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[[ファイル:Amerigo vespucci 1976 nyc aufgetakelt.jpg|thumb|300px|1976年の[[ニューヨーク港]]における[[イタリア]]の[[シップ (帆船)|シップ]]、[[w:Italian training ship Amerigo Vespucci|''アメリゴ・ヴェスプッチ'']]]]
 
'''船'''(ふね、舟、舩)とは、人や物をのせて[[水]]上を渡航(移動)する目的で作られた乗り物の総称である<ref name="k5">広辞苑 第五版 p.2354「ふね【船・舟・槽】」</ref>。
 
  
基本的には[[海]]、[[湖]]、[[川]]などの水上を移動する乗り物を指しているが、広い意味では水中を移動する[[潜水艇]]や[[潜水艦]]も含まれる。動力は人力・[[帆]]・[[原動機]]などにより得る。
+
'''船'''(ふね、舟、舩)
  
大和言葉、つまりひらがなやカタカナの「ふね」「フネ」は広範囲のものを指しており、規模や用途の違いに応じて「船・舟・槽・艦」などの漢字が使い分けられている。よりかしこまった総称では'''船舶'''(せんぱく)あるいは'''船艇'''(せんてい)などとも呼ばれる(→[[#呼称]]参照)。
+
人や貨物を水上輸送するために用いられる運搬具。日本では船,舶,舟,艇などの字が用いられるが,舶は大型船に,舟と艇は小型船に,船は大小を問わず一般的に用いられることが多い。構造上から,(1) 筏 (いかだ) ,(2) くり舟,(3) 皮舟,(4) 縫合せ船,(5) 外板を釘で結合した形を保つためにあとから骨組みを組込んだ船,(6) 最初に骨組みをつくってそれに外板を張った船,の6種に,使用目的からは (1) [[軍艦]],(2) [[商船]],(3) [[特殊船]]の3種に分類することができ,さらに材料上から[[木船]],[[木鉄交造船]],[[鉄船]],[[鋼船]],[[コンクリート船]]などに,推進方法によって櫓櫂船 (ろかいせん) ,[[帆船]],[[汽船]],[[モーター船]] (内燃機船) ,[[原子力船]]などにそれぞれ分類することができる。
  
水上を移動するための乗り物には、[[ホバークラフト]]のようにエアクッションや[[地面効果|表面効果]]を利用した船に近いものも存在する。また、[[水上機]]や[[飛行艇]]のように飛行機の機能と船の機能を組み合わせた乗り物も存在し、水上機のフロートや飛行艇の艇体は「浮舟」(うきぶね)と表現される。
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船として知られる最古のものは,前 6000年にエジプトの壁画に描かれた弓形の[[葦船]]で,前 4000年頃のエジプトでは筏や葦船の域を脱した形態の船がつくられていたことが知られている。初めは櫂で推進するだけであったが,やがて四角帆を備えて追い風を利用するようになった。前 1500年頃には,クレタ人とフェニキア人が軍艦と商船を使い分けるようになり,[[ガレー船]]と呼ばれる櫂で推進する細長い船が戦闘用に用いられた。前 700年頃のガレー船には上下2段の櫂が設けられていた。古代ギリシアにいたって,キール (竜骨) ,船首材,船尾材,フレームで骨組みをつくって外板を張る新しい造船術が確立した。ギリシア=ローマ時代には3段櫂のガレー船が導入され,速力が向上した。一方商船は,櫂のスペースを節約するため,推進力をますます帆に頼る設計になっていった。ローマの商船の帆は後方約 45度までの風を利用することに成功し,大いにその機動性を高めた。中世の地中海沿岸では,船体になめらかな外板が使われ,表面摩擦が著しく軽減できるようになった。これにより大型の商船をつくることが可能となり,大三角帆船が登場した。これは,帆桁の倒し方によって,三角帆のどちら側からも風を受けることができるため,四角帆と違って向い風でも進むことができた。一方バイキングは,船首と船尾が高く,厚板の頑丈な船体と,大きく丈夫で柔軟な一枚布の四角帆を備えた戦闘ガレー船を発展させた。
  
なお、[[宇宙船]]や[[飛行船]]などの水上以外を航行する比較的大型の乗り物も「ふね」「船」「シップ」などと呼ばれる。これらについては宇宙船、飛行船などの各記事を参照のこと。また舟に形状が似ているもの、例えば[[刺身]]を盛る浅めの[[容器]]<ref name="k5" />、[[セメント]]を混ぜるための容器(プラ舟)等々も、その形状から「舟」と呼ばれる<ref>さらに、[[オートバイ]]に取り付けられる[[サイドカー]](側車)等々もそう呼ばれる。</ref>。これらについても容器など、各記事を参照のこと。
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13世紀には,これを改良し商船化した小型船が地中海へ進出し,大三角帆船と交渉するようになった。やがて,両船の特徴をあわせもつ[[ガレオン船]]の前身となる大帆船が生れた。帆はより小さく効率的に改良され,四角帆と三角帆を組合せた古典的な形の艤装船の時代を迎え,商船と軍艦は再び同一の基本型をとるようになった。 14~17世紀のいわゆる大航海時代を迎えると船も飛躍的な進歩をみせ,15世紀中頃になって3檣 (しょう) 3帆の船が現れ,同世紀末には4本マストと8枚の帆を装備した船も現れている。 16世紀に入ると各国が競い合って多くの有名な船を建造,この間に構造や帆装にも多くの改善が施された。 19世紀なかば,帆船はその最盛期を迎え,流線型の快速船に姿を変えたが,19世紀末には蒸気船にほぼ取って代られた。
  
== 概要 ==
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蒸気船は,1801年イギリスの技師 W.サイミントンがスコットランドのフォース,クライド両運河で引き船として実用化したのに続いて,6年後アメリカの発明家 R.[[フルトン]]が,ハドソン川のニューヨーク-オールバニ間で操業を始めた。当初その4分の1は帆船を引く作業であったが,まもなく世界で初めての蒸気船の定期運航が開始された。蒸気船が本格的に帆船と競うにはさらに数年の技術的進歩を要したが,50年には帆船と同じ速度で航行できるようになり,海洋進出も果した。初期の蒸気船は低圧エンジンを用いたため,動力を上げるにはエンジンを大型化するしかなかったが,70年には大型化は限界に達していた。このため,蒸気圧を上げるためより効率的な蒸気ボイラがつくられ,同じ蒸気を繰返し利用するエンジンが考案された。やがて蒸気をより大きなシリンダに送り込むことに成功し,1900年代初めには2万馬力以上の動力が実現した。一方,スクリュープロペラの完成で,波浪の高い外洋では不向きな外車船が姿を消した。推進力のうえでの大躍進は,1884年にイギリスの技師 C.パーソンズが発明した初の蒸気タービンに始る。タービンは往復蒸気エンジンよりはるかに効率的で生産が容易であったが,プロペラが早く回りすぎる欠点があった。この問題は 1910年頃,低速ギアが取入れられて解決した。軽量で効率的なタービンの登場によって,20世紀初めには大型快速船がつくられるようになり,さらに効率のよいディーゼル機関や,潜水艦の潜水時間を延ばした原子力蒸気タービンなどへと発展した。
=== 基本機能 ===
 
[[ファイル:Ship diagram-numbers.svg|thumb|船の各部名称<br />1.[[煙突]] 2.[[船尾]] 3.[[スクリュープロペラ]] 4.[[船体]](左舷側) 5.[[錨]] 6.[[バルバス・バウ|球状船首]] 7.[[船首]] 8.上甲板 9.船橋]]
 
「船」と呼ぶためには水上で安定して浮かぶための[[アルキメデスの原理]]によって得た[[浮力]]と共に復原性も備えた「[[船体]]」と、推進力(風力などの自然力、エンジンなどの動力)、針路を定める「[[舵]]」(かじ)の機能を備える必要がある。「[[オール]]」や「[[櫂]]」、「[[帆]]」は動力としてだけでなく舵としても使える。動力として[[内燃機関]]などの[[エンジン]]を使うか否かに関わらず、[[スクリュープロペラ]]が1つの場合は舵が必要となる。
 
  
=== 呼称 ===
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帆船時代は木造のものが主流で,木製のキールに木製の肋骨を載せ,厚板を肋骨に釘で打付けていた。 18世紀に船底包板,のちには鉄の被覆が船体の保護に用いられた。初めて鉄船がつくられたのは 1818年で,船体は鉄の肋骨に支えられて打合された鉄板であった。
; 舟・艇・ボート・船・船舶・艦
 
: 「舟」の字は、手でこぐような比較的小型のものに使うことが多い<ref name="k5" />。「舟」や「艇」は、[[いかだ]]以外の水上を移動する手漕ぎの乗り物を指し、「船」は「舟」よりも大きく手漕ぎ以外の移動力を備えたものを指す。「'''船舶'''」は船全般を指す。「艦」は[[軍艦]]の意味である。日本海軍では艦(艦の字義は装甲船の意)と書いて「フネ」と呼んだ。
 
: つまり、民生用のフネは「船」、軍事用のフネは「艦」、小型のフネは「艇」または「舟」の字が当てられ、それらの総称として「艦船」(かんせん)、「艦艇」(かんてい)、「船艇」(せんてい)、あるいは「舟艇」(しゅうてい)などの言い方をする場合もある。(「艦」の字を入れている時は軍用のものを強く意識している)。
 
; 槽(ふね)
 
: 一般的にふねの構造は、水上に浮かぶための浮力を得るために、内部は空洞になる。転じて、ある物体の中が空ろな容器全般を「ふね」と呼び、特に木製で中身(おもに[[液体]]や[[粉粒体]])を入れる目的に特化した場合には「槽」(そう)の文字を当てる。日常的に、これら器を指して「ふね」と呼ぶ場合は使用時に蓋をしない、または蓋の付いていない状態のものを言う。(例:湯ぶね、浴槽、酒槽など)
 
  
=== 英語表現 ===
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80年鋼船が鉄船を一掃し,1950年頃には船体の溶接が実用化された。 19世紀なかば以降,船はさらに大きさ,速度,安全性を増し,特に旅客船が北大西洋を頻繁に往来した。大洋定期便の時代は 1900年頃から第2次世界大戦勃発まで続いた。旅客船は戦後再開され 1950年代に最盛期を迎えたが,60年代に入って長距離ジェット旅客機の運航が確立されるとともに,その需要は急激に低下した。一方,戦後の国際貿易の拡大は貨物輸送を盛んにした。 19世紀末頃から穀物や石油などの必需品を大量に輸送する船が出現していたが,戦後,大量輸送船のなかでも石油タンカーは巨大化を続け,70年代なかばには 50万t級のタンカーがつくられた。一般貨物専用の輸送船も規格化が進み,積降ろしが容易にできるよう改良された。現在ではほかに,埠頭との間に架橋を渡し貨物を積んだ車両ごと積降ろしのできる[[ロールオン・ロールオフ船]],貨物を満載したはしけをそのまま格納できる[[ラッシュ船]]などの特殊な輸送船も現れている。
「舟」や「艇」は[[英語]]の「{{lang|en|boat}}」([[ボート]])に相当し、「船」は英語の「{{lang|en|ship}}」や「{{lang|en|vessel}}」と同じものを指す。従来、英語では民間船・軍艦共に[[代名詞]]は{{lang|en|she}}(女性扱い)であって、これに対し[[飛行機]]では民間機が{{lang|en|she}}、[[軍用機]]が{{lang|en|he}}(男性扱い)であるが、最近は、このような用法が少なくなって、他の一般名詞と同様に{{lang|en|it}}を使用することがある。「ふね」を表す[[性_(文法)|性]]についても、各言語によって異なり一様ではない。
+
なお、英文表記の航海日誌上では、{{lang|en|she}}(女性扱い)で表記される。
 
  
=== 数詞 ===
 
# 海上運搬物の船は比較的大きな船の場合「1隻(せき)、2隻、3隻」と数え、小型の船の場合は「1艘(そう、槽とも綴る)、2艘、3艘」と数える。だが、最近は大きさに関わらず「1隻、2隻、3隻」と数えることもある。
 
# 器としての槽では「1ふね、2ふね、3ふね」のような使い方をする。
 
# 器の意味を込めて数える場合は'''杯'''または'''盃'''の文字を当て、「1ぱい、2はい、3ばい」と数える。
 
 
=== 法令による定義 ===
 
[[ファイル:Bundesarchiv Bild 102-12156, Wasserflugzeug mit Segeln.jpg|250px|thumb|帆を張った飛行艇([[ロールバッハ Ro II]])]]
 
* [[商法]]第684条の1項では「本法ニ於テ船舶トハ商行為ヲ為ス目的ヲ以テ航海ノ用ニ供スルモノヲ謂フ」とし、同条第2項では「本編ノ規定ハ端舟其他櫓櫂ノミヲ以テ運転シ又ハ主トシテ櫓櫂ヲ以テ運転スル舟ニハ之ヲ適用セス」と定義されている。具体的には商行為を目的とする海商で航海の用に供される櫓櫂船以外の船を指す。ただし、船舶法第35条が「商法第三編ノ規定ハ商行為ヲ為ス目的ヲ以テセサルモ航海ノ用ニ供スル船舶ニ之ヲ準用ス但官庁又ハ公署ノ所有ニ属スル船舶ニ付テハ此限ニ在ラス」と商法の規定を準用している結果、ほとんどの船舶が商法の適用を受けることになっており、商船と非商船の分類は法の適用の点では大きな意義はない<ref>村田治美著 「体系海商法(二訂版)」 45頁、成山堂書店 2005年11月8日二訂初版発行</ref>。
 
* 工学上は飛行機に分類されるホバークラフトは、水面の支持を受けながら前進するものであることから日本の法律上では船舶と見なされる<ref>村田治美著 「体系海商法(二訂版)」 41頁、成山堂書店 2005年11月8日二訂初版発行</ref>。これに対して、[[水上機|水上航空機]]は空中輸送手段であり、離着水時の水面での滑走は、空中を航行するためになされるものであることから、商法上の船舶とは見なされない<ref>村田治美著 「体系海商法(二訂版)」 46頁、成山堂書店 2005年11月8日二訂初版発行</ref>。ただし、海上で水上航空機が船舶と衝突することを防ぐ必要があるため、[[海上衝突予防法]]では水上航空機を「船舶」に含めて扱っている(海上衝突予防法第3条第1項)。過去の大型飛行艇には組み立て式の[[マスト]]と帆が搭載されており、着水後には帆船として航行が可能な機種もあり、緊急用の装備としてだけではなく遊覧航行にも利用されていた。このような目的での航行がどのような扱いを受けるのかは不明。
 
*[[海上保険]](元は[[商法]]第3編第6章の「保険」)は、日本においては、[[岡野敬次郎]]([[1896年]])『英国保険法』などによって導入されていった。「価額評定」(valuation)、「委棄」(abandonment)などの訳語が策定された。
 
 
== 船舶の構成 ==
 
船舶は船体とそれに付属する設備・備品などからなる。
 
 
=== 船体 ===
 
{{See|船体|船舶工学|舵}}
 
 
=== 艤装 ===
 
[[艤装]](ぎそう、{{lang|en|rig}}、{{lang|en|rigging}}、{{lang|en|outfitting(s)}})には2つの意味がある。
 
* 船を構成する物で、船体(等の構造物)以外の装備品全般を指す。航海に必須の装備や荷役や乗客の為の装備が含まれる。船は水上を揺られながら航行するので、船の内外の装備や各種機器・道具類が船体やデッキに固定されている必要がある。これらを「艤装」や「艤装品」と呼び、船から始まったこの名は、他の乗り物でも固定された装備全般を艤装と呼ぶことがある。
 
* [[造船]]で艤装品を船体に取り付ける工程は「艤装」と呼ばれ、「艤装する」という動詞としても使われる。
 
 
== 船舶の擬人的取り扱い ==
 
船舶はそれぞれ固有の名称(船名)、固有の国籍(船籍)を持つなど古来から擬人的な取り扱いがなされてきた。
 
 
=== 固有の名称(船名) ===
 
; 日本の船舶の船名
 
: 日本では[[船舶法]]により、船首両舷と船尾に船名を表示することが定められており、各国の同等法規においても同様である。
 
: 日本には船名の最後に「丸」を付ける慣行がある。旧船舶法取扱手続第1条では日本の従来からの慣行をふまえて日本の船には船名の末尾になるべく「'''丸'''」を付けるように勧告されていた<ref>「船舶ノ名称ニハ成ルベク其ノ末尾ニ丸ノ字ヲ附セシムベシ」としているので付けなければいけないわけではない</ref>。この船舶法取扱手続は[[2001年]]に廃止されたが、従来からの慣行により現在でも多くの日本船が「丸」を船名に付けている。ただ、[[フェリー]]船や外航船では「ジャパン・コスモス」「ペガサス」「あめりかん はいうえい」など「丸」を付けない船名も存在しているほか、[[海上自衛隊]]や[[海上保安庁]]の艦船は丸をつけていない(例 : 所属は[[文部科学省]]だが運用は海上自衛隊が行っている[[南極観測船]]など)。
 
: なぜ日本の船にだけ「丸」が付くようになったかという起源については、いくつかの説があるが、いずれも決定的なものは定まっていない。海外では日本の船を「'''Maru ship'''」と呼ぶことがあるが、日本での[[マルシップ]]とは「外国人船員が配乗されている日本船」を指す<ref>[https://www.jsanet.or.jp/glossary/wording_txt_ma.html 日本船主協会:海運用語集]</ref>。
 
: 日本では山や川などの地名を付けることが多く花の名前なども付けられるが、「[[ナッチャンRera]]」のような愛称を除けば、欧米のようなそのままの人名を付けることは少ない。「[[日石丸]]」「第七全購連丸」「第十とよた丸」「日産丸」のように日本の会社名をそのまま付ける例も多くなってきている。
 
; 海外の船舶に付与する定冠詞 (SS, MS)
 
: {{seealso|艦船接頭辞}}
 
: 英語圏では[[蒸気船]]では船名の前に {{lang|en|steam ship}} の意味で[[艦船接頭辞]]「SS」をつけることがあり、21世紀の現在では SS は主機関が[[蒸気タービン]]であることを意味している。同様に、[[ディーゼルエンジン]]船では船名の前に {{lang|en|motor ship}} の意味で「MS」をつけることがある。同じ習慣として「M.V. ({{lang|en|motor vessel}})」「S.V. ({{lang|en|sailing vessel}})」が使われることもある。
 
: また定冠詞には海軍艦艇の所属国を表すものが各国毎にあり、代表的なものとしては以下のものがある。
 
:* HIJMS : {{lang|en|His Imperial Japanese Majesty's ship}}(天皇陛下の軍艦)の略で、[[大日本帝国海軍]]の艦名に付与された。
 
:* HMS : {{lang|en|Her/His Majesty's ship}}(女王陛下/国王陛下の船)の略で、[[イギリス海軍]]の艦名に付与される。
 
:* RMS : {{lang|en|Royal mail ship}}(王家の通信船)の略で、[[イギリス]]の商船の船名に付与される。
 
:* SMS : {{lang|de|Seiner Majestät Schiff}}(皇帝陛下の船)の略で、[[ドイツ帝国]]海軍の艦名のほか、[[1945年]]までの[[第三帝国|ドイツ]]海軍の艦名にも付与された。
 
:* USS : {{lang|en|United States ship}} の略で、[[アメリカ合衆国]]の艦船名に付与される。
 
 
=== 固有の国籍(船籍) ===
 
; 船籍
 
: 船はそれぞれ[[国籍]]を持ち、[[船籍]]と呼ばれている。
 
; 船籍港
 
: 「船籍港」は人間の本籍に相当する。日本の船は船舶法によって船籍港を定めて管轄の運輸局に[[トン数]]を申請し、船尾に船籍港を表示しなければならない。
 
; 便宜置籍船
 
: 船舶に課される[[税金]]は、[[リベリア]](港名 : [[モンロビア]])、[[パナマ]](港名 : [[パナマ市|パナマ]])、[[キプロス]](港名 : [[リマソール]](レメソス))が低率であり、これらの国では(実態は)外国の船の登録を誘致している(登録後はこれらの国にとっては名目上は自国の船になる)。このような船を「[[便宜置籍船]]」と呼ぶ。便宜置籍国には安全な航海のために規制を行う十分な法律が存在しないために、便宜置籍船は一般に乗組員の質が劣り事故の発生率も高いため、国際的な問題となっている。
 
; カボタージュ
 
: また、日本を始めとする国々では、国内港間の輸送を行う船は自国籍の船でなければならないとする「[[カボタージュ]]」と呼ばれる規制によって、便宜置籍船を含む外国籍船が排除されている。
 
 
=== 固有の番号・符号 ===
 
船舶原簿などの登録に関わるいくつかの番号や符号が以下のように船ごとに与えられる。
 
; 船舶番号
 
: 日本の船舶には[[自動車]]の[[ナンバープレート]]のように1隻ごとに異なる「船舶番号」が船舶原簿に基づいて与えられる。
 
; [[IMO番号]]
 
: [[国際海事機関]]が船舶、所有者、管理者に与える番号。廃船になるまで変更されない。
 
; 信号符字(コールサイン)
 
: 総トン数100トン以上の船舶には、放送局にJOAKなどの[[識別信号|符号]]を付けるのと同様に、[[アルファベット]]で4桁の「信号符字」が与えられる。すでに4桁のアルファベットをほぼ使い切ってしまったために、日本ではJA - JS、7J - 7N、8J - 8Nのいずれかかが1・2文字目で、続く2文字のアルファベットによって4文字を構成する無線[[電信]]を有する船の為の符号と、無線電信は持たずに[[無線電話]]だけの船のためのJDからJMではじまるアルファベット6文字の符号へと変わってきている。
 
 
== 分類 ==
 
=== 運用上の分類 ===
 
日本標準商品分類では船舶(分類番号50)は'''商船'''(分類番号501)、'''特殊用途船'''(分類番号502)、'''漁船'''(分類番号503)、'''艦艇'''(分類番号504)に分類される(このほか分類番号506以下に軸径及びプロペラ、分類番号507以下に舶用補機、分類番号508以下に航海用機器、分類番号509以下にぎ装品が定められている)<ref>{{PDFlink|[http://www.stat.go.jp/index/seido/syouhin/pdf/2cc8-50.pdf 日本商品分類中分類50-船舶]}} 総務省統計局</ref>。
 
 
==== 商船 ====
 
[[ファイル:Queen Mary 2 outbound from Southampton 2 Sept 2013.jpg|thumb|[[オーシャン・ライナー]]の一例([[クイーン・メリー2]])]]
 
[[ファイル:Allure of the Seas (ship, 2009) 001.jpg|thumb|[[クルーズ客船]]の一例([[w:MS Allure of the Seas|MSアリューア・オブ・ザ・シーズ]])]]
 
[[ファイル:MSC Oscar (ship, 2014) 002.jpg|thumb|[[コンテナ船]]の一例([[w:MSC Oscar|MSCオスカー]])]]
 
[[ファイル:Hellespont Alhambra-223713 v2.jpg|thumb|[[タンカー]]の一例([[w:TI-class supertanker|TIクラス・スーパータンカー]])]]
 
[[ファイル:Vale Rio de Janeiro 20120108 01.jpg|thumb|[[ばら積み貨物船|バルクキャリア]]の一例([[w:Valemax|ヴァーレマックス]])]]
 
[[ファイル:ColorMagic Liegeplatz Taufe Kiel2007.jpg|thumb|[[フェリー]]の一例([[w:MS Color Magic|MCカラー・マジック]])]]
 
[[ファイル:Ulysses Arriving In Dublin.jpg|thumb|[[RO-RO船]]の一例([[w:MS Ulysses|MSユリシーズ]])]]
 
* [[旅客船]](客船)
 
** [[旅客輸送]]に使用されるもの
 
*** [[オーシャン・ライナー]]
 
**** 遠洋定期船、外国航路船、大洋航路船。太洋上の[[航路]]と呼ばれる仮想の進路に沿って海浜に接した[[都市]]間を航行する船。
 
*** クルーザー
 
**** 観光船、巡航船、[[クルーズ客船|遊覧大型客船]]。観光を目的に周遊する船。
 
* [[貨客船]](貨客混載船)
 
** [[貨物輸送]]と[[旅客輸送]]とを同時に行うことができるもの
 
* [[貨物船|一般貨物船]](カーゴシップ)
 
** [[貨物輸送]]に使用されるもの。荷物船。コンテナ船のような専用貨物船の多くは荷役装置を持たない (Gearless Vessel) ため、港の岸壁の[[クレーン]]等の荷役装置により貨物の積み下ろしを行うが、多くの一般雑貨運搬船やバラ積み船等では船上にクレーンや[[デリック]]等の荷役設備を備えるため港を選ばず荷役作業が行える。
 
** タンカー以外の貨物船全般(専用貨物船やコンテナ船、バラ積み船)を特に指す場合は一般貨物船と呼ばれる。重量物、[[コンテナ]]、一般雑貨、バラ荷等の多様な貨物を効率よく積めるように作られた船は多目的(貨物)船と呼ばれる。
 
** 貨物船には航路、寄港地、スケジュールが定まっている定期船(ライナー)と、定まっていない不定期船がある。定期貨物船の多くが1航海での寄港地が10港以上にも及び、貨物も多種に及ぶため、貨物の揚積の効率を考えて5-7個の船艙と2 - 3層の甲板を持つものが多いが、不定期貨物船では寄港地が少なく貨物の種類も限られるために3-5個の船艙と1~2層の甲板を持つものが多い。また、定期貨物船が運ぶ貨物は不定期貨物船の物に比べて高価なものが比較的多く、貨物の発汗防止の為の通風乾燥装置、郵便物の為のメイルルーム<ref>{{lang-en-short|mail room}}</ref>、貴重品の為のストロングルーム<ref>{{lang-en-short|strong room}}</ref>、冷蔵貨物用の冷蔵庫、液体貨物用のディープ・タンク<ref>{{lang-en-short|deep tank}}</ref>、重量物の荷役に使うヘビー・デリック (Heavy Derrick) などを備える船が多い。不定期船では[[木材]]、[[鉱石]]、[[石炭]]、[[穀物]]、[[鋼材]]などの原材料や半製品を運搬することが多く、これらはいずれも価格が安く、またこれらを運ぶための専用船との競合にも運搬コスト等の面で対応が求められるため、船型を単純にして小出力エンジンと低速航行によって燃費を抑えるなど定期貨物船との違いがある。不定期船は特殊な装備を求めず単純な船体を低コストで求められるため、同一設計で多数の船が作られるという傾向もある(2,580隻の[[リバティ船|リバティー船]]の例を参照)。
 
** 定期船と不定期船のいずれにも利用される船はライパーと呼ばれる。
 
*** [[コンテナ船]]
 
**** 貨物輸送の際に貨物[[コンテナ]](通称「海コン」)を運ぶ船。その多くが[[国際標準化機構|ISO規格]]で定められた、20、40、45フィートの長さのものである。冷蔵・冷凍コンテナ(リーファーコンテナ)に電源を供給する設備を備えている船が多い。少数ながらコンテナ専用のクレーンを自ら備える船もある。貨物コンテナだけを専門に運ぶフル・コンテナ船(フルコン船)の他に、貨物コンテナとブレーク・バルク・カーゴを混載するセミ・コンテナ船(セミコン船)がある。
 
*** 油送船、[[タンカー]](油槽船、水槽船)
 
**** 液体を運ぶ船である。原油や石油、液化天然ガス等の鉱物油、化学薬品などの液体などを運ぶための専用タンクを備える。
 
***** 内航タンカー
 
****** 通称「白タンカー」は[[軽油]]や[[ガソリン]]を運び、通称「黒タンカー」では[[重油]]を運ぶ。ただし、外見では区別が付かない。
 
*** [[ばら積み貨物船]](バルクキャリア、バルカー、ばら積専用船)
 
*** 冷蔵・冷凍運搬船(リーファー)
 
**** [[冷凍船]]。海洋船団において漁獲したものを急速冷凍し保存する設備を持ち、加工設備も併せ持つ。
 
*** 特殊運搬船
 
*** 車両航送船
 
**** [[フェリー]](渡船、自動車渡船)
 
***** 定義が幾分あいまいであるが、日本では次の4つの条件を満たす船。
 
*****# 旅客と[[自動車]]などの[[車輌]]とその運転士を同時に輸送するもの
 
*****# [[海峡]]や[[離島]]を結ぶ[[橋]]の代わり、または[[鉄道]]や[[道路]]等に平行して航行し陸路の代わりに用いられるもの
 
*****# 車輌の搭載はランプウェー上を自走して行われるもの
 
*****# 不特定多数の利用者が使うもの
 
***** 片道の航海が100km以下のフェリーを短距離フェリーと呼んでいる。100kmを越え300km未満の航海距離のフェリーは中距離フェリーであり、300km以上のものが長距離フェリーとされている。
 
**** 鉄道車輌渡船
 
***** フェリーの中でも特に[[鉄道車両|鉄道車輌]]航送が可能なもの。[[鉄道連絡船]]を参照のこと。海浜に接した鉄道線路間を定期的に航行し、旅客や貨物以外に鉄道車輌を運搬する連絡船。船内に[[レール]]が敷かれており、船のレールと桟橋のレールを合わせて鉄道車輌の積み下ろしを行う。同時に自動車の自走による搭載・運送するものも含む。
 
**** [[RO-RO船]](RORO船、ローローせん)
 
***** 自走により[[トレーラー]]などの車両を船内の車両甲板へ搭載・固縛できる構造の専用貨物船である。トレーラーの後部車体のみを運搬する方法は、前部車体であるトレーラーヘッドは搭載・揚陸時のみに少数台ですみ、搭載スペース縮小と重量の軽減や狭い車輌甲板上での運転という運転技量の問題も回避できるために多く用いられる。
 
***** フェリーのようにランプウェー(斜路)を備えるものが多いが、特定の航路での就役を計画されて、港側のランプウェーを利用できる場合は初めから備えていない場合もある。船が備える機構は乗客を乗せるフェリーとほぼ同じであるが、運転者を含めた乗客を運ばないためフェリーのような客室は備えない。
 
**** [[鉄鉱石]]・[[石炭]]・[[穀物]]や、[[木材]]・[[セメント]]など、大量の乾貨物(ドライバルク)を運ぶ船。大口荷主との輸送契約に基づき、鉱石専用船・石炭専用船・穀物専用船などとして用いられる事もある。
 
*** [[ラッシュ船]]
 
 
==== 特殊用途船 ====
 
[[ファイル:JCG PLH31 01.JPG|thumb|[[巡視船]]の一例([[しきしま型巡視船]])]]
 
[[ファイル:50letPob pole.JPG|thumb|[[砕氷船]]の一例([[w:50 Let Pobedy|戦勝50周年記念]])]]
 
[[ファイル:CABLE INNOVATOR.jpg|thumb|[[海底ケーブル敷設船]]の一例]]
 
[[ファイル:090411-A-1786S-088 - USNS Comfort (T-AH-20) in Hati.jpg|thumb|[[病院船]]の一例([[コンフォート (T-AH-20)|USNSコンフォート]])]]
 
日本標準商品分類では特殊用途船(分類番号502)は'''練習・調査船'''(分類番号5021)、'''警備・救難船'''(分類番号5022)、'''作業用船'''(分類番号5023)、'''特殊業務用船舶'''(分類番号5024)、'''はしけ(非自航)'''(分類番号5025)、'''舟艇'''(分類番号5026)、'''係留船'''(分類番号5027)、'''特殊水上装置'''(分類番号5028)、'''その他の特殊用船舶'''(分類番号5029)に分類される<ref>{{PDFlink|[http://www.stat.go.jp/index/seido/syouhin/pdf/2cc8-50.pdf 日本商品分類中分類50-船舶]}} 総務省統計局</ref>。
 
* 練習・調査船
 
** 航海練習船
 
*** 船員になろうとする者が、航海の実習訓練をするための船。[[海事教育機関|船員養成機関]]が運用する。[[帆船]]と[[汽船]](動力船)がある。漁業従事者の実習訓練をするための船は漁船に分類される(漁業練習船、漁業実習船)。
 
** 調査・観測船
 
*** 海洋調査船
 
**** 海洋の科学調査を行う船
 
** 気象調査船
 
*** 測量船
 
**** 水深や海流、水質等を搭載する測量機器により測る船のこと。日本では海上保安庁が保有運用している。
 
* 警備・救難船
 
** [[巡視船]]
 
*** 沿岸警備のための船艇のことで、密輸や密入国、海賊行為の取り締まり、海難救助を主な任務とする。国・地域によって担当する組織が軍事、準軍事、警察と違いがある。日本では巡視船の管轄官庁は国土交通省である。
 
** 救難船
 
*** 救命艇
 
**** 海上事故から避難するための小型の船。[[エンジン]]を備えて自航できるものとオールやパドルのみのものがある。救命[[いかだ]]は船ではないがエンジンを持たない救命艇と同じに扱われる。
 
* 作業用船(作業船)
 
** [[工作船]]
 
*** 本来は甲板上に大型の[[起重機]]を複数設置し、艦艇や船舶の軽微な補修作業をドック入りさせなくとも行えるリペアー・シップのこと。近年、他国への破壊活動を行う工作員を輸送する小型の船も、この呼び方をされるようになった。
 
** [[砕氷船]](アイスブレイカー)
 
*** 極地など氷海や凍結河川を自力航行し、航路啓開を目的とする船。強力な機関と船体を備え、周囲を氷に閉ざされても薄い氷であれば割り進み、ある程度の厚さであれば船首と船尾を上げ下げし、船体の重さで氷を砕き低速での移動が可能である。厚すぎる氷に閉じ込められても、舷側が斜めになっていて潰されない工夫がある。商船の砕氷船も砕氷タンカーのように多数存在する。
 
** 敷設船
 
*** [[海底ケーブル敷設船]]など。
 
** 浚渫船
 
** 海底資源掘削船
 
** 作業台船
 
** 起重機船
 
***大型のクレーンを搭載したクレーン船で、海難救助や建設工事等で使用される。
 
** 引き船、曳き船([[タグボート]])
 
*** 狭隘海域・狭小水路・港湾内において大型船舶が航行または離着岸する際の座礁や衝突を回避するために曳航または押航する船。前述のはしけを引くためにも使う。
 
* 特殊業務用船舶
 
** 水先船、水先案内船 (パイロット・ボート)
 
*** [[水先案内人]](パイロット)を、誘導する船まで運びまた戻すための船。水先案内船が案内をするわけではない。
 
** 灯船
 
** 消防船
 
*** [[火事]]を消火するための船。消火専用の強力な[[ポンプ]]を備えて海水を高圧にし、放水銃により火元等に放水する。特に専用に開発された消防船では双胴船体に高い塔を備えて高所より放水するものがある。日本では[[海上保安庁]]や[[地方自治体]]の消防局、民間の会社が所有運航している他、同等の機能を備えた[[タグボート]]も多数存在する。<!--民間自衛消防隊での使用は不明です。-->
 
** 検疫船
 
** 無線中継船
 
** 灯台補給船
 
** 灯台見回り船
 
** [[病院船]](ホスピタルシップ)
 
*** 傷病者の治療と移送を目的とする船。医療設備と多くの病床を備える。軍用のものは軍艦となる場合がある。
 
** その他
 
*** 給水船、給油船 ほか各種<ref>船と海の研究会編著 『海洋船舶の科学』 日刊工業新聞社 2008年4月30日初版第1刷発行 ISBN 9784526060533</ref><ref name = "船と海運のはなし"/>
 
**** [[艀]](はしけ、バージ)
 
***** 河川交通や港湾運送のための平底の貨物船。動力を持たない場合(非自航)が多いため、他船に曳かれたり押されたりして航行する。
 
**** バージキャリア
 
***** 貨物搭載用のはしけ(バージ)を数十艇搭載して運ぶ船
 
**** プッシャーバージ
 
***** はしけを押す船。特にはしけをいくつも繋げて押すものはバージ・ラインと呼ばれる。プッシャーバージには大洋を渡る数万トン級のオーシャン・バージもある。
 
**** 舟艇
 
***** プレジャー・モーターボート、快遊船([[プレジャーボート]])
 
****** 私人が所有し、趣味のために使用されるもの。商行為に使用されないものであるが、船舶法第35条によりその準用を受ける。
 
**** 帆艇
 
***** ろかい船
 
**** 係留船
 
**** 特殊水上装置
 
* その他の特殊用船舶
 
** エアクッション艇([[ホバークラフト]])
 
*** [[エア・クッション型揚陸艇|揚陸艇]]などに利用されている。
 
** [[水中翼船]]
 
** [[潜水艇]]
 
** [[無人水中探査装置]]
 
 
==== 漁船 ====
 
[[ファイル:Krabbenkutter Ivonne Pellworm P5242390jm.JPG|thumb|[[漁船]]の一例]]
 
[[漁業]]に用いる船舶であり、[[漁船法]]により規定される。近海用と遠洋用、また漁獲する水産物の大きさや量によって、船の大きさはさまざまである。日本では漁船の管轄官庁は国土交通省だけでなく、[[農林水産省]]でもある。
 
 
日本標準商品分類では[[漁船]](分類番号503)は'''漁ろう船'''(分類番号5031)、'''母船及び工船'''(分類番号5032)、'''漁獲物運搬船'''(分類番号5033)、'''漁業指導調査・練習船'''(分類番号5034)、'''[[漁業取締船]]'''(分類番号5035)、'''その他の漁船'''(分類番号5049)に分類される<ref>{{PDFlink|[http://www.stat.go.jp/index/seido/syouhin/pdf/2cc8-50.pdf 日本商品分類中分類50-船舶]}} 総務省統計局</ref>。
 
 
==== 艦艇 ====
 
[[ファイル:USS Nimitz in Victoria Canada 036.jpg|thumb|[[軍艦]]の一例([[ニミッツ級航空母艦]])]]
 
日本標準商品分類では艦艇(分類番号504)は'''[[護衛艦]]'''(分類番号5041)、'''[[潜水艦]]'''(分類番号5042)、'''機雷艦艇'''(分類番号5043)、'''輸送艦艇'''(分類番号5044)、'''哨戒艦艇'''(分類番号5045)、'''補助艦艇'''(分類番号5046)、'''その他の艦艇'''(分類番号5049)に分類される<ref>{{PDFlink|[http://www.stat.go.jp/index/seido/syouhin/pdf/2cc8-50.pdf 日本商品分類中分類50-船舶]}} 総務省統計局</ref>。
 
 
* [[軍艦]]
 
: 軍事用船舶を指す。大きさ、形態、武装はその用途により様々である。[[国連海洋法条約]]によれば保有国が武装に関わらず自国[[海軍]]の艦艇であると認めたもの。ただし、海軍の艦艇であっても戦闘に直接寄与しない補助艦艇であれば軍艦でないとされる場合がある。日本では軍艦の管轄[[官庁]]は[[国土交通省]]だけでなく、[[防衛省]]でもある。
 
: 日本語では軍事組織の船舶を指す言葉として『'''艦'''』を用い、自衛隊や外国軍の使用する船舶に対して使われる。なお[[警察]]や[[沿岸警備隊]]([[海上保安庁]])が利用する船舶には使われない。
 
 
=== 法令上の分類 ===
 
==== 所有者による分類 ====
 
; 公有船
 
: 国または[[地方自治体]]が所有する船舶を公有船という。
 
; 私有船
 
: 公有船以外の船舶を私有船という。
 
 
なお、公有船・私有船の概念は後述の公用船・私用船の概念とは異なるものである(通説)<ref>村田治美著 「体系海商法(二訂版)」 45頁、成山堂書店 2005年11月8日二訂初版発行</ref>。
 
 
==== 供用による分類 ====
 
; 公用船
 
: 航海において公用に供する船舶を公用船という。日本でいえば[[防衛省]]の[[自衛艦]]、[[海上保安庁]]の[[巡視船]]、[[水産庁]]の[[漁業取締船]]等がこれにあたる。ただし、国立学校などの練習船や国の所有する研究用の船舶などは公有船ではあるが、公用船ではなく私用船に属する<ref>村田治美著 「体系海商法(二訂版)」 45頁、成山堂書店 2005年11月8日二訂初版発行 </ref>。
 
; 私用船
 
: 公用船以外の船舶を私用船という。企業保有の船舶の他に、個人所有の[[漁船]]、[[ヨット]]等も含まれる。
 
 
=== 工学上の分類 ===
 
{{出典の明記|section=1|date=2012年3月7日 (水) 02:38 (UTC)}}
 
 
==== 船体材質による分類 ====
 
船体を構成する主な材質により以下のように分類できる。
 
; 葦船
 
: [[ヨシ|葦]]を用いた船
 
; 木造船
 
: [[木材]]を用いた船
 
; 鉄船
 
: [[鉄]]を用いた船
 
; 鋼鉄船
 
: [[鋼]]を用いた船
 
; FRP船
 
: [[繊維強化プラスチック]] (FRP) を用いた船
 
; アルミ船、軽合金船
 
: [[アルミニウム合金]]を用いた船
 
; セメント船、フェロセメント船
 
: [[セメント]]やフェロセメントを用いた船
 
 
==== 推進機による分類 ====
 
; [[艪]]・棹
 
: 水中に艪や棹を差し入れてこぐ。基本的に人力である。
 
; [[帆]]
 
: [[帆]]に風を当てる。
 
; 輪
 
: 船の側面や後部に設置した[[外輪船|外輪]]や、船体下部に設置した小型の輪を回す。小型であれば人力も可能。
 
;[[スクリュープロペラ]]
 
: 船底の後部に設置したスクリュープロペラを回す。汽船では最も多い形式。
 
; [[ウォータージェット推進]]
 
: 加圧した水を後方のノズルから吐出する事で推進力を得る。[[ポンプ]]で汲み上げるか超伝導磁石を利用する。
 
 
==== 動力による分類 ====
 
[[Image:Swan-boat.jpg|thumb|right|250px|足漕ぎ式の[[スワンボート]]([[上野]][[不忍池]])]]
 
[[ファイル:America's Tall Ship to visit St. Petersburg, Fla. 130520-G-TG089-036.jpg|thumb|250px|訓練航海中の[[:en:USCGC Eagle (WIX-327)|イーグル]]([[アメリカ沿岸警備隊]]所属)]]
 
; 人力
 
: 人間の腕力・脚力で推進機を駆動する。艪・棹・足漕が多い。
 
: 動力機関が不用なため軽量化できることから[[救命ボート]]や[[救命いかだ]]などの緊急用や、[[スワンボート]]などの遊覧用、[[カッター]]などの競技用として利用されている。
 
 
; [[風力]]
 
: 風を帆に受けて動力とする。狭義の[[帆船]]は1本または複数本の[[マスト]]と呼ばれる帆柱を備え、前進するための帆と進行方向を変更する三角帆を備える。
 
: 現代では実用的な用途では使われないが、帆の操作を体験する実習船、個人向けの遊覧船、競技用として利用されている。
 
:; [[帆掛け舟]]
 
:: 前進するためだけの帆のみを持ち、進行方向を変更する機能を持たない舟をいう。[[和船]]が相当する。
 
:; [[機帆船]]
 
:: 小型の原動機を補助動力として搭載し、無風でも航行可能な帆船。現代の帆船は基本的に機帆船であり、純粋な帆船は競技用と歴史的な保存船に限られる。
 
 
; [[内燃機関]]
 
:[[ディーゼルエンジン]]が主流だが希に[[ガソリンエンジン]]も利用される。ほぼスクリュープロペラによる推進だが、[[ウォータージェット推進]]も存在する。
 
:; [[ガスタービンエンジン]]
 
:: 高速航行を行う客船や軍艦に利用される。
 
 
; [[外燃機関]]
 
:; [[蒸気機関]]
 
:: 蒸気機関を利用した[[蒸気船]]は[[外輪船]]などで多く存在したが、[[ディーゼルエンジン]]の登場で衰退した。
 
:: 本来、[[汽船]]とは帆船に対し蒸気機関を動力とする船を指す言葉だったが、日本の船舶法では人力・風力以外の動力で推進する船を指すため、現代では内燃機関を利用しても汽船と呼ばれる。
 
:; [[蒸気タービン]]
 
:: [[LNGタンカー]]などの大型船に使用されている。
 
 
; [[電気推進 (船舶)|電気推進方式]]
 
: 熱機関を直接動力とせずに[[発電機]]として利用し、[[電動機]]でスクリュープロペラやウォータージェットを駆動する。[[バッテリー]]を搭載すれば海中でも推進できる。
 
:; [[ディーゼル・エレクトリック方式]]
 
:: ディーゼルエンジンで発電し、電動機でスクリュープロペラを駆動する。
 
:; [[ターボ・エレクトリック方式]]
 
:: タービンエンジンで発電し、電動機でスクリュープロペラを駆動する。
 
:; [[CODLAG]]
 
:: ディーゼル・エレクトリックとターボ・エレクトリックを併用する。
 
:; [[統合電気推進]]
 
:: 推進用と船内で使用する発電機を共用化した方式。大量の電力が必要な軍艦に利用される。
 
 
; 他
 
:; [[原子炉]]
 
:: 蒸気タービンの熱源を[[原子炉]]とする船は[[原子力船]]と呼ばれる。
 
:; 超伝導電磁石
 
:: 熱機関、回転系の推進機を使わず[[超伝導電磁石]]による強力な磁場で磁場中の水に電流を流し、[[ローレンツ力]]により海水を噴射する(ウォータージェット推進)。実験船として[[ヤマト1]]が建造された。
 
 
==== 船体構造による分類 ====
 
* 単胴船・多胴船([[双胴船]]・三胴船){{See also|船体}}
 
* [[水中翼船]]
 
* [[ホバークラフト]] - 通常の船舶とは異なる法令を適用する国が多い。日本では特殊船舶として扱われる。
 
* [[地面効果翼機]] - ロシア以外では法整備が進んでおらず、航空機か船舶かも定まっていない。日本での扱いは不明。
 
* [[水上オートバイ]] - 免許が小型船舶よりも簡素化されていたり講習会を受けるだけで扱える国が多い。日本では[[特殊小型船舶]]として扱われる。
 
 
==== 機関の搭載方法による分類 ====
 
; 船外機船
 
: 船尾板(トランサムボード)に[[船外機]]を装着したもの
 
; 船内外機船
 
: 機関を船内船尾に備え付けドライブユニットを船外に出すことによるスクリュープロペラを回転させる
 
; 船内機船
 
: 機関を船内中央付近に備え付けプロペラシャフトによりスクリュープロペラを回転させる
 
; 他
 
: ウォータージェット推進や電磁推進などスクリュープロペラを利用しない汽船。
 
 
== 歴史 ==
 
=== 世界 ===
 
==== 有史以前 ====
 
太古の昔より、河川や[[海洋]]を渡る際や[[釣り]]などの[[漁業]]を行うために[[丸木舟]]などが用いられていた。[[スコットランド]]で150例、[[日本]]で200例などの[[先史時代]]の丸木舟の発見例があり、その他獣皮を張った船体に防水を施した[[シーカヤック]]に類するものなども存在したと考えられている。
 
 
==== 紀元前 ====
 
[[ファイル:Maler der Grabkammer des Menna 013.jpg|thumb|200px|[[エジプト新王国]]時代の壁画に描かれた[[横帆]]の船(紀元前1411年から1422年に[[テーベ]]の貴族の墓に描かれたもの)]]
 
[[古代エジプト]]時代の[[壷|つぼ]]に船の絵が描かれており、[[ナイル川]]で使われていたとみられているが、[[パピルス]]の[[いかだ]]から発展した継ぎ剥ぎ構造と推定され、この時代の船は海洋での使用には適さなかったとされている。紀元前4,000年頃にはエジプト・ナイル川流域の他、[[チグリス川]]・[[ユーフラテス川]]流域の[[メソポタミア]]でも帆走船が使われていた形跡が残っている。[[モンゴロイド]]が[[アウトリガー]]付きカヌーで帆走を始めて、[[東南アジア]]の島々に広がり始めたのは、紀元前3,000年頃であり、[[フィジー]]には紀元前1,500年頃に達したと考えられているが、モンゴロイドの拡散以前の紀元前4,000年頃には[[オーストロネシア語族|オーストロネシアン]]とモンゴロイドの混血である[[メラネシア人]]が[[ソロモン諸島|ソロモン]]、[[バヌアツ]]、フィジー、[[ニューカレドニア]]の各島々への拡散しており<ref name = "船と海運のはなし">拓海広志著 「船と海運のはなし」 成山堂書店 平成19年11月8日改訂増補版発行 ISBN 978-4-425-911226</ref>、日本では紀元前4,000年頃([[縄文時代]]前期)の外洋での航海が可能な大型の[[丸木舟]]の出土例がある。紀元前4,000年頃から紀元前1,000年頃には[[エジプト人]]や[[タレス人]]が[[地中海]]に乗り出していた。[[フェニキア人]]は[[アラビア海]]にも乗り出し、船による[[交易]]の範囲が広がっていった。
 
 
==== 紀元後 ====
 
[[ファイル:Greek Galleys.jpg|thumb|200px|[[ガレー船]]の一種、[[三段櫂船]]の実物大の復元船[[:en:Olympias (trireme)|Olympias]]の写真を使って再現してみた船隊の写真。]]
 
[[古代ギリシア|ギリシャ時代]]には、[[帆船|帆走船]]や[[ガレー船]]が使われ、[[ローマ時代]]には、1世紀頃にヒッパロスが[[インド洋]]の[[季節風]]を利用した[[アラビア半島]]から[[インド]]南岸までの航路を開いた後はローマ - インド間の海上交易が行われた。
 
 
8-10世紀には[[ヴァイキング]]と呼ばれた[[ノルマン人]]たちが独特の丈夫な船を駆って西ヨーロッパの海を支配していた。
 
 
一方、[[日本]]では、[[600年]]からの[[遣隋使]]船、[[618年]]からの[[遣唐使]]船も日本にとって発達した航海術を吸収する機会であったが、[[1401年]]からの勘合による[[日明貿易]]が開始され、これらの船(遣明船)には[[羅針盤]]が備わるなど確実な進歩を遂げていった。[[中国]]の[[鄭和]]の艦隊が[[15世紀]]、30年間に渡って中国沿岸からインド洋を席巻していた。中国の海洋進出が途絶えた後も、[[東南アジア]]からインド経由で[[ヨーロッパ]]に至る[[シルクロード#海のシルクロード|海のシルクロード]]が、商人と船乗りの手で長期に渡り維持された。
 
 
[[ヨーロッパ]]では、それまでの[[ガレー船]]の[[帆#ラテンセイル|ラティーン・セイル]](三角帆)に加えて、ヴァイキング船の横帆を取り入れた「[[キャラック船]]」を生み出した。[[15世紀]]初頭には[[ポルトガル人]]が、[[帆#ラテンセイル|ラティーン・セイル]]と横帆を持つ小型の「[[キャラベル船]]」を生み出し、「[[エンリケ航海王子]]」の支援も受けて、外洋への航海に乗り出していった。
 
 
[[16世紀]]には[[キャラック船]]を元に[[ガレオン船]]が登場し、大航海時代になった<ref name = "船と海運のはなし"/>。[[ガレー船]]は[[18世紀]]末まで[[地中海]]で、[[北ヨーロッパ|北欧]]の[[バルト海]]では[[19世紀]]初頭まで使用された。[[1807年]]に[[ロバート・フルトン]]が作った外輪[[蒸汽船]]が[[ニューヨーク]]とオリバニー間で運航を開始した後は、多数の帆船に[[蒸気機関]]が搭載され、また、帆船も港での操船は蒸気エンジンを備えたタグボートに任せることができるようになったため、外洋航行に最適化した高速大型帆船が作られ、「クリッパー」と呼ばれる高速帆船も登場した。[[1858年]]に英国人[[イザムバード・キングダム・ブルネル|アイザム・K・ブルーネル]]が発明したスクリュープロペラを備えた外洋定期客船「グレート・ブリテン」が作られた。英海軍が海上公開実験によってその性能を確認し、軍艦の標準としたため、各国海軍もそれに倣った。[[海底ケーブル]]網が充実した1860年代から、軍艦だけでなく商船でも、航行スケジュールが確実な蒸気船が帆船を駆逐するようになっていった。[[スエズ運河]]は開通してから当分の間、通行可能な船のサイズに制限があったり、[[運賃]]が高かったりして、商船がしばしば利用を敬遠した。
 
 
蒸気船の歴史については[[蒸気船#歴史(世界)]]と[[蒸気船#歴史(日本)]]を参照のこと。
 
 
この後、多数の蒸気船が登場して徐々に海運の主役となった。[[1892年]]の[[ディーゼルエンジン]]の登場によって多くの[[大型船舶]]が内燃機関を備えるようになった。
 
 
帆船は今日でも練習船や競技用[[ヨット]]などとして用いられているが、多くがエンジンを備えた汽船である。
 
 
=== 日本 ===
 
==== 古代 ====
 
日本の先史時代の[[丸木舟]]の発見例はおおよそ200例ほどである。その中には[[1989年]]に[[東京都]][[北区 (東京都)|北区]][[上中里]]の[[中里貝塚|中里遺跡]]で発見された全長5.79mの丸木舟や、[[1995年]]に[[千葉県]][[香取郡]][[多古町]]で発見された全長7.45mの丸木舟など大型のものの出土例もある。また[[1998年]]に[[京都府]][[舞鶴市]]の浦入遺跡で出土した丸木舟は、現存長は4.4mであるが、幅85cm、長さ8m以上あったと推測され、一本の巨木を刳り抜いた堅牢な[[モノコック]]構造の刳舟であり、[[縄文時代]]前期には外洋での航海が可能な丸木舟が存在した。
 
 
縄文時代以後も日本船はモノコック構造の刳舟が主流であった。[[古墳時代]]以後の大型の刳舟の出土例は[[大阪湾]]周辺に多く、単材刳舟ばかりではなく複材化した準構造船と呼べるものも出土している。単材刳舟としては[[大阪市]][[西淀川区]]大仁町鷺洲で古墳時代のものと推定される全長11.7mの刳舟が出土しており、複材刳舟のうち前後継ぎのもの出土例として、大阪市今福鯰江川の三郷橋(現・[[城東区]]今福西1丁目)で[[大正]]6年([[1931年]])5月に全長13.46m、全幅1.89mの刳舟が、同市[[浪速区]][[難波中]]3丁目の[[いたち川 (大阪市)|鼬川]]で[[明治]]11年([[1878年]])に残存長12m程の刳舟がある。他に[[天保]]9年([[1838年]])[[愛知県]]海部郡佐織町(現・[[愛西市]])で出土した前後継ぎの刳舟は残存していた長さが十一[[間]]二[[尺]] (20.6m) あったといわれている。
 
 
==== 飛鳥 - 室町時代 ====
 
[[飛鳥時代]]には平底の[[ジャンク (船)|ジャンク船]]のような箱型構造の船が[[遣隋使]]船として用いられた。
 
 
[[室町時代]]の後期から[[江戸時代]]初期にかけて[[安宅船]]などが、軍船として用いられた。 江戸時代初期の[[1604年]]から[[1635年]]の間は[[朱印船]]貿易が行われ、そのための船として中国等の海外だけでなく日本国内においても600人乗り、貨物積高2,500[[石 (単位)|石]](約375トン)のものが建造されていた。
 
 
==== 江戸時代(幕末まで) ====
 
江戸時代初期の1635年には「大船建造禁止令」が施行され、船の500石積以上の建造が禁止されることになる。ただし、これはすぐに商船は対象外になる。鎖国を行った為に、外航船を建造する必要が無くなった日本では軍船は[[関船]]が、商船は帆走専用に改良された[[弁才船]]が中心となった。特に後者は江戸時代の近海海運を大いに発展させた。
 
 
[[鎖国]]以前には[[徳川家康]]の命によって[[ウィリアム・アダムス]](三浦按針)が建造した2隻の小型ガレオン<ref>このうち1隻は前[[フィリピン]][[スペイン領フィリピンの総督|総督]][[ロドリゴ・デ・ビベロ|ドン・ロドリゴ]]に貸し出され、後に[[マニラ・ガレオン]]にも使われた。[[スペイン]]名 : [[:en:Japanese warship San Buena Ventura|サン・ブエナ・ベントゥーラ号]]</ref>や、[[慶長遣欧使節]]団の[[サン・フアン・バウティスタ号]]などの例がある。
 
 
==== 近代(幕末以後) ====
 
[[マシュー・ペリー|ペリー]]来航から3か月後の[[1853年]]9月に、大船建造禁止令が[[大名]]に対して解除された。同時に[[幕府]]の手で浦賀造船所の建設が開始され、翌年には最初の西洋式軍艦の木造帆船「[[鳳凰丸]]」を竣工した。[[水戸藩]]も1853年に江戸[[隅田川]]河口に[[石川島造船所]]の建設を始め、[[薩摩藩]]の桜島造船所や[[加賀藩]]の七尾造船所が次々と開設された。
 
 
[[1854年]]、ペリー来航の翌年に通商を求めて日本に来た[[ロシア]]の[[ディアナ号]]が[[下田市|下田]]で安政[[東海地震]]の[[津波]]により大破の後、嵐に遭い沈没、多くの船員が日本に取り残された(下田で座礁したという情報も複数あり)。当時、日本では外航に耐える船を持たず、これらのロシア船員は船を作らなければ帰れなかったため、[[君沢郡]][[戸田村 (静岡県)|戸田村]](現・[[沼津市]])の日本人を指導して2本マストの[[スクーナー]]「ヘダ号」を作り上げた。その後、幕府は同型船多数の建造を命じ、[[君沢形]]と命名した。この西洋式造船を実地で指導されながら学んだ経験は、今日の日本造船業にとって近代船建造の礎となった。
 
 
[[1855年]]、幕府は[[オランダ]]人技師から大船建造と鋳砲製造の技術を習得することを目的に、「[[海軍伝習所]]」を[[長崎市|長崎]]に開設した。幕府は[[1857年]]には長崎の飽の浦に溶鉄所の建設を開始し、[[1861年]]に長崎[[製鉄所]](現[[三菱重工業長崎造船所|三菱重工長崎造船所]])として開所させた。[[1865年]]には[[横須賀市|横須賀]]・[[横浜市|横浜]]製鉄所が着工され、その後、国内最大の[[横須賀海軍工廠]]となった。横須賀海軍工廠では、[[フランス]]人技師の指導を受けて木造船から鉄鋼船へ技術の切り替えが行われ、[[1890年]]に最初の全鋼鉄軍艦「[[八重山 (通報艦)|八重山]]」(常備排水量1,609トン)が完成した。江戸湾に設けられた石川島造船所はその後の[[IHI|石川島播磨重工]]の、浦賀造船所は[[浦賀重工業]]を経て[[住友重機械工業]]の礎となった。
 
 
1890年には三菱造船所で最初の全鋼鉄船「筑後川丸」(694総トン)が建造された。[[1896年]]には[[造船奨励法]]と航海奨励法が公布され、[[1897年]]には船舶検査法も施行された。この頃、多数の国内外新規航路が開設された。[[1898年]]には、それまでの平均的な国内造船能力であった1,500総トン級を大幅に上回る、「常陸丸」(6,172総トン級)が[[三菱造船所]]で完成された<ref>3,847馬力の搭載主機関も同時に作られた。しかしこの建造の設計・資材・技師はすべて英国よりの輸入に頼っていた。</ref><ref>吉識恒夫著 「造船技術の進展」 成山堂書店 2007年10月8日初版発行 ISBN 978-4-425-30321-2</ref>。
 
 
==== 太平洋戦争以後 ====
 
[[太平洋戦争]]によって日本は商船の80%を失った。しかし、造船業と海運業は他の多くの産業同様に終戦直後から着実な復活を開始した。
 
 
終戦時には[[連合国軍総司令部|GHQ]]によって造船能力を年15万トンに制限され、100総トン以上の全ての船がGHQの管理下に入れられたが、[[1947年]]からは規制が順次緩められ、[[1950年]]の[[朝鮮戦争]]と[[1956年]]の[[第二次中東戦争|第二次中東戦争(スエズ動乱)]]をきっかけに日本に長期の造船ブームをもたらした。
 
 
[[1946年]]、[[日本郵船]]は終戦以後の早い段階からGHQの許可を得て、貨客船「[[氷川丸]]」の太平洋定期航路が再開された。
 
 
[[1951年]]の[[サンフランシスコ講和条約]]以後は、米アメリカン・プレジデント・ライン社 (APL) の「プレジデント・クリーブランド」(15,973総トン)と「プレジデント・ウィルソン」(12,597総トン)によって[[アメリカ合衆国|米国]][[シアトル]]との定期客船航路が開設された。
 
 
[[1952年]]と[[1953年]]には大阪商船会社(現[[商船三井]]の母体の1つ)が2隻の南米移民用外航貨客船「さんとす丸」(1952年、8,515総トン)と「あめりか丸」(1953年、8,354総トン)を使って南米航路を再開した。その後、2代目「[[ぶらじる丸]]」(1954年、10,100総トン)、「[[あるぜんちな丸]]」(1958年、10,863総トン)、「[[さくら丸 (見本市船)|さくら丸]]」(1962年、12,628総トン)などの5隻の外航貨客船によって日本 - [[香港]]と日本 - [[北アメリカ|北米]]の航路が再開された。
 
 
[[1964年]]の[[前東京オリンピック|東京オリンピック]]以降は、[[航空機]]による海外渡航が一般化したため旅客輸送需要は激減し始めた。[[南アメリカ|南米]]航路も移民の減少と共に需要は減少した。日本に限らず世界的に、これ以降は客船としての船舶の需要は低下を続け、一部のクルーズ船を除けば外航航路の客船は消滅していく。
 
 
代わって世界中で海上輸送の需要が増加を続け、戦前戦中の造船技術を背景に[[ブロック工法]]のような新たな造船技術の開発によって世界の造船業における地位を確実なものにしていった。[[1956年]]には[[イギリス|英国]]を抜いて世界一の造船量となり、[[1975年]]には世界の造船量の50%を越える量を世界の海に送り出した。
 
 
[[1950年代]]から始まった[[高度経済成長]]によって、海運業においても大型石油[[タンカー]]や大型[[コンテナ船]]のような船が多数登場し、[[自動車運搬船]]、鉱石運搬船、LNGタンカーも次々と作られ海外航路に投入されていった。また、内航航路でも大型[[フェリー|カーフェリー]]が多数登場した。
 
 
日本でのこの増船の波は、[[1973年]]からの第一次[[オイルショック]]によって日本経済が停滞した数年後の[[1977年]]をピークに下降線をたどった。特に需要の減った石油タンカーは契約キャンセルされるなど造船需要が激減すると同時に、[[1980年]]の貨載量56.5万トンを最後に巨大化に終止符が打たれた。
 
 
== 船舶の運航 ==
 
=== 航海 ===
 
==== 操舵 ====
 
大海原では舵は[[オートパイロット]]によって自動で保針されており、人は海上を監視することが求められる。船の多い海域や狭い海域ではクオーターマスター(操舵手)が舵を手動で操作する。
 
 
==== 船内生活 ====
 
; 時間
 
: 船同士の連絡では[[協定世界時]] (UTC) を使うが、船内の時間は航海に合わせて変更されてゆく。このため、東へ向かうと1日の長さが短くなり、西へ向かうと長くなる。
 
; 当直
 
: 船員は24時間航海する船の中で、常に誰かが「当直」や「ワッチ」<ref>{{lang-en-short|watch}}</ref>と呼ばれる見張り当番についている。機関室内の主要な装置が[[船橋 (船)|ブリッジ]]から遠隔操作できるようになり、通信機も高性能になってモールスなどの特殊な技能を必要とせずに誰でもが音声通信を行えるようになったために、従来の機関当直や通信当直は減りつつあり、ブリッジから見張りを行うことが多くなってきた。
 
: 当直は毎日4時間x2回が3組の当番によって行われる。これは日本の船に限らず、国際的に共通である。
 
:# 0:00-4:00 12:00-16:00 2等航海士と甲板手
 
:# 4:00-8:00 16:00-20:00 1等航海士と甲板手
 
:# 8:00-12:00 20:00-24:00 3等航海士と甲板手
 
: 機関室での当直の必要性を減らした、Mゼロ<ref>{{lang-en-short|machinery space man zero}}</ref>船と呼ばれる船では、夜間に機関に異常事態が発生した場合には、自動的に各居室に警報が伝えられるようになっており、機関士の夜間当直が必要なくなっている<ref name = "防衛調達改善と天下り削減"/>。
 
 
==== 記録 ====
 
; [[航海日誌]](ログブック)
 
: 「航海日誌」と呼ばれるログブックは通常「公用航海日誌」と「船用航海日誌」の2種類があり、「公用航海日誌」には海難事故や航海の概要等をその都度記載し、「船用航海日誌」には針路、速力、波、天候、船上での出来事、出港・寄港などについて毎日の記録が記入される。
 
: 日本においては「公用航海日誌」は通常は日本語で表記するが、「船用航海日誌」は日本国内のみを航行する船においては日本語でも英語でもどちらの表記でもかまわないが、国際航海に従事する船では英語表記が事実上義務化される。英語表記する際の文章は正規の英語表記ではなく、独特の文体と記号によって記入される。たとえば不明確にならない限り主語や冠詞は省かれ、星は*、太陽は◎で表現され、投錨はイカリの記号で表される<ref name = "まるごと! 船と港"/>。
 
; [[海図]]
 
: 海図(チャート)は航海において最も重要なものであり、規則でも常備が義務付けられている。通常108cm×67cmの大きさのチャートは[[メルカトル図法]]や心射図法などで描かれており、船に数百枚も保管されるそれぞれが、1枚が数千円という高価な物である。チャートに新しい情報を記載するのは2等航海士の仕事である<ref name = "まるごと! 船と港"/>。
 
 
==== 信号 ====
 
; 国際信号旗
 
: [[国際信号旗]] (こくさいしんごうき)は40枚またはそれ以上の旗を備え、1枚 - 4枚までのそれぞれの組み合わせで、船同士や陸上との連絡や表示を行う。2字信号は最も一般的に使用される信号旗の組み合わせである。4字信号では船名を表す。
 
[[ファイル:JMSDF DE227 Yuubari Signal bell.JPG|thumb|100px|[[護衛艦]]の号鐘]]
 
; 汽笛
 
: 船長100m以上の船は汽笛、号鐘、銅鑼を、船長12m以上100m未満で船は汽笛、号鐘を備えねばならない。船長12m未満では音響設備を備えることになっている。
 
:; 汽笛の吹き方
 
:: (短音 : 1秒、長音 : 4 - 6秒)
 
::* 針路信号
 
::** 右転針中 : 短音を1回
 
::** 左転針中 : 短音を2回
 
::* 推進器に後進をかけている最中 : 短音を3回
 
::* 追い越し信号
 
::** 右から追い越し中 : 長音2回 短音1回
 
::** 左から追い越し中 : 長音2回 短音2回
 
::* 他船からの追越に同意した場合 : 長音1回 短音1回 長音1回 短音1回
 
::* 疑問信号 : 他船との衝突が危ぶまれるのに他船の意図や動作が理解できない時 短音5回以上
 
::* 湾曲部信号 : 狭い海峡などで湾曲部に近付いたとき 長音1回、他方からここに接近している船は同じく長音1回で応じる。
 
::* 遭難信号 : 1分間隔で行う発砲やその他の爆発音
 
 
==== 無線 ====
 
かつては[[電信#電波型式としての電信|無線電信]]が利用され、遠洋を航行する船舶との交信には[[短波]]が使われたが、近年では無線電信は利用されなくなりつつあり、近距離の船対船の通信には[[超短波]]の[[無線電話]](音声通信)が、遠距離通信には[[通信衛星]]によるデジタル通信が使われる。
 
; [[国際VHF]]
 
: 通常の通信で使われる一般的なもの。船対船の通信だけでなく、港内管制等、陸上の船関係の官庁との連絡にも使われる。
 
; マリーナ無線
 
: レジャーボート用。マリーナとの連絡に使用する。
 
; 漁業無線
 
: 沿岸漁業の漁船が使用する。短波と超短波を使用。
 
 
==== 放送 ====
 
[[放送]]と称しているが、[[電波法]]令上は[[海上保安庁]]の[[特別業務の局]]による同報通信<ref>電波法施行規則第2条第1項第20号 「同報通信方式」とは、特定の二以上の受信設備に対し、同時に同一内容の通報の送信のみを行なう通信方式をいう。(送り仮名の表記は原文ママ)</ref>である。
 
; [[船舶気象通報]]
 
: 灯台放送とも呼ばれる。[[灯台]]などの[[航路標識事務所]]が[[気象]]・[[海象]]情報を送信している。
 
; 海上交通情報(MARine Traffic Information Service)
 
: 略称のMartis(マーチス)として知られる。[[海上交通センター]]が海上交通情報や気象・海象情報を送信している。
 
 
=== 安全と海難事故 ===
 
; 船級
 
: 船の安全性を含む性能を検査して認定する会社が国際的な国際船級協会連合では、[[ロイズ]] ({{lang|en|Loyd's register of shipping}}) が最も有名な船級協会であり、日本では日本海事協会 (NK) が行っている。
 
: 国際条約に定められた規則に関して船の構造や設備、船員の資格を検査して満たしているかを確認する。
 
: [[北朝鮮]]の船が日本の港に入港する時に行った「ポート・ステート・コントロール」(PSC、寄港国による監督)はこの船級検査を受けていない「サブ・スタンダード船」に対する検査であった。
 
; 国際海事機関、IMO
 
: [[国際海事機関]]は158か国が加盟している海に関する国際機関である。
 
: 海上安全委員会や法律委員会を持ち、その下に各種の小委員会を持っている。SOLAS条約もこの中の小委員会で決められた。SOLAS条約は[[1912年]]の「[[タイタニック号]]」の沈没を契機に作られた。
 
: 原油タンカーやLPG船などでの構造基準や検査に関して決める。PSCもIMOで決めている。
 
; 共同海損制度、GA
 
: [[共同海損]]とは、海難などで船が非常な危険に曝された場合に、危険をさけるために船体を故意に損壊したり貨物を投棄したりして、結果として危険を免れた場合は、その行為によって利益を得た船主や荷主がその犠牲分を按分負担する制度である。
 
; 海難審判
 
: 海難事故においても、一般の事故の同様に民事上の責任や刑事上の責任が問題となる。ただ、海難事故においては、これらの責任とは別に将来的な海難の防止のためにも、船舶事故やそれに伴って発生した被害の原因を究明するための調査と、職務上の故意・過失によって海難を発生させた船員の懲戒が特に重要となる。以前は[[海難審判庁]]がこの職務に当たっていたが、[[2008年]]10月の法改正により海難審判庁は廃止され、前者の海難事故の原因究明については[[運輸安全委員会]]が担うこととなり([[運輸安全委員会設置法]]第1条)、後者の故意・過失によって海難を発生させた船員の懲戒については[[海難審判所]]が担うこととなった([[海難審判法]]第1条)。
 
{{see also|海難審判}}
 
 
=== 係留 ===
 
==== 錨泊 ====
 
[[ファイル:Anchor Methods NT.PNG|thumb|200px|'''錨泊'''<br />1. 単錨泊<br />2. 単錨泊(振れ止め錨利用)<br />3. 双錨泊<br />4. 2錨泊<br />5. 船首尾錨泊]]
 
[[錨]](いかり)を使って[[泊地]]などに停泊することを「錨泊」という。錨泊では平穏な海面で、航路や他船の[[通航]]がない安全な場所を選び、錨の利きの良い海底面が適する。[[錨]]の投錨方法(後述)がいくつかある。流れがある場合は、船首を流れ方向に向けて投錨する。[[港湾]]等で錨泊する場合は、指定のエリアや禁止エリアが有り、船舶の大きさや停泊できる時間に制限を行なう場合がある。
 
 
* 投錨方法
 
*# 前進投錨法 - 微速で予定投錨地点に近づき、前進状態で投錨し、必要な分の錨鎖を伸ばす
 
*# 後進投錨法 - 微速で予定投錨地点に近づき、予定投錨地点で前進速力が0となるように後進として、投錨、その後、機関を停止、必要な分の錨鎖を伸ばす。
 
 
一般商船の錨泊では、もっぱら後進投錨法である。
 
 
* 錨泊方法
 
*# 単錨泊(たんびょうはく) - 船首片舷の錨を使う
 
*# 単錨泊(たんびょうはく) - 荒天時に普通の単錨泊に加えて振れ止め用の錨を反対横に使う
 
*# 双錨泊(そうびょうはく) - 船首の錨を2つ用いて、荒天時に使う、又は振れ回りを小さくするため
 
*# 2錨泊(にびょうはく) - 船首の錨を2つ用いて、荒天時に使う
 
*# 船首尾錨泊 - 泊地水面に制約がある場合に使う。中小型船に多く使われる
 
 
==== 岸壁係留 ====
 
[[ファイル:Ship mooring NT.PNG|thumb|200px|'''係留索'''<br />6. 船首索<br />5. ブレスト・ライン<br />4. 船首スプリング・ライン<br />3. 船尾スプリング・ライン<br />2. ブレスト・ライン<br />1. 船尾索]]
 
船を港の岸壁に止める時には、係留索をボラード<ref>{{lang-en-short|bollard}}</ref>に繋ぎ止める。船首尾索(ながし)以外にもそれぞれの位置に応じた名前が付けられている。
 
# 船首索(ヘッド・ライン、おもてもやい、おもてながし)
 
# ブレスト・ライン
 
# 船首スプリング・ライン(フォアスプリング、おもてスプリング)
 
# 船尾スプリング・ライン(アフトスプリング、ともスプリング)
 
# 船尾索(スターン・ライン、とももやい、ともながし)
 
 
=== 水域区分 ===
 
船舶安全法によって4つの区域に分けられる。これらによって、船舶の構造、通信設備、救命設備、定員などに求められる制限が変ってくる。
 
; 平水区域
 
: 湖、川、港内の水域、港湾の特定の水域
 
; 沿海区域
 
: 主として海岸から20海里以内の水域
 
; 近海区域
 
: 東は東経175度、南は11度、西は東経94度、北は北緯63度の線に囲まれた水域
 
; 遠洋区域
 
: 全ての海域
 
ただし、漁船では第一種から第三種までの従業制限を受けている。
 
 
=== 右舷と左舷 ===
 
{{main|舷}}
 
右舷をスターボード<ref>{{lang-en-short|starboard}}</ref>と呼ぶのは {{読み仮名|{{lang|en|steeringboard}}|スティーリングボード}}、つまり舵板の側が右舷に付いていたためであった。その舵のじゃまにならない左舷側に桟橋や岸壁を着けたので左舷をポートサイド<ref>{{lang-en-short|port side}}</ref>や単にポート<ref>{{lang-en-short|port}}</ref>と呼んだ。英国では左舷はもともとラーボード<ref>{{lang-en-short|larboard}}</ref>と呼んでいたが左右で発音が似ていたため、他国と同じくポートと呼ぶことになった。これらは帆船の構造に由来するルールであるが、現代でもそのまま適用されている。
 
 
船の交通ルールでも同様のルーツに基づいて決められた[[スターボード艇優先の原則]]があり、原則として右側通行である。日本では複数の航路がブイによって仕切られこのルールに従っているが、ただ1か所、瀬戸内海の[[来島海峡]]航路では潮流の流向によって変則的に左側通航になることがある。
 
 
船では右舷が上席であり左舷は下座になる。船長は階段でも右舷側を使い、船長室も右舷側にあるのが普通である。また、船倉の番号も右舷側から1番が始まる。
 
 
[[プレジャーボート]]でも、ある程度の大きさ以上のものは操船席(ヘルムステーション、フライブリッジなど)が右舷側となり、それとは異なる中央配置のものを「センターコンソーラー<ref>{{lang-en-short|centre consoler}}</ref>」と呼び、区別している。
 
 
航空業界では船舶の文化や慣習が持ち込まれており、大型の航空機を『[[シップ]]』、最高責任者を「[[キャプテン]]」、[[乗務員]]を「[[クルー]]」、積荷の出し入れをする側をポートサイドと呼び、原則として右側通行である。また法的に座席の指定はないが、キャプテンは左席(ポートサイド)に着席するのが一般的となっている。
 
 
== 船の長所と短所 ==
 
=== 長所 ===
 
<!--船の長所以外は書き込まないで下さい!-->
 
* 法と気象の条件を満たせば港・洋上を問わず任意の場所に長期間待機が可能。
 
**待機中は推進機関の停止が可能なため、待機時のコストが低い。このため災害派遣時には被災地の沖合に拠点を作ることが出来る。
 
* 大量・大型[[貨物]]輸送が(一度に)可能である
 
** 陸上運搬が困難な巨大な重量物も容易に運搬することができる
 
** 一度に大量の貨物を少人数の船員で運搬できる
 
* 低速で良ければ長距離での輸送コストが非常に低い
 
** 高速航行を求めなければ、エネルギー効率が良く、燃料も安価な[[重油]]などが使用できるため、燃費が非常に良い。低速航行であれば造波抵抗は小さいままで粘性摩擦抵抗や粘性圧力抵抗が抵抗の主体となり、大型船にすればするほど燃費は向上して大量の輸送物を低コストで運べる。
 
* 陸上交通と異なり、海や湖を隔てた国や地方同士での輸送が行える
 
* 交通インフラとして[[港]]の整備だけで済む。効率は劣るが、港がなくても[[ヘリコプター]]で荷物を積み下ろしすることも可能。
 
** 自然災害や戦災で交通インフラが崩壊した地域にも、大量の救援物資を運べる
 
** 陸上交通では[[道路]]や[[鉄道|鉄路]]が必要だが建設と保守のコストが非常に高額となり、用地取得と騒音・[[排気ガス]]の問題が発生する
 
** [[航空機]]では[[空港]]の整備が必要となる。用地取得と騒音問題等が発生する。
 
* 道路や[[鉄道]]の建設を行うにしても、[[山]]や[[川]]といった地形によってルートが制約される陸上交通と異なり、繋がった水上であればどこへでも行ける
 
* 航空機や陸上交通機関では困難な、巨大船の建造が可能である
 
** 船舶は航空機や車輌と比べて大きさの割に安く作れる
 
** 比較的幅が取れるので船内設計の自由度が高く、航空機や車輌に比べて多様な船室設計が行える
 
* 海や塩湖では船に[[塩害]]対策を施すことが前提となるが、他の交通手段と比べて可動部分が少ないために寿命が長い<!--可動部分は劣化に応じて交換や補修することが前提です-->
 
* 航空機・鉄道と比べ[[気象]]による影響を比較的受けない
 
* 航空機と比べれば[[事故]]や異常事態発生時のリスクが少ない<!--
 
* エネルギー効率が、各種の運輸機器の中で最も優れ、鉱石や石油など重量物の運搬に特に優れている 要出典    [http://www.ett.gr.jp/energy/pdf/3_10.pdf]では鉄道が最高とされており、単に低速での重量物の運搬に優れているのでは?。-->
 
 
=== 短所 ===
 
<!--船の短所以外は書き込まないで下さい!-->
 
* [[速度]](航海速力)が遅い
 
** 日本一早い[[ビートル (高速船)|ビートル]]でも45[[ノット]](約80km/h)、[[フェリー]]に限ると[[ナッチャンRera]]の36ノット(約67km/h)、[[貨客船]]に限ると[[おがさわら丸]]の22.5ノット(約42km/h)である
 
** 水面面積が狭い[[海峡]]・[[水道 (地理)|水道]]・[[湾]]・[[川]]・[[運河]]・[[湖]]など、それ以外で船の行き来が多い水域では後述の制動距離が長い影響で速度が出しにくい
 
** [[橋]]や水底[[トンネル]]の利便性には対抗できない
 
** [[スクリュープロペラ]]での推進の場合、速度向上に限界がある
 
*** スクリュープロペラが高速回転になるにつれて航海速力が頭打ちとなる
 
** 速度が遅いために、陸から遠く離れることによる弊害が発生する
 
*** 長距離航海の場合、[[船員]]の家庭生活や陸上との繋がりが阻害される傾向があり、食事を含む休息時の環境と人間関係も固定的である。これらにより[[先進国]]では[[海事]]への就労者が減る傾向にも繋がっている。
 
*** 陸路と比べれば事故や[[災害]]時、非常時の逃げ場が限られ、発見と救援にも困難が伴う
 
*** [[海賊]]に襲撃されるリスクがある
 
*** 急病時の対応に制約がある
 
* 速度が向上するにつれて[[エネルギー効率]]が悪くなり、[[燃費]]が悪くなる
 
** 陸上での移動車輌はおもに[[車軸]]の転がり抵抗や走行による[[空気抵抗]]が速度とエネルギー効率(燃費)を決めているが、水を押し分けながら進む船舶では水の密度と[[粘性]]のために抵抗が大きく、特に[[造波抵抗]]は速度向上を阻みエネルギー効率(燃費)の増悪を産む
 
** [[ウォータージェット推進]]や水中翼船は高速であるが、エネルギー効率が悪い
 
* [[制動距離]]が長い
 
** [[ブレーキ]]は特殊な競技船などを除けば備えておらず、ほぼすべての船舶では全力後進 (Full Astern) によって制動が掛けられても制動距離は長い。さらに全力後進は全力前進と比べても、[[スクリュープロペラ]]の位置や[[機関]]の制約などによって効果が劣り、また、多くの船では前進から後進への切り替えに時間が掛かる。通常の船ではスクリュープロペラが後進回転すれば[[舵]]の効力が著しく低下する。
 
* 転針・進路変更が遅い
 
** 船が進路を変更するには舵が動いて船体が向きを変え(転針)、船体側面で水から圧力を受けることで船が持つ[[慣性]]力が偏向されて進路が変わるまでに時間が掛かる。スクリュープロペラが前進方向で回転しなければ舵の効率は極端に悪い。
 
* 乗りなれないと[[船酔い]]を起こすことが多く、旅客運送としては欠点となる
 
* 迅速に積み下ろしを行うには[[港]]を用意しなければならない
 
** 港がない場合は[[ヘリコプター]]や[[艀|はしけ]]の利用も可能だが、積み下ろしの効率が劣る
 
** 大型化する船に合わせて[[浚渫]]工事や[[埠頭]]の[[荷役]]設備等も改良する必要がある
 
** 用地取得、[[漁業権]]、接続交通路等の問題が生まれ、環境への配慮も必要となる
 
* [[河川]]のない内陸では使えない
 
* 陸路と比べ運航時間が[[気象]]に左右される傾向がある
 
* 橋や[[運河]]、海峡によっては高さや幅、深さに制約がある
 
* 内陸では季節により水量不足で運航できない場合がある。湖沼、外洋でも、[[凍結]]により運航できない場合がある。
 
* 大型船では小さなトラブルでも大惨事となり得る
 
** [[油槽船]]の事故などでは、他の交通機関に比べてその規模と[[環境]]に与える影響が大きくなる
 
** [[旅客船]]では千人規模での犠牲者を出すこともある
 
* [[バラスト水]]による自然[[生態系]]への悪影響がある
 
 
== その他 ==
 
=== 外航船における日本人船員の減少 ===
 
日本の外国航路船舶の船員は早い時期からコスト削減のために[[フィリピン]]など東南アジアを中心とする外国人の採用を進めたため、例として日本郵船の外国人船員の割合は1886年の32%(187人/580人)から2003年の89%(14,838人/16,631人)へと変化している。2006年には外航船の日本人船員数は2,650人であり<ref name = "まるごと! 船と港">森隆行著 『まるごと! 船と港』 同文館出版 2008年3月19日初版発行 ISBN 978-4-495-57861-9</ref>、2008年には日本人の船員数は3,000人を切った<ref name = "防衛調達改善と天下り削減">清水信一著 「軍事研究 2008年4月号」『防衛調達改善と天下り削減』 ジャパン・ミリタリー・レビュー 2008年4月1日発行</ref>。
 
 
しかし、日本の内航船においては[[カボタージュ]]の規制があるため、現在も内航船員は日本人のみである。
 
 
=== 日本の船会社が運航する日本籍船の減少 ===
 
日本の船会社が運航する日本籍船の船数は1972年から減少を続け、代わりに外国船籍の船を日本の船会社が借りて運航するようになっている。1978年に外国船籍の船数が日本船籍の数を越えて以後は、日本船籍が減り続け、2006年の統計データではついに95隻で、日本の船会社が運航する全2,223隻の4%にまでなった。
 
 
このように、日本の船会社が日本船として登録を避ける原因は主に、高い税金(登録免許税、固定資産税)、最低2名の日本人乗員の乗組み規定、国際条約での規定を超える日本独自の高いレベルの設備・検査規定などがある<ref name = "まるごと! 船と港"/>。
 
 
=== 操船の自由 ===
 
世界的にはプレジャーボートなどの操船に免許は不要である<ref>http://www.cruz-net.com/Gen/rule.html</ref>。
 
 
船籍を日本以外にしておけば、日本の免許を取得する必要は無く<ref>http://www.cruz-net.com/Gen/rule.html</ref>、また日本の小型船舶免許は、日本の領域から出たら効力はない<ref>http://www.cruz-net.com/Gen/rule.html</ref>。また、大型船においては有資格者が見張りをしている状態で有資格者の指示を受けて操船する場合、無資格者でも操船することができる。かつては操舵長や操舵手は無資格者が多かったが、現代では自動化により多くの船員は必要とされず保険会社の規約も厳しいため国際航海では無資格者は訓練中や資格取得前の船員が中心である。かつては小型船舶においても同様のことが可能であったが、法改正により現在では原則として有資格者が自ら操舵をしなければならない。
 
 
次の要件を全て満たしていれば免許不要で船舶検査を受けなくても操船できる。
 
* 登録長が3m(約10フィート)未満であること
 
* 推進機関が1.5kW(2馬力)未満であること
 
* 直ちにスクリュープロペラの回転を停止することができる機構を有する船舶でまたは、その他のスクリュープロペラによる人の身体の傷害を防止する機構を有する船舶
 
 
=== 乗客 ===
 
国際的に、貨物船でも12名までなら乗客を運搬しても構わないとされており、1970年代と1980年代には欧米の若者の間で貨物船による安価な海外旅行が流行った時期がある。1950年代、指揮者の[[小澤征爾]]は音楽修行のために[[フランス]]に渡るのに貨物船を利用している。現在でもインターネットで検索すればこういったルートは発見できるが、多くの船会社はテロや海賊のリスクを考慮して身元の不確かな乗客の乗船には積極的でなくなっている。日本では鹿児島や沖縄の離島との交通手段として現在でも地元の人にとっての貴重な存在になっている。
 
 
=== 歴史的な分類名称 ===
 
* ビランダー : 2本マスト小型商船
 
* [[キャラベル船|キャラベル]] : 小型帆船
 
* [[キャラック船|キャラック]] : 大型武装商船
 
* [[クリッパー (船)|クリッパー]] : 高速帆船、快速帆船、スキッパー級帆船(後に、高速ヨットを指す)
 
* [[フリゲート]] : 帆走快速軍艦
 
* [[ガレオン船|ガレオン]](ガリオン、ガリオン船) : 軍用・貿易用大型帆船
 
* [[ガレー船|ガレー]] : 主な推力に人力によるオール(櫓)を用いた大型船
 
** トライリーム : 三橈漕船(さんどうそうせん)、両舷に三段のオールの漕ぎ口があるガレー船
 
* [[クナール]] : バイキングの用いた船
 
** [[ロングシップ]] : バイキングの用いた大型船
 
* [[リバティ船|リバティシップ]] : 第二次大戦中に大量建造された貨物船。仕様を標準化し、建造期間が短かった。
 
** ビクトリーシップ : 第二次世界大戦中のリバティシップを改良して建造された高速性の優れたビクトリーの名を付けた貨物船の種類。
 
* マン・オブ・ウォー(man-of-war) : 武装帆船
 
* [[Qシップ]](Qボート) : 第一次大戦中に英国が建造したドイツ軍[[Uボート]]対策の艦
 
* 汽船・[[蒸気船]] : 推力の動力として蒸気機関を用いた船を指すが、現代では外輪船等の旧式の蒸気船を指すことが多い。
 
* [[戦列艦]] : 多数の砲門を備え一定以上の速力・旋回力・耐久力を持つ大型軍用帆船
 
 
=== POSH ===
 
昔の大英帝国と植民地インドとの航海では、アフリカの南端、喜望峰をまわって長旅をしていた。この旅では英国からインドへ向かう往路のインド洋では右舷側が太陽光を浴びて暑くなり、反対にインドから英国への帰路には左舷側が太陽に焼かれたので、客室の料金もその反対側が高額であった。
 
 
このため、裕福な人々はつねに日陰側である往き : 左側({{lang-en-short|port}})、帰り : 右側({{lang-en-short|starboard}})での船旅を楽しんだ。ここから、「{{lang|en|port-out starboard-home}}」が裕福な人の表現となり、縮めて「{{lang|en|POSH}}」と呼ばれた。
 
 
=== 比喩的な「ふね」 ===
 
船の呼称は一般的に「何々号」・「何々丸」などとして命名されるが、海上の「ふね」が大海原に比して狭小であることから、特定の事象に於ける物体中または空間中における狭小な乗り物を「ふね」と呼ぶ。加えて、設備が軽微なふねでは「板子一枚下は地獄」の喩えで用いられるように、周辺に比して「ふね」の外殻の脆さから運命共同体や生活としての意味を含み、これが転じて宇宙的な規模で地球を表現する際は「地球号」のように「ふね」を用いた表現をする。
 
 
=== 熟語、慣用句 ===
 
* 乗りかかった船 : いったん物事を始めてしまった以上、途中でやめることができないこと。
 
* 渡りに船 : 困っていたところに、おあつらえ向きの条件が整うこと。
 
* 船頭多くして船山登る : 指図するものが多くて意見がまとまらずに、物事があらぬ方向へ向かってしまうこと。
 
* 船を漕ぐ : 眠そうなさま。または居眠りをしている様子。
 
* 硯池法船(けんちほうせん) : 精進して来世を願い、経文を静かに写すこと。[[写経]]の様子。
 
* 呉越同舟(ごえつどうしゅう) : 敵味方が偶然出会ってしまうさま。[[孫子 (書物)|孫子]]より。
 
* 南船北馬(なんせんほくば) : 所々方々をたえず旅していること。[[淮南子]]より。
 
 
=== 排ガス規制 ===
 
船舶については、陸上の自動車などのような排ガス規制が存在せず、野放し状態であり、大型船1隻で5000万台の自動車に相当する汚染物質を排出している記事もある。<ref>[http://www.theguardian.com/environment/2009/apr/09/shipping-pollution Health risks of shipping pollution have been 'underestimated']</ref>
 
 
== 出典 ==
 
* 池田宗雄著 「船舶知識のABC」 成山堂書店 第2版 ISBN 4-425-91040-0
 
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== 関連項目 ==
 
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* [[大型船舶]]
 
* [[飛行船]]
 
* [[用船契約]]
 
* [[w:Dynamic positioning|Dynamic positioning]]
 
* [[w:Environmental impact of shipping|Environmental issues with shipping]]
 
* [[w:Factory ship|Factory ship]]
 
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* [[w:Glossary of nautical terms|Glossary of nautical terms]]
 
* [[w:Marine electronics|Marine electronics]]
 
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* [[w:Maritime history|Maritime history]]
 
* [[海事法]]
 
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* [[船舶工学]]
 
* [[海軍]]
 
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* [[セーリング]]
 
* [[帆船]]
 
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* [[捕鯨船]]
 
* [[旅客船]]
 
* [[クルーズ客船]]
 
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2018/10/18/ (木) 23:15時点における最新版

(ふね、舟、舩)

人や貨物を水上輸送するために用いられる運搬具。日本では船,舶,舟,艇などの字が用いられるが,舶は大型船に,舟と艇は小型船に,船は大小を問わず一般的に用いられることが多い。構造上から,(1) 筏 (いかだ) ,(2) くり舟,(3) 皮舟,(4) 縫合せ船,(5) 外板を釘で結合した形を保つためにあとから骨組みを組込んだ船,(6) 最初に骨組みをつくってそれに外板を張った船,の6種に,使用目的からは (1) 軍艦,(2) 商船,(3) 特殊船の3種に分類することができ,さらに材料上から木船木鉄交造船鉄船鋼船コンクリート船などに,推進方法によって櫓櫂船 (ろかいせん) ,帆船汽船モーター船 (内燃機船) ,原子力船などにそれぞれ分類することができる。

船として知られる最古のものは,前 6000年にエジプトの壁画に描かれた弓形の葦船で,前 4000年頃のエジプトでは筏や葦船の域を脱した形態の船がつくられていたことが知られている。初めは櫂で推進するだけであったが,やがて四角帆を備えて追い風を利用するようになった。前 1500年頃には,クレタ人とフェニキア人が軍艦と商船を使い分けるようになり,ガレー船と呼ばれる櫂で推進する細長い船が戦闘用に用いられた。前 700年頃のガレー船には上下2段の櫂が設けられていた。古代ギリシアにいたって,キール (竜骨) ,船首材,船尾材,フレームで骨組みをつくって外板を張る新しい造船術が確立した。ギリシア=ローマ時代には3段櫂のガレー船が導入され,速力が向上した。一方商船は,櫂のスペースを節約するため,推進力をますます帆に頼る設計になっていった。ローマの商船の帆は後方約 45度までの風を利用することに成功し,大いにその機動性を高めた。中世の地中海沿岸では,船体になめらかな外板が使われ,表面摩擦が著しく軽減できるようになった。これにより大型の商船をつくることが可能となり,大三角帆船が登場した。これは,帆桁の倒し方によって,三角帆のどちら側からも風を受けることができるため,四角帆と違って向い風でも進むことができた。一方バイキングは,船首と船尾が高く,厚板の頑丈な船体と,大きく丈夫で柔軟な一枚布の四角帆を備えた戦闘ガレー船を発展させた。

13世紀には,これを改良し商船化した小型船が地中海へ進出し,大三角帆船と交渉するようになった。やがて,両船の特徴をあわせもつガレオン船の前身となる大帆船が生れた。帆はより小さく効率的に改良され,四角帆と三角帆を組合せた古典的な形の艤装船の時代を迎え,商船と軍艦は再び同一の基本型をとるようになった。 14~17世紀のいわゆる大航海時代を迎えると船も飛躍的な進歩をみせ,15世紀中頃になって3檣 (しょう) 3帆の船が現れ,同世紀末には4本マストと8枚の帆を装備した船も現れている。 16世紀に入ると各国が競い合って多くの有名な船を建造,この間に構造や帆装にも多くの改善が施された。 19世紀なかば,帆船はその最盛期を迎え,流線型の快速船に姿を変えたが,19世紀末には蒸気船にほぼ取って代られた。

蒸気船は,1801年イギリスの技師 W.サイミントンがスコットランドのフォース,クライド両運河で引き船として実用化したのに続いて,6年後アメリカの発明家 R.フルトンが,ハドソン川のニューヨーク-オールバニ間で操業を始めた。当初その4分の1は帆船を引く作業であったが,まもなく世界で初めての蒸気船の定期運航が開始された。蒸気船が本格的に帆船と競うにはさらに数年の技術的進歩を要したが,50年には帆船と同じ速度で航行できるようになり,海洋進出も果した。初期の蒸気船は低圧エンジンを用いたため,動力を上げるにはエンジンを大型化するしかなかったが,70年には大型化は限界に達していた。このため,蒸気圧を上げるためより効率的な蒸気ボイラがつくられ,同じ蒸気を繰返し利用するエンジンが考案された。やがて蒸気をより大きなシリンダに送り込むことに成功し,1900年代初めには2万馬力以上の動力が実現した。一方,スクリュープロペラの完成で,波浪の高い外洋では不向きな外車船が姿を消した。推進力のうえでの大躍進は,1884年にイギリスの技師 C.パーソンズが発明した初の蒸気タービンに始る。タービンは往復蒸気エンジンよりはるかに効率的で生産が容易であったが,プロペラが早く回りすぎる欠点があった。この問題は 1910年頃,低速ギアが取入れられて解決した。軽量で効率的なタービンの登場によって,20世紀初めには大型快速船がつくられるようになり,さらに効率のよいディーゼル機関や,潜水艦の潜水時間を延ばした原子力蒸気タービンなどへと発展した。

帆船時代は木造のものが主流で,木製のキールに木製の肋骨を載せ,厚板を肋骨に釘で打付けていた。 18世紀に船底包板,のちには鉄の被覆が船体の保護に用いられた。初めて鉄船がつくられたのは 1818年で,船体は鉄の肋骨に支えられて打合された鉄板であった。

80年鋼船が鉄船を一掃し,1950年頃には船体の溶接が実用化された。 19世紀なかば以降,船はさらに大きさ,速度,安全性を増し,特に旅客船が北大西洋を頻繁に往来した。大洋定期便の時代は 1900年頃から第2次世界大戦勃発まで続いた。旅客船は戦後再開され 1950年代に最盛期を迎えたが,60年代に入って長距離ジェット旅客機の運航が確立されるとともに,その需要は急激に低下した。一方,戦後の国際貿易の拡大は貨物輸送を盛んにした。 19世紀末頃から穀物や石油などの必需品を大量に輸送する船が出現していたが,戦後,大量輸送船のなかでも石油タンカーは巨大化を続け,70年代なかばには 50万t級のタンカーがつくられた。一般貨物専用の輸送船も規格化が進み,積降ろしが容易にできるよう改良された。現在ではほかに,埠頭との間に架橋を渡し貨物を積んだ車両ごと積降ろしのできるロールオン・ロールオフ船,貨物を満載したはしけをそのまま格納できるラッシュ船などの特殊な輸送船も現れている。




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