採光

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採光(さいこう)とは、建築物の室内の環境を調整するため、外部から自然光をとり入れることである。昼光照明(ちゅうこうしょうめい)とも呼ばれる。換気と並び、室内の衛生環境維持に欠かせない行為であり、が設けられる目的のひとつは採光である。採光の効用が得られるのは太陽の昇っている日中のみであるため、現代の建築では、夜間に人間が活動することもふまえて人工照明と併用するのが一般的である。

採光の手法・技術

ファイル:Piole himeji 05.jpg
光ファイバーによる採光
JR姫路駅ビル

採光には古くから窓が用いられてきたが、近年では鏡面・ガラスなどの反射を巧みに利用し、奥まった場所に光を導入する技術も開発されている。

 
最も一般的な手法である。壁に開口を設け、室内に太陽光を導入する。天井に穿った開口を天窓 (トップライト、頂光採光) とよぶ。天窓は壁に設ける窓よりも採光の効率が高いとされる。天井付近の高い位置に鉛直方向に設けた窓をハイサイドライト (頂側光採光) と呼び、部屋の奥まで光が届きやすくなるという利点がある。窓ガラスとして用いられる「すりガラス」は、視線を遮りながらも光を通すという、もっぱら採光に徹した材料であり、また、開閉のできないはめ殺し窓は、採光や視線の確保のみを目的としたものである。
明障子 
日本の伝統的な建具である障子のうち、木枠に和紙などの紙を張り、光を通すようにしたものが明障子(あかりしょうじ)である。平安時代末期に誕生し現代まで用いられ、日本の建築文化の象徴的な存在となっている。窓のように建物の開口部から光を取り入れるだけではなく、廊下と部屋、あるいは部屋と部屋など、より屋内へ向けた採光にも用いられることがある。
ドライエリア 
地下室で採光・通風を可能とするために設ける「空掘(からぼり)」のことである。地下室の周囲を掘り下げることにより、本来採光の困難な地下室に開口を設けられるようになる。
光庭 
コートヤードとも呼ばれる。建築物の内部に採光目的で設ける中庭をとくにこう呼ぶ。平面的に規模の大きな建築物では内側の自然採光が困難となりがちであるという問題を解消する策のひとつである。
プリズムライトガイド 
微小なプリズムを組み合わせた形状のパイプを通し、光を導入する技術。1990年代に開発された技術である。
光ファイバーなどによる導入 
屋根など、太陽光を受け易い場所に集光装置を置き、受けた光を光ファイバーなどで室内に伝えるという手法がある。誘導された光は、照明器具に準じた形の装置から室内に拡がる。窓からの光を得にくい奥まった部屋や、採光の困難な地下室にも、電気などのエネルギーを使わない採光効果をもたらすことができる。集光装置に自動的に太陽を追尾する機能を付加し、より効率を高めたものもある。
反射板 
高層建造物の吹き抜け空間(アトリウム)の天井部分から太陽追尾装置のついた反射板により光を取り入れる手法[1]。天窓の機能を増強するものである。

光の制御

自然採光、特に窓を用いた原始的な採光方法では、強すぎる光、望まない方向の光、あるいは紫外線など望ましくない波長の光を制御する手段を備え、調整の余地をもたせることが多い。どぎつい光は、室内で作業する者の目に負担を強いる。また、強い紫外線や熱線によって、利用者の皮膚や、室内の家具・内装がいたむという不具合も生じる。太陽の方向は時刻や季節、天候などの条件でさまざまに変化するため、常に快適な光が得られるとは限らないのである。以下に、自然採光と組み合わせて用いられる装置を挙げる。

  • ルーバー : 横に細長い板を、平行あるいは格子状に組み合わせたもので、ハンドルなどにより一斉にその向きを変えることができる。ルーバー自体は、光に限らず、風・雨の制御などさまざま用途に用いられる。
  • カーテン : 一部の光を通すレースカーテンから、光をほとんど通さない遮光カーテンまで、さまざまな厚さの布を窓辺に垂らし、光を調整する。すだれブラインドも似た機能を持っている。
  • 特殊なガラス : 熱線吸収ガラス、熱線反射ガラスなどは、熱線(赤外線)を特にカットし、室内が過剰に温まることを防ぐ目的で使われる。また、すりガラスは透過光を均等に拡散させることで、室内のプライバシーを保護するだけでなく、室内の照度分布をゆるやかにする効用がある。

採光に関する法規

日本の建築基準法では、居室に採光のための開口部の設置を義務付けている。住宅であれば、通常居室面積の1/7以上の採光面積(窓の面積)が義務づけられている。


脚注

関連項目

外部リンク