート、共演:バーバラ・バック、クルト・ユルゲンス、リチャード・キール、キャロライン・マンロー、デスモンド・リュウェリンほか。主題歌はカーリー・サイモン。



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