「謝肉祭」の版間の差分

提供: miniwiki
移動先:案内検索
(1版 をインポートしました)
 
1行目: 1行目:
{{Otheruses}}
 
[[ファイル:Venezia carnevale 8.jpg|thumb|right|250px|[[仮面舞踏会]]のマスク姿のヴェネツィアのカーニバル]]
 
[[File:Carnival-Wolfach.jpg|right|thumb|250px|ドイツのヴォルファッハのカーニバルで、仮面をつけた人々]]
 
[[File:Reina carnaval.jpg|thumbnail|250px|[[サンタ・クルス・デ・テネリフェのカーニバル]]]]
 
'''謝肉祭'''(しゃにくさい、'''カーニバル''')は、もともと[[カトリック教会|カトリック]]など[[西方教会]]の文化圏で見られる通俗的な節期で、[[四旬節]]の前に行われる。[[仮装行列|仮装]]した[[パレード]]が行なわれたり、[[菓子]]や[[花]]を投げる[[行事]]などが行なわれてきたことから、現代では[[宗教]]的な背景のない単なる[[祝祭]]をも[[カーニバル]]と称することが少なくない。
 
  
== 名称と起源 ==
+
'''謝肉祭'''(しゃにくさい、'''カーニバル''')
謝肉祭は、各国で次のように呼ばれる。
 
* [[英語]]ではカーニヴァル (Carnival)
 
* [[ドイツ語]]ではカーネヴァル (Karneval)、ファシング (Fasching)、ファストナハト (Fastnacht)
 
* [[オランダ語]]ではカーナヴァル (carnaval)、ヴァステンアーヴォンド (Vastenavond)
 
* [[スペイン語]]ではカルナバル (carnaval)
 
* [[イタリア語]]ではカルネヴァーレ ([[:it:carnevale|carnevale]])
 
* [[フランス語]]ではカルナヴァル (carnaval)
 
* [[ポルトガル語]]ではカルナヴァウ (carnaval)
 
* [[ハンガリー語]]ではファルシャング (farsang)
 
* [[ポーランド語]]ではカルナヴァウ (Karnawał)
 
* [[アイスランド語]]ではキョトクエズユハウティド (kjötkveðjuhátíð)
 
* [[スロベニア語]]ではプスト(pust)
 
日本語でも「カーニバル」が使われることはあるが、多くは謝肉祭ではなく華やかなパレードの方のみを指して用いる。
 
  
カーニバルの語源は、俗ラテン語 carnem(肉を)levare(取り除く)に由来する。元々は四旬節が始まる灰の水曜日の前夜に開かれた、肉に別れを告げる宴のことを指した<ref>Manlio Cortelazzo e Paolo Zolli : "Dizionario etimologico della lingua italiana 1/A-C", Zanichelli, 1998, p.208</ref>。ドイツ語のファストナハトなどもここに由来し、「断食の前夜」の意で、四旬節の断食([[大斎_(カトリック教会)|大斎]])の前に行われる祭りであることを意味する<ref>Oswald A.Erich & Richard Beitl : "Woerterbuch der Deutschen Volkskunde" 43.Aufl. Stuttgart 1974. "Fasnacht"の記事、p.201</ref>。
+
[[カトリック]]を信仰する諸国で,[[復活祭]]に先立つ 40日間の[[四旬節]]の前,3日ないし 1週間にわたって催される民俗的な祭り。謝肉祭とも呼ばれる。語源は中世ラテン語の carnem levareもしくは carnelevarium(ともに「肉を取り除く」の意)とみられる。起源は古代ローマ時代の農神祭と考えられ,キリスト教徒によって継承された。かつては 12月25日から始まり,新年の祭りと十二日祭とを含んでいたものが,ヨーロッパ南部ではカーニバルとなり,北部では[[キリスト降誕祭]](クリスマス)となった。カーニバルは,断食と苦行が義務となる四旬節の前に肉を食べて遊び楽しむことを目的とし,行事としては仮面をつけたり張り子の偶像を伴ったりする[[パレード]]などが一般的である。大衆的な歌や演劇,[[民俗舞踊]]の発展に重要な役割を果たしてきた。今日ではイタリアの[[ベネチア]],フランスの[[ニース]],ドイツの[[ケルン]],ブラジルの[[リオデジャネイロ]]のものなどが世界的に名高い。
  
別の説には、謝肉祭は古い[[ゲルマン人]]の春の到来を喜ぶ祭りに由来し、[[キリスト教]]の中に入って、一週間教会の内外で羽目を外した祝祭を繰り返し、その最後に自分たちの狼藉ぶりの責任を大きな藁人形に転嫁して、それを火あぶりにして祭りは閉幕するというのがその原初的なかたちであったという<ref>Wilhelm Kutter : "Schwaebisch alemannische Fasnacht" Salzburg 1976, p.8-19</ref>。カーニバルの語源は、この農耕祭で船を仮装した山車''carrus navalis''(車・船の意)を由来とする説もあるが、断食の前という意味の方が古いという研究者もいる。
 
 
長さは地域により異なるが、多くは1週間である。最終日はほとんどの場合火曜日([[灰の水曜日]]の前日)であり、一部の地域では、この火曜日を[[マルディグラ]](肥沃な火曜日)、シュロブ・チューズデー(告悔火曜日)、[[パンケーキ・デイ]]などといい、[[パンケーキ]]を食べる習慣がある。これは、四旬節に入る前に卵を残さないために生じた習慣でもある。シュロブ・チューズデーの名は、かつて謝肉祭最終日すなわち灰の水曜日前日に、みなが告悔を行う習慣があったことに由来する。
 
 
現在はその起源である宗教的な姿を留めず単なる[[年中行事]]や[[観光]]行事になっている地域も多い。とくに、[[リオデジャネイロ]]のカーニバル([[リオのカーニバル]])における[[サンバ (ブラジル)|サンバ]]・パレードからの連想で、[[ロンドン]]の[[ノッティング・ヒル]]・カーニバルや、[[東京]]の[[浅草サンバカーニバル]]のように、四旬節とは全くことなる時期に開催される単なるサンバ・パレードをカーニバルと称することも少なくない。
 
 
== 謝肉祭に関する考察 ==
 
謝肉祭に関して、各界の研究者から以下の様な論が表されている。
 
*[[ジェームズ・フレイザー]]は『[[金枝篇]]』の中で、[[懺悔の火曜日]]や[[灰の水曜日]]に謝肉祭[[人形]]が焚殺される理由について、古代[[イタリア]]で行われた樹木の[[精霊]]の受肉者である[[ネーミ]]の司祭殺害の儀式と同じく、春の始まりに謝肉祭の擬似人格である人形を殺し、復活・再生後の[[豊穣]]を約束してもらう儀礼的意味があると考えた<ref name="Kuroda">[[黒田悦子]]『スペインの民俗文化』<平凡社選書> 平凡社 1992年 第2刷、ISBN 4582841406 pp.203-204.</ref>。
 
*[[エドマンド・リーチ]]は[[エミール・デュルケーム]]の『聖俗論』を下敷きに、都市部の謝肉祭における仮面舞踏会のような乱痴気騒ぎは、正常な社会生活に対する社会的[[役割]]を転倒させた[[パフォーマンス]]であるとし、俗から聖への移行を象徴的に表現したものと考えた<ref name="Kuroda"/>。
 
*[[ヴィクター・ターナー]]はリーチの論を承け、謝肉祭を「地位転倒の儀礼」と呼んだ。謝肉祭は集団や社会が自らを見つめなおす時であり、社会全体で反省する作用を持っていたが、その効力は[[資本主義]]の発達とともに薄れていったと説いた<ref name="Kuroda"/>。
 
 
== 世界各地のカーニバル ==
 
[[File:Venezia flickr08.jpg|thumb|right|250px|[[仮面舞踏会]]のマスク姿のヴェネツィアのカーニバル]]
 
[[ファイル:Caribbean pink dancer.jpg|thumb|right|250px|[[サンフランシスコ]]のカーニバルでのカリビアンスタイルのダンサー。]]
 
 
=== ドイツのカーニバル ===
 
[[ドイツ]]では、主に[[ラインラント]]から[[バイエルン州|バイエルン]]、アウガウなどカトリックの多い地域で行われ、「アラーフ!」(ケルン)、「ヘラウ!」(デュッセルドルフ)等独特の[[挨拶]]を交わし、仮装して祝う。地方により、謝肉祭は、ファシング、ファスナハトなど呼び方が異なる。薔薇の月曜日(Rosenmontag)には、[[ケルン]]・[[デュッセルドルフ]]・[[マインツ]]・[[アーヘン]]・[[ボン]]で薔薇の月曜日の行列(Rosenmontagsumzug)が繰り出し、「カメレ」という叫び声をあげる人々に向けて菓子を投げる。
 
 
=== 代表的なカーニバル ===
 
他に、世界各地に以下の通りカーニバルで有名な町が存在する。
 
* [[バンシュ]] ([[ベルギー]]、ユネスコの世界遺産に登録されたカーニバル)
 
* [[マーストリヒト]] ([[オランダ]])
 
* [[デン・ボス]] ([[オランダ]]、オランダで最古)
 
* [[サンタ・クルス・デ・テネリフェ]] ([[スペイン]])
 
* ランツ ([[スペイン]]) - '''[[ミエル・オチン]]'''を参照
 
* [[ケルン]] ([[ドイツ]])
 
* [[ヴェネツィア]] ([[イタリア]]) - '''[[ヴェネツィア・カーニバル]]'''を参照
 
* [[ニース]] ([[フランス]])
 
* [[バーゼル]] ([[スイス]])
 
* [[ノッティング・ヒル]] ([[イギリス]])
 
* [[リオデジャネイロ]] ([[ブラジル]]) - '''[[リオのカーニバル]]'''を参照
 
* [[サルバドール]] ([[ブラジル]])
 
* [[オルロ]] ([[ボリビア]]) - '''[[オルロ#オルロのカーニバル|オルロのカーニバル]]'''を参照
 
* [[ウマウアカ]] ([[アルゼンチン]]、[[ウマウアケーニョ]]で有名)
 
* [[モンテビデオ]] ([[ウルグアイ]]、南米で一番期間が長い) - '''{{仮リンク|ウルグアイ・カーニバル|es|Carnaval en Uruguay|pt|Carnaval do Uruguai|en|Uruguayan Carnival}}'''を参照
 
* [[ポートオブスペイン]]([[トリニダード・トバゴ]])- '''[[トリニダード・カーニバル]]'''を参照
 
* [[ニューオーリンズ]] ([[アメリカ合衆国]]) - '''[[ニューオーリンズ・マルディグラ]]'''を参照
 
* [[ケベック・シティー]] ([[カナダ]]) - '''[[ケベック・ウィンター・カーニバル]]'''を参照
 
* [[浅草]]([[日本]]) - '''[[浅草サンバカーニバル]]'''を参照
 
* [[イヴレア]]([[イタリア]])- {{仮リンク|オレンジ合戦|it|battaglia delle arance|en|Battle of the Oranges}}で有名
 
 
== 脚注 ==
 
{{Reflist|2}}
 
 
== 関連項目 ==
 
{{Commonscat|Carnivals|カーニバル}}
 
* [[ディアブラーダ]]
 
* [[スティールパン]]
 
 
== 外部リンク ==
 
* [http://www.carnavalvillarrobledo.com/ Carnival in Villarrobledo, Spain]
 
* [http://www.asakusa-samba.org/ 浅草サンバカーニバル]
 
  
 
{{DEFAULTSORT:しやにくさい}}
 
{{DEFAULTSORT:しやにくさい}}

2019/4/23/ (火) 10:12時点における最新版

謝肉祭(しゃにくさい、カーニバル

カトリックを信仰する諸国で,復活祭に先立つ 40日間の四旬節の前,3日ないし 1週間にわたって催される民俗的な祭り。謝肉祭とも呼ばれる。語源は中世ラテン語の carnem levareもしくは carnelevarium(ともに「肉を取り除く」の意)とみられる。起源は古代ローマ時代の農神祭と考えられ,キリスト教徒によって継承された。かつては 12月25日から始まり,新年の祭りと十二日祭とを含んでいたものが,ヨーロッパ南部ではカーニバルとなり,北部ではキリスト降誕祭(クリスマス)となった。カーニバルは,断食と苦行が義務となる四旬節の前に肉を食べて遊び楽しむことを目的とし,行事としては仮面をつけたり張り子の偶像を伴ったりするパレードなどが一般的である。大衆的な歌や演劇,民俗舞踊の発展に重要な役割を果たしてきた。今日ではイタリアのベネチア,フランスのニース,ドイツのケルン,ブラジルのリオデジャネイロのものなどが世界的に名高い。