「敬称」の版間の差分

提供: miniwiki
移動先:案内検索
(1版 をインポートしました)
(内容を「 '''敬称'''(けいしょう)  人に対して敬意を示すために氏名や職名に添えることば。英語のMr., Mrs., Missやフランス語のM., Mme.,…」で置換)
(タグ: Replaced)
 
1行目: 1行目:
{{WikipediaPage|ウィキペディアにおける敬称については、[[Wikipedia:スタイルマニュアル#人物・人名]]および[[Wikipedia:表記ガイド#人名]]をご覧ください。}}
 
{{複数の問題 |出典の明記 = 2013年1月14日 (月) 02:33 (UTC) |独自研究 = 2015年3月9日 (月) 16:44 (UTC)}}
 
{{百科事典的でない |date = 2015年3月9日 (月) 16:44 (UTC) |t = ノート:敬称#百科事典的か否か |type = NOTTEXTBOOK}}
 
'''敬称'''(けいしょう)とは、話者が相手や第三者に対して敬意、尊敬の念を込めて用いられる[[名前]]([[人名]])や肩書きの後ろに付ける[[接尾語]]、またはその語自体で相手や第三者を表現する[[代名詞]]である。後者の場合は、職名などで、一つの[[名詞]]としての機能を持っていて、独立して用いられる。
 
  
== 解説 ==
+
'''敬称'''(けいしょう)
敬称の用途としては、一般的な会話のほか、郵便物や文書などの宛名の記載などに用いられる。日本語で敬称を付ける場合、その後に続く記述においても敬語を用いるのが標準的である(例えば、「天皇陛下は」と述べる場合は「出てきた」ではなく「お出ましになった」と書く)。
 
  
一方、相手をからかう場合に用いられることもあるが、[[敬語]]や[[丁寧語]]ほど相手に対する距離を置くという意図としては用いられない。
+
 人に対して敬意を示すために氏名や職名に添えることば。英語のMr., Mrs., Missやフランス語のM., Mme., Mlle.などは氏名の前に置くが、日本語では後に添える。日本語の敬称は、直叙を避けた婉曲(えんきょく)な表現から生まれたものが多く、また中国から入った漢語に多い。いまもっとも一般的なものとしては、主として書きことばに用いられる「様」「殿」「氏」などがあり、話しことばでは男子に「くん」、男女両方に「さん」が用いられる。皇族に対しては、第二次世界大戦前もっぱら「陛下」「殿下」が用いられたが、戦後は「様」も使われるようになった。
  
類義語として、接尾辞の形式を取らずに相手を敬う呼称を'''尊称'''という。反義語で、相手を蔑む呼称を'''[[侮蔑#蔑称|蔑称]]'''や'''鄙称'''(ひしょう)という。
+
 そのほか、性や年齢、職業・地位などに応じて「兄」「嬢」「翁」「夫人」「関」「丈」「先生」「閣下」など多くの敬称があるが、話しことばでは「さん」がもっとも一般的であり、1952年(昭和27)に文部省から出た『これからの敬語』でも「さん」を標準の形としている。なお、たとえばA教授、B局長など、官名や職名を氏名の下につけると、敬称的になる。
  
== 日本語の敬称 ==
 
=== 歴史 ===
 
近世までの日本の敬称の特徴として、必ずしもそれに限定しないまでにも、[[皇族]]や[[公卿]]、[[征夷大将軍|将軍]]、[[大名]]やその一門に対しては、宮殿、御殿、城、館、屋敷など特定の建造物の名称をもって敬称することが多いのが特徴である。特に[[天皇]]、[[皇族]]、[[大臣]]、将軍の敬称として[[院]]、[[御所]]、[[大御所]]、「御所さま」「大御所さま」と敬称した。
 
  
大名も、殿様に代表されるように、御殿にちなんだ敬称で呼ばれることが多く、[[室町時代]]に成立した[[屋形号]]を免許された大名は、家臣から「屋形」、「屋形さま」「お屋形さま」と敬称されている(同音異義の「お館さま」「親方さま」'''ではない''')。また、戦国大名の[[北条氏康]]は家臣より「御本城(ごほんじょう)さま」と敬称された記録もある。
+
{{テンプレート:20180815sk}}
 
 
これは身分の高い女性も同様であり、皇族の夫人には御息所などと称したように、将軍の正室には[[御台所]](みだいどころ。現在の[[台所]]の語源)、大名の夫人には「[[御簾中|簾中]]」「御簾中さま」「室」「奥方」「奥方さま」「裏方」「お屋敷さま」「御新造さま」と称し、また側室は「お部屋さま」、上﨟には「お[[局]](つぼね)さま」などと称した。
 
 
 
また、公家の子弟を御室御所といい、将軍、大名の世子などは、それぞれ「小御所」、「新屋形さま」「若さま」「若殿さま」「[[御曹司]]」など当主に準じた敬称が一般的に用いられた。その他、世子、夫人問わず高貴な家系の一門には、「西の丸さま」「二の丸さま」などと住まう住居の名称を称する例もある。
 
 
 
なお、歴史上、すべての時代に上記の感覚が当てはまるわけではない。[[戦国時代 (日本)|戦国時代]]では、あえて[[諱|実名]]で呼び、さらに敬称をつけずに[[呼び捨て]]にするのが、最上級の敬意を表す事例がある<ref>{{Cite web|url=http://www.nhk.or.jp/sanadamaru/special/subject/subject37.html |title=特集 さなイチ 別冊!インタビュー 時代考証 丸島和洋さん 〜豊臣秀吉の残した遺言〜 |publisher=[[日本放送協会|NHK]][[大河ドラマ]]『[[真田丸 (NHK大河ドラマ)|真田丸]]』 | accessdate=2016-8-20 }}</ref>。
 
 
 
=== 現代 ===
 
現代の日本語の敬称は敬意を表したい対象者の[[固有名詞]]の直後に付ける[[接尾詞]]型の敬称と、[[代名詞]]そのものに敬意が含まれる代名詞型の敬称の2種類に大別できる。また、日本語では、話者自身が属する組織の者には、敬称を付けない(話者の身内、所属会社の経営者など)。[[皇族]]が[[天皇]]を「陛下」、[[皇太子]]を「殿下」と、また[[力士]]が師匠を実の親であっても「親方」と呼ぶなどの僅かな例外がある(同格ではない)。また、報道などで複数の人名を列挙する場合、「(敬称略)」と断った上で敬称を付けない場合もある。
 
==== 接尾詞型 ====
 
;<span id="様"></span>様(さま)
 
:相手を尊敬する意味で使用される。口頭でも文書でも使われ、どの場面でも用いることに違和感が少ない敬称である。[[病院]]の患者の名札では「様」の代わりに「殿」を用いることが多い(ただし、呼ぶときは「さん」)。
 
:マスメディアにおいて[[皇族]](対象が年端もいかない乳幼児であっても)に対して使用されることも多いが、その場合には、漢字表記の「様」ではなく平仮名の「さま」付けで表記することが各社の内規で義務付けられている。[[日本共産党]]を始め[[天皇制廃止論]]を唱える個人・団体はこの敬称も“人に貴賎の等級をつけるもの”として避け、『[[しんぶん赤旗]]』などの関連紙では、総理大臣同様に敬称を付けずに表記する<ref>[[松本治一郎]]の言葉「貴族あれば賎民あり」は有名。他国の元首に敬称をつけず天皇皇族には付けるのは日本のみ</ref>。なお、天皇・皇族を含む国の機関が公に皇族を指すときは、皇室典範 第二十三条により、陛下又は殿下の敬称を用いる。
 
:書き言葉の場合、「様」という漢字にはいくつかの字形がある。「様」の字形を崩した美様、平様などがあるが、主に用いられたのは永様、次様、水様の3様である。永様は「樣」と書き、自分よりはるか目上の人物に用いられる。次様は「{{Lang|zh|檨}}」(右下が次)と書き、自分より少し目上または同等の人物に用いられる。水様は現在一般的な「様」のことで、自分より目下の人物に用いられるが、現在ではこれが一般的であり、誰に対しても用いられるが、使い分けることが推奨される{{要出典|date=2013年1月}}。
 
:「さま」や「サマ」などのように仮名で書いた場合、親密度は増すが敬意はかなり落ちるので、相手を選んで用いる必要がある。一般的には漢字で書くのが無難である。
 
;<span id="殿"></span>[[殿]](どの)
 
:職務上の連絡や公的な用件(事務連絡や公的文書)で使われる場合「様」が「殿」に変化することがある。<!-- このような場合でも「様」を用いることもある -->
 
:書き言葉で用いられる。文書の上では「殿」とついている相手に対しても、会話では「様」に戻る。
 
:役職名に続けて用いることがある(例:部長殿)。<!-- この場合は話し言葉でも用いることがあるが、やや古風・こっけい? また、話し言葉では「竹尾社長様はおいででしょうか」といった役職名 + 「様」、姓 + 役職名 + 「様」も一般的だが、標準的に受け入れられる表現かどうかは適切な出典に基づく記述が必要 -->{{要検証範囲|ただし「○○部長殿」のように「姓+役職名+殿」のように用いるのはこの場合の役職名は敬称である(後述)ことから二重敬称であり、誤りである。正しい使用方法は、「姓+役職名」(口頭や通常の文書)か「部署名+役職名+姓名+殿」(形式張った文書)である|date=2016年11月12日 (土) 13:52 (UTC)|title=姓 + 役職名 + 「殿」は誤りとされることが多いが、広く見られる表現でもある。「部長」は敬称ではなく、単に役職名と解釈することも可能だと考えられるので、二重敬称に相当するかどうかは(信頼できる出典が示されないかぎり)自明ではない。|talksection=姓 + 役職名 + 「殿」}}。
 
:古くは身分の高い相手に対して用いることもあったが、現在では事務的・公的な場合以外は目下に対して用いることが多く、目上への私信に用いることはほとんどない<ref>{{Cite web |url=https://kotobank.jp/word/%E6%AE%BF-427815#E5.A4.A7.E8.BE.9E.E6.9E.97.20.E7.AC.AC.E4.B8.89.E7.89.88|title=どの[殿] |accessdate=2018-03-20 |work=[[大辞林]] 第三版 |publisher=[[コトバンク]]}}</ref>。
 
:最近では、役所等から個人に送付される郵便物等の敬称が「殿」から「様」へと変えられつつある。市民から役所([[首長]]等)に対しての文書では「[[公務員]]は公僕」との観点により現在でも用いられるが(申請書・届出書等の用紙に最初から記載されている)、「(宛先)○○市長 (公務員の氏名)」と敬称を付さない形式も増えている。
 
;<span id="さん"></span>さん
 
:話し言葉では最も一般的な敬称で、主として名前の後ろに付けられるが、この場合は[[接尾辞]]と異なり、取外しが可能。また一定の距離がある相手、初対面で自分との関係が量れない相手の名前にも付ける。ビジネスの現場では、相手方の団体名に付けることも多い。
 
:最も一般的な[[親族]]の呼称の接尾辞。「お父さん」「お母さん」など。
 
;<span id="ちゃん"></span>ちゃん
 
:[[幼児]]や子供に対して呼びかける語として、他の敬称と違って、名に多く用いられている語。
 
:[[親族]]の呼称の接尾辞として幼児が用いたり、親しみをこめて用いる。この場合、一般的に[[高齢者]]に対して用いる比が大きい傾向がある。「おじいちゃん」「おばあちゃん」など。
 
:大人子供関係なく親しい友人同士が使う事がある。
 
:女児に用いられる場合が多いが、幼い男児に用いられる事もよくある。
 
:芸能界(芸能人ではなく制作関係者、いわゆるギョーカイ)でも姓にも付けて用いられる。年齢や立場による使い分けを省くため。
 
;<span id="氏"></span>氏(し)
 
:肩書きを別にして紹介する時に使用し、一般的に話し言葉ではあまり使われず、書き言葉または報告や報道といった改まった場面で用いる。主として男性に用いることが多かったが、現在では女性に対して用いることも多い。また、古風には「うじ」とも読むが(用法は同じ)、同様に通常ではほとんど使われない。
 
;<span id="女史"></span>女史(じょし)
 
:社会的な地位が高い女性に対して用いる(本来は男性に用いる「氏」に対応した女性用の敬称だったが、男性と対等な女性とは、かつてはすべて社会的に高い地位を獲得した女性だけだった)。
 
:現在では古風な表現。場合によってはやや揶揄的に用いられる。<!-- 三国第7版は「古風」。新明解第7版ではからかいぎみにも用いられるとするが(この場合は差別的なニュアンスが生じうる)、この用法もやや古風か。 -->
 
:現代中国語では女性に用いた場合、「女士」となる。男性への敬称は「先生」。
 
;<span id="刀自"></span>刀自(とうじ)
 
:年配の女性に敬意を込めて用いる。「刀自」単独でも名前に付けても用いられる。
 
;<span id="君"></span>君(くん)
 
:名前の後ろに付けるのは、「さん」や「ちゃん」と同様である。
 
:[[男性]]に対して用いる事が多い。
 
:同輩か目下のものに対して用いる事が多い。また、親しみのある者に対して用いる事もある。
 
:非常に珍しい例だが、[[慶應義塾]]では「先生」と呼ばれるべきは創立者・[[福澤諭吉]]のみで、教員も生徒・学生も相互に「君」付けで呼び合う。
 
;<span id="嬢"></span>嬢(じょう)
 
:未婚女性に対して用いる。君を男子だけに用いる場合、女子には嬢が用いられることがある。稀に既婚女性に対して使う事もある。
 
;<span id="たん"></span>[[たん (接尾語)|たん]]、タン
 
:[[萌え]]の対象とする人物(主に少女)に使う事が多い。インターネット以外で使われる事は少ない。
 
:「ちゃん」の幼児語。この場合、インターネット以外でもよく使われる。
 
;<span id="きゅん"></span>きゅん、キュン
 
:「くん」と同じであるが、「たん」と同じく[[萌え]]の対象とする人物(主に少年)にしばしば用いられる。インターネット以外で使われる事は稀である。
 
;<span id="卿"></span>[[卿]](きょう)
 
:日本では平安時代以降、江戸時代までの[[公卿]]に対する敬称([[岩倉具視|岩倉卿]]など)。また、華族制度があった時代における華族への敬称。現在では外国で爵位などを有する者に対して、とりわけイギリスにおけるLordの訳語として使われることが多い。
 
:*Lord Lytton→[[ヴィクター・ブルワー=リットン|リットン卿]](公爵以外の貴族。爵位名にLordが付く)
 
:*Lord William Bentinck→[[ウィリアム・キャヴェンディッシュ=ベンティンク (インド総督)|ウィリアム・ベンティンク卿]](公爵・侯爵の長男以外の男子。姓名または名にLordが付く)
 
;<span id="公"></span>[[公]](こう)
 
:貴族や(古代の)[[大臣#律令制の大臣|大臣]]に対し使う。近世以降では、「[[忠犬ハチ公]]」のような愛称的な用例もある。[[近衛文麿]]や[[西園寺公望]]を「近衛公」「西園寺公」と呼ぶのは[[公爵]]の略で、[[侯爵]]に対して「某侯」、[[伯爵]]には「某伯」、[[子爵]]には「某子」、[[男爵]]には「某男」と、[[爵位]]に対応して同様の言い方があった<ref>[http://www.jacar.go.jp/ アジ歴] 【 レファレンスコード 】A06050013100 「衆議院議員選挙資格ニ関スル件」で、「伊東子」「金子子」「南部男」「菊池男」などの呼称を確認できる。</ref>。
 
;<span id="様"></span>夫人(ふじん)
 
:既婚女性に対して用いる。夫の社会的地位が高い場合に用いられることが多い。
 
;<span id="御中"></span>御中(おんちゅう)
 
:文書の宛先などで、相手が企業や官公庁、学校などの団体などの場合に用いる。「中」(ちゅう)は人間の集団。氏子中、島津家中など。
 
;<span id="尊"></span>尊(そん)
 
:仏教での信仰対象に対して用いる。日本仏教界では信仰の創始者を[[釈尊]](しゃくそん)と呼ぶ。釈尊(本名=ゴータマ)の釈とは出身部族であるシャカ('''釈'''迦)族の釈。「尊」は阿弥陀三尊、不動尊、地蔵尊などと釈尊以外にも「尊」を使う。もともと中国の[[道教]]の神々の位格の一つで「尊」の下位の神を「君」といった。仏教の「尊」の字は漢文に訳するため道教の神に擬したもの。日本でも、古代から神や貴人の尊称である「みこと」には古くから「命」の文字を当てていたが奈良時代以降「みこと」の中でも特に格上のものには「尊」の字をあててそれ以外の「命」と区別するようになった。しかし『[[古事記]]』は古い用法を採用してわざわざ「命」の字に統一していたため江戸[[国学]]以降、ミコトを「尊」の字で表わすことを嫌って『古事記』の用法に従うケースが増えてくると、尊と命の区別が一般には曖昧になって現在に至っている。この「みこと」に「尊」の字を当てることも道教の用語からきていることは、仏教の「尊」の字と同源である。
 
 
 
==== 代名詞型 ====
 
;君(きみ)
 
:二人称代名詞。[[親称]]も参照。
 
:男性が恋人や[[妻]]である女性に対して用いる呼称であり、独立して用いられる。
 
:上司などが部下に、年長者が年少者に、女性が男性の年少者に用いる。
 
:男性の年少者に対しては「'''キミ'''」と片仮名で表記することもある。
 
;貴方、貴男、貴女(あなた)
 
:女性が恋人や[[夫]]である男性に対して用いる呼称であり、独立して用いられる。
 
:顧客や不特定多数の個人に対する呼称で独立して用いられる。「貴男」は男性にだけ、「貴女」は女性にだけ用いられる。
 
;卿(けい)
 
:同輩以下の人への呼び名。接尾詞型の卿(きょう)とは読み方が異なる。
 
;貴官(きかん)
 
:[[警察官]]、[[消防吏員]]、[[軍人]]その他[[官吏]]に対して使う。
 
;貴職(きしょく)
 
:何らかの職業にある者に対して使う。
 
;その他
 
:お父上、ご尊父<!--様-->(ごそんぷ<!--さま-->)、お母上、ご母堂<!--様-->(ごぼどう<!--さま-->)、ご一同様、お嬢様、ご子息(ごしそく)、奥様、ご主人<!--様-->
 
 
 
==== 接尾詞型かつ代名詞型 ====
 
;各位(かくい)
 
:複数の人の各々に対する敬称。相手が複数である場合に、相手の後ろに付けて用いる(例:道府県警察本部長各位(この場合は警視総監だけが別扱いで「殿」がつく)、広報担当者各位、報道関係者各位)。文脈によっては対象者を省略し単に「各位」のみで使う場合も多い。
 
:あくまでも複数の人の各々に対する敬称なので、使用には注意が必要である。個人を特定可能な場合には列記したり、各々ではなく団体宛ての場合には「御中」を利用するなどの考慮も必要である。
 
:「各位殿」「各位様」という表現は、二重敬称にあたるため用いない。
 
;主上(しゅじょう)・聖上(せいじょう)
 
:皇帝・天子に対して呼びかける語。またはそれ自体が独立した呼称として用いられる。
 
;主上(おかみ)・聖上(おかみ)
 
:天皇に対して呼びかける語。またはそれ自体が独立した呼称として用いられる。使われていたのは[[昭和天皇]]在位中まで。21世紀初頭の現在では[[宮内庁]]、それも内廷関係者以外ではあまり用いられない。一般人が天皇のことを「主上」「聖上」といった場合は「みかど」や「お内裏様」等と同じで、格別失礼にあたるわけではない。
 
;令息(れいそく)・令嬢(れいじょう)
 
:貴人の息子・娘。他人の子を敬っていう語。
 
;同志(どうし)
 
:[[思想]]を同じくする人に対し使う。英語ではComrade。
 
:主に[[共産党]]などの[[左翼]]の政党や政治団体の活動家、またソ連の[[コムソモール]]団員の間で([[ロシア語]]ではタヴァーリッシ({{Lang|ru|товарищ}}))。
 
:[[ドイツ語]]の表現としては、一般的にはカメラート({{Lang|de|Kamerad}}。主に[[国家社会主義ドイツ労働者党|ナチス]]で用いられた)、[[左翼]]系ではゲノッセ({{Lang|de|Genosse}})がある。前者は僚友や戦友、後者は利害を共にする仲間というニュアンスを持つ。
 
:かつての[[社会主義国]]家、[[改革]]開放前の[[中華人民共和国|中国]]では「[[同志]]」は一般的な呼びかけとしても機能していた(現在でも、[[政府]]の[[公文書]]等において用いられることがある)。
 
:[[朝鮮民主主義人民共和国|北朝鮮]]では目上の人に対してのみこのように呼び(동지 トンジと発音)、目下の人には同務(トンム 동무)<ref>[http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/dic/index.php?page=1&ID=64072] [http://www.uriminzokkiri.com/php_tmp/dic/index.php?page=1&ID=64072] 朝鮮語大辞典(朝鮮語)</ref>と使い分ける。
 
:会話では接尾辞として使われることが通例だが、特に文章上は「同志○○」などとする場合がある。
 
;貴下(きか)
 
:同輩以下の者(主に男性)に対する敬称。通常は書き言葉の書面上(手紙など)で用いる。
 
;先生(せんせい) / 大先生(だいせんせい)
 
:[[幼稚園]]や[[小学校|小]]・[[中学校|中]]・[[高等学校]]等の[[教諭]]、[[保育所]]の[[保育士]]、[[大学]]の[[教授]]などの教育者、[[医師]]、[[弁護士]]、[[公認会計士]]などの[[専門職]]、[[牧師]]などの宗教的教職者、その他、[[議員]]、[[作家]]、[[芸術家]]、[[漫画家]]、[[棋士]]、キャリアの長い大物[[芸能人]]、講演会の講師に対しての呼びかけ語である一方、氏名の後ろにつける場合もある。これらの職業に該当する者は、年齢に関係なく先生と呼び合う。また、[[時代劇]]では用心棒に対しても使われる。<!--その他、慶應義塾大学では福沢諭吉のみ先生と呼び、他は君と呼ぶ。//-->なお、[[医師]]への手紙では「先生」の後に「御侍史(おんじし)」や「御机下(おんきか)」をつけ「○○先生御侍史(御机下)」とすることが多い。
 
:現代中国語では「先生」は日本語の「さん」に近く、かなりニュアンスが違うので注意が必要である。
 
;[[先輩]](せんぱい)
 
:組織において主に先に入った人、又は何らかの活動において自分より経験の長い人を指す言葉だが、学生や若者は敬称として用いる場合もある。韓国では日本と同じく「先輩」、中国や台湾では「学長」或いは「前輩」、北朝鮮は「同志」を用いる。
 
===== 「下」の付く敬称 =====
 
高貴な人に直接話しかけることは失礼に当たるとされたことから、高貴な人のいる一定の場所のそばにいる取次ぎの人に間接的に呼びかけることで敬意を表す敬称が発生した。本来の正格漢文の用法では、二人称であって三人称として使うことはありえず、特定の地位を表わす言葉や称号の下につけることもなく「○下」の二文字だけの単独で用いる言葉であって、皇帝陛下・関白殿下・将軍閣下のような用法は三人称にも転用するようになってから生じた変則的なもの(端的にいえば誤り)である。
 
;[[陛下]](へいか)
 
:字義は「階段の下」。
 
:天皇皇后、皇帝、王の敬称。該当項参照。
 
:日本では天皇のみの敬称だったが、皇室典範制定後、后位(皇后・皇太后・太皇太后)の敬称としても採用された。20世紀後半からは皇后単独には「'''さま'''」がつけられる。
 
;[[殿下]](でんか)
 
:字義は「宮殿・殿堂の下」。
 
:皇太子以下王族皇族や皇帝に臣従する国王に対する敬称。該当項参照。訳語としては、欧州大陸の貴族やその親族に対する敬称としても用いられる。日本では本来、天皇以外の皇族(皇后など)と[[三公]]以上の公卿に対して用いられる言葉である。20世紀後半からは皇后同様「'''さま'''」がつけられる。
 
;妃殿下(ひでんか)
 
:王族、皇族の男性の配偶者に用いられ、またはそれ自体が独立した呼称として用いられる。
 
:ただし、皇室典範第23條に定められているとおり、皇族への敬称は「陛下」、「殿下」の2種類しか存在しないことに留意すべきである。つまり、「妃殿下」は、それ自体が「敬称」ではなく、「『皇太子'''妃'''』'''殿下'''」、「『親王'''妃'''』'''殿下'''」、「『王'''妃'''』'''殿下'''」など「身位+敬称」の略である。
 
;[[閣下]](かっか)
 
:字義は「高殿の下」。
 
:身分や地位の高い人を敬って、その役職名の下に付けていう敬称。
 
:貴族、[[大統領]]や[[首相]]、[[大使]]などの高位の官職、軍の高官などに用いられ、またはそれ自体が独立した呼称として用いられる(例:大統領閣下、参謀総長閣下)。
 
:もともと[[勅任官]]以上の者に用いた。現在では主に外交儀礼として[[大臣]]や(他国の)[[将軍]]などの官名・職名につけられる。また、訳語としては、イギリスなどの貴族の[[爵位]]に付して用いることがある。閣下の敬称をつける際に、相手が[[博士]]の[[学位]]を有している場合は、官名、名前の下に博士閣下と呼称することもある(例:〜大統領●●博士閣下)。
 
:軍では公式の規定だと将官までが「閣下」で佐官から「殿」だが、公式の場ではない一般ではその規定にこだわらず下士官を「閣下」とよんでも差し支えない。
 
;聖下(せいか)
 
:[[正教会]]の[[総主教]]、[[カトリック教会]]の[[ローマ教皇]]に対して用いる訳語として他の「○下」を真似て作られた言葉で漢文の伝統を踏まえていない新造語。英語の"His Holiness"に対応。ただし、英語ではHis Holinessであっても、ダライ・ラマ法王は猊下とされ、ローマ教皇は猊下や台下とされることがある。日本政府は、モスクワ総主教について聖下を用いたことがあるが、ローマ教皇に対しては台下を使用している。
 
:[[キリスト教]]における最高位の[[聖職者]]に対する敬称。
 
;猊下(げいか)
 
:字義は「猊座(仏ないし高僧の座る座)の下」。
 
:猊とは[[獅子]]([[Lion]])の別表記である。仏陀の説法を師子吼(ししく。師子は[[獅子]]に同じ)、説法の座を師子座という。また[[狻猊]](さんげい)は[[龍]]の子([[竜生九子]])の内の獅子に似た一匹で、[[煙]]を好むため[[寺院]]の[[香炉]]の装飾の意匠にされ、転じて獅子座を「狻座」「猊座」とも言う。
 
:すなわち、猊下とは「師子座の下(=の側近の方)にまで申し上げます」の義。狻下(さんか)。
 
:首座の聖職者の敬称。
 
:主として[[ダライ・ラマ]]法王や[[宗教]]上の権威者に対して用いられる。またはそれ自体が独立した呼称として用いられる(例:法王猊下)。
 
:[[キリスト教]]では[[枢機卿]]など、[[仏教]]でいえば教主、[[門主]]、[[門跡]]、管長、[[僧正]]などに対して用いる(例えばダライ・ラマ猊下、浄土門主[[心譽康隆]]猊下、[[坪井俊映|仁誉俊映]]猊下、[[伊藤唯真|願誉唯真]]猊下。ローマ教皇の場合には聖下を使う場合がある。このときは「Your( His) Holiness」が対応する)。日本では[[日蓮正宗]]のみが例外的に「上人猊下」の呼称を用いる。
 
;座下(ざか)
 
:字義は「座席の下」。
 
:[[正教会]]における、[[総主教]]以外の[[主教]]([[府主教]]・[[大主教]]・主教)に対する敬称。
 
;台下(だいか)
 
:字義は「高楼の下」。
 
:高位の聖職者その他の貴人の敬称。
 
:仏教で言えば[[教主]]、[[門主]]、[[門跡]]、管長、[[僧正]]、などに対して用いる(例えば、各[[大本山]]の門主、法主)。ローマ教皇に対する日本政府で用いる敬称(聖下の項を参照)
 
;貴下(きか)
 
:同輩以下の者(主に男性)に対する敬称。通常は書き言葉の書面上(手紙など)で用いる。
 
 
 
===== 職業で用いる呼称(肩書き) =====
 
;役職名(担当部署名などは付さない。また、長い場合には短縮形を用いることが多い)
 
:[[大臣]]、[[長官]]、[[会長]]、[[理事長]]、[[社長]]、[[総裁]]、[[頭取]]、[[専務]]、[[常務]]、[[理事]]、[[本部長]]、[[局長]]、[[部長]]、[[課長]]、[[係長]]、[[所長]]、[[主幹]]、[[司令官]]、(大・中・小)[[隊長]]、[[校長]]、[[委員長]]、[[議長]]、[[監督]]、[[主任]]など
 
;階級名
 
:[[大佐]]、[[軍曹]]、[[一佐]]、[[検事長]]、[[検事]]、[[警視正]]、[[消防監]]、司令、[[警部]]、[[大将]](「御大将」を略して「御大」とも)。
 
;資格・職能を表す名称
 
:[[弁護士]]、[[博士]]、[[教授]]、[[医師]]、[[建築士]]、[[税理士]]、[[運転士]]、[[判事]]、[[事務官]]など
 
;選手
 
:[[スポーツ]]に従事する者に用いられる。[[野球]]や[[ソフトボール]]の場合、他のポジションと区別して「[[投手]]」の呼称を用いることが多いほか、「[[捕手]]」・「[[内野手]]」・「[[外野手]]」の呼称を用いることもある。<!-- 「初芝選手」「初芝内野手」はともに敬称として用いられるが、「初芝三塁手」は「サードの初芝(選手)」のかわりの表現で、内外野の各ポジションを単なる敬称として用いる場合は少ない -->
 
:報道関係、特に試合に関する記事・ニュースではほとんど省略され、呼び捨てとなる。
 
;関取(せきとり)
 
:[[大相撲]]で[[十両]]以上に位置する力士の敬称。「○○([[四股名]])関」としても使用される。これに対し、[[幕下]]以下は「取的」とされ、さん付けで呼ばれる。一方、関脇(せきわけ)以上の三役は「関取」とはまず呼ばれず、「[[関脇]]」「[[大関]]」「[[横綱]]」と呼ばれる。
 
;師匠
 
:落語などのお笑い界では直接の師匠だけでなく、自分の師匠と同クラスの先輩(そこまでいかない先輩には「兄さん」「姉さん」などが用いられる)に対して用いられる。また、師匠の師匠クラスは「先生」と呼ばれることが多い。一方、大相撲では原則として「部屋の経営親方」を指し、たとえ師匠となった者より現役の力士が兄弟子でも、師匠と呼ばなければならない。
 
;丈(じょう)
 
:歌舞伎役者や大相撲の行司などに用いられる。
 
 
 
==== 接頭辞型 ====
 
;聖
 
:英語のSaint等の訳語で、キリスト教の[[聖人]]に対し使う(聖[[洗礼者ヨハネ|ヨハネ]]、聖[[パウロ]]、聖[[ウァレンティヌス|バレンタイン]]など)。他の翻訳敬称と異なり、日本語の敬称としては珍しく[[接頭辞]]として使う。
 
;大
 
:[[大バッハ]]、[[大ブッシュ]]等同姓・同名の内特に功績の大なる者や家系上古い側の者に用いる、日本語の敬称としては珍しく[[接頭辞]]として使う。
 
;故
 
:故人に対し、日本語の敬称としては珍しく[[接頭辞]]として使う。
 
 
 
=== 敬称に準ずるもの ===
 
{{Seealso|推定無罪#マスコミによる容疑者・被告の使用例}}
 
かつて犯罪者(被疑者)などは敬称を省くのが一般的だったが、[[人権]]意識の高まりから、報道では、被疑者については「[[容疑者]]」、被告人については「[[被告]]」、受刑者については「[[受刑者]]」、死刑の言渡しを受けて拘置される者については「[[死刑囚]]」などの語を敬称に類似するものとして用いている。役職にあったものの場合は肩書を代わりに用いることもある。また、服役中のまま死亡したり、死刑が執行された後は「元受刑者(元服役囚)」「元死刑囚」という語が用いられる。
 
 
 
マスメディアにおいては、被疑者や被告人であっても、従前より一定の肩書きや地位が著名である場合や対象者の名誉に対して特別の配慮をする場合には、「容疑者」や「被告」といった肩書きは用いずに、異なる敬称を用いることがある。[[オウム真理教]]の[[村井秀夫]]「元幹部」、[[SMAP]]の[[稲垣吾郎]]「メンバー」、[[島田紳助]]「司会者」「所属タレント」、[[小泉今日子]]「タレント」、[[和泉元彌]]「狂言俳優」、[[中村獅童 (2代目)|中村獅童]]「歌舞伎俳優」、[[UVERworld]]のTAKUYA∞(本名・清水琢也)「ボーカル」、[[布袋寅泰]]「ギタリスト」、[[月亭可朝]]「落語家」、[[小室哲哉]]「プロデューサー」などがある(→[[報道におけるタブー#芸能プロダクションタブー]])。
 
 
 
[[田中角栄]]が[[ロッキード事件]]で逮捕された頃は被疑者・被告人は呼び捨てが普通だったが、マスコミではロッキード事件の記事の時は「田中」、それ以外の政治記事の時は「田中元首相」と表記していた。また、[[アメリカ同時多発テロ事件]]の首謀者である[[ウサーマ・ビン・ラーディン|ウサマ・ビン・ラディン]]は、当初日本のマスコミは「ビンラディン氏」と呼称していたが、彼がビデオ声明で自分が首謀者だと表明した後は「ビンラディン容疑者」と呼称を変えた。なお、当初から呼び捨てにしていたメディアも存在する。
 
 
 
== 他の言語の敬称 ==
 
{{See also|en:Honorific}}
 
=== 欧米の言語 ===
 
==== 代名詞型 ====
 
[[欧米]]の言語においても、[[英語]]以外の[[印欧語]]の多くは[[二人称]]に''[[親称]]''と''敬称''をもつものが多い。
 
*他の人称代名詞を二人称[[単数形|単数]]の敬称として用い、区別のため語頭を大文字にする例が多い。
 
**[[ドイツ語]]:sie(三人称単数女性、三人称[[複数形|複数]]) / Sie(二人称敬称)
 
**[[イタリア語]]:lei(三人称単数女性) / Lei(二人称単数男女敬称) - 文法上は両者とも第[[三人称]]単数扱い。
 
**[[フランス語]]:vous(二人称複数)を二人称単数の敬称として用いる。
 
**[[ロシア語]]:Вы(二人称の[[複数形|複数]])を二人称単数の敬称として用い語頭を大文字にする。
 
**[[英語]]のyouも歴史的には二人称複数であり、二人称単数のthouに対する敬称として用いたものである。
 
**[[スペイン語]]:usted(二人称単数男女敬称) ustedes(二人称複数男女敬称)/ tú(二人称単数男女親称) vosotros(二人称複数男性親称) vosotras(二人称複数女性親称)
 
 
 
==== 接頭詞型 ====
 
===== 英語 =====
 
{{See also|en:English honorifics}}
 
以下のような敬称があるが、多くは書き言葉(文書)で使われ、現在会話ではサービス提供者が利用客に対して使う場合や、目上の人に対して使う場合以外ではあまり使われない。日本で良く使われる「〜さん(様)」「〜氏」に相当する直接的な言い回しは英語にはなく、肩書きか、氏名を言う場合は通常は呼び捨てにされる。映画などで上司が部下に対して"Mr."、"Miss"を使い、日本語で「〜君」と訳される場合がたびたびあるが、昔はもっと広い範囲で敬称が使われていたためである。一般に同僚には敬称抜きで[[人名の短縮形]]を用いる。
 
 
 
英語では、たとえば電話で「This is Mr. Johnson」などと自分にも敬称をつけて名乗ることがあるが、これはDr.などの肩書の有無や女性の場合未婚(Miss)か既婚(Mrs.)を区別したり、ファーストネームと紛らわしい場合名字であることを示したりするためである。しかし近年、女性は未婚・既婚を区別せずMs.を使うことが多くなったこともあり、敬称をつけて名乗ることは少なくなり、日本語と同様に自分に敬称をつけると尊大な印象を与えると考える人もある。
 
 
 
;[[:en:Lord|Lord]](ロード)
 
:[[男爵]]以上[[侯爵]]以下の爵位を持つ[[貴族]]([[:en:Peerage of the United Kingdom|イギリスの貴族]] Peerage)に用いる。例えば、正式には[[:en:Alfred, Lord Tennyson|Alfred Tennyson, 1st Baron Tennyson]]([[アルフレッド・テニスン|アルフレッド・テニソン]]、初代テニソン男爵)である貴族は、Lord Tennyson(「テニソン[[卿]])と表記される。次項のSirと異なり、Lord+爵位名(家名ではない)で表記することに注意。つまりテニソン卿は姓も爵位名もテニソンだが、むしろ姓と爵位名が一致しないことが多い。[[財閥]]として知られる[[ベアリング家]]の場合、本家筋である[[ノースブルック男爵]]家をはじめ、[[アシュバートン男爵]]家、[[レヴェルストーク男爵]]家、[[クローマー伯爵]]家、[[グレンデールのホウィック男爵]]家の5家が[[貴族]]として存在する。ノースブルック男爵家の当主に対する呼びかけはノースブルック卿であり、ベアリング卿とはならない。
 
;[[:en:Sir|Sir]](サー)、[[:en:Dame|Dame]](デイム)
 
:[[ナイト]]の資格を持つか、[[准男爵]]に叙せられている者に対して用いる。サーは男性、デイムは女性。Sir(Dame)+ファーストネーム、もしくはSir(Dame)+フルネームで表記する(口頭での呼びかけは Sir(Dame)+ファーストネーム)。例えば、John(Patricia) Smith が、ナイトの資格を持つか、[[准男爵]]に叙せられている場合は、Sir John(Dame Patricia)またはSir John Smith(Dame Patricia Smith)と表記する。Sir(Dame) Smithとは表記しない。
 
;[[w:Dr.|Dr.]](ドクター)
 
:学者、医師など。和訳は「先生」「[[博士]]」など。博士号を持つ者に対してMr.やMs.を使うのは不適当とみなされる。第47代[[アメリカ合衆国副大統領|米国副大統領]][[ジョセフ・バイデン|ジョー・バイデン]]の妻[[ジル・バイデン]]は教育学の博士号を持つことから、公私において「ミセス・バイデン」ではなく「ドクター・バイデン」と呼ばれている。
 
;[[w:Prof.|Prof.]](プロフェッサー)
 
:[[教授]]。[[高等教育機関]]において最上位にある者、またはそれに準ずる者([[名誉教授]])に与えられる称号。ドクターよりさらに高位とみなされる<!--ため、たとえ博士号や医師免許などを持っていても"Dr."と呼ぶのは失礼にあたる。--><!-- ← これは場合によりけり(ジル・バイデンは現役の英語教授だが学外では「プロフェッサー・バイデン」とは呼ばれない) -->
 
;[[w:Mr.|Mr.]](ミスター)
 
:男性に対して広く用いられる。和訳は「さん」「君」「氏」など。
 
;[[w:Miss|Miss]](ミス)
 
:未婚女性に対して用いる。和訳は「さん」「嬢」など。
 
;[[w:Mrs.|Mrs.]](ミセス)
 
:既婚女性に対して用いる。和訳は「さん」「夫人」など。
 
;[[w:Ms.|Ms.]](ミズ、ミス)
 
:既婚・未婚を問わず女性に対して広く用いられる。上の2語が婚姻の有無で区別することから女性差別と受け取られることがあるためビジネスの場などで使われることが多い([[ジェンダーフリー]]思想)。和訳は「さん」など。今日のアメリカではビジネスの場ではほとんどの場合女性にはMs.が使われ、その発音も「ミス」になっている。一方イギリスでは年齢や既婚未婚が不明な場合はMadamを用いることもある。
 
;[[w:Mx (title)|Mx]](ミックス)
 
:相手の性別を特定することを避けたい場合に用いられる。その他の使用法はMr.やMs.などと同様。和訳は「さん」など。
 
<!--
 
英文レターの文書の書き出しでは、"Dear Mr. ○○○"のような形で始められる。
 
 
 
[[:en:Gender-specific pronoun|Gender-specific pronoun]]--><!--???-->
 
;His/Her Majesty
 
:日本語の「陛下」にあたる。略はHM。例:Her Majesty The Queen([[エリザベス2世|イギリス女王]]の場合)。
 
;His/Her Royal Highness
 
:日本語の「殿下」にあたる。略はHRH。王族への敬称だが例外もある([[ルクセンブルク大公]]及びその親族など。例:His Royal Highness, Prince of Wales(イギリス王太子の場合)。
 
;His/Her Imperial Majesty
 
:日本語の「陛下」にあたり、略はHIM。特に[[皇帝]]や[[天皇]]の称号を持つ君主への敬称を王号を持つ君主への敬称と区別する必要があるときに使われる。現在では日本の天皇と皇后にのみ用いられるが、ほとんどの場合は Imperial を省いた His/Her Majesty が使われている。例:His( Imperial) Majesty The Emperor([[明仁|今上天皇]]の場合)。
 
;His/Her Imperial Highness
 
:こちらも「殿下」にあたる。略はHIH。皇族への敬称。現在では日本の皇族にのみ用いられている。
 
;Excellency
 
:大臣や大使などの外交使節団長などに使用する。「[[閣下]]」と訳されることが多い。
 
;[[オナラブル|Right Honourable(Rt. Hon.)]]
 
:[[イギリス]]および一部の[[イギリス連邦]]諸国で[[首相]]および[[閣僚]]、[[ロンドン]]などの大都市の[[市長]]。伯爵および伯爵夫人、子爵、男爵、[[枢密院 (イギリス)|枢密顧問官]]などに用いられる。「閣下」と訳されることが多い。
 
;Galant
 
:[[軍人]]に対し用いられる敬称。直訳は「勇敢なる」。例:Dear Galant Cpt. John Smith(「勇敢なるジョン・スミス大尉様」手紙の書き出し)。
 
<!--[[:en:His/Her_Imperial_Highness|His/Her_Imperial_Highness]]
 
 
 
[[:en:HRH|HRH]]--><!--???-->
 
 
 
===== その他の印欧語 =====
 
以下で示した未婚女性への敬称は女性への敬称に[[指小辞]]をつけたものである。未婚・既婚を区別しない敬称として“Ms”が普及した英語とは異なり、これらの言語では従来の既婚女性への敬称をそのまま未婚女性にも用いることが増えている。
 
 
 
*[[フランス語]]
 
**男性:Monsieur(ムスュ) - 日本語では聞こえ方の問題から「ム<u>ッシ</u>ュ」と表記されることが多い。
 
**女性:Madame(マダム)
 
**未婚女性:Mademoiselle(マドムワゼル) - 日本語では聞こえ方の問題から「マド<u>モア</u>ゼル」と表記されることが多い。
 
***フランスでは2012年にMademoiselleの表現は性差別にあたるとして公文書で使わないよう通達が出された<ref>[http://jp.reuters.com/article/oddlyEnoughNews/idJPTYE81N02W20120224 消える「マドモワゼル」、フランスの行政文書で使用禁止に] ロイター 2012年2月24日</ref>。つまり官公庁では未婚・既婚を問わずMadameを用いる。
 
*[[ドイツ語]]
 
**男性:Herr(ヘア)
 
**女性:Frau(フラウ)
 
**未婚女性:Fräulein(フロイライン) - 1960年代以後はほとんど使われない。
 
**肩書:Dr.(ドクトア/博士)など。ドイツ語では肩書の前にさらに“Herr”, “Frau”をつけて“Herr Dr. 〜”, “Frau Dr. 〜”とするのが普通(“Herr”, “Frau”をつけず、英語と同様に単に“Dr. 〜”とすることもある)。最近では肩書を省略して“Herr 〜”, “Frau 〜”と呼ぶ傾向がある。書き言葉、あるいは改まった呼びかけとして、稀に「修士」の学位を持つ者に対して”Herr Magister 〜”, ”Mag. 〜”(Magisterは修士の意味)と付ける場合があるが、Dr.と違って省略される場合も多い。「教授」の肩書を持つ者が「修士」や「博士」の学位を持つ場合は正式には”Prof. Mag, 〜”,  ”Prof. Dr. 〜”,  ”Prof. Dr. Mag. 〜”となる。
 
*[[イタリア語]]
 
**男性:Signóre(スィニョーレ) - 日本語では聞こえ方の問題から「<u>シ</u>ニョーレ」と表記されることが多い。
 
**女性:Signóra(スィニョーラ) - 日本語では聞こえ方の問題から「<u>シ</u>ニョーラ」と表記されることが多い。
 
**未婚女性:Signorina(スィニョリーナ) - 日本語では聞こえ方の問題から「<u>シ</u>ニョリーナ」と表記されることが多い。
 
**肩書
 
***Dottore(ドットーレ、男性)、Dottoressa(ドットレッサ、女性):医師、あるいはイタリアで四年制大学を卒業し学位を受けた人物に用いる。
 
***Maestro(マエストロ、男性)、Maestra(マエストラ、女性):音楽家(作曲家、指揮者、楽器奏者、音楽教育者など様々)、芸術家、料理人などに用いる。
 
*[[ロシア語]]
 
**ロシア語にはMr. / Mrs.に対応する{{Lang|ru|Господин / Госпожа}}などもあるが、ロシア人同士で使うことは少ない。名+[[父称]](姓を入れない)が敬称の代わりに使われる<ref>[[フセーヴォロド・ガルシン]]作「信号」中の描写を参照</ref>。
 
 
 
=== アジアの言語 ===
 
*[[朝鮮語|韓国・朝鮮語]]
 
:{{See also|en:Korean honorifics}}
 
:*身内でも立場が上の者には敬称および敬語を用いる。
 
:*例えば自分の父を他人に向かっても「父」でなく「お父さん」という(相手の父に対する敬称も別にある)。
 
:*また「社長」や「先生」だけでは敬称と看做されず、これに接尾辞「-{{Lang|Ko|님}}」(ニム、「様」)をつけて用いる。
 
*[[中国語]]
 
:{{See also|en:Chinese honorifics}}
 
:*正式な場面では、男性は「〜先生(シェンシャン)」、未婚の女性は「〜小姐(シャオジェ)」、既婚の女性は「〜女士(ニュイシー)」、「〜夫人(フーレン)」を名前の後ろに付ける。
 
:*普通の場面では、「老(ラオ)〜」、「小(シャオ)〜」、「阿(ア)〜」を名前の前に付ける。
 
:*肩書きがあれば、名前の後ろにつける。
 
:*教師や作者、芸術家などの知識労働者は「〜老師(ラオシ)」を名前の後ろに付ける。
 
:*運転手や大工、調理師などの肉体労働者は「〜師傅(シフ)」を名前の後ろに付ける。
 
 
 
== 敬称とポリティカル・コレクトネス ==
 
[[ポリティカル・コレクトネス]](PC)の関係から不適切とされる敬称の使い方は改めるべきだという観点がある。
 
 
 
学校などで男子に「くん(君)」、女子に「さん」をつけて区別することが一般的に用いられていたが、近年、一般的な「さん」に比べて「くん」を使用する相手が対等以下に限定されるという理由で、男女平等の観点から、この用法は適切でないという意見もあり、男女とも「さん」をつけることが奨励されつつある(特に[[義務教育]]を終えた、年配の人が混ざることがある[[高等学校|高校]]や[[大学]]の場合)。なお、[[病院]]では<!--中学生以下の-->年少の男子に対しては「くん」、女子には「ちゃん」を用いるのが一般的である。
 
 
 
英語において、既婚女性に対する敬称のMrs.は本来姓または夫の姓名につけて用いるのが普通であったが、改まった場で自分の名前ではなく夫の名前で呼ばれるのは女性蔑視だとして、近時では自分のフルネームにMrs.をつけて呼ぶ例が多い。<!--しかしながら、「Mrs. Victoria Beckham」([[ヴィクトリア・ベッカム]])「Mrs. David Beckham」の検索結果の比較([[グーグル]]、2007年3月24日現在)では29:53であった(※2007年7月26日現在Googleでの検索結果は、"Mrs. Victoria Beckham"が907件に対し、"Mrs. David Beckham"が681件である。ただし、この記事の記述も含む)。独自研究-->さらに、女性について既婚か未婚かによって敬称を異にするのも不適切であるとして、既婚・未婚を問わずMs.を用いることがビジネスの場などでは一般化している。
 
 
 
== その他 ==
 
殿下、閣下、猊下のように極めて高い地位の者に対する敬称には「下」と字が入るが、これには、身分の低い者が直接その地位の者を呼ぶのは失礼に値するという考え方のため、「下の取り次ぎの方を通して貴方のことをお呼び致します」という意味がこめられている。
 
 
 
近年、日本人に対する英文(電子メールなど)での敬称は「Mr. XXX」などではなく「XXX-san」(さん)や「XXX-sensei」(先生)という表現が使われてきている。また英語口頭表現において日本人の名前を呼ぶ際も「名字+さん」という言い方をすることがある。たとえば松坂大輔をMatsuzaka-san(マツザカサン)と呼ぶなど。
 
 
 
== 脚註 ==
 
{{Reflist}}
 
 
 
== 関連項目 ==
 
*[[敬語]]
 
*[[最高敬語]]
 
*[[呼び捨て]] - [[侮蔑#蔑称|蔑称]]
 
*[[日本語の二人称代名詞]]
 
*[[:en:T-V distinction|T-V distinction]]
 
*[[尊厳の複数]] - 王侯等が自らを指すのに一人称複数形を用いること。
 
  
 
{{DEFAULTSORT:けいしよう}}
 
{{DEFAULTSORT:けいしよう}}
 
[[Category:敬称|*]]
 
[[Category:敬称|*]]

2018/10/11/ (木) 23:41時点における最新版

敬称(けいしょう)

 人に対して敬意を示すために氏名や職名に添えることば。英語のMr., Mrs., Missやフランス語のM., Mme., Mlle.などは氏名の前に置くが、日本語では後に添える。日本語の敬称は、直叙を避けた婉曲(えんきょく)な表現から生まれたものが多く、また中国から入った漢語に多い。いまもっとも一般的なものとしては、主として書きことばに用いられる「様」「殿」「氏」などがあり、話しことばでは男子に「くん」、男女両方に「さん」が用いられる。皇族に対しては、第二次世界大戦前もっぱら「陛下」「殿下」が用いられたが、戦後は「様」も使われるようになった。

 そのほか、性や年齢、職業・地位などに応じて「兄」「嬢」「翁」「夫人」「関」「丈」「先生」「閣下」など多くの敬称があるが、話しことばでは「さん」がもっとも一般的であり、1952年(昭和27)に文部省から出た『これからの敬語』でも「さん」を標準の形としている。なお、たとえばA教授、B局長など、官名や職名を氏名の下につけると、敬称的になる。




楽天市場検索: