大局将棋

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大局将棋(たいきょくしょうぎ)は最も多い駒数と盤面を持つ将棋であり、ボードゲーム(盤上遊戯)の一種である。古将棋に位置づけられ、知られている将棋としては最大のものである。

概要

関西将棋会館内の将棋博物館で、1990年頃に未整理資料の中から発見された大橋家の古文書「大局将棋駒」の中に記載されている将棋である。江戸時代に考案されたと考えられているが、棋譜は現存しておらず、当時盤駒が作成された証拠もないため実際に指されたかどうかは不明。現在は復元された駒が2組あるのみで、そのうち1組は大阪商業大学に所蔵されている[1]。現在、「大局将棋駒」は関西将棋会館内の将棋博物館の閉館に伴い、大阪商業大学アミューズメント産業研究所に移管されたはずだったが、実際には移管されておらず、行方不明[注釈 1]。閲覧が出来なくなっている。

自軍・敵軍それぞれ402枚、合計804枚の駒を使用する世界的にも最大規模の盤上遊戯である。泰将棋本将棋中将棋大将棋大大将棋摩訶大大将棋を含む)・天竺大将棋和将棋からほとんどの駒を取り込んでいるため、これらよりは時代が下ると思われる。これらの将棋に含まれている駒以外にも多数の駒が追加されており、この内のいくつかは他の現在伝わっていない変種から取り込まれたものと思われる。駒の種類は多いが動きや配置は洗練されているとは言えない。成っても後ろに戻れない駒やほとんど同じ動きの駒がある。

2004年5月19日放送のフジテレビ系『トリビアの泉』で、「将棋には804枚の駒を使うものがある」というトリビアとして、「大局将棋」が紹介された。更に、番組で、伊藤博文六段と安用寺孝功四段(段位はいずれも当時)による対局が行われた[2]。結果は対局時間32時間41分(3日間、ちなみに名人戦の持ち時間は各9時間)の末、3805手で先手安用寺の勝利。これが記録上、世界初の大局将棋の対局とされる。

メディア上において大局将棋が紹介されるまでは、上記の13年前に当たる1991年日本映画王手』(赤井英和主演、阪本順治監督)の終盤で、若山富三郎演ずる元真剣師が設けた対局で用いられた泰将棋(作中での名称は平安大将棋)が世界最大の将棋および盤上遊戯として紹介されていた。

ルール

基本ルール

  • 縦横36マスずつに区切られた将棋盤の上で行う。
  • 自分から見て手前の十一段を自陣、反対に相手から見て十一段を敵陣という。
  • 競技者双方が交互に、盤上にある自分の駒を一回ずつ動かす(本将棋とは違い持ち駒という概念はない)。
  • 駒は209種類あり[注釈 2]、それぞれ動きが決まっている。
  • 玉将鳩槃鳩盤天狗鳳師麟師大将鉤行鵬師中師獅鷹奔鷲大師大旗以外は敵陣に入ると「成駒」になれる。
  • 自分の駒を動かすとき、動く先に相手の駒があるとき、その駒を取ることができる。
  • 成るのは移動が完全に終了した後である(二歩移動できる駒に関しては二歩目を移動した後)。
  • 本将棋とは違い、駒を捕獲し自らの持ち駒にできない。
  • 玉将を取られても太子が残っていれば負けにはならない。太子には初めから存在する太子と、醉象の成駒としての太子があり、最大で3枚の王が存在しうる。
  • 最後の一枚の玉将または太子を詰ませた方が勝利となる。
  • 大将、副将角将飛将猛龍飛鰐飛将の成駒)は、それぞれ特定の方向に、自分よりも格の低い駒ならばいくつでも飛び越えて、その飛び越えた駒の味方の駒も含めて全てを取ることが出来る。駒の格は次の順。
    1. 玉将、太子
    2. 大将
    3. 副将
    4. 角将、飛将、猛龍、飛鰐
    5. その他の駒

初期配置図

上から12段にある駒は後手駒、下から12段にある駒は先手駒である。

香車 白虎 走兎 鯨鯢 火鬼 山鷲 天狗 獣曹 走馬 奔鬼 地龍 鳩槃 奔獏 奔王 後旗 右将 金将 太子 玉将 金将 左将 後旗 奔王 奔獏 鳩盤 地龍 奔鬼 走馬 獣曹 天狗 山鷲 火鬼 鯨鯢 走兎 玄武 香車
反車 香象 山鳩 飛燕 禽吏 雨龍 森鬼 山鹿 走狗 走蛇 横蛇 大鳩 走虎 走熊 夜刄 金剛 銀将 醉象 近王 銀将 力士 羅刹 走熊 走虎 大鳩 横蛇 走蛇 走狗 山鹿 森鬼 雨龍 禽吏 飛燕 山鳩 白象 反車
金車 横龍 走鹿 走狼 角将 飛将 右虎 右龍 獣吏 風龍 奔狗 行鳥 古鵄 孔雀 水龍 火龍 銅将 鳳師 麟師 銅将 火龍 水龍 孔雀 古鵄 行鳥 奔狗 風龍 獣吏 左龍 左虎 飛将 角将 走狼 走鹿 横龍 金車
銀車 竪熊 桂馬 豚将 鶏将 狗将 馬将 牛将 中旗 横猪 銀兎 金鹿 獅子 禽曹 大鹿 猛龍 林鬼 副将 大将 林鬼 猛龍 大鹿 禽曹 獅子 金鹿 銀兎 横猪 中旗 牛将 馬将 狗将 鶏将 豚将 桂馬 竪熊 銀車
石車 雲鷲 角行 飛車 横狼 飛猫 山鷹 竪虎 兵士 小旗 雲龍 銅車 走車 羊兵 猛牛 大龍 金翅 無明 提婆 金翅 大龍 猛牛 羊兵 走車 銅車 雲龍 小旗 兵士 竪虎 山鷹 飛猫 横狼 飛車 角行 雲鷲 石車
木車 白駒 𠵇犬 横行 踊鹿 水牛 猛豹 猛鷲 飛龍 毒蛇 鳫飛 烏行 盲犬 水将 火将 鳳凰 鉤行 小亀 大亀 摩𩹄 麒麟 火将 水将 盲犬 烏行 鳫飛 毒蛇 飛龍 猛鷲 猛豹 水牛 踊鹿 横行 𠵇犬 白駒 木車
瓦車 竪狼 横牛 驢馬 馬麟 猛熊 嗔猪 悪狼 風馬 鶏飛 古猿 淮鶏 北狄 南蛮 猛鹿 猛狼 隠狐 中師 鵬師 隠狐 猛狼 猛鹿 東夷 西戎 淮鶏 古猿 鶏飛 風馬 悪狼 嗔猪 猛熊 馬麟 驢馬 横牛 竪狼 瓦車
土車 朱雀 変狸 騎兵 鴟行 登猿 猫刄 燕羽 盲猿 盲虎 牛車 横飛 盲熊 老鼠 方行 蟠蛇 臥龍 奔鷲 獅鷹 臥龍 蟠蛇 方行 老鼠 盲熊 横飛 牛車 盲虎 盲猿 燕羽 猫刄 登猿 鴟行 騎兵 変狸 青龍 土車
車兵 横兵 竪兵 風将 川将 山将 前旗 馬兵 木将 牛兵 土将 猪兵 石将 豹兵 瓦将 熊兵 鉄将 大旗 大師 鉄将 熊兵 瓦将 豹兵 石将 猪兵 土将 牛兵 木将 馬兵 前旗 山将 川将 風将 竪兵 横兵 車兵
右車 横猿 竪行 飛牛 弩兵 竪狗 竪馬 炮兵 龍馬 龍王 刀兵 角鷹 飛鷲 鎗兵 竪豹 猛虎 弓兵 吼犬 狛犬 弓兵 猛虎 竪豹 鎗兵 飛鷲 角鷹 刀兵 龍王 龍馬 炮兵 竪馬 竪狗 弩兵 飛牛 竪行 横猿 左車
歩兵 歩兵 歩兵 歩兵 歩兵 歩兵 歩兵 歩兵 歩兵 歩兵 歩兵 歩兵 歩兵 歩兵 歩兵 歩兵 歩兵 歩兵 歩兵 歩兵 歩兵 歩兵 歩兵 歩兵 歩兵 歩兵 歩兵 歩兵 歩兵 歩兵 歩兵 歩兵 歩兵 歩兵 歩兵 歩兵
  仲人 仲人
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  仲人 仲人
歩兵 歩兵 歩兵 歩兵 歩兵 歩兵 歩兵 歩兵 歩兵 歩兵 歩兵 歩兵 歩兵 歩兵 歩兵 歩兵 歩兵 歩兵 歩兵 歩兵 歩兵 歩兵 歩兵 歩兵 歩兵 歩兵 歩兵 歩兵 歩兵 歩兵 歩兵 歩兵 歩兵 歩兵 歩兵 歩兵
左車 横猿 竪行 飛牛 弩兵 竪狗 竪馬 炮兵 龍馬 龍王 刀兵 角鷹 飛鷲 鎗兵 竪豹 猛虎 弓兵 狛犬 吼犬 弓兵 猛虎 竪豹 鎗兵 飛鷲 角鷹 刀兵 龍王 龍馬 炮兵 竪馬 竪狗 弩兵 飛牛 竪行 横猿 右車
車兵 横兵 竪兵 風将 川将 山将 前旗 馬兵 木将 牛兵 土将 猪兵 石将 豹兵 瓦将 熊兵 鉄将 大師 大旗 鉄将 熊兵 瓦将 豹兵 石将 猪兵 土将 牛兵 木将 馬兵 前旗 山将 川将 風将 竪兵 横兵 車兵
土車 青龍 変狸 騎兵 鴟行 登猿 猫刄 燕羽 盲猿 盲虎 牛車 横飛 盲熊 老鼠 方行 蟠蛇 臥龍 獅鷹 奔鷲 臥龍 蟠蛇 方行 老鼠 盲熊 横飛 牛車 盲虎 盲猿 燕羽 猫刄 登猿 鴟行 騎兵 変狸 朱雀 土車
瓦車 竪狼 横牛 驢馬 馬麟 猛熊 嗔猪 悪狼 風馬 鶏飛 古猿 淮鶏 西戎 東夷 猛鹿 猛狼 隠狐 鵬師 中師 隠狐 猛狼 猛鹿 南蛮 北狄 淮鶏 古猿 鶏飛 風馬 悪狼 嗔猪 猛熊 馬麟 驢馬 横牛 竪狼 瓦車
木車 白駒 𠵇犬 横行 踊鹿 水牛 猛豹 猛鷲 飛龍 毒蛇 鳫飛 烏行 盲犬 水将 火将 麒麟 摩𩹄 大亀 小亀 鉤行 鳳凰 火将 水将 盲犬 烏行 鳫飛 毒蛇 飛龍 猛鷲 猛豹 水牛 踊鹿 横行 𠵇犬 白駒 木車
石車 雲鷲 角行 飛車 横狼 飛猫 山鷹 竪虎 兵士 小旗 雲龍 銅車 走車 羊兵 猛牛 大龍 金翅 提婆 無明 金翅 大龍 猛牛 羊兵 走車 銅車 雲龍 小旗 兵士 竪虎 山鷹 飛猫 横狼 飛車 角行 雲鷲 石車
銀車 竪熊 桂馬 豚将 鶏将 狗将 馬将 牛将 中旗 横猪 銀兎 金鹿 獅子 禽曹 大鹿 猛龍 林鬼 大将 副将 林鬼 猛龍 大鹿 禽曹 獅子 金鹿 銀兎 横猪 中旗 牛将 馬将 狗将 鶏将 豚将 桂馬 竪熊 銀車
金車 横龍 走鹿 走狼 角将 飛将 左虎 左龍 獣吏 風龍 奔狗 行鳥 古鵄 孔雀 水龍 火龍 銅将 麟師 鳳師 銅将 火龍 水龍 孔雀 古鵄 行鳥 奔狗 風龍 獣吏 右龍 右虎 飛将 角将 走狼 走鹿 横龍 金車
反車 白象 山鳩 飛燕 禽吏 雨龍 森鬼 山鹿 走狗 走蛇 横蛇 大鳩 走虎 走熊 羅刹 力士 銀将 近王 醉象 銀将 金剛 夜叉 走熊 走虎 大鳩 横蛇 走蛇 走狗 山鹿 森鬼 雨龍 禽吏 飛燕 山鳩 香象 反車
香車 玄武 走兎 鯨鯢 火鬼 山鷲 天狗 獣曹 走馬 奔鬼 地龍 鳩盤 奔獏 奔王 後旗 左将 金将 玉将 太子 金将 右将 後旗 奔王 奔獏 鳩槃 地龍 奔鬼 走馬 獣曹 天狗 山鷲 火鬼 鯨鯢 走兎 白虎 香車


脚注

注釈

  1. BSプレミアムで2018年2月23日に放送された美の壺file438「将棋」の内容には大阪商業大学のものかは不明だが、本来駒師職人の雅号が入る駒の底の所に番号が振り分けられていているもので大局将棋を復元された盤駒が映った後に大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員が本将棋の説明をしている。
  2. 駒の表面の名前は207種類だが、𠵇犬は成りが異なる2種類があり、山鷲は初期配置の位置で動きが異なる2種類があるため、駒の機能としては209種類となる。なお、山鷲については駒の外見はまったく同様なので、物体としての駒は208種類である(2種の𠵇犬は裏面の文字が異なるので物理的にも別の駒)。

出典

  1. 研究所の紹介 - アミューズメント産業研究所 - 大阪商業大学”. . 2013-10-8閲覧.
  2. 「トリビアの泉」に伊藤六段・安用寺四段が出演”. 公益社団法人日本将棋連盟関西本部 (Internet Archive). 2012年4月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。. 2014閲覧.

関連項目

リンク