基数詞

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基数詞(きすうし)とは物事のを表す数詞である。これに対し物事の順序を表す数詞を序数詞と呼ぶ。

基数詞の品詞

日本語では基数詞は名詞に分類されており、助数詞東アジアから太平洋岸のアメリカ大陸原住民にかけての言語における接尾語で、通常は数詞の表しているものの種類によって変化する)が付くことで形容動詞的な使用が可能となる。例えば、物の個数を表す「~個」や人数を表す「~人」は助数詞と結びつけて数を数える基数詞である。

英語ではすべての数詞は形容詞であるが、10およびその整数倍、10のは名詞にもなれる("tens of thousands of ..."(何万もの…)、"the forties"(40[歳・年]代))。また、1を意味する"one"という言葉及びその複数形(ones)が代名詞的に用いられる。例外的に9以下の数詞を名詞として使う場合もある(two's complement(2の補数))。

中国語では「数詞」と呼ばれる独立した品詞に分類される。

基数詞に代わる言葉

基数詞の代わりに別の言葉が用いられる例がある。

例えば漢字文化圏における「両」は基数詞の「二」(2)の代わりとして使われることはあっても、序数詞にはならない。

日本語では2つ組になっている物に対し、「対」や「番い(つがい)」といった呼び方をし、これらの語は助数詞にもなる。助数詞には他にも対のものを表すものがあり、靴は両足分で1セットなので2つで「1足」、手袋も両手分で「1双」である。

英語においては「2つ(組)」を"pair"(ペア)、"double"(ダブル)、"couple"(カップル)、"brace"などと呼ぶことがある(集合数詞)。眼鏡は"a pair of glasses"(一対のレンズ)といった様に、日本語の感覚では単数でも英語では(固定的に)複数である。Binoculars(双眼鏡)、pants(パンツ、脚が二本入るから)、pajamas(パジャマ、上下で対だから)なども同様。"A couple of people"は文字通りには「2人」だが、「数人」を意味するのが普通。"A lot of ..."、"a bunch of ..."(いずれも「沢山の」「大勢の」)もよく使われる。 これ以外にも英語には、ラテン語からの伝統を受け継いだ12進法に由来する、12を意味する"dozen"(ダース)や144(12×12)を意味する"gross"(グロス)といった数の異名を有する。

基数詞の転用

ヨーロッパの言語にみられる不定冠詞単数形は1を意味する基数詞が元となっている。例を挙げれば、英語の"an"は"one"と同根であるし、イタリア語フランス語などのラテン系言語(注:ラテン語には以下の用法はない)では1を意味する語をによって屈折して不定冠詞を作る。ドイツ語に至っては更に格変化が加わり、1を意味する男性形単数主格"ein"が属格"eines"、与格"einem"、対格"einen"と変化する。

中国語でも「一个」(一つ)「一本」(一冊)「一件」(一着)といったような1個のものを表す表現は不定冠詞に似たニュアンスを持つ。

4と5の境界

ヨーロッパ、インド、イランで話されているインド・ヨーロッパ語族[1]では、1から4までの数詞があとに続く名詞の性で変化するという特徴がある。ギリシャ語、ラテン語、ドイツ語の不定冠詞は性だけでなく、格によっても変化する。スラブ系の言語やサンスクリットでも古形は、1から4までの数詞は性と格によって変化する。ロシア語も「1」と「2、3、4」は単数と複数で変化するのに加えて、「3、4」と「5以上」で名詞の語尾が変わる[2]

0という基数詞

あるものが無または1に満たない状態は0で表現される(例:0個、0人)。1を基点に数える序数詞に対して、無を表現できる基数詞は0を基点にしているといえる。

出典・注記

  1. この場合のインド・ヨーロッパ語族とは、ギリシャ、ラテン(フランス、スペイン、ルーマニア等)、ケルト、ジャーマニック(ゴート、アングロサクソン、イギリス、ドイツ等)、トカラ、ヒッタイト、インド・アーリア(サンスクリット、イラン、ヒンズー等)、スラブ(ロシア、チェコ等)、バルト(リトアニア等)、アルバニア、アルメニアを指す。
  2. 小林功長著 『数詞』 星林社 1998年5月20日第1刷発行 Page.16-25

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