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[[File:Rinzo Shiina 01.jpg|thumb|200px|椎名麟三(1953年5月に撮影)]]
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'''椎名 麟三'''(しいな りんぞう、[[1911年]][[10月1日]] - [[1973年]][[3月28日]]
'''椎名 麟三'''(しいな りんぞう、[[1911年]][[10月1日]] - [[1973年]][[3月28日]])は、[[日本]]の[[小説家]]である。本名は'''大坪 昇'''(おおつぼ のぼる)。
 
  
== 人物 ==
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小説家。本名,大坪昇。職業を転々とする下積みの青春時代を過した。敗戦後の現実を背景に人間存在や思想の意味を懐疑し,現代における生の可能性を問うという実存的なテーマの『深夜の酒宴』 (1947) ,『重き流れのなかに』 (47) でたちまち戦後派文学の代表作家と目された。死からの解放,極貧層との連帯感から生の肯定を主題とした『永遠なる序章』 (48) へと進み,キリスト教への接近を深めながら,『自由の彼方で』 (53~54) ,『美しい女』 (55) などの自伝的長編では平凡愚劣な現実を全体として強く肯定する態度を貫いて新境地を開いた。ほかに小説『深尾正治の手記』 (48) ,『罠と毒』 (60) ,戯曲『タンタロスの踊り』 (56) ,『蠍 (さそり) を飼う女』 (60) など。
父・大坪熊次(おおつぼ くまじ)と母・みすの、の長男として、[[兵庫県]][[飾磨郡]][[曽左村|曾左村]]之内書写村(現・[[姫路市]]書写東坂(ひがしさか))に出生。両親ともに[[愛人]]を持ち、のちに父母ともに自殺した事から困窮し、14歳で家出。[[兵庫県立姫路西高等学校|旧制姫路中学]]を中退し、果物屋での20時間労働、飲食店の出前持ち、燐寸工場の鉄具ひろい、コック見習いなどの職を転々とした。[[宇治川電気]](現・[[山陽電鉄]])の車掌時代に[[カール・マルクス]]を読みはじめるとともに[[日本共産党]]に入党。
 
  
[[1931年]](昭和6年)に[[特別高等警察|特高]]に検挙された。獄中で読んだ[[フリードリヒ・ニーチェ|ニーチェ]]『[[この人を見よ]]』をきっかけに[[転向]]。その後[[フリードリヒ・ニーチェ|ニーチェ]]の『[[大いなる正午]]』をきっかけに哲学にのめり込む。エッセイ「蜘蛛の精神」によれば、[[キルケゴール]]、[[ジンメル]]などを師とあおぎ、後に入信することとなる[[キリスト教]]に関する知識を得た。小説に関しては[[フョードル・ドストエフスキー|ドストエフスキー]]との出会いを通して「小説なるものの真の意味」を知ったと述べている。戦後『深夜の酒宴』([[1947年]](昭和22年))で登場。[[1950年]](昭和25年)、キリスト教へ入信。[[日本基督教団上原教会]]にて[[赤岩栄]][[牧師]]から[[洗礼]]を受ける。以後キリスト教作家として活動。1955年『美しい女』で[[芸術選奨文部大臣賞]]受賞。[[1973年]](昭和48年)[[3月28日]]、[[脳内出血]]のため[[東京都]][[世田谷区]][[松原 (世田谷区)|松原]]の自宅で死去<ref>[[工藤寛正|岩井寛]]『作家の臨終・墓碑事典』(東京堂出版、1997年)160頁</ref>。61歳没。
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== 作品 ==
 
=== 小説 ===
 
*「深夜の酒宴」(1947年)のち講談社文芸文庫 
 
*『重き流れのなかに』(1947年)筑摩書房、のち新潮文庫 
 
*『深尾正治の手記』銀座出版社 1948
 
*『永遠なる序章』(1948年)河出書房、のち新潮文庫  
 
*『その日まで』筑摩書房 1949 
 
*『病院裏の人々』月曜書房 1950 
 
*『赤い孤独者』(1951年)河出書房 のち旺文社文庫 
 
*『嫉妬』早川書房 1951 
 
*『邂逅』(1952年)講談社 のち旺文社文庫 
 
*『愛と死の谷間』筑摩書房 1953  のち角川文庫
 
*『自由の彼方で』大日本雄弁会講談社 1954  のち新潮文庫、講談社文芸文庫
 
*『神の道化師』新潮社 1955 のち旺文社文庫、講談社文芸文庫
 
*『美しい女』中央公論社 1955  のち角川文庫、新潮文庫、中公文庫
 
*『愛の証言』光文社(カッパ・ブックス) 1955
 
*『母の像』河出新書 1955 
 
*『その日まで』近代生活社(近代生活新書) 1956
 
*『運河』新潮社 1956  のち旺文社文庫
 
*『人生の背後に』角川小説新書 1956
 
*『新作の証言』筑摩書房 1957 
 
*『'''椎名麟三作品集'''』全7巻 大日本雄弁会講談社 1957-58
 
*『雨は降り続いている』東京書房 1958 
 
*『明日なき日』人文書院 1959 
 
*『寒暖計』新潮 1959 
 
*『断崖の上で』中央公論社 1959 
 
*『罠と毒』中央公論社 1960 
 
*『長い谷間』講談社 1961 
 
*『媒妁人』新潮社 1962 
 
*『カラチの女』講談社 1963 
 
*『懲役人の告発』新潮社・純文学書き下ろし特別作品(1969年)
 
*『変装』新潮社 1970 
 
*『'''椎名麟三全集'''』全23巻別巻 冬樹社 1970-79 
 
*『椎名麟三初期作品集』河出書房新社 1975
 
 
 
=== 脚本 ===
 
==== 映画 ====
 
* 愛と死の谷間(1954年、[[日活]])
 
* 鶏はふたゝび鳴く(1954年、[[新東宝]])
 
 
 
==== 戯曲 ====
 
* 姫山物語(1963年、ミュージカル)
 
* [[悪霊 (ドストエフスキー)|悪霊]](1970年、冬樹社) - 脚色
 
* 蠍を飼う女 自選戯曲集(1971年、新潮社)
 
 
 
==== テレビドラマ ====
 
* その男(1959年、[[日本放送協会|NHK]][[NHK大阪放送局|大阪]]「テレビ劇場」)
 
* 終電車脱線す(1960年、[[TBSテレビ|ラジオ東京テレビ]]「日立劇場」)
 
* 自由への証言(1960年、NHK大阪) - [[芸術祭 (文化庁)|芸術祭]]奨励賞
 
* 待っている間の(1962年、[[日本テレビ放送網|日本テレビ]]「愛の劇場」)
 
* 約束(1964年、NHK「NHK劇場」) - 芸術祭奨励賞
 
 
 
=== 随筆・評論 ===
 
*自由を索めて エッセエ集 近代文庫社 1949
 
*愛と自由の肖像  社会思想研究会出版部 1956  のち現代教養文庫 
 
*猫背の散歩 河出書房 1956 
 
*私の聖書物語 中央公論社 1957  のち文庫
 
*生きる意味  社会思想研究会出版部 1959  のち現代教養文庫
 
*私の人生手帖 社会思想研究会出版部 1961 (現代教養文庫)
 
*文学入門 [[佐古純一郎]]共編 日本基督教団出版部 1963 
 
*信仰というもの 教文館 1964 (現代キリスト教双書) 
 
*地底での散歩 国際日本研究所 1966
 
*人・生活・読書 二見書房 1967 
 
*私のドストエフスキー体験 教文館 1967 
 
*凡愚伝 日本基督教団出版局 1967 
 
*'''椎名麟三人生論集''' 全5巻 二見書房 1968 
 
*'''椎名麟三信仰著作集''' 全13巻 教文館 1977-82 
 
*愛について 1977.9 (旺文社文庫) 
 
*椎名麟三創作ノート 全3 菁柿堂 1981-82
 
 
 
== 記念碑など ==
 
[[山陽電気鉄道]]本社前に文学碑がある。彼がかつて山陽電鉄に車掌として勤めていたこと、またその経験を生かし「美しい女」を執筆したことによる。碑文には「考えてみれば人間の自由が僕の一生の課題であるらしい」と刻まれている。([[鉄道ピクトリアル]]1990年5月増刊号・特集 山陽電気鉄道/神戸電鉄より)
 
 
 
また、[[書写山]][[圓教寺]]には、[[岡本太郎]]による文学碑がある。彼が書写山のふもと、東坂に生まれたことによる。
 
 
 
== 脚注 ==
 
<references/>
 
 
 
== 関連項目 ==
 
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* [[姫路文学館]]
 
 
 
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[[Category:日本の小説家]]
 
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椎名 麟三(しいな りんぞう、1911年10月1日 - 1973年3月28日

小説家。本名,大坪昇。職業を転々とする下積みの青春時代を過した。敗戦後の現実を背景に人間存在や思想の意味を懐疑し,現代における生の可能性を問うという実存的なテーマの『深夜の酒宴』 (1947) ,『重き流れのなかに』 (47) でたちまち戦後派文学の代表作家と目された。死からの解放,極貧層との連帯感から生の肯定を主題とした『永遠なる序章』 (48) へと進み,キリスト教への接近を深めながら,『自由の彼方で』 (53~54) ,『美しい女』 (55) などの自伝的長編では平凡愚劣な現実を全体として強く肯定する態度を貫いて新境地を開いた。ほかに小説『深尾正治の手記』 (48) ,『罠と毒』 (60) ,戯曲『タンタロスの踊り』 (56) ,『蠍 (さそり) を飼う女』 (60) など。



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