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{{日本の法令
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(ぶんかざいほごほう、昭和25年[[5月30日]]法律第214号)
|題名=文化財保護法
 
|通称=
 
|番号=昭和25年法律第214号
 
|効力=現行法
 
|種類=[[教育法]]
 
|内容=[[文化財]]の保護
 
|関連=[[博物館法]]、[[景観法]]、[[都市計画法]]、[[地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律|歴史まちづくり法]]、[[文化芸術振興基本法]]
 
|リンク= [http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S25/S25HO214.html 総務省法令データ提供システム]
 
|ウィキソース=文化財保護法
 
}}
 
'''文化財保護法'''(ぶんかざいほごほう、昭和25年[[5月30日]]法律第214号)は、[[文化財]]の保存・活用と、[[国民]]の[[文化]]的向上を目的とする、[[日本]]の[[法律]]である。
 
  
[[有形文化財|有形]]、[[無形文化財|無形]]の文化財を分類。その重要性を考慮して、国の場合は[[文部科学大臣]]または[[文化庁長官]]、[[都道府県]]の場合は[[都道府県知事]]、[[市町村]]の場合は[[市町村長]]による指定、選択、選定、認定あるいは登録により、文化財の保護のための経費の一部を公費で負担することができる。
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文化財を保護するため、1950年(昭和25)制定公布された法律。前年1月の法隆寺金堂炎上が契機となり、議員立法によるものであったことを第一の特色とし、第二には「国宝保存法」(1929制定)と「重要美術品等ノ保存ニ関スル法律」(1933制定)とをあわせたばかりでなく、「史蹟(しせき)名勝天然記念物保存法」(1919制定)をも吸収し、歴史上または学術上価値あるものは、土地や植物、動物などをも文化財として保護することにした。
  
== 制定の契機 ==
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 このほかにもまったく新しい観点から無形文化財、埋蔵文化財、民俗資料を加えたことが第三の特色である。その後、社会情勢などの変遷により、これらに適合させるため、1975年、同法に大改正がなされた。その結果、新たに、周囲の環境と一体をなして歴史的風致を形成している伝統的建造物群、有形・無形の民俗資料をあわせた民俗文化財、無形文化財の一つであるが文化財の保存のために欠くことのできない伝統的技術・技能で保存の措置を講ずる必要のある選定保存技術などの保護についても考えられている。
[[1949年]](昭和24年)1月26日の[[法隆寺]][[金堂]]の火災により、[[法隆寺金堂壁画]]が焼損した。<!--NOR : この事件は、全国に衝撃を与え、文化財保護体制の整備を要望する世論が高まり、-->これをきっかけに、文化財の保護についての総合的な法律として、[[議員立法]]により本法が制定された。<!--本項目に無関係:この火災が起こった1月26日は[[文化財防火デー]]となり、[[文化庁]]は、毎年防火事業など災害から文化財を守るための訓練などを行うよう[[自治体]]等に呼びかける。-->
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 1996年(平成8)の同法改正では、従来の指定制度を補完するものとして、緩やかな保護措置を講ずる制度(文化財登録制度)が導入された。さらに2004年(平成16)の改正(施行は2005年)では、地域における人々の生活または生業および地域の風土により形成された景観地で、わが国民の生活または生業の理解のため欠くことのできないものとして文化的景観が加えられた。
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 行政機構としては、当時の文部省外局として新しく文化財保護委員会を設け、国立博物館と国立文化財研究所を付属機関として吸収した。その後、1968年6月、文化財保護委員会が廃止され、新設の文化庁に文化財保護部として吸収され、諮問機関として文化財保護審議会が設置された。また、2001年の省庁再編に伴い、文化財保護部は文化財部に、文化財保護審議会は文化審議会文化財分科会に改組された。このような中央的機構に直結するものとしては、都道府県教育委員会に権限や事務を委任して地方的機構にかえている。都道府県教育委員会では、現在はおおむね文化課ないし文化財保護課などを設置し、文化財保護の主管課としている。また、国立博物館と国立文化財研究所は2001年4月より独立行政法人となり、2007年4月には統合されて独立行政法人国立文化財機構となっている。
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 これらの機関が行う主要行政は、(1)保護すべき文化財の指定、(2)指定文化財の管理(滅失・亡失・毀損(きそん)などの防止、所在変更届出)、(3)保護(指定文化財の保存に障害を及ぼすようないっさいの行為の制限・禁止、危険な場合の積極的指導、財政援助など)、(4)公開、(5)調査、(6)記録の作成などとなっている。
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 とくに(3)の保護関係の条文では、重要文化財に関し、所有者・管理者への財政援助とともに現状変更の制限、修理の届出制、輸出の禁止、売渡しの際の申出制など、文化財保護のための最小限の制限事項をうたっている。
  
文化財保護法の施行期日を定める政令(昭和25年政令第276号)によって、1950年(昭和25年)8月29日に施行された。この施行に合わせて、前身である[[史蹟名勝天然紀念物保存法]]([[1919年]])制定)、[[国宝保存法]]([[1929年]]制定)及び[[重要美術品等ノ保存ニ関スル法律]]([[1933年]]制定)は廃止された。
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 これらの文化財の保護については、社会や経済の急激な変動と生活様式、慣習の変遷により、種々の問題がおこっている。しかし、文化財は古い時代から伝えてきた国民的財産で、これを後世の人々に伝えることはわれわれの責務であることを自覚し、国や地方公共団体はもちろんのこと、所有者、管理団体、さらには国民が一体となって、文化財を保護してゆかねばならない。
 
 
==構成==
 
{{main2|本法が定める文化財の分類|文化財}}
 
*第一章 総則(1 - 4条)
 
*第二章 削除
 
*第三章 [[有形文化財]]
 
**第一節 [[重要文化財]]
 
***第一款 指定(27 - 29条)
 
***第二款 管理(30 - 34条)
 
***第三款 保護(34条の2 - 47条)
 
***第四款 公開(47条の2 - 53条)
 
***第五款 調査(54・55条)
 
***第六款 雑則(56条)
 
**第二節 [[登録有形文化財]](57 - 69条)
 
**第三節 重要文化財及び登録有形文化財以外の有形文化財(70条)
 
*第四章 [[無形文化財]](71 - 77条)
 
*第五章 [[民俗文化財]](78 - 91条)
 
*第六章 [[埋蔵文化財]](92 - 108条)
 
*第七章 [[史跡]][[名勝]][[天然記念物]](109  - 133条)
 
*第八章 [[重要文化的景観]](134 - 141条)
 
*第九章 [[伝統的建造物群保存地区]](142 - 146条)
 
*第十章 文化財の保存技術の保護(147 - 152条)
 
*第十一章 [[文化審議会]]への諮問(153条)
 
*第十二章 補則
 
**第一節 聴聞、意見の聴取及び不服申立て(154 - 161条)
 
**第二節 国に関する特例(162 - 181条)
 
**第三節 地方公共団体及び[[教育委員会]](182 - 192条)
 
*第十三章 罰則(193 - 203条)
 
 
 
==届出==
 
個人の土地で[[土器]]や[[石器]]が出土した場合、その[[遺物]]は[[埋蔵物]]として、発見届を所轄の[[警察署]]長あてに提出しなければならない。同時に、[[遺跡]]発見届を文化庁長官にも出すことになる。現在発掘されれば文化財指定を受けて保護される可能性が高い遺物でも、文化財保護法の制定以前に見つかったものは、個人が所有したり、[[古美術]]・[[骨董]]市場で売買したりすることが認められている<ref>「ようこそ画廊へ/銀座で土器に出合う 手に楽しむ息づかい」『[[日本経済新聞]]』朝刊2017年8月27日(第10面、NIKKEI The STYLE)</ref>。
 
 
 
==脚注==
 
{{reflist}}
 
 
 
== 関連項目 ==
 
*[[文化財]]
 
*[[文化庁]]
 
*[[文化遺産保護制度]]
 
*[[文化庁保管文化財一覧]]
 
*[[教育法令一覧]]
 
 
 
== 外部リンク ==
 
*[http://hourei.ndl.go.jp/SearchSys/viewEnkaku.do?i=Wfvv7TnXxos2cORWgZLXAQ%3D%3D 文化財保護法の沿革] - 日本法令索引 法令沿革一覧
 
*[http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2963558/5 制定時の官報] - 国立国会図書館デジタルコレクション
 
*[http://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/ 国指定文化財等データベース] - 文化庁
 
*[http://bunka.nii.ac.jp/ 文化遺産オンライン] - 文化庁
 
 
 
{{考古学}}
 
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[[Category:日本の文化遺産保護制度|*ふんかさいほこほう]]
 
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[[Category:1950年の法]]
 
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2019/4/26/ (金) 09:59時点における最新版

(ぶんかざいほごほう、昭和25年5月30日法律第214号)

文化財を保護するため、1950年(昭和25)制定公布された法律。前年1月の法隆寺金堂炎上が契機となり、議員立法によるものであったことを第一の特色とし、第二には「国宝保存法」(1929制定)と「重要美術品等ノ保存ニ関スル法律」(1933制定)とをあわせたばかりでなく、「史蹟(しせき)名勝天然記念物保存法」(1919制定)をも吸収し、歴史上または学術上価値あるものは、土地や植物、動物などをも文化財として保護することにした。

 このほかにもまったく新しい観点から無形文化財、埋蔵文化財、民俗資料を加えたことが第三の特色である。その後、社会情勢などの変遷により、これらに適合させるため、1975年、同法に大改正がなされた。その結果、新たに、周囲の環境と一体をなして歴史的風致を形成している伝統的建造物群、有形・無形の民俗資料をあわせた民俗文化財、無形文化財の一つであるが文化財の保存のために欠くことのできない伝統的技術・技能で保存の措置を講ずる必要のある選定保存技術などの保護についても考えられている。  1996年(平成8)の同法改正では、従来の指定制度を補完するものとして、緩やかな保護措置を講ずる制度(文化財登録制度)が導入された。さらに2004年(平成16)の改正(施行は2005年)では、地域における人々の生活または生業および地域の風土により形成された景観地で、わが国民の生活または生業の理解のため欠くことのできないものとして文化的景観が加えられた。  行政機構としては、当時の文部省外局として新しく文化財保護委員会を設け、国立博物館と国立文化財研究所を付属機関として吸収した。その後、1968年6月、文化財保護委員会が廃止され、新設の文化庁に文化財保護部として吸収され、諮問機関として文化財保護審議会が設置された。また、2001年の省庁再編に伴い、文化財保護部は文化財部に、文化財保護審議会は文化審議会文化財分科会に改組された。このような中央的機構に直結するものとしては、都道府県教育委員会に権限や事務を委任して地方的機構にかえている。都道府県教育委員会では、現在はおおむね文化課ないし文化財保護課などを設置し、文化財保護の主管課としている。また、国立博物館と国立文化財研究所は2001年4月より独立行政法人となり、2007年4月には統合されて独立行政法人国立文化財機構となっている。

 これらの機関が行う主要行政は、(1)保護すべき文化財の指定、(2)指定文化財の管理(滅失・亡失・毀損(きそん)などの防止、所在変更届出)、(3)保護(指定文化財の保存に障害を及ぼすようないっさいの行為の制限・禁止、危険な場合の積極的指導、財政援助など)、(4)公開、(5)調査、(6)記録の作成などとなっている。

 とくに(3)の保護関係の条文では、重要文化財に関し、所有者・管理者への財政援助とともに現状変更の制限、修理の届出制、輸出の禁止、売渡しの際の申出制など、文化財保護のための最小限の制限事項をうたっている。

 これらの文化財の保護については、社会や経済の急激な変動と生活様式、慣習の変遷により、種々の問題がおこっている。しかし、文化財は古い時代から伝えてきた国民的財産で、これを後世の人々に伝えることはわれわれの責務であることを自覚し、国や地方公共団体はもちろんのこと、所有者、管理団体、さらには国民が一体となって、文化財を保護してゆかねばならない。



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