「日本の経済」の版間の差分

提供: miniwiki
移動先:案内検索
(1版 をインポートしました)
(内容を「{{テンプレート:20180815sk}}」で置換)
(タグ: Replaced)
 
1行目: 1行目:
{{更新|date=2011年7月}}
+
{{テンプレート:20180815sk}}
 
 
{{Infobox 経済
 
|country        = [[ファイル:Flag of Japan.svg|30px]] 日本
 
|image          =
 
|width          =
 
|caption        =
 
|currency        = [[円 (通貨)|円]] (JPY)
 
|fixed exchange  =
 
|year            = [[4月1日]] - [[3月31日]]
 
|organs          = [[経済協力開発機構|OECD]]、[[世界貿易機関|WTO]]、[[G20]]、[[主要国首脳会議|G8]]、[[アジア太平洋経済協力|APEC]]ほか
 
|gdp            = 550兆7000億円(名目、2017年現在第3位)<ref name="nominalGDP">{{cite web |url=http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/__icsFiles/afieldfile/2018/03/08/jikei_1.pdf |title=内閣府『国民経済計算』内閣府 四半期別GDP速報 時系列表(平成29年10-12月期 2次速報値 名目(暦年)〈平成30年3月8日公表〉)|accessdate=2011-06-10}}</ref><br /><!--
 
-->約5兆1000億ドル(名目)第3位<ref name="IMF">{{cite web |url=http://www.imf.org/external/pubs/ft/weo/2011/01/weodata/weorept.aspx?pr.x=64&pr.y=15&sy=2013&ey=2013&scsm=1&ssd=1&sort=country&ds=.&br=1&c=158&s=NGDP_R%2CNGDP_RPCH%2CNGDPD%2CNGDPPC%2CNGDPDPC%2CPPPGDP%2CPPPPC&grp=0&a=#cs3|title=World Economic Outlook Database April 2011 Edition|accessdate=2011-04-22}}1</ref><br /><!--
 
-->約5兆ドル([[購買力平価|PPP]]、第4位)<ref name="IMF" /><br /><!--
 
-->(いずれも2017年確定値)
 
|growth          = 1.7%(2017年)
 
|per capita      = 429万4681.42円(名目)<ref name="IMF" /><br /><!--
 
-->38,550.09ドル(名目、第23位)<ref name="IMF" /><br /><!--
 
-->42,658.71ドル(PPP、第29位)<ref name="IMF" /><br /><!--
 
-->(いずれも2017年確定値)
 
|sectors        = [[第1次産業]] 1.5%、[[第2次産業]] 27.7%、[[第3次産業]] 60.8%(2006年)<ref>第1次産業は農林水産業、第2次産業は鉱業・製造業・建設業、第3次産業は第1次産業と第2次産業以外を指す。第3次産業には和を100%にするために便宜上、輸入品に課される税・関税、(控除)総資本形成にかかる消費税、(控除)帰属利子、統計上の不突合を算入している。矢野恒太記念会編 (2008) p.93 表7-5 経済活動国内総生産(暦年)</ref>
 
|components      =
 
|inflation      = 総合指数2.3%(2008年7月、前年同月比)<br />生鮮食品を除く総合指数2.4%(同)<br />食料(酒類を除く)およびエネルギーを除く総合指数0.2%(同)<ref>{{cite web |url=http://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/index-z.htm |title=総務省統計局 平成17年基準 消費者物価指数(平成20年8月29日公表)|accessdate=2008-09-15}}</ref>
 
|poverty        =
 
|gini            =
 
|labor          = 6562万人(2017年)<ref>財団法人矢野恒太記念会編 (2008) p.71 表6-1 労働力と非労働力(大本は厚生労働省 労働力調査)</ref>
 
|occupations    = 第1次産業 4.2%、第2次産業 26.8%、第3次産業 67.7%(2007年)<ref>矢野恒太記念会編 (2008) p.73 表6-3 労働力調査による産業3部門別就業人口割合。第1次産業は農林水産業、第2次産業は鉱業・製造業・建設業、第3次産業は第1次産業と第2次産業以外を指す。</ref>
 
|unemployment    = 2.4%(2018年1月)<ref name="失業率">{{cite web|url=http://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/index.htm|title=総務省統計局〈2〉(就業状態、完全失業者数、完全失業率等)|accessdate=2001-5-9}}</ref>
 
|industries      =
 
|exports        = 78兆2864億円(2017年)<ref name="trade_nenbet">{{cite web|url=http://www.customs.go.jp/toukei/suii/html/nenbet.htm|title=財務省貿易統計 年別輸出入総額(確定値)|accessdate=2012-12-04}}</ref>
 
|export-goods    =
 
|export-partners = [[中華人民共和国]] 19.7%、[[アメリカ合衆国]] 15.3%、[[大韓民国]] 8.0%、[[台湾]] 6.2%、[[香港]] 5.2%(2011年)
 
|imports        = 75兆3792億円(2017年)<ref name="trade_latest">{{cite web|url=http://www.customs.go.jp/toukei/suii/html/time_latest.htm|title=財務省貿易統計 最近の輸出入動向|accessdate=2012-12-04}}</ref>
 
|import-goods    =
 
|import-partners = [[中華人民共和国]] 21.5%、[[アメリカ合衆国]] 8.7%、[[オーストラリア]] 6.6%、[[サウジアラビア]] 5.9%、[[アラブ首長国連邦|UAE]] 5.0%(2011年)
 
|FDI            =
 
|gross external debt =
 
|debt            = GDPの147%の776兆円(国・地方公共団体の長期債務残高)(2008年度末推定)<ref name="yanodebt">矢野恒太記念会編 (2008) p.379</ref>
 
|revenue        =
 
|expenses        =
 
|aid            =  113.6億ドルの供与 ([[政府開発援助|ODA]])(2006年)<ref name="yanooda">矢野恒太記念会編 (2008) p.368</ref>
 
|credit          =
 
|reserves        = 約1兆2668億ドル(2013年12月現在)<ref>{{cite web|url=https://www.mof.go.jp/international_policy/reference/official_reserve_assets/2512.htm |title=外貨準備等の状況(平成25年12月末現在)|accessdate=2014-04-11}}</ref>
 
|cianame        =
 
}}
 
'''日本の経済'''(にほんのけいざい、英語:Economy of Japan)は2010年において名目GDP換算で[[アメリカ合衆国の経済|アメリカ合衆国]]、[[中華人民共和国の経済|中華人民共和国]]に次いで3番目に大きく<ref name="CNN">{{Cite web|url=http://web.archive.org/web/20110216161212/http://www.cnn.co.jp/business/30001800.html|title=日本のGDP、中国に抜かれ世界3位に|date=2011年2月14日|publisher=[[CNN]]|accessdate=2017-10-07}}</ref>、PPP換算でも[[アメリカ合衆国の経済|アメリカ合衆国]]、[[中華人民共和国の経済|中華人民共和国]]、[[インドの経済|インド]]に次いで4番目に大きい<ref name="IMF" />。
 
 
 
== 概要 ==
 
=== 歴史 ===
 
{{main|日本の経済史}}
 
 
 
[[ファイル:Real GDP growth rate in Japan (1956-2008).png|left|300px|thumb|1956 - 2008年の実質GDP成長率の推移]]
 
 
 
[[第二次世界大戦]]により国土は焼け野原となったが、[[GHQ]]の占領期間中に、[[農地改革]]・[[財閥解体]]・[[労働三法]]の成立・[[独占禁止法]]の制定といった'''経済の民主化'''や[[シャウプ勧告]]、[[ドッジ・ライン]]などを受けて経済改革を進め、[[朝鮮戦争]]を契機に経済復興をとげた([[特需景気]])。[[1950年代]]は[[三種の神器 (電化製品)#戦後|三種の神器]]に代表される民間消費が経済成長を牽引し、民間消費の拡大に対応する為に投資も拡大したが、当時は設備を海外からの輸入に依存していたことから、投資が拡大すると輸入が拡大することとなり、その結果、[[国際収支統計#国際収支の天井|国際収支の天井]]により好景気と不景気を繰り返していた([[神武景気]]→[[なべ底不況]]→[[岩戸景気]])<ref name="kanamorietal_business_cycle">金森・香西・加藤編 (2007) pp.44-53</ref>。
 
 
 
[[ファイル:Shinkansen type 0 Hikari 19890506a.jpg|right|thumb|180px|初代新幹線である[[新幹線0系電車]](1989年撮影、[[小田原駅]]にて)]]
 
[[1960年]]夏、[[池田勇人]]が[[内閣総理大臣]]に就任し、[[所得倍増計画]]を提唱、[[1964年]]の[[前東京オリンピック|東京オリンピック]]を開催するための有形固定資産の投資の拡大([[名神高速道路]]・[[東名高速道路]]の開通、[[東海道新幹線]]の開通)が景気を下支えした([[オリンピック景気]])。[[1964年]]の東京オリンピックの反動における[[証券不況]](構造不況、昭和40年不況)を経て、[[佐藤栄作]]首相の時代には、「所得倍増計画」が目指していたものを上回る、急速な所得向上が続き消費者の可処分所得は大幅に増え、[[三種の神器 (電化製品)#高度成長期・3Cの登場|3C]]に代表される耐久消費財の普及、旺盛な住宅建設需要と、それに見合った設備投資の拡大、原油安や海外の好景気もあり、当時戦後最長の好景気が続き([[いざなぎ景気]])[[高度経済成長]]をとげた<ref name="realGDPgrowth68SNAH2">{{cite web |url=http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/qe011-68/ritu-jcy01168.csv |title=内閣府『国民経済計算』〜昭和30年からの需要項目別一覧〜旧68SNA・平成2年基準のGDP_実質暦年(前年比)|accessdate=2008-09-15}}</ref><ref name="kanamorietal_growth">金森・香西・加藤編 (2007) pp.30-32</ref>。一方、[[公害]]による[[環境破壊]]が深刻化し、[[1967年]]には[[公害対策基本法]]が制定され、次いで[[1970年]]には[[環境庁]]が設置された。また、若年労働者が都市に学業や就業のために移動することが原因となって[[太平洋ベルト]]に人口が集中し地方の[[過疎]]化が進んだ。
 
 
 
[[1970年代]]は[[大阪万博]]で好調に始まったものの、1970年7月にはいざなぎ景気は終焉を迎えた<ref name="business_cycle_handan">{{cite web |url=http://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/041112hiduke/041112hiduke.html |title=内閣府経済社会総合研究所_景気基準日付について
 
|accessdate=2008-11-22}}</ref>。[[1971年]]8月の[[変動相場制度]](ニクソン・ショック)への移行、[[1972年]]6月に[[田中角栄]]が発表した[[日本列島改造論]](列島改造景気)による国土の均衡成長を図ったことが、過剰流動性・開発の思惑などから土地の値段を上昇させたこと、ならびに[[1973年]]10月の[[第4次中東戦争]]を発端とした[[オイルショック]](第1次石油危機)により[[狂乱物価]]が勃発した。総需要抑制政策から[[1974年]]にはマイナスの実質経済成長率 (-1.2%) となり低成長の時代を迎えた<ref name="realGDPgrowth68SNAH2"/>。また、税収不足から[[1975年]]度から[[赤字国債]]が発行されるようになり、この年から恒常的な財政赤字が始まった。
 
 
 
[[ファイル:Van Gogh Vase with Fifteen Sunflowers.jpg|left|thumb|150px|1987年、[[損害保険ジャパン|安田火災(当時、現在の損保ジャパン)]]が購入した絵画、[[フィンセント・ファン・ゴッホ|ゴッホ]]の「[[ひまわり (絵画)|ひまわり]]」]]
 
[[1980年代]]には[[自動車]]・[[家電]]の[[ハイテク産業]]を中心として欧米への輸出を伸ばし、特にアメリカとの間に[[日米貿易摩擦]]が激化したが、[[1985年]]の[[プラザ合意]]より一転、[[円高不況]]となった。円高不況克服のために、低金利政策を採用したことにより過剰流動性が発生し、[[信用創造]]が膨らんで不動産、株価が上昇して[[バブル景気]]となり、世界第2位の経済大国となった。また、[[中曽根康弘]]内閣は[[日本電信電話公社]]、[[日本専売公社]]、[[国鉄]]の[[三公社]]の[[民営化]]を行い、次いで[[竹下登]]内閣は[[1989年]]4月より[[消費税]]を新設した。
 
 
 
[[バブル崩壊]]以降の[[1990年代]]中盤には、国内の政治体制の混乱も相まって、多くの企業は[[冷戦]]終了後のグローバル経済体制の流れに乗れず、旧来の経営に固執していた。特に金融機関は[[BIS規制]]、[[金融ビッグバン]]対策、新たに導入される時価会計制度から[[不良債権]]の処理が急務となり、融資の引上げが相次いだ。このため中小零細企業だけでなく大企業の[[倒産]]も相次ぎ、経済停滞が長引いた。民間企業は過剰な設備・雇用・負債を抱え込み<ref name="kanamorietal_kigyo">金森・香西・加藤編 (2007) pp.187-190</ref>、経済は停滞(実質経済成長率は1990年 - 2000年の10年間で平均1.5%)<ref name="kanamorietal_growth"/>し、[[1997年]]には[[日産生命]]、[[山一證券]]、[[北海道拓殖銀行]]、翌[[1998年]]には[[日本長期信用銀行]]、[[日本債券信用銀行]]といった金融機関の破綻が相次ぎ、大手金融機関同士の合併・統合が進んだ。この年代は「[[失われた10年]]」と呼ばれるようになった。1990年代後半には[[デフレーション]]が発生し、その克服が重要な経済課題となった。
 
 
 
[[2000年代]]に入り、[[公的資金]]を注入したことによって金融機関の不良債権処理が進み、民間企業の過剰な設備・雇用・負債が解消された。中国の経済発展により貿易相手国の第一位は[[アメリカ合衆国|アメリカ]]から[[中華人民共和国|中国]]に代わった。中国をはじめとする[[BRICs]]諸国や、[[東南アジア諸国連合|ASEAN]]諸国の経済発展に伴って伸びた外需に牽引されて、日本はデフレ脱却、景気の回復を果たし、大企業の業績は大幅に伸びた。しかし労働者にはこの好景気の分配はなく、労働者の給与は減少傾向をたどった<ref>{{cite web |url=http://president.jp.reuters.com/article/2009/02/17/FA37B47C-F973-11DD-B058-BFB63E99CD51.php |title=1997年から続く「給料デフレ」 - 日本人の貧富拡大|accessdate=2009-03-21}}</ref>。旧来の労使関係は見直され、[[終身雇用]]制度は崩壊し、[[契約社員]]や[[派遣社員]]が増えて労働市場の流動化が進んだ。労働環境の悪化と雇用不安のため[[出生率]]は落ち込み、[[少子化]]と[[高齢化社会|高齢化]]により2005年から日本は人口減少を始めた。国内需要を見限った企業は海外市場に活路を求め、製造業は外需偏重となり、海外市場の動向に日本の景気が顕著に左右されるようになった。[[2007年]]夏頃よりアメリカ合衆国の[[サブプライムローン]]に端を発した[[世界金融危機 (2007年-)|世界金融危機]]により、戦後最長といわれた「[[第14循環|いざなみ景気]]」(第14循環)は終焉を迎えた<ref>{{cite web |url=http://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/di_ken.html |title=景気動向指数研究会|accessdate=2009-01-30}}内閣府経済動向指数研究会は2009年1月29日に、第14循環の景気の山を暫定的に2007年10月と決定した。</ref>。日本経済は再び不景気の時代に突入し、またそれまでのいざなみ景気も好景気の実感が乏しいものだったため、いざなみ景気の期間も含めたバブル崩壊以降の20年間を「[[失われた20年]]」とする見方も出始めた。さらに、外需依存という日本経済の体質的な問題、産業の海外移転、少子高齢化などから内需縮小の傾向は今後も変わらず、[[新興工業経済地域|中進国]]レベルに賃金が下落するまで衰退を続けるといった悲観論も続出している。ちなみに、[[2016年]]現在日本の一人あたりGDPは為替レートでの順位にして24位であり([[国際通貨基金]]調べ)<ref>[http://www.imf.org/external/pubs/ft/weo/2016/01/weodata/weorept.aspx?pr.x=32&pr.y=8&sy=2015&ey=2015&scsm=1&ssd=1&sort=country&ds=.&br=1&c=512%2C668%2C914%2C672%2C612%2C946%2C614%2C137%2C311%2C962%2C213%2C674%2C911%2C676%2C193%2C548%2C122%2C556%2C912%2C678%2C313%2C181%2C419%2C867%2C513%2C682%2C316%2C684%2C913%2C273%2C124%2C868%2C339%2C921%2C638%2C948%2C514%2C943%2C218%2C686%2C963%2C688%2C616%2C518%2C223%2C728%2C516%2C558%2C918%2C138%2C748%2C196%2C618%2C278%2C624%2C692%2C522%2C694%2C622%2C142%2C156%2C449%2C626%2C564%2C628%2C565%2C228%2C283%2C924%2C853%2C233%2C288%2C632%2C293%2C636%2C566%2C634%2C964%2C238%2C182%2C662%2C453%2C960%2C968%2C423%2C922%2C935%2C714%2C128%2C862%2C611%2C135%2C321%2C716%2C243%2C456%2C248%2C722%2C469%2C942%2C253%2C718%2C642%2C724%2C643%2C576%2C939%2C936%2C644%2C961%2C819%2C813%2C172%2C199%2C132%2C733%2C646%2C184%2C648%2C524%2C915%2C361%2C134%2C362%2C652%2C364%2C174%2C732%2C328%2C366%2C258%2C734%2C656%2C144%2C654%2C146%2C336%2C463%2C263%2C528%2C268%2C923%2C532%2C738%2C944%2C578%2C176%2C537%2C534%2C742%2C536%2C866%2C429%2C369%2C433%2C744%2C178%2C186%2C436%2C925%2C136%2C869%2C343%2C746%2C158%2C926%2C439%2C466%2C916%2C112%2C664%2C111%2C826%2C298%2C542%2C927%2C967%2C846%2C443%2C299%2C917%2C582%2C544%2C474%2C941%2C754%2C446%2C698%2C666&s=NGDPDPC&grp=0&a= 5. Report for Selected Countries and Subjects]IMF公式サイト</ref>、上位を独占する欧州やアメリカ合衆国と比較しても、「先進国」としてはかなりの凋落が見られ、激しい[[貧富の差]]がかねてからの社会問題として認識されている中東の[[イスラエル]]よりも数値上ではGDPは低い。
 
 
 
20世紀末には[[国内総生産]]額は世界第2位(市場為替レート (MER) 換算ベース)となり、[[経済大国]]と言われるまでになった日本経済だが、近年の経済的不調により「もはや日本は経済は一流と言えるような状況ではなくなってしまいました」<ref>2008年1月18日 [[衆議院]]本会議 [[大田弘子]][[国務大臣]] [http://www.webcitation.org/query?id=1256447536390927&url=asia.geocities.com/keizaikenkyusitu/ 日本経済研究室]</ref>という認識もある。また、2009年には日本のGNIは中国に抜かれ世界第3位に後退した<ref>[http://data.worldbank.org/indicator/NY.GNP.ATLS.CD] The World Bank(英語)</ref>、2010年には日本のGDPは中国に抜かれ世界第3位に後退した<ref name="CNN"/>。
 
 
 
=== 天然資源 ===
 
[[ファイル:Syowatanko012.jpg|240px|right|thumb|北海道・[[昭和炭鉱]]]]
 
日本は国土面積が小さいため[[地下資源]]の賦存量は総量で見れば少ない。しかし、狭い面積に多種多様な地下資源を産出し、資源の博物館とも呼ばれている。かつては[[金]]・[[銀]]・[[銅]]、[[石炭]]、[[硫黄]]を大量に産出しており、[[戦国時代 (日本)|戦国時代]]には戦国大名らが金銀の増産に励んだため、世界の金銀の流通量のかなりの割合を日本産が占めたこともあった。
 
 
 
現在は、石炭については埋蔵量は多いものの、良質の石炭が少ないこともあり、大規模な採炭は[[釧路コールマイン]]で行われているのみである。金・銀は[[菱刈鉱山]]などで非常に良質な鉱石が産出するが、採掘コストがかさむため採掘量は多くない。日本海沿岸では[[石油]]・[[天然ガス]]を産出する。しかし、産出量は少なく国内需要を満たすことはできない。東京周辺の地下には莫大な天然ガスが埋蔵されている([[南関東ガス田]])ものの、市街地化が進んでいる地域であることから環境規制が厳しく、[[房総半島]]でわずかに採掘されているのみである。ここでは[[ヨウ素]]が豊富に採掘され、生産量は世界第二位である。日本の領海・[[排他的経済水域]] (EEZ) に、金・銀・石油・[[メタンハイドレート]]等が大量に埋蔵されていることが確認されているが、コストや技術的な問題で採掘できていないものや、調査中のものがほとんどである(詳細は「[[日本の海底資源]]」を参照)。ただし、[[セメント]]原料の石灰石、[[ガラス]]や建築材料の原料となる[[石英|珪石]]は露天掘りができるため採掘コストが安く、盛んに採掘されている。
 
 
 
木材資源は、森林面積が広く降水量も多いため比較的豊富である。かつては木材生産が盛んであり、高度経済成長期までに[[天然林]]の多くが伐採され、その後植えられた[[人工林]]が森林面積の大半を占める。林産物の自由化が進むにつれて、工業化の進展や海外産木材とのコスト競争の結果[[比較優位|比較劣位]]となり、日本の林業は壊滅的な衰退を被った。放棄された人工林は荒廃し、保水力の低下など国土保全上の問題が懸念されている。近年は国産材需要が回復しつつあり、衰退した林業の再建が急がれている。
 
 
 
水産資源の面では、基本的に恵まれている。近海は豊かな漁場となっており世界有数の漁獲高だが、長年の[[乱獲]]と海洋環境の変化により漁獲量は減少傾向にある。日本近海では韓国・中国・台湾・ロシアなどの漁船が操業しており、日本の漁船との競合が起こっている。
 
 
 
水資源は、[[温暖湿潤気候]]のため降雨が多い上に、山林の保水力が高いため、良質な[[軟水]]が豊富に入手可能である。[[飲料水]]はもとより工業用水としての質も高い。
 
 
 
=== 産業 ===
 
国内市場が大きいため[[第三次産業]]が発達している。[[製造業]]も強く、[[加工貿易]]が盛ん。特に工業技術は世界最高水準であり、多くの分野において、他の先進諸国や[[開発途上国|発展途上国]]にとって規範となり、また脅威ともなっている。中でも自動車、エレクトロニクス、造船、鉄鋼、素材関連の産業は大戦後大きく成長し、世界的企業を多数擁する。
 
 
 
<!--日本は物真似だと外国から批判されたこともあるが、製品の品質追求が高じて、-->技術貿易での技術依存度<!--輸入-輸出/輸出入合計-->は、輸入超過から輸出超過へと長期傾向的に変化している<!--総務庁科学技術調査報告-->。[[産業用ロボット|工業用ロボット]]などの付加価値の高い、独自の技術をひねり出すケースも各所で見受けられる。例えば、日本は工業用ロボットについて世界のロボット生産量の7割を生産している。また世界で使われている工業用ロボットの6割は日本で活動している。日本の工業界は非常にロボット化され、効率がよい産業と言える。また、[[家庭用ロボット]]という概念も日本から発信されたものである。
 
 
 
=== 貿易等 ===
 
主な[[貿易]]相手国は[[アメリカ合衆国]]、[[東アジア]]、[[東南アジア]]、[[欧州連合]] (EU)、[[サウジアラビア]]などである。特に最近は[[中華人民共和国]]などのアジアとの貿易額が急増している。[[東日本大震災]]までは[[貿易収支]]は概ね黒字で、1990年以降をみても毎年10兆円近く黒字となっていた<!--2008年のデータを見て文章更新必要-->。しかし、[[東日本大震災]]以降は、四半期ベースでの貿易収支の赤字が続いている<ref>[http://www.mof.go.jp/international_policy/reference/balance_of_payments/bp_trend/bpnet/sbp/s-1/s-1-3.csv 国際収支状況Ⅰ.国際収支総括表s-1-3 四半期] 財務省</ref>。
 
 
 
主な[[輸出]]入品目は、資源が乏しく[[加工貿易]]が盛んなため、輸入は石油、[[鉄鉱石]]、[[半製品]]や[[食料品]]。
 
 
 
[[輸出]]は[[自動車]]、[[電気製品]]、[[電子機器]]、[[家庭用ロボット]]、[[工作機械]]や[[産業用ロボット]]など。
 
 
 
また、継続的な経常黒字により世界最大の債権国となっており、世界経済からの[[配当]]や[[利子]]の受け取りが次第に増大している。<!--例えば2006年は14兆円の黒字となっている。データ更新必要-->ただし、2013年10月から2014年1月まで4ヶ月連続で経常赤字となるなど最近は変化の兆しもみられる<ref>[http://www.mof.go.jp/international_policy/reference/balance_of_payments/preliminary/pg201401.htm 平成26年1月中 国際収支状況(速報)の概要] 財務省</ref>。
 
 
 
=== 金融 ===
 
日本の通貨である[[円 (通貨)|円]]は、[[アメリカ合衆国]]の[[ドル]]、[[欧州連合]]の[[ユーロ]]と共に[[通貨#国際通貨|国際通貨]]の一角を占めている。経済規模の大きさにもかかわらず円の国際化は進んでおらず、世界における[[準備通貨]]比率で円は第四位(3.2% 2006年)である。これは外貨準備の運用先となるべき日本国債が国内に偏在していることや長期にわたる低金利の状況と表裏一体の現象である。
 
 
 
日本の商慣行では[[間接金融]]による資金調達を広く用いており、[[銀行]]の活動が経済に与える影響は大きい。また、銀行は融資の際に不動産(土地・建物)を担保に取ることが多いため、[[地価]]変動が経済に与える影響も大きい。
 
 
 
だが、[[バブル景気]]崩壊後は[[直接金融]]への転換が進められ、担保も多様化してきている。一方で金融機関の審査能力については、特に地方銀行で十分でないとの指摘もある<ref>[[国土交通省]][http://www.mlit.go.jp/singikai/kokudosin/keikaku/jiritsu/5/jiritsu_gaiyou.html 第5回自立地域社会専門委員会議事概要]</ref>。
 
 
 
近年、株式取引(特に[[個人投資家]]による取引と投資)、直接金融が活発化しているが、規制撤廃・金融開放の進んだアメリカや[[イギリス]]に比べると、未だ金融資産に占める株式等のリスク商品の比率は低い。その一因としてバブル崩壊後の株式投資が確実には収益を上げにくい投資であったこと、デフレにより低い名目金利でも実質金利は高かったこと、[[失業]]の危険や[[所得]]の伸びの鈍化から流動性の高い現預金の需要が高まったこと、財形貯蓄などの強力な現預金貯蓄システムの存在、政府年金による強制貯蓄や国民の貯蓄型保険への嗜好、株式投資を博打と同一視する風潮などが考えられている。
 
 
 
== 各産業の概況 ==
 
製造業(貿易財)の強さが目立つ。サービス(非貿易財)は[[労働生産性]]の低さが課題と言われるが、サービスの生産性は必ずしも低くないという意見もある<ref>『日本は硬直的かもしれない しかし非効率ではない』2008年4月30日付配信 ファイナンシャルタイム</ref>。
 
 
 
=== 第1次産業 ===
 
==== 農業 ====
 
[[農業]]は戦後直後までは最も盛んな[[産業]]であった。[[1950年]]の国勢調査では第一次産業の就業者が全就業者の約5割を占めていた。[[高度経済成長]]期を通じて農業に従事する者は減少の一途をたどり、現在では全就業者の5%程度に過ぎない<ref>総務省統計局HP 労働力調査 長期時系列データ 職業別就業者数[http://www.stat.go.jp/data/roudou/longtime/03roudou.htm]</ref>。2007年2月現在、1,813千戸の販売農家がいるが、主業農家は387千戸 (21.2%) にすぎず<ref name=yano_agri0.5>財団法人矢野恒太記念会 (2008) p.134 表13-6および脚注。農家の分類は、以下の通り(脚注より)「主業農家は農業所得が主(農家所得の50%以上が農業所得)で、準主業農家は農外所得が主のもので、いずれも65歳未満の農業従事60日以上の者がいる農家。副業的農家は65歳未満の農業従事60日以上の者がいない農家を言う。」</ref>、高度成長期以降、後継者不足が問題となり、現在農業は高齢者が主な担い手となっている<ref name=yano_agri1>財団法人矢野恒太記念会 (2008) p.136 表13-8 大本は農業構造動態調査。農業労働力(15歳以上)の高齢化(販売農家)によると1990年の調査では19.5%だった65歳以上の割合が、2006年には32.4%まで上昇している。</ref>。
 
 
 
平野部が少ないことや主業農家率が低いことなどの理由から、販売農家における農家1戸当たりの経営耕地面積は北海道18.78ヘクタール・都府県1.32ヘクタール・全国1.79ヘクタール(2006年)と狭小である<ref name=yano_agri2>財団法人矢野恒太記念会 (2008) pp.132-133 大本は農業構造動態調査、欧米諸国はEU16ヘクタール、アメリカ合衆国178ヘクタール、オーストラリア3,385ヘクタールとのこと(農林水産省『2007年版食料・農業・農林白書』</ref>。
 
 
 
[[江戸時代]]以前からの飢饉、[[大正|大正時代]]の[[米騒動]]など[[米]]の不足が社会不安に直結することから、第二次世界大戦中に[[食糧管理制度]]が採用され、1994年に[[食糧管理制度|新食糧法]]が制定されるまで、米価・生産は国家の管理下にあった。国策として米の生産に力が入れられてきた。自給率も米だけはほぼ100%である<ref name=yano_agri3/>。
 
 
 
戦後の生産技術向上や食生活の多様化により米が余るようになり、高度成長期以降は[[減反政策]]に転じている。また、農産物輸入自由化の流れを受け、1980年代後半には、[[ウルグアイ・ラウンド]]の流れを受け、[[牛肉]]・[[オレンジ]]の輸入が自由化、次いで1990年代から米も輸入されるようになった。
 
 
 
狭小の土地で付加価値を上げるために都市近郊では野菜や花卉(かき)、鶏卵といった近郊農業が行われている。農業分野においても、ブランド化により高付加価値の商品へ転化させる動きが見られる。このブランド化の努力の結果、日本の食料品は世界的なブランドとして輸出されるまでになった。
 
 
 
最近では農業への[[株式会社]]参入も認める議論が進んでおり、将来的には労働集約から資本集約型農業への脱皮が見込まれている。すでに建設業や食品加工業が農業に乗り出しており、一部ではプラント化も進んでいる。
 
 
 
近年は産業界からの強い圧力で、[[自由貿易協定]]を外国と結ぶ動きが盛んだが、[[関税]]が撤廃され安い農作物が輸入されるようになるとして[[日本の農業|農業界]]には反発が起きている。ちなみに日本のカロリーベースでの[[食料自給率]]は45%(2007年ベースでは39%)であり、長期的に低下する傾向にある。[[地産地消]]や安全保障を重視する立場の人は農業界の擁護に回っている。事態打開のために[[日本政府]]は、農業界に助成金投入や[[株式会社]]参入という形で競争力を得ようと考えている。一方、産地直送で消費者と生産者の直接的なつながりも模索されている。
 
 
 
===== 主要農作物 =====
 
[[ファイル:Minamiuonuma Paddy.jpg|200px|right|thumb|新潟県南魚沼の水田]]
 
{{see also|米|小麦|大豆|トウモロコシ}}
 
米の2007年の生産量は8,714千トン<ref name=yano_agri3>財団法人矢野恒太記念会 (2008) p.146 表14-1 わが国の農作物収穫量</ref>であり、[[新潟県]]、[[北海道]]、[[秋田県]]、[[福島県]]、[[山形県]]、[[宮城県]]と続く。北海道・[[東北地方]]の生産量の合計は3,034千トンとなり、日本における生産量の34.8%を占める<ref name=yano_agri4>財団法人矢野恒太記念会 (2008) p.148 表14-3 米の収穫量(水陸稲合計)(2007年産)</ref>。
 
 
 
長年にわたる[[品種改良]]により[[コシヒカリ]]、[[あきたこまち]]、[[ササニシキ]]、[[きらら397]]、[[はえぬき]]、[[ひとめぼれ]]といった品種が開発され、<!--熱帯地域の起源の(温帯ジャポニカは温帯起源なので誤り)-->食味のよいブランド米の多くは本州の内陸部や北海道などの寒冷地で生産される。
 
 
 
麦の2007年の生産量は、[[小麦]]、[[二条大麦]]、[[六条大麦]]、[[ハダカムギ|はだか麦]]の4麦合計で1,105千トンである<ref name=yano_agri3/>。小麦の生産は北海道が全体の63.9%の582千トンを生産し、以下、[[福岡県]]、[[佐賀県]]と続く。また、大麦の生産は佐賀県、[[栃木県]]、福岡県と続く<ref name=yano_agri5>財団法人矢野恒太記念会 (2008) p.151 表14-11 麦類の主産県の収穫量(2007年産)</ref>。食生活の洋風化に伴い小麦の需要量は国内の生産量を大幅に超過しており、小麦の自給率は13%程度<ref name=yano_agri6>財団法人矢野恒太記念会 (2008) p.139 表13-13 食料の自給率の推移</ref>に過ぎず、多くをアメリカ・カナダ・オーストラリアからの輸入に依存している<ref name=yano_agri7>財団法人矢野恒太記念会 (2008) p.152 表14-13 わが国の小麦輸入先</ref>。
 
 
 
大豆は古くから、[[味噌]]、[[豆腐]]、[[納豆]]、[[醤油]]といった加工食品や[[大豆油]]の原料として使用されているが、国内の生産量は229.4千トン<ref name=yano_agri3/>にすぎず、国内の自給率は5%<ref name=yano_agri6/>にすぎない。トウモロコシは主に飼料用として利用されるが、飼料用トウモロコシのほぼ100%を海外からの輸入に依存している。
 
 
 
[[野菜]]は鮮度が重要なこともあり、79%<ref name=yano_agri6/>の比較的高水準にある。都市近郊の[[愛知県]]や[[茨城県]]、[[千葉県]]、[[群馬県]]などでは近郊農業がおこなわれているほか、[[レタス]]、[[キャベツ]]、[[白菜]]などは[[長野県]]などで高原野菜として夏に収穫され、[[宮崎県]]や[[高知県]]など温暖な地方は、[[ビニールハウス]]を利用し冬に[[ピーマン]]や[[きゅうり]]を生産している<ref name=yano_agri9_161-162>財団法人矢野恒太記念会 (2008) pp.161-162 表14-32 野菜の主産地の生産量(2006年産)</ref>。
 
 
 
[[果実]]の自給率は1960年の100%から2006年の39%にまで大きく低下しているが<ref name=yano_agri3/>、[[ウンシュウミカン|みかん]]の生産量が減少していることと連動している<ref name=yano_agri9_158>財団法人矢野恒太記念会 (2008) p.158</ref> 。果実は土地の気候、土壌などが左右されることもあり、各地域により生産されるものが大きく異なる。みかんの2006年の生産量は841.9千トンであり[[和歌山県]]、[[愛媛県]]、[[静岡県]]、[[九州地方]]といった温暖な地方で生産されている<ref name=yano_agri10>財団法人矢野恒太記念会 (2008) pp.159-160 表14-30 果物の生産量(2006年産)</ref>。[[リンゴ]]の2006年の生産量は831.8千トンであり、寒冷な土地での栽培が向いていることもあり、[[青森県]]や長野県で全体の4分の3を占める生産量を誇る<ref name=yano_agri10/>。
 
 
 
===== 畜産業 =====
 
{{see also|BSE問題|鳥インフルエンザ|2007年-2008年の世界食料価格危機|牛乳}}
 
[[ファイル:Cow_female_black_white.jpg|180px|left|thumb|乳牛の代表品種、[[ホルスタイン]]]]
 
[[畜産業]]では、飼料となる穀物の価格が[[2007年-2008年の世界食料価格危機|2007年頃から上昇]]している一方、製品の単価を上げにくいことがあり、畜産農家の経営を圧迫している。乳用牛の飼養頭数合計は1998年の186万頭から2013年の132万8,000頭にまで減少し、飼養戸数は1998年の37,400戸から2018年の15,700戸にまで減少している。また、肉用牛の飼養頭数合計は1998年の284万8000頭から2018年の251万4000頭とほぼ横ばいで推移しているものの、飼養戸数は1998年の133,400戸から48,300戸にまで減少している。豚の飼養頭数合計は1998年の990万4000頭から2018年の918万9000頭に若干減少し、飼養戸数は13,400戸から4,470戸にまで減少している。採卵鶏の飼養羽数は1998年の1億8266万4000羽から2018年の1億8195万千羽と横ばいに対し、飼養戸数は1998年の5,390戸から2018年の2,200戸にまで減少している<ref name=maff1>{{cite web |url=http://www.maff.go.jp/toukei/sokuhou/data/shiyou-doukou2007/shiyou-doukou2007.pdf |title=農林水産省 畜産統計(平成19年2月1日現在)〈平成19年7月20日公表〉p.47 大本は農林水産省統計部『畜産統計』による
 
|accessdate=2008-10-11}}</ref>。飼養頭数(羽数)がほぼ横這いである一方、飼養戸数が減少していることから畜産農家は1戸当たりの生産量を増やし、コストダウンを図ることにより生き残りをかけている<ref>{{Cite web|url=http://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/tikusan/attach/pdf/index-5.pdf|title=畜産統計(平成 30 年2月1日現在)
 
乳用牛、肉用牛、豚、採卵鶏及びブロイラーの
 
1戸当たり飼養頭羽数は前年に比べ増加|accessdate=2018年7月19日|publisher=}}</ref><ref name=yano_agri14>財団法人矢野恒太記念会 (2008) p.172</ref>。
 
 
 
[[牛肉]]は北海道、[[鹿児島県]]、宮崎県などで生産されているが<ref name=yano_agri11>財団法人矢野恒太記念会 (2008) p.169 表15-2 家畜の府県別頭数(2007年2月1日現在)</ref>、国内の自給率は1990年代の輸入自由化により食肉生産量は2000年の約1,000千トンをピークに減少している<ref name=yano_agri13>財団法人矢野恒太記念会 (2008) p.170 図15 - 1 わが国の肉類供給量</ref>。また、[[BSE問題]]が発覚したことがあり、アメリカからの牛肉輸入量は輸入禁止前の220千トン(2002年)から再開後の34千トンにまで減少している<ref name=yano_agri14/>。乳用牛のほぼ半分が北海道で飼養されている<ref name=yano_agri11/>。生乳生産高は2000年の849万7000トン<ref name=yano_agri12>財団法人矢野恒太記念会編 (2008) p.171 表15-6 わが国の生乳生産高</ref>から2017年の729万810トン<ref>{{Cite web|url=https://www.nikkei.com/article/DGXMZO29834290V20C18A4QM8000/|title=生乳生産量、17年度は0.7%減 北海道除き減少|accessdate=2018年7月19日|publisher=}}</ref><ref name=maff2>{{cite web |url=http://www.maff.go.jp/toukei/sokuhou/data/gyunyu-kiso2007/gyunyu-kiso2007.pdf |title=農林水産省 平成19年牛乳乳製品統計調査(基礎調査)結果の概要 p.2
 
|accessdate=2008-10-11}}</ref>にまで減少し、牛乳・乳製品の自給率は66%である<ref name=yano_agri3/>。
 
 
 
[[豚肉]]は鹿児島県、宮崎県といった[[シラス台地]]、茨城県、群馬県、千葉県といった大消費地の近郊などで生産され<ref name=yano_agri11/>、国内の自給率は52%である<ref name=yano_agri3/>。
 
 
 
[[鶏卵]]は製品の性質上割れやすいということもあり、自給率は95%<ref name=yano_agri3/>と高く、千葉県や茨城県、愛知県といった近郊で採卵鶏は飼養されている<ref name=yano_agri11/>。肉用若鶏は鹿児島県や宮崎県、次いで[[岩手県]]で主に生産されているが<ref name=yano_agri11/>、国内の自給率は69%<ref name=yano_agri3/>であり、不足分は輸入している。
 
 
 
==== 林業 ====
 
日本は森林の生育に適した湿潤な気候であり、同時に人間の居住に適さない山地が多いため、山地や丘陵地帯はほぼ森林となっている。そのため国内の面積に占める森林の割合は約3分の2の2510万ヘクタール(25.1万平方キロメートル)と極めて高い<ref name=yano_forest>財団法人矢野恒太記念会 (2008) p.29 表2 - 2 国土利用の変化(2005年)</ref>。林業は主力産業の1つであったが、[[第二次世界大戦]]後の[[エネルギー革命]]で薪炭利用が激減した。戦後復興により需要が拡大した[[住宅]]用[[建材]]向けの生産が活発になるが、1970年以降の[[外材]]の輸入自由化により競争力を喪失して2000年代までの長期に渡り低迷していた。[[2000年]]頃には、木を植えてから伐採するまでの[[利回り]]計算がマイナスとなり、[[林道]]沿いなどの条件がよい場所や[[秋田杉]]などのブランド産地の木材でない限り採算が取れることはなくなり、[[村落|山村]]や山林は荒廃しつつある。
 
 
 
しかし[[2002年]]から[[2010年]]にかけロシアの森林伐採規制が強化され、ロシアからの木材輸入が激減。[[中国]]の木材消費量増加に伴う需給の逼迫に、重油価格高騰による輸送コストの増大が重なり、日本の木材輸入は急速に減少しつつある。輸入材高騰により相対的に競争力を強めた国産材の需要が増加し、日本の林業は復権しはじめた。[[2011年]]現在、国産材は国内需要に対する供給不足の状態にあり、将来的には中国・台湾への木材輸出も有望視されている。[[京都議定書]](森林の循環利用は[[二酸化炭素]]削減要素の1つ)に代表される[[地球温暖化]]問題からも、木材供給力の強化は喫緊の課題となりつつある。
 
 
 
==== 水産業 ====
 
[[ファイル:Japan's ocean currents.PNG|thumb|200px|right|'''日本列島近海の海流'''<br />1.[[黒潮]] 2.黒潮続流 3.黒潮反流 4.[[対馬海流]] 5.津軽暖流 6.宗谷暖流 7.[[親潮]] 8.[[リマン海流]]]]
 
[[File:Value of Catches by Sector of Fisheries in Japan.png|left|thumb|250px|日本の漁業部門別生産額の推移(1956年 - 2006年)<ref name=maff_fish3>{{cite web |url=http://www.stat.go.jp/data/chouki/zuhyou/07-43.xls |title=日本の長期統計系列 第7章 農林水産業 7-43 漁業部門別生産量および生産額(昭和31年〜平成16年)|accessdate=2008-10-11}}</ref><ref>{{cite web |url=http://www.maff.go.jp/j/tokei/sihyo/data/17.html |title=農林水産省 漁業生産額
 
|accessdate=2009-03-21}}</ref>]]
 
[[ファイル:Quantitiy of Catches by Sector of Fisheries in Japan.png|left|thumb|250px|日本の漁業部門別生産量の推移(1956年 - 2007年)<ref name=maff_fish3/><ref>{{cite web |url=http://www.maff.go.jp/toukei/sokuhou/data/gyogyou-yousyoku2007/gyogyou-yousyoku2007.pdf |title=農林水産省 平成19年漁業・養殖業生産統計|accessdate=2009-03-21}}</ref>]]
 
{{see also|排他的経済水域|漁獲可能量|日本の捕鯨|ウナギ#輸入ウナギの安全性問題}}
 
日本近海は[[暖流]]と[[寒流]]が交わり、魚の餌となる[[プランクトン]]が発生しやすい潮目が[[三陸海岸]]沖にあり、漁業資源に恵まれており、昔から漁業が盛んであった。しかし仕事の厳しさや、1970年代に各国が[[排他的経済水域]]を導入したことにより[[漁獲可能量]]が制限されたこと、オイルショックによる燃料代の高騰などにより、漁業経営は困難となり、海面漁業就業者が1953年の790千人から、2007年の204千人と減少の一途をたどった<ref name=maff_fish1>{{cite web |url=http://www.stat.go.jp/data/chouki/zuhyou/07-39.xls |title=日本の長期統計系列 第7章 農林水産業 7-39 海面漁業の世帯数、世帯員数および就業者数(昭和28年〜平成15年)|accessdate=2008-10-11}} 大本は〔資料〕 農林水産省大臣官房統計部経営・構造統計課「漁業動態統計年報」「漁業センサス」「漁業就業動向統計年報」</ref><ref name=maff_fish2>{{cite web |url=http://www.maff.go.jp/toukei/sokuhou/data/shiyou-doukou2007/shiyou-doukou2007.pdf |title=農林水産省 平成19年漁業就業動向調査結果の概要(平成19年11月1日現在)(平成20年3月31日公表)|accessdate=2008-10-11}}</ref>。結果として、漁獲生産量は1984年の12,816千トン<ref name=maff_fish3/>をピークに2006年には5,652千トンと半減以下となった<ref name=yano_fish1>財団法人矢野恒太記念会 (2008) p.179 表17-1 漁業種類別生産量と生産額</ref>。漁業種類別では漁業生産量の大半を占める[[沖合漁業]]が1984年の6,956千トンをピーク<ref name=maff_fish3/>に2006年には2,500千トンにまで減少し<ref name=yano_fish1/>、[[遠洋漁業]]が1973年の3,988千トン<ref name=maff_fish3/>をピークに2006年には518千トン<ref name=yano_fish1/>にまで減少、世界における漁獲量も1980年は10,048千トンで世界1位であったが2005年には4,179千トンで世界6位に後退している<ref name=yano_fish3_184>財団法人矢野恒太記念会 (2008) p.184 表17-11 世界の漁獲量 大本のデータはFAO Fishstat "Capture prodution 1950-2005"</ref>。こうした傾向を補うものとして[[養殖]]技術の開発が盛んであり、技術上不可能とされた[[ウナギ]]や[[マグロ]]を卵から育てることに成功するなど、世界的にも注目されている。養殖業は1983年に初めて1,000千トン以上の生産量を超えたが、その後は1994年の1,344千トンをピークにおおむね横ばいの状態が続いている<ref name=maff_fish3/>。2006年において100千トン以上、養殖されているものとして、[[海苔]]、[[ホタテ]]、[[カキ (貝)|カキ]]、[[ブリ|ブリ類]]がある<ref name=yano_fish4>財団法人矢野恒太記念会 (2008) p.181 表17-4 わが国の養殖業の魚種別収穫量</ref>。
 
 
 
1960年代から1970年代前半にかけて、日本人の貴重なタンパク源獲得の手段として[[捕鯨|遠洋捕鯨]]が大規模に行われ、1960年代から1970年代前半には年間平均20千頭以上の生産量をあげていた<ref name=maff_fish3/>が、オイルショックにより燃料代が高騰したことにより生産量は1987年には2790頭と激減した。また、1988年から日本も加盟している[[国際捕鯨委員会]]にて商業捕鯨の禁止が決議されたため、現在では沿岸小型捕鯨([[イルカ]]漁)と調査捕鯨以外は行っておらず、1988年から2004年までの17年間の生産量合計は2,694頭にすぎない<ref name=maff_fish3/>。
 
 
 
水産業の衰退により、1984年に100%だった魚介類の自給率は2006年には51.6%にまで減少しており<ref name=yano_fish2>財団法人矢野恒太記念会 pp.179-180</ref>、不足分を海外から輸入しているが、中国などの新興国が経済成長するに伴い消費が拡大し、魚介類の価格が上昇していることから「買い負け」が発生している<ref name=yano_fish3_182>財団法人矢野恒太記念会 (2008) p.182</ref>。日本が主に輸入している水産物は、2006年の魚介類(生鮮・冷凍)では[[エビ]]、[[マグロ]]、[[サケ]]・[[マス]]が上位に、魚介類(調製品)では[[ウナギ]]、[[カニ]]、エビと続く<ref name=yano_fish5>財団法人矢野恒太記念会 p.182 表17 - 6 わが国の主要水産物輸入高(2006年,2007年)</ref>。
 
 
 
=== 第2次産業 ===
 
[[ファイル:Pacific ocean belt map.png|250px|left|thumb|[[太平洋ベルト]]]]
 
{{see also|京浜工業地帯|中京工業地帯|阪神工業地帯|北九州工業地帯|京葉工業地域|鹿島臨海工業地帯|関東内陸工業地域|東海工業地域|瀬戸内工業地域}}
 
[[製造業]]は、教育や商社と並んで{{要出典範囲|世界でも1、2を争う|title=誰が1、2と言っている。いずれ削除。|date=2011年4月}}日本の根幹をなす産業部門であると言われている。諸外国と比較して、政府の関与が比較的少ないことが特徴である。石油や石炭、鉄鉱石などの原料を海外からの輸入に依存し、加工した製品を海外へ輸出するという加工貿易を行うため、太平洋ベルトを中心に海岸部に石油化学、鉄鋼の[[コンビナート]]が集中する。
 
 
 
戦前は[[阪神工業地帯]]が「東洋のマンチェスター」と呼ばれ繊維産業を牽引し、戦後になると[[京浜工業地帯]]が長らく工業製品出荷額の首位の座にあったが、1990年代以降、[[中京工業地帯]]の自動車産業が海外への自動車輸出を通して拡大し、中京工業地帯が2007年現在、工業製品出荷額の首位である<ref name="yano_industry1">財団法人矢野恒太記念会 (2008) p.192 工業製品出荷額に見る工業地帯の変化(大本は経済産業省「工業統計表 産業編」</ref>。かつて、4大工業地帯と言われた北九州工業地帯は1901年の[[八幡製鐵所|八幡製鉄所]]操業開始以降、近隣の[[筑豊炭田]]、福岡県・[[山口県]]の[[石灰石]]、[[満州]]の鉄鉱石を原料に栄えていたが、敗戦により、中国大陸からの原料供給が断たれると、大消費地である東京や京阪神からの距離が遠いこともあり衰退した。
 
 
 
一時期は、輸出部門であるがゆえに低賃金の傾向があり、若年労働者の確保に困難をきたした。また、最近では生産拠点の海外進出により、国内の雇用は減少し空洞化の懸念がある。
 
 
 
==== 鉱業 ====
 
{{See also|日本の鉱業}}
 
元々日本は[[火山]]活動が活発な地域であり、埋蔵されている[[鉱物]]資源の種類は豊富である。このため[[第二次世界大戦]]以前は[[鉱業]]は活発であった。しかし、戦後、[[鉱害]]などへの[[環境]]対策、[[労働者]]の安全対策に多額の生産コストを要するようになり衰退した。現在では、コストの安い露天掘りによる[[石英]]、石灰石、品位が高く国際競争力がある[[金]]、[[銀]]などが産出される程度である。エネルギー資源としては若干の[[天然ガス]]、ごく少量の[[石油]]・[[石炭]]の採集が行なわれている。
 
 
 
==== 建設業 ====
 
[[建設業]]は、戦後復興の中で建設ブームや各種プラントの建設、大規模[[インフラストラクチャー|インフラ]]の整備などをうけて成長。資本蓄積に大きな役割を果たした。[[財政政策]]、地方への所得移転として[[公共事業]]が盛んに行なわれたため、1970年代以降は次第に官業色を強めた。バブル景気において、民間投資の興隆と保有不動産の含み益から規模拡大したが、1990年代においては再び[[公共事業]]への依存を強めると共に保有不動産の含み損に苦しみ、不動産・小売とともに構造不況と呼ばれた。この時点において、建設業が経済に占める割合は諸外国と比較して高く、過剰供給体制であった。2000年代に入ってから継続的な公共事業削減が続いたため業容は縮小し、民間建設が盛んな大都市、特に[[東京]]への一極集中が進んでいる。一方で民間建設が少ない地方では建設業者の倒産や農業・林業など他の事業への参入が進んでいる。
 
 
 
==== 食品 ====
 
穀物価格高騰や少子高齢化による国内市場の縮小の懸念から、2007年には[[日清食品]]が[[明星食品]]を買収し、2009年には[[明治製菓]]と[[明治乳業]]が統合するなど再編が進んでいる。また世界的なM&Aも加速しており2007年には[[キリンホールディングス]]がオーストラリアのナショナルフーズを、2009年には[[アサヒビール]]がオーストラリアの[[シュウェップス・オーストラリア]]を買収している。
 
 
 
==== 製紙・パルプ ====
 
{{see also|紙|パルプ}}
 
製紙産業は典型的な装置産業であり、戦後の業界再編の結果、[[王子製紙]]、[[日本製紙]]を軸に[[大王製紙]]、[[レンゴー]]、[[三菱製紙]]の5社体制となっている<ref name="MTI_paper">三菱総合研究所産業・市場戦略研究本部編 (2007) pp.166-167</ref>。
 
 
 
製紙産業は安い海外製品の流通増加や原油高騰の影響で再編の動きが強まっており、[[2006年]]の[[王子製紙]]による[[北越製紙]]買収の動き(ただし失敗)、大手製紙メーカーの提携などの動きが起きている。
 
 
 
==== 化学 ====
 
===== 石油化学 =====
 
製品の原料である原油のほとんどを海外からの輸入に依存しているため、コンビナートは沿岸部(鹿島臨海工業地帯・京葉工業地域・京浜工業地帯・中京工業地帯・阪神工業地帯・瀬戸内工業地域)に集中する。また、海外からの原油依存のため、汎用製品の国際競争力で劣る<ref name="yano_chemical">財団法人矢野恒太記念会 (2008) p.246</ref><ref name="MTI_chemical">三菱総合研究所産業・市場戦略研究本部編 (2007) pp.139-148</ref>。
 
 
 
[[二酸化炭素]]の削減の流れなどの影響で[[1999年]]をピークに石油需要が減少している。一方石油業界では国内需要の2割以上の石油精製能力を持っており過剰な設備が問題となっており、大手メーカーを中心に製油所の生産能力縮小・閉鎖が進められている。<ref>[http://www.toyokeizai.net/business/industrial/detail/AC/ad950fd4027875507877ee60b1bb9500/page/3/ 震災で見直しを迫られる製油所の過剰設備削減(3)] - 週刊東洋経済(2011年4月2日)、2011年9月16日閲覧</ref>また[[2010年]]に[[経済産業省]]が石油メーカーに付加価値の高い製品を精製する重質油分解装置の装備率を改善を義務付ける新基準を導入し、メーカーでは設備の削減か設備投資が求められている。この基準策定でアジア・欧米(約19%)と比べて低い日本 (10.2%) の重質分解装置の装備率を13%に引き上げることで、安価な重質をより多く精製し国内の製油所の競争力向上を狙っている。<ref>[http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=a4E3JbTwpkZw 新基準で「設備投資か削減か」迫られるエクソンやコスモ石油] - ブルームバーグ(2010年7月6日)、2011年9月16日閲覧</ref>
 
 
 
[[ガソリンスタンド]] (GS) は自動車の普及に伴う[[ガソリン]]需要の増加によって増加が続いてきた。しかし、GS事業への新規参入やセルフ式GSの設置が国の規制緩和によって行われたことで価格競争が激化しGSの数は1994年末の6万421店をピークに2017年度末には3万1,476店に激減している<ref>{{Cite web|url=http://www.meti.go.jp/press/2017/07/20170704007/20170704007.html|title=平成28年度末揮発油販売業者数及び給油所数を取りまとめました|accessdate=2018年7月19日|publisher=}}</ref>。<ref>[http://www.asahi.com/business/topics/keizainavi/TKY201103180150.html 石油(3)減少続くGS-経済ナビゲーター] - 朝日新聞(2011年3月19日)、2011年9月16日閲覧</ref>また、[[エコカー]]の普及や車離れなどの影響でガソリン需要も頭打ちになっており競争激化に拍車をかけている。GSの減少により過疎地域の自治体ではGSが消滅、極端に少なくなった[[SS過疎地]]が生まれた。
 
 
 
===== 製薬 =====
 
[[武田薬品工業]]が国内1位の売上高、次いで[[アステラス製薬]]、[[第一三共]]、[[エーザイ]]と続く。「100億ドルクラブ」に入った国内首位の武田薬品工業でも2007年では世界17位<ref>{{cite web |url=http://www.yakuji.co.jp/entry7005.html |title=【世界の製薬企業ランキング】減収もファイザーがトップ守る - 武田薬品が「100億ドルクラブ」に|accessdate=2008-08-17}}</ref>であり、世界首位の[[ファイザー]]と大差をつけられている。
 
 
 
新薬が不足する一方、研究開発費が増大していることから世界的な業界再編が進行中である。[[中外製薬]]が[[スイス]]の[[ロシュ]]の傘下に入り、また武田薬品工業やエーザイは海外のバイオベンチャーを買収する一方、国内では[[山之内製薬]]と[[藤沢薬品工業]]が合併しアステラス製薬が、[[第一製薬]]と[[三共]]が合併し第一三共が設立された。他にも[[協和発酵キリン|協和醗酵工業]]が[[キリンホールディングス]]傘下に入り、田辺製薬と[[三菱ウェルファーマ]]が合併し[[田辺三菱製薬]]が設立された。
 
 
 
国内の製薬・医療機器メーカーは国保制度に保護されている側面があり、後発薬・大衆薬・医療器具や検査装置などを供給する中小メーカー・卸業者が無数にあり、国内での統合再編は進んでいない。保守的な経営により財務体質がよい企業が多い反面、国際的な競争力をもつ創薬メーカーは少ない。
 
 
 
====== 遺伝子・[[バイオ産業#日本のバイオ産業|バイオ産業]] ======
 
欧米に比べて[[バイオ産業]]・[[バイオガス]]・[[DNA型鑑定]]・[[iPS細胞]]・[[放射線治療]]・[[臍帯血]]・[[骨髄移植]]・[[人工授精]]は未発達の状態である。<!--定量的な数字を入れてください。比較のしようがありません-->
 
しかし、食料関係のバイオ研究は進んでいる。特に稲に関しては世界で最も進んだ技術を持っている<!--何を以って最先端というのか根拠を示してください。美辞麗句が多すぎです-->。
 
 
 
==== 繊維 ====
 
繊維産業は、昭和前半までは製造業の中心であり、その陰には[[女工哀史]]などの状況もあったが、輸出産業の主力として日本の経済を支えた。[[戦後]]は、[[高度経済成長]]による工業の[[重工業]]化や、中国等新興国の安い繊維製品の輸入増加で製造業での地位は低下している。こうした状況の中でも日本の繊維産業は技術的には世界トップにあり、工業用の[[合成繊維]]や[[炭素繊維]]に強みを持っている。<!--
 
 
 
==== 素材産業 ====
 
光ファイバー、炭素繊維、ネオジム磁石、単結晶シリコン、二次電池、気層薄膜用インゴット、金属合金、セラミックス、各種触媒、粉体微細加工などの素材加工・応用品製造において世界シェアを有する企業を多く持ち、技術は世界最高水準にある。 金属、電池、半導体、化学の節に分解できる-->
 
 
 
==== 鉄鋼・非鉄金属 ====
 
===== 鉄鋼業 =====
 
[[ファイル:Governmental Yawata Iron & Steel Works.JPG|200px|right|thumb|日本の重化学工業のさきがけ、官営八幡製鉄所]]
 
粗鋼生産量は中華人民共和国に次ぐ第2位の生産を誇る。国内の粗鋼生産量では[[新日鐵住金]](国内首位、世界第2位、37.5百万トン)が最大手である。
 
 
 
[[1990年代]]の平成不況、[[日産自動車]]の[[カルロス・ゴーン]]の資材調達見直しを契機に鉄鋼業界の再編が進み、[[新日本製鐵]]を軸に[[住友金属工業]](2社で合併し新日鐵住金)、[[神戸製鋼所]]が株式持合い関係に入る一方、川崎製鉄と日本鋼管が合併し[[JFEホールディングス]]が設立され、寡占が進んでいる。
 
 
 
2006年になり、インドの[[ミッタル・スチール]]が[[ルクセンブルク]]の[[アルセロール]]を[[TOB]]で統合し、[[アルセロール・ミッタル]](世界首位、116.4百万トン)が設立され、生産規模の面で大きく水をあけられるようになった。さらに近年は中国メーカーの国主導での再編が進み、国内メーカーには危機感が広がっている。
 
 
 
==== 土石・窯業 ====
 
===== ガラス =====
 
{{see also|ガラス}}
 
ガラス業界は寡占化が進む板ガラス業界とそれぞれのガラス製品の特性を生かした多数の中小企業に二極化される。
 
 
 
[[液晶テレビ]]や[[プラズマテレビ]]、自動車や建物に使用される板ガラス業界は装置産業であり、また、世界最高水準の技術力を持つ。日本国内では[[旭硝子]]、[[日本板硝子]]、[[セントラル硝子]]の3社が国内の9割以上のシェアを持つ寡占状態にあり<ref name="MTI_glass">三菱総合研究所産業・市場戦略研究本部編 (2007) pp.153-154</ref>日本国内でも7事業所しか存在しない<ref name="yano_glass">財団法人矢野恒太記念会編 (2008) pp.271-273 表24-2 窯業・土石製品製造業の構成 (2007)</ref>。日本の3社に、[[コーニング]]社など含めた7社が中国を除く世界市場の7 - 8割を占める<ref name="yano_glass" />。規模の経済が図れる装置産業であることから全世界的な業界再編が起きており、旭硝子は2002年にベルギーのグラバーベルを完全子会社化し、一方、2006年には日本板硝子はイギリスのピルキントンを買収、子会社化した<ref>{{cite web |url=http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/mnews/20060228mh06.htm |title=読売新聞オンライン(2006年2月28日)「日本板硝子 英大手買収を発表
 
|accessdate=2008-10-04}}</ref>。
 
 
 
板ガラス製造以外の、板ガラス加工業、ガラス製加工素材製造業、[[ガラス繊維]]・同製品製造業はそれぞれ447、108、192の事業所があり<ref name="yano_glass" />、理学用・医学用ガラスやガラス製容器、台所・食卓用品といった製品を生産している。
 
 
 
===== セメント =====
 
{{see also|セメント|コンクリート}}
 
セメント業界もガラス業界と同様に装置産業であるため、[[太平洋セメント]]、[[宇部三菱セメント]]、[[住友大阪セメント]]の3社による市場の寡占化が進んでいる<ref name="yano_cement1">財団法人矢野恒太記念会編 (2008) p.275</ref>。1990年代からの公共事業削減の影響を受け、セメントの生産量は1996年の9499.2万トンをピークに2017年では6078.8万トンまで減少した<ref>{{Cite web|url=https://www.decn.co.jp/?p=97272|title=17年のセメント需給/生産量3・1%増、3年ぶり増/協会 [2018年2月1日2面]|accessdate=2018年8月2日|publisher=}}</ref><ref name="yano_cement1" /><ref name="yano_cement2">財団法人矢野恒太記念会編 (2008) p.273 表24-6 セメントの生産と輸出</ref><ref>{{cite web |url=http://www.stat.go.jp/data/chouki/zuhyou/08-09i |title= "日本の長期統計系列 第8章 鉱工業 8-9-i 主要品目の生産量及び生産額 - セメント及び窯業製品の生産量及び販売額(昭和60年 - 平成15年)|accessdate=2008-10-18}}</ref>。
 
 
 
セメントの原料である石灰石は日本が自国内で供給できる資源であり、埼玉県の[[秩父地方]]や山口県の[[秋吉台]]などで生産されている。
 
 
 
==== 印刷 ====
 
インターネットの普及に伴う書籍・雑誌等の販売不振や景気低迷による広告等の商業印刷の低迷により市場規模は年々縮小傾向にある。出荷額は[[1991年]]の8兆9,000億円をピークに縮小しており<ref>[http://www.meti.go.jp/policy/media_contents/downloadfiles/kobetsugenjyokadai/insatu200401.pdf 印刷産業の現状と課題 (pdf) ] - 経済産業省商務情報政策局文化情報関連産業課(平成16年1月)、2011年9月17日閲覧</ref>、2014年には5兆5,364億円<ref>{{Cite web|url=https://www.jfpi.or.jp/topics_detail6/|title=印刷市場の動向|accessdate=2018年8月2日|publisher=}}</ref>にまで激減している。<ref>『平成21年工業統計表』、経済産業省</ref>[[大日本印刷]]・[[凸版印刷]]の2強は液晶フィルターなどエレクトロニクス部材事業で収益を伸ばしている他、大日本印刷が[[丸善CHIホールディングス]]を子会社化、凸版印刷が[[紀伊国屋書店]]と業務提携し出版・書店事業に関与を深めるなど多角化を進めている。一方、中小印刷メーカーは経営悪化に苦しんでおり倒産するメーカーも出てきている。
 
 
 
==== 電気・電子産業 ====
 
{{see also|中華人民共和国の経済#電気機器}}
 
電気・電子製品は、自動車と並んで日本の貿易の中で大きな割合を占め、2007年では主要輸出品の約19.0%を占める<ref name="yano_trade_export">財団法人矢野恒太記念会 (2008) 表31-8 わが国の主要輸出品の推移 (2007年)によると、重電機器、電気回路用品、テレビ受像機、映像記録・再生機器、音響・映像機器部品、通信機、家庭用電気機器、電池、半導体等電子部品、電気計測機器、精密機械の輸出構成より算出。</ref>分野であり、その優れた品質から日本の代表的な工業製品となっている。1985年のプラザ合意による円高、人件費がアジアよりも割高であることも相俟って多くの電気・電子メーカーが海外に進出しており、日本の全産業の中でもっとも国際化が進んでいる分野である<ref>[http://www.meti.go.jp/policy/it_policy/denki-tusho/index.html 経済産業省HP 電気・電子分野の通商政策]</ref>。
 
 
 
従来はデザイン性や基礎技術の開発に難点があったが、近年ではものづくりにおける基盤技術やそれを支える人材の厚みが日本企業の強みとなっており、中国企業や韓国企業に対する人材流出や知的財産の保護が課題になっている。
 
 
 
電気機械器具製造業(規模10億円以上)の営業利益率は1960年代の平均10%台から1990年代には平均3%台にまで低下、2001年度には[[ITバブル]]崩壊の煽りを受け-0.8%にまで一旦マイナスを記録したこともあり、長期的に低下傾向にある<ref>{{cite web |url=http://www.fabnet2.mof.go.jp/nfbsys/Nennhou_oy.htm |title=財務省 法人企業統計年次別調査 |accessdate=2008-10-17}} 電気機械器具製造業10億円以上より算出</ref>。また、大手電器メーカー10社の合計営業利益率においても、1980年度から2005年度までの25年間で低下している。1980年前半および円高不況後のバブル景気時代における合計営業利益率は6 - 8%を計上していたが、その後はずるずる低下し、2001年度にはマイナスの営業利益率となった。その後、V字回復をしたが、2005年度でも合計営業利益率は3%台に過ぎず、[[ローム]]、[[キヤノン]]、[[日本IBM]]、[[サムスン電子]]、[[ノキア]]と大きく差をつけられた<ref>佐藤文昭 (2006) p.25 大手電機メーカー10社は[[日本電気|NEC]]、[[富士通]]、[[日立製作所]]、[[東芝]]、[[三菱電機]]、[[ソニー]]、[[パナソニック|松下電器産業]]、[[シャープ]]、[[三洋電機]]、[[パイオニア]]。大本の出所は日経NEEDSの情報を元にドイツ証券作成。</ref>。
 
 
 
===== 白物家電 =====
 
{{see also|三種の神器_(電化製品)|白物家電}}
 
[[1950年代]]の神武景気・岩戸景気において国民の所得が拡大したことから、[[冷蔵庫]]、[[洗濯機]]、[[白黒テレビ]]に代表される「[[三種の神器 (電化製品)|三種の神器]]」が日本国中に普及していった(テレビは後述)。その後も、1960年代のいざなぎ景気の時には、「[[三種の神器 (電化製品)#高度成長期・3Cの登場|3C]]」の1つとして[[エア・コンディショナー|エアコン]]が新たに耐久消費財の対象として加わった。結果として1970年代前半には冷蔵庫、洗濯機の普及率は90%を超えていった<ref name="hashimoto_denki1">橋本・長谷川・宮島 (2006) p.128</ref>。
 
 
 
===== 映像・音響機器 =====
 
[[ファイル:1950's television.jpg|right|thumb|200px|「三種の神器」の1つ、白黒テレビ]]
 
{{see also|テレビ受像機|薄型テレビ|VHS|ベータマックス|DVD|Blu-ray Disc|有機EL}}
 
1950年代には「三種の神器」の1つとして白黒テレビが、1960年代には「3C」として[[カラーテレビ]]が家庭に普及していった<ref name="hashimoto_denki1" />。家電メーカー各社はブラウン管テレビの生産を拡大し、1970年には国内で合計13,782千台、1980年には16,327千台、1990年には15,132千台生産し、日本国内に販売するだけでなく、海外にも輸出していった<ref name="yano_denki1">財団法人矢野恒太記念会 (2008) p.236 表20-31 民生用電子機器の生産</ref>。しかし、1985年のプラザ合意以降の円高、冷戦終結により中国や東南アジアよりも高い人件費から価格競争力低下を背景にアジア諸国に工場を移転した結果、日本国内での生産は減少し2000年には3,382千台にまで生産量を落としていき、一方日系企業によるカラーテレビの海外生産は1990年度の19,937千台から2005年度の31,012千台まで拡大した<ref name="yano_denki2">財団法人矢野恒太記念会 (2008) p.239 表20-34 日系企業による家電製品の海外生産(会計年度)</ref>。
 
 
 
ブラウン管テレビに代わり、薄型テレビとして液晶テレビ、プラズマディスプレイが出たことにより家電業界は再編の動きが始まった。液晶テレビにせよプラズマディスプレイにせよ巨額の研究開発費とともに巨額の設備投資を必要とする一方、競争により単価の下げが止まらないという状況になった結果、2007年12月には、シャープと東芝がテレビ向け液晶パネルと半導体の相互供給で事業提携すると発表し、また、松下電器産業・日立製作所・キヤノンが液晶パネル事業の総合提携を行うといった合従連衡が起きるようになった<ref>{{cite web |url=http://techon.nikkeibp.co.jp/article/HONSHI/20080109/145093/ |title=日経エレクトロニクス2008年1月14日号「液晶軸にテレビ・メーカー再編、次の焦点はPDPの動向か」|accessdate=2008-11-08}}</ref>。
 
 
 
家庭用VTRについても、1975年にソニーがベータマックスを開発・販売する一方、翌年、日本ビクターがVHSを開発・販売を開始した。ベータマックスと[[VHS]]の間での規格争いがおきたが、最終的にVHSに軍配が上がった。[[1980年代]]には家庭用VTRもテレビと同様に1980年には4,441千台、1990年には31,640千台と日本国内で生産し海外に輸出していった<ref name="yano_denki1" />が、1990年代にはテレビと同様に海外の生産が進み、1990年には7,298千台、1995年には20,096千台、2000年には23,376千台と日系メーカーの海外生産が進んだ<ref name="yano_denki2" />。加えて、1990年代後半に[[DVDレコーダー]]が発売され世代交代が進んだが、日系メーカーは日本国内というよりも海外(とりわけ中国)で生産している。2002年度に17,212千台、2005年度には25,468千台を海外で生産する<ref name="yano_denki2" />一方、国内では直近の2007年でも1,486千台しか生産していない<ref name="yano_denki1" />。
 
 
 
2008年にはDVDの後継争いとして、東芝陣営の[[HD DVD]]とソニー、松下電器産業(現:パナソニック)、の[[Blu-ray Disc]]が対立したが最終的にはBlu-ray Discに軍配が上がった。
 
 
 
===== 半導体 =====
 
[[1980年代]]から[[1990年代]]前半まで日本の半導体メーカーは[[Dynamic Random Access Memory|DRAM]]などの分野で高いシェアを誇っていたが、[[大韓民国|韓国]]など新興国の半導体メーカーの台頭と過剰供給競争の結果、国内の半導体メーカーの経営は悪化し半導体事業の合併や撤退が進んだ。インテルやサムスン電子のような海外企業に比べ、営業利益率、設備投資額とも低水準のままである<ref>日本半導体産業・復活への提言  - 経営者も技術者も「もうける決意」が必要だ - (日経エレクトロニクス2006年10月9日号)[http://techon.nikkeibp.co.jp/article/HONSHI/20061004/121909/]</ref><ref>日本半導体産業のジレンマ (3) - 技術とは何か?Technologyとは何か? - (前編)[http://www.ipnext.jp/journal/mot/yunogami5.html]</ref>。リーマンショック以後にはさらに再編の流れが強まり、[[沖電気工業]]の[[ローム]]への半導体事業売却、[[エルピーダメモリ]]が台湾の半導体メーカーと提携や[[ルネサステクノロジ]]・[[NECエレクトロニクス]]の統合による[[ルネサスエレクトロニクス]]発足など再編が進んでいる。
 
 
 
===== コンピュータ =====
 
スーパーコンピュータでは1980年代には[[日本電気|NEC]]、[[日立製作所]]、[[富士通]]の3社が高い技術力で販売を伸ばしアメリカとの貿易摩擦が問題となったが、分散処理技術への技術移行にともない採算が悪化し、世界シェアは低下した。技術面では[[2002年]]にNECが当時世界最速となる[[地球シミュレータ]]を開発するなど依然高い技術力を持つ。スパコンにおいては各国の激しい開発競争により日本のスパコンの計算速度が低下しており、[[独立行政法人]][[理化学研究所]]とNEC、富士通、日立製作所が共同で[[京 (スーパーコンピュータ)|京]]の開発が[[国家プロジェクト]]として進められていたが、巨額の開発費からNECと日立製作所が開発から撤退した。
 
 
 
パソコンでは、[[1970年代]]にコンピュータ輸入自由化による欧米メーカー進出への懸念から当時の[[通商産業省]](現:[[経済産業省]])の指導のもと[[三大コンピューターグループ]]([[東芝]]・[[NEC]]、[[富士通]]・[[日立製作所]]、[[三菱電機]]・[[沖電気工業]])が形成され政府の支援の下開発が進められた。1980年代には国内ではNECが[[PC-9800シリーズ]]が国内シェアで全盛期に9割を占めた。また[[1993年]]から[[2000年]]には東芝が[[ノートパソコン]]においてシェア1位を占めた。しかし、パソコンの普及などによる価格競争の激化から2000年代から国内メーカーの再編が進み三菱電機や[[三洋電機]]など多くメーカーがパソコン事業から撤退した。近年再び、再編の流れが進んでおり、富士通による[[シーメンス]]との欧州PC合弁会社の買収、日立製作所・[[シャープ]]などのPC事業縮小・撤退、NECと[[レノボ]]との合弁会社設立などが行われている。
 
 
 
===== 携帯電話 =====
 
{{see also|携帯電話|日本における携帯電話#機能の多機能化}}
 
国内市場では12のメーカー<ref>Gooカテゴリー検索[http://dir.goo.ne.jp/computers/01025/01031/58116/]</ref>が端末を販売しているが、国内市場における携帯電話端末の出荷台数は頭打ち状況にあり、国内メーカーでは[[三菱電機]]が撤退し、[[三洋電機]]が事業を[[京セラ]]に売却するなど再編が進んでいる。日本市場では日本メーカーの端末が圧倒的シェアを占めるが、海外市場においては[[ノキア]]や[[サムスン電子]]など海外企業との競争で苦戦しており、日本企業の世界市場でのシェアは低い。
 
 
 
===== カメラ =====
 
[[キヤノン]]、[[ニコン]]、[[オリンパス]]など世界的なメーカーが存在している。カメラの主力が電子機器的要素があるデジタルカメラに変化したことで、[[ソニー]]や[[パナソニック]]など電機メーカーの参入が相次ぎ、[[コニカミノルタ]]など光学カメラに歴史を持ちデジタルカメラに参入したメーカーの撤退が起きた。
 
 
 
==== 輸送用機器 ====
 
===== 自動車産業 =====
 
{{see also|トヨタグループ|トヨタ自動車|日産自動車|本田技研工業|マツダ|[[スズキ (企業)|スズキ]]|富士重工業}}
 
[[自動車産業]]は、1980年代にアメリカを生産量で追い抜いた。その後一進一退が続いたが、近年ふたたびアメリカ市場を中心にシェアを拡大している。2000年代には、[[原油価格]]の上昇が燃費に優れる日本車の追い風となった。<!--組織の硬直化、円高や高級化による価格上昇、アメリカ車の品質向上による巻き返しなどがあり、一時期不振が言われた。--><!--何時の、どの企業の、何処の国における話題なのか不明瞭なためコメントアウト-->
 
 
 
米国市場では[[ミニバン]]・[[ピックアップトラック]]の流行などに対して折々のマーケティング政策で常に成功したとは言えず、とりわけ1990年代に到って過剰な有利子負債と採算性の悪化により経営の危機に瀕するメーカーが続出した。折りしも世界的な自動車産業の再編の流れがあり、[[日産自動車]]・[[マツダ]]・[[スズキ (企業)|スズキ]]・[[富士重工業]]などが海外メーカーの資本参加を受け入れた。2005年以降は、海外メーカーが日本の自動車会社への出資を取りやめる動きが相次ぎ、マツダ・スズキ・いすゞ・富士重工業の各社はトヨタの出資を受け入れ、あるいは業務提携を結んだ。結果として日本の自動車産業全体に対するトヨタ自動車の影響力が一層強まった。
 
 
 
国内の自動車販売は頭打ち状態であるが、世界市場では各社とも販売台数・シェアとも拡大傾向にあり<ref>三菱UFJ銀行 経済・産業レポートとマーケット情報 2007年度:自動車[http://www.bk.mufg.jp/report/indcom2006/06.pdf]</ref>、[[トヨタ自動車|トヨタ]]は創業以来最高の売り上げとなっているほか、多くの日本の自動車メーカーが海外生産を増加させている。日本車は、優秀な燃費、故障率の低さ(2002年TIME社調査ではトヨタが世界一)で定評があり、さらに環境によいというイメージと、デザインが加わった事でシェアを伸ばしつつある。
 
 
 
自動車の部品産業は、トヨタ自動車など最終製品メーカーを頂点として、部品メーカー各社がTier1、Tire2・・・として、裾野が広がっている。トヨタ自動車系列として[[デンソー]]、[[アイシン精機]]、[[豊田自動織機]]、[[豊田合成]]、[[トヨタ紡織]]ほか、日産自動車系列として[[カルソニックカンセイ]]、[[鬼怒川ゴム工業]]他、本田技研工業系列として[[ケーヒン]]他が存在する。
 
 
 
===== オートバイ =====
 
[[オートバイ]]は1960年代以降に世界市場で大幅にシェアを伸ばし、新興国のメーカーが台頭する現在でも世界トップシェアを維持している。オートバイメーカーの中でも、[[本田技研工業]]、[[ヤマハ発動機]]、[[スズキ (企業)|スズキ]]、[[川崎重工業]]は4大メーカーとして知られている。
 
 
 
東南アジアなどの発展途上国では市場が拡大しているが、日本国内では新車販売台数が減少し続けている。現在は各メーカーによって生産拠点の海外移転が進められており、日本向けの車両についても中国や台湾などで生産されるモデルが増加している。
 
 
 
==== そのほかの機械工業 ====
 
===== 建設機械 =====
 
[[建設機械]]では、[[小松製作所]]が国内トップで世界でも[[キャタピラー (企業)|キャタピラー]]社に次いで2位のシェアを持つ。また国内2位の[[日立建機]]が世界シェア3位に位置している<ref>ウォッチ・ザ・カンパンニー(ラジオ NIKKEI)[http://blog.radionikkei.jp/company/147.html]</ref>
 
<!--具体的に確認できる資料をさがしています。ご存知の方はご紹介ください-->。<!--
 
↑これくらいは明らかなことなのでは? もちろん、今後の趨勢によって変化はあるでしょうが。記事例を示しておきます。--><!--「シェア(市場占有率)」はよく膾炙される用語で一見わかりやすそうな概念なのですが、現実には非常に問題のある用語です。キャタピラ社、コマツ、日立建機の3社がまったく同等のラインナップで同等の競争をしているわけでもありませんし、連結会計の際に子会社に販社が含まれるのかそれとも販路の中心が外部の商社なのかも各社ばらばらなので、実質出荷価額(売上高)で単純比較できません(自社グループで最終的に売上たほうが当然売上高が大きくなります)。また台数ベースでの比較もラインナップが異なり、またラインナップ毎にシェアが違うわけで比較になりません。かように「市場占有率」とは「どの情報源に基づいたシェア」なのかを明示しておかないと、あまりにも漠然とウワサめいた記述になりかねないわけです。広く情報源のご提供をお待ちしております。-->
 
 
 
===== 造船 =====
 
[[造船]]は韓国の設備増強などによりシェアを落としているが、依然として40%の世界シェアを有し世界第2位の造船大国である。造船のような労働集約的産業でほぼ100%の国内生産を維持しつつこのような高いシェアを維持していることは注目に値する。なお、諸外国で実施されているような造船補助金は存在しない。逆に造船設備の総量規制が実施されていたが、これは最近撤廃されることに決まった。
 
 
 
=== 第3次産業 ===
 
==== 金融業 ====
 
{{see also|長期信用銀行|メインバンク|都市銀行|メガバンク|地方銀行|第二地方銀行|金融ビッグバン}}
 
[[ファイル:Tokyo stock exchange.jpg|right|250px|thumb|日本を代表する証券市場であると共に世界屈指の証券取引所である[[東京証券取引所]]]]
 
戦後の日本経済復興には、設備投資に巨額・長期にわたる融資が不可欠であったため、1952年に[[長期信用銀行法]]が制定され、[[日本興業銀行]]、[[日本長期信用銀行]]、[[日本債券信用銀行]]が資金需要に応えた。1960年代になると、都市銀行が、民間企業の資金需要にこたえるために融資を拡大し、また、民間企業へのモニタリングを強めていった([[メインバンク|メインバンクシステム]]の普及<ref name=hashimotoetal1>橋本・長谷川・宮島 (2006) pp.92-99</ref>)。
 
 
 
1990年代に入り、[[バブル崩壊]]や旧[[大蔵省]]の不祥事なども関係し、官民両方のセクターで整理統合と合併が進展。業界には合従連衡と改革が連続して起き、競争力を回復した[[メガバンク]]が形成される一方で、[[りそなホールディングス]]の国有化や[[地方銀行]]大手の[[足利銀行]]の破綻も起こった。[[2005年]]、[[三菱UFJフィナンシャル・グループ|三菱UFJ]]・[[みずほフィナンシャルグループ|みずほ]]・[[三井住友フィナンシャルグループ|三井住友]]の三大グループに業界は再編された。[[地方銀行]]・[[第二地方銀行]]では、第二地銀が主に再編対象とされ、県境を越えた救済合併や提携が進みつつある([[北陸銀行]]と[[北海道銀行]]による[[ほくほくフィナンシャルグループ]]の設立、[[ふくおかフィナンシャルグループ]]による長崎県の[[親和銀行]]の救済、[[北都銀行]]と[[荘内銀行]]による[[フィデアホールディングス]]の設立など)。
 
 
 
銀行の[[不良債権]]処理は景気回復と処理積み立てにより大きく前進し、銀行の体質は改善されている。[[直接金融]]に傾きつつある大企業の代わりに、中小企業や個人向けの融資(リテール)に力が入れられ始めている。このセクションは日本の間接金融において次第に収益源とみなされるようになっており、銀行はここに活路を見出そうとしている。
 
 
 
[[証券会社|証券業界]]は、手数料自由化の競争の中で著しく手数料の低下が進行し収益源が信用取引からの利子収入が主軸になりつつある。大手証券会社は、仲介業務から脱し[[投資銀行]]への転換を目指している。山一証券の廃業以降、銀行業界のあおりを受け、証券業界も業界再編が進んでいる。国内業界2位の[[大和証券グループ|大和証券]]は、[[住友銀行]]と接近し、[[日興コーディアルグループ|日興証券]]は[[三菱銀行]]を離れ、シティグループの傘下に入った。しかし、世界金融危機の煽りを受け、シティグループの各日本法人が買収対象となった。2009年には三井住友フィナンシャルグループが日興コーディアル証券を買収・完全子会社化したことにより、大和証券グループは三井住友フィナンシャルグループから離れた。規制緩和が進み、銀行と同一支店に設置される支店や、銀行業の一部を代行する証券会社も増えている。[[SBI証券]]を筆頭にネット専業証券会社の存在感も増しつつある。
 
 
 
[[保険]]業界は、1990年の後半から2000年代の前半にかけて中堅の生命保険会社の破綻が相次ぎ外資系保険会社による買収が相次ぎ、[[明治安田生命]]のように財閥の垣根を越えて経営統合が起きた。また、損害保険業界は業界再編第1幕として、[[東京海上ホールディングス|東京海上]]、[[三井住友海上火災保険|三住海上]]、[[損害保険ジャパン|損保ジャパン]]、[[あいおい損害保険|あいおい]]、[[ニッセイ同和損害保険|ニッセイ同和]]の大手6社の寡占体制となった。[[保険金不払い事件]]を発端とするシステム対応費用の増加、若者の車離れによる自動車保険料収入の減少、国内市場において外資系の保険会社の競争、欧米やアジアの新興国を中心に海外市場への進出を図り収益基盤を確保するために、業界再編第2幕が発生し、東京海上、[[MS&ADインシュアランスグループホールディングス|MS&AD]](三井住友海上、[[あいおいニッセイ同和損害保険|あいおいニッセイ同和]])、[[SOMPOホールディングス|SOMPO]]([[損害保険ジャパン日本興亜|損保ジャパン日本興亜]])の3陣営に集約されることとなった。
 
 
 
[[消費者金融]]業界の債権管理能力は高く、リテールに力を入れる銀行との融合が進んでいる。ただ[[2006年]]の[[貸金業法]]の改正により[[グレーゾーン金利]]の見直され上限金利が引き下げられ収益が悪化した。また消費者金融会社が過剰に受け取った利息に対する過払い金返還請求が相次ぎ、[[2010年]]には[[武富士]]が[[会社更生法]]を申請するなど経営悪化に苦しむ事業者も出てきている。一方、銀行が消費者金融を傘下に収めたり、[[カードローン]]事業を展開し消費者金融市場での存在を現している。
 
 
 
==== 不動産業 ====
 
[[高度経済成長]]による住宅需要の増大や経済発展により不動産会社は盛んに住宅団地やビルなどを建設し収益を伸ばした。[[バブル景気]]には不動産の転売による含み益やリゾート施設等の開発をもとに収益を伸ばし、さらには[[三菱地所]]がアメリカの[[ロックフェラーセンター]]を買収するなど海外での事業も拡大していった。しかし、バブル崩壊で地価の急落がおこると多額の融資をもとに含み益経営をしていた不動産会社は経営が悪化した。
 
 
 
2000年代前半には、[[不動産証券化]]の手法を用いた[[デベロッパー (開発業者)|ディベロッパー]]を中心に売上を伸ばし市況は活性化したが、[[2007年]]にアメリカ合衆国の[[サブプライムローン]]問題を発端に世界の金融資本の流れに変化がおこり、2008年には資金繰りの行き詰まりにより経営破綻し[[民事再生法]]を申請する会社が出るようになり<ref>{{cite web |url=http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20080718AT2D1801418072008.html |title=日本経済新聞(2008年7月18日)ゼファーが民事再生法を申請 負債総額949億円|accessdate=2008-08-24}}</ref><ref>{{cite web |url=http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20080814AT1C1300B13082008.html |title=日本経済新聞(2008年8月14日)アーバンコーポが再生法申請 負債2558億円、08年最大の倒産|accessdate=2008-08-24}}</ref>、また、[[REIT|不動産投資信託]]の破綻も出始めた<ref>{{cite web |url=http://www.nikkei.co.jp/news/main/im20081009AS2D0901F09102008.html |title=日本経済新聞(2008年10月9日)上場REIT、初の破綻 ニューシティ、負債1123億円|accessdate=2008-10-25}}</ref>。
 
 
 
==== 観光業 ====
 
{{main|日本の観光}}
 
美しい自然に恵まれ、独特の文化をもち、[[法隆寺]]などの古い建物にも恵まれているなどの要素に加え、近年の円安や日本ブームも加わって外国人の観光客が増加している。また、テーマパーク等の娯楽施設も充実しているため、こういった施設を目的にやってくる外国人もいる。[[2003年]]より、政府は外国人観光客の増加を進める施策である[[ビジット・ジャパン・キャンペーン]]を実施している。外国人が滞在しやすい環境をつくるべく、[[ビザ]]の要件の緩和などを進めている。[[景観]]を観光資源としてとらえ直し、よく批判される雑然とした景観を改善しようという動きもある。
 
 
 
欧米の観光客は頭打ちになっていることから、東アジア地区からの観光客にターゲットが置かれている。
 
 
 
欧米人が好む[[京都]]・[[奈良]]などの日本情緒は、同じような風土・文化をもつ東アジア人にはさほど受けず、逆に[[東京ディズニーランド]]や[[ユニバーサルスタジオジャパン]]などが、アメリカまで行かずに済むために格好の遊び場として人気がある。また温泉なども、旅館などの独特のサービスが好感をもたれている。北海道は、台湾、韓国、中国、[[オーストラリア]]からの観光客が多い。[[台湾]]や華南地方では降雪が乏しく、韓国は雪質が悪く、またオーストラリアは季節が正反対で自国が暑い時期にスキーを楽しめるため、北海道や信越地方のスキーツアーも人気がある。北海道独特の風景や情緒も人気が高い。また、九州は地理的に近いため、台湾や韓国からの観光客が増加している。
 
 
 
==== 卸売業 ====
 
[[総合商社]]は日本特有の業態であり、業界第一位の[[三菱商事]]をはじめ[[三井物産]]、[[住友商事]]、[[伊藤忠商事]]など商品取扱い高として世界トップクラスの売上を誇る企業が複数存在する。従来は仲介や輸出入に関わる手数料ビジネスが主体であったが、企業の垂直統合や「中抜き」に見られる商習慣の変化に直面し、現在では資源開発への直接投資や企業投資を経由したマーケットの開拓など世界中で多くの事業を行っている。
 
 
 
大手専門商社には、製造会社や総合商社の子会社・関連会社が多い。
 
 
 
問屋は、日用雑貨や食料品などの流通を製造業と小売業の間で支えている。1970年頃から小売量販店の広域・大規模化が起こり、また冷凍・[[チルド]]物流の広がりとともに設備投資に耐えられない中小卸問屋の廃業や統合が進んだ。1990年頃からは、コスト削減のため大手小売店が問屋を通さずに製造業者から商品を直接大量に仕入れる中抜きが一般化したため、一部の業界では合併や共同配送の動きが進んだ。
 
 
 
==== 小売業 ====
 
百貨店は[[高度経済成長]]期や[[バブル景気]]などに全国に進出した。しかし、バブル崩壊による消費の低迷や郊外への大型SC進出で全国各地で次々と閉店した。しかし最近では、大都市での進出・増床等も相次いでいる。また郊外の大型SCに出店したりして売上を伸ばしている百貨店もある。ただ少子高齢化で市場規模が縮小していると予測されているため、大手百貨店の統合が進んでいる。[[阪神百貨店]]は[[村上ファンド]]のTOB提案があったため、[[阪急百貨店]]と統合し[[阪急阪神ホールディングス]]傘下の[[エイチ・ツー・オー リテイリング]]となった。[[松坂屋]]と[[大丸]]は[[J.フロント リテイリング]]を設立しその傘下に入り、[[三越事件|社長の乱脈経営]]から経営不振が続いた[[三越]]と[[伊勢丹]]は[[三越伊勢丹ホールディングス]]を設立、経営統合を進めている。ただ[[世界金融危機]]以降は高級品路線を進めてきた百貨店は[[アウトレットモール]]や[[ユニクロ]]などの格安ファッション店などに苦戦を強いられており、リストラや不採算店舗閉店に加え価格安価な商品の開発・販売や百貨店への格安ファッション店の誘致など新たな客層の開拓などが行われている。
 
 
 
大型[[スーパーマーケット|スーパー]]では[[高度経済成長期]]から[[ダイエー]]が「価格破壊」をスローガンに事業を拡大し[[1972年]]には三越を抜き小売業で日本一を達成した。しかし、バブル期の過剰投資で経営不振に陥り[[産業再生機構]]の支援の後にイオン傘下に入り経営再建が進められている。バブル崩壊後にはダイエーのように過剰投資やデフレ不況の影響もあり、[[マイカル]]や[[西友]]など大型小売チェーンが経営悪化に陥り、他社の傘下に入り再建が進められた。一方、イオンや[[セブン&アイ・ホールディングス]]が郊外への[[ショッピングセンター|SC]]や[[コンビニエンスストア]]などへの進出で売上を伸ばした他、銀行業等への参入やファッション店など専門店等の買収を進めた。しかし、2006年に[[まちづくり3法]]が改正され大型SCの建設が難しくなっており、都市部での小型食品スーパーの展開や[[中国]]・[[東南アジア]]などへの進出が進められている。また専門店との競争激化やデフレ不況の影響で大手スーパー主要店舗形態であった総合スーパー (GMS) は経営に苦しんでおり、不採算店舗の閉鎖や[[スーパーセンター]]・[[ディスカウントストア]]・食品スーパーなどへの業態変更などが進められている。2011年には、イオンの子会社でGMSなどを展開する[[イオンリテール]]が[[マイカル]]・[[イオンマルシェ]]を吸収合併し、同時にGMSブランド統一を行った。
 
 
 
[[食品スーパー]]では、メーカーなどによる販売協力金等を原資にした商品の特売で客を集めるのが主流となっている。また地域性やオーナー経営者が多いことなどから中小規模のスーパーも多く存在している。[[シジシージャパン|CGC]]や[[日本流通産業|ニチリウ]]・[[八社会]]・[[AJS]]などの共同仕入れ組織が設立されており、大手と引けをとらない規模を誇る。<ref>CGC加入企業の売上規模は4兆2,428億円(2011年6月1日現在)。</ref>バブル崩壊やデフレ不況で景気が低迷する中も食料品の売上規模は堅調に推移してきた。<ref>[http://www.jcsa.gr.jp/figures/data/2010_hanbaigaku_nendo.pdf 販売額、前年比 (pdf) ] - 日本チェーンストア協会(2011年4月25日)、2012年1月21日閲覧。</ref>しかし、近年は店舗数の増加や人口減少などにより競争が激化している。そのため、近年では[[ネットスーパー]]や都市部での小型スーパーなど成長分野への進出が進んでいる。また、イオンによる[[マルナカ (チェーンストア)|マルナカ]]・山陽マルナカの買収<ref>[http://sankei.jp.msn.com/economy/news/111005/biz11100514580016-n1.htm イオン、マルナカを440億円で買収] - 産経新聞(2011年10月5日)、2012年1月21日閲覧。</ref>や[[アークス]]と[[ユニバース]]の経営統合など将来難しいとされてきた業界再編も進んでいる。
 
 
 
[[コンビニエンスストア]]は、1980〜1990年代ごろから急速に売上を伸ばしたが、コンビニエンスストアの客の大きな割合を占める若者の数が減少しているため売上が伸び悩んだり、成長が鈍化している。そのため大手コンビニエンスストアは、野菜などの販売を行ったり、100円ショップを展開したりと客層の拡大に努めている。また大手コンビニチェーンでは新興国を中心に海外進出も進んでいる。
 
 
 
[[ドラッグストア]]では、政府による医薬分業の流れで調剤薬局が医療機関の付近に立地するようになっている。そのため近年では、ドラッグストアで処方箋を扱う店が出てきている。また、2009年の薬事法改正を受けて[[登録販売者]]がいれば[[薬剤師]]がいなくても[[コンビニエンスストア]]などで大半の医薬品を扱えるようになり、[[ローソン]]と[[マツモトキヨシ]]が共同店舗の開発を進めるなどコンビニエンスストアとドラッグストアの提携が進んでいる。
 
 
 
[[家電量販店]]では、近年激しい価格競争で、[[家電メーカー]]との価格交渉力をつけるため規模の拡大が不可欠となっており、業界の再編が進んでいる。また、[[ヤマダ電機]]や[[ビックカメラ]]などでは家電だけでなく日用雑貨やゲーム機、おもちゃなど多種の商品を扱うなどバリエーションの拡大を進めている。
 
 
 
[[100円ショップ]]は、90年代のデフレ不況などの影響を受け急成長した。以前は品質が低く供給が不安定だったが、[[プライベートブランド]]商品の大量生産委託で品質の向上やコスト削減、供給の安定を図っている。また、海外への進出や200円や300円など100円でない幅広い価格帯の商品を取り扱いを始めたりしている。
 
 
 
[[ホームセンター]]では、同業態間の競争だけでなくスーパーや100円ショップなど他の業態との競争が激化している。
 
 
 
近年、国民一人当たりの[[可処分所得]]の減少に伴い、どの業態においても価格競争が激化している。そのため、[[プライベートブランド]] (PB) の開発や他の業態への進出、[[東南アジア]]・[[中国]]などを中心とした海外への進出などの動きが進んでいる。
 
 
 
==== 運輸業(旅客) ====
 
{{see also|日本航空}}
 
航空業界は[[国土交通省]](旧・[[運輸省]])の規制下にあり、その中で自民党運輸族が主導して採算度外視で地方空港を乱立させていった。
 
 
 
航空運輸では国内線では[[全日本空輸]]、[[日本航空]]の寡占状態であるが、近年は[[スカイマーク]]、[[エア・ドゥ]]など新規参入や新幹線・高速道路の整備により大都市間の航空路線では航空会社が次々と料金を値下げ、サービス向上などを行った。その一方で航空会社は、石油高騰の影響や不況の影響をうけており各社は路線再編や機体の軽量化・小型化を進めて影響を抑えようとしている。
 
 
 
[[世界金融危機_(2007年-)]]以降の需要減を受け、日本航空の経営難が深刻化した。2009年8月には[[金子一義]]・[[国土交通大臣]]は有識者会議を開催したものの<ref>{{Cite web|url=http://www.mlit.go.jp/report/press/cabkjk090818|title=「日本航空の経営改善のための有識者会議」の開催について|date=2009年8月18日|publisher=日本航空|accessdate=2010-01-30}}</ref>、[[第45回衆議院議員総選挙|2009年の衆議院選挙]]で[[麻生内閣]]から[[鳩山由紀夫内閣]]に政権交代があったことにより白紙、[[前原誠司]]・国土交通大臣のもとで行われた[[JAL再生タスクフォース]]による再生計画も頓挫した。最終的には、2010年1月19日、日本航空と子会社の[[日本航空インターナショナル]]、[[ジャルキャピタル]]の三社は会社更生法を申請、受理されたことにより、企業再生支援機構をスポンサーに経営再建の道を図ることとなり<ref name=JAL20100119-1>{{Cite web|url=http://press.jal.co.jp/ja/release/201001/001430.html|title=株式会社企業再生支援機構による支援決定及び会社更生手続の開始決定等に関するお知らせ|date=2010年1月19日|publisher=日本航空|accessdate=2010-01-19}}</ref><ref name=JAL20100119-2>{{Cite web|url=http://eir.eol.co.jp/EIRNavi/DocumentNavigator/ENavigatorBody.aspx?cat=tdnet&sid=766803&code=9205&ln=ja&disp=simple |title=株式会社企業再生支援機構に対する再生支援申し込み及び支援決定、並びに会社更生手続開始申立て及び開始決定に関するお知らせ |date=2010年1月19日|publisher= 日本航空、企業再生支援機構|accessdate=2010-01-19}}</ref><ref>{{Cite web|url=http://special.reuters.co.jp/contents/JAL_article.html?storyID=2010-01-19T182741Z_01_NOOTR_RTRMDNC_0_JAPAN-134070-2.xml|title=JALが会社更生法適用を申請、事業会社で戦後最大の破たん|date=2010年1月19日|publisher=[[ロイター]]|accessdate=2010-01-19}}</ref>、2010年11月30日、[[東京地方裁判所]]が更生計画を認可<ref>{{Cite web|url=http://www.jal.co.jp/other/info2010_1130.html|title=更生計画の認可決定について|date=2010年11月30日|publisher=日本航空|accessdate=2011-06-25}}</ref>、日本航空インターナショナルは減資ならびに企業再生支援機構を株主に増資を実施<ref>{{Cite web|url=http://www.etic-j.co.jp/pdf/100831newsrelease.pdf|title=日本航空等に対する出資決定について|date=2010年8月31日|publisher=企業再生支援機構|accessdate=2011-06-25}}</ref>、同時に日本航空インターナショナルを存続会社に日本航空(持株会社)とJALキャピタルを吸収合併、2011年3月28日には更生手続の終結が東京地裁より認められた<ref>{{Cite web|url=http://www.jal.co.jp/other/info2011_0328_02.html|title=更生手続の終結決定について|date=2011年3月28日|publisher=日本航空|accessdate=2011-06-25}}</ref>。
 
 
 
鉄道運輸では[[日本国有鉄道|国鉄]]民営化後に地方の不採算路線が次々と姿を消したり、一部は[[第三セクター鉄道]]に転換したりした。しかし[[第三セクター鉄道]]に転換した路線も一部を除けば赤字状態で廃止も相次いでいる。大都市の私鉄は、外国人観光客の増加により一時期の低迷を脱しつつあるほか、百貨店などの商業施設を建設・改装し収益を拡大しようとしている。[[JR]]は本州の旅客会社3社([[東日本旅客鉄道|JR東日本]]・[[東海旅客鉄道|JR東海]]・[[西日本旅客鉄道|JR西日本]])が民営化を実現し、[[九州旅客鉄道|JR九州]]も2016年に上場する予定である。一方、三島会社のうち[[北海道旅客鉄道|JR北海道]]・[[四国旅客鉄道|JR四国]]の2社は人口減少による利用者減少や民営化の際に設けられた経営安定基金の運用低迷などで株式上場の見通しがついていない。[[路面電車]]は全国で運行されていたが[[モータリゼーション]]の進行とともに廃止が相次いだ。しかし過度のモータリゼーションによる[[スプロール化]]や[[交通弱者]]の問題から見直され、新たに設置を検討したり計画している地方自治体がある。
 
 
 
バス運輸は全国各地に路線があり、通勤・通学、身近な用事などで利用されている。特に自動車を持たないお年寄りにとっては重要な交通手段となっているところもある。しかし、地方を中心に利用者が少なく赤字である路線も多く、そういった路線は地方公共団体の補助金・支援や都市間を結ぶ高速バスの黒字で路線バスの赤字を補填し運転をしているところが少なくない。しかし、近年の[[規制緩和]]による新規参入や低額な[[ツアーバス]]の台頭などで収益が減少し路線の縮小・廃止、さらにはバス会社の倒産が起こっている。廃止されたバス路線を[[地方自治体]]が継承し運行を続けるところもあるが近年の地方自治体の財政難から運行を続けることが難しくなっているところが多い。また[[2009年]]から景気対策の一環で始まった高速道路の割引では、高速バス利用者の減少や高速バスの到着に遅れが生じるなどの影響が生じている。
 
 
 
フェリー運輸は昔、本州や北海道や四国、九州を結ぶ路線が多く存在した。しかし[[青函トンネル]]、[[関門トンネル]]・[[関門橋]]、[[本州四国連絡橋]]が整備されたことでこれらの航路は減少したがトンネルや橋の通行料が高いために利用料の安いフェリー運輸を利用する人も多く今でも多くの航路が存在している。しかし、2009年からの高速道路の料金割引で[[本州四国連絡橋]]など高速道路と航路が競合するエリアでは、利用者が減少し航路の撤退や縮小が起きている。
 
 
 
タクシーは[[小泉内閣]]による[[規制緩和]]で新規参入やタクシー車両の増加が進み、初乗り「ワンコイン」(500円)タクシーが登場するなど価格値下げが進んだ。しかしその一方で不況が続き利用客の増加が難しい中で競争が激化したことで乗務員の収入が減少し労働環境の悪化が深刻になっている。そのため、[[国土交通省]]では車両数が増大して競争が激化した地域を「特定地域」に指定し、タクシー適正規模などを話し合う場を設けるなど対策を進めている。
 
 
 
==== 運輸業(貨物) ====
 
海運は、加工貿易を行う日本にとって重要であり資源の輸入、自動車・鉄鋼など輸出にはほとんどの場合は海運が利用され、貿易において重要な役割を担っている。内航海運も沿岸に立地する工業地帯の多い日本では大きな存在である。主な会社として[[日本郵船]]、[[商船三井]]、[[川崎汽船]]などがある。
 
 
 
航空運輸は、費用が高い・重厚のものは運べないというデメリットがあり貨物運輸で大きな地位があるとは言えないが、半導体など軽量・小型で商品価値が高い工業製品や魚介類など新鮮さが求められる商品の輸送には航空輸送が重宝されている。
 
 
 
トラック運輸は、高速道路の全国的な整備とともに成長した。日本の生産技術としてよく知られる[[ジャストインタイム生産システム]]はトラック輸送の強みを生かしている。しかし、トラックに偏重した日本の運輸は、交通事故の増加や幹線道路周辺の[[大気汚染]]、二酸化炭素の排出量増加などを招いた。そのため、運送の一部をトラック輸送から鉄道・船舶による輸送に切り替える企業も現れている。
 
 
 
鉄道運輸は、かつては大きな割合を占めていたが、トラック輸送の発達とともに減少している。しかし、鉄道輸送がトラック輸送と比べエネルギー消費が少ないこと、環境に負担がかからないことから見直されており、[[日本貨物鉄道|JR貨物]]では、貨物輸送の高速化・効率化を進めている。
 
 
 
==== 電力・ガス・水道業 ====
 
===== 電力業 =====
 
[[ファイル:電力会社事業地域図.png|left|thumb|200px|日本の電力会社の事業地域]]
 
{{see also|日本の電力会社|日本発送電|北海道電力|東北電力|東京電力|中部電力|北陸電力|関西電力|中国電力|四国電力|九州電力|沖縄電力|電源開発}}
 
{{see also|原子力発電所#日本|日本の原子力発電所|原子力基本法|電源三法|東京電力|東北地方太平洋沖地震|東日本大震災|福島第一原子力発電所事故}}
 
電力業は、第二次世界大戦前に国家総動員の名のもとに政府が電力を統制下に置くなか、[[日本発送電|日本発送電株式会社]]が設立され独占して電気を供給していたが、戦後「電力の鬼」と呼ばれた[[松永安左エ門]]主導のもと1951年に地域独占を認めた9電力体制(北海道電力、東北電力、東京電力、中部電力、北陸電力、関西電力、中国電力、四国電力、九州電力の9社、沖縄電力が入り10社体制になるのは沖縄返還後)および半官半民の電源開発が確立された。高度経済成長期の電力需要の増大に伴い、9電力会社は水力発電から火力発電を主体とした発電体制(水従火主)を敷くことになった<ref>[[電気事業連合会|電気事業連合会統計委員会編]] (2010) pp.45-45 1.発電電力量 9電力の発電量は昭和26年度(1951年度)には水力32,227百万kWh、火力7,011百万kWhだったが昭和40年度(1965年度)には水力55,335百万kWh、火力88,011百万kWhと逆転している</ref>。また、1955年には[[原子力基本法]]が制定され、原子力の平和利用を推進し、1966年には日本初の原発である[[東海発電所]](茨城県[[東海村]])が営業運転を開始した。オイルショック以降、原油価格の高騰に対抗すべく9電力会社も原発建設に着手し各社とも発電における原発の構成比を高めていった。
 
 
 
1990年代に入ると、[[電力自由化]]の流れにより参入規制が緩和されたことで新規参入が増加したが、主力の火力発電が燃料費(原油)の高騰による撤退が相次ぎ、[[コジェネレーション|コジェネレーションシステム]]を利用した一部の大規模な工場やショッピングセンターなどへの電力供給にとどまっている。
 
 
 
[[ファイル:Fukushima-1.JPG|right|thumb|200px|在りし日の[[福島第一原子力発電所]]]]
 
鳩山由紀夫(首相当時)が2010年3月6日、地球温暖化防止のために原発推進を主張し<ref>{{Cite web|url=http://www.47news.jp/CN/201003/CN2010030601000683.html|title=首相、「原発推進」明記の意向 温暖化基本法案で|date=2010年3月6日|publisher=[[共同通信]]、[[原子力安全・保安院]]|accessdate=2011-06-25}}</ref>、原発への機運が高まる中、東北地方太平洋沖地震の津波とそれによる電源喪失などにより[[福島第一原子力発電所]]では[[炉心溶融]]を伴う[[放射性物質]]の流出事故が発生([[福島第一原子力発電所事故]]、[[福島第一原子力発電所事故の経緯]]、[[福島第一原子力発電所事故の経緯 (2011年4月以降)]])、東京電力管内では電力不足から[[輪番停電]]を3〜4月に実施、[[菅直人]]首相が中部電力の[[浜岡原子力発電所]]の全原子炉停止を要請したことにより、運転停止という事態となっている<ref>{{Cite web|url=http://www.meti.go.jp/press/2011/05/20110506006/20110506006.pdf|title=浜岡原子力発電所の津波に対する防護対策の確実な実施とそれまでの間の運転の停止について|date=2011年5月6日|publisher=[[経済産業省]]、[[原子力安全・保安院]]|accessdate=2011-06-25}}</ref><ref>{{Cite web|url=http://www.chuden.co.jp/corporate/publicity/pub_release/press/3156075_6926.html|title=浜岡原子力発電所の運転停止要請への対応について|date=2011年5月9日|publisher=中部電力|accessdate=2011-06-25}}</ref>。
 
 
 
===== ガス業 =====
 
ガス業は、一部の都市や地域では[[都市ガス]]事業者によって都市ガスが供給されているが、それ以外の地域では[[プロパンガス]]事業者によってプロパンガスが供給されている。都市ガス事業者のほとんどは私企業であるが、[[仙台市ガス局]]など一部は[[地方公営企業]]の形態をとっている。また2017年には都市ガスの小売り全面自由化となった<ref>{{Cite web|url=http://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/gas/liberalization/about.html|title=ガスの小売全面自由化とは|accessdate=2018年8月2日|publisher=}}</ref>。
 
 
 
===== 水道業 =====
 
水道業では、水道の供給はほぼ[[地方公共団体]]や[[地方公営企業]]([[水道局]])によって行われている。近年、全国の上下水道管の老朽化が進んでおり、総延長の6.2%に当たる約38000キロの水道管が法定耐用年数の40年を超えている。<ref>[http://water-news.info/90.html 全国で水道管の老朽化が進む。全体の6.2%が耐用年数超え] - 世界の水事情、2010年5月12日(2011年9月11日閲覧)</ref>しかし、近年の地方自治体の財政難から更新は難しく近年では近隣自治体との水道事業の統合や民間企業への移管を行う自治体も出てきている。一方、日本の水道は漏水率が低いなど高い技術を持っており途上国での水需要が伸びる中、[[総合商社]]や水道関連メーカーなどと共に海外での水道ビジネスに乗り出す地方自治体の水道事業者も出てきている。
 
 
 
==== 情報産業 ====
 
[[2000年]]頃、ブロードバンド接続環境の普及が[[ITバブル]]崩壊後、一時的に停滞したが、その後すぐに回復基調に乗った。
 
 
 
[[2006年]]時点では、世界で最も安く性能のよい情報通信インフラが整備されている。特に[[デジタル加入者線|DSL]]技術や[[FTTH]]は日本が世界で最も進んでいる。また[[携帯電話]]網と情報通信網のネットワークが進んでいる。
 
 
 
コンピューター、とくにパーソナルコンピュータが普及している。コンピュータでは、世界的に高速なスーパーコンピュータとして知られる[[地球シミュレータ]]が建造され、近年では一時世界一となったスーパーコンピューター「京」なども建造されるなど、技術的に高い水準を持つ。また、元来、日本企業が[[家庭用電気機械器具|家電]]製品を得意とするため、[[情報家電]]と呼ばれる付加機能の付いた家電製品の分野が開けた。
 
 
 
[[ユビキタスコンピューティング]]は、日本が世界で最も[[ユビキタス]]社会が進んでいると言われている。発達した携帯電話を中心とする[[携帯機器]]と、インターネットでつながったパソコンのほか、遍在する情報機器、[[RFID]](電子タグ)などのインフラを連動させることで、日常の生活に浸透しつつある。
 
 
 
[[ソーシャル・ネットワーキング・サービス]]では、[[mixi]]のユーザー数が[[2010年]]4月に2000万人を突破する<ref>[http://www.j-cast.com/2010/04/15064587.html mixiユーザー数2000万人突破] - J-CASTニュース、2010年4月14日</ref>など利用者数が増加しており、[[facebook]]や[[twitter]]など海外SNSの日本市場への参入も進んでいる。近年はSNS上でプレイする[[ソーシャルゲーム]]市場が拡大しており、ソーシャルゲーム市場は2011年には2000億〜3000億円の市場規模に成長すると言われている。<ref>[http://www.toyokeizai.net/business/strategy/detail/AC/da044121ee851bc115c8a48c1181c5fe/ モバゲーvsグリー世界に誇るソーシャルゲーム2強のガチンコ実力比較] - [[週刊東洋経済]]、2011年9月8日(2011年9月10日閲覧)</ref>日本ではソーシャルゲームの分野では[[GREE]]を運営する[[グリー (企業)]]と[[Mobage]]を運営する[[ディー・エヌ・エー]]が激しい競争を繰り広げている。国内SNSでは利用者の拡大を求めて海外進出・海外SNSなどとの提携やアプリ開発促進のためプラットフォームのオープン化を進めている。
 
 
 
こうしたITは[[ベンチャーキャピタル]]の投資分野比率において、2011年度に22.8%だったのが2012年度に59.5%へ急増した。近年は[[ブロックチェーン]]関連需要で株価上昇などの際立った動きが見える。
 
 
 
情報産業の隆盛の一方、[[IT土方]]や[[ITゼネコン]]等日本の情報産業の構造が問題視されるようになっている。
 
 
 
==== メディア産業 ====
 
[[新聞]]業界は、[[一般紙]]においては[[戸別宅配制度]]や[[新聞販売店]]による営業によって新聞普及率・発行部数において世界3位<ref>{{PDFlink|[http://www.jftc.go.jp/pressrelease/08.july/080724tenpu02.pdf 新聞の流通・取引慣行の現状] - 公正取引委員会}}(2008年6月19日)、2011年9月20日閲覧</ref>と世界的にも高い新聞購読率を誇っている。また[[全国紙]]を発行する5社([[読売新聞グループ本社]]・[[朝日新聞社]]・[[毎日新聞社]]・[[日本経済新聞]]・[[産業経済新聞社]])が大手民間の[[キー局]]などと資本関係を持っておりテレビ業界へも強い影響を持っている。だが、近年はインターネットの普及や活字離れなどの影響で近年購読部数の減少が続いており、2017年には1世帯当たりの新聞購読部数が1部を割り込み0.75部数<ref>{{Cite web|url=https://www.pressnet.or.jp/data/circulation/circulation01.php|title=新聞の発行部数と世帯数の推移|accessdate=2018年8月2日|publisher=}}</ref><ref>[http://www.pressnet.or.jp/data/01cirsetai.html 新聞の発行部数と世帯数の推移] - 社団法人日本新聞協会、2011年9月20日閲覧</ref>になっている。[[地方紙]]なども含め新聞業界では[[夕刊紙]]の廃止・人件費削減などのコスト削減やインターネットでの記事ネット配信などを進めている。
 
 
 
[[テレビ]]業界では近年、これまでの地上波放送だけでなく[[BS放送]]・[[CS放送]]などの[[衛星放送]]・[[ケーブルテレビ]]の普及によってテレビの多チャンネル化が進んでいる。地上波では[[日本放送協会|NHK]]と民放のキー局5社([[フジテレビジョン]]・[[日本テレビ放送網]]・[[TBSテレビ]]・[[テレビ朝日]]・[[テレビ東京]])が大きな力を持っており、地方の系列局を通して全国にテレビ放送を行っている。1980年代後半以降、テレビの視聴時間は増加に転じており長時間テレビが見られる傾向が続いている。<ref>[http://www.nhk.or.jp/bunken/summary/research/report/2010_08/100801.pdf テレビ視聴率とメディアの利用の現在(1)] - NHK文化研究所(2010年8月号)、2011年9月21日閲覧</ref>しかし、インターネットの普及などによって若年層を中心に[[テレビ離れ]]が加速しており、テレビの視聴率低迷や景気低迷でテレビ局の経営環境は厳しくテレビ局の主要な収入であるテレビ広告費は年々減少傾向<ref>[http://www.dentsu.co.jp/news/release/2011/pdf/2011019-0223.pdf 2010年の日本の広告費は5兆8,427億円、前年比1.5%減] - 電通(2011年2月23日)、2011年9月21日</ref>にある。近年は、キー局を中心にネットとの融合を進めており、番組のネットの配信やネットを活用した番組作りなどが進められている。
 
 
 
[[ラジオ]]業界は[[1960年代]]のテレビの普及に伴い[[ラジオ離れ]]が加速したが[[深夜放送]]など番組改編によって持ち直し現在もメディアとして一定の存在感を持っている。1960年代以後もFM放送局を中心にラジオ局の開局が行われた。1980年代になると規制緩和の影響を受けて放送範囲を市区町村など狭い範囲での放送を行う[[コミュニティ放送局]]の開局が増加した。テレビなど他の既存メディアと同様にネットの普及などで再びラジオ離れがささやかれている。テレビ業界と同様にネットとの融合が進められている。
 
 
 
[[出版]]業界は[[1996年]]まで出版物の販売が増加し[[1989年]]には2兆円を突破するなど成長が続いてきた。しかし、近年は活字離れやメディアの多様化の影響などで[[出版不況]]が続いており、2017年の出版物販売額は1兆3,701億円と13年連続低下しピークの1996年から1兆円減少している<ref>{{Cite web|url=https://www.jiji.com/jc/article?k=2018012500737&g=eco|title=出版物販売、13年連続減少=雑誌激減、電子は好調|accessdate=2018年7月19日|publisher=}}</ref>。<ref>『会社四季報業界地図 2012年版』92・93ページ、東洋経済新報社(2011年9月15日)</ref> 特に雑誌は購読部数の減少で広告収入の減少にも繋がっており、近年雑誌の休刊・廃刊が進んでいる。ネットを活用した[[デジタル雑誌]]の発行や付録など工夫を凝らした雑誌の発行などの取り組みが行われている。
 
 
 
==== コンテンツ産業 ====
 
コンテンツ産業は、メディア産業とも呼ばれる。日本のコンテンツ産業の市場規模は12兆5246億円である<ref name=METI>[http://www.meti.go.jp/policy/media_contents/ コンテンツ産業政策] 2000年、[[経済産業省]]資料</ref>。
 
規模の大きな領域として、[[テレビ]]番組、[[新聞]]、[[雑誌]]、[[カラオケ]]などがある。[[映画]]、[[ビデオ]]などの映像関連は比較的規模が小さく、今後の産業育成が期待される。
 
 
 
[[日本映画]](邦画)は、昭和30年代のテレビ普及とともに長期凋落傾向が続いたが、近年復活の傾向が見られる。しかし、現在でも一部の監督作品および分野を除いては世界的な普及には至っていない。テレビ番組は、高度な技術、豊富な資金およびアイデアを背景にアジアを中心に受け入れられたが、近年は陳腐化が進んだとされる。
 
 
 
[[アニメ]]、[[漫画]]、映画などの輸出が増え、コンテンツ輸出総額だけで 1兆円を超える産業に育っている。アニメのコンテンツ輸出が活発で、その流れで漫画の輸出額も増えている。アニメは、世界のアニメーション産業の6割のシェアを占めているほか、ストーリー、技術共に他国のそれを格段に凌いでいることから、世界から注目を浴びている。アニメ産業は、低賃金・長時間労働・高リスクという構造的な問題から、下請け先を海外に見いだすなど、空洞化が懸念されている<ref name=METI/>。また、[[ファンサブ]]等の[[著作権侵害]]による被害も問題となっている。
 
 
 
====レジャー・娯楽産業====
 
パチンコ産業は、2016年現在21兆6,260億円<ref>{{Cite web|url=https://www.heiwanet.co.jp/ir/kojin1.php|title=パチンコホールの売上、参加人口、活動回数|accessdate=2018年7月19日|publisher=}}</ref><ref>『レジャー白書2011』、日本生産性本部(2010年)</ref>と余暇市場においても大きな割合を占めている。しかし、パチンコへの規制強化や娯楽の多様化などの影響で近年低迷傾向にある。パチンコ店では、1円パチンコなど低価格で遊べるパチンコ台を導入するなど初心者客の獲得を進めている。
 
 
 
テーマパーク・遊園地は、[[バブル景気]]期に制定された[[総合保養地域整備法]]の後押しもあり全国各地で多くのテーマパーク・遊園地が開業した。しかし、バブル崩壊で入場者が減少し[[東京ディズニーランド]]、[[ユニバーサル・スタジオ・ジャパン]]など一部の施設を除き多くの施設が経営不振に苦しむことになった。[[2003年]]に[[ハウステンボス]]が会社更生法を申請するなど全国各地でリゾート施設の倒産・閉鎖が相次いだ。
 
 
 
==== その他のサービス業 ====
 
教育サービスは、小中学生では[[ゆとり教育]]による学力低下の懸念から[[学習塾]]に通ったり[[通信教育]]を受けたり、[[家庭教師]]を雇うなど学校以外で何か勉強をしている小中学生が増えている。大人では就職や転職に有利なことから[[資格]]や[[検定]]等を取得するための通信教育を受講する人も増えている。ただ今後の少子化の進行で学習塾や予備校などは競争が激化することが予想され、統合や提携が相次いでいる。
 
 
 
郵便サービスは、特定信書便では[[郵便事業|郵便事業株式会社]]以外の企業がある程度参入しているが一般信書便は参入条件が厳しく一般信書便事業は郵便事業会社が独占状態である。
 
 
 
宅配便サービスでは[[1980年代]]から急速に取り扱い量を増やし、それまであった[[郵便小包]]や[[チッキ]]は急速に衰退している。取扱量増加と共にクール便や配達日指定などさまざまなサービスが生まれている。取扱量では[[ヤマト運輸]]・[[佐川急便]]の2社が大きく3位以下を引き離している。
 
 
 
外食サービスは、今ではファミリーレストランやハンバーガーショップ、外国料理店などさまざまタイプの店舗があり、核家族化や女性の社会進出などの影響もありおよそ25兆円の市場規模まで成長した。しかし、景気悪化や独身世帯の増加等により先細りの傾向にあり[[すかいらーく]]のように大規模な店舗改革やブランドの廃止などが行われている。
 
 
 
福祉サービスは、高齢化社会の進行から老人向けの介護・介助サービスが成長している。ただ重労働で時間シフトの厳しい職種でありながらひじょうに低賃金で人材確保に苦戦しており、施設を建てたのに職員が不足している福祉施設も多い。そのため、国では介護報酬の引き上げを行っているが運営に苦戦している事業所も多く、なかなか人件費アップにはつながっていない。また将来的な福祉従事者の不足に備え、外国人労働者を介護福祉士として養成する政策も行われているが、漢字や専門用語を大量に含む日本語による資格試験の壁や出題難度の高さ、実務経験の要求や1回の試験で合格しなければ本国に返されるなどの制約条件の高さから日本でのキャリアパスが期待できないと敬遠される傾向にあり、定着率も低い。
 
 
 
人材派遣・業務請負サービスは、規制緩和の影響や企業がコスト削減のために非正規社員を積極的に採用したために成長した。しかし違法な[[偽装請負]]などの問題が発生している。また、景況悪化と法律の改正によって撤退・廃業が相次ぎ、業界自体の存在が危うくなりつつある。
 
 
 
[[性風俗産業]]は5兆円超の規模である<ref>{{Cite book|title=デリヘルの経済学 - すべてのビジネスに応用できる究極のマーケティングノウハウ極秘公開!|Author=[[モリコウスケ]]|publisher=[[こう書房]]|date=2007年7月1日|isbn=9784769609445}}</ref>。[[アダルトビデオ]]業界は国内総生産の1%を占め、日本国外でも人気を博している<ref>{{Cite web|url=http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=49335|title=日本のアダルトビデオは中国でどのように浸透していったのか? - 米華字紙|date=2011年2月14日|publisher=[[レコードチャイナ]]|accessdate=2011-05-17}}</ref>。
 
 
 
== 現在抱える問題と展望 ==
 
=== 産業空洞化 ===
 
1980年代以降、[[円高]]を契機に、人件費の抑制などを目的として生産拠点を国内から海外に移転する「空洞化」が深刻化している。近年は[[カントリーリスク]]回避や新興国の賃金上昇などで日本に生産拠点を移す企業もある。
 
 
 
=== 金融機能の低下 ===
 
バブル期における過剰融資とバブル崩壊による担保価値の減少で、銀行は多額の[[不良債権]]を抱えるに至った。2000年以降は[[金融再生プログラム]]を初めとして不良債権処理が進み、銀行は多額の増資や[[貸倒引当金]]積み立てを行い、その後の景気回復により[[都市銀行]]についてはほぼ解消されつつある。しかし現在でも20以上の金融機関が[[預金保険機構]]による資本増強(公的資金注入)を受けている。
 
 
 
=== 起業 ===
 
日本は欧米に比べて起業件数が少ない。原因として、日本では資金の調達先が金融機関に限られやすいことが挙げられる。起業経験のない人が金融機関から資金調達するのは難しく、起業して失敗すると多額の借金を抱えやすいからである。[[2004年]]に政府は対策として法改正を行い、1円から起業可能にするとともに経営のサポート体制も構築したが、効果は未知数である。
 
 
 
=== 首都の過密と地方の過疎 ===
 
{{see also|東京一極集中|東京都#一極集中の歴史|プライメイトシティ}}
 
戦後[[高度経済成長]]期にかけて、太平洋ベルトを中心とした都市部への人口集中が続いた。高度経済成長以降は、[[首都]]・[[東京都|東京]]への一極集中が加速し、地方の農業や地場産業の衰退に伴って、「[[過疎]]と[[過密]]」の国土が形成された。そして、「[[平成不況]]」が到来すると、より一層、東京一極集中が加速している。
 
 
 
高度経済成長期の地方には、支店や営業所が立ちならぶ「[[支店経済都市]]」と、特定企業の工場が立ち列ぶ「[[企業城下町]]」が増加した。
 
 
 
列島改造論以降、道路整備を中心に行われた公共投資は、[[モータリゼーション]]を深化させ、[[地方都市]]において[[中心市街地]]の衰退を招いたが、自然破壊や地元への維持費の負担など弊害が多く目立ち、景気対策としても思うような効果を招かなかったという批判が高まり、公共投資は圧縮されるようになった。[[公共事業]]という主要産業を失った地方では、[[建設業]]が[[農業]]や福祉産業に転じるなどの動きが見られる。
 
 
 
東京一極集中は、[[バブル経済]]崩壊後の不景気を経て加速しており、特に[[山手線]]内とその沿線では、[[オフィスビル]]や高層[[マンション]]の建設など、民間建設投資が活発に行われるようになった([[都心回帰]])。これに伴って、東京都心から離れた地域では、住民の高齢化と人口減少に悩む都市が現れている([[小田原市|小田原]]、[[春日部市|春日部]]、[[土浦市|土浦]]など)。
 
 
 
一方で[[小泉純一郎]][[内閣総理大臣|首相]]・[[竹中平蔵]][[内閣府特命担当大臣(経済財政政策担当)|経済財政担当大臣]]・[[奥田碩]][[経団連]]会長<!--2003年発表の「奥田ヴィジョン」の中で、奥田は「300市」への削減を宣言しています。-->が推進する[[日本の市町村の廃置分合|市町村合併]]や[[地方交付税]]の削減により、全国各地の中小都市や[[村落]]は、役場の雇用や自治権<!--自治権の問題を軽視してはならないでしょう。合併推進派の主張の特徴に、「自治権の軽視」が見られます。-->の喪失などによって、衰退に拍車が掛かっている。
 
 
 
さらには、[[安土桃山時代]]までは首都圏として、文化・経済の各面で日本をリードして来た[[京阪神]]までもが、相次ぐ本社の東京への移転により、弱体化に悩まされている。
 
 
 
そして、東京以外でも、[[中央省庁]]の[[地方支分部局|出先機関]]が集中する都市([[札幌市|札幌]]、[[仙台市|仙台]]、[[名古屋市|名古屋]]、[[広島市|広島]]、[[福岡市|福岡]])は、中央省庁の出先機関に引きつられて企業の支店が密集し、「ミニ東京」と化して一極集中が加速している。
 
 
 
=== 経済成長率 ===
 
国内総生産から見ると、製造業の影響が大きい。<!--寄与度分析のデータ必要-->
 
 
 
国内総支出から見ると、米国に比べ輸出の割合が大きい。[[個人消費]]は、1990年後半から伸び悩んでいる。
 
 
 
潜在成長率は、[[団塊世代]]の大量退職や総人口減少により、次第に低下していくとの見方がある。一方で生産性の向上や、高齢者、主婦などの非労働力人口を労働力化することによって、成長が確保できるという意見もある。
 
 
 
=== 国民一人当たりGDP順位の下落 ===
 
日本は[[1993年]]に国民一人当たり国内総生産(名目GDP)が世界第2位であったが、徐々に下落を続け、[[国際通貨基金|IMF]]発表で、2016年推計は24位まで低下した。高齢化社会到来と共に日本衰退の兆しであるとする意見がある。しかし近年{{いつ|date=2015年10月}}[[ユーロ]]高が続き、それがGDP統計に反映され欧州各国の順位が高めになっている面もある。さらに日本は近年、輸出産業のために[[円安]]政策をとっているため、これがドルで計算されるGDPを低くしているとの指摘がある。
 
 
 
アジアの中では日本は長年1位を保持してきたが、IMFの発表では2007年度はシンガポールに抜かれ、アジア2位に転落した。またIMF発表の2008年確報値ではブルネイが上回り、その後円高を受けて日本が逆転したものの、2013年以降の円安政策によって再びブルネイが逆転した。更に、ブルネイは所得税がなく、教育費、医療費も無料のため、実際の生活水準では日本より上で、世界最高水準にあると見られる。
 
 
 
また労働時間の面からも、[[経済協力開発機構|OECD]]の2006年統計では日本の平均労働時間は1775時間であり、国際水準と比較し長く、統計にサービス残業は含まれていないため、労働時間当たりのGDPはさらに低い計算となる。
 
 
 
国民1人当たりGDPは[[金融センター]]や貿易センターを抱える[[都市国家]]型の経済と[[国民国家|領域国家]]型の経済を単純比較するのには限界があり、また近年{{いつ|date=2015年10月}}の[[ユーロ]]高や円安政策などさまざまな要因があるが、世界経済に占める2010年度の名目GDP総額割合は8.7%と前年比で0.1ポイント低下、1994年 (17.9%) の約半分と、1990年代と比較し、国際社会での日本経済の購買力低下は鮮明となっている。
 
 
 
=== 公的債務の増大 ===
 
日本の公的債務は、とくに1990年代に入って増加の一途をたどっている。これについては、1990年代以降の不況による税収の低迷、不況対策のための[[財政政策]](公共事業などの財政出動と減税)の発動、高齢化などによる社会保障給付の増大が主な理由とされる。累積債務が膨大であるため、現在低水準である[[長期金利]]が今後上昇すれば利払いで財政が窮地に陥る可能性が示唆されている。一方、[[日本国債|国債]]の多くが[[銀行]]や[[郵便貯金#資金運用先|郵便貯金]]の[[預金]]運用に充当され、あるいは証券会社の[[MRF]]や[[中期国債ファンド]]などに利用されるなど、国内での需要が高く、国債発行にともなう金利の急騰([[クラウディングアウト]])なども引き起こしていないことなどから、過剰に問題視する必要はないという見方もある。
 
 
 
=== 雇用・労働環境 ===
 
戦後の雇用環境は、[[年功序列]]を基本とした「頑張れば報われる」制度となっていた<ref name="sinbyodo">『新平等社会』著:[[山田昌弘]] 文藝春秋 2006年9月</ref>。
 
 
 
非正規雇用者については、経済のグローバル化に伴い1980年代以後半から労働者を[[非正規雇用|非正規社員]]として[[雇用]]する企業が増加している。また、バブル崩壊以降の[[失業|失業率]]の上昇により[[フリーター]]や[[ニート]]が増加しているという意見が注目を浴び、社会問題として取り上げられるようになる。他には、派遣の拡大は、[[偽装請負]]の問題や社員の契約・派遣への転換(非正規化)も深刻化している。
 
 
 
正社員の雇用については、バブル崩壊以降は伸び悩んでいたが、団塊世代の退職([[2007年問題]])に伴い正社員を雇用する大企業が増えている。
 
 
 
[[外国人労働者]]については、少子化が進む中人材確保の期待から、[[日経連]]等は[[移民]]の受け入れを提言している。外国人は日本の職場における独自の慣習になじむのが難しいことから高度技能者として日本にやってくる労働者は少ないが、[[新興国]]市場へのシフトを強める日本企業ではアジア系外国人への期待が高まり、日本の大学に留学したり、母国の大学で日本語を学んだ中国人・韓国人を中心とする外国人[[新卒]]者が多数日本企業に採用されている。外国人の非熟練労働者は低賃金で働かせる事ができることから2008年頃までは増加したが、人件費を抑える目的で違法・脱法的な身分で働いている者が多いなど、問題も発生している(詳細は[[外国人労働者]]を参照)。
 
 
 
高度経済成長期以降は仕事中心のライフスタイルが広がり、我が身を犠牲にして会社につくす従業員は[[企業戦士]]と呼ばれた。現在も企業規模の大小を問わず劣悪な労働条件がひろく見られ、[[サービス残業|不払い残業]]が当然視されるなど、労働法制に違反する行為が横行しており、労働者が相次いで[[過労死]]すると言う現象は先進国において日本特有のものだと言われる。
 
 
 
[[2008年]]以降、[[世界金融危機]]に伴う景気悪化によって失業率が戦後最高水準にまで上昇し、[[内定取り消し]]や[[失業]]が社会問題化している。
 
 
 
[[2010年代]]に入る前後からは、労働者を容赦なく過酷な環境で働かせ、使い捨てる、いわゆる「[[ブラック企業]]」が社会問題化している。
 
 
 
==== 非正規雇用の増加 ====
 
1980年代以降、[[非正規雇用]]が増加している。1992年から2012年の間に、正規雇用が3705万人(労働者の79.5%)から3340万人(同64.8%)と減少したのに対し、非正規雇用は958万人(同20.5%)から1813万人(同35.2%)へと大幅に増加した<ref>総務省『労働力調査』</ref><ref>総務省『労働力調査特別調査』</ref>。[[パートタイム]]労働者の時給は[[常勤|フルタイム]]労働者の時給の40%程度に押さえられているが、OECDはこの時給差は[[生産性]]の違いとしては大きすぎると指摘している<ref name="oecd2006" />。
 
 
 
企業にとってはコスト面で一定の効果がある。しかし、外部の人間である[[派遣]]社員や・短期就労が大半の[[パート]]・期間従業員に品質意識まで要求することは困難であり、[[非正規雇用]]者の増加が、品質低下を招いているとの指摘が出されている<ref>{{cite web |url=http://diamond.jp/articles/-/7772 |title=日本製品の品質低下をもたらした現場の軽視と行き過ぎたコスト削減|accessdate=2013年1月28日|publisher=ダイヤモンド・オンライン|date=2010年4月2日}}</ref>。
 
 
 
また、[[非正規雇用]]者の増加に伴い、同世代における所得格差の拡大、人材不足が深刻化している。
 
(非正規雇用者はスキルを高める機会および意欲が少ない。他に、団塊世代の大量退職と[[少子]]、[[高齢化]]も影響している)
 
 
 
==== 所得格差 ====
 
日本の[[ジニ係数]]は1980年中盤より年々上昇し続け、2006年度OECD経済レポートでは「OECD諸国の中で最も[[経済的不平等]]の大きい国の1つである」と指摘された<ref name="oecd2006">{{Cite report |author=OECD |authorlink=経済協力開発機構 |date=2006-07-20 |title=Economic Survey of Japan 2006 |url=http://www.oecd.org/document/55/0,3343,en_2649_33733_37127031_1_1_1_1,00.html |doi=10.1787/16097513 |ref=harv |archiveurl=https://web.archive.org/web/20150924130801/http://www.oecd.org/document/55/0,3343,en_2649_33733_37127031_1_1_1_1,00.html |archivedate=2015年9月24日 |deadlinkdate=2017年10月 }}</ref>。OECDはその原因を非正規雇用者の増加などの「労働市場の二極化」が主因であると指摘しており<ref name="oecd2006" />、OECDは「[[正規社員の解雇規制緩和論|正規労働者に対する雇用保護を削減せよ]]」と勧告している<ref name="oecd2006" />。さらにOECDは高齢化の影響で50〜65歳の労働者層の割合が突出していることが、賃金のゆがみを大きくさせていると指摘している([[世代間格差]])<ref name="oecd2006" />。
 
 
 
また、[[OECD]]諸国の中で日本は[[韓国]]に次いで二番目に[[男女の賃金差]]が大きい国である<ref>[[OECD]]. [http://www.oecd.org/dataoecd/54/57/40846335.pdf ''OECD Employment Outlook 2008 - Statistical Annex'']. OECD, Paris, 2008, p. 358.</ref>。
 
 
 
貯蓄を一切持たない[[世帯]]も増加しており、「[[一億総中流]]」の社会は崩壊し[[階層社会]]へ移行しつつあるという認識が広がっている。政府は、格差拡大に対して努力により上層へチャレンジすることができる社会を掲げているが、親の収入に基づく[[教育格差]]の拡大や企業の新卒限定採用により、階層が世代を超えて固定化されることが懸念されている。
 
 
 
所得分配の格差問題は[[バブル景気]]の頃に一度問題となり「マル金」「マル貧(ビ)」(金魂巻)などの流行語を生み出した。バブル経済の崩壊と長期にわたる経済の低迷によりこうした流行語は消滅したが、経済の自由化や派遣労働など雇用の流動化を背景に、所得格差・資産格差の階層化は固定化の傾向にあり、近年では高所得・資産のグループを「[[勝ち組]]」、低所得・資産のグループを「[[負け組]]」と呼ぶ風潮が[[流行]]している。
 
 
 
==== 失業 ====
 
戦後の日本企業では終身雇用制度がとられていた事もあり、[[失われた10年]]まで失業が社会問題化することは稀だった。例外として、[[オイルショック]]の後、一時失業者が増加したが、その後の景気回復で一時的な不安に終わっている。
 
 
 
[[バブル景気]]崩壊後の[[平成不況]]によって[[就職氷河期]]と呼ばれる時代が訪れ、失業が社会問題化した。また、2008年以降の[[世界金融危機]]によって完全失業率は戦後最悪水準の5.0%にまで悪化した。<ref name="失業率" />その後は緩やかに下落している。<ref>{{cite web |url=http://www.toyokeizai.net/money/markett2/detail/AC/ae9127c5ae5e203082d4a7717ebe4716/ |title= 3月の完全失業率は4・6%と変わらず、失業者数は304万人に増加 |accessdate=2011年5月9日 |publisher= 東洋経済オンライン |date=2011年4月28日}}</ref>
 
 
 
==== 家計貯蓄率の急速な低下 ====
 
2006年度の[[国民経済計算]](内閣府)の家計貯蓄率は3.2%と1949年以来の低さとなった。家計貯蓄率が急速に下落した背景には、所得の減少、雇用の非正規化、無職世帯の急増などが挙げられる。家計貯蓄率は1997年度の11.4%から3分の1以下に急低下した。総じて日本の家計は貯蓄する傾向があると言われたのは過去のことになりつつある。とくに1999年に5%近く急激に低下した以降5%から4%を下回る長期低落傾向にあり、急速な高齢化、賃金停滞にともなう労働市場からの退出(勤労世代の無業化)、ワーキングプア層の急拡大などが背景にあるものと考えられる。もっとも、勤労者世帯の[[貯蓄率|黒字率]]は26.8%であり日本人の貯蓄に対する性向やライフスタイルが極端に変化したと見るのは早計で、世帯構成のうち勤労者世帯比が53.1%であるのに対して、全体の30.1%を占める無職世帯(その多くが高齢者世帯である)の[[貯蓄率|黒字率]]が-31.4%と著しいマイナスになっていることが大きい<ref>第一生命経済研究所調査部 レポート[http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/kuma/pdf/k_0801a.pdf]</ref>。
 
 
 
=== 外国からの直接投資 ===
 
日本では1980年代以降に大幅な規制緩和が進んだ。まず法人税が大幅に切り下げられてきた。[[資本の自由化]]は東京の[[オフショア市場]]化に結実した。合衆国で[[レバレッジド・バイアウト]]が横行するのと並行して、日本の[[社債]]制度がLBOを容易にする方向へ変わっていった。一方で[[ミューチュアル・ファンド]]資本が[[多国籍企業]]に大量投下され、その日本支社がしばしば各業界で大手企業である。2000年前後の学説には、外国法人からの[[直接投資]]だけに着目し伸び悩んでいるとして開放的な政策を推進するものが見られる。しかし現実的・実質的な資本関係に着目した直接投資は十分に増えてきている。資本自給率の維持も基本政策として重要な観点であるが、直接投資は外国と日本いずれにおいても庶民へ還元できるような国益を無視している。この点、経産省が[[ソブリン・ウエルス・ファンド]]を含むデータを提出させている。それによると日本株をアクティブ運用する支配的なところは2014年3月末現在で上から順に、[[ノルウェー中央銀行]]の投資部門、[[アブダビ投資庁]]、そして[[フィデリティ・インベストメンツ]]である<ref>株式会社アイ・アールジャパン [http://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2015fy/001070.pdf 平成26年度対内直接投資促進体制整備事業(外国投資ファンド等の動向調査)に関する報告書] p.7.</ref>。
 
<!--(竹中平蔵などが以下の見解をとるが、実際の研究に使っているデータは偏っている。データに客観性・中立性のある)しかし、法人税制を日本より更に魅力的なものへと変革し、外国企業に対する優遇税制を積極的に推進するオランダ、ベルギー、デンマーク等の[[西ヨーロッパ]]諸国、中国やUAE等の新興国に国際的企業の研究開発拠点、製造拠点が作られ始めると、日本はアメリカ合衆国と並んで外国企業への優遇税制に遅れをとる国の1つとなった。
 
また、外国企業が日本に進出しても、世界市場に比べ特異な日本市場で成功することは稀であり、カルフールやメリルリンチといった企業が日本から撤退していった。しかし、日本市場が縮小しているため、外国企業の国内進出はおろか、日本企業の拠点の海外流出が加速している。今後、新興国との競争に負けないために、自由貿易協定の締結を推進して関税を引き下げ、外国企業への優遇税制を実施し、経済自由化に向けた取り組みを推進していく必要があるが、企業優遇税制に対する国内世論の反発が強く、取り組みは諸外国に比べ遅れており、拠点立地、投資の魅力が無い国となっている。-->
 
 
 
== 経済政策 ==
 
明治以降の[[経済政策]]について。
 
* [[殖産興業]]
 
* [[財閥解体]]
 
* [[傾斜生産方式]]
 
* [[所得倍増計画]]
 
* [[日本列島改造論]]
 
* [[聖域なき構造改革]]
 
* [[アベノミクス]]
 
* [[失われた10年]]
 
* [[失われた20年]]
 
* [[失われた30年]]
 
* [[働き方改革関連法案]]
 
 
 
== 脚注 ==
 
{{脚注ヘルプ}}
 
{{Reflist|3}}
 
 
 
== 参考文献 ==
 
<!-- (50音順) -->
 
* [[有森隆]]+グループK (2006) 『闇の系譜-ヤクザ資本主義の主役たち』[[講談社]]+α文庫 ISBN 978-4062810456
 
* [[金森久雄]]・[[香西泰]]・[[加藤裕己]]編 (2007) 『読本シリーズ 日本経済読本[第17版]』[[東洋経済新報社]] ISBN 978-4-492-10018-9
 
* 財団法人矢野恒太記念会編 (2008) 『日本国勢図会2008/09』 ISBN 978-4-87549-139-2
 
* [[貞廣彰]] (2005) 『戦後日本のマクロ経済分析』[[東洋経済新報社]] ISBN 4492394419
 
* 佐藤文昭 (2006) 『日本の電機産業再編へのシナリオ』 [[かんき出版]] ISBN 9784761263584
 
* [[電気事業連合会|電気事業連合会統計委員会編]] (2010) 『電気事業便覧 平成22年版』 ISBN 978-4-88948-231-7
 
* [[橋本寿朗]]・長谷川信・宮島英昭 (2006) 『現代日本経済(新版)』 [[有斐閣]] ISBN 4-641-12297-0
 
* [[三菱総合研究所]]産業・市場戦略研究本部編 (2006) 『読本シリーズ 日本産業読本[第8版]』東洋経済新報社 ISBN 4-492-10015-6
 
* [[宮崎勇]] (2005) 『証言戦後日本経済 政策形成の現場から』[[岩波書店]] ISBN 4-00-023334-3
 
 
 
== 関連項目 ==
 
{{Commonscat|Economy of Japan}}
 
* [[日本の経済史]]
 
* [[日本の経済論争]]
 
* [[日本の歴史]]
 
* [[日本の政治]]
 
* [[経済白書]]
 
 
 
== 外部リンク ==
 
* [http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/menu.html 内閣府 国民経済計算]
 
* {{PDFlink|[http://www.oecd.org/dataoecd/6/5/47651437.pdf OECD 対日審査報告書 2011 年版]}}
 
* [http://www5.cao.go.jp/keizai3/2011/1221nk/ 日本経済2011 - 2012  - 震災からの復興と対外面のリスク - 平成23年12月 (内閣府)]
 
 
 
{{日本関連の項目}}
 
{{戦前日本の経済史}}
 
{{日本の経済史}}
 
{{アジアの題材|経済|mode=5}}
 
{{アジア太平洋経済協力}}
 
 
 
{{デフォルトソート:にほんのけいさい}}
 
[[Category:日本の経済|*]]
 
[[Category:各国の経済]]
 
[[Category:日本|けいさい]]
 

2018/10/9/ (火) 11:49時点における最新版



楽天市場検索: