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'''漁業協同組合'''(ぎょぎょうきょうどうくみあい)は、[[日本]]において[[漁業者]](漁民)によって組織された[[協同組合]]である。略称は'''漁協'''('''ぎょきょう''')、または'''JF'''('''ジェイエフ'''、Japan Fisheries cooperative の略)。
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'''漁業協同組合'''(ぎょぎょうきょうどうくみあい)
[[北海道]]では慣習的に漁組(ぎょくみ)と呼ぶことが多い。
 
  
==概要==
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[[水産業協同組合法]] (昭和 23年法律 242号) により漁民を組合員として設立される協同組合。漁民とは個人営業者と漁業を営む一定規模以下の法人をさす。一定地区内の漁業者,法人を組合員とする地区漁協と,特定の漁業種類を営む漁業者を組合員とする業種別漁協がある。漁獲物の販売,漁業用具,機器の購買,共同利用,金融および技術,経営指導などを行う。市町村に各単位組合,都道府県に各漁業協同組合連合会がつくられている。全国段階では,全国漁業協同組合連合会があるが,これは信用事業は行なっていない。
[[水産業協同組合法]]によって定められており、漁民の協同組織の発達を促進し、もつてその経済的社会的地位の向上と水産業の生産力の増進とを図るための協同組織とされている。正組合員資格は漁業者のうち一定の者に限られ、組合員が一人一票の平等の議決権を持つ。
 
 
 
その事業内容は多岐にわたり、操業指導を行う指導事業、漁民の生産物を販売する販売事業、漁民が操業に必要な[[燃料]]や漁具・[[養殖]]えさや生活に必要な食品などを供給する購買事業、[[銀行]]業としての[[信用事業]](いわゆる、[[JFマリンバンク]])、[[保険]]業としての[[共済]]事業などが、通常行われている事業である。信用事業を行う漁協は、[[小切手法]]により銀行と同視されている。
 
 
 
個別の漁協(単位漁協)には、地域の漁民が集まった総合漁協が多いが、同じ漁法・養殖魚の漁民だけが集まった専門漁協(例・[[うなぎ]]漁協)がある。
 
 
 
なお、組合員に出資をさせない組合もあり、この場合は、信用事業、共済事業は行うことができない。
 
 
 
[[2007年]]7月に行われた[[参議院議員選挙]]で、[[自由民主党 (日本)|自民党]][[比例代表]]の[[丸一芳訓]]候補([[1951年]] - 、前[[兵庫県漁業協同組合連合会|兵庫県漁連]]会長、元警察官、[[国士舘大学]][[法学部]]卒)を擁立、組織的に支援したが、落選した。
 
 
 
==農協との比較==
 
現在の漁協は、明治期からあった「漁業組合」から引き継がれている。漁業組合は、明治期に国家へ漁業を編入させるため創設された制度であったが、[[漁業権]]の管理などを担うという実際的な役割を果たしてきた。今日の漁業協同組合は、[[1948年]]に[[水産業協同組合法]]が成立したのが始まりである。
 
 
 
当初、漁協の数は3507にのぼり、それだけ零細にして事業基盤が弱かった。1951年の[[農林漁業組合再建整備法]]は経営の健全化に働かず、1960年に成立した[[漁業業同組合整備促進法]]が法制度名を変えながら今日まで漁協の統廃合を推進してきた。2012年3月時点で漁協の数は1000になった。[[漁協合併促進法]]では、2008年3月末までに数を250に収めることを政策目標としたが、全く届かなかった。<ref>2015年6月現在、この段に登場する3法がいずれも未作成の項目となっている事実は漁協に対する社会の関心が低いことを表している。</ref>
 
 
 
他方、農協は戦後1万以上設立されたが、統廃合の結果723に落ち着いている。1農協の平均組合数は1万人を超える。漁協は230人である<ref>2011年時点でわかっている範囲でも、職員が0-2人の漁協が282もある。10人未満の漁協の数は全体の6割以上だ。</ref>。また、農協の組合員数は今なお増え続けている<ref>漁協の方は減少し続けている。</ref>。農協は一般に職能組合というよりも地域組合として発展した。生活に即した事業や農業外事業への融資を展開し、非農民である准組合員の事業利用を拡大してきた。合併を経た農協は経済合理性を追求するのに有利である。それでも漁協は統廃合や合併に消極的であった。
 
 
 
水産業協同組合法に制限列挙された事業内容は農協とさほど変わらない。しかし、現に行われている事業のバランスは全く違う。農協では信用事業と共済事業が中心であり、漁協は販売事業や購買事務<ref>二者は「経済事業」と総称される。特に販売事業が主力となるが、1990年をピークに今日まで販売額は右肩下がりである。この点、参考文献の著者は、国民的に食が細くなっていることや魚離れといった需要減少を理由にしている。魚離れに関しては、食材として規格化されにくい性質と、そこに着目した小売店の撤退を興味深く論じている。</ref>を主体としている。こうしたバランスに漁協がこだわるのは、漁場管理を担っているからである。
 
 
 
漁場管理とは、地元の漁業を総合的に管理する行為である。[[高度経済成長期]]の後に開発された[[養殖業]]を除いて、
 
漁法は江戸時代に開発された。その共同管理を権利として受け継いだのが'''組合管理漁業権'''である。これは、形こそ[[行政庁]]から漁協が免許されるものだが<ref>他方、漁業経営者が免許されるのは'''経営者免許漁業権'''という。経験者優先、地元優先のうえ、より多くの地元漁民が参画した組織に与えられる。あくまで漁協優先だ。
 
:実は、組合管理漁業権と経営者免許漁業権のいずれにもあてはまらない形態の方が多い。江戸時代から村共同で営まれているものや、漁協と漁民との共同経営、漁民と民間企業との共同経営、地元漁民が設立した会社法人や水産業協同組合法上の漁業生産組合など。</ref>、漁業権の公使規則は漁民の合意により作成される。漁業行使権の配分には漁協の職員すら立ち入らない。また、漁民の個別事情が考慮される。このように、漁場管理はボトムアップで行われる。漁民が好き勝手に操業すると漁場はすぐ荒れる。だからこそ関連制度も事業実態も漁民に協調性を要求する。この仕組みを維持しようとする考え方は、統廃合や漁業自由化とは結びつきにくい性質を持っていた。
 
 
 
しかし2011年、漁業自由化を旗印に宮城県知事の[[村井嘉浩]]らが切り崩しを行っている<ref>しんぶん赤旗 [http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-05-29/2011052901_02_1.html 宮城県の復興計画 野村総研が全面関与 知事「地元の人 入れない」] 2011年5月29日</ref><ref>2013年4月、漁業権を民間企業に開放しようと宮城県が申請していた「水産業[[復興特区]]」の計画を[[復興庁]]が認定。
 
:しんぶん赤旗 [http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-04-24/2013042415_01_1.html 宮城県水産特区を認定 復興庁 漁協の声を無視] 2013年4月24日(水)</ref>。
 
 
 
==組織==
 
事業ごとに次の全国組織および都道府県組織がある。
 
*[[全国漁業協同組合連合会]](JF全漁連) - 単位漁協(JF)の指導、[[監査]]、広報活動、経済事業(販売、購買)
 
**都道府県[[漁業協同組合連合会]](JF漁連) - 都道府県ごと
 
*[[農林中央金庫]] (農林中金)- 農協貯金、漁協貯金の中央金庫(運用機関)
 
**都道府県信用漁業協同組合連合会(JF信漁連) - 信用事業([[JFマリンバンク]])、都道府県ごと(29都道府県、その他宮城県、山形県、島根県、山口県、大分県は県域漁協に統合、熊本県は地域漁協が運営)
 
*[[全国共済水産業協同組合連合会]](JF共水連) - 共済事業
 
各上部組織は、単位漁協が出資している協同組合組織(農林中央金庫を除く)であり、一般的な株式会社の親会社、子会社とは関係が異なり、資本関係から言えば、単位漁協の方が上部組織である。
 
 
 
==脚注==
 
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==参考文献==
 
「農協との比較」の節につき、濱田武士 『日本漁業の真実』 ちくま新書 2014年 pp.210-220.
 
 
 
== 関連項目 ==
 
* [[農林水産省]]
 
* [[農業協同組合]]([[農業協同組合|JA]])
 
* [[全国漁協オンラインセンター]]
 
* [[日本の漁業協同組合一覧]]
 
* [[ローカル・コモンズ]]
 
* [[瀬主]]
 
* [[沿岸漁業|沿海漁業]](沿岸漁業)
 
* [[内水面漁業]]
 
* [[プライドフィッシュ]]
 
  
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1990年,4158組。近年は魚価低迷などにより,漁業経営の悪化,漁業就業者の高齢化などの問題をかかえ,組合数は減少傾向にある。
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==外部リンク==
 
==外部リンク==
 
*[http://www.zengyoren.or.jp/ JF全漁連]
 
*[http://www.zengyoren.or.jp/ JF全漁連]
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*[http://www.jfmbk.org/ JFマリンバンク]
 
*[http://www.jfmbk.org/ JFマリンバンク]
 
*[http://www.naisuimen.or.jp/ 全国内水面漁業協同組合連合会]
 
*[http://www.naisuimen.or.jp/ 全国内水面漁業協同組合連合会]
*[http://www.jf-zenon.co.jp/ 全国漁協オンラインセンター]
 
*[http://zenmukyo.or.jp/index.html 全国漁業無線協会]
 
*[http://law.e-gov.go.jp/cgi-bin/idxselect.cgi?IDX_OPT=1&H_NAME=%90%85%8e%59%8b%c6%8b%a6%93%af%91%67%8d%87%96%40&H_NAME_YOMI=%82%a0&H_NO_GENGO=H&H_NO_YEAR=&H_NO_TYPE=2&H_NO_NO=&H_FILE_NAME=S23HO242&H_RYAKU=1&H_CTG=1&H_YOMI_GUN=1&H_CTG_GUN=1 法令データ提供システム - 水産業協同組合法]
 
  
 
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2018/10/2/ (火) 20:14時点における版

漁業協同組合(ぎょぎょうきょうどうくみあい)

水産業協同組合法 (昭和 23年法律 242号) により漁民を組合員として設立される協同組合。漁民とは個人営業者と漁業を営む一定規模以下の法人をさす。一定地区内の漁業者,法人を組合員とする地区漁協と,特定の漁業種類を営む漁業者を組合員とする業種別漁協がある。漁獲物の販売,漁業用具,機器の購買,共同利用,金融および技術,経営指導などを行う。市町村に各単位組合,都道府県に各漁業協同組合連合会がつくられている。全国段階では,全国漁業協同組合連合会があるが,これは信用事業は行なっていない。

1990年,4158組。近年は魚価低迷などにより,漁業経営の悪化,漁業就業者の高齢化などの問題をかかえ,組合数は減少傾向にある。

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