科学における不正行為

提供: miniwiki
2018/12/28/ (金) 18:18時点におけるAdmin (トーク | 投稿記録)による版 (1版 をインポートしました)
(差分) ← 古い版 | 最新版 (差分) | 新しい版 → (差分)
移動先:案内検索

科学における不正行為(かがくにおけるふせいこうい、: scientific misconduct)とは、科学学問としての規範や、研究を行う際に守るべき研究倫理基準に対し、違反する行為のことである[注 1]

概説

科学における不正行為としては、

などがある。

科学による不正行為は、科学界を揺るがす事件にもなり、そうした場合には報道機関などを通じて世界に知れ渡ることになる。

定義

ランセット誌の "Handling of Scientific Misconduct in Scandinavian countries" では以下のように簡単に定義している[1]。(1999年のCOPEリポートでも再掲載されている[2]。)

  • デンマークの定義:科学者の故意もしくは重大な過失による、虚偽の科学的メッセージ、偽の評判、強調。
  • スウェーデンの定義:虚偽のデータ、文章、仮説、他の研究者による原稿や論文により、研究過程を故意にゆがめること。もしくは、他の方法で、研究過程を故意にゆがめること。

要因

W.ブロードとN.ウェイドの著書『背信の科学者たち―論文捏造、データ改ざんはなぜ繰り返されるのか』には、不正行為が行われる要因・背景・政治力学が多数挙げてある。詳しく調べてみると、様々な立場にある科学者の様々な思惑が働いている、ということになる(『背信の科学者たち』の記事を参照)。

書籍によって挙げる要因は異なっているが、様々な要因の中で、科学の「過熱した競争」が研究者に与える心理的な圧迫は、しばしば挙げられている。井山・金森の本でも、科学者が不正行為を犯してしまう要因のひとつとして「論文を書くか、さもなくば破滅するか (publish or perish)」と表現される「加熱した競争」を挙げた[3]。山崎茂明の『科学者の不正行為―捏造・偽造・盗用』でも「publish or perish syndrome」には言及されている[4]。(今では科学における不正行為の古典的な事件としてもしばしば言及される)1974年にネズミの皮膚にマーカーペンで黒い点を複数描き、皮膚移植が成功したかのように装う事件を起こしたウィリアム・サマーリンも「共同研究における上司からの重圧があった」と陳述していた[3]

日本の理学部などでは、学生に対して、不正行為に関して十分に指導をしていなかった歴史があり、それもいくつもある原因のひとつとなっている [5]

現状の防止策 :実験ノート

科学の研究結果は、論文として発表される前にその分野の専門家による査読が行われ、研究の妥当性が問われるが、査読は「各研究者が倫理的行動をとること」を前提としているため、実験結果の捏造やデータの改竄、他人の研究の盗用などを発見する機能は果たしていない。

自然科学の世界では、不正行為の防止の機能も大いに期待しつつ実験ノートがとられてきた歴史がある。不正行為を働けないよう、実験ノートは「書く作法」が細かく決められていて、世界的に見ても、全て手書きのみで 誰が書いたか筆跡で分かるように書く、というのが標準的な方法である。

筆記用具、原則として消しゴムで消せない ボールペンなどインクを用いたものを用い、一旦書きこんだ内容を訂正する場合は修正ペンなどで消さず、(もともと書かれていた内容が判るように)二重打ち消し線を上に引く(日本ではさらに訂正印を押す)。

原則的にノートに空白は開けず、やむを得ずページを飛ばす場合は大きく斜線などを引き、飛ばしたページに後から書きこめないようにする。いつ書かれた記述なのか細かく日付時刻を書き込む。そしてノートの最も下の段に本人の署名(または押印)し、本人以外に記述内容を確認してもらった上で、その人の署名まで残す。

これだけIT化が進み、PCが普及しても、いまだに実験ノートを「紙への手書きのみ」としているのは、手書きは(きちんとした書法を守ると)改竄しにくい、つまり不正防止の効果があると認められているためであり、さらに、科学者から見ると、正しい書き方を守った手書きの実験ノートを残していれば、何かの時に研究の不正を疑われた時に、自分が潔白であることを証明するための有力な(そして多くの場合、ほとんど唯一の)証拠、唯一の"身を守るための道具"、 となる。

つまり、手書きの実験ノートは「不正行為を防止する機能」と(不正行為をやっていない場合は)「不正行為のないことを証明する機能」、それら2つの機能を同時に果たす非常に重要なアイテムであり、科学者から見ると実験ノートは、不正行為に関して「自分の身の潔白を証明」でき、職業生命や人生がかかっているともいえる重要なアイテムになる。論文内容などをきっかけにして、不正行為の嫌疑が科学者にかけられ、いよいよ調査が始まると、多くの場合その科学者は実験ノートの提出を求められることになる。

米国では科学における不正行為を防止し、また事件が起きた場合に不正行為の有無の調査や判定などを行うために、研究公正局という機関が設置されている。

起きている頻度

コロラド大学微生物研究者アーネスト・ボレクもこう述べた。

曖昧でいい加減なデータが科学誌にそのまま掲載されるケースが、最近ますます増えている。

ノーベル生理学・医学賞を受賞したサルバドル・ルリアもこう述べた。

共同研究者のひとりが実験データを捏造したため、高い評価を受けている科学者らが研究データを撤回するはめになった事例を私はいくつも知っている[6]

アメリカ科学基準局リチャード・ロバーツもこう述べた。

科学者が科学誌に発表するデータの半分、あるいはそれ以上が無効だ。研究者が正確にデータを測定したという証拠もなければ、首尾一貫して研究が行われたという証拠もないのが現状だ[7]

不正行為を伴う研究報告は日常茶飯事のように行われている[6]

捏造・改竄

捏造や改竄が露見すると、本人のみならず科学界全体の信用を著しく損ねるため、不正行為を働いた者がそのまま研究者として科学界に留まることはもはや不可能である。科学者生命が終わるとともに、社会全般での信用も失い、以降の発言力も著しく低下する。また、懲戒解雇などで地位を失い、社会的な状況も相当に厳しくなる。さらに、不正行為を働いた研究者を管理すべき立場の人間もその責任を追及されることがある。

これら行為は人々の科学への信頼を揺るがし、科学の発展を妨げ冒涜するものであり、不正行為は科学そのものに対する背信行為とみなされる。文部科学省のガイドライン[8]では、不正行為への対処は一義的には、まずは研究者自らの規律、ならびに研究者コミュニティ、大学・研究機関の自律に基づく自浄作用としてなされるべきであるとする。懸賞論文や競争的研究資金の公金が支出されているものについて不正が発覚した場合は、真偽が判明するまでは一時的に資金支出が停止され、不正と認定された場合には悪質性や重大性の程度により全部または一部が返還請求される。一方で不正は行われなかったと認定された場合は、研究費支出の停止や採択の保留などの措置を解除し、名誉回復措置などを講じるものとしている。

捏造した結果や改竄を元に公的な助成金などを申請し受けていた場合は、補助金適正化法違反に該当し、研究者本人や所属する大学は研究費の不正使用として返還・罰則の対象となる。また国の補助金以外の場合には詐欺(刑法246条)に問われる可能性がある[9]

黄禹錫による「ES細胞論文不正事件」や小保方晴子による「STAP細胞事件」[10]のように、科学における不正行為によって偽の情報(特に画期的だと思わせるような成果)が出回ると、しばしば、その偽情報に基づいて世界中の研究グループが、それに追随する様々な研究を(1グループごとに)数千万円〜数億円単位の予算を投入して行うことになるが、結果としてそれらの罪のない研究グループの研究までが水泡に帰すことになる。結局、世界全体で莫大な額の研究資金や資源が浪費されてしまうことになり、さらに、追随した研究者たちは貴重な年月を棒に振り経歴にも傷がつき、被害は甚大なものになる。

科学者によって捏造されたデータを根拠として科学雑誌・専門誌などで流布した嘘の知識は、科学的であると主張されていながら後で確かめられる証拠がなく、疑似科学である[11]とされている。

剽窃・複製・二重投稿

出典を明らかにせず、他人の論文を転用する行為は、剽窃として捏造と同様に社会的な制裁を受ける。

自己の過去の業績を複製したり、ほぼ同じデータを細部のみを訂正して新規の論文として発表することも、複製あるいは二重投稿として不正行為と見なされる[12]。また、一つの研究として発表可能な成果を、多数の小さな研究に分割して[13]、あるいは1本の論文で発表可能な内容を複数の論文に分割して出版し、業績を量的に水増しする行為を「サラミ出版」などといい、不正行為ないしそれに準じる不適切な行為をされる[14]

ギフトオーサーシップ

論文の成立に直接貢献していない者が、あたかも「論文の共同執筆者」であるかのように名を連ねる(自身の名前を書き足す)という不正行為。研究室の責任者の立場にいる者などが行うことが多い。これは、立場の強い者が政治力を行使して名を表示させるケースである。

極端なケースだと、モスクワ有機元素化合物研究所 (IOC) の研究員ユーリイ・ストルチコフが10年間で948本もの論文の共著になっているが、これはIOCの施設を利用する見返りとしてIOCの人間を共著者に入れるのが慣習化していたことによるものであった[15]。なおこの件でストルチコフはイグノーベル賞を受賞している[15]

論文執筆者自らが利益を供与されることを期待し、論文の成立に貢献していない人物の名前を表示するケースもある。同一の研究室やグループ内の複数の科学者が、相互の論文に共同執筆者として名を連ね合い、共犯的に互いの業績数を水増しするケースもある。

科学者の間では、「名誉のオーサーシップ (honorary authorship)」あるいは「ギフトオーサーシップ (gift authorship)」と呼ぶことで、これらの不正な行為を隠蔽する者もいる。公的機関は「この行為は、どのような名称で呼ぼうとも実質的に不正行為には変わりない」と判断している。

研究費

公的機関から与えられる研究費はその金額と用途が細かく限定されており、研究費を名目外の用途に使用した場合も不正行為になる。不正行為を働いていて論文撤回などになり結果としてまともな成果を残せなかった者は、不正発覚後に、雇用主である研究所などから、在籍期間中に使用した研究費の返還を求められることになる(すでにそうした事例はある)。また、研究費を不正な論文などを根拠として公的機関に請求した場合も、単なる科学内部の不正行為としては処理されず、法律に違反した犯罪行為として厳正に処罰されることになる。

医学研究と不正行為

新薬臨床試験で、デタラメな使用量、データの改変と捏造、ダンピングが繰り返し行われていることが、アメリカ食品医薬品局が詳細な調査を行った時に明らかになった[6]

ケースウェスタン・リザーブ大学教授のサミュエル・エプスティンEnglish版はこう述べた。

アメリカ科学アカデミー利権関係が複雑に絡みあった組織だ。例えば、食品添加物の問題を決定するパネル討論会なのに、その構成メンバーが当の規制対象の業界代表者であったり、それの息のかかった者たちで占められてしまっている、というような事例が非常に多い。アメリカでは、金さえ積めば、自分たちに都合のいいデータを入手することができるのだ[6]

不正行為が行われる理由の一つには、医者が製薬会社に雇われて(=金をもらい)、新薬認可の基準に合格するような研究報告ばかりを作成するという事情があるからだという[6]

科学論文や科学記事が、そもそも基本的に信用できるのかどうかを見極めるには、研究者の資金源がどこかを注釈などで調べる必要がある[7]。例えば、薬の安全性に関する論文やデータであるにもかかわらず、その研究資金が製薬会社から出ている場合は、信憑性に乏しい[7]。また、不正行為が行われる他の理由としては、研究者が、国(政府)からの助成金を獲得することだけを目的として研究報告を作成することが頻繁にあるためだという[6]。研究に従事する研究者同士は馴れ合いの関係にあるため、同僚がデタラメな実験をしてインチキな研究報告を書いていても、見て見ぬふりをしているという[6]

医師や医学研究者のモラルはすでに崩壊してしまっている、というロバート・メンデルソンの言もある[16]

特許権・特許明細書における捏造

特許の審査においては基本的に書面主義が採られており、書類上の一貫性が保たれていれば、発明の実施可能性や記述の科学的な正確性について、査読追試などによる検証は行われない。このため、金銭・利益優先で「架空のデータ」を用いた出願などの問題行為がまかり通ってしまっているとの指摘がある[注 2]

これらの検証は、特許の審査においては書類上その発明が実施可能と認められない場合(特許法36条)や、発明の実施可能性について第三者からの情報提供があった場合(特許法施行規則13条の2)に行われ、特許法194条には、その手段として、有識者への調査依頼なども定められている。また、より一般的には、特許が認められた後において、第三者が発明の実施可能性を理由として特許無効の審判を提起した際に行われる。さらに、刑事上は、虚偽の記載などの詐欺行為によって特許を受けた場合には、いわゆる特許詐欺罪に問われ、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金が科せられる(特許法197条)。特許詐欺罪は特許審査官を欺罔する罪であり、国家的権威・機能の阻害から保護することが立法の目的[18]である。

出願する上で重要となるのは、多くの観点からの請求項を含む特許請求の範囲(クレーム)や、上位概念的な請求項から実施例に対応した請求項まで多段階にわたる特許請求の範囲を、出願時に作成することである。

幅の広いクレームを作成することによって、より権利範囲の広い特許を取得することができるため、実際には実験を行っていない範囲についてまで実施例として記載するなど、明らかに科学的手法を逸脱した記述の体裁が積極的に採用されることがある[注 3]。また、技術的な詳細の機微(ノウハウ)を可能な限り隠匿することで追従者の追跡を遅らせる意図から、実際には実験を行っていないにも関わらず、利用可能性のある要素すべてを網羅したり、数値範囲を広く記載するケースも多い[注 4]。この様な状況が野放しとされているため、もはや特許公報は技術文献としての意味をなさなくなっている。

このような虚偽の記載を含んでいる発明が特許された場合であっても、特許の権利範囲は、特許権を実際に行使する場合に判断される。つまり、特許制度においては、権利付与時には書面上の審査がなされ、実際の権利行使時に書面中のデータなどの真正性が吟味とされるというシステムが実務上確立してしまっている。しかしながら、現在、家電をはじめとする製品開発・技術は複雑化の一途を辿っており、一つの商品を製造するのに何百という特許を侵害する可能性を内包している。さらに、近年の特許侵害訴訟の乱発やパテントトロールの存在などを鑑みれば、無効事由を持つ特許に対して、本来必要でない、何ら生産性のない特許訴訟や警告書などに開発メーカーや技術者が対応を迫られる事が多発し、逆に新規の技術開発や量産・実施を阻害してしまっている。そのため、今後は審査の質の向上や、進歩性を初めとする審査基準の見直し、罰則の強化、明細書記載方法(本当に実施成功例なのか明確にするなど)など、抜本的な対策が望まれる。

科学や学術論文の執筆の領域では、公表時点で捏造改竄が問題になる。したがって、特許出願と同様の感覚で不正なデータを含む論文を公表した場合、科学の世界では科学の世界なりの処分が下る。ただし、近年、実験データを捏造して特許を出願した大学の研究者が処分された例なども出てきており、特許出願であるからデータの捏造が認められるという感覚は通用しなくなってきている[19]

不正行為の具体例

時期 事件名
関係者名
研究所
大学
事件内容 補記
1909年 ピルトダウン人事件[20] 1909年から1912年にかけてイギリスでチャールズ・ドーソンEnglish版によって旧石器時代の人骨が"発見"され、「ピルトダウン人」と名づけられたが、捏造された偽造化石の可能性が当初から疑われていた。偽造であったことが判明したのは、1953年になってのことだ。
1926年 サンバガエル捏造事件 オーストリアの遺伝学者パウル・カンメラーEnglish版は、19世紀初頭にラマルクが唱えた用不用説を証明するために、サンバガエルを水中で交尾させることで婚姻瘤の発現が見られることを発表。ところが、他の研究者の検証によって婚姻瘤がカエルの足に着色することによる捏造だったことが判明。カンメラーは自らを陥れるための陰謀だと主張したが、ピストル自殺した[7] ネオ・ラマルキズム」の項も参照。
1933年 長崎医大博士号贈収賄事件 長崎医科大学 長崎医科大学教授だった勝矢信司は、1926年に同大教授に赴任して暫くして博士論文の指導や添削の謝礼として指導下の学生や博士号を取得する開業医から謝礼を受け取っていたが、やがてエスカレートして刀剣の鑑定料として多額の謝礼を受け取るばかりか、調度品を贈られたり旅行などで供応行為を受けていた。1933年に勝矢への贈収賄が発覚し、勝矢の指導下で医学博士を授与された開業医が検挙。さらに勝矢ばかりか同大教授だった浅田一赤松宗二も捜査を受け、勝矢ら三教授は辞任した(後に勝矢は免職処分となる)[21] この事件の背景には長崎医大内での浅田ら東京帝大出身教授と勝矢ら京都帝大出身教授の対立があり、それが博士論文の審査にまで影響して公平性を失しているとの開業医の仮処分(結局却下)をきっかけに発覚した。事態の発覚に伴い、学生や同窓生から全教授の辞任を要求する声が挙がり、一時は教授ばかりか助教授講師助手全員が辞表を提出する事態に発展。文部省は勝矢と彼の実弟を含めた四教授を辞職させ、小室要学長を更迭・高山正雄を新学長に就任させた。[21]
1974年 サマーリン事件[20] メモリアル・スローン・ケタリング癌研究所English版 ウィリアム・サマーリンEnglish版が、ネズミの皮膚にマーカーペンで黒い点を複数描き、皮膚移植が成功したかのように見せかけた。
1980年 アルサブティ事件 イラクからヨルダンを経てアメリカ合衆国へ留学した医師エリアス・アルサブティは、テンプル大学に研究職のポストを得るものの成績が振るわず失職。その後、ジェファーソン医科大学へ移籍したが、そこで実験データの捏造が発覚。大学を追われ幾つもの研究機関を転々とするものの、その際に無名の学術雑誌に掲載されていた論文を多数盗用し別の無名の学術雑誌に投稿することを繰り返した。そのうち60数件が実際に掲載されアルサブティの実績となってしまったものの、アルサブティの技能の拙さに不審を感じた同僚研究者の調査や元の論文著者の抗議から事態が発覚。医師免許を剥奪された。 査読」の項も参照。
1981年 スペクター事件 コーネル大学 コーネル大学の大学院生マーク・スペクター (Mark Spector) は、ガン発生のメカニズムについて新発見をしたと発表。指導教授エフレイム・ラッカーEnglish版の指導の下スペクターは次から次へと成果を挙げたものの、実験データの不自然さと追試が成功しなかったことから実験データの捏造が発覚。論文が撤回されたばかりか経歴詐称までも判明し、スペクターは退学処分となった。 福岡伸一著「世界は分けてもわからない」に概要が記されている。
1981年 クローンマウス事件[20] ジェネーブ大学カール・イルメンゼーDeutsch版アメリカジャクソン研究所のピーター・ホッペは、1977年にハツカネズミの体細胞から細胞核移植によってクローン生物を生成することができると発表。これまで哺乳動物では不可能といわれていたクローンが哺乳動物でも可能ということで世界的に反響をもたらしたが、他の実験者による再現実験では成功せずさらにイルメンゼーがデータを故意に操作していたとの内部告発もあり、1981年にイルメンゼーの一連の研究は「捏造とは断定できないものの、信頼性に重大な疑問が残る」という調査結果を発表。イルメンゼーへの研究助成は打ち切られ、その後大学の職を辞することとなった。
1986年 ボルティモア事件[20] マサチューセッツ工科大学 免疫学者テレザ・イマニシ=カリがデータを捏造したと部下が告発したが、イマニシの属していた研究室の主宰者だったデビッド・ボルティモア(ノーベル賞受賞者)がその告発を受け入れなかった。一度は有罪とされたが、再審査においては「証拠は見つからなかった」として告発は却下された。 この事件で、真相究明が難航したことが、アメリカ合衆国の研究公正局 (ORI) の前身となった機関である科学公正局の設立のきっかけとなったとも言われることがある。
1994年 ピアース事件[20] イギリスの産科医師ピアース (Malcolm Pearce) が、臨床例を捏造して、それをもとに論文を作成し、自身が編集委員を務める英国産科婦人科学会誌に発表した。編集委員長を論文共著者としていたが (= gift authership)、その編集委員長が辞任した。 英国が科学者による不正行為の対策に本格的に取り組むきっかけとなったともいわれる。
1997年 ヘルマン・ブラッハ事件[20] フリードヘルム・ヘルマンDeutsch版マリオン・ブラッハ (Marion Brach) が、1988年から1996年の間に発表した細胞成長に関する37論文で、デジタル画像の捏造やデータ操作・偽造が行われたことが、両者の研究スタッフからの内部告発によって発覚。ヘルマンとブラッハは詐欺の容疑で起訴されてたが、結局援助されていた資金を返還することで和解した。 ヘルマンとブラッハの研究はドイツ研究基金とドイツ癌研究援助基金から多額の資金援助を受けていたこともあり、5年後に発覚したベル研シェーン事件を含めてドイツ科学界に大きな影響を及ぼした。
1998年 アンドリュー・ウェイクフィールド 新三種混合ワクチン予防接種自閉症になる」論文が『ランセット』に掲載された。12人の子供の患者を対象に研究し、「腸疾患」と「自閉症」と「三種混合ワクチン」が関連した新しい病気「自閉症的全腸炎(autistic enterocolitis)」を発見したと報告した。この論文掲載に対して『ランセット』は激しい批判に晒された。
2004年2月に『ランセット』は、同論文の一部撤回を発表し、2010年に『ランセット』は、この論文を正式に撤回した。
イギリスアメリカ合衆国カナダオーストラリアニュージーランドにおいて、ワクチン接種が激減、麻疹 に感染する子供が増加した。
アンドリュー・ウェイクフィールドは、イギリスの医師免許剥奪の懲戒処分を受けた。
2000年 旧石器捏造事件[20] 藤村新一が30年ほど前から発見していた、旧石器の発見が捏造であったことが暴露された。 発覚の影響が大きく、検定済教科書において、歴史教科書の記述削除を余儀なくされた。
2002年 ベル研シェーン事件[20] ベル研究所 ベル研究所の科学者ヘンドリック・シェーンが作成し2000年から2001年にかけて『サイエンス』誌に掲載された論文10編および『ネイチャー』誌掲載の論文7編が、後に捏造であることが判明し、全て撤回された。 ヘンドリック・シェーンはこの一件で、ベル研究所を解雇され、コンスタンツ大学からは博士の学位を剥奪された[22]
2002年7月 ヴィクトル・ニノフ バークレー研究所 1999年に最重元素(超ウラン元素)が発見されたとしていた研究の実験データが偽造されていたと判明し、論文を撤回[23]
2004年12月 理化学研究所 実験データが改竄された不正論文があったとして記者発表されたが、裁判の結果、2010年4月に記者発表は取り消された。
2005年6月 大阪大学医学部論文不正事件 大阪大学 2005年6月に、実験データの不適切な掲載を理由として、大阪大学医学部教授の下村伊一郎(内分泌・代謝内科)や竹田潤二(発生工学)らが発表していたNature Medicine誌の論文 (Nat Med. 2004 Nov;10(11):1208-15.) が撤回された[24]。さらに、撤回されたNature Medicine誌の論文の筆頭著者の医学部生が執筆していた別のCancer Science誌での筆頭著者論文 (Cancer Sci. 2005 Jun;96(6):377.) も、不適切なデータが掲載されていたとして撤回された[25][23]。2006年に、大阪大学は、竹田を1カ月の停職処分、下村教授を14日間の停職処分にした[26]。撤回された2論文の筆頭著者の学生は、「実験に使ったマウスはいないので、実験を再現できない。実験の記録ノートもない」と話した[27][28]。さらに、下村の研究室から発表されたScience誌の論文 (Science. 2005 Jan 21;307(5708):426-30) も、再現性が取れなかったとして、2007年10月に撤回された[29][30]
2005年9月 多比良和誠
川崎広明
東京大学 遺伝子の働きを制御するリボ核酸に関する論文について、疑義が浮上。2006年3月に「データは偽造された可能性が高い」とされた[31][23] この不正行為から多比良は懲戒解雇されたが、解雇は不当として東京大学と裁判で争っていたものの、一審・二審ともに教授側の責任を認め「解雇は妥当」と結論付けた。
2005年12月 ES細胞論文不正事件[20] ソウル大学 黄禹錫(ファン・ウソク)が行っていたクローン胚ES細胞研究に疑義が発生。2006年1月に調査委員会により捏造だと断定され、論文は撤回[23]

黄禹錫はこの一件で、研究助成金など8億3500万ウォン(約6500万円)を騙し取ったと認定され、懲役2年、執行猶予3年の有罪判決を受けた[32][33]

捏造が認定されたものの、NT-1株についての物質特許とES細胞の作成方法について、2011年カナダ2014年アメリカで特許が成立している。なお、韓国ではNT-1株の存在が認められておらず、訴訟が続いている[34]。後の検証でES細胞の作製と世界初となるヒトの単為生殖に成功していたことは認められたが、論文が不正であり、論文に記された作成に至る経過とは関係なく偶然できた物と検証されたため、世界初の業績であるとはみなされていない[35]
2006年1月 Jon Sudbø ノルウェー・ラジウム病院 口腔ガンに関するJon Sudbøらの医学論文において、偽造データが使われていたことが判明[36][23]
2006年1月 杉野明雄 大阪大学 大阪大学大学院生命機能研究科教授の杉野明雄による論文不正が発覚し、懲戒解雇された。杉野の研究室の男性助手を含む複数の共同論文著者らは、研究データを杉野に改竄され、論文を米国の生物化学専門誌「ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー (Journal of Biological Chemistry)」誌に投稿されたと指摘していた。男性助手はその後、毒物のアジ化ナトリウムを飲み自殺した[37][38][39][40]
2006年2月 下村伊一郎、竹田潤二 大阪大学 大阪大学大学院生命機能研究科個体機能学講座病態医科学研究室。PTENマウス論文の捏造。
2010年 アニリール・セルカン 東京大学
宇宙航空研究開発機構
東京大学大学院工学系研究科の助教であったアニリール・セルカンの経歴詐称、業績の捏造、剽窃が判明。学位取り消し、懲戒解雇相当の処分が下された[41] 11jigenによって、まとめサイトが作られた[42]
2010年 森直樹 琉球大学 琉球大学教授の森直樹らの研究論文にデータ流用などの不正があった恐れがあるとして、論文が投稿された学術誌から指摘を3月に受け、同大学は4月に調査委を設置。38編の論文について不正があるとの調査結果が発表され、森は8月に一旦懲戒解雇処分となったが、その後の訴訟の結果、和解が成立し解雇処分は無効となった。また、内部調査では不正ではないとされていた琉球大学学長自身が共著として名を連ねていた論文が、外部調査委により不正と認定され、内部調査の在り方へ疑念が広がった[43] 11jigenによってまとめサイトが作られた[44]
2011年 服部良之 獨協医科大学 獨協医科大学教授の服部良之らの研究論文にデータ捏造などの不正があった恐れがあるとして同医大が調査委員会を設置し、4月末、服部を諭旨退職にした[45] 11jigenによってまとめサイトが作られた[46]
2012年 藤井善隆 東邦大学 東邦大学の准教授で日本麻酔科学会に所属する医師藤井善隆が、1991年から2011年に発表した論文212本のうち、172本にデータ捏造の不正があったとする調査結果を日本麻酔科学会の調査特別委員会が発表した。藤井は同年2月に東邦大で書いた論文に研究手続き違反があったとして、諭旨免職処分となり、同年8月には日本麻酔科学会も自主的に退会した[47] 前述のアルサブティ事件同様、査読によるの限界が露呈されることとなった。
2012年 ムン・ヒュンイン 東亜大学校 韓国、釜山の東亜大学校教授のムン・ヒュンインが、科学論文を科学雑誌に投稿した際に、ムン自身が管理できるようにしていた偽名科学者のメールアドレスを、論文の査読者の連絡先として推薦し、自分自身で論文査読し、論文を受理させるという前代未聞の研究不正が発覚し、合計35報のムンの論文が撤回された[48][49][50][51][52][53][54][55][56][57]
2012年3月 岡嶋研二
原田直明
名古屋市立大学 名古屋市立大学の調査委員会は、1997年から2011年に発表された名古屋市立大大学院医学研究科教授の岡嶋研二、准教授の原田直明(二人は熊本大大学院医学薬学研究部に2005年まで在籍)の論文19本に実験画像の捏造や流用などの研究不正があったことを公表した。同大は、不正を主導したとして原田を懲戒解雇処分に、監督責任として岡嶋を停職6カ月の処分とした。熊本大学の調査委員会も同日、上記二人を含む合計4人が、熊大在籍中に論文不正に関与していたと発表した[58][59][60][61][62][63][64] 11jigenによってまとめサイトが作られた[65]
2012年 森口尚史 東京大学医学部附属病院 東京大学医学部附属病院特任研究員の森口尚史がiPS細胞を使った世界初の臨床応用として心筋移植手術を6件実施したと発表したが、うち、5件が虚偽であることが発覚し、東京大学医学部附属病院から懲戒免職処分を受けた[66] 読売新聞10月11日朝刊にて報道したものの、2日後の10月13日にて「お詫び文」を掲載せざるを得ない状況に追い込まれた。
2013年4月 京都府立医科大学における論文不正事件 京都府立医科大学 京都府立医科大学の調査委員会(委員長は、木下茂副学長)は、循環器・腎臓教室の元教授の研究室から発表された14報の基礎研究論文に実験画像の改竄などの研究不正が見つかったとし、同教授に退職金の返還を求めることを発表した[67][68]。一方、同教授は、画像の捏造や改竄については否定し、大学のずさんな調査で事実誤認がなされたと、大学を批判した[69][70] 11jigenによってまとめサイトが作られた[71]
2013年 ディオバン事件 京都府立医科大学
東京慈恵会医科大学
滋賀医科大学
千葉大学
名古屋大学
京都府立医科大学教授の松原弘明らが行った高血圧治療薬(降圧剤)バルサルタン(商品名「ディオバン」)の臨床研究において、その薬に有利になるようにデータが人為的に操作されていた[72]。一例を挙げると、診療録には記載がなかった病気が論文データには作為的に書きこまれており、そうした捏造によって「他の降圧剤に比べ脳疾患や心臓病のリスクが減る」などと虚偽の結論を導きだしていた[72]。松原弘明は2月に辞職した[72]。問題が報道され社会問題化してから、京都府立医科大学が正しいデータを使い検証し、この論文に書かれているような結果は得られなかったため、検証結果を7月に発表し、病院長・学長・副学長らが報道陣の前で謝罪した[72]。この臨床研究には、この薬の販売元の製薬会社であるノバルティスファーマの日本法人社員が、その肩書を伏せて研究にかかわっていた[72]。そしてこの問題の社員は京都府立医科大の臨床研究だけでなく、東京慈恵会医科大学千葉大学名古屋大学滋賀医科大学で行われた臨床研究にも、ノバルティスファーマ所属の社員という身分を隠して参加し、論文作成にも関与していた[73]。イギリスの医学誌『ランセット』は、大学による調査によってデータの操作が明白になったことなどを受けて「研究の信頼性を疑うのに十分だ」とし、以前に同誌に掲載した慈恵医大などが作成した論文などの撤回措置を取ることになった[73] 11jigenによってまとめサイトが作られた[74]
2013年 東京大学分子細胞生物学研究所における論文不正事件
加藤茂明研究室
[75]
東京大学分子細胞生物学研究所 東京大学分子細胞生物学研究所における論文不正に関する、科学研究行動規範委員会による調査の中間報告において、1996年〜2011年に発表された51報の論文に科学的な適切性を欠いた画像データの使用がされていたと判断され、合計210カ所の画像の流用、転用、貼り合わせ、不掲載、消去、過度な調整など認められることが発表された。また、そのうち43報には、画像編集ソフトで複数の画像を貼り合わせ一つの画像に見せかけるなどの操作があり、研究不正(改竄)と判断され、残り8論文は不注意によるものだとされた。また、平成25年12月11日現在で、すでに13報の論文が当事者らにより撤回されている[76] 11jigenによってまとめサイトが作られた[77]

この一件で、加藤は東京大学教授を依願退職した。

2014年 柳澤純研究室[78] 筑波大学生命環境系
国立環境研究所
2012年に論文の不正が指摘され、大学が調査委員会を設置。論文に用いられていた4つの画像に改ざんが発見された[79] 11jigenによってまとめサイトが作られた[80]

この一件で、柳澤純は筑波大学教授を依願退職した。村山明子は筑波大学講師を辞職。立石幸代は国立環境研究所を雇い止め(事実上の解雇)。後に柳澤純は停職6月相当、村山明子は諭旨解雇相当、国立環境研究所は頬被りし立石幸代を処分しなかった[81][82]

2014年 小保方晴子博士論文盗用剽窃事件(早稲田大学博士論文不正問題) 早稲田大学 小保方晴子2011年3月に学位取得した博士論文[83]について、約20ページ分の文章が[84]、幹細胞に関する一般向けウェブサイト[85]からのコピー・アンド・ペーストであること[86][87][88]、論文の画像がバイオ系企業ウェブサイトの画像[89]に酷似していること[90][91][92][注 5]、参考文献リストを別の論文からコピー・アンド・ペーストしたため意味不明な内容になっている、などが指摘された[93]

また、副査である外部審査委員が論文を読んでないこと[注 6]も報道されており、審査過程にも疑問があがっている[94]。これらの指摘を受けて大学院先進理工学研究科は予備調査を進め、3月17日に調査委員設置を大学に要請。3月31日には調査委員会が設置され、処分を検討することになった[88][95][96]

11jigenによってまとめサイトが作られた[97]

本件はSTAP研究の不正疑惑に伴い発覚しており、博士論文に関連した論文[98]においても、遺伝子の解析結果を示す画像を不適切に使い回していることが発覚[99][100][101]2014年3月に共著者のチャールズ・バカンティは、実験データを示す複数の画像や画像の説明内容を訂正している[99][100][101][102][103]

2014年 先進理工学研究科博士論文における盗用剽窃事件(早稲田大学博士論文不正問題) 早稲田大学 小保方が所属していた研究室を中心に、他の学生の博士論文においても盗用剽窃が発覚した。このため早稲田大学は、先進理工学研究科280本の博士論文も調査することになった[104]。早稲田大学は、62件の学位論文を訂正したが、学位の取り消しは行わなかったことを発表した[105] 11jigenによってまとめサイトが作られた[97]
2014年 STAP研究不正事件
小保方晴子、他)
理化学研究所 2014年1月末にSTAP研究が発表されたが、様々な論文不正の疑義から6月に論文は撤回され[106][107][108][109]7月2日にはネイチャーにより取り下げられた[110][111]

理化学研究所の調査により、5月に小保方晴子による画像2点の不正、及び笹井芳樹若山照彦の監督責任が確定し、懲戒委員会で処分が検討されていた。しかし調査委員会の解散後も論文不正以外の実験への疑惑が生じ、各種遺伝子解析からES細胞やTS細胞による捏造の疑いが強まっていた[112][113][注 7]

小保方逮捕の可能性も報道されていた中[119][120][121]、理化学研究所は6月30日には科学的な疑義に対する予備調査を開始。合わせて7月1日から検証実験へ小保方を参加させることになり、現在は処分の検討が停止している[122]。最中、8月5日に理化学研究所シニアフェローの笹井芳樹自殺を遂げた[123]

11jigenによってまとめサイトが作られた[97]

この騒動は多くのメディアで盛んに取り上げられるとともに[124]、法案提出延期や、センター解体が提言される事態にも発展[125]し、行政や政治家も関係する事件となった[126]。また、ネットの集合知や内部告発による不正の解明も話題になった[127][128][129]

2015年 匿名Aによる論文大量不正疑義事件 東京大学大阪大学九州大学国立感染症研究所札幌医科大学東京慈恵会医科大学関西医科大学理化学研究所など 日本の研究機関から、1996年〜2008年に『ネイチャー』などの国際誌に発表された約80本の医学系の論文において、不正な人為的加工や流用などが疑われる画像データが掲載されていることが、2013年の日本分子生物学会年会のために開設されたウェブサイト「日本の科学を考える」の「捏造問題にもっと怒りを」というトピック[130]のコメント欄に、「匿名A」を名乗る人物によって、2014年の年末から2015年の年初にかけて相次いで指摘された。文部科学大臣下村博文は、2015年1月13日の閣議後記者会見において、2015年1月6日に同様の趣旨の匿名告発が、文部科学省に対して文書で行なわれたことを明らかにした[131]。これを受け、東京大学や大阪大学のほか、九州大学などが論文の予備調査を開始した[132][133]。文部科学省から論文の確認を指示されたのは計24機関に及んだ[134]

最も多い28本の疑義が指摘された大阪大学は、責任著者が別の論文捏造事件で懲戒解雇された1本の論文を除く27本について予備調査を行い、2015年4月8日までに、1本については疑義を否定し、7本については不注意による誤使用と判断し、残りの19本については「データが残っていないため不正の事実が確認できず、これ以上の調査は困難」として調査を打ち切った[135]。12本の疑義が指摘された東京大学は、2015年7月31日に、予備調査の結果、全ての論文について不正行為が存在する疑いはないと発表した[136][137][138]

金沢大学は、指摘された論文のうち1本を、2015年9月4日に撤回した[139]

疑義が発覚した直後の2015年1月上旬の時点においては、指摘された項目の過半数あるいは8割ほどは悪意のある行為によって作られたのだろうという推測や、世界三大研究不正といわれるSTAP事件よりもはるかにスキャンダラスかつ重大な事件に発展する可能性があることも報道されていた[140][141]

参議院議員の櫻井充は、参議院議長への質問主意書において、東京大学は調査の内容を全く明らかにしていないと指摘した。また、調査責任者は被告発者と親しい医学部の研究者が務めたという情報を明らかにした[142]

2016年 岡山大学における論文不正問題 岡山大学 岡山大学病院に勤務する教授らが執筆者となっている、2006年発表のステロイドホルモンに関する論文について、画像の切り貼りなどの不正があったと、同大学医歯薬学総合研究科の教授2人が、学内の調査委員会に告発し、調査委が実際に調査を行ったが、調査委は2015年3月に出した結論で、実際に切り貼りがあったと確認したにもかかわらず、本来必要となるデータと照合しないまま不正なしと判断し、調査結果も公表していなかったことが、2016年1月4日付の毎日新聞の報道で発覚した[143] 文部科学省のガイドラインでは、論文に不正がなかったと判断した場合は、調査結果の公表はしないと定められており、この裏をかく形で、調査が所属機関に有利になるよう進められる、あるいは、杜撰な調査で不正が見逃されるなどしたとしても、外部からの検証が困難になる問題点が指摘されている[144]
2016年 Ordinary_researchers」による東京大学への論文不正疑義事件 東京大学 2016年8月末に、東京大学が医学系の論文不正の予備調査を行なっていることが報道された[145]。2016年9月20日に、東京大学は、捏造及び改ざんの疑いがあるという匿名の申立てが2016年8月にあった6名の22報の論文について、本格的な調査を行なうことを明らかにした[146]。2017年8月3日、東京大学は、分子細胞生物学研究所の5報の論文を不正と認定し、医学部の論文については全て不正なしと一行だけ記載した文書を公開した[147]。調査報告書の全文は、大部分が黒塗りの状態で後日公開された[148] 2016年10月12日に、参議院議員の櫻井充は、参議院議長への質問主意書において、東京大学の調査範囲と調査委員選考について質問した[142]

2016年10月25日に、参議院議員の足立信也は、参議院の厚生労働委員会において、疑義がかけられているアディポロンの研究に関して東京大学と理化学研究所が共同して特許を申請していることを指摘し、理化学研究所の責任について質問した[149]

日経新聞は、論文のグラフから元データを抽出した「Ordinary_researchers」の論文不正の指摘方法は新手法であると評価する記事を配信した[150]

2017年 熊本地震 (2016年)」の本震記録データ問題 大阪大学など 2017年9月27日に、土木学会のホームページに、大阪大学准教授らが2016年に米国地震学会誌Seismological Research Lettersに論文発表した熊本地震 (2016年)の波形データについて、重要な匿名の情報提供があり、深刻に受け止めて公的な対応を検討しているという記事が掲載された[151]。提供された情報は、地理的位置が異なる場所で記録されたはずの地震の波形を比較すると、南北方向と東西方向のフーリエスペクトルの比率が一致し位相差もなく、地震動の大きさと表層地盤の非線形さを考えると不自然というものであった[152][153]。その後、日本地震工学会日本地震学会も注意するようホームページで呼びかけた[154][155]。この論文[156]は、2回の震度7の地震が起きた熊本地震において、1回目の直後に著者が臨時地震計を益城町に設置したことにより2回目の波形を震源の極近くで複数取得することが出来たとするものである。地震動の大きさと被害率の関係を検討する上では非常に貴重な論文とみなされ[157]、米国地震学会誌は地震計を設置する著者の写真を論文掲載号の表紙に載せていた[158][159]。国土交通省は、「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会」の報告書において、この論文を引用していた[160]

論文の著者は3名で、筆頭著者を除く2名は上記の土木学会からの問題の発表[151]において発表者として名を連ねていた。第2著者は自らのホームページで提供していた地震データの公開を中止し[161]、お詫びを掲載した[162]。このお詫びによると、2016年12月19日に、P波初動までの信号が他の記録と比較して不自然という別の疑義がすでに寄せられていたという。また、第3著者もホームページでデータの不自然さを同様に認めた[163]

地震直後に開かれた地震被害の速報会においては、論文の著者には含まれていない大阪大学博士課程前期2年生の学生が調査人員として紹介されている[164]

疑惑は2017年10月2日に複数のマスメディアで報道された[165]。林芳正文部科学大臣は2017年10月3日の記者会見においてこの論文について大阪大学に調査を指示したことを明らかにした[166]

2017年9月27日に土木学会のホームページに掲載された問題の記事[151]は、数日経ってから一度削除されたが[167]、さらにその数日後に京都大学教授のホームページに掲載された同趣旨の記事[168]にリンクを貼る形に変わった[169]

脚注

注釈

  1. 規範とは「行動や判断の基準となる模範。手本」のこと(出典:大辞泉)
  2. 特許においての争点は新規性であり、データの正確性でないこと。またそのために不正確であったり捏造データを用いた出願が横行し、それによって学会・産業界がデータの再現性をめぐる混乱を来たすことが指摘されている[17]
  3. 例えば、実際にはある素材の組成として物質Aを20〜30%含む場合しか実験していないのに、10〜50%含む場合も実施例として記載することにより、権利範囲を拡張することがある。
  4. 例えば、ある素材を焼成するのにA元素にB元素をドーパントとして利用する場合、B元素を隠匿する目的で同族元素を列挙したり、ドープ量の比率を0.1〜30.0%、より適切には0.3〜10.0%などと実態を可能な限り把握されない工夫がなされる。
  5. コスモ・バイオの担当者は、画像は自社で2007年6月に撮影したもので、小保方に提供したことはないことを証言した[92]。一方、小保方が博士論文を提出したのが2011年2月であったため[84]、小保方がコスモ・バイオのウェブサイトから画像をコピーしたのではないかと指摘された。
  6. 論文の副査を務めたはずのチャールズ・バカンティは、「博士論文を見せられたことも読むように頼まれたこともない」と取材に答えた[94]
  7. 現在も科学的に否定されている状態であり[114][115]、STAP細胞がないと言い切ることはできないがその存在を証明する証拠がない状態が続いている[116][117][118][114][115]

出典

  1. “Handling of scientific dishonesty in the Nordic countries. National Committees on Scientific Dishonesty in the Nordic Countries”. Lancet 354 (9172): 57–61. (July 1999). PMID 10406378. https://linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S0140673698071335. 
  2. “Coping with fraud” (PDF). The COPE Report 1999: 11–18. オリジナルの2007-09-28時点によるアーカイブ。. http://web.archive.org/web/20070928151119/http://www.publicationethics.org.uk/reports/1999/1999pdf3.pdf . 2006閲覧.. "It is 10 years, to the month, since Stephen Lock ... Reproduced with kind permission of the Editor, The Lancet." 
  3. 3.0 3.1 井山弘幸・金森修 『現代科学論 科学をとらえ直そう』 (初版) 新曜社2000年、81頁。ISBN 4-7885-0740-4 
  4. 山崎 茂明『科学者の不正行為―捏造・偽造・盗用』丸善、2002年
  5. 学生に対して大量に配布する冊子の一部に、科学における不正行為に関する注意点が書かれていることがあるが、面と向かって、時間をしっかりとって科学者の倫理規範に関する指導をしていないケースは多い。よってそうした規範意識が欠落した学生が毎年のように大量に生み出されている。また、指導教官自身がずさんな指導しか受けたことがなく、「やってはいけないこと」を理解していない場合や、(調べてみると困ったことに、実は)指導教官自身が科学における不正行為をこっそりやってきた過去を持っている場合がある。日本の過去の事件で、関係者の責任を追及する中で、教官もやってはいけない基本的なことを全然理解していなかった、と釈明した、非常にずさんな事例が何件もある。 また、そもそも手本になるべきはずの指導教官自身が規範に違反した過去を持っていたり、「やってはいけないこと」を理解していないと、自然と学生に対する指導も手抜きになったり、やらないで済ませてしまう傾向が生まれる。
  6. 6.0 6.1 6.2 6.3 6.4 6.5 6.6 ロバート・メンデルソン『医者が患者をだますとき』p.204
  7. 7.0 7.1 7.2 7.3 ロバート・メンデルソン『医者が患者をだますとき』p.205
  8. 研究活動の不正行為への対応のガイドラインについて 研究活動の不正行為に関する特別委員会報告書
  9. 「学問と社会のあり方」研究会 第5回研究会「どうして日本の科学政策は現場とズレる? 研究費配分と研究不正を例に」総合地球環境学研究所研究推進戦略センター 桃木暁子
  10. 『捏造の科学者 STAP細胞事件』 須田桃子,文藝春秋,2015年
  11. マイケル・フリードランダー『きわどい科学 ウソとマコトの境域を探る』pp.269-273、p.327
  12. Mounir Errami, Harold Garner (2008). “A tale of two citations”. Nature 451: 397-399. https://doi.org/10.1038/451397a. 
  13. 研究活動における不正防止マニュアル (PDF)”. 北海道教育大学. p. 37. . 2017閲覧.
  14. マリーシャ・フォンセサ (2014年1月18日). “「サラミ法」に隠れた危険:出版の量ではなく質を重視する”. 英文校正エディテージ/カクタス・コミュニケーションズ. . 2017閲覧.
  15. 15.0 15.1 『イグ・ノーベル賞』、マーク・エーブラハムズ。阪急コミュニケーションズ。
  16. ロバート・メンデルソン『医者が患者をだますとき』p.206-207
  17. 知的財産からみたライフサイエンス分野の知識創造と活用のありかた 味の素(株)知的財産センター 森岡一 2007年3月5日
  18. 特許庁編「工業所有権法逐条解説第15版」P.485
  19. 産学連携と知財戦略 第11回「明細書におけるデータ捏造問題」 先端技術事業化メールマガジン 第94号、日経BP社 産学連携事務局、2006年11月22日
  20. 20.0 20.1 20.2 20.3 20.4 20.5 20.6 20.7 20.8 石黒武彦『科学の社会化シンドローム』p.33
  21. 21.0 21.1 科学朝日編『スキャンダルの科学史』pp.266-276 なお、勝矢は古川竹二が主張していた血液型性格分類を批判し、古川の主張を支持していた浅田と事ある毎に対立していた。
  22. “DISGRACED PHYSICIST STRIPPED OF PH.D. DEGREE”. Chemical & Engineering News. (2004年6月17日). http://pubs.acs.org/cen/news/8224/8224physicist.html . 2014閲覧. 
  23. 23.0 23.1 23.2 23.3 23.4 石黒武彦『科学の社会化シンドローム』p.8
  24. RETRACTION: Enhanced insulin sensitivity, energy expenditure and thermogenesis in adipose-specific Pten suppression in mice - Nature Medicine
  25. Retraction - - 2005 - Cancer Science - Wiley Online Library
  26. データ捏造で2教授停職 大阪大、肥満研究論文47NEWS 2006年2月15日)
  27. データ改ざん:米医学誌への論文取り下げる 大阪大学MSN毎日インタラクティブ 2005年05月25日時点のアーカイブ)
  28. 論文捏造(2006年9月中公新書ラクレ)村松秀
  29. Retraction of Fukuhara et al., Science 307 (5708) 426-430.
  30. Visfatin study retracted from Science Osaka researchers retract disputed paper but claim results are valid
  31. “元教授解雇、二審も支持 「助手の実験、確認怠る」”. 47NEWS. (2010年11月24日). http://www.47news.jp/CN/201011/CN2010112401000944.html . 2014年1月17日閲覧. 
  32. “論文捏造・黄教授に猶予判決、科学への貢献を考慮”. YOMIURI ONLINE (読売新聞社). (2009年10月26日). http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20091026-OYT1T01010.htm . 2009閲覧. 
  33. “韓国:ES細胞論文捏造の黄元教授に有罪…ソウル中央地裁”. 毎日新聞. (2009年10月26日). http://mainichi.jp/select/world/news/20091027k0000m030041000c.html . 2009閲覧. 
  34. “論文ねつ造した韓国人学者のES細胞 米国で特許取得”. (2014年2月11日). http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/02/11/2014021103466.html 
  35. Williams, Christoper (2007年8月3日). “Stem cell fraudster made 'virgin birth' breakthrough”. The Register. 2007年12月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。. 2014閲覧.
  36. ノルウェーでも研究論文の捏造問題が浮上 先見創意の会
  37. 朝日新聞(2006年09月06日):阪大教授らの論文に「疑問」 指摘の助手が自殺
  38. 産経新聞(2006年09月07日):阪大助手自殺 米科学雑誌論文取り下げ「データに改竄」訴え
  39. 日経バイオテック(2006年09月08日): 大阪大学で助手が自殺、論文データ改ざんの疑いで大学が調査
  40. 染色体サイクル
  41. 東京大学記者発表:アニリール・セルカン元東京大学工学系研究科助教に係る論文の不正行為に関する調査報告について
  42. アニリール・セルカンの研究不正・詐欺事件
  43. 沖縄タイムス:琉大論文不正:“ドタバタ劇”に募る不信(2011年6月30日)
  44. 琉球大学+長崎大学の森直樹氏による論文捏造の追及ブログ
  45. 読売新聞:論文不正、諭旨退職に…独協医大(2011年6月27日)
  46. 獨協医科大学の研究不正問題
  47. 元会員の論文捏造に関する理事会声明
  48. Josh Fischman, "Fake Peer Reviews, the Latest Form of Scientific Fraud, Fool Journals", Chronicle of Higher Education, 30 September 2012
  49. David Wagner, "Researcher, Peer Review Thyself", Atlantic Monthly, 24 August 2012
  50. Retraction: Journal of Enzyme Inhibition and Medicinal Chemistry: Vol 27, No 5
  51. Retractions: International Journal of Food Sciences and Nutrition: Vol 63, No 6
  52. RETRACTED: Erythrodiol-3-acetate, pentacyclic triterpenoid from Styrax japonica, expressions of matrix metalloproteinase-1,2 in cultured human skin fibroblasts - ScienceDirect
  53. RETRACTED: The effect of 2′,4′,7-trihydroxyisoflavone on ultraviolet-induced matrix metalloproteinases-1 expression in human skin fibroblasts - ScienceDirect
  54. 論文撤回告知: Phytotherapy Research誌 #1 [1]
  55. Retracted: Matrix metalloproteinase-1 expression inhibitory compound from the whole plants of Viola ibukiana Makino. (Phytother Res 2005; 19(3): 239–242)
  56. Statement of Retraction: Pharmaceutical Biology: Vol 50, No 9
  57. Retraction count grows to 35 for scientist who faked emails to do his own peer review Retraction Watch
  58. 中日新聞(2012年3月17日):名市大調査委、教授らの論文捏造断定
  59. 中日新聞(2012年3月20日):論文捏造で准教授を解雇 教授を停職6カ月 名市大が懲戒処分
  60. 熊本日日新聞(2012年3月19日)元熊大の准教授らを処分 論文捏造で名古屋市大
  61. 時事通信(2012年3月19日):捏造画像で論文投稿=准教授を解雇-名古屋市大
  62. 中日新聞(2012年3月20日):名市大論文捏造、准教授を解雇
  63. 読売新聞(2012年3月20日):データ捏造の准教授を懲戒解雇…名古屋市立大
  64. 毎日新聞(2012年3月20日):論文捏造:名市大准教授、懲戒解雇 老化研究で画像改ざん
  65. 名古屋市立大学の研究不正疑惑
  66. 東京大学記者発表:森口尚史氏による研究活動の不正行為に関する調査報告
  67. 日本経済新聞(2013年4月11日):元教授が14論文で不正 京都府立医大、退職金返還要求へ
  68. 読売新聞(2013年4月12日):元教授の14論文に捏造・改ざん…京都府医大
  69. 日本経済新聞(2013年4月12日):改ざん「絶対にない」 京都府立医大元教授がコメント
  70. 時事通信(2013年4月12日):元教授、論文14本不正=動物の幹細胞移植でも-京都府立医大
  71. 京都府立医科大学 松原弘明の不正
  72. 72.0 72.1 72.2 72.3 72.4 MSN産経ニュース「降圧剤の臨床データ、人為操作を確認 京都府立医大が謝罪 製薬会社に有利な結果」
  73. 73.0 73.1 MSN産経ニュース「英医学誌、慈恵医大論文も撤回」
  74. diovan-novartis.blogspot.com
  75. 「記者会見「東京大学分子細胞生物学研究所旧加藤研究室における論文不正に関する調査(中間報告)」の実施について」 東京大学
  76. 記者会見「東京大学分子細胞生物学研究所旧加藤研究室における論文不正に関する調査(中間報告)」の実施について 東京大学
  77. blog.goo.ne.jp/bnsikato
  78. 「筑波大 3論文で画像「改ざん」」 日本放送協会 2014年3月31日
  79. 「本学生命環境系教授及び元講師論文に関する調査結果について」 国立大学法人筑波大学 2014年3月31日
  80. Junn Yanagisawa (Tsukuba university)
  81. 「本学元教員の研究不正に関する処分の検討結果について 」 (写し)筑波大学 2014年7月22日
  82. 「本学生命環境系教授及び元講師論文に関する調査報告書」 (写し)筑波大学 2014年3月31日
  83. 小保方, 晴子 (2010年12月). “三胚葉由来組織に共通した万能性体性幹細胞の探索 (PDF)”. 早稲田大学大学院 先端理工学研究科. . 2014閲覧.
  84. 84.0 84.1 Isolation of pluripotent adult stem cells discovered from tissues derived from all three germ layers
  85. Stem Cell Basics” (英語). Stem Cell Information. National Institutes of Health (2009年4月21日). . 2014閲覧.
  86. 小保方さん博士論文、20ページ酷似 米サイトの文章と”. 朝日新聞デジタル. 朝日新聞社 (2014年3月11日). . 2014閲覧.
  87. 根本毅・吉田卓矢 (2014年3月12日). “STAP細胞:小保方さん博士論文 米文書と同一記述”. 毎日新聞. 毎日新聞社. . 2014閲覧.
  88. 88.0 88.1 小保方氏の博士論文 20ページが米研究所文書と酷似”. 中日メディカルサイト. 中日新聞社 (2014年3月12日). . 2014閲覧.
  89. 細胞製造・販売事業”. コスモ・バイオプライマリーセル事業部. . 2014閲覧.
  90. 共同通信 (2014年3月13日). “博士論文画像もコピーか STAP細胞の小保方氏” (日本語). 47NEWS. 全国新聞ネット. . 2014閲覧.
  91. 博士論文、他にも流用か=企業HPと画像酷似、STAP小保方氏”. 時事ドットコム. 時事通信社 (2014年3月13日). . 2014閲覧.
  92. 92.0 92.1 博士論文画像もコピー? ネット上で指摘”. msn産経ニュース. 産経デジタル (2014年3月13日). . 2014閲覧.
  93. 浅井文和 (2014年3月12日). “小保方さんの博士論文、参考文献リストもコピペか”. 朝日新聞デジタル. 朝日新聞社. . 2014閲覧.
  94. 94.0 94.1 David Cyranoski (2014年3月18日). “Stem-cell method faces fresh questions”. http://www.nature.com/news/stem-cell-method-faces-fresh-questions-1.14895 . 2014閲覧. 
  95. “早大が本格調査へ=小保方氏の博士論文”. 時事ドットコム (時事通信社). (2014年3月26日). http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2014032600400 . 2014閲覧. 
  96. 早稲田大学 (2014年3月28日). “早稲田大学大学院先進理工学研究科における博士学位論文に関する調査委員会の設置について”. . 2014閲覧.
  97. 97.0 97.1 97.2 小保方晴子のSTAP細胞論文の疑惑
  98. H. Obokata, et al. (3 2011). “The potential of stem cells in adult tissues representative of the three germ layers”. Tissue Engineering Part A 17 (5-6): 607-615. https://doi.org/10.1089/ten.TEA.2010.0385. 
  99. 99.0 99.1 小保方さん筆頭著者論文、米大教授が訂正”. YOMIURI ONLINE. 読売新聞グループ本社 (2014年3月19日). . 2014閲覧.
  100. 100.0 100.1 小保方氏の留学中の論文、画像使い回しか 共著者が訂正”. 朝日新聞デジタル. 朝日新聞社 (2014年3月19日). . 2014閲覧.
  101. 101.0 101.1 須田桃子 (2014年3月19日). “論文:STAP以外でも訂正…小保方さんら研究チーム”. 毎日新聞 (毎日新聞社). http://mainichi.jp/select/news/20140319k0000e040186000c.html . 2014閲覧. 
  102. “小保方氏の論文、共著者が訂正 11年に専門誌に発表”. 47News. 共同通信社. (2014年3月19日). http://www.47news.jp/CN/201403/CN2014031901001020.html . 2014閲覧. 
  103. C. A. Vacanti et al. (3 2014). “Erratum: The Potential of Stem Cells in Adult Tissues Representative of the Three Germ Layers”. Tissue Engineering Part A. https://doi.org/10.1089/ten.TEA.2014.0122. 
  104. 合田禄 (2014年4月7日). “早稲田大、博士論文280本を調査 不正の疑い指摘受け”. 朝日新聞. http://www.asahi.com/articles/ASG4735VTG47ULBJ004.html 
  105. 博士学位論文の訂正について 早稲田大学先進理工学部 2017年3月27日 2017年9月29日閲覧
  106. “STAP細胞:研究白紙に、主論文撤回 小保方氏が同意”. 毎日新聞. (2014年6月4日). http://mainichi.jp/select/news/20140604k0000e040197000c.html . 2014閲覧. 
  107. “Genetic tests suggest STAP stem cells ‘never existed’”. NATURE NEWS BLOG. (2014年6月3日). http://blogs.nature.com/news/2014/06/genetic-tests-suggest-stap-stem-cells-never-existed.html . 2014閲覧. (英語)
  108. “Last remaining support for controversial stem-cell papers collapses”. NATURE NEWS BLOG. (2014年6月4日). http://blogs.nature.com/news/2014/06/last-remaining-support-for-controversial-stem-cell-papers-collapses.html . 2014閲覧. (英語)
  109. “STAP cell research to fall apart as authors consent to retraction”. Mainichi Japan. (2014年6月4日). http://mainichi.jp/english/english/newsselect/news/20140604p2g00m0dm070000c.html . 2014閲覧. (英語)
  110. “STAP retracted - Two retractions highlight long-standing issues of trust and sloppiness that must be addressed”. NATURE EDITORIAL Sharing. (2014年7月2日). http://www.nature.com/news/stap-retracted-1.15488 . 2014閲覧. 
  111. “共著者ら「深くおわび」=STAP論文撤回で”. (2014年7月2日). http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2014070200928 . 2014閲覧. 
  112. 日経サイエンス号外 2014.
  113. 古田彩 & 詫摩雅子 2014d.
  114. 114.0 114.1 “STAP、「正体はES細胞」見方強まる(Q&A)”. 日本経済新聞. (2014年6月24日). http://www.nikkei.com/article/DGXNASGG2200H_T20C14A6TJM000/?dg=1 . 2014閲覧. 
  115. 115.0 115.1 “「〝できる〟と言うのは小保方氏1人」 若山教授会見”. 産経新聞. (2014年6月16日). http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/140616/wlf14061620400028-n1.htm . 2014閲覧. 
  116. David Cyranoski (2014年6月17日). “Gene tests suggest acid-bath stem cells never existed Cells purportedly made with 'STAP' method came from the wrong mice, tests show”. NATURE BREAKING NEWS. doi:10.1038/nature.2014.15425. http://www.nature.com/news/gene-tests-suggest-acid-bath-stem-cells-never-existed-1.15425 . 2014閲覧. (英語)
  117. “STAP有無「結論まだ早い」理研再生研の竹市氏”. 朝日新聞. (2014年6月16日). http://www.asahi.com/articles/ASG6M4G9YG6MUGTB00F.html?iref=com_alist_6_01 . 2014閲覧. 
  118. “誰も あると思ってない 幻のSTAP(ルポ迫真)”. 日本経済新聞. (2014年6月23日). http://www.nikkei.com/article/DGXNASGG19012_Z10C14A6PE8000/?dg=1 . 2014閲覧. 
  119. “理研小保方晴子氏に詐欺容疑での逮捕・立件も?”. さくらフィナンシャルニュース. (2014年6月25日). http://www.sakurafinancialnews.com/news/9999/20140625_12 . 2014閲覧. 
  120. “逮捕の可能性が取りざたされる小保方晴子氏と理研に長期の法廷闘争を回避させる日本的な背景”. さくらフィナンシャルニュース. (2014年6月28日). http://www.sakurafinancialnews.com/news/9999/20140628_6 . 2014閲覧. 
  121. “小保方晴子氏の逮捕情報が巷に”. Livedoorニュース. (2014年6月25日). http://news.livedoor.com/article/detail/8973637/ . 2014閲覧. 
  122. “STAP細胞に関する問題に対する理研の対応について” (プレスリリース), 独立行政法人理化学研究所, (2014年6月30日), http://www.riken.jp/pr/topics/2014/20140630_1/ . 2014閲覧. 
  123. 「理研の笹井芳樹氏が自殺 先端医療センター関連施設内」朝日新聞2014年8月5日
  124. 立花隆「日本再生・三十八 疑惑の細胞のこと」、『文藝春秋』第92巻第7号、2014年6月、 77-79頁。
  125. 岩崎昂志 (2014年6月18日). “「解体提言は不当」理研再生研幹部研究員・林氏に聞く”. 神戸新聞. http://www.kobe-np.co.jp/news/iryou/201406/0007062656.shtml . 2014閲覧. 
  126. “幻のSTAP(3) まな板の上の鯉”. 日本経済新聞. (2014年6月25日). http://www.nikkei.com/article/DGKDZO73278070V20C14A6EA1000/ . 2014閲覧. 
  127. 中山敬一 2014.
  128. “幻のSTAP(5) 集合知の審判”. 日本経済新聞. (2014年6月27日). http://www.nikkei.com/article/DGKDZO73394820X20C14A6EA1000/ 
  129. 小野昌弘. “嘘とポエムと内部告発”. Yahoo News. http://bylines.news.yahoo.co.jp/onomasahiro/20140608-00036149/ (日本語)
  130. 捏造問題にもっと怒りを 日本の科学を考える(2017年2月現在休止中。ただし、ただし、冒頭文は次のリンクから閲覧可能。 https://web.archive.org/web/20161025172659/http://scienceinjapan.org/topics/20130625.html また、一部コメントは次のリンクから閲覧可能。 https://disqus.com/home/discussion/scienceinjapan/thread_62/ )
  131. 下村博文文部科学大臣記者会見録 文部科学省 2015年1月13日
  132. 阪大:「ネットで不正指摘」…関連論文の予備調査を開始 毎日新聞 2015年2月3日
  133. 不正の疑いで論文7本を予備調査 九州大 産経新聞 2015年2月6日
  134. 名大や東京医科歯科大、不正指摘受け本調査へ m3.com 2015年2月9日
  135. 大阪大:論文疑惑 予備調査27本の調査打ち切り 毎日新聞 2015年4月8日
  136. インターネット上で指摘のあった論文の画像データに係る調査結果について 東京大学 2015年7月31日
  137. 東大、論文画像「不正行為なし」 調査結果を発表日本経済新聞 2015年8月1日
  138. 東大「論文に不正行為ない」 朝日新聞 2015年8月1日
  139. Oligomeric interaction of hepatitis C virus NS5B is critical for catalytic activity of RNA-dependent RNA polymerase. THE JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY VOL. 290, NO. 36, p. 22310, September 4, 2015
  140. 小保方さん“退場”も…論文コピペ疑惑が「大物」にも飛び火 日刊ゲンダイ 2015年1月9日
  141. 【超STAP事件】日本の学会は捏造論文だらけ!大スキャンダルに発展か 「むしマガ」Vol.272 2015年1月11日
  142. 142.0 142.1 東京大学の研究不正の調査のあり方に関する質問主意書 参議院 2016年10月12日
  143. 論文不正 告発に生データ見ず「適正」 岡山大調査委 毎日新聞 2016年1月4日
  144. 岡山大論文 「シロ」判定 文科省指針では公表不要 毎日新聞 2016年1月4日
  145. 医学論文11本に不正疑い 東大が予備調査 日本経済新聞 2016年8月31日
  146. 匿名による申立て事案にかかる本調査への移行について 東京大学広報室 2016年9月20日
  147. 記者会見「22報論文の研究不正の申立てに関する調査報告」の実施について 東京大学 2017年8月1日 2017年8月17日閲覧
  148. 22報論文に関する調査報告 東京大学 2018年3月17日閲覧
  149. 参議院 厚生労働委員会 2016年10月25日 2016年12月7日閲覧
  150. 東大論文不正で調査本格化 データ検証に新手法 日本経済新聞 2016年9月25日
  151. 151.0 151.1 151.2 熊本地震本震の臨時観測公開データの問題について 土木学会地震工学委員会のホームページ 2017年9月27日 2017年9月29日閲覧
  152. TMP1~3 と KMMH16 の関係について 匿名情報提供者(土木学会 地震工学委員会が公開) 2017年9月22日 2017年9月29日閲覧
  153. 熊本地震本震の臨時観測公開データの問題について 高山峯夫福岡大学工学部教授 2017年9月28日
  154. 熊本地震本震の臨時観測公開データの問題について 公益社団法人 日本地震工学会事務局 2017年9月29日 2017年9月29日閲覧
  155. 熊本地震本震の臨時観測公開データの問題について 日本地震学会強震動委員会 2017年10月2日 2017年10月3日閲覧
  156. Preliminary Analysis of Strong Ground Motions in the Heavily Damaged Zone in Mashiki Town, Kumamoto, Japan, during the Mainshock of the 2016 Kumamoto Earthquake (Mw 7.0) Observed by a Dense Seismic Array Seismological Research Letters vol. 87 no. 5 1044-1049 September 2016
  157. 熊本地震での本震の観測 高山峯夫福岡大学工学部教授 2016年10月9日
  158. About the Cover Seismological Research Letters vol. 87 no. 5, September 2016, 2017年9月29日閲覧
  159. 観測に成功した強震動の内容が米国地震学会誌の表紙を飾りました 大阪大学大学院工学研究科 地球総合工学専攻 社会基盤工学コース 2016年9月1日
  160. 熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会 報告書 国土交通省国土技術政策総合研究所 2016年9月 2017年10月3日閲覧
  161. 重要なお知らせ 2016年熊本地震 益城町臨時観測点 本震記録ダウンロードサイト 2017年9月29日閲覧
  162. 益城町本震記録に関するお詫び 京都大学 防災研究所 2017年9月28日 2017年9月29日閲覧
  163. 2016年熊本地震の益城町臨時観測点における本震記録について 国立研究開発法人 産業技術総合研究所 2017年9月29日 2017年10月3日閲覧
  164. 平成28年(2016年)熊本地震 地震被害調査結果 速報会 地震動 ・ 地盤震動 大阪大学 大学院工学研究科 地球総合工学専攻 社会基盤工学部門 2016年4月27日 2017年10月3日閲覧
  165. 熊本地震 大阪大などの発表データに不自然な点 文科省が調査 NHK 2017年10月2日 2017年10月3日閲覧
  166. 林芳正文部科学大臣記者会見録(平成29年10月3日) 文部科学省 2017年10月3日 2017年10月3日閲覧
  167. お探し中のページはみつかりません 土木学会地震工学委員会のホームページ
  168. [2] 澤田純男 平成29年10月4日
  169. 熊本地震本震の臨時観測公開データについて 土木学会地震工学委員会のホームページ
  170. ヒトの遺伝学 Gordon Edlin著 東京化学同人(日本語版)1992 ISBN 4807903632
  171. “英医学誌、自閉症と新三種混合ワクチンの関係示した論文を撤回”. AFPBB News (フランス通信社). (2010年2月3日). http://www.afpbb.com/article/life-culture/health/2690341/5270873 . 2013閲覧. 
  172. 早大不正で分析化学会調査 松本氏、東工大委員も辞任 47NEWS

参考文献

  • 酒井シヅ、三浦雅弘、アレクサンダー・コーン 『科学の罠―過失と不正の科学史』 工作舎、1990。ISBN 4875021682。
  • 山崎茂明 『科学者の不正行為―捏造・偽造・盗用』 丸善、2002。ISBN 4621070215。
  • 背信の科学者たち
    • W.ブロード、N.ウェイド 『背信の科学者たち』 牧野賢治 訳、化学同人、1988。ISBN 475980160X。
    • W.ブロード、N.ウェイド 『背信の科学者たち―論文捏造、データ改ざんはなぜ繰り返されるのか』 牧野賢治 訳、講談社〈ブルーバックス〉、2006。ISBN 4-06-257535-3。 - 復刻版。新書判化に際して旧版より幾分割愛されたものの、訳者によって原著刊行後のミスコンダクト(不正行為)の事例がフォローされている。
    • W.ブロード、N.ウェイド 『背信の科学者たち』 牧野賢治 訳、講談社、2014。ISBN 4062190958。 - 再度の復刊版。訳者によって、STAP細胞事件などの最新事例がフォローされている。
  • 李成柱 『国家を騙した科学者―「ES細胞」論文捏造事件の真相』 牧野出版、2006。ISBN 4895000958。
  • 村松秀 『論文捏造』 中央公論新社〈中公新書ラクレ〉、2006。ISBN 4121502264。
  • 中山敬一「実は医学論文の七割が再現不能 - 小保方捏造を生んだ科学界の病理」、『文藝春秋』第92巻第7号、2014年6月、 94-103頁。
  • 河内敏康、八田浩輔 『偽りの薬 バルサルタン臨床試験疑惑を追う』 毎日新聞社、2014。ISBN 978-4620322827。
  • 須田桃子 『捏造の科学者 STAP細胞事件』 文藝春秋、2015。ISBN 978-4163901916。
  • 田中智之、小出隆規、安井裕之 『科学者の研究倫理 化学・ライフサイエンスを中心に』 東京化学同人、2018。ISBN 978-4807909476。

関連項目

外部リンク