「絶対君主制」の版間の差分

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{{君主主義}}
 
{{統治体制}}
 
'''絶対君主制'''(ぜったいくんしゅせい、{{Lang-en-short|Absolute monarchy}})とは、[[君主制]]の一形態で、[[君主]]が[[統治権|統治の全権能]]を所有し、自由に権力を行使する[[政体]]である{{R|Britannica_absolute_monarchy}}。対比語は、君主の権力が[[憲法]]などで制限されている政体である'''[[制限君主制]]'''または'''[[立憲君主制]]'''。
 
  
== 用語 ==
+
'''絶対君主制'''(ぜったいくんしゅせい、{{Lang-en-short|Absolute monarchy}})
{{Main|絶対王政}}
 
[[歴史学]]では'''[[絶対王政]]'''もしくは'''絶対主義'''という語が一般的に用いられる。
 
  
== 概要 ==
+
国家統治の正統性の唯一のにない手である君主が統治の全権能を自己のものとし,自由に政治権力を行使する専制政治の一形態。絶対君主制 absolute monarchyともいい,制限君主制に相対する。そこでは「朕は国家なり」 (ルイ 14世) の言葉どおり,国家諸機関は君主の専断にゆだねられる。 17~18世紀ヨーロッパ諸国の絶対主義および東洋諸国に伝統的であったアジア的専制において,この支配の典型がみられる。なお,この支配の正統性の根拠としては,神意に基づくもの,国民の家長たる地位に基づくもの,領土および臣民が君主の世襲財産であるとするものなどがあげられる。
絶対君主制においては[[貴族]]、[[諸侯]]、[[議会]]などよりも君主の[[権威]]が優越する。その正当性の根拠は神意に求められることもある([[王権神授説]]){{R|Britannica_absolute_monarchy}}。また君主を民の家長とみなしたり、国家・臣民を君主の財産と考えることによっても正当化される{{R|Britannica_absolute_monarchy}}。
 
 
 
== 例 ==
 
[[ヨーロッパ]]では、[[16世紀]]後半の[[スペイン]]、[[イングランド]]、[[17世紀]]の[[フランス]]、[[スウェーデン]]などが絶対王制の典型とされている。[[18世紀]]の[[啓蒙主義]]は、これを否定する形の新たな君主制を指す呼称であるが、これらも当初は[[啓蒙専制君主]]と呼ばれた。また[[東アジア]]では、[[中国]]の王朝とその影響下にある地域で見られた東洋的[[専制主義]]もこの典型例とされる{{R|Britannica_absolute_monarchy}}。
 
 
 
[[1945年]]以後の現代世界では、[[バーレーン]]国が[[2002年]]に[[立憲君主制]]に移行し「バーレーン王国」に国名変更したり、[[ブータン]]が徐々に立憲君主制へ移行、また[[2008年]]に[[ネパール]]が共和制になるなど、絶対君主制国家は減少傾向にある。
 
 
 
なお制限君主制([[立憲君主制]])であっても、その制限が低く、君主が[[議会]]に優位{{R|Sekaisi_gaikennteki}}するなど絶対君主制的実質を持つ{{R|Mypedia_gaikennteki}}政体の場合には、「外見的立憲君主制」または「外見的立憲主義に基づく立憲君主制」とも呼ばれる。[[1850年]]以降の[[プロイセン王国]]がその代表例であり、また[[ビスマルク憲法|ドイツ帝国憲法]]の影響が強い[[大日本帝国憲法|明治憲法]]下の[[日本]]も含める場合がある{{R|Britannica_absolute_monarchy}}{{R|Britannica_constitutional_monarchy}}{{R|Mypedia_gaikennteki}}。
 
 
 
また、制度上は君主の権限が大幅に制限されている場合でも、[[非常事態宣言]]や国会停止などが頻繁または長期に発動されている場合、[[三権分立]]などの権力分立が行われていても各要職を王族で固めて相互チェックが機能していない場合、更には国民の[[知る権利]]が不十分で実質的な批判ができない場合(いわゆる[[非自由主義的民主主義]])など、立憲主義が形骸化している場合には、実質的には絶対君主制に近いとも言える。ただしこれらは立憲君主制に限らず[[共和制]]でも共通である。
 
 
 
== 現在の絶対君主国一覧 ==
 
=== アジア ===
 
*[[ブルネイ・ダルサラーム国|ブルネイ]]([[ブルネイの国王|国王]]<ref>独立以来、スルタン([[ブルネイの国王]])を[[元首]]とする[[立憲君主制]]を政体としていたが、徐々に君主の[[大権]]が強化されており、近年は絶対君主制とほぼ同等の政体となっている。</ref>)
 
*[[アラブ首長国連邦]]
 
**[[アブダビ]]([[ナヒヤーン家|首長]])
 
**[[ドバイ]]([[マクトゥーム家|首長]])
 
**[[シャールジャ]]([[アリ・カシミ家|首長]])
 
**[[アジュマーン]]([[アリ・アン=ヌアイミ家|首長]])
 
**[[ウンム・アル=カイワイン|ウンム・アル=カイワイン]](首長)
 
**[[フジャイラ]](首長)
 
**[[ラアス・アル=ハイマ|ラアス・アル=ハイマ]]([[アリ・カシミ家|首長]])
 
*[[オマーン|オマーン国]]([[ブーサイード家|国王]])
 
*[[カタール|カタール国]]([[カタールの元首一覧|首長]])
 
*[[クウェート|クウェート国]]([[サバーハ家|首長]]<ref>三権に対して首長家の権限が強い体制だが、国としては国民議会を通じて国民の政治参加が認められている立憲君主国であることを謳っている。</ref>)
 
*[[サウジアラビア|サウジアラビア王国]]([[サウジアラビアの国王一覧|国王]])
 
*[[バーレーン|バーレーン王国]](国王<ref>…2000年の憲法改正により、立憲君主制とすることが憲法に明記された。ただし、改正以降も国王や王族は強い権限を有しており、事実上の絶対君主制ともされる。</ref>)
 
 
 
=== アフリカ ===
 
*[[スワジランド|スワジランド王国]]([[スワジランドの国王一覧|国王]])
 
 
 
=== ヨーロッパ ===
 
*[[リヒテンシュタイン|リヒテンシュタイン公国]]([[リヒテンシュタイン家|大公]])<ref>ヨーロッパの君主制国家の中では君権が強いため絶対君主制と形容されることがあるが、首相は議会第一党の党首が任命されることが慣例となっており、立憲君主制に分類することが一般的である。</ref>
 
*[[バチカン|バチカン市国]]([[ローマ教皇]])
 
 
 
== 脚注 ==
 
{{脚注ヘルプ}}
 
 
 
{{Reflist|refs=
 
<ref name="Britannica_absolute_monarchy">
 
{{Cite book|和書
 
|title=ブリタニカ国際大百科事典 小項目版
 
|volume=3
 
|edition=改訂第2版
 
|year=1993
 
|publisher=[[TBSブリタニカ|ティビーエス・ブリタニカ]]
 
|chapter=専制君主制
 
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<ref name="Britannica_constitutional_monarchy">
 
{{Cite book|和書
 
|title=ブリタニカ国際大百科事典 小項目版
 
|volume=6
 
|edition=改訂第2版
 
|year=1993
 
|publisher=[[TBSブリタニカ|ティビーエス・ブリタニカ]]
 
|chapter=立憲君主制
 
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<ref name="Sekaisi_gaikennteki">
 
{{Cite book|和書
 
|title=世界史事典
 
|edition=三訂版
 
|year=2000
 
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|chapter=外見的立憲主義
 
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<ref name="Mypedia_gaikennteki">
 
{{Cite book|和書
 
|title=百科事典マイペディア
 
|year=2010
 
|publisher=日立ソリューションズ
 
|chapter=外見的立憲制
 
|chapterurl=http://kotobank.jp/word/%E5%A4%96%E8%A6%8B%E7%9A%84%E7%AB%8B%E6%86%B2%E5%88%B6
 
}}</ref>
 
}}
 
 
 
== 関連項目 ==
 
* [[君主制]]
 
* [[立憲君主制]]
 
* [[制限君主制]]
 
  
 
{{権威主義体制}}
 
{{権威主義体制}}
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[[Category:全体主義]]
 
[[Category:全体主義]]
 
[[Category:政治理論]]
 
[[Category:政治理論]]
 
[[de:Monarchie#Absolute Monarchie]]
 

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絶対君主制(ぜったいくんしゅせい、: Absolute monarchy

国家統治の正統性の唯一のにない手である君主が統治の全権能を自己のものとし,自由に政治権力を行使する専制政治の一形態。絶対君主制 absolute monarchyともいい,制限君主制に相対する。そこでは「朕は国家なり」 (ルイ 14世) の言葉どおり,国家諸機関は君主の専断にゆだねられる。 17~18世紀ヨーロッパ諸国の絶対主義および東洋諸国に伝統的であったアジア的専制において,この支配の典型がみられる。なお,この支配の正統性の根拠としては,神意に基づくもの,国民の家長たる地位に基づくもの,領土および臣民が君主の世襲財産であるとするものなどがあげられる。