藤原朝忠
藤原 朝忠（ふじわら の あさただ、延喜10年（910年） - 康保3年12月2日（967年1月15日））は、平安時代中期の公家・歌人。藤原北家、三条右大臣・藤原定方の五男。三十六歌仙の一人。官位は従三位・中納言。土御門中納言または堤中納言と号する。小倉百人一首では中納言朝忠。
経歴
延長4年（926年）従五位下に叙爵。侍従を経て延長8年（930年）朱雀天皇の即位に伴い五位蔵人となる。のち右兵衛佐・左近衛権少将・左近衛中将など武官を歴任する傍らで地方官を兼ねる。この間、天慶6年（943年）には従四位下に、天慶9年（946年）には村上天皇即位の大嘗会で悠紀方の和歌を詠んだ労により従四位上に昇叙されている。
天暦6年（952年）参議として公卿に列す。天暦10年（956年）讃岐守、天徳2年（958年）備中守。応和元年（961年）従三位に叙され、応和3年（963年）中納言に任じられた。議政官として右衛門督・検非違使別当を兼帯するが、康保2年（965年）10月頃以降中風により政務に就くことが困難となり、同年11月右衛門督などの兼務を辞任。翌康保3年12月2日（967年1月）没。享年58。最終官位は中納言従三位。
人物
歌人として『後撰和歌集』（4首）以下の勅撰和歌集に21首が入集[1]。家集に『朝忠集』がある。小倉百人一首の歌は『天徳内裏歌合』で六番中五勝した中の一首である。また、和歌のほかに笛や笙に秀でていた。『百人一首夕話』には、座るのも苦しいほどの肥満体で痩せるために水飯を食べるように医師に勧められたが、かえって太ったという逸話がある。しかし、これは『古今著聞集』や『宇治拾遺物語』にある「三条中納言水飯事」が出典と思われるが、そこで語られる三条中納言は藤原朝成のことであり、朝忠が肥満体であったというのは『百人一首夕話』の作者の勘違いであると思われる。
官位歴
以下、『公卿補任』に拠る。
- 延長2年2月1日（924年3月8日） 左近衛将監。（昇殿労）。
- 延長3年（925年） 東宮侍従。
- 延長4年正月7日（926年2月21日） 従五位下。（東宮御給）。
- 延長5年11月16日（927年12月12日） 侍従。
- 延長8年
- 延長9年3月13日（931年4月3日） 右兵衛佐。
- 承平5年2月23日（935年3月30日） 左近衛権少将。
- 承平6年
- 天慶4年
- 天慶6年
- 天慶9年
- 天暦5年正月30日（951年3月10日） 左近衛中将。
- 天暦7年
- 正月29日（953年2月15日） 兼備前守。参議如元。
- 天暦8年
- 正月25日（954年3月2日） 太宰大弐。参議如元。
- 3月（954年-月-日） 辞大弐。参議如元。
- 天暦10年
- 天徳元年12月25日（958年1月17日） 兼右衛門督。為検非違使別当。参議如元。
- 天徳2年正月30日（958年2月21日） 兼備中守。参議督別当如元。
- 天徳4年正月24日（960年2月23日） 兼伊予守。参議督別当如元。
- 応和元年12月2日（962年1月10日） 従三位。（造営賞）。
- 応和3年
- 辞伊予守。
- 9月4日（963年9月24日） 任中納言。督別当如元。
- 康保2年
- 10月（965年-月-日） 中風不従事。
- 11月8日（965年12月3日） 辞督別当。中納言如元。
- 康保3年12月2日（967年1月15日） 薨去。
系譜
娘藤原穆子は左大臣源雅信の正室となり、摂政藤原道長の正室となった源倫子を生んだ。つまり、関白藤原頼通は朝忠の曾孫、後一条・後朱雀の両天皇は朝忠の玄孫（孫の孫）にあたることになる。
脚注
| 軍職 | ||
|---|---|---|
| 先代： 藤原師氏 |
右衛門督 958 - 965 |
次代： 藤原朝成 |