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(第二次世界大戦以前)
 
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{{出典の明記|date=2017年8月}}
 
{{参照方法|date=2017年8月}}
 
[[File:Principe-de-Asturias Wasp Forrestal Invincible 1991 DN-ST-92-01129s.jpg|thumb|300px|手前から、[[スペイン海軍]]の[[軽空母]]「[[プリンシペ・デ・アストゥリアス (空母)|プリンシペ・デ・アストゥリアス]]」、[[アメリカ海軍]]の[[強襲揚陸艦]]「[[ワスプ (強襲揚陸艦)|ワスプ]]」、アメリカ海軍の正規空母「[[フォレスタル (空母)|フォレスタル]]」、[[イギリス海軍]]の軽空母「[[インヴィンシブル (空母)|インヴィンシブル]]」]]
 
[[File:USS Enterprise FS Charles de Gaulle.jpg|thumb|300px|アメリカ海軍の[[原子力空母]]「[[エンタープライズ (CVN-65)|エンタープライズ]]」(左)と[[フランス海軍]]の原子力空母「[[シャルル・ド・ゴール (空母)|シャルル・ド・ゴール]]」(右)]]
 
  
'''航空母艦'''(こうくうぼかん、{{lang-en-short|aircraft carrier}})は、航空機を多数搭載し、海上における航空基地の役割を果たす軍艦<ref>防衛学会『国防用語辞典』朝雲新聞社80頁</ref>。略称は'''空母'''(くうぼ)。
 
  
1921年の[[ワシントン海軍軍縮条約|ワシントン軍縮会議]]では、「水上艦船であって専ら航空機を搭載する目的を以って計画され、航空機はその艦上から出発し、又その艦上に降着し得るように整備され、基本排水量が1万トンを超えるものを航空母艦という」と空母を定義している<ref>柿谷哲也『知られざる空母の秘密』SBクリエイティブ10頁</ref>。1930年の[[ロンドン海軍軍縮会議|ロンドン海軍軍縮条約]]で基本排水量1万トン未満も空母に含まれることになった<ref>『別冊歴史読本永久保存版 空母機動部隊』新人物往来社145頁</ref>。
+
'''航空母艦'''(こうくうぼかん、{{lang-en-short|aircraft carrier}})
  
== 種類 ==
+
飛行機を発着艦させ,格納および補給整備などができるように建造された[[軍艦]]。空母と略称される。
;満載排水量による分類
 
:;大型空母 (large aircraft carrier, CVB)
 
::満載排水量5万トン以上の空母<ref>柿谷哲也『知られざる空母の秘密』SBクリエイティブ18頁</ref>。
 
:;[[軽空母]] (light aircraft carrier , CVL)
 
::満載排水量2万トン以下の空母<ref>柿谷哲也『知られざる空母の秘密』SBクリエイティブ18頁</ref>。
 
  
;設計による分類
+
格納庫が設けられ,飛行機の発着に便利なように,最上甲板を平坦な飛行甲板とし,艦橋や煙突などは舷側にはり出している。短距離での発着艦を容易にするため,艦を風上に向けて甲板上の対気速度を上げ,飛行甲板と同一平面をなす[[カタパルト]](射出装置)で発艦させ,着艦の際は飛行機に装備されている格納式フックを甲板の左右方向に張られたワイヤロープにかけて停止させる。管制室は,飛行甲板の片方の舷側の上部構造内に位置している。
:;[[正規空母]] (aircraft carrier, multi-purpose aircraft carrier , CV)
 
::最初から空母として設計、建造された空母。[[大日本帝国海軍|日本海軍]]で用いられた分類。
 
:;[[改造空母]](特設空母)
 
::空母以外の艦船を改造して空母にしたもの。
 
:;[[MACシップ]](Merchant aircraft carrier 商船空母)、[[護衛空母]]
 
::商船に飛行甲板を設けた艦船。日本海軍では護衛空母という名前で分類した<ref>柿谷哲也『知られざる空母の秘密』SBクリエイティブ18頁</ref>。[[大日本帝国陸軍|日本陸軍]]でも全通式の飛行甲板を備えたタンカーの[[特TL型]]がある。
 
:;[[原子力空母]] (nuclear-powered aircraft carrier, multi-purpose aircraft carrier (Nuclear-Propulsion) , CVN)
 
::[[原子力船]]の空母。
 
  
;役割による分類
+
1910年11月,アメリカ合衆国が[[巡洋艦]]『バーミンガム』の甲板上に仮設したプラットフォームから飛行機を離艦させることに成功,翌 1911年1月18日にはサンフランシスコ湾で,戦艦『ペンシルバニア』の後甲板上に設けたプラットフォームに,ワイヤロープを着艦制動に利用して飛行機を着艦させ,次いで飛び立たせることに成功した。
:;[[護衛空母]] (escort aircraft carrier , CVE)
 
::商船を敵潜水艦から護衛するための小型空母<ref>柿谷哲也『知られざる空母の秘密』SBクリエイティブ18頁</ref>。
 
:;[[対潜空母]]
 
::対潜機を主に搭載する空母<ref>柿谷哲也『知られざる空母の秘密』SBクリエイティブ18頁</ref>。
 
:;攻撃空母
 
::[[攻撃機]]を主力として搭載する空母<ref>柿谷哲也『知られざる空母の秘密』SBクリエイティブ18頁</ref>。
 
:;[[ヘリ空母]](helicopter carrier , CVH)、ヘリコプター搭載護衛艦
 
::複数のヘリコプターを搭載し、それを離着させられる飛行甲板や格納庫などを備えた航空母艦<ref>デジタル大辞泉</ref>。ヘリ空母という名前は強襲揚陸艦や複数の[[ヘリコプター]]を搭載する艦を指して使われることもあるが、これは新聞社やテレビ局が便宜上使用している名称である<ref>柿谷哲也『知られざる空母の秘密』SBクリエイティブ18頁</ref>。
 
  
;類似する艦船
+
イギリス海軍も空母の実験を行ない,第1次世界大戦中に,商船を改造した初の本格的空母『アーガス』を完成させた。1922年3月,給炭艦を改造し名前も『ラングリー』と改めたアメリカ初の空母が艦隊に加わった。1922年12月に就役した日本の空母『[[鳳翔]]』は,初めから空母として設計・建造された世界初の軍艦だった。空母が最初に戦闘で使われたのは第2次世界大戦の序盤であった。
:;[[航空戦艦#航空巡洋艦・航空駆逐艦|航空巡洋艦、重航空巡洋艦]]
 
::空母の航行を禁止している海峡を通行するためにロシアが使用している空母の艦種名<ref>柿谷哲也『知られざる空母の秘密』SBクリエイティブ10頁</ref>。[[1936年]]締結された[[ボスポラス海峡]]と[[ダーダネルス海峡]]の航空母艦通過禁止を定めた[[モントルー条約]]に対する政治的処置である。[[ソビエト連邦]]の[[キエフ級航空母艦|キエフ級]]および「[[アドミラル・クズネツォフ (空母)|アドミラル・クズネツォフ]]」の公式分類。
 
::また、後半分を水上機母艦に部分改装された日本海軍の[[重巡洋艦]]「[[最上 (重巡洋艦)|最上]]」も航空巡洋艦と呼ばれることがある。
 
:;[[水上機母艦]]
 
::水上機を搭載し、その行動基地としての役割を持つ軍艦。水上機以外を搭載する航空母艦が登場する前の[[第一次世界大戦]]当時、航空母艦とは水上機母艦を指すのが一般的であった<ref>『別冊歴史読本永久保存版 空母機動部隊』新人物往来社140頁</ref>。
 
:;[[強襲揚陸艦]] (amphibious assault ship , Landing Helicopter Assault, LHA)
 
::全通飛行甲板を持ち、航空機を運用できる揚陸艦。搭載する主力が航空機ではなく、上陸する兵員であるため、空母とは呼ばない<ref>柿谷哲也『知られざる空母の秘密』SBクリエイティブ18頁</ref>。
 
:;[[航空戦艦]]
 
::航空機の発艦を可能した[[戦艦]]。日本海軍の「[[伊勢 (戦艦)|伊勢]]」、「[[日向 (戦艦)|日向]]」がこれに改装された。艦尾の主砲2基を撤去して、その跡に格納庫とカタパルト2機を装備したが飛行甲板は持たず、攻撃機の発艦のみを行い着艦は行なわず、他の空母か陸上基地への着艦・着陸が前提であった。
 
:;[[潜水空母]]
 
::日本海軍の[[伊四百型潜水艦]]の俗称。[[特殊攻撃機]]「[[晴嵐]]」3機を搭載できる潜水艦。
 
  
== 特徴 ==
+
1941年12月7日(日本時間 8日)に行なわれた日本の[[艦載機]]による[[真珠湾攻撃]]は,空母の潜在能力を劇的に示し,以後空母は海軍の主役となった。第2次世界大戦後に主流となったジェット機は従来より重く,加速は遅く,着艦速度は速いという問題をかかえていたが,イギリスは,蒸気を動力としたスチーム・カタパルト,進行方向に対して斜めを向いた飛行甲板(アングルド・デッキ),ミラー着艦信号システムによって,これらの問題を解決した。
=== 戦略 ===
 
空母は[[第二次世界大戦]]で艦隊の[[主力艦]]としての地位を確立し、[[機動部隊]]等の中枢として活躍した。大戦後の[[核兵器]]、[[ミサイル]]、[[原子力潜水艦]]等の出現で空母の脆弱性、存在価値が議論されたが、海上作戦の実施には依然として各種航空兵力が必須であり、海洋のどこにでも進出できる機動性、通常戦や核戦争から平時におけるプレゼンスに至る様々な場面に対処できる柔軟性と、空母の防御力強化などによって海軍力の中心的存在の地位を保持している<ref>防衛学会『国防用語辞典』朝雲新聞社80頁</ref>。
 
  
空母の攻撃力の大半は空母そのものの性能ではなく、搭載する航空戦力の規模や力量に左右される<ref>河津幸英『図説21世紀のアメリカ海軍 新型空母と海上基地』三修社92頁</ref>。攻撃の目的は主に、自国軍の陸上兵力の支援と攻撃してきた勢力の軍事施設などに爆撃する報復攻撃がある<ref>柿谷哲也『知られざる空母の秘密』SBクリエイティブ14頁</ref>。高度な電子頭脳を持ち、自動航行装置で長距離を飛行し、正確に目標に命中する小型高速[[ジェット機]]の「[[トマホーク (ミサイル)|トマホーク]][[巡航ミサイル]]」の出現によって、空母とその[[艦載機]]の戦術は、最初に巡航ミサイルで敵防空施設、対空装備を破壊し、対空脅威のなくなった後、艦載機が命中精度の優れた大威力の高性能爆弾を投下し、敵の重要施設や拠点を破壊する方法に変わった。これは[[偵察衛星]]、[[無人航空機]]による偵察活動と連携して行われる<ref>『別冊歴史読本永久保存版 空母機動部隊』新人物往来社11頁</ref>。
+
1960年9月24日,アメリカは初の原子力空母『エンタープライズ』を就役させた。その後,潜水艦探知のための大量の電子機器を搭載した軽空母や強襲揚陸用のヘリ空母など,さまざまな型式が生まれている。
 
 
アメリカが運用する空母打撃群の最大の役目は、制海権の獲得と保持にあり、その任務は、経済航路・軍事航路の防護、[[アメリカ海兵隊|海兵]]水陸両用部隊の防護(進出から作戦地域内まで)、国家的関心地域におけるプレゼンスの構築の3点に集約される<ref>河津幸英『図説21世紀のアメリカ海軍 新型空母と海上基地』三修社196頁</ref>。空母打撃群内での大型空母の任務は、示威行動、空中・海上・陸地に対する広域の攻撃力にある<ref>河津幸英『図説21世紀のアメリカ海軍 新型空母と海上基地』三修社95頁</ref>。
 
 
 
[[空母打撃群]]の搭載機の役割には次のようなものがある。地上・対艦攻撃のため、防御システムを有する敵地や敵艦隊へ接近・侵攻し攻撃する能力を有する[[F/A-18 (航空機)|F/A-18C/D ホーネット]]または[[F/A-18E/F (航空機)|F/A-18E/F スーパーホーネット]][[戦闘爆撃機|戦闘攻撃機]]。これらは対空戦のため、自部隊に接近する敵航空機を捕捉し撃墜する能力も有する。地上・対艦攻撃を効果的に行うために敵の[[レーダー]]や通信を無力化する能力を有する[[EA-6 (航空機)|EA-6B プラウラー]][[電子戦機]]。上空警戒・航空管制のため、高性能レーダーを有する航空機を艦隊上空や攻撃部隊の後方に飛ばして、空域の警戒と航空管制を行う[[E-2 (航空機)|E-2C ホークアイ]][[早期警戒機]]。自艦の周囲に存在する[[潜水艦]]を探索して攻撃するための[[SH-60 シーホーク|SH-60F シーホーク]][[対潜哨戒機#哨戒ヘリコプター|哨戒ヘリコプター]]。救難活動や人員輸送に当たる[[UH-60 ブラックホーク#HH-60H レスキューホーク / HH-60J ジェイホーク|HH-60H レスキューホーク]]、人員や荷物の輸送を担当する[[C-2 (航空機・アメリカ)|C-2A グレイハウンド]][[輸送機]]及び後継機の[[V-22 (航空機)|CMV-22B オスプレイ(艦上輸送機型)]]。
 
 
 
[[アメリカ海軍]]では、[[1952年]][[10月]]の艦種種別変更で、「攻撃目的任務の艦:CVA(攻撃型空母, attack aircraft carrier)」、「対潜目的任務の艦:CVS(対潜空母, anti-submarine warfare support aircraft carrier)」と名称を分類し、1961年の「[[エンタープライズ (CVN-65)|エンタープライズ(CVN-65)]]」就役に伴い「CVAN(攻撃型原子力空母, nuclear-powered attack aircraft carrier)」が追加されたが、その後、[[1975年]][[6月]]に、「多目的空母(正規空母):CV」、「多目的原子力空母(原子力空母):CVN」の2種類に統合している。
 
 
 
アメリカ海軍と[[カナダ海軍]]では、類別略号として「CV」を用いる。「CV」が何の略であるかは諸説ある。C=Cruiserとして「V」は、aViationのVという説、[[艦上機]]の主翼を前から見た姿がVの字だからという説、特に意味はなくCruiserのCで始める略号は既に多くの文字が使われており、あいていたのがたまたまVであったという説。CV=Carrier Vesselとする説もある<ref>『英和・和英 米軍用語辞典 第3次改訂版』(森沢亀鶴、学陽書房、ISBN 4-313-95007-9)</ref>。[[ドイツ]]においては正規空母はRB、軽空母はRLに類別されている。また[[ルゾフォニア|ポルトガル語圏]]の[[ブラジル]]においては正規空母はNAe、軽空母はNAeLに類別されている。
 
 
 
=== 構造 ===
 
{{出典の明記|date=2017年9月|section=1}}
 
;[[飛行甲板]]
 
[[File:USS Deyo with Admiral Kuznetsov.jpg|thumb|250px|「アドミラル・クズネツォフ」(奥)のスキージャンプ式飛行甲板]]
 
:空母の最大の特徴は、舷側に寄せられたアイランド以外にさえぎるものの無い平らな甲板である。飛行甲板の面積は、着艦・離艦・エレベーターへの移動などを考えるとできるだけ広いことが重要である。空母黎明期は、イギリス式の多数の飛行甲板を持つ空母(「[[フューリアス (空母)|フューリアス]]」と[[グローリアス級航空母艦|グローリアス級]]が二段、竣工時の「[[赤城 (空母)|赤城]]」および「[[加賀 (空母)|加賀]]」が三段甲板)もあったが、アメリカやフランスは当初から広い一枚甲板を採用しており、後にイギリスや日本も航空機の大型化に伴い一段甲板に統一された。ハリアーを運用する空母やカタパルトを持たないロシア空母は、甲板の先端を上に反らせて[[スキージャンプ]]甲板としている。
 
{{main|アングルド・デッキ}}
 
[[File:Cvnanim.gif|thumb|250px|]]
 
:飛行甲板には、艦の後部から左舷に向けて斜めに設けた'''アングルド・デッキ'''がある。直線の甲板では発艦と着艦の動線軸が重なっているため、着艦の際に発艦待機中の搭載機と衝突する危険もあり、発着作業を同時に行うことができなかった。アングルド・デッキは空母の軸線から約9度ずらして設計されており、エレベーターや駐機スペースは着艦動線から外れた部分に設置されるため、事故も起こりにくく、デッキの先も海であるため、着艦に失敗した場合の緊急再離陸、緊急停止装置の使用、オーバーランも危険が少なく、発着艦作業も同時に行える(ただし、同時に行うことはほぼない)。1950年代にイギリスが考案し、1952年にアメリカがエセックス級空母「アンティータム」を改造してから装備が始まった<ref>野神明人、坂本雅之『図解 空母』新紀元社58頁</ref>。ソ連のキエフ級空母にも斜め甲板が採用されたが、これは艦橋の前部にミサイルや砲塔などの固定武装を搭載したためで、発着を重視したアングルド・デッキとは意図が異なる<ref>野神明人、坂本雅之『図解 空母』新紀元社59頁</ref>。アングルドデッキは垂直離着陸機を使用する軽空母では特に必要とされないため基本的には採用されない。
 
 
 
;[[カタパルト]]
 
:カタパルトとは艦船から航空機を発艦させる射出機のことで、空母の艦載機の大型化とともに発達してきた。空母にカタパルトが装備されたのは、アメリカで飛行甲板の限られたスペースを有効活用するため、圧縮空気と油圧装置を介して航空機が加速する仕組みの'''油圧式カタパルト'''で、第二次世界大戦中、1934年就役の「レンジャー」や「ヨークタウン」級に初期型が装備され、エセックス級や護衛空母に使用された<ref>野神明人、坂本雅之『図解 空母』新紀元社64頁</ref>。第二次世界大戦後、レシプロ機に代わりジェット機が台頭してきた。推進力を得るために長時間を要するジェット機を艦載機として使用するには、滑走距離が長くなる問題があった。そこで短距離で飛び出させるためにカタパルト技術の開発が進み、力量不足であった油圧カタパルトに代わり、'''蒸気カタパルト'''が登場した<ref>『別冊歴史読本永久保存版 空母機動部隊』新人物往来社10頁</ref>。燃料や武器を搭載したジェット機を発艦させられる強力な蒸気カタパルトはイギリスで開発され、1955年に完成したアメリカの「[[フォレスタル (空母)|フォレスタル]]」から実用化された<ref>野神明人、坂本雅之『図解 空母』新紀元社64頁</ref>。次世代用に[[電磁式カタパルト]]が開発され、米中露の次世代艦より艤装が予定されている。
 
 
 
;アイランド
 
: 英語で島を意味するアイランドは、艦橋・マスト・煙突類が一体となった構造物。航空機の運用だけを考えれば無いほうが良いので、極力小型化して甲板の右舷側に寄せて設置される。現在まで左舷側にアイランドを設けたのは日本の「赤城」と「飛龍」のみ。太平洋戦争までの小型空母にはアイランドを設けない艦もあった(「アーガス」、「[[龍驤 (空母)|龍驤]]」など)。
 
;[[格納庫]]
 
: 航空機を安全に保管し整備する場所。過去格納庫は1層式(アメリカとフランス)、2層式(日本とイギリス)、3層式(「赤城」と「加賀」)があったが、高さのあるジェット機を運用する現在は1層式が一般的。格納庫内では機体の整備ができる設備が整っている。
 
; 航空燃料タンク
 
: 空母は、揮発しやすく燃えやすい航空燃料を大量に搭載している。太平洋戦争では、「[[レキシントン (CV-2)|レキシントン]]」と「[[大鳳 (空母)|大鳳]]」の2隻が、航空燃料の引火爆発が原因で沈没した艦として有名。現在の[[ジェット燃料]]は[[ガソリン]]よりも引火しにくいが、一旦火がつけば大事故になる。そこで空母の航空燃料タンクとその配管は厳重な防火・防漏・消火対策が施されている。
 
; 弾薬庫
 
: 航空燃料タンクと同様、万全の防火・消火対策が施されている。航空燃料タンクと弾薬庫は、両方とも艦中央部の艦底付近(敵の攻撃による火災から最も遠い場所)に設置されている。
 
; 艦船用燃料タンク
 
: 原子力空母では自艦用の燃料タンクが不要になった事で、航空燃料や弾薬を多く積む事で継戦能力が高まった上に、随伴する水上戦闘艦艇へ補給する為の燃料を積載する事も可能となっている。
 
; 着艦誘導装置
 
: [[計器着陸装置|電波誘導]]・[[光学着艦装置|光学式誘導]]・着艦誘導員のパドルによる合図等さまざまな装備が設置されている。アメリカでは1950年代ごろまでLSO(着艦信号士官)が両手にパドルを持ちそれによって誘導を行っていたほか、日本やフランスは後述する光学着艦装置の原型ともいえる着艦指導灯を使用していた。
 
: アメリカやイギリスでも艦載機のジェット化に伴う着艦速度の高速化により、より遠くから正確に誘導する必要が出てきたため遠くからでも視認しやすいミラー・ランディング・システムが開発され、後にそれを発展させたFLOLS(フレネルレンズ光学着艦装置)が開発された。
 
: また各種の電子兵装が充実した正規空母であれば電波誘導により自動的に着艦させることも可能である。
 
; 油圧式着艦制動装置
 
: 甲板上に浮かせた状態で数本張られた[[アレスティング・ワイヤー]]を、着艦する機体の[[アレスティング・フック]]で引っ掛けて、強力なブレーキ力を発生させる。開発当時は縦索式と横索式の二通りがあり、縦索式はイギリスと日本が、横索式はフランスとアメリカが採用し研究していた。
 
: 縦索式は首尾線方向に百本ものワイヤーを張り、着艦機が主脚間に装備する櫛形フックに引っ掛けて摩擦力を利用する形式で開発が容易だったが制動力に著しく劣り事故が絶えなかった。そのため、イギリスでは1926年から1931年までは着艦制動装置禁止令を出してしまった。
 
: 一方、横索式は飛行甲板の左右方向に張られた数本のワイヤーを着艦機の後部に装備したフックに引っ掛けて停止する方式である。1911年1月18日に[[装甲巡洋艦]]「[[ペンシルベニア (装甲巡洋艦)|ペンシルベニア]]」に設置された仮設飛行甲板への世界初の着艦において既にこの仕組みは考案済みであったが、実用化には16年と長い年月が必要でフランスが実用化したのが1927年の「[[ベアルン_(空母)|ベアルン]]」であった。後に日本、イギリスもフランスより技術導入して1931年までに横索式に切り替えることとなった。今日の空母が採用しているのも横索式である。
 
: 他に非常時に使う、機体全体を受け止めるバリケード(滑走制止装置)もある。
 
; ブライドル・レトリーバー
 
: カタパルト延長線上の飛行甲板前縁斜め下方に角のように突き出した構造。初期のカタパルトはシャトルと艦載機の接続に、射出と同時に分離して前方へ投棄されるブライドル・ワイヤーと呼ばれる鋼索を使用していた。当初は発艦ごとの使い捨てだったこのワイヤーを回収するための装備である。現在では艦上機の脚部にカタパルトのシャトルと直接接続できる機構が備わっているものがほとんどとなったのでブライドル・ワイヤーが不要となり、新型・近代化改修を受けた最近の空母には見られないことが多い(またブライドル・ワイヤーが使い捨てだった時代の空母にも見られない)。
 
; エレベーター
 
: 下層にある格納庫甲板から最上甲板である飛行甲板に艦上機を上げるための装置である。通常は四角形だが、イギリスでは飛行機の形に合わせた十字型のものもあった。アメリカのエセックス級にもアングルド・デッキを備えるSCB-125近代化の際に第一エレベーターが長方形に前方をすぼませた六角形となったものがあった。第二次大戦期の多くの空母ではエレベーターは艦の中心線上にあったが、強度と航空機運用に問題があったため現在の大型空母は飛行甲板の両外側に舷側エレベーターを設置している。
 
: 小型の軽空母では舷側にエレベーターを設けると悪天候時に[[海水]]が格納庫に浸入する恐れがあるため、艦の中心線上にエレベーターを設けている。
 
: 中心線上へのエレベーター設置は格納庫面積を圧迫してしまう事になり、格納可能な機数が減少するデメリットでもある。なおイギリスでは「リフト」と呼ぶ。
 
 
 
== 歴史 ==
 
=== 第二次世界大戦以前 ===
 
{{main|気球母艦}}
 
洋上航空兵器を運用する艦船は、[[気球母艦]]が始まりである。1849年7月12日、[[オーストリア=ハンガリー帝国海軍|オーストリア海軍]]は気球母艦から[[熱気球]]を発艦させ、[[爆弾]]の投下を試みたが、失敗した。[[南北戦争]]では[[ガス気球]]が使用され、ガス発生装置を備えた艦が建造された。
 
 
 
[[File:La Foudre.jpg|thumb|250px|left|水上機母艦となった「[[フードル (水上機母艦)|ラ・フードル]]」]]
 
[[File:Ark Royal NARA 45513193.jpg|thumb|250px|水上機母艦「[[アーク・ロイヤル (水上機母艦)|アーク・ロイヤル]]」]]
 
{{main|水上機母艦}}
 
1912年、[[フランス海軍]]が[[機雷敷設艦]]の「[[フードル (水上機母艦)|ラ・フードル]]」を改装し、水上機8機の収容設備と滑走台を設置し、世界初の[[水上機母艦]]を就役させた。
 
1914年7月、[[第一次世界大戦]]が勃発。日本海軍では、1914年8月に運送船の[[若宮_(水上機母艦)|若宮丸]]を改装して特設水上機母艦とした。9月、若宮丸は[[青島攻略戦]]に参加。ファルマン水上機を搭載し、偵察行動を行う<ref>『別冊歴史読本永久保存版 空母機動部隊』新人物往来社6頁</ref>。
 
 
 
[[File:HMS Furious-2.jpg|thumb|250px|「フューリアス」(1918年時)]]
 
[[第一次世界大戦]]当時、「航空母艦」とは水上機母艦のことであり、「航空母艦」と称するのが一般的であった<ref>『別冊歴史読本永久保存版 空母機動部隊』新人物往来社140頁</ref>。水上機はフロートという飛行中には役に立たない重量物がある分、陸上機より性能が劣っていた。そのため、列強海軍で陸上機を運用できる母艦の研究が進められ、日本海軍のように「山城」の主砲の上に滑走路を設けて飛行機を発進させる方法や[[イギリス海軍]]のように「フューリアス」の前甲板の主砲を撤去して飛行甲板を設ける方法で実験が行われたが、これらは発艦させることはできても着艦させることはできなかった<ref>『別冊歴史読本永久保存版 空母機動部隊』新人物往来社140頁</ref>。1910年11月14日、アメリカでは、[[軽巡洋艦]]「[[バーミングハム (CL-2)|バーミンガム]]」に仮設した滑走台から陸上機の離艦に成功した。翌1911年1月18日には[[装甲巡洋艦]]「[[ペンシルベニア (装甲巡洋艦)|ペンシルベニア]]」の後部に着艦用甲板を仮設し、離着艦に成功した。
 
 
 
第一次世界大戦では陸上機を発着させられる軍艦(後の航空母艦)は出現しなかったが、戦後の1920年代初頭、日米英海軍は航空母艦と艦載機を開発した<ref>『別冊歴史読本永久保存版 空母機動部隊』新人物往来社6頁</ref>。1918年9月、世界初の全通飛行甲板を採用した英海軍の「アーガス」が竣工した。第一次世界大戦終結の直前の時期であり、実戦には参加しなかった<ref>『別冊歴史読本永久保存版 空母機動部隊』新人物往来社140-141頁</ref>。1918年1月、最初から空母として設計された「[[ハーミーズ (空母・初代)|ハーミーズ]]」がイギリスで起工される(完成は[[1924年]])。ハーミーズに遅れて起工したものの、世界初の新造空母になったのは、[[1922年]]12月27日に完成した日本の「[[鳳翔 (空母)|鳳翔]]」だった<ref>『別冊歴史読本永久保存版 空母機動部隊』新人物往来社141頁</ref>。
 
 
 
[[File:Bearn 1928.jpg|thumb|250px|条約により空母となった「ベアルン」]]
 
1921年、ワシントン軍縮会議において、「水上艦船であって専ら航空機を搭載する目的を以って計画され、航空機はその艦上から出発し、又その艦上に降着し得るように整備され、基本排水量が1万トンを超えるものを航空母艦という」とされ<ref>柿谷哲也『知られざる空母の秘密』SBクリエイティブ10頁</ref>、そこで締結されたワシントン海軍条約では、戦艦の保有比率が米英に対し日本はその6割と規定されたのと同じく、空母も米英が排水量13万5,000トンで日本は8万1,000トンと6割に当たる量であり、また、各国とも建造中止となる戦艦を二隻まで空母に改造することが認められた<ref>『別冊歴史読本永久保存版 空母機動部隊』新人物往来社142頁</ref>。ワシントン海軍軍縮条約を受けた各国の空母建造状況は、以下の通り。
 
* 日本 - 「[[赤城 (空母)|赤城]]」、「[[加賀 (空母)|加賀]]」 - 最初は「赤城」と「天城」の予定であったが、天城は[[関東大震災]]で破損したため、代わりに解体予定だった加賀を空母に改装した<ref>『別冊歴史読本永久保存版 空母機動部隊』新人物往来社142頁</ref>。
 
* アメリカ - 「[[レキシントン (CV-2)|レキシントン]]」、「[[サラトガ (CV-3)|サラトガ]]」
 
* イギリス - 「フューリアス」、「[[カレイジャス (空母)|カレイジャス]]」、「[[グローリアス (空母)|グローリアス]]」
 
* フランス - 「[[ベアルン (空母)|ベアルン]]」
 
 
 
[[File:USS Yorktown (CV-5) embarking aircraft at Naval Air Station North Island, in June 1940 (80-G-651042).jpg|thumb|250px|「[[ヨークタウン (CV-5)|ヨークタウン]]」]]
 
1930年、ロンドン海軍条約が締結され、基本排水量1万トン未満も空母に含まれることになった<ref>『別冊歴史読本永久保存版 空母機動部隊』新人物往来社145頁</ref>。ワシントン海軍条約では基準排水量1万トン未満は空母の保有排水量の合計に含まれないとされたため、日本は基準排水量8,000トンの水平甲板型の小型空母「[[龍驤 (空母)|龍驤]]」を建造しようとしたが、ロンドン海軍条約で1万トン未満も空母にカウントされるようになると、設計変更をして飛行機の搭載可能数をできるだけ増加させた<ref>『別冊歴史読本永久保存版 空母機動部隊』新人物往来社145頁</ref>。また、「[[蒼龍 (空母)|蒼龍]]」、「[[飛龍 (空母)|飛龍]]」も当初は巡洋艦としての砲撃能力を持たせようとしていたが、この条約の影響で、島型艦橋を持つ空母として建造されることになった。さらに、水雷艇が転覆した[[友鶴事件]]や暴風雨による船体破損が起こった[[第四艦隊事件]]の影響で、武装による復元力低下、船体強度不足など基本性能の見直しがあり、「蒼龍」は基準排水量が増加した。「飛龍」は建造中にロンドン海軍条約の失効が確実となり(1936年に日本脱退)、「蒼龍」より無理のない設計となった<ref>『別冊歴史読本永久保存版 空母機動部隊』新人物往来社146頁</ref>。同時期に、アメリカは排水量制限に余裕があり、無理のない設計で、「[[レンジャー (CV-4)|レンジャー]]」、「ヨークタウン」、「エンタープライズ」、「ホーネット」、「[[ワスプ (CV-7)|ワスプ]]」を建造している<ref>『別冊歴史読本永久保存版 空母機動部隊』新人物往来社147頁</ref>。
 
 
 
1936年、ワシントン・ロンドンの両海軍条約が破棄され、自由な設計が可能になった。日本海軍は巨砲を持つ戦艦「大和」「武蔵」の建造とともに、基準排水量2万5,000トン、バルバス・バウ採用による高速化、炸薬量450キロの魚雷直撃に耐える防御力を図った「翔鶴」「瑞鶴」の建造に入り、1942年初頭に完成の予定だったが、アメリカとの情勢が緊迫し、工期を半年以上短縮した<ref>『別冊歴史読本永久保存版 空母機動部隊』新人物往来社147頁</ref>。アメリカでは、基準排水量2万7,100トン、格納庫甲板65ミリ・機関室上部38ミリ、両舷102ミリの装甲、サイドエレベーター装備の[[エセックス級航空母艦|エセックス級空母]]の建造に着手し、1942年末に竣工する<ref>『別冊歴史読本永久保存版 空母機動部隊』新人物往来社147-148頁</ref>。
 
 
 
第二次世界大戦前、空母とその艦載機に期待されたのは、主戦力と見なされていた戦艦の補助戦力として、艦隊防空や戦艦同士の決戦の間に巡洋艦などと協同し機を見て雷爆撃を加えることだった<ref>『別冊歴史読本永久保存版 空母機動部隊』新人物往来社7-8頁</ref>。
 
 
 
=== 第二次世界大戦 ===
 
[[File:Aircraft prepare to launch from Japanese carrier Shōkaku during Battle of the Santa Cruz Islands, 26 October 1942 (80-G-176150).jpg|thumb|250px|「[[翔鶴 (空母)|翔鶴]]」甲板上の艦載機]]
 
[[File:Attack on carrier USS Franklin 19 March 1945.jpg|thumb|250px|日本軍機の攻撃で大火災を起こしている「[[フランクリン (空母)|フランクリン]]」。消火用水を排出するために艦をわざと傾けている]]
 
1939年9月、[[第二次世界大戦]]が開戦。1940年11月、[[タラント空襲]]においてイギリス軍の戦艦を中心とした艦隊に所属していた空母イラストリアスの雷撃機がイタリアの戦艦を撃沈した。
 
 
 
1941年4月、日本は空母を主体とした[[第一航空艦隊]]を編制し、さらに、[[真珠湾攻撃]]のため、軍隊区分で他艦隊の補助戦力をこれに加え、史上初の用兵思想である「[[機動部隊]]」を編成した<ref>『別冊歴史読本永久保存版 空母機動部隊』新人物往来社69頁</ref>。12月、[[太平洋戦争]]の開戦時、日本が[[真珠湾攻撃]]でアメリカ艦隊の戦艦の撃沈に成功すると、空母航空戦力の地位は一気に上がった。戦艦を失ったアメリカは、戦艦部隊の防空兵力として行動していた空母を空母部隊にして「ヒットアンドラン作戦」で日本の拠点に空襲を開始した。その後、[[珊瑚海海戦]]、[[ミッドウェー海戦]]で日本の機動部隊と交戦し、日本の進攻を阻止した<ref>『別冊歴史読本永久保存版 空母機動部隊』新人物往来社99頁</ref>。
 
 
 
日本は戦前のワシントン海軍条約によって空母保有量を制限されていたとき、有事の際に短期間で空母に改造できるように設計された潜水母艦やタンカーを建造していた。それらは太平洋戦争が始まる前後から空母に改造され、潜水母艦「大鯨」は「[[龍鳳 (空母)|龍鳳]]」として、給油艦の「剣埼」と「高崎」は「祥鳳」と「瑞鳳」として就役した。また、水上機母艦の「千歳」「千代田」も有事の際に空母に改造できるように造られていた<ref>『別冊歴史読本永久保存版 空母機動部隊』新人物往来社148頁</ref>(千歳、千代田はミッドウェー海戦後に改造が決定する)。
 
アメリカでは空母化を目的に特務艦艇を設計することはなかったが、太平洋戦争の開戦後、空母兵力の増強が必要になると、基準排水量一万トン以下のクリーブランド級軽巡洋艦の船体を利用して、インディペンデンス級空母9隻を建造している<ref>『別冊歴史読本永久保存版 空母機動部隊』新人物往来社148-149頁</ref>。
 
 
 
1942年4月、[[セイロン沖海戦]]で日本がトリンコマリー攻撃中に、イギリス東洋艦隊の空母「ハーミーズ」を撃沈する。5月、[[珊瑚海海戦]]で、日本は軽空母一隻を撃沈され、アメリカは正規空母1隻及び駆逐艦1隻を撃沈された。史上初の機動部隊同士の海戦と言われる。この海戦によって日本の作戦は初めて中止された。6月、ミッドウェー海戦で、日本は空母4隻を失い、アメリカは空母1隻を失った。1942年7月、日本はミッドウェー海戦で壊滅した第一航空艦隊の後継として[[第三艦隊]]を編制する。
 
 
 
1944年3月1日、[[第二艦隊]](戦艦を中心とした部隊)と編合して[[第一機動艦隊]]が編制された。航空主兵思想に切り替わったという見方もあるが、実態は2つの艦隊を編合したに過ぎないという見方もある。ただ、前衛部隊を軍隊区分によらずに指揮下の部隊から充当できるようになった<ref>『別冊歴史読本永久保存版 空母機動部隊』新人物往来社74頁</ref>。アメリカで本格的な空母機動部隊が編成されたのは1943年の秋に始まる反攻作戦が開始された時期からだった<ref>『別冊歴史読本永久保存版 空母機動部隊』新人物往来社9頁</ref>。アメリカ海軍は兵力を艦型別に編成するタイプ編成と臨時に作戦任務部隊を編成する[[タスク編成]]を導入し<ref>『別冊歴史読本永久保存版『空母機動部隊』新人物往来社 101-102頁</ref>、1943年8月、空母を中心とした艦隊であるタスクフォース38が編成される。
 
 
 
1944年6月、[[マリアナ沖海戦]]で、日本は[[アウトレンジ戦法]]を実施し、アメリカは日本の攻撃隊を迎撃。日本は空母三隻を撃沈され、艦載機のほとんどを失った。「マリアナの七面鳥撃ち」と揶揄されたこの敗北は、アメリカ海軍がレーダー、無線電話など電子技術を活用した艦艇戦闘中枢CIC活動で、攻撃防御両面で艦載機が空母CICの管制を受けながら戦闘可能だったことも要因であった<ref>『別冊歴史読本永久保存版 空母機動部隊』新人物往来社9頁</ref>。11月、[[レイテ沖海戦]]では、日本は機動部隊の空母4隻全てを失う。11月15日、日本は第一機動艦隊及び第三艦隊を解体した<ref>『別冊歴史読本永久保存版 空母機動部隊』新人物往来社113頁</ref>。1945年8月15日、日本が降伏し、第二次世界大戦は終結。
 
 
 
開戦後に日本が建造に着手した空母は、[[雲龍型航空母艦|雲龍型]]6隻、軍艦や商船からの改造着手は8隻であるが、完成したのは、[[雲龍型航空母艦|雲龍型]]3隻、[[千歳型航空母艦|千歳型]]2隻、「信濃」、「雲鷹」、「冲鷹」、「海鷹」、「神鷹」であった<ref>『別冊歴史読本永久保存版 空母機動部隊』新人物往来社149頁</ref>。
 
 
 
この大戦では商船を改造した空母が使用された。アメリカは輸送船団をドイツ軍の[[Uボート]]から守るために、貨物船やタンカーの船体を流用した[[護衛空母]]が建造された。商船を改造したものは55隻、商船とほぼ同じ設計の船体を使用したものが69隻であった。滑走路が短いため、カタパルトを装備搭載し、本来の船団護衛、対潜攻撃だけではなく、太平洋方面の上陸作戦にも使用された。日本での商船を改造した空母は、飛鷹、隼鷹など「鷹」の文字が艦名に使われた7隻であったが、建造数も少なく、速力不足を補うカタパルトも開発できなかったので運用する飛行機を制限された<ref>『別冊歴史読本永久保存版 空母機動部隊』新人物往来社149頁</ref>。
 
 
 
=== 冷戦 ===
 
{{出典の明記|date=2017年9月|section=1}}
 
==== アメリカ ====
 
[[File:Artist's impression of the US Navy aircraft carrier USS United States (CVA-58) in October 1948.jpg|thumb|250px|建造中止になった「ユナイテッド・ステーツ」]]
 
[[File:USS Forrestal (CV-59) underway at sea in 1987 (NH 97657-KN).jpg|thumb|250px|アメリカの空母「フォレスタル」]]
 
1945年以降、冷戦が始まり、アメリカはソビエト本土への核攻撃能力を重要視し、比較的小型の航空機しか運用できない航空母艦の価値が低下したと考えられていた。海軍は海軍長官出身の[[ジェームズ・フォレスタル]][[アメリカ合衆国国防長官|国防長官]]の助けにより、核搭載可能な大型艦載機[[A-3 (航空機)|A3D]]の運用を前提とした排水量65,000トンの大型空母「[[ユナイテッド・ステーツ (空母)|ユナイテッド・ステーツ]]」の建造を計画するが、この大きさでもジェット機の運用は困難とされ、[[アメリカ空軍|空軍]]の[[B-36 (航空機)|B-36]][[戦略爆撃機]]との比較の結果B-36に軍配があがり、「ユナイテッド・ステーツ」は起工から5日目に建造中止されてしまう。
 
 
 
[[1950年]]6月25日、[[朝鮮民主主義人民共和国|北朝鮮]]が[[大韓民国|韓国]]へ侵攻し、[[朝鮮戦争]]が勃発する。韓国は総崩れとなり北朝鮮はさらに南へ侵攻、急遽アメリカは西太平洋に展開していたエセックス級「[[ヴァリー・フォージ (空母)|ヴァリー・フォージ]]」を[[朝鮮半島]]近海に進出させることを決定する。途中「ヴァリー・フォージ」はイギリス海軍コロッサス級「[[トライアンフ (空母)|トライアンフ]]」と合流し北朝鮮近海に進出、開戦8日後の7月3日から作戦に入った。空軍機の展開により対空戦闘の中心は空軍機に譲るが、停戦までの間に11隻のエセックス級空母が参戦し、主に対地攻撃を担当した。このうち1951年以後に参加したエセックスを含む4隻はジェット機対応の改装を済ませており、ジェット機による攻撃を行った(他の7艦はプロペラ機を搭載)。朝鮮戦争の戦訓から、空母の任務として対地攻撃が重視されるようになった。空母は即時展開可能な航空基地として有効であると認識されるようになり、空母不要論は一応の終結を見ることとなった。しかし、依然としてジェット機運用には問題が多く、着艦速度が速くても正確に着艦させることができる誘導システムと、重い機体を十分に加速させることができるパワーのある[[カタパルト]]が必要であった。従来の空母は甲板上から艦載機をすべて取り除かない限り、着艦のやり直しがきかなかったため、これも改善する必要があった。
 
 
 
1950年代、イギリスが発着を安全に行えるアングルドデッキを考案し、1952年にアメリカがエセックス級空母「アンティータム」を改造して最初に装備した<ref>野神明人、坂本雅之『図解 空母』新紀元社58頁</ref>。燃料や武器を搭載したジェット機を発艦させられる強力な蒸気カタパルトがイギリスで開発され、1955年に完成したアメリカの「[[フォレスタル (空母)|フォレスタル]]」から実用化された<ref>野神明人、坂本雅之『図解 空母』新紀元社64頁</ref>。「[[フォレスタル (空母)|フォレスタル]]」(6万トン)は、戦略核攻撃任務航空機を搭載し、アメリカ海軍は[[フォレスタル級航空母艦|フォレスタル級]]の改善・就役を行いながら1968年までに8隻の通常推進型空母を建造した。
 
 
 
[[File:USS CVN-65 Enterprise on Atlantic Ocean.jpg|thumb|250px|世界初の原子力空母「エンタープライズ」]]
 
[[File:USS Nimitz (CVN-68).jpg|thumb|250px|ニミッツ級原子力空母「[[ニミッツ (空母)|ニミッツ]]」]]
 
1955年、アメリカは艦船の原子力推進搭載第一号となる[[原子力潜水艦]]「[[ノーチラス (原子力潜水艦)|ノーチラス]]」を完成させる。通常推進に比べて原子力推進の利点は下記の通り。
 
* [[核燃料]]は1回補給すると少なくとも20年以上使えるため、航続距離が非常に大きくなる。通常動力型では大容量の燃料タンクが必要であったが、[[原子力船|原子力推進艦]]ではその必要が無い。
 
* 機関運転に際し大気中の酸素を必要とせず、排気も無い。[[潜水艦]]としては潜航し続けたまま長期の航海が可能。
 
この二点は隠密裏に長期の行動を要求される潜水艦にとって非常に有利であるが、原子力化は航空母艦にとっても大きな利点がある。
 
* 燃料消費を気にせずに長期間の高速航行が可能。また蒸気発生量に余裕があるので蒸気カタパルトの連続使用にも支障が無い。
 
* 自艦の燃料タンクが必要なくなるのでその分航空機の燃料などを多く積載でき、補給までの継続戦闘期間が長くできる。例えば通常動力推進の[[キティホーク級航空母艦|キティホーク級]]では自艦用の燃料7,828トンと航空機用燃料5,882トンを積載しているが<ref>読売新聞社編『大洋艦隊』p.59</ref>、原子力推進では自艦用燃料約8,000トンの積載量を航空燃料などの他の用途に回すことができる。
 
* 主機関に空気を送る送風システムと排気を煙突まで送る煙路が必要なくなるので、艦内配置に余裕ができる。更に通常推進艦では十分解決できなかった煙突からの高温排気による気流の乱れ(着艦機にとって重要な問題)の問題が解消される。
 
* マイナス面として、開発と建造・維持の費用が通常推進艦より高価であることが挙げられる。
 
 
 
1961年、就役させた3隻の空母のうち1隻を初の[[原子力空母]](「[[エンタープライズ (CVN-65)|エンタープライズ]]」)とした。また 同時に建造した原子力[[ミサイル巡洋艦]]「[[ロングビーチ (原子力ミサイル巡洋艦)|ロング・ビーチ]]」(15,111トン)、「[[ベインブリッジ (原子力ミサイル巡洋艦)|ベインブリッジ]]」(7,982トン)と協同して原子力艦隊を作ろうとした。しかし「エンタープライズ」は建造費があまりにも高くなったため、次に建造された空母2隻は一旦通常推進型に戻された。
 
 
 
1964年から始まった[[ベトナム戦争]]では「エンタープライズ」やほぼ同じ大きさの通常推進型のフォレスタル級やキティホーク級、より旧型で小さいエセックス級やミッドウェイ級など多数の空母が参戦し、その中で原子力空母のメリットが改めて確認された。その結果 1975年から「エンタープライズ」を更に改良した[[ニミッツ級航空母艦|ニミッツ級]]の量産建造が始まり、計10隻が建造された。ニミッツの建造に合わせて[[カリフォルニア級原子力ミサイル巡洋艦|カリフォルニア級]](10,150トン、2隻)や[[バージニア級原子力ミサイル巡洋艦|バージニア級]](11,000トン、4隻)の原子力ミサイル巡洋艦が建造されたが、この種の艦の建造は1980年完成のバージニア級の4番艦で終了し、その後建造されたミサイル巡洋艦は全て通常推進の[[タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦|タイコンデロガ級]](9,400トン、27隻)となった(原子力巡洋艦9隻は全て退役済み)。
 
 
 
1960年代後半には、アメリカ海軍の戦略核攻撃任務は[[潜水艦#弾道ミサイル潜水艦|弾道ミサイル潜水艦]]に任され、同任務に就いていた空母上の[[A-5 (航空機)|A-5]]超音速攻撃機は[[偵察機]]に改造されたが、[[A-4 (航空機)|A-4]]や[[A-6 (航空機)|A-6]]といった戦術攻撃機は1990年頃まで核攻撃能力を有していた。
 
 
 
==== アメリカ以外 ====
 
[[File:HMS Invincible (R05) Norfolk.jpg|thumb|250px|軽空母「[[インヴィンシブル (空母)|インヴィンシブル]]」]]
 
イギリスでは、1950年代、ジェット機でも運用できる強力な蒸気カタパルト、ミラーランディングシステム、[[アングルド・デッキ]]という現代空母の基礎となるものが開発され、空母の運用能力は大幅に向上した。しかし、イギリスでは、第二次世界大戦後に完成した4万トン級の「[[イーグル (空母・2代)|イーグル]]」や「[[アーク・ロイヤル (空母・2代)|アークロイヤル]]」等の正規空母の後継艦の建造を1960年代に計画するものの予算の面で断念、1970年代にはすべての正規空母は退役してしまった。
 
 
 
一時期、空母保有をあきらめた[[イギリス海軍]]は、[[対潜哨戒機#哨戒ヘリコプター|哨戒ヘリコプター]]多数を運用する全通甲板型指揮[[巡洋艦]]を計画したが、この計画中に[[イギリス空軍|空軍]]で使用されていた[[ホーカー・シドレー ハリアー]]に目をつけ艦上機型の[[BAe シーハリアー|シーハリアー]]を開発、これにより満載排水量20,000トン程の[[インヴィンシブル級航空母艦|インヴィンシブル級軽空母]]でも[[固定翼機]]を運用することが可能となった。これを[[軽空母]]として定義づけした。
 
 
 
イギリスで建造された[[コロッサス級航空母艦|コロッサス級]]と[[マジェスティック級航空母艦|マジェスティック級]]は小型の軽空母であったが、蒸気カタパルトとアングルド・デッキの装備などの改装・改設計により最低限のジェット艦上機運用能力を持っていたため、1960年前後にカナダ・オーストラリア・インドなどのイギリス連邦諸国やオランダ・ブラジル・アルゼンチンに売却または貸与されたので、これらの国でも空母を運用している時期があった。1970年代終わりにこれらの小型空母が老朽化した際に大半の国では後継空母の取得を諦めたが、インドはイギリス軽空母「[[ハーミーズ (空母・2代)|ハーミーズ]]」を購入し「[[ヴィラート (空母)|ヴィラート]]」として空母戦力を維持、ブラジルはフランスより「[[フォッシュ (空母)|フォッシュ]]」を購入して「[[サン・パウロ (空母)|サン・パウロ]]」として戦力を維持している。
 
 
 
1982年、[[アルゼンチン]]とイギリスとの間で行われた[[フォークランド紛争]]が発生。軽空母とシーハリアーの組み合わせで艦隊防空において「空戦での損失ゼロに対し撃墜23機」という予想以上の成果を上げたため、[[スペイン]]・[[イタリア]]・[[インド]]・[[タイ王国|タイ]]など他の多くの国で採用されることになったが、艦載機に早期警戒能力が無かったため、アルゼンチン[[攻撃機]]の低空攻撃を許した。後に[[SH-3 シーキング]]を改修し、現在までヘリコプターを[[早期警戒機]]として運用している。フォークランド紛争以後、ヘリコプターと[[航空機の離着陸方法#垂直/短距離離着陸機|V/STOL機]](シーハリアー)の組み合わせでの運用が確立され、以後建造される軽空母の方向性を決定した。S/VTOL機を搭載する軽空母や強襲揚陸艦は、ハリアーの旧式化による退役で、第5世代機のF-35Bの搭載が主軸になる。
 
 
 
[[File:Charles De Gaulle PascalSubtil 1.jpg|thumb|250px|フランス海軍の原子力空母「シャルル・ド・ゴール」]]
 
フランスでは、1961年以後自国技術により、3万トン級の[[クレマンソー級航空母艦|クレマンソー級]]2隻を建造した。フランスは政治的にアメリカ追随ではなく独自の歩み方をすることを選択し(対米自立外交)、[[シャルル・ド・ゴール|ド・ゴール]]が大統領時代の1966年に[[北大西洋条約機構]]から脱退した。以後フランスはアメリカに頼らない独自の空母戦力維持に力を注いでおり、現在は4万トンの原子力空母「[[シャルル・ド・ゴール (空母)|シャルル・ド・ゴール]]」1隻を運用中である。
 
 
 
ソビエト連邦では、海上航空勢力の整備を目指し、まず[[垂直離着陸機]]とヘリコプターを運用する4万トン級の[[キエフ級航空母艦]]を1975年から4隻作った後、1991年に6万トンの重航空巡洋艦「[[アドミラル・クズネツォフ (空母)|アドミラル・クズネツォフ]]」を建造した。
 
 
 
=== 冷戦後 ===
 
{{出典の明記|date=2017年9月|section=1}}
 
[[1989年]]の[[マルタ会談]]での[[冷戦]]終結を受け、[[1991年]]に[[戦術核兵器]]の撤去が始まり、[[1992年]][[7月]]には当時の[[ジョージ・H・W・ブッシュ]][[アメリカ合衆国大統領|大統領]]が航空母艦から戦術核兵器の撤去が完了したと発表した。
 
 
 
2000年以降、4万~6万トン級でCTOL機を運用する中型正規空母が各国で建造され、イギリスでは、ハリアー自体が旧式化したこともあり、このクラスの空母も次第に退役するか、空母自体は運用されていてもハリアーの運用を終了もしくは凍結して実質的にヘリ空母として運用されている。インヴィンシブル級でのハリアーの運用を2010年いっぱいで終了し、代わりに6万5,000トンクラスの[[クイーン・エリザベス級航空母艦|クイーン・エリザベス級]]を建造。また、インドも軽空母にかわり4万トン級中型正規空母を建造するなど、軽空母保有国から脱却しつつある。一方、軽空母保有国でもイタリアの「[[カヴール (空母)|カヴール]]」のような多目的空母としての運用や、スペインの「[[フアン・カルロス1世 (揚陸艦)|フアン・カルロス1世]]」など強襲揚陸艦での固定翼機の運用を行う国も現れている。
 
 
 
2006年、沖縄近海で護衛艦隊を伴った米空母「[[キティホーク (空母)|キティホーク]]」の8キロメートル範囲内に中国の[[039型潜水艦|宋級潜水艦]]が急浮上したが、このとき米軍は浮上まで同艦の存在にまったく気が付かなかった<ref>『読売新聞』2006.11.16</ref>。2009年、アメリカ海軍では最後の通常推進空母であった「キティホーク」が退役し、空母は全て原子力推進艦となった。
 
 
 
2015年、大型ジェット機も離着陸できる[[メガフロート]]空母という構想も出ているが、速力と防御力の面で問題がある為に実用化には至っていない。
 
 
 
== 現役の空母 ==
 
{{出典の明記|date=2017年9月|section=1}}
 
{{main|航空母艦一覧}}
 
空母あるいは空母に準ずる艦を保有し、もしくは保有を計画する諸国の近況を、以下に記す(あいうえお順)。
 
 
 
; {{USA}}
 
[[ファイル:USS Gerald R. Ford (CVN-78) underway on 8 April 2017.JPG|thumb|250px|「[[ジェラルド・R・フォード (空母)|ジェラルド・R・フォード]]」]]
 
: 第二次世界大戦後に建造された[[フォレスタル級航空母艦|フォレスタル級]]を皮切りに、[[キティホーク級航空母艦|キティホーク級]]/「[[エンタープライズ (CVN-65)|エンタープライズ]]」/[[ニミッツ級航空母艦|ニミッツ級]]/[[ジェラルド・R・フォード級航空母艦|フォード級]]と運用してきた空母は全て、超大型航空母艦(スーパー・キャリアー[[:en:Supercarrier]])である。さらに、2009年に最後の通常動力空母「[[キティホーク (空母)|キティホーク]]」が退役したことで、保有する空母は全て[[原子力空母]]となった。現在は11隻の空母が現役である。最新鋭艦の排水量は10万トンを超え、1隻で中小国の空軍以上の攻撃力を持つといわれる。原子力機関を搭載するため建造・維持・運用に莫大なコストを要求されるが、軍事上・外交上の切り札に位置づけられている。
 
: また、[[タラワ級強襲揚陸艦|タラワ級]]以降の[[強襲揚陸艦]]にはV/STOL機の運用能力が始めから付加されており、[[ハリアー II (航空機)|ハリアー II]]攻撃機により、必要に応じて補助空母的任務を遂行可能である。現在保有する強襲揚陸艦には[[F-35 (戦闘機)|F-35]]戦闘機のSTOVLタイプであるF-35Bへの対応改修も進められている。
 
: アメリカ空母の運用については2001年に報告された防衛方針QDR-2001に基づいた艦隊即応計画によると「6個[[空母打撃群]]が30日以内にあらゆる紛争地域に展開できる態勢を維持している」<ref>森本敏『米軍再編と在日米軍』p.17</ref>。このような長距離即応体制には、航続力の長い大型の原子力空母が非常に有利である。将来的には予算の大幅削減に伴い、空母の運用状況にも大きな影響が出ると予想されている。
 
: 今後、就役中のニミッツ級をジェラルド・R・フォード級に順次置き換えていく予定であるが、2017年に第45代[[アメリカ合衆国大統領]]に就任した[[ドナルド・トランプ]]は現役空母を1隻純増し、12隻体制とすることを含めた海軍の拡張計画を協議していると表明した<ref group="注">この案が通過した場合、ニミッツ級の置き換えは2027年頃の就役を予定しているジェラルド・R・フォード級3番艦9代目[[エンタープライズ (CVN-80)|エンタープライズ]]より行われることになる。 </ref>。
 
:*[[ニミッツ級航空母艦|ニミッツ級]] - 10隻(内1隻は炉心交換作業のため戦列を離れている)
 
:*[[ジェラルド・R・フォード級航空母艦|ジェラルド・R・フォード級]] - 1隻、1隻建造中、1隻計画中
 
:*[[ワスプ級強襲揚陸艦|ワスプ級]] - 8隻
 
:*[[アメリカ級強襲揚陸艦|アメリカ級]] - 1隻、1隻建造中、4隻計画中
 
{{-}}
 
 
 
; {{UK}}
 
[[ファイル:HMS Queen Elizabeth conducts vital system tests off the coast of Scotland MOD 45162795.jpg|thumb|250px|「[[クイーン・エリザベス (空母)|クイーン・エリザベス]]」]]
 
: 艦載機がジェット機に代わって以降も、第二次世界大戦中に起工した空母に各種改装を行い運用していたが、財政難により維持するのは不可能となった。[[海洋国家]]であるイギリスにとって対潜航空兵力は依然として重要であり、代案としてペリコプターを運用する飛行甲板を備えた小型艦が計画された。そんな中で空軍で開発中の垂直離着陸機[[ホーカー・シドレー ハリアー|ハリアー]]に着目、通常機に劣り、搭載数も少ないが、戦力として有望と考えられた。結果、艦載機版[[BAe シーハリアー|シーハリアー]] に対応したスキージャンプ等の運用設備が追加された[[インヴィンシブル級航空母艦|インヴィンシブル級]]となり、ソ連のキエフ級と共に現代的な軽空母として高い評価を受ける。
 
: しかし、続く財政難により2010年に発展型の[[BAe ハリアー II|ハリアーII]]が運用終了、STOVL空母からヘリ空母へ変更して使用していたインヴィンシブル級も2014年に全て退役した。減少した攻撃戦力を補うため、[[イギリス陸軍|陸軍]]が新たに導入した[[WAH-64 アパッチ]]を[[ヘリコプター揚陸艦]]「[[オーシャン (ヘリコプター揚陸艦)|オーシャン]]」に搭載することで対応している。
 
: インヴィンシブル級3隻の代替として、6万トンクラスのクイーン・エリザベス級2隻を建造、建造計画は搭載予定のF-35シリーズの開発遅延により幾度かの計画変更を余儀なくされたが<ref group="注">運用や搭載機のコストの問題から一時は運用艦は1隻として、もう1隻は予備役とすることが検討された。当時、STOVL機であるB型の開発が最も遅れていたことから、搭載機をB型からCATOBAR機のC型に変更、C型の運用が開始される頃に就役する予定の2番艦にのみカタパルト等の固定艦載機用の装備を艤装し、2017年に就役する予定だった1番艦はそれら装備を持たないヘリ空母として建造、2番艦の就役に伴い即応予備役に移される構想となった。最終的に搭載機はB型に戻り、両艦ともSTOVL空母として航空機運用能力は維持されることとなった。</ref>、1番艦が2014年7月に進水、2017年12月7日に就役。イギリス分のF-35Bはアメリカでの訓練に使用されているため、当面はヘリ空母として運用される。2番艦は2017年9月8日に進水式、12月21日に出渠した。入れ替わりに「オーシャン」が2018年3月27日に退役した。
 
:*[[クイーン・エリザベス級航空母艦|クイーン・エリザベス級]] - 1隻、1隻艤装中
 
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; {{ITA}}
 
[[ファイル:Cavour (550).jpg|thumb|250px|「[[カヴール (空母)|カヴール]]」]]
 
: ヘリコプター巡洋艦の代替として建造したV/STOL空母2隻を運用している。「カヴール」は近年のトレンドとして、多任務艦の能力を盛り込まれている。
 
: また、全通甲板を有する[[サン・ジョルジョ級強襲揚陸艦]](準同型艦の「サン・ジュスト」を含む)と「ジュゼッペ・ガリバルディ」の代替として、2017年から3万トン級強襲揚陸艦1隻の建造中である。
 
:*[[ジュゼッペ・ガリバルディ (空母)|ジュゼッペ・ガリバルディ]]
 
:*[[カヴール (空母)|カヴール]]
 
:*[[トリエステ]] - 建造中
 
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; {{IRN}}
 
: 2011年、[[イラン海軍]]副司令官が戦闘機とヘリコプターを搭載した空母の建造を明らかにしたことが報じられた<ref>「[http://gb.cri.cn/27824/2011/10/02/5551s3391842.htm  伊朗海军宣布建造航母计划引发国际社会关注]」[[中国国際放送]] 10月2日</ref><ref>「[http://japanese.joins.com/article/294/144294.html 中国の空母出現…周辺国の海軍力強化に火がつく]」[[中央日報]]、2011年10月04日</ref>。
 
: 2015年2月25日に、[[ホルムズ海峡]]近くで行われたイラン軍の演習「偉大な予言者9」において、イラン海軍はアメリカ海軍のニミッツ級を模した空母の大型模型を、対艦ミサイルや小型高速艇からの攻撃で爆破するデモンストレーションを行った。この演習の様子はイランニュースネットワーク(IRINN)やテヘランのFARSニュースエージェンシーで放映・公開されている<ref>「[http://www.sankei.com/west/news/150309/wst1503090005-n1.html  イランが米空母爆破の衝撃映像公開!? 実は激似の大型模型…対イスラム国で“共闘”しつつ示威行為に出る狙いは]」産経WEST(2015年3月9配信、2017年1月12日閲覧)</ref>。
 
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; {{IND}}
 
[[ファイル:ഐ.എൻ.എസ്. വിക്രാന്ത് കൊച്ചി കപ്പൽ ശാലയിൽ ഓഗസ്റ്റ് 2013.jpg|thumb|250px|「[[ヴィクラント (空母・2代)|ヴィクラント ]]」]]
 
:イギリスより[[マジェスティック級航空母艦|マジェスティック級]]「ハーキュリーズ」と[[セントー級航空母艦|セントー級]]「[[ハーミーズ (空母・2代)|ハーミーズ]]」を購入し、V/STOL空母「[[ヴィクラント (空母)|ヴィクラントI]]」、「[[ヴィラート (空母)|ヴィラート]]」として運用していたが2017年3月6日時点で両艦とも退役している。
 
:空母3隻保有を目指しており、まずヴィクラントIの代替として、旧ソ連の[[キエフ級航空母艦|キエフ級]]を購入・改装の上[[MiG-29K (航空機)|MiG-29K]]を搭載したSTOBAR空母ヴィクラマーディティヤを就役させている。続いてヴィラートの代替として、純国産のSTOBAR空母ヴィクラントII1隻を建造中である。さらにもう1隻、アメリカの技術協力を受けたスーパーキャリアクラスの国産空母の建造計画を構想している<ref>{{Cite news |title= 米、インド国産空母に技術協力 国防相会談|newspaper= 日本経済新聞|date= 2015-12-11|url= http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM11H1X_R11C15A2EAF000/|accessdate= 2015-12-12|format= |agency= |location= |publisher= |isbn= |issn= |oclc= |pmid= |pmd= |bibcode= |doi= |id= |page= |pages= |at= |language= |trans_title= |quote= |archiveurl= |archivedate= |ref= |postscript= }}</ref>。
 
:*[[ヴィクラマーディティヤ (空母)|ヴィクラマーディティヤ]]
 
:*[[ヴィクラント (空母・2代)|ヴィクラント]] - 艤装中
 
:*[[ヴィシャル]] - 計画中
 
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; {{EGY}}
 
[[ファイル:ENS Gamal Abdel Nasser LHD.jpg|thumb|250px|「[[ガマール・アブドゥル=ナーセル (揚陸艦)|ガマール・アブドゥル=ナーセル ]]」]]
 
:ロシアへの引渡しが中止となった下記の[[ミストラル級強襲揚陸艦]]2隻を購入。
 
:*[[ミストラル級強襲揚陸艦|ガマール・アブドゥル・ナセル級(ミストラル級)]] - 2隻
 
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; {{AUS}}
 
[[ファイル:Aerial photo of HMAS Canberra at RIMPAC 2016.jpg|thumb|250px|「LHD 02 キャンベラ」]]
 
: イギリスよりマジェスティック級「テリブル」、「マジェスティック」を「シドニー」、「メルボルン」として運用したが両艦とも退役している。「メルボルン」代替として、インヴィンシブル級を購入する計画もあったが頓挫している。現在はスペインの強襲揚陸艦「フアン・カルロス1世」の準同型艦2隻を運用している。V/STOL機の搭載は当面考えられていないが、スキー・ジャンプを備え、UAVの運用が考慮されている。
 
:*[[キャンベラ級強襲揚陸艦|キャンベラ級]] - 2隻
 
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; {{ESP}}
 
[[ファイル:Manoeuvring exercise 11 (22811737931).jpg|thumb|250px|「[[フアン・カルロス1世 (揚陸艦)|フアン・カルロス1世]]」]]
 
:アメリカのインディペンデンス級「[[カボット (空母)|カボット]]」を購入、「[[デダロ (空母)|デダロ]]」として運用後、その代替に[[制海艦]]構想の流れを汲んだV/STOL空母「[[プリンシペ・デ・アストゥリアス (空母)|プリンシペ・デ・アストゥリアス]]」1隻を運用していたが、両艦とも退役している。現在は2010年より、空母任務を考慮した強襲揚陸艦「フアン・カルロス1世」を運用しており、他国への準同型艦の販売も行っている。
 
:*[[フアン・カルロス1世 (揚陸艦)|フアン・カルロス1世]]
 
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; {{THA}}
 
[[ファイル:Chakri Naruebet 2001 stern view.JPEG|thumb|250px|「[[チャクリ・ナルエベト (空母)|チャクリ・ナルエベト]]」]]
 
: スペインに発注して建造された世界最小のV/STOL空母(「プリンシペ・デ・アストゥリアス」の縮小発展型)を1隻保有している。財政難の折、活動は不活発の模様。ハリアーは全機が保管状態にあり、実質的にヘリ空母としての運用下にある。
 
:*[[チャクリ・ナルエベト (空母)|チャクリ・ナルエベト]]
 
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; {{KOR}}
 
[[ファイル:ROKS Dokdo (LPH 6111).jpg|thumb|250px|「独島」]]
 
: 機動艦隊創設の一環として、本格的な全通甲板を採用した強襲揚陸艦「独島」を2007年に就役させた。3隻体制を目指しており、拡大発展型の韓国航空母艦(KCVX)等も構想されていたが、予算上の問題から3番艦及び空母の建造計画は破棄された。2番艦も予算や1番艦で発生した欠陥・事故から先送りされていたが、改良の上で2018年に進水、艤装が進められている。また、取り消しとなった3番艦についても建造事業再開が検討されている。
 
:*[[独島級揚陸艦|独島級]] - 1隻、1隻艤装中、1隻計画中
 
{{-}}
 
 
 
; {{CHN}}
 
{{main|中国の空母建造計画}}
 
: スクラップとして他国の退役空母を数隻購入していたが、その中で1998年に購入した旧ソ連が建造中止した「[[ヴァリャーグ (空母)|ヴァリャーグ]]」を、練習空母として建造再開、2012年9月25日に就役させた。
 
: 本格的な空母艦隊建設構想を固めており、2020年頃には通常動力空母2隻と、原子力空母2隻を整備する構想とされる。また、中国は将来的に強襲揚陸艦や軽空母の建造も視野に入れていると言われている。<ref>Defence News 4月22日</ref><ref>[[航空ファン (雑誌)]] 2011年11月号 p.60</ref>
 
: 国産空母は性質の異なるタイプが平行建造されている。2013年に大連造船廠にて1隻目の002型(遼寧(001型)の改良型であるため、一時001A型と呼ばれた)が起工、2017年進水し、早ければ年中に就役予定である。2隻目は江南造船所にて2015年に起工、こちらは排水量が拡大、カタパルト(蒸気式又は電磁式)を装備するとされている。また、2017年には滬東中華造船にて軽空母任務も考慮した強襲揚陸艦075型が2隻起工した<ref>[http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2017/03/31/2017033100716.html 中国海軍、軽空母クラスの強襲揚陸艦の建造を開始  [[朝鮮日報]]( 2017年03月31日配信)</ref>。さらに、大連造船廠では002型1隻、075型1隻の建造が始まっているのではないかとされている。
 
:*[[遼寧 (空母)|遼寧]]
 
:*[[001A型航空母艦|002型]] - 1隻公試中
 
:*003型 - 1隻建造中
 
:*075型 - 2隻建造中
 
{{-}}
 
 
 
; {{TUR}}
 
: 将来的にV/STOL機運用を検討しており、2016年より[[イスタンブール]]の造船所でスペインの強襲揚陸艦「フアン・カルロス1世」の2万トン級準同型のを建造している。
 
:*[[アナドル(強襲揚陸艦)|アナドル]] - 建造中
 
{{-}}
 
 
 
; {{JPN}}
 
{{main|海上自衛隊の航空母艦建造構想}}
 
[[ファイル:DDH-183 いずも (1).jpg|thumb|250px|[[ヘリ空母|ヘリコプター搭載護衛艦]]「[[いずも (護衛艦)|いずも]]」]]
 
: ほぼ全通飛行甲板を採用した[[おおすみ型輸送艦 (2代)|おおすみ型]]が建造されたが、本型にはヘリコプター搭載能力はなかった。対潜ヘリコプター3機を搭載・運用するヘリコプター搭載護衛艦 (DDH)の[[はるな型護衛艦|はるな型]]、 [[しらね型護衛艦|しらね型]]の代替として、それぞれヘリコプター11機を搭載可能なひゅうが型2隻とヘリコプター14機を搭載可能ないずも型2隻が2017年3月22日時点で就役している。
 
: 今後、[[V-22 (航空機)|オスプレイ]]と[[AAV7|水陸両用装甲車]]の採用に伴い、離島防衛能力強化として、おおすみ型のエレベータや甲板等の大規模改修が計画されており、実施されれば強襲揚陸艦に近い能力を得ることになる。一時、本格的な強襲揚陸艦の導入の調査予算の計上や視察調査が行われたが、平成29年度時点で防衛大綱や建造費の予算化などの建造に向けた動きはなかった。
 
: [[2017年]]12月、F-35Bの導入及びいずも型をF-35Bを運用可能な空母に改修する検討を開始したと政府関係者が話したと報じられた<ref>{{Cite web|url=https://www.jiji.com/jc/article?k=2017122600589&g=pol |title=護衛艦「いずも」空母化…離島防衛の拠点に (YOMIURI ONLINE)| accessdate=2017-12-26|date=2017-12-25}}</ref>。しかし、26日のこの報道に関する防衛大臣の会見では、そのような検討を防衛省では行っていないとしている<ref>{{Cite web|url=http://www.mod.go.jp/j/press/kisha/2017/12/26.pdf |title=防衛大臣記者会見概要 平成29年12月26日(11時15分~11時31分)| accessdate=2017-12-26|date=2017-12-26}}</ref>。
 
:*[[ひゅうが型護衛艦|ひゅうが型]] - 2隻
 
:*[[いずも型護衛艦|いずも型]] - 2隻
 
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; {{BRA}}
 
: 第二次大戦直後にイギリスから購入したコロッサス級「ヴェンジャンス」を「ミナス・ジェライス」して長らく運用。次いでフランスから購入したクレマンソー級「フォッシュ」を「[[サン・パウロ (空母)|サン・パウロ]]」として、空母も艦載機も旧式ながらCTOL空母を運用していた。しかし、2017年2月14日にサン・パウロの運用終了、運用空母はなくなった。
 
: 2018年にイギリスから退役した「[[オーシャン (ヘリコプター揚陸艦)|オーシャン]]」を購入することが決まり、イギリスにて改装が行われた後にアトランティコとして就役予定である。
 
{{-}}
 
 
 
; {{FRA}}
 
[[ファイル:Porte-avions Charles de Gaulle - Crédit Marine Nationale.jpg|thumb|250px|「[[シャルル・ド・ゴール (空母)|シャルル・ド・ゴール]]」]]
 
: アメリカやイギリスから購入した旧型空母を運用後、国産の[[クレマンソー級航空母艦|クレマンソー級]]を2隻建造したが、退役済みである。現在はアメリカ以外で唯一の原子力空母シャルル・ド・ゴールを1隻運用している。空母2隻体制を目標としているが、シャルル・ド・ゴール級の2番艦は財政難や設計ミスのため中止されており、その後にイギリスの[[クイーン・エリザベス級航空母艦|クイーン・エリザベス級]]の準同型艦を[[フランス次期空母]]として2隻目の空母とする計画が持ち上がるが、こちらも 2013年に中止となった。なお、[[フランス海軍]]は現在も引続き空母による核戦略を中心に置いており、空母シャルル・ド・ゴールとその艦載機ともに戦術核兵器の搭載・運用能力を維持している。
 
: また、非空母型の[[フードル級揚陸艦|フードル級]]を代替するため、全通飛行甲板を採用したミストラル級の建造を進めている。
 
:*[[シャルル・ド・ゴール (空母)|シャルル・ド・ゴール]](原子力空母)
 
:*[[ミストラル級強襲揚陸艦|ミストラル級]] - 3隻、1隻計画中
 
{{-}}
 
 
 
; {{RUS}}
 
: [[ソビエト連邦]]崩壊まではV/STOL空母キエフ級を4隻保有し、STOBAR空母アドミラル・クズネツォフ級2隻、カタパルトを備えた原子力空母[[ウリヤノフスク級原子力空母|ウリヤノフスク級]]2隻の建造を進めていたが、冷戦終結間際に就役したアドミラル・クズネツォフ1隻を除き、全て退役又は建造破棄されている。さらに、ソビエト連邦の空母を建造してきた黒海造船工場がウクライナの独立により接収されてしまい、空母の建造能力も失われてしまう事態となった。ロシアで維持・運用されたアドミラル・クズネツォフは財政難から2000年代初頭は極めて活動状況が鈍かったが、2007年頃から再び活発に外洋行動を繰り返すようになった。また、空母機能を強化する近代化改装がいくつか予定されており、そのための国内造船所の設備拡張、改修も進められている。また、比較的状態の良かったキエフ級の一隻はロシアの[[セヴマシュ|セヴマシュ造船所]]でSTOBAR空母へ改修を受けインドへ売却、アドミラル・クズネツォフ級の1隻はウクライナへ移管後に中国へ売却され、再建造されている。
 
: 2005年初頭、[[ロシア海軍]]総司令官[[ウラジーミル・クロエドフ]][[上級大将]]は、2010年までに新空母設計案をまとめて建造開始、[[北方艦隊]]配備の1番艦を2016年竣工、続いて[[太平洋艦隊 (ロシア海軍)|太平洋艦隊]]配備2番艦を建造開始するという内容の新空母建造計画を発表した。2006年2月に後任のロシア海軍総司令官である[[ウラジーミル・マソリン]][[大将]]が将来、5、6隻以上の航空母艦を展開させる計画を発表。さらに2008年、[[ドミートリー・メドヴェージェフ]][[ロシア連邦大統領|大統領]]は2015年までに2隻以上の新規原子力空母建造計画に着手すると表明した。新型空母の建造は近日中の予定はないが、2030年頃の就役を見込んでいるとされており、電磁カタパルトと新型原子炉RITM-200を備えた将来原子力航空母艦プロジェクト[[ロシア将来航空母艦|23000E「シトルム」]]のコンセプトが発表されている。
 
: また、強襲揚陸艦2隻以上の調達が決定され、フランスの[[ミストラル級強襲揚陸艦]]が選定される。引き渡し直前まで建造が進むが、[[2014年ウクライナ騒乱]]により西側からの経済制裁が行われたことで資金調達が難航、建造を行ったフランスも制裁の一環として引渡しを無期限延期した。最終的にミストラル級のロシアへの受領は中止・返金補償(詳しくは[[ミストラル級強襲揚陸艦#配備|該当項目]])となり、完成していた艦はエジプトへの売却された。このため、ロシアは国内造船所でロシア版ミストラル級とも言える2万4千トンクラスの「ラヴィーナ」、規模縮小した1万4千トンクラスの「プリボイ」等の汎用揚陸艦の設計を進めており、2022年頃の就役を目指している。
 
:*[[アドミラル・クズネツォフ (空母)|アドミラル・クズネツォフ]]
 
{{-}}
 
 
 
== 脚注 ==
 
{{脚注ヘルプ}}
 
=== 注釈 ===
 
{{reflist|group="注"}}
 
 
   
 
   
=== 出典 ===
 
{{reflist|2}}
 
 
== 参考文献 ==
 
* [[福井静夫]]『世界空母物語』 1993年3月 [[光人社]]
 
* [[江畑謙介]]・堀元美共著『新・現代の軍艦』 1980年 原書房
 
* 江畑謙介『最新・アメリカの軍事力』 2002年 [[講談社]]現代新書
 
* [[梅林宏道]]『在日米軍』 2002年 岩波新書
 
* 柿谷哲也『世界の空母』 2005年 [[イカロス出版]]
 
* 『世界の空母 ハンドブック』 [[世界の艦船]]別冊 [[海人社]]
 
* 『世界の艦船』 1991年4月号 「特集 アメリカの空母」 海人社
 
* 『世界の艦船』 1998年3月号 「特集 アメリカ空母の全容」 海人社
 
* [[森本敏]]『米軍再編と在日米軍』2006年 文春新書
 
 
== 関連項目 ==
 
* [[航空母艦一覧]]
 
* [[水上機母艦]]
 
* [[機動部隊]]
 
* [[タスクフォース]]
 
* [[航空艦隊]]
 
* [[空母打撃群]]
 
* [[海上自衛隊の航空母艦建造構想]]
 
* [[気球母艦]]
 
: 歴史上初めて航空機を運用した艦船。19世紀後半から20世紀初頭にかけて運用された気球を運用するための艦船。
 
* [[アクロン (飛行船)|アクロン]]・[[メイコン (飛行船)|メイコン]]
 
: 軍用機の移動基地として建造された飛行船。専用の軍用機をトラピーズと呼ばれる[[空中ブランコ]]で発着させる。第一次世界大戦後、アメリカ海軍が全長240mほどの巨大飛行船として開発したが、悪天候下の事故で失われ、以後は飛行船を航空基地として運用することはなくなった。
 
  
 
{{空母関連項目}}
 
{{空母関連項目}}
 
{{艦艇}}
 
{{艦艇}}
  
{{Normdaten}}
 
 
{{DEFAULTSORT:こうくうほかん}}
 
{{DEFAULTSORT:こうくうほかん}}
 
[[Category:航空母艦|*]]
 
[[Category:航空母艦|*]]

2018/8/12/ (日) 19:32時点における最新版


航空母艦(こうくうぼかん、: aircraft carrier

飛行機を発着艦させ,格納および補給整備などができるように建造された軍艦。空母と略称される。

格納庫が設けられ,飛行機の発着に便利なように,最上甲板を平坦な飛行甲板とし,艦橋や煙突などは舷側にはり出している。短距離での発着艦を容易にするため,艦を風上に向けて甲板上の対気速度を上げ,飛行甲板と同一平面をなすカタパルト(射出装置)で発艦させ,着艦の際は飛行機に装備されている格納式フックを甲板の左右方向に張られたワイヤロープにかけて停止させる。管制室は,飛行甲板の片方の舷側の上部構造内に位置している。

1910年11月,アメリカ合衆国が巡洋艦『バーミンガム』の甲板上に仮設したプラットフォームから飛行機を離艦させることに成功,翌 1911年1月18日にはサンフランシスコ湾で,戦艦『ペンシルバニア』の後甲板上に設けたプラットフォームに,ワイヤロープを着艦制動に利用して飛行機を着艦させ,次いで飛び立たせることに成功した。

イギリス海軍も空母の実験を行ない,第1次世界大戦中に,商船を改造した初の本格的空母『アーガス』を完成させた。1922年3月,給炭艦を改造し名前も『ラングリー』と改めたアメリカ初の空母が艦隊に加わった。1922年12月に就役した日本の空母『鳳翔』は,初めから空母として設計・建造された世界初の軍艦だった。空母が最初に戦闘で使われたのは第2次世界大戦の序盤であった。

1941年12月7日(日本時間 8日)に行なわれた日本の艦載機による真珠湾攻撃は,空母の潜在能力を劇的に示し,以後空母は海軍の主役となった。第2次世界大戦後に主流となったジェット機は従来より重く,加速は遅く,着艦速度は速いという問題をかかえていたが,イギリスは,蒸気を動力としたスチーム・カタパルト,進行方向に対して斜めを向いた飛行甲板(アングルド・デッキ),ミラー着艦信号システムによって,これらの問題を解決した。

1960年9月24日,アメリカは初の原子力空母『エンタープライズ』を就役させた。その後,潜水艦探知のための大量の電子機器を搭載した軽空母や強襲揚陸用のヘリ空母など,さまざまな型式が生まれている。