漫画家

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漫画家(まんがか)は、漫画作品の制作を生業とする人のこと。風刺漫画から、四コマ漫画などのギャグ漫画や短編のギャグストーリー漫画を描く人、シリアスな展開が求められる長編漫画まで、いずれの場合も制作者は漫画家と呼ばれる。

概要

日本における一コマ漫画4コマ漫画欧米におけるコミック・ストリップのような比較的単純な漫画の場合、漫画の制作は概ね1人の漫画家によって行われるが、ストーリー性のある複雑な長編漫画などの場合、以下に示すように各国によって漫画家の仕事内容が多少異なる。

"Do you know the way"長編漫画の制作過程は、プロットの作成、ネームの作成、下書き、ペン入れ、(カラー作品の場合は)彩色、というように様々な作業工程を経るが、日本におけるストーリー漫画の場合、多くはこれらの作業を全て1人の漫画家が担当する。アシスタントを雇い補助的な仕事をさせたり、出版社の編集者が制作に深く関与したり、漫画家名義が複数の漫画家で構成されている[1]ことも多いが、最終的に作品の責任を負うのは著者である漫画家1人である場合が多い。漫画と小説・映画・アニメーションなど別媒体でマルチメディア展開している場合や、漫画単独のみであっても、漫画家とは別に原案・原作者が企画・ストーリーを考え、脚本担当と作画担当とが組んで作品を制作することもある。多くの作品において、脚本のみを創作する者は漫画原作者という立場になり、漫画家とともに作品の著作者となる。ストーリーと作画の分業は昔からよくあるケースであるが、実際は原作者は初期程度で後は作画担当者が独自に筆をすすめ発表するケースも多々あり(例:あしたのジョー等)、後に権利関係で揉める事案もある(例:キャンディ・キャンディ等)。

個人名とチーム・スタジオ名明記のケースも多くなっている(永井豪:ダイナミックプロ 等)。一方で、スヌーピーで有名なアメリカの漫画「ピーナッツ」の漫画家チャールズ・M・シュルツのように、数十年に渡って1人の漫画家がアシスタントも使わず作品を描くケースもある[2]

なお日本語の「漫画家」は世界各国の漫画家も含めるが、日本国外における「マンガカ(Mangaka)」や「マンガ・アーティスト(Manga-Artist)」は専ら日本の漫画家を指す。日本漫画家協会は英名が「JAPAN CARTOONISTS ASSOCIATION」であり、漫画家の英称をカトゥーニストとしている。他にコミック・アーティストとも呼ばれる。

アメリカン・コミックス

アメリカン・コミックスにおいては、大手の漫画出版社による漫画作品の場合、ライター(脚本)、ペンシラー(下書き)、インカー(ペン入れ)、カラーリスト(彩色)、レタラー(描き文字)のように工程ごとに担当者が別れて作業が行われ、彼らを総称してコミック・クリエイター(コミック・ブック・クリエイターとも)と呼ぶ。アメリカンコミックスの大手出版社の場合、伝統的に作品の著作権を出版社が保有する。小出版社やインディペンデント系の出版社では、日本と同様に1人の人物が作品を担当し、大手のものと比べて作家性の強い作品を制作する場合もある。コミック・クリエイターのうち日本語の漫画家にあたる作画を担当するものはコミック・アーティスト(コミック・ブック・アーティストとも)と呼ばれ、カートゥーンコミック・ストリップなどの比較的簡素な漫画の制作者も含めてカトゥーニストとも呼ばれている。

バンド・デシネ

バンド・デシネにおいては、長編の漫画作品においても全ての作業を1人で行うか、シナリオと作画、場合によっては彩色を担当するものに別れて2、3人程度で制作を行うのが一般的である。フランス語圏では漫画家はデシナトゥール・ド・バンド・デシネ(バンドデシネの画家)やオトゥール・ド・バンド・デシネ(バンドデシネの著者)のように言い表され、「漫画家」「コミック・アーティスト」「カトゥーニスト」のように固有名詞で表すことはされない。

漫画家・アシスタント業務

漫画家及び作画作業を補助するアシスタントは長時間座って作画作業を行う典型的な座業であり、その作業上利き腕を酷使するため、職業病として腰痛腱鞘炎書痙などを発症する者が少なくない。また、多忙などから治療を疎かにした場合などには往々に深刻な状態に陥り、これら(特に腰痛)によって長期休業を余儀なくされたり、最悪の場合には引退廃業)に追い込まれる者も散見される。長時間のデスクワークでの運動不足かつネームや締め切りのストレス、不規則な睡眠時間や食生活等に陥る漫画家・アシスタントも多く、中年で過労死・突然死する短命な漫画家もおり、不健康な生活習慣になりがちな職業でもある。また、「ギャグ漫画家は精神を病みやすい」と知られており、吾妻ひでお鴨川つばめ桜玉吉山田花子ねこぢる田中圭一などのギャグ漫画家が深刻な精神状態に追い込まれたことで有名であり、作風からも著者の鬱状態が読み取れる。

脚注

関連項目