正弦・余弦変換

提供: miniwiki
2018/8/19/ (日) 17:21時点におけるAdmin (トーク | 投稿記録)による版 (1版 をインポートしました)
(差分) ← 古い版 | 最新版 (差分) | 新しい版 → (差分)
移動先:案内検索

数学におけるフーリエ正弦・余弦変換(せいげんよげんへんかん、英語: sine and cosine transforms)とは、連続フーリエ変換の特別なもので、それぞれ奇関数偶関数の変換を行う際に自然に生じるものである。

一般的なフーリエ変換

[math] F(\omega) = \mathcal{F}(f)(\omega) = \frac{1}{\sqrt{2\pi}} \int\limits_{-\infty}^\infty f(t) e^{-i\omega t}\,dt [/math]

によって定義される。この積分オイラーの公式を適用することにより

[math]F(\omega)=\frac{1}{\sqrt{2\pi}} \int\limits_{-\infty}^\infty f(t)(\cos\,{\omega t} - i\,\sin{ \,\omega t})\,dt [/math]

が得られる。これは二つの積分の差として、次のように記述される:

[math]F(\omega)=\frac{1}{\sqrt{2\pi}} \int\limits_{-\infty}^\infty f(t)\cos\,{\omega t} \,dt - \frac{i}{\sqrt{2\pi}} \int\limits_{-\infty}^\infty f(t)\sin\,{\omega t}\,dt.[/math]

フーリエ正弦変換およびフーリエ余弦変換は、この式から導くことが出来る。

フーリエ正弦変換

フーリエ正弦変換は、奇関数に対して連続フーリエ変換を行う際に自然に生じる。上述のような一般的なフーリエ変換において、もし f(t) が奇関数であるなら、積 f(t)cosωt も奇関数となる一方で、積 f(t)sinωt は偶関数となる。その積分区間が原点について対称(すなわち -∞ から +∞ まで)であるため、一つ目の積分はゼロとなり、二つ目の積分は

[math]F(\omega)= -i\,\sqrt{\frac{2}{\pi}} \int\limits_{0}^\infty f(t)\sin\,{\omega t} \,dt [/math]

と簡略化される。これがすなわち奇関数 f(t) に対するフーリエ正弦変換である。その変換された関数 F(ω) もまた奇関数であることは明らかであり、一般的な逆フーリエ変換English版の解析と同様に、第二正弦変換

[math]f(t)= i\,\sqrt{\frac{2}{\pi}} \int\limits_{0}^\infty F(\omega)\sin\,{\omega t} \,d\omega [/math]

を得ることが出来る。一般的な連続フーリエ変換に関する議論と同様に、変換の数値的な因数はそれらの積によってのみ一意に定められる。したがって、虚数単位 i および -i は除外することが出来、より一般的な形でのフーリエ正弦変換は

[math]F(\omega)= \sqrt{\frac{2}{\pi}} \int\limits_{0}^\infty f(t)\sin\,{\omega t} \,dt [/math]

および

[math]f(t)= \sqrt{\frac{2}{\pi}} \int\limits_{0}^\infty F(\omega)\sin\,{\omega t} \,d\omega [/math]

となる。

フーリエ余弦変換

フーリエ余弦変換は、偶関数に対して連続フーリエ変換を行う際に自然に生じる。上述のような一般的なフーリエ変換において、もし f(t) が偶関数であるなら、積 f(t)cosωt も偶関数となる一方で積 f(t)sinωt は奇関数となる。積分区間が原点について対称であるため、二つ目の積分はゼロとなる一方で、一つ目の積分は

[math]F(\omega)= \sqrt{\frac{2}{\pi}} \int\limits_{0}^\infty f(t)\cos\,{\omega t} \,dt [/math]

と簡略化される。これが、偶関数 f(t) に対するフーリエ余弦変換である。変換された関数 F(ω) も偶関数であることは明らかで、一般的な逆フーリエ変換に対する解析と同様に、第二余弦変換

[math]f(t)= \sqrt{\frac{2}{\pi}} \int\limits_{0}^\infty F(\omega)\cos\,{\omega t} \,d\omega [/math]

を得ることが出来る。

関連項目

参考文献

  • Mary L. Boas, Mathematical Methods in the Physical Sciences, 2nd Ed, John Wiley & Sons Inc, 1983. ISBN 0-471-04409-1