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{{未検証|date=2014年7月}}
 
{{Labor}}
 
'''最低賃金'''(さいていちんぎん)とは、最低限支払わなければならない[[賃金]]の下限額のこと。'''最賃'''(さいちん)とも略される(法律上は略称として定義されていないが、新聞記事の見出しや労働組合等では用いられている)。<!-- 報道や現場で使われる。例:風俗営業法→風営法 と同等の省略形 -->
 
  
== 概要 ==
+
'''最低賃金'''(さいていちんぎん)と
[[労働基本権]]に基づくもの。多くの国では[[労働者]]の基本的な権利として広く適用されているが、必ずしも全ての[[労働]]者に適用されるものではなく、外国人労働者は対象外とするような特定の層に対して減額や、適用除外が行われることがある。[[シンガポール]]のように清掃業と警備業、造園業を除き最低賃金制度は存在せず、賃金は労働力の需要と供給のバランスで決定される国家もある<ref>[http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kaigai/18/dl/t5-09.pdf [2017年の海外情勢] 第5節 シンガポール共和国(Republic of Singapore)] 厚生労働省 </ref>。
 
  
傾向としては、[[発展途上国]]や[[フランス語圏]]の国では、広範に最低賃金が適用されている<ref name="4saichin_removal">{{Cite report|url=http://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/12/s1207-5.html |title=第4回最低賃金制度のあり方に関する研究会配付資料『諸外国の最低賃金制度における減額措置・適用除外の考え方について|publisher=厚生労働省}}</ref>。
+
[[最低賃金法]]などに基づいて決定される賃金の最低基準額。最賃。
 
 
== 歴史 ==
 
{{節スタブ}}
 
 
 
== 減額・適用除外について ==
 
以下の状況では、最低賃金の減額や、適用除外が行われることがある<ref name="4saichin_removal"/>。
 
 
 
#[[労働生産性]]が低く、適用範囲から外れても危険が生じない状況においては最低賃金を払うことが困難な層
 
#*例:若年者、学生、障害者、見習生
 
#そもそも高い所得や手厚い加護を受けており、最低賃金の保護が必要のない層 ([[ホワイトカラーエグゼンプション]])
 
#雇用関係が特殊なため、最低賃金を適用しないことが正当化される層
 
#*例:管理職、専門職、家事手伝、[[歩合給]]の者、[[チップ (サービス)|チップ]]をもらっている者
 
# 公的部門の被用者
 
#*例:日本・フランスの政府一般職員
 
 
 
他には、事業所人数が10人未満のところは除外([[バングラデシュ]]、[[スーダン]]など)、事業所人数が15人未満の企業、家族経営の企業は対象外([[ミャンマー]])、[[農業]]は除外([[カナダ]]、[[パキスタン]]など)といった国もある。
 
 
 
減額と適用除外とでは、減額とする国が一般的である<ref name="4saichin_removal"/>。また、かつては女性に対する減額も一般的に行われていた<ref name="4saichin_removal"/>。
 
 
 
=== 若年者への適用について ===
 
若年者に対しては、大多数の国が減額を適用していないが<ref name="4saichin_removal"/>、一部の国では企業の負担が軽減されることにより労働需要が生まれるとして、減額制度を適用している。
 
 
 
適用に際して、どの程度減額するか、何歳までを最低賃金の適用除外とするかは、国によって異なる。一般的には「18歳または17歳以下の労働者に5%から15%の間の率を減じた率を適用している。」<ref name="4saichin_removal"/><small>より引用</small>(以下本文において若年者に対する減額率は、成人の最低賃金に対するもの)。
 
 
 
*オランダ
 
*:最低賃金の適用年齢がもっとも高い。23歳以上は最低賃金を適用。23歳未満は最低賃金が減額される。減額率は、下表のとおりである<ref>{{Cite web|last=独立行政法人 労働政策研究・研修機構|title=ホームページ>調査研究成果>資料シリーズ> No.50 欧米諸国における最低賃金制度>第5章 オランダの最低賃金制度|url=http://www.jil.go.jp/institute/siryo/2009/documents/050_05.pdf|accessdate=2017-04-30 }}</ref>。
 
{| class="wikitable"
 
|+'''オランダにおける年齢ごとの最低賃金減少率(%)'''
 
|- style="background:#efefef;"       
 
!年齢!!22歳!!21歳!!20歳!!19歳!!18歳!!17歳!!16歳!!15歳
 
|- style="text-align: right;"
 
!style="font-weight:bold;" | 減額率(%)
 
| 15.0 || 27.5 || 38.5 || 47.5 || 54.5 || 60.5 || 65.5 || 70.0
 
|- style="text-align: right;"
 
|}
 
 
 
== 雇用との関係 ==
 
最低賃金法の[[雇用]]に対する影響の良し悪しは論争になっている<ref name="asuyama">[http://www.ide.go.jp/Japanese/Publish/Download/Overseas_report/pdf/200612_asuyama.pdf 『米国最低賃金引き上げをめぐる論争』] </ref>
 
<ref>[http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20140110/dms1401100722001-n1.htm 政治・社会 【日本の解き方】収拾がつかない最低賃金論争 金融政策で雇用増、持続的な経済成長が解決の近道]ZAKZAK 2014年1月10日</ref>。最低賃金に関する蓄積された諸研究の解釈を巡って、最低賃金が雇用に与える影響が負だという証拠はないという者もいれば、最低賃金の研究についてコンセンサスはないと結論づける者もいる<ref name="rieti20071116">[http://www.rieti.go.jp/jp/events/07111601/summary.html 最低賃金と雇用]RIETI 2007年11月16日</ref>。
 
 
 
=== 理論的考察の紹介 ===
 
元来、[[経済学者]]達は伝統的な[[完全競争]]モデルに基づき、最低賃金法を厳しく批判してきた<ref name="zakzak2013813">[https://web.archive.org/web/20131018200324/http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20130813/dms1308130722004-n1.htm 最低賃金14円引き上げの真相 雇用改善との好循環にも期待]ZAKZAK 2013年8月13日(2013年8月18日時点の[[インターネットアーカイブ]])</ref>。一般に[[経済学]]では、雇用量と賃金は労働の需要量(求人量)と供給量の一致する点(均衡賃金)で決定するため、[[失業]]は存在しないとされている<ref name="chuo">
 
[http://www.chukyo-u.ac.jp/research_2/news/2013/04/006161.html 研究・産学連携ニュース 最低賃金制度が問われる時代]中央大学 2013年4月18日</ref>。最低賃金法は社会保障の観点から、均衡賃金より低い場合は、それより高い水準に最低賃金を設定する<ref name="chuo" />。したがって、最低賃金を下回る労働生産性しか持たない人は雇用機会を奪われ、失業が発生するとされている<ref name="chuo" />。所得格差を是正するはずの最低賃金が、逆に格差を拡大させる可能性を生じさせるとされている<ref name="chuo" />。
 
 
 
[[ミクロ経済]]理論の代表的なものの一つに、最低賃金の存在がかえって低賃金労働者の厚生を引き下げるという命題がある<ref name="nihonsoken">[http://www.jri.co.jp/page.jsp?id=14611 わが国の最低賃金制度についての-考察]日本総研 2002年11月1日</ref>。企業の労働コストを引き上げ、労働需要を減少させる最低賃金制度は、労働者の最低生活保証手段として有効なツールではないこと、労働市場の需給には直接介入せず、低賃金労働者への生活保障は事後的な政府からの所得移転によって行うべきであること、の二つの基本命題は、1990年代以降、主流派経済学者間のコンセンサスであり続けている<ref name="nihonsoken" />。
 
 
 
経済学者の[[飯田泰之]]は「最低賃金の引き上げによって、労働者の余剰は増えるかもしれないが、企業の余剰と労働者の余剰の合計である総余剰は減少する。さらに、最低賃金の引き上げによって、企業は労働者の解雇で対応しようとする。つまり、結果的に(非自発的)失業者が増加する<ref>飯田泰之 『世界一シンプルな経済入門 経済は損得で理解しろ! 日頃の疑問からデフレまで』 エンターブレイン、2010年、63頁。</ref>」「最低賃金の上昇による失業者の増大は『最も貧しい人から解雇される』作用をもたらす政策となってしまう<ref>飯田泰之 『世界一シンプルな経済入門 経済は損得で理解しろ! 日頃の疑問からデフレまで』 エンターブレイン、2010年、頁。</ref>」と指摘している。飯田は「最低賃金制は、『貧者の救済』という善意から生まれた政策であるが、その善意が失業を生む可能性があることを冷静に考える必要がある」と指摘している<ref>飯田泰之 『世界一シンプルな経済入門 経済は損得で理解しろ! 日頃の疑問からデフレまで』 エンターブレイン、2010年、66頁。</ref>。また飯田は「最低賃金の問題もそうであるが、規制は管理コストが高い。規制強化ではみ出ると駄目という社会になると、管理型国家になってしまう」と指摘している<ref>飯田泰之・雨宮処凛 『脱貧困の経済学』 筑摩書房〈ちくま文庫〉、2012年、213頁。</ref>。
 
 
 
経済学者の[[岩田規久男]]は「賃金低下を防ごうとして、最低賃金を引き上げれば、企業は生産を縮小させるか、市場から撤退する。最低賃金を引き上げても、求職者がすべてその賃金で雇用されるわけではない」と指摘している<ref>岩田規久男 『「不安」を「希望」に変える経済学』 PHP研究所、2010年、238頁。</ref>。
 
 
 
経済学者の[[デヴィッド・フリードマン]]は、最低賃金の引き上げは、企業に対する増税と同じだと主張している<ref name="joongang200569">[http://japanese.joins.com/article/722/64722.html 【噴水台】最低賃金]中央日報 2005年6月19日</ref>。最低賃金が上がれば人件費の負担が増え、企業が雇用を減らそうとするため、労働者が失職する確率も高まると指摘している<ref name="joongang200569" />。
 
 
 
エコノミストの[[山田久]]は「経済学的には、最低賃金の引き上げは、『賃金が生産性を上回る状況を生み出すことで企業業績を圧迫し、失業増などにつながる』というのが標準ケースであるが、潜在的な労働供給が需要を上回る状態が常態化している『需要独占』の場合は、賃金は生産性を下回っているため、最低賃金引き上げは賃金増と雇用増の双方をもたらし得る。アメリカでは、1990年代に入って『需要独占』の存在を示唆する研究が発表されたことを機に、その後研究の蓄積が進んだが、最低賃金の引き上げは失業増につながるとする、標準的な見方が有力である」と指摘している<ref name="nihonsoken2008131">[http://www.jri.co.jp/page.jsp?id=5098 最低賃金の見直しと成長持続・所得底上げに向けた戦略]日本総研 2008年1月31日</ref>。
 
 
 
経済学者の[[大竹文雄]]は「最低賃金の引き上げによって、就業者は高い賃金を得られ就業者間で格差は縮小するが、最低賃金の引き上げは失業者を増加させるため、失業者と就業者の間に格差は大きくなり、運・不運の差を拡大させる」と指摘している<ref>大竹文雄 『競争と公平感-市場経済の本当のメリット』 中央公論新社〈中公新書〉、2010年、21頁。</ref>。
 
 
 
しかし2013年現在、[[労働市場]]を完全競争だとみなすことの不備が、経済学者自身によって指摘されている<ref name="zakzak2013813" />。まず賃金の上昇は労働者に一生懸命働く[[インセンティブ (経済学)|インセンティブ]]を与えるので、生産性が向上し、転職が抑止される。従って雇用者はこうした効果を期待して、均衡水準より高い賃金を労働者に与える傾向がある<ref group="*">、これは労働市場が実際には完全競争ではないことに起因している。雇用者は労働市場の[[不完全情報]]性により、労働者の良し悪しを完全には把握できない。したがって労働の良し悪しとは無関係な所でインセンティブを生み出す必要が生じるのである。</ref>。[[ジョセフ・E・スティグリッツ]]は、最低賃金法による賃金上昇は、こうした効果による賃金上昇により相殺されるため、最低賃金法は予想していたほどの悪影響を与えないかも知れないとしている<ref name="stiglitz">スティグリッツ、ミクロ経済学第三版、p512-514</ref>。
 
 
 
また最低賃金法が長期的には雇用によい影響を与えるという意見もある。最低賃金法は短期的には低賃金労働者によって成り立っていた産業を壊滅させるかもしれないが、結果としてそれは労働者への投資を増大させる事に繋がり、長期的には生産性を増大させる可能性があるからである。たとえば[[スタンフォード大学]]の[[経済史]]家である[[ゲイビン・ライト]]によれば、最低賃金法は[[南北戦争]]から[[大恐慌]]の頃までのアメリカ南部での低賃金の解消に決定的役割を演じ、アメリカ南部の労働市場をより高賃金の産業へとシフトさせる上でダイナミックな役割を果たしたとしている<ref name="stiglitz" />。別の指摘としては、労働市場は完全競争ではなく[[需要独占]]である可能性がある、というものがある。このモデルによれば、企業はその独占的立場を利用し、雇用の不当な縮小と賃金の不当な値下げを行う事ができてしまう。最低賃金法はこうした状況を改善するのに役立つとしている<ref name="asuyama"/>。
 
 
 
経済学者の[[鶴光太郎]]は「一般に完全競争的労働市場では、賃金が上がれば雇用は減るが、企業が労働市場で価格支配力を持つ買い手市場の場合では、賃金水準・雇用量とも競争市場より低く設定されており、賃金を上げてもコスト増加を上回る売り上げの伸びが期待できる余地があるため、企業は雇用を増やす可能性がある。賃金上昇による労働者の意欲向上・訓練機会増により生産性が向上し、雇用が減らないケースも理論的に考えられる」「最低賃金労働者の割合の高い中小企業・産業は相対的に不利になる一方で、高スキル労働者をより多く雇い、低スキル労働者も最低賃金より高い賃金で雇っている大企業・産業は相対的に有利になり、雇用を増やす可能性もある。また、雇用への影響以外に所得再分配・企業の収益や価格・長期的には人的資本への影響まで考慮する必要がある。雇用への影響がみられない場合でも、労働者の生産性が上がらない限り、労働者の労働時間の減少や企業の収益が悪化が起きる。企業がコスト増を価格に転嫁できれば、消費者が負担することになる」と指摘している<ref name="rieti2013122">[http://www.rieti.go.jp/jp/papers/contribution/tsuru/20.html 最低賃金、上昇の影響は?]RIETI 日本経済新聞「経済教室」 2013年1月22日</ref>。
 
 
 
さらに高い水準の最低賃金は[[ワーキング・プア]]の問題をなくすという利点がある。高い最低賃金は、労働から得られる収入が失業時に生活保護から得られる額よりも高い事を保証し、結果的に失業者に職探しをさせるインセンティブをもたらすとされている<ref name="stiglitz" />。
 
 
 
カリフォルニア大学アーバイン校のニューマーク教授とFRBのワッシャーは、最低賃金が雇用へ与える影響を調べる上で、
 
 
 
#賃金引上げの影響は短期ではなく、長期で出てくることが多いこと
 
#特定の産業の影響だけでなく、低賃金労働者全体の雇用を分析すること
 
#最低賃金の引き上げは、低賃金労働者の中で雇用の代替を発生させる可能性があること
 
 
 
に注意する必要があるとしている<ref>大竹文雄 『競争と公平感-市場経済の本当のメリット』 中央公論新社〈中公新書〉、2010年、197頁。</ref>。
 
 
 
大竹文雄は「最低賃金が引き上げられた場合、企業側は時間をかけて機械化を進めたり、より質の高い労働者に代替するのが一般的であり、すぐに労働者を解雇するということではない。ある程度時間を経た影響を調べる必要がある。また、狭い範囲の産業だけ分析対象にすると結論を誤る可能性がある」と指摘している<ref>大竹文雄 『競争と公平感-市場経済の本当のメリット』 中央公論新社〈中公新書〉、2010年、197頁。</ref>。大竹は「最低賃金の引き上げは、雇用量を低下させ、失業期間を長期化させるかもしれないが、安易に低賃金労働に従事する人を減らす可能性がある。また、未熟練の低賃金労働が禁止されることになるため、企業側は技能の高い労働者だけを採用するようになる。技能が低い労働者は失業することになるが、合理的な労働者は、教育・訓練を受けて技能を高めて就職しようとするかもしれない」と指摘している<ref>大竹文雄 『競争と公平感-市場経済の本当のメリット』 中央公論新社〈中公新書〉、2010年、200頁。</ref>。
 
 
 
山田久は「政策論的には、景気回復持続に向けたマクロ政策と生産性向上誘導策としてのミクロ政策の同時実施が、最低賃金引き上げを望ましい形につなげる条件である」「最低賃金引き上げと同時に、景気回復の持続・生産性向上、就業形態多様化・職業訓練強化など、総合的な政策をパッケージで行うことが必要性であるが、そうした政策によっても所得格差の解消は困難であり、勤労所得控除制度の創設など『所得再配分政策』が必要である」と指摘している<ref name="nihonsoken2008131" />。
 
 
 
経済学者の[[中山惠子]]は「失業を回避し、[[セーフティ・ネット]]として最低賃金を機能させるためには、政府が労働者に労働生産性の向上につながる教育訓練の機会をもうけ、企業には設備投資などの支援を実施するとともに、労働需要を増加させる政策を進めることが必要となる」と指摘している<ref name="chuo" />。
 
 
 
特定最低賃金(産業別最低賃金)については、理論的には労働集約型産業に適用した場合には、労働者の厚生が高まるという理論的な裏づけがあるが、現実の適用業種は、支払能力が高い業種、産業に適用されており、理論的裏づけとは関係していない{{誰|date=2014年7月}}。また、特定最低賃金には、その産業への新規参入への障壁となる効果もあるため、その産業側の利益という意味合いもある{{要出典|date=2014年7月}}。
 
 
 
=== 実証 ===
 
実証的には、最低賃金の雇用の縮小の効果が出るような大幅な最低賃金の上昇をした例がないため、雇用の縮小効果は小さく、好影響・悪影響を判断・確認できるような研究ができていない<ref name="stiglitz" />。
 
 
 
[[ビル・クリントン]]政権であった1996年に最低賃金が引き上げられた際に、失業率の上昇はみられず、低所得者層の給料が増加した<ref>[http://economix.blogs.nytimes.com/2013/12/13/raising-the-minimum-wage-old-shibboleths-new-evidence/?_php=true&_type=blogs&_r=0 Raising the Minimum Wage: Old Shibboleths, New Evidence] Laura Tyson, Economix,
 
The New York Times 2013年12月13日</ref>。
 
 
 
[[オーストラリア]]では、[[トヨタ自動車|トヨタ]]、[[フォード・モーター|フォード]]、[[ホールデン (自動車)|ホールデン]]などの撤退が相次いでおり、2017年には[[自動車]]の生産拠点が無くなるなど、[[製造業]]全体が先細りして雇用が減少しているが、この原因として、経済成長で最低賃金が上昇し、国際的な競争力を失ったためとの意見がある<ref>{{cite news |title=オーストラリア:自動車産業の終わり |newspaper=[[日本ビジネスプレス]] |date=2014-2-21 |url=http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40010 |accessdate=2014-11-29 | publisher = [[エコノミスト|The Economist]] }}</ref><ref>{{cite news |title=豪州:「潜水艦産業を守れ」地元で広がる雇用不安 |newspaper=[[毎日新聞]] |date=2014-11-28 |url=http://mainichi.jp/select/news/20141129k0000m030118000c.html |accessdate=2014-11-29 |author=平野光芳}}</ref>。
 
 
 
== 代替案 ==
 
{{see also|最低限所得保障}}
 
 
 
いくらかの経済学者は最低賃金に代わる制度を提案している。大竹文雄は「賃金規制という強硬手段で失業という歪みをもたらすのではなく、税・社会保障を用いた所得再配分政策で貧困問題には対応するべきである」と指摘している<ref>大竹文雄 『競争と公平感-市場経済の本当のメリット』 中央公論新社〈中公新書〉、2010年、201頁。</ref>。
 
 
 
『法と立法と自由』を著した[[フリードリヒ・ハイエク]]のように労働市場への不介入の原則と[[法の支配]]による個人の生存権の保護を両立させるために『[[ベーシックインカム]]』を主唱する経済学者もいる<ref>''Law, Legislation and Liberty: (2) The Statement of Liberal Principles of Justice and Political Economiy'', London, Routledge, 1973</ref>。
 
 
 
* [[負の所得税]]<ref name="zakzak2013813" />
 
** [[給付付き税額控除]]<ref name="zakzak2013813" /><ref name="nihonsoken" />
 
** [[ベーシックインカム]]<ref name="zakzak2013813" />
 
 
 
== 各国の法定最低賃金 ==
 
{{Main|各国の最低賃金の一覧}}
 
 
 
以下は、各国の法定最低賃金及びその推移である。なお、デフレート等[[物価]]変動の調整は行われていない。
 
 
 
* [[ルクセンブルク]] - 月1,998.59[[ユーロ]](18歳以上の熟練工等、一部の労働者は、20%加算され2,398.30[[ユーロ]])[2018年1月現在]<ref>{{Cite web|last=Ministère de la Sécurité sociale|title=PARAMETRES SOCIAUX valables au 1er janvier 2018|url=http://www.mss.public.lu/publications/parametres_sociaux/ps_20180101.pdf|accessdate=2018-01-15 }}</ref>
 
* [[アイルランド]] - 時給9.55ユーロ(2018年1月現在) ※18歳以上(但し、雇用されて2年以下の場合と研修期間中を除く。)<ref>{{Cite web|last=Citizens Information|title=Minimum rates of pay|url=http://www.citizensinformation.ie/en/employment/employment_rights_and_conditions/pay_and_employment/pay_inc_min_wage.html#l62fd2|accessdate=2016-12-23 }}</ref>
 
* [[オランダ]] - 月1,594.20ユーロ(2018年7月現在)※22歳以上<ref>{{Cite web|last=government of Netherlands|title=Amount of the minimum wage|url=https://www.government.nl/topics/minimum-wage/amount-of-the-minimum-wage|accessdate=2018-08-01 }}</ref>
 
* [[ベルギー]] - 月1,562.59ユーロ(2017年6月現在)※21歳以上(21歳以上の労働者は勤続6カ月で月1,604.06ユーロ、勤続12カ月で1,622.48ユーロ。22歳以上で勤続24カ月で月1,637.67ユーロ、勤続36カ月で月 1,642.57ユーロ<ref>{{Cite web|last=独立行政法人 労働政策研究・研修機構|title=第2章 ベルギーの最低賃金制度|url=https://www.jil.go.jp/institute/siryo/2010/documents/063_02.pdf|accessdate=2017-08-01 }}</ref><ref>{{Cite web|last={{仮リンク|ベルギー雇用労働省|en|Federal Public Service Employment}}|title=Vous êtes ici: Page d'accueil > Thèmes > Concertation sociale > Salaires minimums par (sous-)commission paritaire|url=https://www.salairesminimums.be/document.html?jcId=31ff47e2da5043f0a1fe192a701fa020&date=31/07/2018#ff8081815c6824c3015c7cd2774701d0|accessdate=2017-08-01 }}</ref>
 
* [[フランス]] - 月1498.47ユーロ、時給9.88ユーロ(2018年1月より)<ref>{{Cite web|last=[[INSEE|全国統計・経済研究機構(INSEE)]]|title=Accueil Statistiques Salaire minimum interprofessionnel de croissance (Smic) en 2018 |url=https://www.insee.fr/fr/statistiques/1375188|accessdate=2016-12-13 }}</ref><ref>{{Cite web|last=[[労働政策研究・研修機構|独立行政法人 労働政策研究・研修機構]]|title=調査研究成果 > 海外労働情報 > 国別労働トピック > 2018年 > 5月 > フランス > 法定最低賃金(SMIC)の引き上げ―時給9.88ユーロへ1.23%の小幅な伸びに|url=http://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2018/05/france_01.html|accessdate=2018-07-16 }}</ref>
 
* [[ドイツ]] - 時給8.84ユーロ(2017年1月より)<ref>{{Cite web|last=独立行政法人 労働政策研究・研修機構|title=調査研究成果 > 海外労働情報 > 国別労働トピック > 2017年 > 3月 > ドイツ > 最低賃金の引き上げ等、いくつかの制度変更について|url=http://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2017/03/germany_01.html|accessdate=2017-03-19 }}</ref>
 
* [[オーストラリア]] - 週719.2、時給18.93[[豪ドル]](2018年7月-2019年6月)<ref>{{Cite web|url=https://www.jetro.go.jp/biznews/2017/06/3d058128631090c9.html|title=世界のビジネスニュース(通商弘報)>最低賃金を7月から3.3%引き上げ (オーストラリア)|accessdate=2017-07-01|publisher=|last=[[日本貿易振興機構|独立行政法人 日本貿易振興機構(ジェトロ)]]}}</ref><ref>{{Cite web|url=https://jp.reuters.com/article/australia-economy-wages-idJPKCN1IX3PZ|title=豪最低賃金、7月1日から3.5%引き上げ|accessdate=2018-06-02|publisher=|last=ロイター通信}}</ref>
 
* [[ニュージーランド]] - 時給16.50[[NZドル]](2018年4月現在)※16歳以上。但し研修期間中を除く。<ref>{{Cite web|last=ニュージーランド労働省|title=Hours and wages > Pay and wages > Minimum wage > Previous rates |url=https://employment.govt.nz/hours-and-wages/pay/minimum-wage/previous-rates/|accessdate=2018-04-05 }}</ref>
 
* [[中華人民共和国|中国]]の場合は地域により、最低賃金が異なる。(最高:上海[月額2,420元]~最低:[[遼寧省]]4類[月額1,120元]<ref>{{Cite web|last=独立行政法人 日本貿易振興機構(ジェトロ)|title=世界のビジネスニュース(通商弘報)>遼寧省が最低賃金を5.9%引き上げ、改定は2年ぶり(中国)|url=https://www.jetro.go.jp/biznews/2018/02/1a69e26937175e1c.html|accessdate=2018-08-04 }}</ref>)(2018年6月現在)<ref>{{Cite web|last=[[中華人民共和国人力資源社会保障部]]|title=全国各地区月最低工资标准情况(截至2018年6月)(全国各地域の月額最低賃金[2018年6月現在])|url=http://www.mohrss.gov.cn/ldgxs/LDGXqiyegongzi/LDGXzuidigongzibiaozhun/201807/t20180731_298258.html|accessdate=2018-08-04 }}</ref>
 
**[[北京市]] - 月2,120[[人民元|元]] (2018年9月現在)[但しパートの時給は24元]<ref>{{Cite web|last=独立行政法人 日本貿易振興機構(ジェトロ)|title=世界のビジネスニュース(通商弘報)>北京市の最低賃金、9月から6%引き上げ2,120元に(中国)|url=https://www.jetro.go.jp/biznews/2018/07/9d5708a535ceb463.html|accessdate=2018-07-16 }}</ref><ref>{{Cite web|last=北京市人力資源・社会保障局|title=「北京市の2018年の最低賃金基準の調整に関する通知」(京人社労発「2018」130号)|url=http://www.bjrbj.gov.cn/xxgk/zcfg/201807/t20180704_74067.html|accessdate=2018-07-16 }}</ref>
 
**[[上海市]] - 月2,420[[人民元|元]] (2018年4月現在)[但しパートの時給は21元]<ref>{{Cite web|last=独立行政法人 日本貿易振興機構(ジェトロ)|title=世界のビジネスニュース(通商弘報)>上海市の法定最低賃金、4月から5.2%引き上げ(中国)|url=https://www.jetro.go.jp/biznews/2018/04/8900ae48b687d84d.html|accessdate=2018-04-05 }}</ref>
 
**[[広州市]] - 月2,100[[人民元|元]] (2018年7月現在)<ref>{{Cite web|last=独立行政法人 日本貿易振興機構(ジェトロ)|title=世界のビジネスニュース(通商弘報)>広東省、7月1日から最低賃金を改定(中国)|url=https://www.jetro.go.jp/biznews/2018/06/c29d7cd2530c6ef1.html|accessdate=2018-07-05 }}</ref><ref>{{Cite web|last=広東省人民政府|title=「わが省企業職員・工員の最低賃金基準調整に関する通知」(粤府函〔2018〕187号)|url=http://zwgk.gd.gov.cn/006939748/201806/t20180621_770640.html|accessdate=2018-07-05 }}</ref>
 
*[[香港]] - 時給34.5[[香港ドル]] (2017年5月より)<ref>{{Cite web|last=香港政府労工処ウェブサイト|title=法定最低工資 |url=http://www.labour.gov.hk/tc/news/mwo.htm|accessdate=2017-05-26 }}</ref><ref>{{Cite web|last=独立行政法人 日本貿易振興機構(ジェトロ)|title=世界のビジネスニュース(通商弘報)>最低賃金を2年ぶり引き上げ、5月から時給34.5香港ドルに(香港)|url=https://www.jetro.go.jp/biznews/2017/04/475c74234f6a8bc6.html|accessdate=2018-07-16 }}</ref>
 
* [[韓国]] - 時給8,350[[大韓民国ウォン|ウォン]](2019年1月1日-12月31日)<ref>{{Cite web|last=中央日報|title=来年の最低賃金8350ウォンに決定…10.9%引き上げ=韓国|url=http://japanese.joins.com/article/184/243184.html?sectcode=&servcode|accessdate=2018-07-14 }}</ref><ref>{{Cite web|last=聯合ニュース|title=最低賃金2桁引き上げにも「公約守れず謝罪」=文大統領|url=http://japanese.yonhapnews.co.kr/Politics2/2018/07/16/0900000000AJP20180716003300882.HTML|accessdate=2018-07-16 }}</ref><ref>{{Cite web|last=ハンギョレ新聞|title=来年の最低賃金、10.9%上がった830円、月給17万円台|url=http://japan.hani.co.kr/arti/politics/31112.html|accessdate=2018-07-16 }}</ref><ref>{{Cite web|last=独立行政法人 日本貿易振興機構(ジェトロ)|title=世界のビジネスニュース(通商弘報)>韓国‐最低賃金引き上げに労使双方から不安の声 |url=https://www.jetro.go.jp/biz/sensor/areareports/2017/f36d7307f5a7a743.html|accessdate=2018-02-23 }}</ref>
 
* [[台湾]] - 時給140[[ニュー台湾ドル]]、月22,000ニュー台湾ドル(2018年1月1日より)<ref>{{cite web|last=台湾労働部(労働省)|title= 基本工資之制訂與調整經過|url=https://www.mol.gov.tw/topic/3067/5990/13171/19154/|accessdate=2017-11-26}}</ref><ref>{{cite web|last=民視綜合頻道|title=基本工資今調漲 月薪22k時薪140元-民視新聞|url=https://www.youtube.com/watch?v=9Dp_xPBZKuk|accessdate=2018-07-22}}</ref>
 
*  [[バンコク]] - 月9750[[バーツ]](2018年4月現在)<ref>{{Cite web|last=独立行政法人 日本貿易振興機構(ジェトロ)|title=世界のビジネスニュース(通商弘報)>都県別の最低賃金が改定、4月から適用(タイ)|url=https://www.jetro.go.jp/biznews/2018/03/31ffe445b701a6fa.html|accessdate=2018-04-05 }}</ref>
 
*  [[ホーチミン]] - 月3980000[[ドン]](2018年1月現在)[但し、職業訓練を受けた労働者に対してはこの最低賃金より少なくとも7%上乗せした給与]<ref>{{Cite web|last=独立行政法人 日本貿易振興機構(ジェトロ)|title=世界のビジネスニュース(通商弘報)>2018年の最低賃金案決まる、平均引き上げ率6.5%(ベトナム)|url=https://www.jetro.go.jp/biznews/2017/08/af9213c4df59d790.html|accessdate=2018-01-15 }}</ref><ref>{{Cite web|last=NAC Global.net|title=ベトナムの労働法概要|url=http://www.nacglobal.net/2018/02/ベトナムの労働法概要/|accessdate=2018-07-05 }}</ref>
 
*  [[マニラ]] - 月12800[[ペソ]](2017年10月現在)<ref>{{Cite web|last=Department of Labor and Employment|title=Home » Minimum Wage Rates » NCR |url=http://www.nwpc.dole.gov.ph/pages/ncr/cmwr.html|accessdate=2018-01-15 }}</ref>
 
*  [[ジャカルタ]] - 月3648035[[ルピア]](2018年1月現在)<ref name=DILS5-19>{{Cite web|last=独立行政法人 労働政策研究・研修機構|title=データブック国際労働比較2018 5. 賃金・労働費用 第5-19表 最低賃金制度|url=http://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/databook/2018/05/p191-198_t5-19.pdf|accessdate=2018-08-01}}</ref>
 
*  [[ミャンマー]] - 月144000[[チャット]](2018年5月現在)<ref>{{Cite web|last=日本経済新聞|title=ミャンマー、新最低賃金を実施 33%引き上げ|url=https://www.nikkei.com/article/DGXMZO30476390U8A510C1FF8000/|accessdate=2018-07-14 }}</ref>
 
[[欧州連合|EU]]でも加盟国間における最低水準の格差が指摘されている。2006年1月時点ではEU間の法定最低賃金は約11倍の格差(最高:ルクセンブルグ[月額1503ユーロ] 最低:[[ラトビア]][月額129ユーロ])<ref>{{Cite web|last=独立行政法人 労働政策研究・研修機構|title=調査研究成果 > 海外労働情報 > 国別労働トピック > 2006年 > 8月 > EU >EU域内諸国の法定最低賃金に11倍の格差|url=http://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2006_8/eu_01.html|accessdate=2018-07-22 }}</ref>があり、2009年1月時点で約13倍(最高:ルクセンブルグ[月額1642ユーロ] 最低:[[ブルガリア]][月額123ユーロ])<ref>{{Cite web|last=[[ユーロスタット|EU統計局]]|title=Minimum Wages in January 2009|url=http://ec.europa.eu/eurostat/documents/4168041/5945077/KS-QA-09-029-EN.PDF/c2b1291e-accc-459c-b503-90b0b7d2fecd|accessdate=2018-07-22 }}</ref>、2018年時点で約8倍(最高:ルクセンブルグ[月額1998.59ユーロ] 最低:ブルガリア[月額260.76ユーロ])<ref>{{Cite web|last=[[ユーロスタット|EU統計局]]|title=Monthly minimum wages - bi-annual data|url=http://ec.europa.eu/eurostat/web/products-datasets/-/earn_mw_cur|accessdate=2018-07-22 }}</ref>となっている。また、[[購買力平価説|購買力平価]]で換算した場合、2006年1月時点ではEU間の法定最低賃金は約6倍の格差(最高:ルクセンブルグ[月額1417ユーロ] 最低:[[ラトビア]][月額240ユーロ])、2009年1月時点で約6倍(最高:ルクセンブルグ[月額1413ユーロ] 最低:[[ブルガリア]][月額240ユーロ])、2018年1月時点で約3倍(最高:ルクセンブルグ[月給1621.37ユーロ] 最低:[[ブルガリア]][月給544.77ユーロ])<ref>{{Cite web|last=WSI(ドイツ経済社会研究所)|title=WSI-Mindestlohndatenbank Minimum Wages in Euro and PPS January 2018|url=https://www.boeckler.de/pdf/ta_january_2018_mwdb_v0118.pdf|accessdate=2018-07-31}}</ref>となっている。
 
 
 
== アメリカ ==
 
[[アメリカ合衆国]]の最低賃金は、[[公正労働基準法]]([[:en:Fair Labor Standards Act]], 1938年)によって連邦最低賃金が定められている。この他に、各州が定めている最低賃金もある。州の最低賃金が連邦最低賃金よりも高い場合には、州の最低賃金が適用される。
 
 
 
2018年現在、アメリカ合衆国の連邦最低賃金は7ドル25セントである<ref name="afpbb2014-5-7">{{cite news |title=米国の一部レストランでチップ廃止の動き、従業員の賃金均等化も |newspaper=[[フランス通信社|AFPBB News]] |date=2014-5-7 |url=http://www.afpbb.com/articles/-/3014273|accessdate=2014-5-18 |author=Juliette Michel }}</ref>。また、アメリカ合衆国には[[チップ (サービス)|チップ]]という習慣があり、これが賃金とみなされるため、サービス業で一定額以上(月30ドル以上)のチップを受ける労働者の場合、チップの額と賃金の合計が時給 7.25ドル以上かつ賃金としては時給2.13ドル以上を支払わなければならない。<ref name="海外情勢2017 厚労省"/> <ref>{{cite news |title=チップを渡すべきか 渡さざるべきか それとも禁止するべきか |newspaper=[[英国放送協会|BBC]] |url=http://www.bbcworldnews-japan.com/uk_topics/view/0000221 |accessdate=2014-5-18 |author=トム・ゲーガン }}{{リンク切れ|date=2017年10月 |bot=InternetArchiveBot }}</ref><ref name="afpbb2014-5-7" />。
 
 
 
=== 減額・適用除外 ===
 
アメリカでは、以下の場合において最低賃金が適用されない<ref name="4saichin_removal"/><ref name="海外情勢2017 厚労省">{{Cite web|last=[[厚生労働省]]|title=2017年海外情勢報告 第2章 北米地域にみる厚生労働施策の概要と最近の動向(50~100ページ)第2節 アメリカ合衆国(United States of America) (1)労働施策|url=https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kaigai/18/dl/t2-03.pdf|accessdate=2018-07-05 }}</ref>。
 
*管理職、専門職など
 
*:責任が重く、元々の給与が高いため
 
*:但し以下の条件がある。
 
 「管理的エグゼンプション」、「運営職エグゼンプション」、「専門職エグゼンプション」、「コンピュータ・技術者エグゼンプション」及び「外商エグゼンプション」の5類型がある。
 
*共通する主たる要件
 
① ブルーカラー労働者でないこと。
 
 
② 「俸給基準」により週当たり455ドル以上の賃金 支払がなされていること(ただし、これは外商エグゼンプションの要件とはなっていない。)。俸給基準とは、実際に労働した日数や時間にかかわらず、あらかじめ定められた金額を支払うことをいう。コンピュータ・技術者エグゼンプションで時給契約の場合は、時給27.63ドル以上の賃金が支払われていることである。
 
 
 
*:管理職エグゼンプション(Executive Exemption)  
 
次の3つの要件を満たすこと。なお、年間賃金総額 10万ドル以上の者は、①~③の要件のいずれかを満 たせば足りる。
 
 
 
①主たる職務が、当該被用者が雇用されている企業又は慣習的に認識された部署又はその下位部門の管理であること
 
 
 
② 習慣的かつ定期的(customarily and regularly)に、2人以上のフルタイム被用者相当の労働を指揮管理していること
 
 
 
③ 被用者を採用若しくは解雇する権限を有する、又は他の被用者の採用若しくは解雇、及び昇級、昇進その他処遇上のあらゆる変更に関して、その者の提案及び勧告に対し特別な比重が与えられていること
 
 
 
*:運営職エグゼンプション(Administrative Exemptions)  
 
 
 
次の2つの要件を満たすこと。なお、年間賃金総額 10万ドル以上の者は、①又は②の要件のいずれかを満たせば足りる。
 
 
 
① 主たる職務が、使用者や顧客の管理・事業運営 全般に直接関わる、オフィス業務又は非肉体的労働であること
 
 
 
② 主たる職務が重要な事項に関する自由裁量及び 独立した判断の行使を含むものであること
 
 
 
*:専門職エグゼンプション(Professional Exemption)  
 
学識専門職エグゼンプション(法律、薬学、神学、会計、工学、物理学、化学、生物学等の専門的な教育を受ける必要があると見なされる職種に適用)、創造業務エグゼンプション(知的創造が必要であると見なされる職種に適用)がある。
 
 
 
*:コンピュータ・技術者エグゼンプション(Computer Employee Exemption)  
 
コンピュータ・システムアナリスト、プログラ マー、ソフトウェア・エンジニア等のコンピュータ 関係の高度技能労働者。
 
 
 
外商エグゼンプション(Outside Sales Exemption)  
 
 
 
主な仕事が販売などの営業であり、習慣的(customarily)かつ定期的(regularly)に事業所の所在 地とは離れた場所で従事している者。
 
 
 
 
 
*小規模の新聞社や農業従事者など
 
*:コストの問題で、最低賃金を導入するのが厳しいため
 
*[[新聞配達員]]
 
*:主に子供が従事する仕事であり、最低賃金を適用してしまうと費用が高くなり子供が雇われなくなるため
 
*20歳未満の者
 
*:雇用促進の観点から、就業後90日間は最低賃金が減額され時給4.25ドルとなる。ただし、他の労働者に置き換える形で20歳未満の労働者を採用した場合にはこの特例は適用されない。
 
 
 
また、障害者(障害により稼得能力が低下している場合に限る)を雇い入れる場合、フルタイムの学生を雇い入れる場合、職業訓練を行う高校生を受け入れる場合には、労働省賃金時間部(Wage and Hour Division)から認可を 得て通常と異なる最低賃金の適用を受けることができる。
 
 
 
なお、最低賃金以下の賃金を支給されている労働者は、2017年で全時給労働者の約2.3%(約182.4万人)であり、フルタイム時給労働者は約1.1%(約64.0万人)、パートタイム時給労働者は約5.9%(約118.1万人)<ref>{{Cite web|last=U.S. Bureau of Labor Statistics|title=Characteristics of minimum wage workers, 2017|url=https://www.bls.gov/opub/reports/minimum-wage/2017/home.htm|accessdate=2018-07-05}}</ref>となっている。
 
また、2015年時点での時給15ドル以下は全労働者の約43.7%(約5830万人)であり、その内の約71.5%(約4170万人)が時給12ドル以下(連邦政府が提示する4人世帯の貧困ラインをわずかに上回る時給額)である。<ref>{{Cite web|last=独立行政法人労働政策研究・研修機構|title=労働者の約半数が時給15ドル以下―民間シンクタンク報告|url=http://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2016/10/usa_01.html|accessdate=2017-03-30}}</ref>また、人種別では、白人(15ドル以下:38.3% 12ドル以下:26.7%)、ヒスパニック(15ドル以下:60.0% 12ドル以下:45.0%) 黒人(15ドル以下:53.0% 12ドル以下:38.2%) アジア人(15ドル以下:36.4% 12ドル以下:26.3%)である。また州別では一番高い州は[[アイダホ州]](15ドル以下:62.6% 12ドル以下:47.7%)であり、一番低い州は[[マサチューセッツ州]](15ドル以下:32.4% 12ドル以下:22.0%)である。<ref>{{Cite web|last=Oxfam America|title=Few rewards An agenda to give America’s working poor araise|url=https://www.oxfamamerica.org/explore/research-publications/few-rewards/|accessdate=2018-07-22}}</ref>
 
 
 
=== 履行保証 ===
 
最低賃金が履行されているかの調査、勧告は、[[労働省]]賃金時間部の調査官が行う。権限の法令根拠は、[[公正労働基準法]]11(a)条による<ref name="4saichin_watch">第4回最低賃金制度のあり方に関する研究会配付資料『諸外国の最低賃金制度における履行確保について』(厚生労働省)</ref>。
 
 
 
調査官は、
 
 
 
* まず公正労働基準法の対象となるかを調査する。
 
* 対象となる場合には、給料支払い状況、労働時間の調査や、労働者との面談を行う。面談の際に話したことなどを理由とした[[差別]]や[[解雇]]は禁止されている。
 
* 調査によって違反が認められる場合には、是正措置(未払い賃金の支払いなど)を取る。
 
 
 
なお、未払いに対しては、上記の是正措置の他にも労働者による訴訟が公正労働基準法によって認められている<ref name="4saichin_watch"/>。
 
 
 
===経済学者による最低賃金引き上げ論===
 
2006年の段階で、アメリカではジョセフ・E・スティグリッツ、[[ポール・クルーグマン]]、[[ローレンス・クライン]]、[[クライブ・グレンジャー]]、[[ケネス・アロー]]、[[ロバート・ソロー]]など幾多の[[ノーベル経済学賞]]受賞者らによる最低賃金引き上げの重要性が論じられている<ref>[http://www.msnbc.msn.com/id/15227667/ns/business-stocks_and_economy/t/economists-call-minimum-wage-be-raised/#.ULwB6YZrnIU Economists want minimun wage raised] NBCnews 2006年10月11日</ref>。最低賃金を緩やかに引き上げることで低所得労働者層の福利を増進させることができ、労働市場、さらには経済全体にも好影響を与えるとしている。
 
 
 
2012年にはスティグリッツをはじめ、[[ローラ・タイソン]]、[[ロバート・ライシュ]]さらには[[ジェフリー・サックス]]なども協同し、[[アメリカ合衆国議会]]へ2014年までに、現行の時給7.25ドルから9.80ドルへの最低賃金引き上げを求める手紙を送っている<ref>[http://leanforward.msnbc.com/_news/2012/07/24/12929430-top-economists-time-to-raise-the-minimum-wage?lite Top economists: Time to raise the minimum wage] learn forward, MSNBC 2012年7月24日</ref>。
 
 
 
2013年、米国大統領である[[バラック・オバマ]]が最低賃金を時給9ドルに引き上げる政策を提示しており、クルーグマンはこの政策が以下の理由により低所得者の給与水準を改善するとして、これを歓迎している<ref name="Krugman">[http://www.nytimes.com/2013/02/18/opinion/krugman-raise-that-wage.html Raise That Wage] Paul Krugman, New York Times 2013年2月17日</ref>。
 
 
 
* ここ40年間のインフレの影響で、2013年2月現在の実質的な最低賃金はいかなる合理的水準よりもはるかに低い。従ってオバマが提案している程度の最低賃金の引き上げであれば、伝統的な経済学が予想する最低賃金の悪影響は顕在化しない<ref name="Krugman" />。
 
* 同様に米国経済の過去の実証研究も、最低賃金の多少の上昇が悪影響を顕在化させない証拠を数多くあげる事ができる<ref name="Krugman" />。
 
* 労働者という財は通常の財と比べてはるかに複雑である事が原因で最低賃金の多少の上昇は労働需要を減らさない<ref name="Krugman" />。
 
* 最低賃金の上昇は低賃金労働者を対象とした他の制度、特に[[勤労所得税額控除]]に影響を与える。この控除の利益の一部は低賃金労働者ではなく経営者に還元されてしまうが、最低賃金の上昇はその利益を低賃金労働者にある程度戻す<ref name="Krugman" />。
 
 
 
2014年1月、ジョセフ・スティグリッツや[[ピーター・ダイアモンド]]を中心に、ロバート・ソロー、ケネス・アロー、[[マイケル・スペンス]]、[[エリック・マスキン]]、[[トーマス・シェリング]]、[[アラン・ブラインダー]]、ロバート・ライシュ、[[ローレンス・サマーズ]]、ローラ・タイソンなど総勢75名の米国の主要な経済学者が<ref name=cnnmoney2014january14MW >[http://money.cnn.com/2014/01/14/news/economy/raising-minimum-wage/ 75 economists back minimum wage hike] CNN Money, January 14, 2014</ref> <ref name=EPI600MW>[http://www.epi.org/minimum-wage-statement/ Over 600 Economists Sign Letter In Support of $10.10 Minimum Wage] Economist Statement on the Federal Minimum Wage, Economic Policy Institute</ref>、米国の最低賃金を時給10.10ドルにまで引き上げるために米国の民主党が提示した最低賃金引き上げ法案を支持した。彼らは米国大統領と議会へ手紙を書き<ref name=EPI600MW />、2016年までに最低賃金を10.10ドルにするよう請願した。最近{{いつ|date=2014年7月}}の研究が示すように、最低賃金の上昇は低所得者の可処分所得を増加させ、消費が高まることで経済に好影響をあたえることがわかっている<ref name=EPI600MW />。その最低賃金引き上げ法案はthe Fair Minimum Wage Actと呼ばれ、米国議会において[[トム・ハーキン]]らによって提出された。その法案が可決されれば、最低賃金水準で生活する労働者の年収は2014年時の1万5千ドルから2万1千ドルへと上昇し<ref name=cnnmoney2014january14MW />、[[貧困]]層の3世帯に1世帯が貧困から脱することができると見積られている。
 
 
 
最近の調査では{{いつ|date=2014年7月}}、米国の主要な経済学者の約半数が、最低賃金を物価上昇とリンクさせて引き上げることによる経済的ベネフィットは最低賃金引き上げによる経済的コストを上回ると考えている。最低賃金の上昇は労働者の離職・転職率を減少させ、会社の労働生産性を向上させるとしている{{誰|date=2014年7月}}。この労働生産性の上昇は、最低賃金引き上げによるビジネスコストの上昇を埋め合わせるとしている{{誰|date=2014年7月}}。
 
 
 
[[明日山陽子]]は論文「米国最低賃金引き上げをめぐる論争」で「最低賃金の引き上げは、雇用への影響を中立的にしても貧困対策とならない」と指摘している<ref name="hukinshin121">田中秀臣 『不謹慎な経済学』 講談社〈講談社biz〉、2008年、121頁。</ref>。また明日山は、労働需要の増加があれば、最低賃金引き上げがもたらす失業は減少するとしている<ref name="hukinshin121" />。
 
 
 
経済学者の[[ジョセフ・サビア]]は、最低賃金引き上げはオバマ大統領が考えているような貧困撲滅にはならないと指摘している<ref name="wsj201424">[http://jp.wsj.com/news/articles/SB10001424052702304396804579362023881996610 米経済、最低賃金引き上げにはぜい弱すぎるか?]WSJ 2014年2月4日</ref>。サビアは、最低賃金引き上げは高失業率の時期には特に未熟練労働者の雇用に大きな打撃を与えるとしており、「最低賃金引き上げに最適な時期などないが、経済的に不透明な時期や景気後退時は最悪である」と述べている<ref name="wsj201424" />。
 
 
 
[[エイドリアナ・クルーガー]]は「非常に慎重な調査で通常、就業率に特に影響は出ていないことが明らかにされている」と指摘している<ref name="wsj201424" />。クルーガーは、最低賃金の引き上げは先送りされすぎていると指摘しており、「10.10ドルへの最低賃金の引き上げによって200万人が貧困から抜け出せる」とし、「最低賃金の停滞は賃金分配の最下部で不平等の拡大を招いている」と指摘している<ref name="wsj201424" />。
 
 
 
アメリカの[[ウォール・ストリート・ジャーナル]]誌が2014年2月に48人のエコノミストを対象に行った調査では、54%が最低賃金引き上げは、雇用主の採用意欲を減退させ景気を損なうため実施すべきでないと回答しており、28%が最低賃金引き上げは景気に貢献すると回答、18%が特に有意な影響はないと回答している<ref name="wsj201424" />
 
 
 
[[デイヴィッド・カード]]とその研究グループの1994年の論文では、アメリカの2州のファースト・フード店における最低賃金の引き上げと雇用実態を分析し、通説とは逆に、最低賃金の引き上げが、むしろ雇用量を増やす効果をもたらしているとしている<ref name="nihonsoken" />。最低賃金の引き上げが雇用量の減少をもたらすという事実は観察されないとしている<ref name="nihonsoken" />。一方で、カードらの研究に対する有力な反論も出現している<ref name="nihonsoken" />。
 
 
 
経済学者の[[ディヴィッド・ニューマーク]]、[[ウィリアム・ワッシャーニューマーク]]は、アメリカを中心とした膨大な実証研究を調べた上で、最低賃金は未熟練の雇用を減少させ、最低賃金の変化に直接影響を受ける人々に限れば、そのマイナス効果は明確だと指摘し、雇用への正の効果を示す論文は限られており、数の面では負の影響を示す研究が圧倒的で、最も納得できる実証に限ればその傾向はより鮮明だとしている<ref name="rieti2013122" />。彼らの約100本におよぶ最低賃金に関する研究の調査の結果、3分の2ほどの論文は最低賃金が雇用に対して負の効果をもつと示唆していた一方で、100本中10本ほどの論文は最低賃金が雇用に対して正の効果を持つことを示していた<ref name="rieti20071116" />。彼らは、信頼のおける分析だと判断した33の論文の内、28本が負の効果を示唆したものであることから、最低賃金の引き上げは雇用に対して悪影響をもつと結論づけている<ref name="rieti20071116" />。
 
 
 
エコノミストの[[ジェフリー・トンプソン]]は2009年の論文で、10代の雇用を対象にアメリカの最低賃金の影響を分析し、アメリカ全体でみれば影響は小さく明確ではない一方で、最低賃金の影響が強い郡では雇用への負の効果がかなり大きいとしている<ref name="rieti2013122" />。
 
 
 
[[アランドラジット・デューブ]]、[[ウイリアム・レスター]]、[[マイケル・ライシュ]]の2010年の論文では、アメリカの州の境界に隣接する郡を比較すると負の雇用効果はないことを示している<ref name="rieti2013122" />。
 
 
 
アメリカのシンクタンク「経済政策研究センター」(CEPR)は、最低賃金を上げれば、ファストフードの食品加工・レジ係・小売店の販売員などの職種の離職率が下がり、組織の効率性が上がるなど、好循環が生じることで、雇用にはほとんど影響を及ぼさないと結論づけている<ref>[http://jp.wsj.com/news/articles/SB10001424127887323364604578317300760055048 最低賃金が先進国最下位の米国で賃上げ論争-時給9ドル構想で]WSJ 2013年2 月21日</ref>。
 
 
 
リベラル系シンクタンク、経済政策研究所(Economic Policy Institute)の「2016年アメリカ賃金状況(The State of American Wage:2016)」によれば、下位10%の労働者の賃金上昇率が、最低賃金の引き上げを行った州が引き上げを行わなかった州と比べて大幅な改善がみられた。最低賃金の引き上げを行わなかった州では対前年比2.5%の上昇にとどまったのに対して、最低賃金の引き上げを行った州では倍以上の5.2%(女性の場合は6.3%)の上昇だった。<ref >{{Cite web|last=独立行政法人 労働政策研究・研修機構|title=> 調査研究成果 > 海外労働情報 > 国別労働トピック > 2017年 > 8月 > アメリカ > 最低賃金引き上げが賃金の底上げをもたらす―2016年アメリカ賃金状況:経済政策研究所|url=http://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2017/08/usa_03.html|accessdate=2017-09-04 }}</ref><ref >{{Cite web|last=経済政策研究所|title=The State of American Wages 2016, Lower unemployment finally helps working people make up some lost ground on wages > Wage growth at the bottom was faster in states that increased their minimum wage in 2016|url=http://www.epi.org/publication/the-state-of-american-wages-2016-lower-unemployment-finally-helps-working-people-make-up-some-lost-ground-on-wages/|accessdate=2017-09-04 }}</ref>
 
 
 
== 日本 ==
 
{{law|section=1}}
 
日本では、1947年(昭和22年)に制定された[[労働基準法]]において、行政官庁が[[最低賃金審議会]]の意見を聞いて最低賃金を定めることができるという旨の規定が置かれた。しかしながら、労働基準法の規定によって最低賃金が定められることはなかったため、1959年([[昭和]]34年)に、[[内閣総理大臣]][[岸信介]]が成立させた'''[[最低賃金法]]'''(昭和34年4月15日法律137号)によって、最低賃金制度が導入された<ref>『叛骨の宰相 岸信介』 KADOKAWA、2014年1月20日、ISBN 978-4-04-600141-2、[[北康利]]</ref>。最低賃金制度の在り方について[[労働政策審議会]]の意見の提出があったときは、[[日本国政府]]は速やかに必要な措置を講ずるものとされている(昭和43年法律第90号附則第8項)。なお最低賃金法における[[労働者]]・[[使用者]]・[[賃金]]の定義は労働基準法と同一である(法第2条)。
 
 
 
法の目的は、「賃金の低廉な労働者について、'''賃金の最低額を保障する'''ことにより、[[労働条件]]の改善を図り、もって、'''労働者の生活の安定'''、労働力の質的向上及び事業の公正な競争の確保に資するとともに、国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする」とされ(法第1条)、全ての労働者を守るための安全網としての役割がもっとも重要であり、公正な賃金設定という役割は、あくまで補助的なものである<ref>『[http://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/03/dl/s0331-7d1.pdf 最低賃金制度のあり方に関する研究会報告]』(厚生労働省)</ref>。
 
 
 
使用者は最低額以上の金額を賃金として労働者に支払わなければならない。最低賃金の適用を受ける労働者と使用者との間の労働契約で最低賃金額に達しない賃金を定めるものは、その部分については[[無効]]とする。この場合において、無効となった部分は、最低賃金と同様の定をしたものとみなす(法第4条)。これは全ての賃金に対して適用されるため、[[正社員]]やパート・[[アルバイト]]といった勤務形態の違いにかかわらず、最低賃金以上の賃金を支払わなければならない。ここで言う最低賃金は、基本的な賃金の額であり、例えば時間外割増賃金(いわゆる残業代)や通勤手当(いわゆる交通費)、精皆勤手当、家族手当は含まれない(住宅手当は含まれる)。
 
 
 
最低賃金には'''地域別最低賃金'''(法第2節)と'''特定最低賃金'''(法第3節)とが設けられている。その額の決定、変更については、[[中央最低賃金審議会]]([[厚生労働省]])が[[厚生労働大臣]]へ引き上げ(引き下げ)の答申を行い、その答申を元に、各都道府県の[[地方最低賃金審議会]]([[都道府県労働局]])がそれぞれの最低賃金を審議・答申し、都道府県労働局長が定める形式となっている(法第10条、第15条)。
 
;地域別最低賃金
 
地域別最低賃金は、'''あまねく全国各地域について決定されなければならない'''とされ(法第9条1項)、産業や職種にかかわりなく、都道府県内の事業場で働くすべての労働者とその使用者に対して適用される最低賃金として、各都道府県に1つずつ、全部で47件の最低賃金が定められている。
 
 
 
地域別最低賃金は、地域における'''労働者の生計費及び賃金'''並びに'''通常の事業の賃金支払能力'''を考慮して定められなければならず、また労働者の生計費を考慮するに当たっては、労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるよう、'''[[生活保護]]に係る施策との整合性'''に配慮するものとする(法第9条2項,3項)。[[2007年]](平成19年)[[11月28日]]の法改正により、[[ワーキングプア]]解消を目指し最低賃金を決める際、「[[生活保護]]に係る施策との整合性に配慮する」ことを明記し「労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるよう」との文言も加えられた。最低賃金未満で働かせた企業への罰則も、「2万円以下」から「50万円以下」の[[罰金]]に引き上げられた(法第40条)<ref>[http://bylines.news.yahoo.co.jp/fujitatakanori/20150717-00047593/ 「最低賃金」と「生活保護基準」の「逆転現象」は解消されていない!-用いられる「生活保護基準」のウソ-(藤田孝典) - 個人 - Yahoo!ニュース]</ref>。
 
 
 
地域別においての全国加重平均額は848円。最高額は東京都の958円、次いで神奈川県の956円、最低額は福岡県を除く九州地方と高知県・沖縄県の737円となっている(2017年10月14日現在)<ref>[http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/ 地域別最低賃金の全国一覧]厚生労働省</ref>。また日本の最低賃金は物価差のため単純比較は出来ないがアメリカドル建てにすると[[OECD]]加盟国の中で低いランクにある<ref>[http://www.chukyo-u.ac.jp/research_2/news/2013/04/006161.html 研究・産学連携ニュース 最低賃金制度が問われる時代]中央大学 2013年4月18日</ref>。
 
 
 
;特定最低賃金
 
特定最低賃金は、'''特定地域内の特定の産業'''について、関係労使が基幹的労働者を対象として、地域別最低賃金より金額水準の高い最低賃金を定めることが必要と認めるものについて設定されていて(法第15条)、平成29年4月1日現在、全国で233件の最低賃金が定められている。
 
 
 
特定最低賃金は地域別最低賃金において定める最低賃金額を上回るものでなければならない(法第16条)とされているが、特定最低賃金と地域別最低賃金の双方が適用される労働者についてはそのいずれか高いほうが適用されることになる。
 
 
 
=== 派遣者における最低賃金 ===
 
派遣労働者([[労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律]]第44条1項に規定する派遣中の労働者をいう)における最低賃金は、地域別最低賃金・特定最低賃金とも、派遣'''元'''ではなく、派遣'''先'''の都道府県における最低賃金が適用される(法第18条)。
 
 
 
=== 減額・適用除外 ===
 
上記の様に最低賃金は全ての賃金に対して適用されるが、以下のいずれかに該当する者について、[[都道府県労働局]]長の[[許可]]を得た場合は、厚生労働省令で定める率を減額した額を最低賃金額とすることができる(法第7条)。
 
# 精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者<ref group="*">しかし、[[障害者権利条約]]第27条第1節の(b)においては障害のある人にも、『他の者と平等に』、[[同一労働同一賃金]]を含めた公正で好ましい労働条件の保護を締約国に求めている。</ref>
 
# [[試用期間]]中の者
 
# [[職業能力開発促進法]]第24条第1項の認定を受けて行われる職業訓練のうち職業に必要な基礎的な技能及びこれに関する知識を習得させることを内容とするものを受ける者であつて厚生労働省令で定めるもの
 
# 軽易な業務に従事する者その他の厚生労働省令で定める者(断続的労働に従事する者。施行規則3条2項)
 
 
 
2008年(平成20年)7月の改正法施行により、それまでの「適用除外」から「減額特例」へと変更された。最低賃金のセーフティネットとしての機能を強化する観点から、最低賃金の適用対象をなるべく広範囲とすることが望ましく、減額措置が可能であるならば、適用除外とするよりも減額した最低賃金を適用した方が労働者保護に資することから改正されたものである。また減額事由から「所定労働時間の特に短い者」が削除された。改正前の適用除外許可及び改正後の減額特例許可の件数の推移は中央最低賃金審議会の資料に示されていて、改正前の許可が失効し切り替えが多数行われた平成21年度を除き、おおむね改正後も改正前と同水準で許可が行われている<ref group="*">[https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11201250-Roudoukijunkyoku-Roudoujoukenseisakuka/0000048571.pdf]中央最低賃金審議会「第1回目安制度のあり方に関する全員協議会」(平成26年6月18日)にて示された資料</ref>。
 
 
 
=== 最低賃金引上げの動向 ===
 
地方自治体の中には発注する公共工事などを請け負う会社に対して、[[日本国政府]]の規定最低賃金を上回る賃金を下限として支払わせることを目的としている[[公契約条例]]が制定されている例もある<ref>小畑精武「公契約条例入門」(旬報社)</ref>。
 
 
 
2013年(平成25年)の最低賃金引き上げにでも、5都道県で[[生活保護問題]]で指摘されている逆転現象が残っていた。2013年度の引き上げ前の時点で生活保護費との開きが2014年(平成26年)の引き上げで逆転が解消された<ref>[http://www.nikkei.com/article/DGXLASFC12H0M_S4A810C1L41000/]「道内最低賃金、14円上げ答申 生活保護との逆転解消 」</ref><ref>[http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS29H1L_Z20C14A7000000/]「最低賃金16円上げ 生活保護との逆転現象解消 」</ref>。[[安倍晋三]]が再登板した2013年以降は最低賃金が毎年引き上げられている。最低賃金の全国平均が2013年には745円だったのが、2017年には823円となり5年間で10%程度上昇させた。アルバイトは人手不足のために最低賃金を大きく上回る時給を示したり、月に2、3万円の交通費は企業が負担して募集している売り手市場になっている。2018年度にも全国で3%の賃上げが決まり、全国平均は848円に引き上げられる。企業の収益増加と賃上げで景気浮揚を狙う安倍政権は「1億総活躍プラン」として毎年3%引き上げていくことで、最低賃金の全国平均を1000円に上げるとしている<ref>{{Cite news |url = http://news.naver.com/main/ranking/read.nhn?mid=etc&sid1=111&rankingType=popular_day&oid=055&aid=0000550659&date=20170720&type=1&rankingSeq=2&rankingSectionId=104
 
  |title = [월드리포트] 일본 알바생들이 최저임금과 함께 받는 것? |date = 2017-07-20  |accessdate = 2017-07-26}}</ref><ref>{{Cite news |url = http://www.asahi.com/articles/ASK7P0CKLK7NULFA037.html|title = 最低賃金、2年連続3%上げへ 平均848円、25円増|newspaper = 朝日新聞] |date = 2017-07-26  |accessdate = 2017-07-26}}</ref>。首都圏(東京・千葉・埼玉・神奈川)で1047円。東京の最低賃金958円を大きく上回っている。
 
 
 
[[日本共産党]]は、今すぐ最低賃金を1000円以上に上げ、地域格差もなくすべきと主張している<ref>{{Cite news |title=最低賃金 各党は |newspaper=[[しんぶん赤旗]] |date=2007年7月21日 |url=http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2007-07-12/2007071204_01_0.html |accessdate=2014年11月29日|publisher=[[日本共産党]] }}</ref>。だが中小企業にとって、そのような大幅な引き上げは商品やサービスに値上げという形で転化させることが低コストの途上国にある企業と競争している国境がない現代では海外移転や委託による依頼の喪失を招いて国内企業が収益どころか雇用を維持できなくなる。結局は賃上げされても最低賃金で働いている「資格」や「特殊技能」の人に対して付加価値がない労働者を解雇して、飲食店なら機械導入によるオートメーション化で労働力を確保することになるため雇用減と産業の空洞化を招くだけと指摘されている<ref>「中小企業がユニオンに潰される日」 田岡春幸  </ref>。実際に企業の[[損益分岐点]]無視の最低賃金引き上げに対して、受付の販売従業員はなくしてタッチパネル方式の顧客対応ロボットに置き換える予定であり、今後はコストに合わない人材は失業者になるとだろうと述べられている<ref>[http://businessnewsline.com/news/201605251022020000.html ]「マクドナルド元CEO、時給15ドルへの最低賃金引き上げが行われた場合には人間を雇うよりロボットを導入した方が安上がり」</ref>。
 
 
 
=== 諸議論 ===
 
最低賃金を巡る議論をいくつか挙げる。
 
 
 
*産業別賃金のあり方
 
*:産業別賃金を廃止も含めて検討すべきという意見が、「最低賃金制度のあり方に関する研究会」報告書で出されている。
 
 
 
経済学者の[[鶴光太郎]]は、日本の各種大規模なミクロデータを使った分析において、
 
 
 
#最低賃金の影響を受けやすい10代の労働者に限れば、最低賃金上昇の雇用への負の効果は明確である
 
#最低賃金の企業収益への負の効果も明確である
 
#最低賃金引き上げは、比較的裕福な世帯主以外の労働者にも恩恵があるという意味では、貧困対策として漏れがある
 
 
 
としている<ref>[http://www.rieti.go.jp/jp/publications/archives/050.html 最低賃金改革]RIETI 2013年6月</ref>。
 
 
 
大竹文雄は「労働市場が買い手独占であれば、最低賃金の引き上げは、雇用も賃金も増やす可能性がある。日本国外での実証研究の多くは、最低賃金引き上げで雇用が減少するという報告が多いが、最低賃金が雇用に影響を与えないという研究結果も存在する。日本では、1990年代終わり頃から、最低賃金が雇用にマイナスの影響を与えているというものが多い。最低賃金の引き上げは、短期的には財政支出を伴わない政策であるため、貧困対策として政治的に好まれるが、最低賃金水準で働いている労働者の多くは、500万円以上の世帯所得がある世帯における世帯主以外の労働者であり、最低賃金は、貧困対策としては、あまり有効ではない政策である」と指摘している<ref>[http://www.rieti.go.jp/jp/publications/summary/13030013.html 最低賃金と貧困対策 DP13-J-014概要]RIETI 2013年3月</ref>。
 
 
 
大竹は「実証分析によれば、日本において最低賃金引き上げで雇用が失われるという意味で被害を受けてきたのは、新規学卒者・子育てを終えて労働市場に再参入しようとしている既婚女性・低学歴層といった生産性が低い人たちである。貧困対策として最低賃金を引き上げても、職を維持できた人たちは所得が上がるかもしれないが、失業した人たちは貧困になってしまう。最低賃金引き上げで雇用が失われるという実証的な結果は、労働市場が競争的な状況における最低賃金引き上げに関する理論的な予測と対応している。ただし、最低賃金引き上げによって仕事を失うのが、留保賃金が高い労働者から低い労働者という順番であれば、雇用が失われることによる社会的余剰の減少よりも、雇用を維持できた人たちの賃金が上昇する効果による余剰の増加の方が大きくなる可能性がある」と指摘している<ref>[http://www.rieti.go.jp/jp/publications/nts/13j014.html 最低賃金と貧困対策]RIETI 2013年3月</ref>。
 
 
 
経済学者の[[若田部昌澄]]は「企業側に最低賃金を引き上げるというインセンティブはないため、デフレで[[実質賃金]]が上がっている状態で、最低賃金を引き上げると、企業側は雇用に慎重になる。最低賃金の引き上げは、デフレ不況を解消するほどの需要にはならず、悪い効果を与える可能性が高い」と指摘している<ref name="keizaikougi202">若田部昌澄 『もうダマされないための経済学講義』 光文社〈光文社新書〉、2012年、202頁。</ref>。
 
 
 
経済学者の[[田中秀臣]]は「名目経済成長をないがしろにした最低賃金の引き上げは、地方・若年層の雇用を悪化させる可能性が大きい」と指摘している<ref>田中秀臣 『不謹慎な経済学』 講談社〈講談社biz〉、2008年、122頁。</ref>。
 
 
 
==== 賃金水準について ====
 
経済学者の[[川口大司]]は、最低賃金の水準については、最低賃金の推移を平均賃金の推移と比較すると、両者は乖離しているとしており、日本における最低賃金が実際は賃金水準の決定に大きな制約となっていない可能性が考えられてきたとしている<ref name="rieti20071116" />。
 
 
 
*雇用との関係
 
*:2000年代の日本においては、2000年の最低賃金は659円、2012年の最低賃金は749円と13%の上昇を示しているが、2000年の完全失業率は4.7%、2012年の完全失業率は4.3%とむしろ低下している{{誰|date=2014年7月}}。
 
*:川口大司、[[森悠子 (経済学者)|森悠子]]の2009年の論文では、2002年までのデータで、最低賃金上昇は10代男性、既婚中年女性の雇用に負の影響を与えることを示している<ref name="rieti2013122" />。また2010年までのデータで、10%の最低賃金の上昇は10代若年者の就業率(平均17%)を5ポイント程度低下させるという研究成果を報告している<ref name="rieti2013122" />。川口大司は「最低賃金の引き上げは、貧困対策としてまったく意味の無いものではないが、必ずしも期待された効果を挙げているわけではない。ただし、最低賃金労働者の半数は中高年の女性が占め、多くは世帯主ではないパート労働者であることから、雇用が失われても[[家計]]への影響は大きくない可能性がある」と指摘している<ref>[http://www.rieti.go.jp/jp/publications/rd/046.html 最低賃金は日本において有効な貧困対策か?]RIETI 2009年6月</ref>。
 
*生活保護との関係
 
*:「最低賃金は[[生活保護]]基準以下に抑えられており、これは労働者の生活よりも、企業活動を優先しているからだ」という意見は国会をはじめ、各所で取り上げられている。例えば[[2004年|2004年(平成16年)]]の第159回国会では[[日本共産党]][[参議院]]議員、[[畑野君枝]]が最低賃金と生活保護基準との関連について質問主意書を出したのに対し、[[小泉純一郎]][[内閣総理大臣]](当時)が答弁書で「''両制度はその性格等を異にしており、また生活保護費は住宅費等勘案する要素が多く、最低賃金と生活保護の水準を単純に比較することは適切ではない。しかしながら、中央最低賃金審議会で生活保護も参考にしながら最低賃金の水準を検討している''」と答えている<ref>{{Cite press|url=http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/159/syuh/s159014.htm |title=参議院質問主意書 最低賃金額の引上げと最低賃金審議会委員の公正な任命等に関する質問主意書 |publisher=参議院 |date=2004-04-05}}</ref>。
 
*男女差
 
*:川口大司は、男女別に賃金分布を概観すると、女性において最低賃金があることにより賃金分布が大きく歪められており、最低賃金に近い賃金水準で働いている労働者が、相当数存在するとしている<ref name="rieti20071116" />。また川口大司は、都道府県別に平均賃金と最低賃金の差をみると、その差は地域によってばらつきがあるとしており(例:青森県は東京都に比べて最低賃金と平均賃金の差が小さい)、地方の女性労働市場においては最低賃金が制約となっている可能性が高いとしている<ref name="rieti20071116" />。
 
*地域差
 
*:[[しんぶん赤旗]]では、現行制度では格差が広がるとして、全国一律の最低賃金(1,000円以上)にすべきと主張している<ref group="*">「四十七都道府県、産業ごとにばらばらに決める現行制度では、格差は広がるばかりです。これ以上に格差と貧困を広げないためにも、全国どこでも、だれが働いても、生計費を基準にした最低賃金が保障される「全国一律最低賃金制度」でなければなりません。世界の多数がこの制度です。」(2007年2月11日付しんぶん赤旗)</ref>。
 
*:山田久は「日本では、最低賃金水準の影響を受けやすい非正規雇用者の賃金は、生産性を下回る状況にある。そうした状況は、産業基盤が弱く働き口の少ない地方での大企業の工場・営業所で発生している可能性がある。大企業を中心にした高生産性セクターについては、非正規雇用者の賃金の引き上げを、雇用量を減らすことなく受け入れる余地があるが、地方の中小企業をはじめ低生産性部門では打撃を受ける公算が大きい」と指摘している<ref name="nihonsoken2008131" />。
 
*水準に対する労使対立
 
*:傾向として、労働者側は「できるだけ高くしてほしい」と願っているが、使用者(企業)側は「できるだけ低く抑えたい」というものがある<ref>竹中平蔵 『竹中平蔵の「日本が生きる」経済学』 ぎょうせい・第2版、2001年、150頁。</ref>。また、日本の最低賃金は必ずしも高くないとされるが、これは、最低賃金変更者の経営使用者側への過度の配慮、最低賃金の引上げは雇用削減になる、高賃金の労働組合員の関心が低い、低賃金者の多くは既婚女性のパートタイマーや若年層である、という事情がある{{要出典|date=2014年7月}}。
 
*:経済学者の[[橘木俊詔]]は「正規労働者が主たる参加者である労働組合は、非労働組合員である非正規労働者との間で同一価値労働・同一賃金の原則を拒否することが多い。身分が保護されている正規労働者は、この原則が導入されれば、非正規労働者の一時間あたり賃金が上がるため、自分たちの賃金を下げられるためである」と指摘している<ref>橘木俊詔 『朝日おとなの学びなおし 経済学 課題解明の経済学史』 朝日新聞出版、2012年、78頁。</ref>。橘木は「最低賃金の引き上げに関して、労働組合は表面上は賛成するが、実態は無関心である。非労働組合員の最低賃金が引き上げられると、組合員の賃金が下げられかねないと恐れる。労働組合員の権益を守りたいという労働組合の行動原理が存在することは否定できない」と指摘している<ref>橘木俊詔 『朝日おとなの学びなおし 経済学 課題解明の経済学史』 朝日新聞出版、2012年、78頁。</ref>。
 
* 2006年12月[[労働政策審議会]]答申
 
*:2006年(平成18年)12月27日に、労働政策審議会は以下の内容で答申を行った<ref>2006年(平成18年)12月27日『[http://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/12/dl/s1227-12a.pdf -今後の最低賃金制度の在り方について-]』(労働政策審議会 厚生労働省)</ref>。
 
**低賃金労働者が増加したため、安全網としての役割を十分果たすようにする必要がある
 
***→この役割は、地域別最低賃金で行う
 
**社会保障との整合性を取る必要がある
 
**罰則の強化
 
**産業別最低賃金は、労使による届け出によって決めることができ、こちらについては罰則の適用はされない
 
**派遣労働者については、派遣先の最低賃金を適用する
 
*格差是正緊急措置法案
 
*:[[民主党 (日本 1998-2016)|民主党]]は2007年3月1日、最低賃金を時給1,000円程度<ref name="heikin" group="*">解釈によっては「全国での平均額が1,000円程度」とも受け取れる{{誰|date=2014年7月}}。「1,000円程度」を言い換えると、「どの地域・どの職業でも時給が必ず1,000円以上となるとは限らない」ことになり、場合によっては時給が1,000円を下回る可能性も高くなる{{誰|date=2014年7月}}。</ref>とするなどを骨子とした「格差是正のための緊急措置等に関する法律案」を[[衆議院]]に提出<ref>{{Cite web|url=http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/kaiji166.htm |title=第166回国会 議案の一覧 |publihser=衆議院 |accessdate=2012-12-20}}</ref>。低賃金労働者からはほぼ無条件に歓迎されているが、経営者は難色を示している{{要出典|date=2014年7月}}。
 
*:若田部昌澄は「民主党は賃金を上げると需要が増え景気が良くなると言っているが、最低賃金の引き上げによって景気が改善したという実例は無い」と指摘している<ref name="keizaikougi202" />。
 
*:大竹文雄は「最低賃金を1000円に引き上げによる影響は、
 
*# 時間当たりの生産性が1000円を下回る未熟練労働者(アルバイト学生・主婦)は職に就けなくなる
 
*# 企業は、生産性が1000円未満の未熟練労働者を雇えないため、中長期的に未熟練労働者の仕事を機械で代替させようとする
 
*:の2つに大別できる。未熟練労働者の失業が増えれば、勤労者世帯の所得は減り、モノは売れなくなり、消費不況の度合いを深めるはずである。最低賃金の引き上げは、貧困・格差対策として逆効果となり、景気に悪影響を及ぼす可能性がある」と指摘している<ref>[http://president.jp/articles/-/7211 なぜ最低賃金を上げると百貨店の客が減るのか 「あなたの仕事・職場」と儲かるカギ【7】消費不況]PRESIDENT Online プレジデント 2012年9月17日</ref>。
 
*:飯田泰之は「最低賃金1000円というのは、実質的には大企業に税を課すことと同じになる。大企業ほど『海外に逃げる』という選択肢が大きくなる。また、労働力を機械に置き換えることもありうる。そこを規制するのは論理的に無理である」と指摘している<ref>飯田泰之・雨宮処凛 『脱貧困の経済学』 筑摩書房〈ちくま文庫〉、2012年、55頁。</ref>。
 
*[[規制改革会議]]による提言
 
*:2007年(平成19年)5月21日に、規制改革会議は以下の内容で提言を行った<ref>2007年(平成19年)5月21日『[http://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/12/dl/s1227-12a.pdf 脱格差と活力をもたらす労働市場へ]』(規制改革会議 内閣府)</ref>。
 
**労働者保護を強くしすぎることによって、[[正規雇用]]を抑制する結果を招いている。労働者の権利を強めることが労働者を保護するという考え方は間違い。
 
**→この観点から、考えなしに最低賃金を引き上げると、最低賃金に満たない生産性の業種の労働者の失業を招き、かえって失業者を増やす。
 
*国連社会権規約委員会勧告
 
*:[[国際連合]][[国際連合経済社会理事会|経済社会理事会]]の[[経済的、社会的及び文化的権利委員会]](社会権規約委員会、CESCR)は、第50回会期に行なわれた日本の第3回報告審査の総括所見を2013年5月17日に採択し<ref>Committee on Economic, Social and Cultural Rights 50th Session ( 29 April-17 May 2013){{cite web |url=http://www2.ohchr.org/english/bodies/cescr/cescrs50.htm |title=アーカイブされたコピー |accessdate=2013年9月16日 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20130917112505/http://www2.ohchr.org/english/bodies/cescr/cescrs50.htm |archivedate=2013年9月17日 |deadlinkdate=2017年10月 }}, Concluding observations on the third periodic report of Japan, adopted by the Committee at its fiftieth session (29 April-17 May 2013)[http://www2.ohchr.org/english/bodies/cescr/docs/co/E-C-12-JPN-CO-3.doc](DOC ファイル), C. Principal subjects of concern and recommendations, 18、2013年6月5日閲覧</ref>、この中で、日本の最低賃金が最低限の生活水準、[[生活保護]]および生活費の増加を下回っているおそれがあるとの懸念を示した。その上で、労働者およびその家族が人並みの生活を営むことを可能とすることを最低賃金の決定要素として加えるべくその見直しを勧告するとともに、次回定期報告書において最低賃金未満の賃金支払いを受けている労働者の比率を報告するよう求めた。
 
 
 
==== 地方最低賃金審議会の公平性について ====
 
地方最低賃金審議会では、経営者側の委員は中小企業の経営者等が多いにもかかわらず、労働者側の委員は大企業労働組合の代表が多く、地域別最低賃金により影響を受ける中小零細企業の労組代表がほとんど選任されていない。このことは国会でも取り上げられた。これは主に中小零細企業の労組では、労働者側委員を出せるだけの組織率を有している労組がないことが大きく影響しているといわれている{{要出典|date=2014年7月}}。
 
 
 
=== 最低賃金との比較について ===
 
最低賃金を満たしているかどうかの計算式は以下によって求めることが出来る。なお、通勤手当・皆勤手当・家族手当・深夜割増手当・時間外労働または休日労働手当は算入しない。臨時に支払われる手当(結婚手当など)も算入しない。住宅手当は除外賃金に指定されていないので、参入して計算する。除外する賃金は最低賃金の種類ごとに指定できることになっているが、どの最低賃金も同じ手当が除外手当として指定されている。
 
 
 
* 基本給が月5,000円、住宅手当が月120,000円、職務手当が月25,000円、通勤手当が月8,000円で、1ヶ月の合計が158,000円。年間所定労働日数が250日、1日の所定労働時間が7時間30分。勤務地の最低賃金額が800円とする。
 
 
 
# 158,000円(1ヶ月の合計) = 5,000円(基本給) + 120,000円(住宅手当) + 25,000円(職務手当) + 8,000円(通勤手当)
 
# 通勤手当を差し引く。158,000円(1ヶ月の合計) - 8,000円(通勤手当)= 150,000円。
 
# 時間額に換算する。150,000円 ÷ 1ヶ月平均所定労働時間(250日 × 7.5時間 ÷ 12ヶ月) = 960円
 
# 最低賃金が800円なので、960円 > 800円 となり、正しい賃金体制となっていることが分かる。
 
 
 
以下に挙げるの計算式は簡略したもので、時間額に換算するものである。
 
# 時間給制 - 時間給 ≧ 最低賃金額(時間額)
 
# 日給制 - 日給 ÷ 1日の所定労働時間 ≧ 最低賃金額(日額)
 
# 月給制 - ((月給額 × 12ヶ月)÷(年間総所定労働日数 × 所定労働時間))≧ 最低賃金額(時間額)
 
#* また、月給 ÷ 1ヶ月平均所定労働時間 ≧ 最低賃金額(時間額)という計算方法もある。
 
# 法定労働時間フルタイムで労働時間が曖昧な場合は法定労働時間の算出に月間所定労働時間を用いる(労働基準法第32条に準じる)。365日(1年の日数)÷ 7日(1週間の日数)×40時間(1週間の法定労働時間)=約2085.71時間(1年の推定労働時間)÷12ヶ月=約173.8時間(1カ月の推定月法定労働時間)、この時間以上の労働は法定労働時間外労働として割り増し賃金が付く<ref>[http://zangyou.org/information/keisan あなたが受け取れる残業代はいくら? | 本当に知ってる?残業代の基礎知識 | サービス残業・未払い残業代請求のことなら残業代バンク]</ref>
 
 
 
 
 
* 法定の労働時間、休憩、休日を守り。[[変形労働時間制]]を採用せず。深夜業をしない、36協定を結んでの[[時間外労働]]や法定休日労働をしない場合。1日8時間労働、45分間休憩(または労働基準法の最低基準である45分間を超える1時間休憩など)、週の起算日の定め無し(起算日は日曜日となる)、[[公休]]として法定休日は日曜日、法定外休日は土曜日、平日祝日の法定外休日無し、週40時間労働の完全[[週休2日制]]。1月1日が日曜日から始まる[[平年]]。勤務地の最低賃金額が800円、各種手当て無しとする。
 
**使用者は、原則として、1日に8時間、1週間に40時間を超えて労働させてはいけません。
 
**使用者は、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を与えなければいけません。
 
**使用者は、少なくとも毎週1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日を与えなければなりません。<ref>[http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/roudouzikan/index.html 労働時間・休日 |厚生労働省]</ref>
 
***1年は52週あり土曜日52日+日曜日52日=104日となり、1年の総労働時間は平年2088時間、閏年2096時間。14種類ある[[暦#関連項目|暦]]パターンの内、[[日曜日から始まる平年]]は1月1日が日曜日、[[土曜日から始まる平年]]は12月31日が土曜日となり土曜日52日+日曜日52日+α=105日、1年の総労働時間2080時間。[[日曜日から始まる閏年]]は1月1日が日曜日、[[金曜日から始まる閏年]]は12月31日が土曜日となり土曜日52日+日曜日52日+α=105日、1年の総労働時間2088時間。[[土曜日から始まる閏年]]は1年が53週あり12月30日が土曜日+12月31日が日曜日となり土曜日53日+日曜日53日=106日となる、1年の総労働時間2080時間。
 
 
 
# 365日(1年の合計日数)-53日(日曜日)-52日(土曜日)=260日(労働日)
 
# 260日(労働日)×8時間(労働日1日の労働時間)=2080時間(1年の総労働時間)
 
# 最低賃金が800円なので、2080時間(1年の総労働時間)×800円(最低賃金)=1,664,000円(年収)
 
# 1,664,000円(年収)÷12ヶ月=約138,667円(平均月収)
 
# 実際の労働日は。3月、5月、8月は23日で147,200円(月収)。1月、6月、10月、11月は22日で140,800円(月収)。7月、9月、12月は21日で134,400円(月収)。2月、4月は20日で128,000円(月収)。
 
# 800円(最低賃金)÷60分(1時間)=13円33銭3厘3毛…(最低分給)
 
# 8時間(労働日1日の労働時間)×800円(最低賃金)=6,400(1日の日給)
 
# 約2087.20時間(1年の平均法定労働時間)×800円(最低賃金)=約1,669,760円(平均年収)
 
# 約2087.20時間(1年の平均法定労働時間)×800円(最低賃金)×45年(15歳中学卒業、就職~60歳[[定年]])=約75,139,200円(生涯賃金)
 
 
 
 
 
*時間外、休日及び深夜の割増賃金
 
**1日8時間である法定労働時間以上の時間外労働。もしくは、1週間の合計法定労働時間40時間以上(時間外労働は合算しない)の時間外労働→2割5分以上の割増賃金{800円(最低賃金)+(800円(最低賃金)×0.25(割増率)以上)=1000円以上(最低賃金+割増賃金)}
 
***時間外労働が36協定の限度時間(1週間15時間、2週間27時間、4週間43時間、1か月45時間、2か月81時間、3か月120時間、1年360時間。1年単位の変形労働時間制を採用している場合1週間14時間、2週間25時間、4週間40時間、1か月42時間、2か月75時間、3か月110時間、1年320時間。特別条項付の36協定を結ぶことにより年間で6ヶ月以下なら限度時間を超えることができる)を越えたときは、2割5分を超える率に制定する[[努力義務]]が発生する。
 
**午後10時から翌日午前5時までの間。もしくは厚生労働大臣が必要であると認める場合においては、その定める地域又は期間については午後11時から午前6時までに労働する深夜業→2割5分以上の割増賃金{800円+(800円×0.25以上)=1000円以上}
 
**法定休日労働→3割5分以上の割増賃金{800円+(800円×0.35以上)=1080円以上}
 
***法定休日には法定労働時間が存在しないため、時間外労働に対する割増賃金は発生しない。
 
**延長して労働した時間が1箇月について60時間を超えた分(60時間1分以上)の時間外労働→5割以上の割増賃金{800円+(800円×0.5以上)=1200円以上}
 
***ただし、[[2019年]][[4月1日]]までは[[中小企業]]への猶予措置がある。また、適応される場合にも60時間を越える時間外労働について5割中、2割5分の割増賃金の代わりに労使協定によって有給の代替休暇をあてる事も出来る。この場合、労働者が実際に有給の休暇を取得しなかった場合には、本来の50%割増賃金を支払う必要がある(例:60分×0.25(割増)以上=15分以上。代替休暇は1日又は半日単位で、60時間を超える法定時間外労働があった月の末日の翌日から2ヶ月以内の期間)。
 
{| class="wikitable"
 
|+ '''中小企業該当の有無'''
 
|-
 
! 業種 !! (1)資本金の額または出資の総額 !! (2)常時使用する労働者数(企業全体)
 
|-
 
| 小売業 || 5,000万円以下 || 50人以下
 
|-
 
| サービス業 || 5,000万円以下 || 100人以下
 
|-
 
| 卸売業 || 1 億円以下 || 100人以下
 
|-
 
| その他 || 3 億円以下 || 300人以下
 
|}
 
※業種は[[日本標準産業分類]]による、(1)(2)とも該当無しなら大企業<ref>[http://fukuoka-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/hourei_seido_tetsuzuki/roudoukijun_keiyaku/hourei_seido/_119554.html 適用される割増賃金率判断のための、中小企業該当の有無についての確認 | 福岡労働局]</ref>。
 
 
 
*重複して加算する割増賃金
 
**時間外労働が深夜業となった場合→2割5分(時間外労働)+2割5分(深夜業)=合計5割以上の割増賃金{800円+(800円×(0.25以上+0.25以上))=1200円以上}
 
**法定休日労働が深夜業となった場合→3割5分(休日労働)+2割5分(深夜業)=6割以上の割増賃金{800円+(800×(0.35以上+0.25以上))=1280円以上}
 
**延長して労働した時間が1箇月について60時間を超えた分(60時間1分以上)の時間外労働が深夜業となった場合→5割(60時間超の時間外労働)+2割5分(深夜業)=7割5分以上の割増賃金{800円+(800×(0.5以上+0.25以上))=1400円以上}
 
 
 
 
 
* 前出の法定労働時間に加え。1年の内6か月を限度時間を越え[[過労死ライン]]である80時間の時間外労働、6か月を1か月の限度時間である45時間の時間外労働をした場合。
 
# 60時間(時間外労働)×{800円(最低賃金)+(800円(最低賃金)×0.25(時間外労働割増率)以上)}+20時間(60時間超時間外労働)×{800円(最低賃金)+(800円(最低賃金)×0.5(60時間超時間外労働割増率)以上)}=60,000円以上(時間外労働残業代)+24,000円以上(60時間超時間外労働残業代)=84,000円以上(残業代合計)
 
## 中小企業への猶予措置が適応される場合、80時間(時間外労働)×{800円(最低賃金)+(800円(最低賃金)×0.25(時間外労働割増率)以上)}=80,000円以上(時間外労働残業代)
 
# 45時間(時間外労働)×{800円(最低賃金)+(800円(最低賃金)×0.25(時間外労働割増率)以上)}=45,000円以上(時間外労働残業代)
 
# 84,000円以上(残業代合計)×6か月+45,000円以上(時間外労働残業代)×6か月=504,000円以上+270,000円以上=774,000円以上(年間残業代合計)
 
## 中小企業への猶予措置が適応される場合、80,000円以上(時間外労働残業代)×6か月+45,000円以上(時間外労働残業代)=480,000円以上+270,000円以上=750,000円以上(年間残業代合計)
 
# 1,664,000円(年収)+774,000円以上(年間残業代合計)=2,438,000円以上(時間外労働した場合の年収)
 
## 中小企業への猶予措置が適応される場合、1,664,000円(年収)+750,000円以上(年間残業代合計)=2,414,000円以上(時間外労働した場合の年収)
 
 
 
<ref>[http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/faq_kijyungyosei07.html 法定労働時間と割増賃金について教えてください。|厚生労働省]</ref><ref>[http://www.jil.go.jp/rodoqa/hourei/rodokijun/HO0049-S22.html#H-37jo 労働基準法|労働関連法令等一覧|労働政策研究・研修機構(JILPT)]</ref><ref>[https://www.gourmetcaree-tokyo.com/contents/qa/851.html 法定労働時間1日8時間・1週40時間と割増賃金の関係]</ref><ref>[http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000075867.html 「労働基準法等の一部を改正する法律案要綱」の答申 |報道発表資料|厚生労働省]</ref><ref>[http://www.mhlw.go.jp/topics/2008/12/dl/tp1216-1e.pdf 労働基準法の一部改正法が成立 ~ 平成22年4月1日から施行されます ~]</ref><ref>[https://www.rosei.jp/jinjour/article.php?entry_no=55088 労働基準法の基礎知識 - 月60時間を超える法定時間外労働の割増賃金|人事のための課題解決サイト|jin-jour(ジンジュール)]</ref><ref>[http://www.onyx.dti.ne.jp/~kinotaka/jouhou/0511.html 36協定と労働基準法 - キノシタ社会保険労務士事務所]</ref><ref>[http://tokyo-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/var/rev0/0139/1618/2013327144331.pdf しっかりマスター労働基準法 -割増賃金編-]</ref><ref>[http://okayama-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/hourei_seido_tetsuzuki/roudoukijun_keiyaku/aramashi13.html 時間外・休日・深夜労働の割増賃金 | 岡山労働局]</ref>
 
 
 
== イギリス ==
 
[[イギリス]]の最低賃金は、全国最低賃金法 (''National Minimum Wage Act'')(1998年)によって定められている。なお、イギリスは判例法([[コモン・ロー]])が重要な役割を担っており、制定法は補助・追認的な位置づけとなっている。
 
 
 
歴史的には、1909年に賃金委員会法を制定し、特に低賃金労働者が多い一部の産業について、最低賃金を定めた(1945年に賃金審議会法に改正)<ref name="4saichin_correction">第2回最低賃金制度のあり方に関する研究会配付資料『[http://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/12/s1207-5f.html 諸外国の最低賃金制度について]』(厚生労働省)</ref>。その後、労働市場の硬直化、生産性低下の回避等を理由として、1993年に「労働組合改革及び雇用権に関する法律」によっていったん廃止されている(当時政権は[[保守党 (イギリス)|保守党]])。その後、1998年に[[トニー・ブレア|ブレア]]首相時代に全国最低賃金法が施行、翌1999年に制度が復活した(当時政権は[[労働党 (イギリス)|労働党]])<ref>「[http://wwwhakusyo.mhlw.go.jp/wpdocs/hpyj199801/body.html 1998年 海外労働情勢]」([[労働省]])</ref>。2004年からは、義務教育修了(16-17歳)への最低賃金が定められた。また2010年10月から一般向け額の対象年齢の下限を22歳から21歳に引き下げている。<ref>{{Cite web|last=独立行政法人 労働政策研究・研修機構|title= 調査研究成果 > 海外労働情報 > 国別労働トピック > 2010年 > 4月 > イギリス > 最低賃金、10月から5.93ポンドに引き上げ 注1|url=http://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2010_4/england_01.html#link_01|accessdate=2014-11-29 }}</ref>更に2016年4月に全国生活賃金導入の際、既存の全国最低賃金制度から、25歳以上層に適用する加算制度を設けた。(全国最低賃金制度導入の際、低賃金委員会への諮問は行われず、[[大蔵省 (イギリス)|財務省]]により水準が設定された。また従来とは異なり、2020年までに統計上の平均賃金の6割の水準に達するよう改定を行うことが目標として示されている。但し導入後の改定については、通常の最低賃金額と併せて低賃金委員会に諮問されることとなった。)<ref>{{Cite web|last=独立行政法人 労働政策研究・研修機構|title=>海外労働情報>国別労働トピック>掲載国一覧>イギリス>2016年3月>「全国生活賃金」導入と雇用主の対応|url=http://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2016/03/uk_01.html|accessdate=2016-11-16 }}</ref>
 
 
 
最低賃金の額は政府([[内閣 (イギリス)|国務大臣]]が決定するとしており、担当大臣は特定されていない。現在は[[ビジネス・エネルギー・産業戦略省]][2016年7月までは[[ビジネス・イノベーション・技能省]]]が公表 )が決定する。事実上の慣行として、毎年、'''低賃金委員会'''(労働者側委員、使用者側委員、有識者委員からなる三者構成の諮問機関。労使同数の定めはない。)への諮問の上、ほぼ委員会勧告通りの改定を行い、政令で公布(改定の時期や頻度については規定がなく、低賃金委員会への諮問も義務ではない。)。<ref name="RR5-12" />
 
 
 
低賃金委員会は、勧告に当たり、「全国最低賃金法が英国経済全体およ びその競争力に与える影響に配慮し、かつ政府が問題を付託する際に特定した付加的要素について考慮しなければならない」(全国最低賃金法第7条第5項)と規定されている。実際には、賃金審議会(1993年廃止)の最低賃金額の影響、他国の法定最低賃金の賃金再分配率のデータ、国内の低賃金産業において実際に支払われた賃金のデータ、最も影響を受ける産業を代表する団体の見解、賃金格差およびマクロ経済への影響に関する経済学者の評価、 [[国家統計局 (イギリス)|国家統計局]]の時間収入年次調査等を考慮する。<ref name="RR5-12" />
 
 
 
なお、1945年から1993年までは、'''賃金審議会'''が各産業の賃金を定めていた(1993年の廃止時には、26の各産業の審議会が存在した)<ref name="4saichin_correction"/>。
 
=== 履行保証 ===
 
最低賃金が履行されているかの調査、勧告は、[[内国歳入庁]] (''The Inland Revenue'') の最低賃金監督官 (''National Minimum Wage Compliance Officers'') が行う。権限の法令根拠は、全国最低賃金法13条などによる。
 
 
 
飯田泰之は「最低賃金規制をした場合、企業側はほとんど守らない。工夫をして事実上の最低賃金以下の雇用を行おうとする。表面上は守られているとされる日本の最低賃金の遵守率は、実質はかなり低い。サービス残業などを活用しどこも守っていない」と指摘している<ref>飯田泰之・雨宮処凛 『脱貧困の経済学』 筑摩書房〈ちくま文庫〉、2012年、54頁。</ref>。
 
 
 
=== 減額・適用除外 ===
 
適用除外<ref name=RR5-12>{{Cite web|last=厚生労働省|title=中央最低賃金審議会(目安制度のあり方に関する全員協議会) 第5回目安制度の在り方に関する全員協議会(平成27年2月16日)資料一覧 資料2 諸外国における最低賃金決定プロセス等について |url=https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11201250-Roudoukijunkyoku-Roudoujoukenseisakuka/0000074057.pdf|accessdate=2018-08-03}}</ref>
 
*軍隊所属者
 
*[[分益小作|分益漁師]](漁業に従事し、漁船の利益の配分を受けている漁師)
 
*ボランティア労働者
 
*宗教団体の住み込み労働者
 
*受刑者
 
*無報酬労働に従事することで罰金を免除される者
 
*住み込み外国人
 
*家族経営事業に従事する家族
 
*特定の訓練に従事する者
 
 
 
労働者育成の観点から、就業後訓練を行っている間は、最低賃金が減額される。
 
<blockquote>「これは、16-17歳は完全な労働力というよりは職業生活の準備をしており、労働市場の中で異なる区分を形成しているという我々の見解を反映したもの」<ref name="4saichin_removal"/><small>より引用</small></blockquote>
 
その後、若年労働者を使用者の搾取から守るという観点から制度の改定が行われている。
 
 
 
なお2016年4月時点で、最低賃金以下で働いている16歳以上の労働者の割合は、約1.3%(約36.2万人)であった。
 
 
 
年齢別では18~20歳は約2.1%、21~24歳は約1.4%、25歳以上は約1.3%であった。パートタイムは約2.4%[約18.4万人](男性:約2.3%[4.4万人] 女性:約2.4%[14.0万人])、フルタイムは約0.9%[約17.8万人](男性:約0.7%[約8.8万人] 女性:約1.1%[約9.0万人])であった。男性は約1.0%(約13.2万人)に対して女性は約1.7%(約23.0万人)と女性の方が高い。職種別では、運搬・清掃・包装等従事者が約3.5%(約10.9万人)が最も高く、専門的・技術的職業従事者が約0.1%(約0.8万人)が最も低かった。産業別では、理髪業が約7.0%(約0.8%)と最も高く、これに続いて、保育業:約4.0%(約0.9万人)、ホスピタリティ:3.8%(約5.9万人)、清掃業:約3.7%(約1.0万人)と続いている。<ref>{{Cite web|last=Office for National Statistics([[国家統計局 (イギリス)|国家統計局]])|title=Home>Employment and labour market>People in work>Earnings and working hours  >Low pay in the UK: Apr 2016|url=https://www.ons.gov.uk/employmentandlabourmarket/peopleinwork/earningsandworkinghours/bulletins/lowpay/apr2016|author=David Bovill|accessdate=2018-08-03}}</ref>
 
 
 
また、2017年時点で、生活賃金(最低限の生活水準の維持に要する生計費から、必要な賃金水準を設定したもの)未満の労働者は、約550万人で、全体の約21%を占める。
 
 
 
フルタイムの場合は約240万人(男性:約125.0万人 女性:約120.0万人)で、フルタイム全体の13%(男性:約11% 女性:約16%)を占めている。それに対して、パートタイムの場合は約310万人(男性:約85.0万人 女性:約220.0万人)で、パートタイム全体の42%(男性:約47% 女性:約40%)を占めている。年齢別では、若年層が多く、18~21歳の約66%(約121.9万人)が生活賃金未満であると推計されている。また職種では、人数では、販売補助や小売店のレジ係(約74.3万人[約64%])、キッチンスタッフ(40.7万人[約75%])、未熟練の清掃職種(39.1万人[約70%])が多い。比率では、バーのスタッフ(約86%[約13.6万人])、ウェイター・ウェイトレス(約83%[約40.7万人])、クリーニング職(約77%)が多い。<ref>{{Cite web|last=KPMG|title=KPMG Living Wage Research 2017 |url=https://home.kpmg.com/uk/en/home/insights/2017/11/kpmg-living-wage-research-2017.html|author=Andy Bagnall |accessdate=2018-08-03}}</ref>なお、時間当たりの生活賃金の金額は2017年10月末時点で、ロンドンで10.20ポンド、ロンドン以外の地域では8.75ポンドである。ロンドンとそれ以外の地域の差額は、大半が平均的な住宅の賃料の差によるものである。<ref>{{Cite web|last=What is the real Living Wage?|title=Explaining UK Wage Rates |url=https://www.livingwage.org.uk/what-real-living-wage |accessdate=2017-12-06}}</ref><ref>{{Cite web|last=独立行政法人労働政策研究・研修機構|title=生活賃金と最低賃金の動向|url=http://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2017/03/uk_01.html|accessdate=2018-08-03}}</ref>
 
 
 
=== 議論 ===
 
イギリスでは、雇用への影響も実証分析が積み重ねられたが、最低賃金の上昇が緩やかだったこともあり、「明確な影響はない」という研究者のコンセンサスが得られている<ref name="rieti2013122" />。
 
 
 
[[ミルコ・ドラカ]]、[[ステファン・マヒン]]、[[ジョン・ファンリーネン]]の2011年の論文では、イギリスで低賃金労働者を雇っている企業の収益率は他の企業に比べより減少していることを示している<ref name="rieti2013122" />。
 
 
 
[[ジョナサン・ワーズワース]]の2009年の論文では、最低賃金労働による消費者サービス価格の上昇は一般消費者物価上昇よりも高いことを示しており、企業の収益・価格への影響は明確となっているとしている<ref name="rieti2013122" />。
 
 
 
山田久は「イギリスで最低賃金の引き上げが失業増につながらなかったのは、景気回復の持続のもと、外資導入・地域再生策の効果もあり、生産性の持続的向上が人件費増を吸収できたためである」と指摘している<ref name="nihonsoken2008131" />。
 
 
 
また、ブリストン大学のホール教授、プロッパー教授とロンドン大学のヴァン・リーネン教授は、イギリスの看護師の賃金が、全国率一律で決められていることが、高賃金地域での患者の死亡率を高めていることを明らかにしており、「賃金規制が、死亡率を高めている」と主張している<ref>大竹文雄 『競争と公平感-市場経済の本当のメリット』 中央公論新社〈中公新書〉、2010年、190頁。</ref>。
 
 
 
== ドイツ ==
 
ドイツはEU参加国のうち最低賃金法を導入していない7つの国の一つであった。だが2014年7月、ドイツ下院はドイツ国内の最低賃金を時給8.50ユーロとする法案を可決した<ref>[http://www.bbc.co.uk/news/business-28140594 Germany approves first-ever national minimum wage] BBC News, Business, 3 July 2014</ref>。この法律は2015年1月から施行される。下院での採決では法案賛成が圧倒的多数であり<ref name=telegraph2014july3MW>[http://www.telegraph.co.uk/news/worldnews/europe/germany/10943730/Germany-introduces-minimum-wage.html Germany introduces minimum wage] The Telegraph, world, 3 July 2014</ref>、投票数605のうち賛成が535票、反対が5票、棄権が61票という結果だった<ref name=reuters2014july3MW>[http://www.reuters.com/article/2014/07/03/germany-minimumwage-approval-idUSL6N0PE2ZM20140703 German parliament approves 8.50 euro national minimum wage] Reuters, 3 July 2014</ref>。この最低賃金水準はフランスの時給9.43ユーロには劣るが、英国の6.31ポンド(換算値約6.50ユーロ相当)や米国の7.25ドル(約4.20ユーロ相当<ref name=telegraph2014july3MW />)よりも高い。最低賃金導入は[[アンゲラ・メルケル]]政権の連立与党である中道左派[[ドイツ社会民主党]]の重要課題だった<ref name=reuters2014july3MW />。ドイツ副首相の[[ジグマール・ガブリエル]]は「これはドイツにとって歴史的な日である」として最低賃金法の立法化を歓迎した<ref name=telegraph2014july3MW />。
 
 
 
最低賃金額の決定は、常設の最低賃金委員会が2年ごとに最低賃金額の適切性について決議を行う( 一般的最低賃金法第9条第1項 )(審議は非公開[ 一般的最低賃金法第10条第4項 ])。決議は単純過半数の賛成により行われる(一般的最低賃金法第10条第2項。賛成が過半数に至らない場合、委員長が斡旋の提案を行い、なお賛成が過半数に至らない場合は、委員長が議決権を行使する。 )。 連邦政府は法規命令により最低賃金委員会により提案された適切な最低賃金を規定する。(一般的最低賃金法第11条第1項 ) <ref name="RR5-12" />
 
 
 
最低賃金委員会の構成は、議長1名、常任委員6名(労使各3名ずつ)、諮問委員2名(学術分野からの委員[労使提案]、議決権なし)で構成される。( 一般的最低賃金法第4条第2項 ) <ref name="RR5-12" />
 
 
 
決定基準は、「最低賃金委員会は、労働者にとって必要な最低限度の保護に寄与し、 公正かつ機能的な競争条件を可能とし、かつ雇用を危殆化させないために、いかなる額の最低賃金が適切かを、総合的に勘案して審査を行う。最低賃金委員会は、最低賃金の決定に際し、協約上の動向に従うものとする。」(一般的最低賃金法第 9 条第2項)  <ref name="RR5-12" />
 
 
 
また、2016年6月28日の最低賃金委員会(労使代表等で構成)の決議により、2017年1月1日から8.84ユーロに賃上げされた。<ref>{{Cite web|last=独立行政法人 労働政策研究・研修機構|title=> 調査研究成果 > 海外労働情報 > 国別労働トピック > 2017年 > 3月 > ドイツ > 最低賃金の引き上げ等、いくつかの制度変更について|url=http://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2017/03/germany_01.html|accessdate=2017-03-19 }}</ref>
 
 
 
しかし、最低賃金(時給8.84ユーロ)でフルタイム労働をした場合、月に約1,444ユーロの収入となる。そしてここから税金、社会保険料、生活費(必要最低限の食費・衣料費・光熱費[暖房費を除く]、交通費、日用品購入費等)を差し引くと、家賃と暖房費にかけられる金額は、残り339ユーロになる。公的な統計では、6歳未満の子どもがいるひとり親世帯が必要とするその額は、月平均457ユーロであり、毎月かなりの赤字になってしまう。(但し、この試算は児童手当192ユーロ(月額[2017年時点])は含まれていない。)また、実際に6歳未満の子どもがいるひとり親世帯の9割(87%)は、最低レベルの所得階層におり、貧困リスクが非常に高い。<ref name=2017.8>{{Cite web|last=独立行政法人 労働政策研究・研修機構|title=> 調査研究成果 > 海外労働情報 > 国別労働トピック > 2017年 > 8月 > ドイツ > 最低賃金とひとり親をめぐる議論|url=http://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2017/08/germany_01.html|accessdate=2017-09-04 }}</ref>
 
 
 
 そのため、[[左翼党 (ドイツ)|左翼党]]から批判があり、左翼党の[[クラウス・エルンスト]]副総裁は声明の中で、「最低賃金でフルタイム働いても、必要最低限の生活費を稼ぐことができないのは、おかしい」と批判する。その上で、最低賃金を時給12ユーロに引き上げるよう求めている。「そうすれば低賃金雇用の拡大を抑制し、労働者が部分的に福祉給付に頼ることなく、最低限の年金確保にもつながる」と同氏は主張する。それに対し、{{仮リンク|連邦労働社会省(BMAS)|de|Bundesministerium für Arbeit und Soziales}}は、最低賃金の導入で何百万人もの労働者が恩恵を受けた点を強調する。さらに、労働者の生活保障以外にも、「競争力維持」や「雇用確保」の面も考慮する必要があり、最低賃金委員会において2年毎に金額が再評価される点などをあらためて左翼党に説明した。<ref name=2017.8 />
 
 
 
なお、ドイツではパート労働の1種に[[ミニジョブ]]がある。これは、月収入450ユーロ以下で、所得税と社会保険料の労働者負担分が免除される制度である(但し、使用者は免除されず、税金、健康保険、年金保険の計30%の負担義務がある。また、2013年以降始めたミニジョブの場合は、開始時に労働者が意思表示すれば、自己負担分の社会保障費(額面の3.9%)を任意で支払うことが可能である)。しかし、ミニジョブ労働者は、最低賃金制度を設けたにも関わらず、約半数(2015年:50.4%[5.5ユーロ未満:20.1% 5.5~8.49ユーロ未満:30.3%])が最低賃金未満の時給額で働いている。また、2014年時点でのミニジョブ労働者は計750万人である。このうち、ミニジョブの専業従事者は510万人で、本業のほかに税負担のない副業としてミニジョブに従事する者は240万人であった。多くは、小売、飲食、宿泊、保健・医療施設、福祉施設、ビル清掃業などのサービス分野で働いている。。<ref>{{Cite web|last=独立行政法人 労働政策研究・研修機構|title=> 調査研究成果 > 海外労働情報 > 国別労働トピック > 2017年 > 5月 > ドイツ > 半数近くのミニジョブが最低賃金未満―WSI分析|url=http://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2017/05/germany_01.html|accessdate=2017-05-16 }}</ref>
 
 
 
=== 減額・適用除外 ===
 
*一部の企業実習生(法令によって受講が義務付けられている実習、職業訓練又は大学教育の開始に際してのオリエンテーションのための3か月までの実習等)
 
*職業訓練生
 
*名誉職として働く者
 
*1年以上失業していた長期失業者は、雇用後最初の 6ヶ月間 
 
等<ref>{{Cite web|last=厚生労働省|title=2017年海外情勢報告 第3章 欧州地域にみる厚生労働施策の概要と最近の動向(101~250ページ) 第2節 ドイツ連邦共和国(Federal Republic of Germany) (1)労働施策|url=http://www.jil.go.jp/institute/siryo/2009/documents/050_05.pdf|accessdate=2017-04-30 }}</ref>
 
 
 
== フランス ==
 
[[フランス]]の最低賃金は、全業種を対象に法律が定める基準(SMIC)と、業種別に労働協約によって定められた基準とがあり、双方を上回る必要がある。均等待遇の原則(同一労働同一賃金
 
)が根付いているため同種の職種で賃金格差が付きづらいが、職歴の浅い者は最低賃金に近い水準となっている<ref name="kaigaijiho_france">海外労働時報2003年増刊(労働政策研究・研修機構)</ref>。
 
 
 
また、SMICの時給額は、以下に挙げる三つによって、決定される。<ref name="RR5-12" /><ref >{{Cite web|last=厚生労働省|title=中央最低賃金審議会(目安制度のあり方に関する全員協議会) 第7回目安制度の在り方に関する全員協議会(平成27年2月16日)資料一覧 資料1 英仏の最低賃金決定方式 —日本の最低賃金制度に対する示唆— |url=https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11201250-Roudoukijunkyoku-Roudoujoukenseisakuka/0000083738.pdf|accessdate=2018-08-09 }}</ref><ref name=MWF>{{Cite web|last=独立行政法人 労働政策研究・研修機構|title=JILPT資料シリーズ No. 181 2017年3月 諸外国における最低賃金制度の 運用に関する調査 ─ イギリス、ドイツ、フランス、アメリカ ─ 第3章 フランス|url=http://www.jil.go.jp/institute/siryo/2017/documents/181_03.pdf|accessdate=2018-08-09 }}</ref>
 
 
 
*①物価スライド制
 
消費者物価指数が前回の改定水準より2%以上上昇した場合、指数発表の翌月初日にその上昇分だけ改定される 。(労働法 L.141-3条)
 
 
 
消費者物価指数は、世帯主が労働者である都市部の世帯で、タバコを除く295品目の消費者物価を対象として算出される。
 
*②年次改定
 
年次増額は、「労働省による3ヶ月ごとの調査によって記録された平均時間給の購買力の上昇分の2分の1を下回ってはならない」(労働法 L.141-5条) 「最低賃金の上昇と、一般的経済条件及び国民所得との間の永続的な全ての不均衡を除去しようとするものでなければならない」(労働法 L.141-6条) とされる。
 
 
 
以下の i~iii を踏まえて、政府が全国団体交渉委員会に諮問し、答申を受けて命令(デクレ)により改定
 
 
 
i. 特殊な世帯(一般ワーカーのうち、生活水準の下位 20%の世帯を抽出した世帯。、一般ワーカーのうち、生活水準の下位 20%の世帯を抽出した世帯)の物価上昇率
 
 
 
2013年2月に従来の消費者物価指数の上昇率基準となる世帯主が一般ワーカーまたは事務系労働者である都市部の世帯の上昇率から改められた。
 
 
 
ii. 生産労働者(一般ワーカー及び事務系労働者)基本時間給実質上 昇率×1/2 以上
 
 
 
iii. 政府の裁量による上乗せ
 
 
 
*③政府裁量
 
政府は、年度中あるいは毎年1月1日のSMIC改定の際に、上記①②のメカニズムから算定される率を超えてSMICを引き上げることができる。
 
 
 
これは政府による「後押し分(coups de pouce)」と呼ばれるものである。
 
 
 
政府裁量額は,団体交渉全国委員会の答申後に政府が決定する。2008年に政府から独立した「専門家委員会」( 経済,統計の専門家としての性格が強い構成となっている。)が設置され,その年次報告書の内容が影響している。
 
その為、労使の関与は限定的であり、団体交渉全国委員会の答申は,実質的な影響を持たず、2008年の専門家委員会設置以降,統計データが重視されるようになっている。
 
また、2007年7月1日、サルコジ大統領に代わって初めてのSMIC見直しで、政府の自由裁量による後押し分はなく、引上げは法定分に限られ、それ以降は「後押し分」の引上げは行われていない。
 
 
 
全国団体交渉委員会:政府代表4名、労使各18名で構成される。同委員会は、「国家の財政勘定の分析および一般的経済条件についての報告を受とり」「それらの要素を熟考し、年度途中の改定を考慮に入れた上で、政府に対して、必要があれば多数派および少数派の立場を詳述した報告書を添えて、理由付き答申をだす」とされており、答申は労使の合意ではなく、それぞれの意見を非公開の報告書にまとめて提出する。 
 
 
 
専門家委員会:SMICの改定について意見を述べる独立の機関である専門家委員会が毎年全国団体交渉委員会と政府に対して報告書を提出する。専門家委員会は、経済・社会の領域での能力・経験により選ばれ、雇用労働及び経済担当大臣の提案に基づき、首相によって 5人が任命される。労働市場の発展、生産性の向上、付加価値の分配、企業競争力、比較可能な諸外国の最低賃金の上昇を分析したうえで意見を述べる。また、政府も国家財政分析及び一般的経済状況に関する報告を全国団体交渉委員会に提出する。政府の報告書と専門家委員会の報告書に開きがある場合、政府はその理由を書面で述べる。 また、専門委員会は[[ニコラ・サルコジ|サルコジ]]政権(2007 年)下の雇用指針評議会において、賃金構造の硬直化、労働費用の増大が指摘され、雇用の適正な配分を保障するための経済条件に応じたSMICの引上げを可能とするために設置された。
 
 
 
 
 
2018年現在、フランスの最低賃金は、9.88ユーロとなっている。<ref>{{Cite web|last=全国統計・経済研究機構(INSEE)|title=Salaire minimum interprofessionnel de croissance (Smic) en 2018 |url=https://www.insee.fr/fr/statistiques/1375188|accessdate=2018-06-15 }}</ref>
 
 
 
最低賃金で働く者の割合は、2017年1月時点で全労働者のうち10.6%(約165万人)。また、フルタイム労働者では7.5%であるが、パートタイムでは24.2%に跳ね上がる。<ref name="LS2017">{{Cite web|last=フランス 労働省|title=La revalorisation du Smic au 1er janvier 2017|url=http://dares.travail-emploi.gouv.fr/IMG/pdf/2017-077.pdf|accessdate=2018-04-24}}</ref>
 
 
 
産業別・業種別にみてみると、電気・ガス・熱供給・水道業で最も低く0.8%(パートタイム:3.0%)である一方、最も高いホテル・レストラン関連業務では31.2%(パートタイム:54.1%)にのぼる。更に企業規模に見ると、500人以上は4.5%(フルタイムは2.9%、パートタイムは12.9%)に対して、10人未満は24.3%(フルタイムは19.7%、パートタイムは35.3%)であり、小規模なほど最低賃金水準で働く労働者の割合が高くなる傾向がある。)。<ref name="LS2017" />
 
なお、週39時間制から週35時間制に移行したときには、労働者の賃金を保証するために最低賃金を上げ、使用者側に対しては補償措置として社会保障費の減免を行った<ref name="kaigaijiho_france"/>。
 
 
 
=== 履行保証 ===
 
 フランスにおいてSMICを運用しているのは、労働・雇用・職業教育・労使対話省 (Ministère du Travail, de l’Emploi, de la Formation Professionnelle et du Dialogue social)(以下、労働省)である。労働省の中で、SMICの制度枠組みの企画運営を担当するのが労働総局(DGT: Direction générale du travail )であり、SMICを含む労働分野の監督行政を担当し ているのが、地方圏の組織、企業・競争・消費・労働・雇用局(DIRECCTE: Direction régionale des entreprises, de la concurrence, de la consommation, du travail et de l’emploi)である。<ref name="MWF" />
 
 
 
最低賃金が履行されているかどうかの監視については、官庁に所属する監督官によって行われる。監督先の企業を選ぶ方法は2種類あり、一つは労働者側からの監督要請、もう一つは監督者による任意の選定となっている<ref name="4saichin_watch"/>。
 
 
 
調査の方法は、給与支払い明細やタイムカードを調べることによって違反が無いかをチェックする<ref name="4saichin_watch"/>。
 
 
 
2014年の時点の数値として、労働監督官の総数は 2, 236 人である。そのうち労働監督官 (inspecteur du travail)が1, 060人で、労働監督官補(contrôleur du travail)が1, 176人である。 労働監督官が 1 人当たり監督対象とする労働者数は、8, 139人である。労働監督官と労働監督官補の違いは、対象とする企業の規模によって区別されており、50 人以上の企業を担当するのが労働監督官で、50人以下の企業を担当するのが労働監督官補となっている。その他、労働組合に加入している者の解雇に関する案件や、労働時間の例外規定に関する処分の決定権は、労働監督官は認められているが、労働監督官補にはないといった違いもある。<ref name="MWF" />
 
 
 
労働監督官及び労働監督官補の採用資格の基準は、ともに高卒程度となっているが、労働 監督官の場合は、職業経験が 3 年以上必要となっている。ただし、実際に採用される労働監督官の80%程度は、職業経験が5年以上の者である。この労働監督官と労働監督官補の区分は、3年後をめどに労働監督官に統合予定である。その目的は、労働監督官に集中している業務量を分散し、労働監督官補を含めた労働監督官全体の体制で対応することである。現行の労働監督官の体制や人数について本省の担当者は、十分であり問題はない、としている。なお、労働監督官及び労働監督官補を育成するための研修は、国立労働研究所で行われている。<ref name="MWF" />
 
 
 
また、監督行政を効率よく実施するために、監督対象の業種や職種を絞って、選択と集中の方針をもって当たるという考え方もある。日本では、低賃金の業種・職種に絞って監督をする方針をとっているが、フランスでは、監督の対象とする業種や職場は、違反の可能性が高い業種や職種を集中的に監督対象とするよりも、全産業を事業規模の偏りなく監督する方針をとっている。ただ、政労使で協議した結果として特定の業界を優先的に監督する場合もあり、 例えば輸送業・運送業界がそういった労働監督の優先度の高い業界となっている。<ref name="MWF" />
 
 
 
違反があった場合には、まず使用者に対し書類によって改善勧告が行われる。勧告によって改善されなかった場合には、刑法手続きが取られるが、手続きに1年半ほどかかるため、その間に改善されることがほとんどであるという<ref name="4saichin_watch"/>。
 
 
 
更に、フランスの[[労働裁判所]]は、日本の簡易裁判所とも異なる裁判所であり、裁判官が判決を下すわけではなく、労使のOBが紛争解決にあたる裁判所である。比較的簡素な手続きで裁判を起こすことができるため、SMICに違反する使用者を労働者が訴えることは難しくない。労働全般に関する紛争が年間10万件ほど訴えられており、フランスでは、労働裁判所に訴えて労働問題の解決をすることは日常的なことであると言える。<ref name="MWF" />
 
 
 
=== 減額・適用除外 ===
 
<ref>{{Cite web|last=厚生労働省|title=2017年海外情勢報告 第3章 欧州地域にみる厚生労働施策の概要と最近の動向(101~250ページ) 第1節 フランス共和国(French Republic)  (1)労働施策|url=https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kaigai/18/dl/t3-01.pdf|accessdate=2018-07-10 }}</ref>
 
*17歳以下の年少者で、当該業種における職歴が 6か月に満たない者(17歳未満の者は 20%まで、17歳の者は10%まで)
 
*職業訓練生及び若年者向け各種援助措置を受けている者(年齢及び訓練期間に応じて22~75%減額することが認められている。)
 
*労働時間の管理に適さない労働者(委託販売外交員)
 
 
 
== スイス ==
 
[[スイス]]では、全国一律の最低賃金は定められていない。2014年5月18日、最低賃金を22[[スイス・フラン|スイスフラン]](約2500円)という、世界最高額の最低賃金を定めるかどうかの国民投票が行われた。結果は賛成24%、反対76%で否決された。スイスの労働組合は、最低限の生活も維持できない労働者が約33万人に上ると指摘している<ref>{{cite news |title=スイス、時給2500円の最低賃金導入を否決 国民投票で |newspaper=[[CNN]] |date=2014-5-19 |url=http://www.cnn.co.jp/business/35048103.html|accessdate=2014-5-19}}</ref>。スイスの労働者の9割は、すでに時給22スイスフラン以上の賃金を得ているとされるが、スイスの物価を考えると十分ではないとする意見もある<ref>{{cite news |title=スイス、時給2500円導入を国民投票で否決 |newspaper=[[日本経済新聞]] |date=2014-5-19 |url=http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK1900U_Z10C14A5000000/ |accessdate=2014-5-19 }}</ref>。但し、[[ヌーシャテル州]]は、2011年に住民投票で導入を決め、連邦裁判所が雇用者団体の差し止め要求を却下し、2017年夏に時給20フランの最低賃金をスイスで初めて導入した。続いて同年11月には[[ジュラ州]]も時給20フランの最低賃金を導入した<ref>{{cite news |title= スイスで働くスイスの最低賃金は40万円台が妥当?|newspaper=[[スイス放送協会]] 国際部|date=2018-05-30 |url=https://www.swissinfo.ch/jpn/business/スイスで働く_スイスの最低賃金は%EF%BC%94%EF%BC%90万円台が妥当-/44154864|accessdate=2018-06-02}}</ref>。
 
 
 
== 関連項目 ==
 
* [[最低賃金法]]
 
* [[労働基準法]]
 
* [[国際労働機関]]
 
* [[労働分配率]]
 
* [[ディーセント・ワーク]]
 
* [[ブラック企業]]
 
* {{仮リンク|リビング・ウェイジ|en|Living wage}} - 必要生計費
 
 
 
== 脚注 ==
 
{{Reflist|group="*"}}
 
 
 
== 出典 ==
 
{{Reflist|2}}
 
 
 
== 参考資料 ==
 
{{参照方法|section=1|date=2016年1月14日 (木) 02:11 (UTC)}}
 
*[[労働調査会出版局]]『[[最低賃金決定要覧]]』(年度版、[[労働調査会]])
 
*[[国際労働機関]]:著、[[田村勝省]]:訳『世界給与・賃金レポート』(年度版、[[一灯舎]])
 
*[[村木宏吉]]『元監督官が教える労働基準法・最低賃金法の申請・届出一切』([[日本法令]]、[[2014年]]7月)ISBN 978-4-539-72381-4
 
*[[山田浩之]]『新興国・開発途上国における最低賃金法の雇用等への影響』([[三菱経済研究所]]、[[2013年]]9月)ISBN 978-4-943852-45-2
 
*[[大竹文雄]]、[[川口大司]]、[[鶴光太郎]]:編著『最低賃金改革 日本の働き方をいかに変えるか』([[日本評論社]]、[[2013年]]7月)ISBN 978-4-535-55700-0
 
*[[最低賃金を引き上げる会]]『最低賃金で1か月暮らしてみました。』([[亜紀書房]]、[[2009年]]5月)ISBN 978-4-7505-0910-5
 
*[[労働調査会出版局]]『最低賃金法の詳解 改訂3版』([[労働調査会]]、[[2009年]]2月)ISBN 978-4-86319-032-0
 
*[[労働新聞社]]『わかりやすい最低賃金法』(労働新聞社、[[2008年]]10月)ISBN 978-4-89761-061-0
 
*[[OECD]]:編著、[[日本労働組合総連合会総合政策局]]:訳『図表でみる世界の最低生活保障OECD給付・賃金インディケータ 働くための福祉の国際比較』([[明石書店]]、[[2008年]]7月)ISBN 978-4-7503-2829-4
 
 
 
== 外部リンク ==
 
* {{Cite web |date= |url=http://www2.mhlw.go.jp/topics/seido/kijunkyoku/minimum/minimum-01.htm |title=最低賃金制度|厚生労働省 |publisher=[[厚生労働省]]|accessdate=2012-12-19}}
 
* {{Cite web |date=2005年3月31日発表 |url=http://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/03/s0331-7.html |title=最低賃金制度のあり方に関する研究会」報告書について |publisher=厚生労働省|accessdate=2012-12-19}}
 
* [http://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/timeseries/html/g0403.html 図2 主要企業春季賃上げ率/早わかり グラフでみる長期労働統計|労働政策研究・研修機構(JILPT)][[労働政策研究・研修機構]])
 
  
 
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最低賃金(さいていちんぎん)と

最低賃金法などに基づいて決定される賃金の最低基準額。最賃。




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