「奉公衆」の版間の差分

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{{簡易区別|文官である[[奉行衆]](ぶぎょうしゅう、「行」の字に注意)}}
 
  
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'''奉公衆'''（ほうこうしゅう）は、[[室町幕府]]に整備された幕府官職の1つである。[[征夷大将軍|将軍]]直属の軍事力で、5ヶ番に編成された事から[[番衆]]、番方などと呼ばれた。番衆（小番衆）とも。
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'''奉公衆'''（ほうこうしゅう）
  
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[[鎌倉時代]]の御所内番衆の制度を継承するもので、一般[[御家人]]や[[地頭]]とは区別された将軍に近侍（[[御供衆]]）する御家人である。[[奉行衆]]が室町幕府の[[文官]][[官僚]]であるとすれば、奉公衆は[[武官]]官僚とも呼ぶべき存在であった。後年、[[豊臣秀吉]]も奉公衆の制度を設けている。
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室町幕府において，[[御目見]] (おめみえ) 以上の直勤[[御家人]]。彼らはおもに，足利氏一門および[[守護大名]]の庶流・被官，足利氏の根本被官・家僚的奉行人層，有力国人領主の3者から成り，その所領は東海・東山道西部に集中する。奉公衆体制は6代将軍足利義教時代 (15世紀) に確立し，地方においては有力守護大名を牽制して中央への依存性を強化させる機能を果した。奉公衆の番所属は家ごとに譜代化し，彼らには幕府の料所 (直轄地) が預けおかれ，また彼らの所領には守護使不入や御家人役免除などの特権が与えられた。
  
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== 概要 ==
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8代将軍[[足利義政]]時代の奉公衆の編成を記す『御番帳』が現存しており、それによると奉公衆は五番編成で、各番の兵力は50人から100人、総勢で300から400人ほどの人数で、各番が抱える若党や中間なども含めると平均して5,000から10,000人規模の軍事力であったと考えられている。なお、[[鎌倉公方]]や[[古河公方]]の下にも奉公衆が編成されていたといわれている。
 
  
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成員は有力御家人や足利氏の一門、有力[[守護大名]]や地方の[[国人]]などから選ばれる。所属する番は世襲で強い連帯意識を持っていたとされ、[[応仁の乱]]などでは共同して行動している。ちなみに、足利氏にとって重要な拠点のひとつとされていた[[三河国|三河]]の奉公衆は40人を超えていたといい、国別で最多。
 
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奉公衆は平時には御所内に設置された番内などに出仕し、有事には将軍の軍事力として機能した。地方の御料所（将軍直轄領）の管理を任されており、所領地の[[守護不入]]や[[段銭]]（田畑に賦課される税）の徴収や[[京済]]（守護を介さない京都への直接納入）などの特権を与えられていた。奉公衆は守護から自立した存在であったために守護大名の領国形成の障害になる存在であったが、在国の奉公衆の中には現地の守護とも従属関係を有して家中の親幕府派として行動する事例もあった<ref>杉山一弥「室町幕府奉公衆葛山氏」『室町幕府の東国政策』（思文閣出版、2014年） ISBN 978-4-7842-1739-7（原論文は『国史学』172号（2000年））</ref>。
 
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== 沿革 ==
 
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室町時代の初期には[[南朝 (日本)|南朝]]や諸勢力の活動をはじめ、幕府内部でも有力[[守護]]の政争が絶えず、[[天授 (日本)|天授]]5年/[[康暦]]元年（[[1379年]]）には[[康暦の政変]]で[[管領]][[細川頼之]]が失脚している。そこで、3代将軍[[足利義満]]は守護勢力に対抗するため、御[[馬廻]]と呼ばれた[[親衛隊]]整備をはじめる。彼らは将軍直属の軍事力として[[山名氏]]が蜂起した[[明徳の乱]]や[[大内義弘]]が蜂起した[[応永の乱]]などで活躍する。
 
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それでも4代将軍[[足利義持]]の頃にはまだ[[畠山氏]]や[[大内氏]]の軍事力などに依存しており、6代将軍[[足利義教]]は義満の政策を踏襲してさらに強権を目指した。9代将軍[[足利義尚]]は、文官である奉行衆と共に奉公衆を制度として確立し、[[長禄]]元年（[[1487年]]）に[[近江国|近江]]の[[六角高頼]]討伐（[[長享・延徳の乱]]）を行った際には、奉公衆が将軍の親衛隊として活動している。大名と将軍の取次役の[[申次衆]]から取り立てられる例もあり、[[政所]]執事・[[伊勢氏]]の一族であった伊勢盛時（[[北条早雲]]）も申次衆から義尚の奉公衆に加えられたとされている。
 
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10代将軍[[足利義稙|足利義材]]（義稙）は、[[延徳]]3年（[[1491年]]）に奉公衆を率いて再度の六角氏討伐を行い、[[明応]]2年（[[1493年]]）には[[河内国|河内]]の[[畠山義豊]]を討伐するために出陣するが、出陣中に管領の[[細川政元]]が将軍廃立を行い（[[明応の政変]]）、奉公衆の制度が事実上崩壊し、奉公衆は形骸化していった。
 
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しかし、番の結束力は固く、[[明智光秀]]の中心的な家臣として石谷氏（[[斎藤利三]]）、肥田氏、進士氏など旧奉公衆が参加している。
 
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== 構成員 ==
 
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* [[肥田氏]]
 
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* [[明智氏]]
 
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* [[大草氏]]
 
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* [[大舘氏]]
 
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* [[土佐田村氏]]
 
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* [[三上氏]]
 
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* [[進士氏]]
 
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* [[大原氏]]
 
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* [[垪和氏]]
 
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* [[波々伯部氏]]
 
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* [[葛山氏]]
 
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* [[小早川氏|竹原小早川氏]]
 
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* [[斎藤妙椿]]
 
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* [[東常縁]]
 
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* [[毛利貞元]]
 
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* [[矢部定利]]
 
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* [[中条詮秀]]
 
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* [[遠山直景]]
 
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* [[三淵藤英]]
 
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* [[真木島昭光]]
 
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* [[川勝継氏]]
 
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== 脚注 ==
 
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<references/>
 
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== 関連項目 ==
 
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* [[管領]]
 
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* [[申次衆]]
 
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* [[見聞諸家紋]]
 
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[[Category:室町幕府の職制]]
 
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[[Category:室町幕府奉公衆|*ほうこうしゆう]]
 
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奉公衆（ほうこうしゅう）

室町幕府において，御目見 (おめみえ) 以上の直勤御家人。彼らはおもに，足利氏一門および守護大名の庶流・被官，足利氏の根本被官・家僚的奉行人層，有力国人領主の3者から成り，その所領は東海・東山道西部に集中する。奉公衆体制は6代将軍足利義教時代 (15世紀) に確立し，地方においては有力守護大名を牽制して中央への依存性を強化させる機能を果した。奉公衆の番所属は家ごとに譜代化し，彼らには幕府の料所 (直轄地) が預けおかれ，また彼らの所領には守護使不入や御家人役免除などの特権が与えられた。


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