「陶磁器」の版間の差分

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[[ファイル:NINSEI Wisteria TeaJar MOA.JPG|thumb|[[野々村仁清]]『色絵藤花茶壺』([[国宝]])]]
 
[[ファイル:NINSEI Wisteria TeaJar MOA.JPG|thumb|[[野々村仁清]]『色絵藤花茶壺』([[国宝]])]]
'''陶磁器'''(とうじき、{{lang-en|pottery and porcelain}})は、[[セラミック]]の一種で、土を練り固め焼いて作ったものの総称。やきもの。
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'''陶磁器'''<br>
 
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(とうじき、{{lang-en|pottery and porcelain}}
陶磁器に使われる粘土には、加熱することで[[アルミニウム]]や[[カルシウム]]など他の物質と[[化合]]しガラス化する[[珪酸]]を主成分とする[[石英]]などが含まれる。成形後に加熱することで、土粒子の間に溶けて流体となったガラスが入り込み、冷めると固体化し土粒子同士をくっつける。『古陶磁の科学』の著者[[内藤匡]]は、この過程を[[おこし]]に喩えている。おおまかに言えば、陶器と磁器の違いはこのガラスになる成分と量の違いである<ref>竹内順一 監修『やきもの 見方・見分け方百科』主婦と生活社、1996年。ISBN 439160597X、p.170</ref>。
 
 
 
== 分類 ==
 
陶磁器は[[釉薬]]の有無および[[焼成]]温度で以下のように大別される。
 
 
 
=== 土器 ===
 
[[File:Jomon Vessel with Flame-like Ornamentation, attributed provenance Umataka, Nagaoka-shi, Niigata, Jomon period, 3000-2000 BC - Tokyo National Museum - DSC05620.JPG|thumb|[[縄文土器]]]]
 
{{main|土器}}
 
素焼きのやきもの。[[窯]]を使わず、[[粘土]]を[[野焼き (土器)|野焼き]]の状態で700~900[[セルシウス度|℃]]の温度で焼いたもの。[[釉薬]]('''うわぐすり'''、または'''ゆうやく''')はかけないが、彩色されているものを「土器」と呼ぶことがあり、その場合は、その彩色具を釉薬としないことを前提としている。歴史的には陶磁器の前身にあたる。
 
 
 
=== 炻器 ===
 
{{main|炻器}}
 
[[画像:ShigarakiYaki.jpg|thumb|信楽焼]]
 
'''せっき'''と読む。「炻」は[[国字]](日本で考案された漢字)。英語の"Stoneware"の訳語である。[[窯]]を使い、焼成温度は1200~1300℃。土器と陶器の中間的性質を示すもので、釉薬の有無にかかわらず、透光性・吸水性ともにないものを指す。[[ウェッジウッド]]の「[[ジャスパーウェア]]」、ブラックバサルト、ロッソアンティコなどの「ストーンウェア」も炻器である。
 
 
 
炻器の原語である"Stoneware"は西洋陶磁の用語であり、中国、日本などの東洋陶磁の分類概念とは必ずしも一致しない。たとえば、"Celadon"と呼ばれる青色の焼き物は、日本・中国では青磁(青瓷)と言い、磁器に分類されるが、欧米では"Stoneware"の一種とみなされる。日本の陶磁研究者や陶芸作家には「炻器」という概念を立てる者と立てない者がいる。<ref>矢部良明編『角川日本陶磁大辞典』(角川書店、2002)の「炻器」の項による。</ref>
 
 
 
日本では、[[古墳時代]]に[[朝鮮半島]]からもたらされた[[登り窯|窖窯(あながま)]]を用いて焼成する[[須恵器]]が起源。[[備前焼]]や[[常滑焼]]などが炻器に分類される場合がある。ただし常滑、[[萬古焼]]の朱泥、紫泥は別系統で中国の[[宜興]]窯の紫砂陶器が元である。
 
 
 
これらの焼き物は「焼き締め」ともいい、釉薬はかけないが焼成において自然釉がかかるものがある。また焼成において火襷(ひだすき)、牡丹餅などの模様が偶然(ときとして作為的)に現れることがある。原料に[[珪酸]]、[[鉄]]を多く含んでいるため、赤褐色か黒褐色をしている。軽く打つと澄んだ音がする。吸水性はほとんどない。
 
 
 
=== 陶器 ===
 
[[image:Kenzan teabowl Yuhgao.JPG|thumb|[[尾形乾山|乾山]]の茶碗]]
 
[[カオリナイト]](カオリン)や[[モンモリロナイト]]を多く含んだ粘土を原料とし、窯で1100~1300℃の温度で焼いたもの。釉薬を用いる。透光性はないが、吸水性がある。厚手で重く、叩いたときの音も鈍い。[[粗陶器]]と[[精陶器]]に分けられる。
 
 
 
日本では、古代に[[愛知県]]の[[猿投窯]]で国内初の人工施釉陶器([[灰釉陶器]])が生産されたことから始まり、[[瀬戸焼]]、[[伊賀焼]]や[[大谷焼]]などが知られる。
 
 
 
ヨーロッパでは[[マヨリカ]]とそれから発展した[[ファイアンス]]陶器、ウェッジウッドのクリームウェア、クイーンズウェア等硬質陶器、ハフナー陶器などで知られている。
 
 
 
=== 磁器 ===
 
[[ファイル:Large_Dish_of_SomeTukeHanaKagoMon(1873_ViennaWorldExpo).jpg|thumb|(磁器)写真は、[[ウィーン万国博覧会|1873年の万博]]に、出品されたもの]]
 
[[ファイル:Tensuisara Enujyo.jpg|thumb|瀬戸物57万枚を使用した天水皿([[愛知万博]]瀬戸会場で展示)]]
 
{{main|磁器}}
 
[[磁器]]は半透光性で、吸水性が殆どない。また、陶磁器の中では最も硬く、軽く弾くと金属音がする。粘土質物や[[石英]]、[[長石]]→陶土を原料として1300℃程度で焼成するが、焼成温度や原料によって[[軟質磁器]]と[[硬質磁器]]に分けられる。また、石英の一部を[[酸化アルミニウム]]に置換し、強度を高めた磁器も開発されているが、こちらには透光性が殆どない。
 
 
 
日本の主な磁器として肥前磁器([[伊万里焼]])や[[九谷焼]]などがある。英語では、産地名をつけた場合は、陶磁器共通に '' (産地名)+ware '' と言うが、磁器自体を指す場合は、 '' porcelain '' という。単に '' china '' ということもある。
 
 
 
== 日本の陶磁器生産 ==
 
[[畿内]]より東では'''瀬戸物'''(せともの)と呼ばれ、[[中国地方|中国]]、[[四国]]以西では'''唐津物'''(からつもの)とも呼ばれる。焼き方や用途や生産地などから数多く分類される。
 
[[岐阜県]][[土岐市]]が生産量日本一である。
 
 
 
=== 日本の主な陶磁器産地 ===
 
{{main|日本の陶磁器産地一覧}}
 
* 東北地方
 
** [[北海道]] - [[流氷焼]]
 
** [[岩手県]] - [[小久慈焼]]
 
** [[宮城県]] - [[堤焼]]
 
** [[秋田県]] - [[楢岡焼]]
 
** [[山形県]] - [[平清水焼]]
 
** [[福島県]] - [[会津本郷焼]]、[[大堀相馬焼]]
 
* 関東地方
 
** [[茨城県]] - [[笠間焼]]
 
** [[栃木県]] - [[益子焼]]、[[小砂焼]]
 
* 中部地方
 
** [[新潟県]] - [[無名異焼]]
 
** [[長野県]] - [[高遠焼]]
 
** [[石川県]] - [[九谷焼]]、[[大樋焼]]、[[珠洲焼]]
 
** [[福井県]] - [[越前焼]]([[六古窯]]の一つ)
 
** [[岐阜県]] - [[美濃焼]](日本の陶磁器生産シェア50%以上)
 
** [[静岡県]] - [[志戸呂焼]]([[遠州七窯]]の一つ)
 
** [[愛知県]] - [[瀬戸焼]](六古窯の一つ。瀬戸物の名の元となった地名)、[[常滑焼]](六古窯の一つ)
 
* 近畿地方
 
** [[三重県]] - [[萬古焼]]、[[伊賀焼]]
 
** [[滋賀県]] - [[信楽焼]](六古窯の一つ)、[[膳所焼]](遠州七窯の一つ)、[[湖南焼]]([[滋賀県]])(大津市[[円満院]]の[[御庭窯]]、保全最後の窯として知られる)
 
** [[京都府]] - [[京焼]]、[[楽焼]](京都府)、[[清水焼]](京都府)、[[朝日焼]](遠州七窯の一つ)、[[御室焼]](京都府)
 
** [[兵庫県]] - [[丹波立杭焼]](六古窯の一つ)、[[明石焼]]、[[出石焼]]
 
** [[奈良県]] - [[赤膚焼]](遠州七窯の一つ)
 
* 中国地方
 
** [[島根県]] - [[布志名焼]]
 
** [[岡山県]] - [[備前焼]](六古窯の一つ)、[[虫明焼]]
 
** [[山口県]] - [[萩焼]]
 
* 四国地方
 
** [[徳島県]] - [[大谷焼]]
 
** [[愛媛県]] - [[砥部焼]] 、 [[江山焼]]
 
* 九州地方
 
** [[福岡県]] - [[上野焼]](遠州七窯の一つ)、[[小石原焼]]、[[高取焼]](遠州七窯の一つ)
 
** [[佐賀県]] - [[唐津焼]](唐津物の名の元となった地名)、[[有田焼]]([[伊万里市|伊万里]]、[[有田町|有田]]を中心に焼かれた肥前磁器の総称。[[九谷焼|古九谷]]様式、[[酒井田柿右衛門|柿右衛門]]様式、[[鍋島焼|鍋島]]などを含む)
 
** [[嬉野市]] - [[吉田焼]]
 
** [[長崎県]] - [[波佐見焼]]、[[三川内焼]](平戸焼)
 
** [[熊本県]] - [[小代焼]](小岱焼)
 
** [[大分県]] - [[小鹿田焼]]
 
** [[鹿児島県]] - [[薩摩焼]]
 
** [[沖縄県]] - [[壺屋焼]]
 
 
 
=== 日本の主な陶磁器企業若しくはブランド ===
 
* [[鳴海製陶|ナルミ]] - [[名古屋市]](本社)
 
* [[ノリタケカンパニーリミテド|ノリタケ]] - 名古屋市(本社)
 
* [[大倉陶園]] - [[横浜市]](本社)
 
* [[三郷陶器]] - [[愛知県]][[尾張旭市]](本社)
 
* [[ニッコー (洋食器)|ニッコー]] - [[石川県]][[白山市]](本社)
 
* [[たち吉]] - [[京都市]](本社)
 
* [[香蘭社]] - [[佐賀県]][[西松浦郡]][[有田町]](本社)
 
* [[深川製磁]] - 佐賀県西松浦郡有田町(本社)
 
* [[白山陶器]] - [[長崎県]][[東彼杵郡]][[波佐見町]](本社)
 
* [[ブルーダニューブ]]
 
* [[アイトー]] - [[東京都]][[品川区]](本社)
 
 
 
== アジア、ヨーロッパ、アメリカの主な陶磁器産地とブランド ==
 
{{main|陶磁器産地一覧}}
 
 
 
== 陶磁器の公募展 ==
 
*[[出石磁器トリエンナーレ]]
 
 
 
== 関連項目 ==
 
{{Commons|Category:Porcelain|陶磁器}}
 
* [[陶磁ネットワーク会議]] - [[2008年]](平成20年)に発足した日本の陶磁専門公立博物館で構成される組織<ref>[http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.910746.article.html 陶磁ネットワーク発足 全国の6館連携-佐賀新聞ニュース/The Saga Shimbun 佐賀のニュース]</ref>。
 
* [[陶芸]]
 
* [[陶芸家]]
 
* [[焼き物]]
 
* [[素焼き]]
 
* [[琺瑯]]
 
* [[貿易陶磁]]
 
* [[セラミック顔料]]
 
* [[漆器]]
 
* [[三杉隆敏]]
 
* [[金継ぎ]]
 
* [[コンニャク版]]
 
* [[粘土鉱物]]
 
* [[中国の陶磁器]]
 
  
== 脚注 ==
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粘土類,ケイ石類,長石類などを原料に成形,焼成した器物。原料組成,焼成温度,焼成時間などによって土器,陶器,炻器 (せっき) ,半磁器,軟質磁器,硬質磁器などと区分しているが,その境界は必ずしも明確ではない。陶器は素地が多孔性のため吸水性を示すのに対して,磁器は気孔がほとんどなく,あっても独立しているために吸水性を示さない。
{{Reflist}}
 
  
 
==外部リンク ==
 
==外部リンク ==
*[http://www.moco.or.jp/intro/history_c.html 陶磁の歴史、中国陶磁の視点](大阪市立東洋陶磁美術館)
+
{{テンプレート:20180815sk}}
*[http://www.ceramic.or.jp/museum/yakimono/ 日本のやきもの](公益社団法人日本セラミックス協会)
 
{{Authority control}}
 
  
 
{{DEFAULTSORT:とうしき}}
 
{{DEFAULTSORT:とうしき}}
 
[[Category:陶芸]]
 
[[Category:陶芸]]
 
[[Category:材料別の道具]]
 
[[Category:材料別の道具]]

2018/8/31/ (金) 21:10時点における最新版

野々村仁清『色絵藤花茶壺』(国宝

陶磁器
(とうじき、英語: pottery and porcelain

粘土類,ケイ石類,長石類などを原料に成形,焼成した器物。原料組成,焼成温度,焼成時間などによって土器,陶器,炻器 (せっき) ,半磁器,軟質磁器,硬質磁器などと区分しているが,その境界は必ずしも明確ではない。陶器は素地が多孔性のため吸水性を示すのに対して,磁器は気孔がほとんどなく,あっても独立しているために吸水性を示さない。

外部リンク



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