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'''核種'''(かくしゅ、{{Lang-en-short|nuclide}}<ref>ラテン語の''nucleus''(中心部分、中核)から。</ref>、または nuclear species<ref name="r">小田稔ほか編、『[http://webshop.kenkyusha.co.jp/book/978-4-7674-3456-8.html 理化学英和辞典]』、研究社、1998年、項目「nuclide」より。ISBN 978-4-7674-3456-8</ref>)とは、原子核の組成、すなわち核の中の陽子の数、中性子の数及び核のエネルギー準位によって規定される特定の原子の種類を言う<ref>[[#同位体と化学(1978)|同位体と化学(1978)]] p.1</ref>。米国の核化学者 T. P. Kohman によって提案された<ref>ただし、Kohman の最初の定義には、核のエネルギー状態については考慮されていなかった。現在においては、核異性体は異なった核種として扱われる。[[#核化学と放射化学(1962)|核化学と放射化学(1962)]] p.27</ref>。
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'''核種'''(かくしゅ、{{Lang-en-short|nuclide}}<ref>ラテン語の''nucleus''(中心部分、中核)から。</ref>、または nuclear species<ref name="r">小田稔ほか編、『[http://webshop.kenkyusha.co.jp/book/978-4-7674-3456-8.html 理化学英和辞典]』、研究社、1998年、項目「nuclide」より。ISBN 978-4-7674-3456-8</ref>
  
核種は原子核の[[同位体]]やその他の性質を区別するために利用される<ref>例えば、「核種 A と核種 B は[[同位体]]である」というように用いる。<br />
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原子核の種類を示す用語。原子番号Z,および質量数Aで区別されている。Zは陽子数に等しく,N=A-Zは中性子数である。Zが同一でAが異なる核種を同位体,Nが同一でAが異なる核種を同調体,Aが同一でZが異なる核種を同重体,AもZも同じで長寿命の異なる核種を異性核 (アイソマー) という。 1995年の時点では 2500以上の核種が知られ,その数は年ごとに増加している。
なお、核種という言葉が提案されるまでは、[[同位体]]という言葉の意味を広く取り、代用語のように用いていたため、同位体という言葉で核種を意味させていることがある。</ref>。[[放射能]]を持つ核種を[[放射性核種]]、そうではない安定した核種を安定核種と呼ぶ。
 
== 概要 ==
 
[[原子核]]の中の[[陽子]]の数は[[原子番号]] Z と呼ばれ、[[元素]]の化学的性質を決定する。また原子核の中の[[核子]](陽子、中性子の総称)の総数(中性子の数+陽子の数)は[[質量数]] A と呼ばれ、これは個々の[[原子]]の[[原子量]]に最も近い整数となる。なお、Z と A がわかれば中性子数 N は N = Z - A で求めることができる<ref>すなわち、Z と A を指定することは陽子数と中性子数を指定することに等しい</ref>。
 
  
核種(nuclide)を表示するにあたって用いられる記号は、元素の化学記号に対して原子番号を左下に、質量数を左肩<ref>昔は質量数は右肩に添えられていたが、[[国際純粋・応用物理学連合]](IUPAP)の取り決めにより左肩に付されることとなった。[[#核化学と放射化学(1962)|核化学と放射化学(1962)]] p.27</ref>に付したものである。例えば、[[水素]](原子番号 1 )の同位体で、質量数が 2 の[[二重水素]]であれば、
+
{{テンプレート:20180815sk}}
:<math>_1^2\mathbf{H}</math>
 
と表される<ref>原子番号 1 と原子記号 <math>\mathbf{H}</math> は同じ情報であり、一方が判れば他方は決まるために、原子番号を省略して質量数だけを付け <math>{}^{2}\!\mathbf{H}</math> と表記されることもある。また、中性子数は、質量数と原子番号の[[差]]から求められるが、明示する場合や、初学者向けなどで丁寧に表記する場合には、中性子の数を右下に添えて <math>{}_1^{2}\!\mathbf{H}_1</math> のように表記される。</ref>。
 
 
 
なお、日本語で核種を表すときは、[[元素]]名の後ろに[[質量数]]を添えること(例えば水素2、酸素16、炭素12など)で表す。英語では [[:en:Helium-4|Helium-4]] のように、元素名の後ろにハイフンを挿入して質量数を添えることで表す。
 
 
 
;原子核のエネルギー準位の表記法
 
原子核には様々なエネルギー順位があり、安定でない状態では通常1秒にも満たない極めて短い[[半減期]]で[[ガンマ崩壊]]するが、まれに半減期が長い状態も存在する。このエネルギー状態の異なる安定または準安定状態の事を[[核異性体]]といい<ref>長倉三郎ほか編、『[http://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/08/6/0800900.html 岩波理化学辞典]』、岩波書店、1998年、項目「異性核」より。ISBN 4-00-080090-6</ref>、これらは別の核種であると明確に区別される<ref name="c2">吉村壽次ほか編、『[http://www.morikita.co.jp/books/book/661 化学辞典 第2版]』、森北出版、2009年、項目「異核性」より。ISBN 978-4-627-24012-4</ref>。例えば臭素35は半減期18分でベータ崩壊するが、半減期4.4時間を持つ準安定状態の臭素35mも存在し、後者が核異性体であり前者とは別物と区別される<ref name="c2" />。
 
 
 
半減期が短いものは通常そのまま表記されるが、寿命が長いものにmetastable(メタステーブル、[[準安定状態]]の)という意味から"m"という文字を質量数のあとに付けて表記し、[[テクネチウム]]99mを例にとれば <math>{}_{43}^{99\mathrm{m}}\mathrm{Tc}_{56}</math> のように表記される。核異性体が3つ以上あるときは、寿命が短いものから順にm1、m2、m3が付けられる<ref>安斎育郎著『放射線と放射能』ナツメ社 2007年2月14日初版発行 ISBN 9784816342554</ref>。
 
 
 
== 核種の分類 ==
 
歴史的に[[同位体]](isotope)という用語は核種と全く同じ意味として用いられることがある<ref>日本語圏では、現在でも核種という呼び名は定着しておらず、元素や同位体という言葉で表す核種もある。核種の合成を[[宇宙の元素合成|元素合成]]と呼ぶ、放射性核種を[[放射性同位体]]と呼ぶ、など。</ref>。しかしながら本来は同位体という用語は、二種の核種の相互の関係を示すために使用すべきものである<ref>例えば、「核種 X と核種 Y は互いに同位体である」という関係で核種 X と核種 Y が結ばれるのであれば、これは X の原子番号と Y の原子番号が等しい(同一元素である)ことを意味する、というように用いられるべきである。</ref>。
 
 
 
同様に二つの核種の相互の関係を示すための関係として以下のようなものがある。
 
{| class="wikitable"
 
!相互関係名
 
!特徴
 
!例
 
!備考
 
|- style="height:2em;"
 
|[[同位体]](isotope)
 
|原子番号 Z が同一であるものの質量数 A が異なる
 
|[[炭素12]]、[[炭素13]]
 
|<small>アイソトープとも呼ばれる。</small>
 
|- style="height:2em;"
 
|[[同重体]](isobar)
 
|質量数 A が同一
 
|[[窒素]]17、[[酸素]]17、[[フッ素]]17
 
|<small>[[ベータ崩壊]]を参照</small>
 
|- style="height:2em;"
 
|[[同中性子体]](isotone)
 
|中性子数(N = A - Z)が同一
 
|炭素13、[[窒素14]]
 
|<small>同調体とも呼ばれる。</small>
 
|-style="height:2em;"
 
|[[同余体]](isodiapher)
 
|中性子過剰数(A - 2Z)が同一
 
|ウラン238、トリウム234
 
|<small>[[アルファ崩壊]]により不変</small>
 
|- style="height:2em;"
 
|[[鏡映核]](mirror nuclei)
 
|中性子と陽子の数を交換したもの
 
|[[トリチウム|水素3(トリチウム)]]、
 
[[ヘリウム3]]
 
|<small>2つの核種の質量数は等しい(同重体である)</small>
 
|- style="height:2em;"
 
|[[核異性体]](nuclear isomerism)
 
|原子核の[[エネルギー状態]]が異なる
 
|[[テクネチウム99]]と
 
[[テクネチウムの同位体|テクネチウム99m]]
 
|<small>長寿であるか、安定している</small>
 
|}
 
 
 
== 放射性核種の種類 ==
 
自然界には約300の核種の存在が知られており、そのうち約270種が[[放射能]]を持たない安定した核種で残り約30種類が放射性核種である<ref name="r"/>。放射能をもつ核種である放射性核種の[[崩壊生成物]]は[[放射生成]]核種([[:en:Radiogenic|Radiogenic]])と呼ばれる。
 
 
 
天然の放射性核種には3つの種類がある。第1は、[[半減期]](T<sub>1/2</sub>)が少なくとも[[地球の年齢]](約46億年)の10%に達するものである。これらは[[太陽系]]の形成以前の恒星にて生じた[[原子核合成]]の残りかすである。例えば、[[ウラン]]238(T<sub>1/2</sub>=4.5&times;10<sup>9</sup>)は天然に存在するが、ウラン235は(T<sub>1/2</sub>=0.7&times;10<sup>9</sup>)は138倍も稀少である。第2は[[ラジウム]]226 (T<sub>1/2</sub>=1602) であり、これはウラン235や[[トリウム]]232の放射性崩壊の連鎖により形成される。第3は炭素14といった核種で、より重い核種の[[宇宙線]]による[[核破砕反応]]により生じる。
 
 
 
[[核実験]]や原子炉などで人工的に生成可能である核種は2000種類以上知られており、理論上存在が予想されているものを含めるとその数は約6000種類にも上る<ref name="r"/>。
 
 
 
== 脚注 ==
 
{{脚注ヘルプ}}
 
<references />
 
 
 
== 参考文献 ==
 
* {{cite book | 和書 | author=G. フリードランダー、J. W. ケネディ(共著) | title=核化学と放射化学 | publisher=丸善株式会社 | editor=斎藤 信房, 柴田 長夫, 横山 祐之、池田 長生(共訳) | year=1962 | ref=核化学と放射化学(1962) }}
 
* {{cite book | 和書 | publisher=廣川書店 | editor=斎藤 信房(監修), 佐野 博敏(編), 富永 健(編) | title=同位体と化学 | year=1978 | ref=同位体と化学(1978) }}
 
* {{cite book | 和書 | title=エッセンシャル 化学辞典 | publisher=東京化学同人 | year=1999 | ref=化学辞典 }}
 
 
 
== 関連項目 ==
 
{{col-begin}}
 
{{col-break}}
 
* [[元素]]
 
* [[核化学]]
 
* [[放射化学]]
 
{{col-break}}
 
* [[同位体]]
 
* [[同重体]]
 
* [[同中性子体]]
 
* [[核異性体]]
 
{{col-break}}
 
* [[核種の一覧]]
 
* [[壊変図式]]
 
* [[自然放射能]]
 
* [[核図表]]
 
{{col-break}}
 
{{col-end}}
 
 
 
== 外部リンク == <!-- {{Cite web}} -->
 
* [http://www.nndc.bnl.gov/nudat2/ 核種の一覧](国立核種資料センター)
 
* [http://atom.kaeri.re.kr/ton/ 核種の詳細](韓国原子力エネルギー研究所)
 
* [http://www.webelements.com/ 詳細!周期系](ウェブ元素.com)
 
* [http://www.nucleonica.net/unc.aspx 普遍的な核種の一覧](核工学郷)
 
 
 
{{放射線}}
 
 
{{DEFAULTSORT:かくしゆ}}
 
{{DEFAULTSORT:かくしゆ}}
 
[[Category:同位体|*]]
 
[[Category:同位体|*]]

2018/12/30/ (日) 19:06時点における最新版

核種(かくしゅ、: nuclide[1]、または nuclear species[2]

原子核の種類を示す用語。原子番号Z,および質量数Aで区別されている。Zは陽子数に等しく,N=A-Zは中性子数である。Zが同一でAが異なる核種を同位体,Nが同一でAが異なる核種を同調体,Aが同一でZが異なる核種を同重体,AもZも同じで長寿命の異なる核種を異性核 (アイソマー) という。 1995年の時点では 2500以上の核種が知られ,その数は年ごとに増加している。



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  1. ラテン語のnucleus(中心部分、中核)から。
  2. 小田稔ほか編、『理化学英和辞典』、研究社、1998年、項目「nuclide」より。ISBN 978-4-7674-3456-8