棚田

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棚田(たなだ)

 山腹などの急傾斜地につくられた棚状の田のこと。山間地で急峻(きゅうしゅん)な土地まで開田している場合には、田は幅の狭い帯状になり、その上・下段の田との間はかなり高い垂直の壁がつくられ、これらは石などで保守されていて、その形が棚のようにみえる。棚田は等高線に沿ってつくられるので、いわゆるテラス栽培の一種である。また、山腹などに小さい棚田がたくさんつくられている情景から千枚田ともよばれる。棚田の耕作には農具、肥料、資材の運搬に多くの労力を要し、機械化も困難でおもに手労働によらなければならない。用水も天水の田ごと灌漑(かんがい)や小規模の湧水(わきみず)や溜池(ためいけ)に頼るしかない。高冷地の渓谷型棚田では、春には雪融(ど)けが遅くて水温が上がらず、秋には早い時期に霜が降り稲作に適する高温期間が短い。また棚田は火山灰性の土で砂礫(されき)も多く、作土の浅い漏水田が多い。ここに冷水灌漑が行われているので、盛夏の7、8月に異常低温がくると冷害を受けやすい。雨量の少ない年には干魃(かんばつ)の被害も出やすい。このように棚田は生育が不安定で生産性が低く、経済上不利な条件にある。

 棚田は日本では中部地方の標高500メートル以上の高地にとくに多く、また平坦(へいたん)地の少ない島嶼(とうしょ)の海岸などにもみられる。棚田は日本のみならずフィリピン、台湾など東南アジアの各地にも多くみられ、中国の雲南省の高地にも大規模に発達している。



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