龍泉洞
龍泉洞(りゅうせんどう)は、日本の岩手県下閉伊郡岩泉町にある鍾乳洞。岩泉湧窟(いわいずみわっくつ)とも言う。総延長約1,200m(日本の洞窟中第62位[注 1])。高低差約249mは日本の洞窟中第5位[注 2]。
秋芳洞(山口県美祢市)・龍河洞(高知県香美市)と共に「日本三大鍾乳洞」の一つに数えられる。
また、地底湖は龍泉洞地底湖の水として1985年(昭和60年)名水百選のひとつに選定された[1]。
概要
実際の全長は2.5km以上とも5km以上とも言われている(平成24年11月現在で3631mまで確認されている)が、1968年(昭和43年)に洞窟探検家が潜水事故を起こして以来、調査されていないので、あくまでも予測数値である。水深98mの第3地底湖、120m以上ある第4地底湖(未公開)等、全部で7つの地底湖を持っていることで知られている[2]。
観光整備工事中の1967年(昭和42年)に龍泉洞入洞口の向かい側に新たに洞窟が発見され、龍泉新洞(りゅうせんしんどう)と命名された[3]。また、その洞内から土器・石器などが多数発見された[3]。トレーサー調査によれば、龍泉新洞は龍泉洞の下流部分にあたるとされるが、実際に水中部を潜り調査したことはない。龍泉洞の水が再度地下に潜り込み、本洞前の清水川の下を「第二の川」のように流れ、龍泉新洞の「泉」で湧いていることが分かっている。龍泉洞の潜流地点から龍泉新洞の「泉」まで、おおよそ5分ほどで到達していると言われる。
洞窟内には、キクガシラコウモリ、コキクガシラコウモリ、モモジロコウモリ、ウサギコウモリ、および、テングコウモリという、ココウモリ類(小翼手類)5種の生息が確認されており、これらのコウモリ類は、1938年(昭和13年)12月14日[4]、洞窟と共に「岩泉湧窟及びコウモリ」名義で国の天然記念物に指定された[4]。
龍泉洞の水は世界でも有数の透明度を誇っていることで有名であるが、これは、地下深くに潜り込んだ沢の水が、地底湖で湧出するためである。良質の腐植土によって濾過され、また、地中の石灰質を多く溶かし込んでいるので、味がしっかりとしたものとなっている。
近くには日本洞穴学研究所がある。最近では、同じ岩泉町内の安家洞が日本で最長の洞窟であるとされ、龍泉洞はそれほど注目されていないが、その美しさゆえにデート・スポットとして、関東や近隣の都市から自動車で多くの男女がやってくる。
歴史
- 1938年(昭和13年)12月14日:「岩泉湧窟及びコウモリ」名義で日本国の天然記念物に指定される[4]。
- 1967年(昭和42年):龍泉新洞が発見される。
- 1968年(昭和43年)12月:洞窟探検家による死亡事故が発生。
- 1981年(昭和56年):NHK特集『竜泉洞探検』で採り上げられる(撮影は須賀次郎による)。
- 1985年(昭和60年)3月:環境庁(現・環境省)による「名水百選」に選定される。
- 1998年(平成10年):安家洞のテレビ番組前に潜水撮影(第1地底湖)。
- 2007年(平成19年)5月:「日本の地質百選」に選定される。
- 2011年(平成23年)3月11日:東北地方太平洋沖地震が発生し、揺さぶられた地底湖は沈殿物が浮き上がって透明度が一時的に失われたが、構造物への被害は確認されず、4月27日、透明度も回復しつつあるとして観光施設は営業を再開した[5]。
- 2016年(平成28年)9月2日:台風10号の影響で地底湖が増水し、数日に渡り入口から大量の水があふれ出た。照明や通路が被害を受けた[6]。2017年(平成29年)3月19日、営業再開[7]。
所在地
アクセス
脚注
- ↑ cf. 洞窟#日本の大洞窟
- ↑ cf. 洞窟#高低差ランキング
出典
- ↑ 龍泉洞地底湖の水 - 名水百選 - 環境省
- ↑ 龍泉洞内マップ - 龍泉洞公式ウェブサイト
- ↑ 3.0 3.1 龍泉洞新洞科学館内マップ - 龍泉洞公式ウェブサイト
- ↑ 4.0 4.1 4.2 国指定文化財データベース
- ↑ “岩手の「元気な龍泉洞」PR リニューアル、27日再開”. さきがけ on The Web (秋田魁新報社). (2011年4月21日) . 2011閲覧.
- ↑ “被災した龍泉洞の内部を初公開 照明などが破損 岩手”. 朝日新聞. (2016年9月12日) . 2016閲覧.
- ↑ “龍泉洞が半年ぶり営業再開 岩泉、台風被害から復活”. 岩手日報 Web News (岩手日報社). (2017年3月20日) . 2017閲覧.
参考文献
関連事項
外部リンク
- “龍泉洞”. (公式サイト). 岩泉町. . 2011閲覧.
- “国指定文化財データベース”. (公式ウェブサイト). 文化庁. . 2011閲覧.
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