韓国の医療
韓国の医療(Health care in Korea)は、単一支払者制度によるユニバーサルヘルスケアが実現されており、保険者は国民健康保険公団である[2]。
韓国人の平均寿命は81.1歳であり、OECD平均を1歳ほど上回っている[3]。GDPに占める保健支出は7.4%[4] 、公費負担率は57%であった[1]。人口千人あたり医師数は2.0人[1]であった。自らを健康と考える人は少なく、OECD中で下から2位であった(日本は最下位)[5]。
韓国社会は少子化が進んでおり、2014年の1000人あたり出生率は8.26人、これは世界で5番目の低さであった(日本は下から3番目)[6][2]。
医療制度
韓国は1988年に社会保険組合方式のユニバーサルヘルスケアが整備された[2]。その後2000年に各保険者は統合され、国民健康保険公団(National Health Insurance Corporation、NHIC)が引き受ける単一支払者制度となった[2]。財源は保険料であり、加えて一般税収も投入されている[2]。また2008年からは介護保険制度が開始され、財源は保険料と国庫であり、保険者は国民健康保険公団である[2]。
実際の保険料は、地域保険では2011年平均で世帯あたり月額6万2103ウォン(4784円)ほど[7]。低所得者向けの医療給付(公的扶助)も存在する[2]。
医療情報化も進んでおり、診療報酬請求はEDI化されている[8]。またレセプトは健康保険審査評価院(Health Insurance Review and Assessment Service、HIRA、건강보험심사평가원)により電子的に審査される[2][9]。。
韓国のITを活用した医薬品効用レビュー制度は、OECD中で最も広範囲なシステムであると評価されており[9]、このシステムにより各個人の処方について、既存の処方薬との衝突の有無をチェックされる[9]。
医療の質については、National Evidencebased Health Care Collaborating Agency (NECA)が存在するが、その影響力は限られている[9]。
課題
日本と同様に過剰診療、病床過多と社会的入院が指摘されている。人口一人あたりの受診回数はOECDで最多、人口あたり病床数は日本に次いで2位、平均入院日数は日本に次いで2位であった。また自殺率の高さも指摘され、OECDで1位であった[10]。
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OECD諸国の人口あたり医師数(横軸)と一人あたり年間受診回数(縦軸)[11]
- Oecd-hospitalbeds.svg
OECD諸国の人口あたりベット数(機能別)[12]
脚注
- ↑ 1.0 1.1 1.2 1.3 OECD 2013, Chapt.7.6.
- ↑ 2.0 2.1 2.2 2.3 2.4 2.5 2.6 2.7 海外情勢報告 2013.
- ↑ OECD 2013, p. 24.
- ↑ OECD 2013, Chapt.7.2.
- ↑ OECD 2013, Chapt.1.9.
- ↑ The World Fact book (Report). CIA. (2014) .
- ↑ 「高齢者を特別扱いしない医療保険 韓国の社会保障制度を分析する――その2「医療保険制度」」、『日経ビジネス』2011年7月25日。
- ↑ 米山正敏「【書評】井伊雅子編『アジアの医療保障制度』」、『海外社会保障研究』第172巻。
- ↑ 9.0 9.1 9.2 9.3 OECD 2012, Assessment and Recommendations.
- ↑ OECD 2013, p. 35.
- ↑ OECD 2013, Chapt.4.1.
- ↑ OECD 2013, Chapt.4.3.
参考文献
- Health at a Glance 2013 (Report). OECD. (2013-11-21). doi:10.1787/health_glance-2013-en.
- OECD Reviews of Health Care Quality: Korea 2012 - Raising Standards, OECD, (2012-03), ISBN 9789264173446
- 「海外情勢報告」、厚生労働省、2013年。
関連項目
外部リンク
- BetterLife Index Korea - OECD