天と地と (NHK大河ドラマ)

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天と地と』(てんとちと)は、NHK1969年1月5日 - 12月28日に放送した7作目の大河ドラマ。全52回。

概要

原作は海音寺潮五郎同名小説大河ドラマ初のカラー作品[1]。また、本作の途中(1969年4月13日)から大河ドラマの放送時間が20:15-21:00から20:00-20:45に変更され、現在まで続いている。

上杉謙信が主役。謙信(石坂浩二)と武田信玄高橋幸治)の、川中島の戦いでの対峙は名場面である。番組序盤は謙信の少年期を演じた中村光輝(現・中村又五郎)と、その教育係である金津新兵衛役の高松英郎が人気を集めた。光輝は第1話から第8話まで出演した。前年の『竜馬がゆく』が視聴率で伸び悩んだため製作スタッフは「これが最後の作品かもしれない」と考えていた。光輝の演技に対する評価もあって視聴率は伸びたが、当の光輝が製作スタッフの考えを知ったのはだいぶ経ってからだった。また、石坂は光輝の演技を見て自分がうまく引き継げるか不安に感じた(2007年放送の特集番組より)。なお本作が縁となり、石坂と原作者の海音寺潮五郎との間で親交が深まり、石坂が浅丘ルリ子1971年に結婚する際には、海音寺夫妻が媒酌人をつとめた。

本作を作った当時、春日山は整備されていなかった。ドラマ制作のために整備を行ったものの、屋敷跡などは車道などを作るために取り壊してしまった(甘粕屋敷跡付近の車道など)。

本作から1971年の『春の坂道』までは出演者のクレジットに際して「出演」ではなく「配役」と表示していた。

平均視聴率は25.0%、最高視聴率は32.4%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)[2]

コント55号の裏番組をぶっとばせ!』の「裏番組」とは、本作を意識したものである。

キャスト

太字の出演者は第50話に登場

長尾・上杉家

  • 虎千代→長尾景虎→上杉政虎→上杉謙信:中村浩太郎(現・中村扇雀)→中村光輝(現・中村又五郎)→石坂浩二
    主人公。少年時代より「早く大人になって勝ち戦がしたい」と言うなど、周囲に勝つことを目指していた。
    親に嫌われ生い立ちや境遇が似ている武田信玄のことを意識しながらも、価値観の異なる信玄に対しては敵対心を持っている。
    乃美とは口論することも多かったが、実際には少年時代より恋人として意識していたところがあった。
  • 長尾為景滝沢修
    景虎(謙信)の父。袈裟を娶ってすぐに虎千代(景虎の幼名)が生まれたため、実の息子であるか疑い冷遇する。その最期は、原作と同じく越中の一向一揆に敗れて戦死するという筋書きだが、これは原作者が為景とその父・能景の最期と混同したからと思われ、通説と異なる。
  • 袈裟御前新珠三千代
    景虎の母。虎千代が幼い時に病死したという設定になっている。こちらも、史実より原作の記述を優先している。なお、袈裟御前という名は、原作者の海音寺潮五郎による佐渡おけさをヒントにした創作である。
  • 松江:有馬稲子
    元は越後の百姓の娘。美貌のみならず、男勝りの怪力の持ち主であり、為景の側室として共に従軍するかたわら、虎千代の育ての母として彼を養育する。為景の敗死時に敵方に捕らえられるも脱出して出家・隠棲するが、成長した景虎と再会し、後に鬼小島弥太郎と再婚する。豪快な性格で、素朴な百姓訛りが特徴。
  • 長尾晴景山本耕一
    景虎の異母兄。無気力で酒色に溺れるなど、救いようのない暗愚な人物として描かれている。
  • 藤紫:藤村志保
    晴景の愛妾。服部玄鬼が京から連れてきた妖艶な美女。晴景の寵愛を笠に着た横暴な振る舞いが多く、景虎の女嫌いの一因となる。晴景が景虎の実力を妬むとこれを扇動して滅ぼそうとするが、逆に晴景が敗れると彼を見捨てて逃亡し、越中に逃れる。後に景虎が越中を平定した折に捕らえられ、斬首された。
  • 長尾景康小倉一郎三浦弘久
  • 長尾房景志村喬
    為景の兄、政景の父。
  • 長尾政景山口崇
    景虎の従兄・義兄。長尾家当主への野心はあるが、それ以上に景虎を助ける忠誠心を持つ。
  • 上月晃
    景虎の異母姉。政景の正室。
  • 長尾喜平二→上杉景勝中村信二郎(現・中村錦之助
    政景と綾の子。景虎の養子。
  • 長尾顕吉芥川比呂志
    袈裟の父。
  • 長尾俊景加藤武
    長尾一族の有力者。晴景に謀反を起こすが、景虎に鎮圧される。
  • 上杉定実原保美
  • 定実の妻:奈良岡朋子
    景虎の異母姉。
  • 上杉憲政大山克巳

長尾家臣

  • 乃美:美山なみ枝樫山文枝
    宇佐美定行の末娘。景虎のことを弟のように思っている。景虎とは口論することも多かったが実際には互いのことを意識しあっていた。物語中盤からは病気がちとなり、吐血することもあった。そのような中謙信は「元気になったら妻にする」と約束。しかし、その願いもむなしく、川中島の合戦の最中に、政虎(景虎)を案じながら息を引き取る。その死は政虎に衝撃を与えた。
  • 宇佐美定行宇野重吉
    景虎の軍師。越後十七将の一であり、上杉四天王の一。元々、越後上杉家を蔑ろにする為景と対立していたが、為景の死後は景虎を支援し、兵法や軍略などを伝授する。
  • 宇佐美定勝高橋悦史
    定行の子。
  • 金津新兵衛高松英郎
    景虎の傅役。上杉二十五将の一。父に疎まれ心を閉ざした景虎を懸命に支え続ける。
  • 鬼小島弥太郎市村竹之丞(後の中村富十郎
    景虎の直属の郎党の一人。越後十七将の一。妻の松江と共に戦場で大活躍し、長尾俊景を討ち取るなどの大功を上げる。
  • 戸倉与八郎:山田吾一
  • 秋山源蔵:橋本功
  • 奈弥辰蔵→鉄上野介:伊東四朗
    景虎の直属の郎党の一人。百姓の出だが、長尾俊景配下の大将を討ち取った功績で「鉄上野介」の名を与えられる。
  • 柿崎弥二郎(和泉守):藤木悠
    謙信七手組を全期に渡ったほどの長尾家きっての猛将。越後十七将の一であり、上杉四天王の一。武勇に優れるが好色で、美女を与えられて為景に寝返った悪評がある。景虎と晴景が対立すると、最初は晴景方だったが新発田掃部介に説得されて景虎に付き、以降は川中島の戦いをはじめ多くの合戦で活躍する。
  • 柿崎弥三郎:名古屋章
    弥二郎の弟。
  • 本条慶秀内藤武敏
    謙信七手組(前期)の一。
  • 斎藤下野守郡司良
    謙信七手組を全期に渡った武将。越後十七将の一。
  • 杉原憲家仲谷昇
  • 新発田長敦高桐真
    妻が、晴景の寵愛を受けている小姓の源三郎(藤紫の弟)と密通したために、これを殺害して晴景と対立。これが晴景と景虎の争いの原因となる。彼自身は景虎に仕える。
  • 新発田重家和田孝
    長敦の弟。兄に源三郎と密通した内室を殺すように進言する。
  • 北条高広和崎俊哉
    謙信七手組(前期)の一。後に息子の景広も謙信七手組の一。
  • 黒川実氏:桐野洋雄
  • 平田喜兵衛:毒蝮三太夫
  • 昭田常陸介:加藤嘉
    為景の側近。為景の死後は晴景に謀反し、景虎に滅ぼされる。
  • 金津伊豆守:久富惟晴
  • 黒田和泉守:中山昭二
  • 中条藤資樋口功吉田柳児
    謙信七手組(前期)の一。
  • 中条尾張守:河原崎次郎
  • 服部玄鬼:長門裕之
    為景・晴景の間者で伊賀の忍び。晴景から景虎の暗殺を命じられるが、景虎に火縄銃で射殺される。
  • 飛加当米倉斉加年
    玄鬼の仲間である忍者。
  • 八重:畠山淑子水前寺清子

武田家

長尾・武田以外の戦国大名

その他

スタッフ

オープニングについて

この作品の音楽は、冨田勲が担当した。冒頭部で馬の声を流した後、森正指揮によるNHK交響楽団の伴奏が入り、途中からは琵琶の音が加わるという構成になっている。

なお、1994年に発売された冨田のアルバムに使用された音源は再録音のため本作で使用されたものとは異なり馬の声が省略されている。また、琵琶の音の入り方が若干異なる。

冨田は冬の越後をイメージしてこの曲を作ったという。

オープニングテーマで、スタッフ・キャストのクレジット後のラストにサブタイトルが表示されるのは、2015(平成27)年までは唯一の作品であったが、2016(平成28)年の「真田丸」で再び採用されている。

また、オープニングに石坂演じる政虎(謙信)の映像が使用されている。大河ドラマの主人公がオープニング映像に登場するのはこれが初めて。

川中島合戦ロケ

ドラマの終盤に描かれる第四回川中島合戦の収録は、この時期までの大河ドラマとしては史上最大規模で行われた。 その参加人員と機材は、若駒冒険グループ20名、エキストラは相馬野馬追い騎馬会50名、高校生50名。カラーテレビカメラ4台、中継車、VTR車各1台、電源車2台、クレーン車、トラック3台、ヘリコプターという大規模な動員と投入であった。

放送

特記が無い限りNHKクロニクルのNHK番組表ヒストリーで確認。

通常放送時間

  • NHK総合テレビジョン:(14話まで)毎週日曜 20時15分 - 21時00分、(15話から)毎週日曜 20時00分 - 20時45分
  • (再放送)NHK総合テレビジョン:毎週土曜 13時25分 - 14時10分[3]

放送日程

  • 第35話は昭和44年度日本選手権水泳競技大会(最終日)放送のため45分繰り下げ。
  • 第46話は前番組歌の祭典が延長したため1分繰り下げ。
  • 第49話から最終話までは第32回衆議院議員総選挙関連番組放送のため45分繰り下げ。

(*)が付いている話は、映像が現存している話。詳細参照→映像の現存状況

放送回 放送日
第1話 1969年1月5日 天命の章 その一
第2話 1969年1月12日 天命の章 その二(*)(部分保存)
第3話 1969年1月19日 天命の章 その三
第4話 1969年1月26日 天命の章 その四
第5話 1969年2月2日 若竹の章 その一
第6話 1969年2月9日 若竹の章 その二
第7話 1969年2月16日 若竹の章 その三
第8話 1969年2月23日 若竹の章 その四
第9話 1969年3月2日 若竹の章 その五
第10話 1969年3月9日 若竹の章 その六
第11話 1969年3月16日 若竹の章 その七
第12話 1969年3月23日 栴檀の章 その一
第13話 1969年3月30日 栴檀の章 その二
第14話 1969年4月6日 栴檀の章 その三
第15話 1969年4月13日 栴檀の章 その四
第16話 1969年4月20日 栴檀の章 その五
第17話 1969年4月27日 栴檀の章 その六
第18話 1969年5月4日 栴檀の章 その七
第19話 1969年5月11日 若鷲の章 その一
第20話 1969年5月18日 若鷲の章 その二
第21話 1969年5月25日 若鷲の章 その三
第22話 1969年6月1日 若鷲の章 その四
第23話 1969年6月8日 若鷲の章 その五
第24話 1969年6月15日 若鷲の章 その六
第25話 1969年6月22日 若鷲の章 その七
第26話 1969年6月29日 陽炎の章 その一
第27話 1969年7月6日 陽炎の章 その二
第28話 1969年7月13日 陽炎の章 その三
第29話 1969年7月20日 陽炎の章 その四
第30話 1969年7月27日 陽炎の章 その五
第31話 1969年8月3日 勇猛の章 その一
第32話 1969年8月10日 勇猛の章 その二
第33話 1969年8月17日 勇猛の章 その三
第34話 1969年8月24日 勇猛の章 その四
第35話 1969年8月31日 勇猛の章 その五
第36話 1969年9月7日 勇猛の章 その六
第37話 1969年9月14日 勇猛の章 その七
第38話 1969年9月21日 王土の章 その一
第39話 1969年9月28日 王土の章 その二
第40話 1969年10月5日 王土の章 その三
第41話 1969年10月12日 王土の章 その四
第42話 1969年10月19日 火中の章 その一
第43話 1969年10月26日 火中の章 その二
第44話 1969年11月2日 火中の章 その三
第45話 1969年11月9日 火中の章 その四
第46話 1969年11月16日 川中島の章 序章
第47話 1969年11月23日 川中島の章 その一
第48話 1969年11月30日 川中島の章 その二
第49話 1969年12月7日 川中島の章 その三
第50話 1969年12月14日 川中島の章 その四(*)
第51話 1969年12月21日 吟詠の章 その一
最終話 1969年12月28日 吟詠の章 その二

総集編

  • 前編:1969年12月30日 19時20分から20時59分(*)(但し視聴者録画、モノクロ、冒頭欠落)
  • 後編:1969年12月31日 19時20分から20時50分

映像の現存状況

第2話(部分現存)、第50話と総集編前編が現存しており、その他の映像はNHKには現存していないとされる。現存している第50話「第50回~川中島の章~その四」は「NHK想い出倶楽部2~黎明期の大河ドラマ編~(5)天と地と」としてDVDで販売されている。総集編前編はNHKアーカイブスで視聴でき、個人からの寄贈を復元したものでモノクロ(当時の市販ビデオはモノクロだった)で冒頭20分が欠落しており、画質状態もよくない。ほかに、番組終了後の1970年1月に発売されたLPレコード2枚組があり、総集編前編と総集編後編の大部分が収録されている。 NHKではマスターテープが失われた過去の放送番組の収集(制作関係者や一般視聴者らへのビデオテープ提供の呼びかけなど)を進めている[4]

参考文献

  • 海音寺潮五郎記念館誌第7号

脚注

  1. 日本放送協会総合放送文化研究所放送史編修室 『NHK年鑑'69』 日本放送出版協会、1969年、172頁。 
  2. ビデオリサーチ NHK大河ドラマ 過去の視聴率データ
  3. 一部放送日時の変更あり
  4. NHKアーカイブス 番組発掘プロジェクト

外部リンク

NHK 大河ドラマ
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天と地と

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