視線誘導施設

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視線誘導施設(しせんゆうどうしせつ)とは、道路の側方や中央などに沿って、路端や道路線形などを明示し、昼夜間における車両運転者の視線誘導を行うために設置する施設の総称である。また積雪地帯では、除雪作業の目印としての役割も果たすものもある。

種類と概要

ファイル:Delineator.jpg
デリネーター
視線誘導標(デリネーター、デリニエーター、: delineator
道路の側面に設置して、路側の表示をするもの。道路左側と道路右側の誘導標の反射体が違う色で光るようになっていて、先方の道がどちらに曲がっているかの判断が付くようになっている。
支柱の先の反射体には使用する場所によって使い分けられることが多い。一般的に円形又は正方形の反射体が取り付けられており、反射体が縦に2個付いているものや支柱自体が夜に光るものもある。粉塵の多い場所では、防塵用のファンが取り付けられているものもある。また設置環境によっては自発光式のものもある。
高速道路では50m間隔で設置されており車間距離の確認などにも利用される。
積雪地域ではスノーポール兼用デリネーターが取り付けられることが多い。このデリネーターは伸縮式になっており、伸ばすと通常の約2倍の長さになり、伸縮部が赤白の縞柄になっている。冬季のみ伸ばすことでスノーポールの役割を担う。
ガードレールにシート状のものを貼り付けた軽易な形式のものもある。
視線誘導樹
路側や中央分離帯に連続的に樹木を植えたものをいう。防砂林防雪林などとしても効果を発揮し、また特に雪景色を背景にした場合(光る視線誘導標よりも黒く見える木のほうが)視認性が高いメリットもあるが、極寒地にあっては日陰をつくるなどして路面凍結をおこし、しばしば交通事故を誘発することがある。一部の地域では間伐材を植えているところもある。
ファイル:Kōnomai02.JPG
ポールの部分が固定式視線誘導柱、赤白の下向き矢印が視線誘導標(北海道道305号紋別丸瀬布線
スノーポール
積雪の多い地域で道路の路肩に立てた背の高い標識柱で、デリネーターを兼用しているものが多い(前述)。特に積雪の多い地方では、Γ字型をした電柱並みの高い支柱に空中から矢羽根で路肩の位置を示しているオーバーハング式もある。この場合、軽易なスノーポールと区別し、固定式視線誘導柱と呼称される場合がある。北海道に特に多く、固定式視線誘導柱が並ぶ光景は北海道の沿道風景の代名詞とされることもある。
一般道用固定式視線誘導柱は主に赤白の矢羽根に赤色の高輝度LED、もしくは黄黒の矢羽根に黄色の高輝度LEDが多く用いられている。支柱1本ごとに独立した太陽電池パネルと蓄電池を持ち、発光用電力をまかなう。また発光の点滅間隔は微弱無線により近隣の支柱と同期をとり、一斉に同じ点滅を行うことにより運転者が困惑しないよう配慮されている。高速道用では路肩側が緑色、中央分離帯側が黄色の燈火が多く、点滅のない常時点灯で、LEDのみならず電球式も多い。高速道用は好天時には点灯せず、路面状況や視界不良に起因する速度規制が行われた場合に点灯することが多い。
この固定式視線誘導柱は、道路管理者発注による除雪業者の除雪作業のための目印となるほか、運転者にとっても地吹雪などで水平より下方の視界が効かない場合でも上方のスノーポールは辛うじて視認できることが多いため、視界不良時の道標として高い効果を発揮している。
ロードパイプ
車道と歩道を区分しているスチール製の標柱で、夜間には反射で光るシートを貼り付けてあることが多い。ポール同士をチェーンで結んでいるものも多い。
曲線部誘導標(シェブロンマーカー、カーブマーカー、カーブプレート、アローサイン、ロードスター)
特に急なカーブの外側路肩に設置されて、白地に赤、もしくは黄色地に黒でカーブの方向を示す>あるいは<などのマークが記された標識。夜間は反射光で光るタイプや電球や発光ダイオード(LED)を使用し点滅するタイプがある。
ファイル:ObihiroHirooExpwy.jpg
ラバーポールを設置した中央線
車線分離標(ラバーポール
ゼブラゾーンの境界や中央線などに設置されている柱状の物体で、一般にラバー製で自動車が誤って接触したり衝突しても自然に倒れて自分で起きあがるよう(自立式)になっている。
各社の商標が半ば普通名詞的に使用されていることも多い。NOKの「ポストコーン」、太陽企画販売の「イーポスト」、積水樹脂の「ポールコーン」、東洋ゴムの「ガードコーン」、保安道路企画の「ポストフレックス」などである。デリネーターでもこの仕様の支柱の先端に反射体が付いているものもある。
ファイル:Cushion-drum.jpg
クッションドラム
クッションドラム
車線数が変わる所、標識などの手前、待避所などと道路との境界などに安全保安用具として設置されることが多い。
形状は、樽型をした丸型と組み合わせて使われる角型がある。内部には、不凍液などを充填した水袋がクッションとして詰められており、衝突した場合の衝撃を和らげる効果がある。胴回りには、反射材などが使用されているのが一般的である。
道路鋲 (Raised pavement marker
センターラインなどの道路鋲(キャッツアイ (Cat's eye (road)チャッターバーなど)、縁石鋲(「キャットアイマーカー」など)、交差点鋲など。再帰反射板やLED自発光板などを持つ。

その他

  • 九州・沖縄・中国・四国・中部・関東地方では、急カーブ区間の路面に「↑(直進矢印)」を連続表記して減速を促す(「↑」に従って車両のハンドルを操作させる)視線誘導標示が峠道を中心に広く普及している(大半は減速ドットラインとセットで標記され、対向車線へはみ出しての正面衝突や逆走防止手段としても活用)。なお岩手県では(関東・中部・中国・四国・九州各管区警察局管内で実施されている「↑=直進矢印」連続表記の変形版として)左折矢印を3本連続表記して「左の急カーブあり」を知らせる標示が峠道を中心に普及している(右カーブでは右折と混同されないよう矢印標記はせず、減速ドットラインや「速度落とせ」・「カーブ注意」などの文字表記と「→(右向き矢印)」が書かれた視線誘導標識のみで対応)。

関連項目